JP4370640B2 - クラッチ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラッチ装置に関し、特に自動変速機に用いるに適したクラッチ装置において、遠心油圧をキャンセルする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
湿式多板構成のクラッチ装置において、動力伝達を行う摩擦係合要素を係脱操作する油圧サーボは、ブレーキの油圧サーボと異なり、動力伝達経路を構成する回転部材と共に回転するため、ピストンシリンダ機構で構成される油圧サーボのシリンダ室内に供給される作動油に遠心力が作用する。このように作動油にかかる遠心力は、シリンダ室内の油圧を外径側に行く程高める遠心油圧を生じさせ、クラッチ係合時の供給油圧の制御を難しくするばかりでなく、クラッチ解放時の油圧の排出の妨げとなる。
【0003】
こうした遠心油圧の発生に対する一つの対策として、クラッチピストンの背後に、該ピストンと、シリンダ側の回転部材と、該回転部材とピストンとに内外周を嵌合させたキャンセルプレートとにより囲われるキャンセル室を設け、キャンセル室に発生する遠心油圧によりシリンダ室内の遠心油圧を相殺する技術がある。特開平2−296072号公報に開示の技術は、上記キャンセラ機構からの油圧の排出に係るもので、この技術では、キャンセルプレートの内周側に溝を設け、この溝を同じくキャンセルプレートの背面に設けた切欠きに連通させることで、キャンセルプレートの軸方向移動を規制すべくキャンセルプレートの背面に当接するスナップリングを迂回する排出路を確保している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術のキャンセラ機構では、キャンセルプレートの内周に設けた溝が、キャンセルプレートの遠心油圧の受圧面を内周側で減少させる要素となり、クラッチピストンの受圧面積とほぼ同等とされるキャンセルプレートの実際の受圧面積に対して、有効に作用する受圧面積を減少させることになる。このような排出溝を設けることによる受圧面積の減少を補うには、キャンセルプレートの嵌合部位の回転部材の軸径を小さくして、その分だけ受圧面を内径方向に拡大すればよいと考えられるが、そのようにすると、軸強度の確保が困難になる。
【0005】
本発明は、こうした事情に鑑みなされたものであり、キャンセルプレートの遠心油圧の受圧面積を減少させることなく、しかも回転部材の強度を確保しながらキャンセル油の排出を可能としたキャンセラを備えるクラッチ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、回転部材と共に回転するピストンシリンダ機構を備えるクラッチ装置であって、クラッチピストンと、回転部材と、該回転部材とピストンとに内外周を嵌合させたキャンセルプレートとにより囲われるキャンセル室をクラッチピストンの背後に備えるものにおいて、前記キャンセルプレートの内周側背面に、少なくとも1つの切欠きが形成され、前記回転部材の軸部に、前記キャンセルプレートの内周面より内周側を通り、キャンセル室とキャンセルプレートの切欠きを連通する油路が形成され、前記キャンセルプレートは、回転部材の軸部外周に嵌合させたスナップリングにより軸方向の移動を規制され、前記回転部材の軸部の前記油路の底部と、前記スナップリングが嵌合する前記軸部の外周面とは、テーパ状に連結され、前記キャンセル油室を余剰した油が、前記回転部材の軸部の前記油路から、前記キャンセルプレートと前記スナップリングとの間に位置する前記キャンセルプレートの内周側背面の前記切欠きを通って排出されることを特徴とする。
【0007】
上記の構成において、前記キャンセルプレートの切欠きは、スナップリングの外周を越えて延在する構成とするのが有効である。
【0008】
更に、前記スナップリングは、キャンセルプレートの背面に当接し、キャンセルプレートの背面に設けた抜け止めにより外周方向への拡径を規制された構成を採るのが有効である。
【0009】
また、前記軸部の油路は、キャンセルプレートの内周径に対して軸径を縮小させた小径部で構成されるのが有効である。
【0011】
また、前記回転部材は、自動変速機の動力伝達部材とされ、軸部の端面に当接させてスラスト軸受が配設された構成を採るのが有効である。
【0012】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1記載の構成では、キャンセル室の油は、クラッチピストンの作動に伴うキャンセル室の縮小、又はキャンセル室に供給される油のオーバフローにより、回転部材の油路とキャンセルプレートの背面の切欠き通って外部に排出される。この場合、キャンセル室からキャンセルプレートの背面に至る油路は、回転部材の軸部に設けられ、キャンセルプレートの内周側に溝を設けることなく確保されるため、キャンセルプレートの全受圧面を有効に遠心油圧の受圧面として利用することができる。一方、軸部の油路は、キャンセルプレートの軸方向移動を規制するために必須のスナップリングを止めるためのスナップ溝部の軸径とほぼ同様の径で確保されるため、回転部材の強度を減少させる要素とはならない。
【0013】
次に、請求項2記載の構成では、キャンセルプレートの背面の切欠きが、同じく背面に当接するスナップリングの外周を越えて延在するため、キャンセル室からの油は、スナップリングに妨げられることなく、確実に排出される。
【0014】
更に、請求項3記載の構成では、回転部材に回転によりスナップリングにかかる遠心力によるスナップリングの拡径をキャンセルプレートの背面で規制することができるため、別途の規制部材を用いずにスナップリングを確実に抜け止めすることができる。
【0015】
次に、請求項4記載の構成では、油路を軸部の小径化により確保しているため、軸部の外周に軸方向溝を設けて油路とする場合の溝削り加工に比べて、鍛造のままあるいは旋削といった簡略な加工を採用することができ、それによりコストダウンを図ることができる。
【0017】
更に、請求項5記載の構成では、回転部材の軸部をキャンセル面積確保のために小径化する必要がないので、回転部材にかかるスラスト力を支持する場合に、スラスト軸受との当接面を確保することができる。したがって、軸受のスラストレースを薄肉化することができ、変速機の軸長を短くすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図1及び図2は本発明のクラッチ装置を自動変速機に適用して具体化した一実施形態をそれぞれ軸方向部分断面で示す。図に示すように、このクラッチ装置は、回転部材31,11Bと共に回転するピストンシリンダ機構を備えるクラッチ装置を構成しており、ピストン32,42と、回転部材31,11Bと、回転部材とピストンとに内外周を嵌合させたキャンセルプレート33,43とにより囲われるキャンセル室Rcをクラッチピストン32,42の背後に備えている。
【0019】
本発明の特徴に従い、キャンセルプレート33,43の背面(クラッチハブ39,49に対向した面)の内周側に、少なくとも1つの切欠き33a,43aが形成されている。切欠き33a,43aは、キャンセルプレート33,43の正面(キャンセル室Rc側の面)と連通しないように、キャンセルプレート内周面33c,43cから径方向に延ばされている。回転部材の軸部31a,11aには、キャンセル室Rcとキャンセルプレート33,43の切欠き33a,43aを連通する油路Cが形成され、この油路Cは、少なくともキャンセルプレート33,43の切欠き33a,43aの範囲内、すなわち切欠き33a,43aのキャンセルプレートの内周面33c,43cに開口した部分の軸方向範囲と、キャンセル室Rcの範囲内、すなわちピストン32,42とキャンセルプレート33,43の軸方向間にそれぞれ開口部を有する。そして、キャンセルプレート33,43は、回転部材の軸部31a,11a外周に嵌合させたスナップリング35,45により軸方向の移動を規制されている。
【0020】
キャンセルプレート33,43の切欠き33a,43aは、スナップリング35,45の外周を越えて延在する。スナップリング35,45は、キャンセルプレート33,43の背面に当接し、キャンセルプレート33,43の背面に設けた抜け止め33b,43bにより外周方向への拡径を規制されている。軸部31a,11aの油路Cは、軸方向溝として構成することもできるが、この形態では、キャンセルプレート33,43の内周径より小径化された小径部31b,11bで構成されている。そして、軸部31a,11aに設けた油路Cの底部とスナップリング35,45を配設した面とはテーパ状に連結されている。この形態では、回転部材31,11Bは、自動変速機の動力伝達部材としてのクラッチドラム36,46に連結された入力側部材とされ、軸部の端部に当接させてスラスト軸受13,14が配設されている。
【0021】
以下、各部の構成について更に詳しく説明する。図4は、本発明のクラッチ装置が適用された自動変速機の一例の概略構成をスケルトンで示す。この変速機は、発進装置としてのトルクコンバータTと、ラビニヨ式のプラネタリギヤセットGを主体とする前進6速・後進1速の変速機構とから構成されている。変速機構は、トルクコンバータTのタービンランナに連結した入力軸11の回転を減速してプラネタリギヤセットGに入力する減速プラネタリギヤG1と、減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転をプラネタリギヤセットGの2つのサンギヤS2,S3にそれぞれ入力する2つのクラッチ(C−1,C−3)と、入力軸11の回転をプラネタリギヤセットGのキャリアC2,C3に直接入力するクラッチ(C−2)と、プラネタリギヤセットGの一方のサンギヤS2を変速機ケース10に並列的に係止するブレーキ(B−1)及びワンウェイクラッチ(F−1)とブレーキ(B−2)の組合わせと、プラネタリギヤセットGのキャリアC2を変速機ケース10に並列的に係止するブレーキ(B−3)及びワンウェイクラッチ(F−2)とを備える構成とされ、プラネタリギヤセットGのリングギヤR3が出力軸19に連結する出力要素とされている。
【0022】
こうした構成からなる自動変速機は、図5にその作動を図表化して示すように多段の前進6速・後進1速を達成することができる。そして、この多段の特性を有効に発揮させるべく、この変速機では、各変速段間を自由に飛び変速可能な制御形態が採られ、これに伴う各クラッチの掴み替えを含む迅速なクラッチ操作を比較的簡易な油圧操作で実現すべく、クラッチ(C−1)及びクラッチ(C−2)について、遠心油圧のキャンセル機構を組み込んだクラッチが用いられている。
【0023】
本発明が適用された一方のクラッチ装置としてのクラッチ(C−1)は、図1に示すように、クラッチ(C−3)のハブ21にスプライン係合で連結され、ドラム36と油圧サーボシリンダを構成する回転部材31をリベット止めで一体化された入力側回転部材と、回転部材31の軸部31aの外周面と、外径側を軸方向後方に延びるシール面の外周面とに内周面と外周側前方シール面の内周面とを嵌合させて油圧サーボシリンダに対して軸方向に摺動自在とされたピストン32と、同じく回転部材31の軸部31aの外周面と、ピストン32の外径側後方シール面の内周面とに内外周側シール面を嵌合させて回転部材31の軸部31aに軸方向移動を規制されて配設されたキャンセルプレート33と、ピストン32の背面とキャンセルプレート33の前面との間に配設されたリターンスプリング34とを油圧サーボの構成部材として備えている。
【0024】
一方、クラッチ(C−1)の動力伝達経路は、前記ドラム36と、その内周にスプライン連結された多数のセパレータプレート37と、各セパレータプレート37の間に挟持された多数のクラッチディスク38と、クラッチディスク38の内周側をスプライン係合で支持するクラッチハブ39とで構成されている。
【0025】
回転部材31は、入力軸11Aの外周にブッシュを介して支持され、油圧サーボのシリンダ室Rsの内周側の軸部31aに形成された径方向油孔31cが入力軸11A外周の周溝11c及びそれに連なる径方向油孔11dを介して入力軸11Aの軸内油路11eに連通して、入力軸11Aからのシリンダ室Rsへの供給油路が構成されている。回転部材31の軸部31aには、更にキャンセル室Rcの内周側に位置させて別の径方向油孔31dが形成され、この油孔31dは、入力軸11Aの外周側の段差部で構成される環状隙間を経て径方向油路11fに連通され、更に入力軸11Aと中間軸11Bの間の隙間を経て中間軸11Bの軸内油路11gに連結されて潤滑油路が構成されている。
【0026】
本発明が適用されたもう一方のクラッチ装置としてのクラッチ(C−2)は、図2に示すように、中間軸11Bの大径部に溶接等で連結され、ドラム46と一体化された油圧サーボシリンダ41を入力側回転部材とし、回転部材の軸部11aの外周面と、外径側を軸方向前方に延びるシール面の内周面とに内周面と外周シール面とを嵌合させて油圧サーボシリンダ41に対して軸方向に摺動自在とされたピストン42と、同じく回転部材の軸部11aの外周面と、ピストン42の外径側前方シール面の内周面とに内外周側シール面を嵌合させて回転部材の軸部11aに軸方向移動を規制されて配設されたキャンセルプレート43と、ピストン42の背面とキャンセルプレート43の前面との間に配設されたリターンスプリング44とを油圧サーボの構成部材として備えている。
【0027】
図3に示すように、キャンセルプレート43は、この形態では周方向に等間隔に4つの切欠き43aを備える構成とされ、切欠き43aの間に残されるスナップリングとの当接面の外周に、段差で構成される抜け止め43bが設けられている。
【0028】
この場合のクラッチ(C−2)の動力伝達経路は、油圧サーボシリンダ41と一体のドラム46と、その内周にスプライン連結された多数のセパレータプレート47と、各セパレータプレート47の間に挟持された多数のクラッチディスク48と、クラッチディスク48の内周側をスプライン係合で支持するクラッチハブ49とで構成されている。
【0029】
回転部材11Bは、図1に示すように、その前端を入力軸11Aの後端へのスプライン嵌合により支持され、図2に示すように、後端をローラベアリングを介して出力軸19に支持されている。このクラッチの場合、油圧サーボのシリンダ室Rsの内周側の軸部11aに形成された径方向油孔11hが中間軸11Bの軸内油路11iに連通して、中間軸11Bからのシリンダ室Rsへの供給油路が構成されている。回転部材としての中間軸11Bの軸部11aには、更にキャンセル室Rcの内周側に位置させて別の径方向油孔11jが形成され、この油孔11jは、中間軸11Bの軸内油路11kに連通され、潤滑油路が構成されている。
【0030】
こうした構成からなる自動変速機において、クラッチ(C−1)への油圧の供給は、変速機のケース内油路に前側で連通する入力軸11Aの軸内油路11eから径方向油路11d、周溝11c及び径方向油路31cを経て行われる。一方、クラッチ(C−2)への油圧の供給は、変速機のケース内油路に後側で連通する中間軸11Bの軸内油路11iから径方向油路11hを経て行われる。
【0031】
これに対して、クラッチ(C−1)のキャンセル室Rcへは、変速機のケース内の潤滑圧の供給油路に前側で連通する入力軸11Aのもう一本の軸内油路11m、入力軸11Aと中間軸11Bの連結部の隙間、入力軸11Aの径方向油孔11f、入力軸11A外周の段差部の隙間及び回転部材31の軸部31aの径方向油孔31dを経て行われる。また、クラッチ(C−2)のキャンセル室Rcへは、変速機のケース内油路に前側で連通する入力軸11Aのもう一本の軸内油路11m、入力軸11Aと中間軸11Bの連結部の隙間、中間軸11Bの軸内油路11g及び中間軸11Bの径方向油孔11jを経て行われる。
【0032】
このようにキャンセル室Rcに供給された油は、その連続供給により常にキャンセル室Rcを満たした状態にあり、かつ入力軸11Aに減速プラネタリギヤを介して連結されて常時減速回転を続ける回転部材31と、入力軸11Aにスプライン係合で直結することで、常時入力回転と同期する回転で回り続ける中間軸11Bの回転で遠心力を受け、シリンダ室Rsへの油圧の供給の有無に関わりなく、それぞれのピストン32,42の背後に遠心油圧を負荷する。そして、余剰の油は、油路C及び切欠き33a,43aを経て外部に排出される。
【0033】
また、シリンダ室Rsへの油圧の供給が行われると、ピストンストロークに伴ってキャンセル室Rcの容積が減少するため、キャンセル室Rc内を満たす油は、同様の経路で強制的に外部に排出される。
【0034】
このようにして、本実施形態によれば、キャンセル室Rcの油は、クラッチピストン32,42の作動に伴うキャンセルRc室の縮小、又はキャンセル室Rcに供給される潤滑油のオーバフローにより、回転部材の油路Cとキャンセルプレート33,43の背面の切欠き33a,43a通って外部に排出され、遠心力で放射方向に飛散して両クラッチ(C−1,C−2)のハブ39,49に吹きかけられ、両クラッチ摩擦部材の潤滑と冷却に充てられる。この場合、キャンセル室Rcからキャンセルプレート33,43の背面に至る油路Cは、回転部材の軸部31a,11aの小径部により構成され、キャンセルプレート33,43の内周側に溝を設けることなく確保されるため、キャンセルプレート33,43の全受圧面を有効に遠心油圧の受圧面として利用することができる。一方、油路Cを構成する軸部の小径部31b,11bは、キャンセルプレート33,43の軸方向移動を規制するために必須のスナップリング35,45を止めるためのスナップ溝部の軸径とほぼ同様の径で確保されるため、回転部材の強度を減少させる要素とはならない。
【0035】
更に、キャンセルプレート33,43の背面の切欠き33a,43aが、同じく背面に当接するスナップリング35,45の外周を越えて延在するため、キャンセル室Rcからの油は、スナップリング35,45に妨げられることなく、確実に排出される。更に、回転部材の回転によりスナップリング35,45にかかる遠心力によるスナップリング35,45の拡径をキャンセルプレート33,43の背面で規制することができるため、スナップリング35,45を確実に抜け止めすることができる。次に、油路Cを軸部の小径化により確保しているため、軸部31a,11aの外周に軸方向溝を設けて油路とする場合の溝削り加工に比べて、鍛造のままあるいは旋削といった簡略な加工を採用することができ、それによりコストダウンを図ることができる。一方、油路Cの底部とスナップリング35,45を配設した面は、テーパ状に連結されているため、キャンセル油の排出時の流れが滑らかになる。更に、回転部材の軸部31a,11aをキャンセル面積確保のために小径化する必要がないので、回転部材にかかるスラスト力を支持する場合に、スラスト軸受13,14との当接面を確保することができる。したがって、軸受のスラストレース13a,14aを薄肉化することができ、変速機の軸長を短くすることができる。
【0036】
以上、本発明を一実施形態に基づき詳説したが、本発明は例示の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の事項の範囲内で種々に具体的構成を変更して実施可能なものである。例えば、回転部材の軸部は、回転部材と一体であることを必須とするものではなく、回転部材に嵌合させた別体のスリーブとすることができる。また、キャンセルプレートの内周側は特に回転部材の軸部とのシールを要しないため、キャンセルプレートはその外周側に嵌合されたOリングを介するシール部でピストンに支持する構成を採っているが、内周側を隙間なく軸部に嵌合する支持方法を採ることも当然に可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクラッチ装置を適用した一実施形態の自動変速機の軸方向部分断面図である。
【図2】実施形態の自動変速機の他部の軸方向部分断面図である。
【図3】実施形態のクラッチ装置のキャンセルプレートの正面図である。
【図4】実施形態の自動変速機の全体構成を示すスケルトン図である。
【図5】実施形態の自動変速機の作動図表である。
【符号の説明】
Rc キャンセル室
C 油路
11B 中間軸(回転部材)
13,14 スラスト軸受
31 回転部材
31a,11a 軸部
31b,11b 小径部
32,42 ピストン
33,43 キャンセルプレート
33a,43a 切欠き
33b,43b 抜け止め
35,45 スナップリング
Claims (5)
- 回転部材と共に回転するピストンシリンダ機構を備えるクラッチ装置であって、クラッチピストンと、回転部材と、該回転部材とピストンとに内外周を嵌合させたキャンセルプレートとにより囲われるキャンセル室をクラッチピストンの背後に備えるものにおいて、
前記キャンセルプレートの内周側背面に、少なくとも1つの切欠きが形成され、
前記回転部材の軸部に、前記キャンセルプレートの内周面より内周側を通り、キャンセル室とキャンセルプレートの切欠きを連通する油路が形成され、
前記キャンセルプレートは、回転部材の軸部外周に嵌合させたスナップリングにより軸方向の移動を規制され、
前記回転部材の軸部の前記油路の底部と、前記スナップリングが嵌合する前記軸部の外周面とは、テーパ状に連結され、
前記キャンセル油室を余剰した油が、前記回転部材の軸部の前記油路から、前記キャンセルプレートと前記スナップリングとの間に位置する前記キャンセルプレートの内周側背面の前記切欠きを通って排出されることを特徴とするクラッチ装置。 - 前記キャンセルプレートの前記切欠きは、前記スナップリングの外周を越えて延在する、請求項1記載のクラッチ装置。
- 前記スナップリングは、前記キャンセルプレートの背面に当接し、前記キャンセルプレートの背面に設けた抜け止めにより外周方向への拡径を規制された、請求項1又は2記載のクラッチ装置。
- 前記軸部の前記油路は、前記キャンセルプレートの内周径に対して軸径を縮小させた小径部で構成される、請求項1、2又は3記載のクラッチ装置。
- 前記回転部材は、前記軸部の端面に当接させてスラスト軸受が配設されたものである、請求項1〜4のいずれか1項記載の記載のクラッチ装置を用いた自動変速機。
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