JP4368623B2 - 剥離用積層シートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、剥離用積層シートに関するものである。更に詳しく述べるならば、熱可塑性樹脂層の片面又は両面に紙又はフィルム等からなる表面基材を配置し、熱可塑性樹脂層と表面基材との界面で剥離可能とした剥離用積層シートであり、表面基材が熱可塑性樹脂層の両面に配置されている場合は、それぞれの表面基材との界面接着強度を異にすることにより、少なくとも界面接着強度の低い方の表面基材との界面で剥離可能とした剥離用積層シートであり、一度剥離すると、剥離した形跡を残さずには復元不可能である剥離用積層シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、剥離用積層シートは、一度剥離すると、剥離した形跡を残さずには復元不可能であるという利点から、クレジットカード等のカード類、更には、一方の表面基材の裏面又は他方の表面基材の表面の少なくとも一方に秘密情報が記載されており、表面基材を剥離してはじめて秘密情報が判読でき、且つ一度剥離すると元に戻せないことによりその情報の盗み見を防止する秘密保持用途に、また、宅配便等の配送伝票用ラベルとして届け先等の情報を印刷した伝票を粘着剤を介して宅配物に貼付し、輸送過程ではその情報を基にお客へ品物を配達し、届け先から受領印を該伝票に捺印してもらい、伝票のみを剥がして受領書として扱う用途に等、広範な用途に使用されている。
【0003】
このような剥離用積層シートは、熱可塑性樹脂層と表面基材との界面で剥離可能とした剥離用積層シート、又は熱可塑性樹脂層と両面それぞれの表面基材との界面接着強度を異にすることにより少なくとも界面接着強度の低い方の表面基材との界面で剥離可能とした剥離用積層シートであり、例えば、クレジットカード等のカード用途では、この剥離用積層シートの状態から剥離して隠蔽されている秘密情報を見ることができるし、また、配送伝票用途では、粘着加工により複数の構成層を形成して帳票に貼合し、これを剥離するものである。そして、上記の秘密保持用途では、その情報の盗み見を防止することが可能である。
【0004】
剥離用積層シートは、一般に押出しラミネーター等と呼ばれる塗工設備により、加熱下で溶融した熱可塑性樹脂を間隙を有するTダイスから紙又はフィルム等の上に押出して、通常5〜30μmの厚さの熱可塑性樹脂層を形成することによって製造される。そもそも、押し出しラミネーションの加工法は(米)デュポン社が30数年前に開発した技術であり、LDPEの溶融粘弾性と高温下での樹脂酸化挙動を極めて巧妙に活用した成形方法である。すなわち、高温溶融(通常300℃以上)で押し出すことで、樹脂皮膜を空気酸化させ、その表面にカルボニル基を生成させながら基材と強接着させる方法である(参考文献:新ラミネート加工便覧/加工技術研究会編)。
【0005】
本発明の技術分野である剥離用積層シートは、前記押し出しラミネーション技術を参考に、敢えて樹脂温度を下げて加工し、界面の接着強度をコントロールすることで剥離を可能にした技術である。すなわち、剥離強度を支配する接着因子としては、カルボニル基に代表される極性基による化学的接着と、樹脂の粘度が加熱溶融により低下し基材へ投錨する物理的接着からなる。
【0006】
従来、例えば、樹脂温度を低く(250〜300℃)して加工することで剥離可能とする技術が紹介されている(特許文献1及び特許文献2)。しかしながら、これら加工方法で得られた剥離用積層シートは、経時で剥離力が重くなり実用面において種々の不具合が発生していた。この問題を解決するため、シリコーン樹脂等の剥離剤を樹脂にブレンドする方法(特許文献3)、また界面活性剤をブレンドすることで経時での剥離力を安定化させる方法(特許文献4)が提案されている。
しかしながら、何れの方法も満足する品質には至っておらず、例えば40℃以上の高温環境下で保管された場合など、重剥離化してしまうのが現状である。
【0007】
【特許文献1】
実公昭55−15035号公報
【特許文献2】
実開昭61−204729号公報
【特許文献3】
実開平6−86933号公報
【特許文献4】
特開2002−19038号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、剥離用積層シートにおいて、経時および保管環境に影響を受けず剥離力が安定しており、実用面に不具合が発生しない剥離用積層シートを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、使用する熱可塑性樹脂の物性、これに配合する添加剤、押出しラミネート加工時の温度や、積層する際のクーリングロールでの冷却圧着時の圧力等の加工条件、また、得られた剥離用積層シートの物性に関し、広範に亘り鋭意研究を進めた結果、剥離用積層シートの剥離力について、従来の接着原理に加え経時での剥離力変化の原因を以下のように解明することで本発明に至った。
【0010】
まず、接着メカニズムはポリエチレン樹脂を300℃前後に加熱溶融すると、ポリエチレンの分子鎖が切れ、炭素ラジカルが発生する。このようなラジカルを含み活性な溶融ポリエチレン樹脂がTダイから押し出しされて空気に触れると、空気中の酸素により酸化されてポリエチレン分子内に官能基(カルボニル基)が生成する。Tダイから押し出されたポリエチレン樹脂は、例えば、紙基材と積層され、冷却ロールとニップロールの間隙で圧接・冷却固化され、紙基材へ接着する。このときの初期の接着はニップロールの圧力による紙基材とポリエチレン樹脂の密着力・投錨力(物理的な結合力)、および酸化により生成したカルボニル基と紙基材中の水酸基などとの化学的結合力(水素結合など)である。
【0011】
次に、経時および高温下での剥離力変化のメカニズムは、ポリエチレンと比較し極性の高い紙基材との界面へポリエチレン層内をカルボニル基が移動し、その結果、接着強度が増大すると考えた。すなわち、剥離用積層シートの剥離力は、主に化学的接着と物理的接着からなる訳であるが、本発明者等は経時および高温下で重剥離化する原因は、主に化学接着因子が影響していることを突き止めた。
【0012】
それ故、本発明は化学的接着の抑制により剥離力の安定化を図るものであり、前述の従来方法のように剥離剤、界面活性剤等で調整するものとは根本的に異なるものである。
また、反面、本発明では接着に対して物理的因子への依存が大きくなるため、当然のことながら従来方法と比較して加工初期の剥離力が軽く成り過ぎる問題が生じる。本発明者等は、更なる検討の結果、特定な樹脂を適用することによりその問題を解決し、本発明の完成に至った。本発明は以下の各発明を包含する。
【0013】
(1)酸化防止剤を含有するMFR値が5〜20g/10分のエチレン系重合体からなる熱可塑性樹脂を250〜300℃の温度で表面基材上に溶融押し出しし、冷却圧着する押し出しラミネーション工程を有する、熱可塑性樹脂層と表面基材との界面で剥離可能とした剥離用積層シートの製造方法であって、前記押し出しラミネーション工程が、作成された剥離用積層シートの表面基材から剥離した後の前記熱可塑性樹脂層の剥離面の深さ10nmまでのカルボニル基をペンタフルオロフェニルヒドラジンで修飾後のフッ素元素量が、X線光電子分光法により測定した値で0.2原子数%以下である熱可塑性樹脂層を前記表面基材上に形成する工程であることを特徴とする剥離用積層シートの製造方法
【0014】
(2)前記押し出しラミネーション工程は、前記表面基材との界面で剥離可能とした熱可塑性樹脂層は剥離力の経時での上昇率が、「65℃、80%、5日経時促進後の剥離力」/「シート作成直後の初期剥離力」の値で2倍以下である熱可塑性樹脂層を形成する工程であることを特徴とする(1)項に記載の剥離用積層シートの製造方法
【0015】
(3)前記表面基材は熱可塑性樹脂層の両面に配置されており、一方の表面基材と熱可塑性樹脂層との界面の接着強度と、他方の表面基材と熱可塑性樹脂層との界面の接着強度に差が設けられていることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の剥離用積層シートの製造方法
【0016】
(4)前記熱可塑性樹脂層は、支持基材の少なくとも一方の面に剥離不可能に接着されている層であることを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の剥離用積層シートの製造方法
【0017】
(5)酸化防止剤が、フェノール系、チオエーテル系、リン系から選ばれる1種もしくは2種以上であることを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の剥離用積層シー卜の製造方法
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明において、熱可塑性樹脂層はポリオレフィンを主成分とした樹脂であり、かつ剥離界面の熱可塑性樹脂層表面の深さ10nmまでのカルボニル基をペンタフルオロフェニルヒドラジンで修飾後のフッ素元素量が、XPS法により測定した値で0.2原子数%以下であることが重要であり、0.2原子数%を越えると経時および高温下で重剥離化する。
【0020】
PE層剥離面におけるカルボニル基の存在比率は、カルボニル基をペンタフルオロフェニルヒドラジンと気相反応させ、XPS法によって測定されたフッ素元素の比率によって現わすものである。
XPS法の測定原理は、元素にX線を照射し、元素から放出された特有の自由電子の運動エネルギーを定量的かつ定性的に検出するものである。測定原理の特性上、固体最表面から10nm程度の表面の構成元素を測定する方法であり、測定対象の厚さ方向すべてを測定するものではない。(表面分析図鑑 日本表面科学会編、学会出版センター、124〜125頁、X線光電子分光分析法参照)
【0021】
0.2原子数%以下に抑える手段としては、例えば、熱可塑性樹脂層に酸化防止剤を添加する方法が挙げられる。酸化防止剤としては特に限定するものではないが、構造からフェノール系、チオエーテル系、リン系が好ましい。
【0022】
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリエチレングリコールビス−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0023】
チオエーテル系酸化防止剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。
【0024】
リン系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジーホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト等がある。
【0025】
これらの酸化防止剤は、1種類でも使用できるし、また、2種以上併用することもできるが、中でも、ラジカル補足剤であるフェノール系と過酸化物分解剤であるチオエーテル系、リン系の併用が酸化防止の相乗効果があり、好ましい。
【0026】
熱可塑性樹脂層に添加する酸化防止剤の配合量は、熱可塑性樹脂の種類により異なるが、熱可塑性樹脂100質量%に対して、0.01〜0.5質量%の範囲が好ましい。より好ましくは、0.03〜0.3質量%の範囲である。0.01質量%に満たない場合は、製造時の樹脂温度により異なるが、経時促進後の剥離力の上昇倍率が2倍以上と大きくなり、0.5質量%を越える場合は、酸化防止剤が熱可塑性樹脂表面にブリードし易くなり、剥離力が不安定となる。
【0027】
さらに、0.2原子数%以下に抑える手段としては、押し出しラミネートでのTダイス出口の熱可塑性樹脂の温度を低くすると樹脂の空気酸化が低減されるので好ましい加工方法のひとつである。例えば、Tダイス出口の熱可塑性樹脂の温度は250〜300℃の範囲にあることが好ましい。250℃未満では樹脂のドローダウン性が低下し、透明性や厚みプロファイルが劣るし、また未溶解物の発生、表面基材へのアンカリングが悪く、初期剥離力が低くなるなど種々の問題が生じる。また、300℃を越えると酸化防止剤の熱分解を生じ易くなり、酸化防止効果が低下する。
【0028】
本発明において使用する熱可塑性樹脂は、特に限定するものではないが、ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのエチレン系共重合体や、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン樹脂などのポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂であり、これらに加えて、更にポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド等を含有するものが挙げられる。
【0029】
熱可塑性樹脂としては、押出しラミネート加工性、価格等の点からポリエチレンなどのエチレン系重合体で代表されるポリオレフィン系樹脂が好ましく、その中でも密度0.910〜0.925g/cmの低密度ポリエチレンが最も好ましい。
【0030】
また、本発明で使用する熱可塑性樹脂としては、基材と熱可塑性樹脂との物理的接着の効果をあげるため、樹脂の加熱溶融時の粘性が低く基材面へ投錨、密着しやすい樹脂が好ましい。例えば、190℃の温度下で10分間に押し出された重量を示す樹脂の溶融粘度の指標であるMFR値が5〜20g/10分、好ましくは8〜13g/10分のものである。MFR値が5g/10分未満ではラミネート時の流動性が劣り基材への接着が低くなる。逆に20g/10分を越えると溶融樹脂のネックインが大きくなり加工適性の面で劣る。
【0031】
また、熱可塑性樹脂のビカット軟化点が80℃以上であることが好ましい。ビカット軟化点とは、JIS K7206に規定される熱可塑性樹脂の軟化温度試験方法により測定される値であるが、この軟化点が80℃未満の場合、製造した剥離用積層シートを最終製品として打ち抜き加工する際、熱可塑性樹脂層が、良好に裁断されず、その後のカス上げ工程で熱可塑性樹脂層が引っ張られることにより、熱可塑性樹脂と基材の密着不良を生じやすくなり好ましくない。
【0032】
本発明において使用する熱可塑性樹脂には、他にも一般的な添加剤を配合してもよく、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等の非イオン系界面活性剤を単体及びそれらの2種類以上の混合物、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤等の帯電防止剤、脂肪酸アミドやシリコーン系、フッ素系等のスリップ剤、シリカ、タルク、炭酸カルシウム等のアンチブロッキング剤など公知の材料を目的に応じて適宜使用できる。
【0033】
本発明において、熱可塑性樹脂層の片面または両面に使用される表面基材は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂フィルム類、ポリプロピレン等を主成分とする合成紙類、不織布類、金属箔や紙類が挙げられ、紙類では、上質紙、印刷用塗工紙、感熱記録紙やインクジェット記録用紙等の情報産業用紙、白板紙等の紙・板紙類を例示することができ、用途に応じて任意に選定して用いることができる。
【0034】
また、基材Aに予め熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン)を比較的高温(例えば、300℃以上)で溶融ラミネートし、該基材と強接着させて(例えば、アンカーポリエチレン層の形成)から、次に該熱可塑性樹脂層(例えば、アンカーポリエチレン層)と別の基材Bの間に本発明の酸化を抑えた熱可塑性樹脂(例えば、剥離用ポリエチレン層)をサンドイッチラミネーションして加工することも可能である。また、粘着剤層、剥離シートを積層して粘着ラベルとして構成することも可能である。なお、ここで基材Aは熱可塑性樹脂と剥離不可能に接着されており、この基材Aを支持基材とも称す。
【0035】
本発明の剥離用積層シートの構成としては、特に限定するものではないが、例えば、基材A/剥離用ポリエチレン層/基材B、基材A/アンカーポリエチレン層/剥離用ポリエチレン層/基材B、基材A/アンカーポリエチレン層/剥離用ポリエチレン層/基材B/粘着剤層/剥離シート、基材A/剥離用ポリエチレン層/アンカーポリエチレン層/基材B/粘着剤層/剥離シート、基材A/剥離用ポリエチレン層/粘着剤層/剥離シート等、用途に応じて任意の層構成をとることが可能である。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、もちろん、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
【0037】
実施例1
熱可塑性樹脂として、低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ペトロセン203」、密度0.919g/cm、MFR8.0g/10分、ビカット軟化温度87℃)99.950質量%の中に酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.025質量%とトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを0.025質量%を混練した樹脂を溶融状態として、Tダイスより温度275℃、引取速度100m/min、エアギャップ130mmの条件で上質紙〔王子製紙(株)製「OTP」64g/m2〕上に層厚15μmとなるように押し出し、クーリングロールで冷却圧着し、積層シートを作製した。得られた剥離用積層シートの評価結果を表1に記す。
【0038】
実施例2
熱可塑性樹脂として、低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ペトロセン203」、密度0.919g/cm、MFR8.0g/10分、ビカット軟化温度87℃)99.880質量%の中に酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.060質量%とトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを0.060質量%を混練した樹脂を溶融状態として、Tダイスより温度290℃、引取速度100m/min、エアギャップ130mmの条件で上質紙〔王子製紙(株)製「OTP」64g/m2〕上に層厚15μmとなるように押し出し、クーリングロールで冷却圧着し、積層シートを作製した。得られた剥離用積層シートの評価結果を表1に記す。
【0039】
実施例3
熱可塑性樹脂として、低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ペトロセン203」、密度0.919g/cm、MFR8.0g/10分、ビカット軟化温度87℃)99.700質量%の中に酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.150質量%とトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを0.150質量%を混練した樹脂を溶融状態として、Tダイスより温度300℃、引取速度100m/min、エアギャップ130mmの条件で上質紙〔王子製紙(株)製「OTP」64g/m2〕上に層厚15μmとなるように押し出し、クーリングロールで冷却圧着し、積層シートを作製した。得られた剥離用積層シートの評価結果を表1に記す。
【0040】
実施例4
熱可塑性樹脂として、低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ペトロセン203」、密度0.919g/cm、MFR8.0g/10分、ビカット軟化温度87℃)99.880質量%の中に酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを0.060質量%とテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト0.060質量%を混練した樹脂を溶融状態として、Tダイスより温度285℃、引取速度100m/min、エアギャップ130mmの条件で上質紙〔王子製紙(株)製「OTP」64g/m2〕上に層厚15μmとなるように押し出し、クーリングロールで冷却圧着し、積層シートを作製した。得られた剥離用積層シートの評価結果を表1に記す。
【0041】
実施例5
熱可塑性樹脂として、低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ペトロセン203」、密度0.919g/cm、MFR8.0g/10分、ビカット軟化温度87℃)99.880質量%の中に酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.060質量%とテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイトを0.060質量%を混練した樹脂を溶融状態として、Tダイスより温度285℃、引取速度100m/min、エアギャップ130mmの条件で上質紙〔王子製紙(株)製「OTP」64g/m2〕上に層厚15μmとなるように押し出し、クーリングロールで冷却圧着し、積層シートを作製した。得られた剥離用積層シートの評価結果を表1に記す。
【0042】
実施例6
熱可塑性樹脂として、低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ペトロセン350」、密度0.920g/cm、MFR16g/10分、ビカット軟化温度84℃)99.880質量%の中に酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.060質量%とテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイトを0.060質量%を混練した樹脂を溶融状態として、Tダイスより温度285℃、引取速度100m/min、エアギャップ130mmの条件で上質紙〔王子製紙(株)製「OTP」64g/m2〕上に層厚15μmとなるように押し出し、クーリングロールで冷却圧着し、積層シートを作製した。得られた剥離用積層シートの評価結果を表1に記す。
【0043】
実施例7
熱可塑性樹脂として、低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ペトロセン350」、密度0.920g/cm、MFR16g/10分、ビカット軟化温度84℃)99.950質量%の中に酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを0.050質量%を混練した樹脂を溶融状態として、Tダイスより温度275℃、引取速度100m/min、エアギャップ130mmの条件で上質紙〔王子製紙(株)製「OTP」64g/m2〕上に層厚15μmとなるように押し出し、クーリングロールで冷却圧着し、積層シートを作製した。得られた剥離用積層シートの評価結果を表1に記す。
【0044】
参考例1
熱可塑性樹脂として、低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ペトロセン212」、密度0.919g/cm、MFR13g/10分、ビカット軟化温度85℃)を溶融状態として、Tダイスより温度260℃、引取速度100m/min、エアギャップ130mmの条件で上質紙〔王子製紙(株)製「OTP」64g/m〕上に層厚15μmとなるように押し出し、クーリングロールで冷却圧着し、積層シートを作製した。得られた剥離用積層シートの評価結果を表1に記す。
【0045】
比較例1
熱可塑性樹脂として、低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ペトロセン212」、密度0.919g/cm、MFR13g/10分、ビカット軟化温度85℃)99.960質量%の中に酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.040質量%を混練した樹脂を溶融状態として、Tダイスより温度320℃、引取速度100m/min、エアギャップ130mmの条件で上質紙〔王子製紙(株)製「OTP」64g/m2〕上に層厚15μmとなるように押し出し、クーリングロールで冷却圧着し、積層シートを作製した。得られた剥離用積層シートの評価結果を表1に記す。
【0046】
比較例2
熱可塑性樹脂として、低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ペトロセン212」、密度0.919g/cm、MFR13g/10分、ビカット軟化温度85℃)を溶融状態として、Tダイスより温度290℃、引取速度100m/min、エアギャップ130mmの条件で上質紙〔王子製紙(株)製「OTP」64g/m2〕上に層厚15μmとなるように押し出し、クーリングロールで冷却圧着し、積層シートを作製した。得られた剥離用積層シートの評価結果を表1に記す。
【0047】
(XPS装置による表面カルボニル基存在量の評価)
ペンタフルオロフェニルヒドラジン0.5gを無水エタノールに溶解したものを容器に入れたものと、紙から剥離させた疑似接着PE層をデシケータ中に入れ、蓋をした。これを60℃に設定した乾燥器に5時間入れ、PE層剥離面のカルボニル基をペンタフルオロフェニルヒドラジンと反応させた。
カルボニル基の存在比率をペンタフルオロフェニルヒドラジン(フッ素元素含有)反応量から間接的に測定することにし、PE層剥離面のフッ素量を「VGサイエンティフィック社製、ESCALAB250」によって測定評価した。使用X線源はマグネシウム、X線源の加速電圧15kV、エミッション電流20mAの条件で、測定範囲10〜1100eVに結合エネルギーをもつ全ての元素について定性・定量を行い、水素・ヘリウムを除く全ての元素に対するフッ素元素の割合を、原子数%にて求めた。測定深さは約10nm、測定範囲はおおよそ8mmφであった。
【0048】
(剥離力)
実施例1〜7、参考例1及び比較例1〜2で得られた剥離用積層シートについて熱可塑性樹脂層から上質紙を剥離する際の剥離力は、シート作製直後(初期)及び促進経時後(65℃、80%、5日)にテンシロン万能試験機を用い、180度剥離を行い測定した。試験片は、幅50mm、長さ150mmに切断し、熱可塑性樹脂面側に同サイズの両面テープ張り合わせ、それをさらに固定するためのSUS板に張り合わせて上質紙と熱可塑性樹脂との間の剥離力をJIS Z0237の180度引き剥がし法に準じて、毎分300mmの速さで引き剥がし測定した。
【0049】
【表1】
Figure 0004368623
【0050】
表1の結果から明らかなように、本発明の剥離用積層シートにおいて、剥離した熱可塑性樹脂層表面の深さ10nmにおけるカルボニル基をペンタフルオロフェニルヒドラジンで修飾後のフッ素元素量として、XPS法により測定して得られる値が0.2原子数%以下であれば、シート作製直後の剥離力から促進経時(65℃、80%、5日)後の剥離力の上昇率が2倍以下となり、経時及び保管環境に影響を受けず、安定した剥離力が得られた。酸化防止剤を添加せずに、フッ素元素量を0.2原子数%以下とした参考例1のものは、経時及び保管環境に影響を強く受けるものであった。また、フッ素元素量が0.2原子数%を越えている比較例1及び2のものは、酸化防止剤の添加の有無に係わらず、経時及び保管環境に影響を強く受けるものであった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の剥離用積層シートは、経時および保管環境に影響を受けず剥離力が安定しており、実用面に不具合が発生しない剥離用積層シートであり、クレジットカード等の秘密保持用途や、配送伝票用途等、広範な用途に対応できる剥離用積層シートである。

Claims (2)

  1. 酸化防止剤を含有するMFR値が5〜20g/10分のエチレン系重合体からなる熱可塑性樹脂を250〜300℃の温度で表面基材上に溶融押し出しし、冷却圧着する押し出しラミネーション工程を有する、熱可塑性樹脂層と表面基材との界面で剥離可能とした剥離用積層シートの製造方法であって、前記押し出しラミネーション工程が、作成された剥離用積層シートの表面基材から剥離した後の前記熱可塑性樹脂層の剥離面の深さ10nmまでのカルボニル基をペンタフルオロフェニルヒドラジンで修飾後のフッ素元素量が、X線光電子分光法により測定した値で0.2原子数%以下である熱可塑性樹脂層を前記表面基材上に形成する工程であることを特徴とする剥離用積層シートの製造方法
  2. 前記押し出しラミネーション工程は、前記表面基材との界面で剥離可能とした熱可塑性樹脂層の剥離力の経時での上昇率が、「65℃、80%、5日経時促進後の剥離力」/「シート作成直後の初期剥離力」の値で2倍以下である熱可塑性樹脂層を形成する工程であることを特徴とする請求項1に記載の剥離用積層シートの製造方法
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