しかし、特許文献2の技術では、コンピュータとの間で印刷データが何度も往復することになるので、通信が輻輳するとともに機密データが傍受されてしまう危険性が増えてしまうという問題がある。
この発明が解決しようとする課題は、限られた記憶領域を効率的に使用することによって、機密性が高く待ち時間が短い親展印刷を可能にする印刷装置および印刷制御方法を提供することにある。
この発明の印刷装置は、上述の課題を解決するために以下のように構成される。
(1)ネットワークを介して接続されたコンピュータから出力予定時刻を含む属性データが付加された印刷データを受信するネットワークI/F部と、ネットワークI/F部が受信した印刷データを必要に応じて保持する印刷データ記憶部と、印刷データに基づく印刷を行うプリンタエンジンと、ネットワークI/F部が受信した印刷データに付加された属性データがさらに親展情報を含む場合に、印刷データの受信時には属性データのみを記憶し、属性データに含まれる出力予定時刻の所定時間前に送信元のコンピュータに印刷データの送信を要求し、出力予定時刻を含む所定時間にわたって印刷データ記憶部に印刷データを保持させ、属性データに含まれる親展情報とユーザの入力操作によって入力された親展情報との照合結果に基づいて、プリンタエンジンに印刷データに基づく印刷を行わせる制御手段と、を備え、属性データは、印刷データのデータ量情報を含み、制御手段は、属性データが親展情報を含む場合に送信の要求によって受信した印刷データを印刷データ記憶部に保持させておく時間を、データ量情報が大きいほど短く設定することを特徴とする。
この構成においては、印刷装置はネットワークを介して接続された複数のコンピュータに共有され、それぞれのコンピュータから出力予定時刻を含む属性データが付加された印刷データを受信する。受信された印刷データに付加された属性データがさらに親展情報を含む場合、受信時には属性データのみが記憶され、属性データに含まれる出力予定時刻の所定時間前に送信元のコンピュータに対して印刷データの送信が要求され、出力予定時刻を含む所定時間にわたってのみ印刷データが保持される。したがって、出力予定時刻を含む所定時間以外の時間帯には、印刷データが記憶領域を占有しないので空き記憶容量が増やされる。
そして、属性データに含まれる親展情報とユーザの入力操作によって入力された親展情報とが照合され、その照合結果に基づいて印刷データに基づく印刷が行われる。したがって、正しい親展情報を知るユーザのみに印刷が許可されるので、親展情報を含む属性データが付加された印刷データの機密性が高められる。
また、データ量の大きい印刷データほど保持時間を短く設定し、データ量が小さい印刷データほど保持時間を長く設定することで、多くの記憶領域を占有する印刷データの占有時間が短くなり、記憶領域の空き記憶容量が増える時間帯が多くなるので記憶領域の使用効率が向上される。一方、データ量の小さい印刷データについては比較的長く保持することで、ユーザの印刷要求に応じて短い待ち時間で印刷を開始できる時間帯が長く設定される。
(2)制御手段は、属性データに含まれる出力予定時刻を含む所定時間にわたって印刷データを保持させるための空き記憶容量が印刷データ記憶部にないと判定した場合、印刷データの送信の要求をしないとともに、その旨の情報を送信元のコンピュータに送信することを特徴とする。
この構成においては、後から受信した印刷データの出力予定時刻を含む所定の時間帯に先に受信した別の印刷データが保持され、後から受信した印刷データを保持するための十分な空き記憶容量がないと判定された場合、後から受信した印刷データの送信の要求が行われない。これによって、先に受信した印刷データを保持するための記憶領域が確保される。また、印刷データの送信の要求が行われないことが送信元のコンピュータに通知されることで、ユーザは出力予定時間を変更する等の対処を促される。
(3)制御手段は、送信元のコンピュータから変更された出力予定時刻を含む属性データが付加された印刷データを受信した場合、変更された出力予定時刻を含む所定時間にわたって印刷データを保持させるための空き記憶容量が印刷データ記憶部にあるか否かを再度判定することを特徴とする。
この構成においては、変更された出力予定時刻に基づいて印刷データを格納するための空き記憶容量があるか否かが再度判定されるので、ユーザの所望の時刻に出力予定時刻が設定し直される。
(4)制御手段は、属性データに含まれる出力予定時刻を含む所定時間にわたって印刷データを保持させるための空き記憶容量が印刷データ記憶部にないと判定した場合、印刷データを保持可能な時刻に出力予定時刻を変更するとともに、その旨の情報を送信元のコンピュータに送信することを特徴とする。
この構成においては、出力予定時刻を含む所定時間にわたって印刷データを格納するための空き記憶容量がないと判定された場合、その印刷データを格納可能な時間帯が制御手段によって探し出され、その時間帯に印刷データが保持されるように出力予定時刻が変更される。また、出力予定時刻が変更された旨がユーザに通知されるので、ユーザが変更された時間帯に印刷の要求をすれば短い待ち時間で印刷データに基づく印刷が行われる。
(5)制御手段は、属性データに含まれる出力予定時刻を含む所定時間にわたって印刷データを保持させるための空き記憶容量が印刷データ記憶部にないと判定した場合、印刷データを保持する時間を短縮することを特徴とする。
この構成においては、出力予定時刻を含む所定時間にわたって印刷データを格納するための空き記憶容量がないと判定された場合、印刷データを保持する時間が短縮される。印刷データを保持する時間が短縮されることで、出力予定時刻を含む短縮された所定時間にわたって印刷データを格納できるようになる場合がある。また、保持時間を短縮しても出力予定時刻を含む所定の時間帯に印刷データを格納できない場合でも、当初の出力予定時刻に近い時刻に出力予定時刻を変更して設定できる可能性が高くなる。
(6)制御手段は、データ量情報が所定値以上である場合、印刷データの先頭から所定値以下のデータ量分の印刷データのみについて出力予定時刻の所定時間前に送信元のコンピュータに印刷データの送信を要求することを特徴とする。
この構成においては、印刷データのデータ量が所定値以上である場合、印刷データの先頭から所定値以下のデータ量分の印刷データのみが出力予定時刻の所定時間前にコンピュータから受信され保持される。そして、残りの印刷データは、先に保持されている先頭部分の印刷データに基づく印刷と並行して受信され、先頭部分の印刷に続けて印刷される。
(7)制御手段は、印刷データの先頭部分のみについて出力予定時刻の所定時間前に送信元のコンピュータに送信の要求をし、先頭部分の送信の要求よりも後であって出力予定時刻よりも前に印刷データの先頭部分以外の部分について送信元のコンピュータに印刷データの送信を要求することを特徴とする。
この構成においては、印刷データの先頭部分が先頭部分以外の部分よりも長い時間保持される。先頭部分および先頭部分以外の部分のすべてが保持されている時間帯に印刷の要求があった場合は、保持されている印刷データに基づいて短い待ち時間で印刷される。また、印刷データの先頭部分のみ保持されている時間帯に印刷の要求があった場合は、先頭部分の印刷データに基づく印刷と並行して先頭部分以外の部分の印刷データの受信が行われ、先頭部分の印刷に続けて先頭部分以外の部分の印刷が行われる。
この発明の印刷制御方法は以下のように構成される。
(8)ネットワークを介して接続されたコンピュータから出力予定時刻を含む属性データが付加された印刷データを受信し、印刷データに基づく印刷を行う印刷制御方法であって、前記属性データがさらに親展情報を含むか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにおいて属性データが親展情報を含むと判定された場合に印刷データの受信時に属性データのみを記憶する属性データ記憶ステップと、判定ステップにおいて属性データが親展情報を含むと判定された場合に属性データに含まれる出力予定時刻の所定時間前に送信元のコンピュータに印刷データの送信を要求し、出力予定時刻を含む所定時間にわたって印刷データを保持する送信要求ステップと、属性データに含まれる親展情報とユーザの入力操作によって入力された親展情報とを照合する照合ステップと、照合ステップでの照合結果に基づいて送信要求ステップでの送信の要求によって受信した印刷データに基づく印刷を行う印刷ステップと、を実行し、属性データは、印刷データのデータ量情報を含み、送信要求ステップでは、送信の要求によって受信した印刷データを保持する時間を、データ量情報が大きいほど短く設定することを特徴とする。
この構成においては、ネットワークを介して接続されたコンピュータから、受信した印刷データに付加された属性データが親展情報を含むと判定された場合、受信時には属性データのみが記憶され、属性データに含まれる出力予定時刻の所定時間前に送信元のコンピュータに対して印刷データの送信が要求され、出力予定時刻を含む所定時間にわたってのみ印刷データが保持される。したがって、出力予定時刻を含む所定時間以外の時間帯には、印刷データが記憶領域を占有しないので空き記憶容量が増やされる。
そして、属性データに含まれる親展情報とユーザの入力操作によって入力された親展情報とが照合され、その照合結果に基づいて印刷データに基づく印刷が行われる。したがって、正しい親展情報を知るユーザのみに印刷が許可されるので、親展情報を含む属性データが付加された印刷データの機密性が高められる。
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)出力予定時刻を含む所定時間にわたってのみ印刷データを保持され、出力予定時刻を含む所定時間以外の時間帯の空き記憶容量が増やされるので、記憶領域を効率的に使用することができる。また、出力定時刻を含む所定時間内は印刷データを保持しているので、印刷を要求してから印刷物が出力されるまでの待ち時間を短縮することができる。さらに、正しい親展情報を知るユーザのみに印刷が許可されるので、親展情報を含む属性データが付加された印刷データの機密性が高められる。また、印刷データが印刷装置と送信元のコンピュータとの間を何度も往復することがないので、この意味でも印刷データの機密性が高い。
また、多くの記憶領域を占有する印刷データの占有時間が短くなり、記憶領域の空き記憶容量が増える時間帯が多くなるので記憶領域の使用効率を向上させることができる。一方、データ量の小さい印刷データについては比較的長く保持することで、ユーザの印刷要求に応じて短い待ち時間で印刷を開始できる時間帯を長くすることができる。
(2)後から受信した印刷データの出力予定時刻を含む所定の時間帯に十分な空き記憶容量がないと判定された場合、後から受信した印刷データの送信の要求を行わないので、先に受信した印刷データを保持するための記憶領域がなくなってしまう事態を防止することができる。また、印刷データの送信の要求が行われないことを送信元のコンピュータに通知することで、ユーザは出力予定時間を変更する等の対処をすることができる。
(3)変更された出力予定時刻に基づいて印刷データを格納するための空き記憶容量があるか否かが再度判定されるので、短い待ち時間で印刷できる時間帯に出力予定時刻を設定し直すことができる。
(4)出力予定時刻を含む所定時間にわたって印刷データを格納するための空き記憶容量がないと判定された場合、その印刷データを格納可能な時間帯に印刷データが保持されるように出力予定時刻が変更されるので、短い待ち時間で印刷できる時間帯に出力予定時刻を容易に変更することができる。
(5)印刷データを保持する時間が短縮されることで、出力予定時刻を含む短縮された所定時間にわたって印刷データを格納できるようになる場合があり、記憶領域をいっそう効率的に使用することができるようになる。
(6)出力予定時刻の所定時間前には印刷データの先頭部分のみが受信され、先頭部分が印刷されている間に残りの印刷データが受信されるので、記憶領域に保持される印刷データのデータ量を抑えながら印刷の待ち時間を短縮させることができる。
(7)印刷データの先頭部分の保持時間が先頭部分以外の部分の保持時間よりも長く設定されるので、短い待ち時間で印刷できる時間帯が長くなるとともに、記憶領域の占有率を抑えることができる。
(8)出力予定時刻を含む所定時間にわたってのみ印刷データを保持され、出力予定時刻を含む所定時間以外の時間帯の空き記憶容量が増やされるので、記憶領域を効率的に使用することができる。また、出力定時刻を含む所定時間内は印刷データを保持しているので、印刷を要求してから印刷が終了するまでの待ち時間を短縮することができる。さらに、正しい親展情報を知るユーザのみに印刷が許可されるので、親展情報を含む属性データが付加された印刷データの機密性が高められる。また、印刷データが印刷装置と送信元のコンピュータとの間を何度も往復することがないので、この意味でも印刷データの機密性が高い。
以下に、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、この発明の実施形態に係るプリンタ1と複数のコンピュータ2〜4とを含むネットワークシステムの概略の構成を示す図である。この発明の一実施形態に係るプリンタ1は、ネットワーク5を介して複数のコンピュータ2〜4と接続され、これら複数のコンピュータ2〜4によって共有される。コンピュータ2〜4はそれぞれ、プリンタ1にジョブデータを送信してジョブデータに基づく印刷を行うことができる。
図2は、この実施形態で扱うジョブデータの構成の一例を示す図である。ジョブデータは、印刷データと属性データとを含む。印刷データは、プリンタ1によって記録用紙に印刷される文書や画像の内容についてのデータである。属性データは、ID番号、親展番号、データ量情報、出力予定時刻、および印刷書式等の各種データを含む。
ID番号は、ジョブデータを識別するためのものであり、複数のジョブデータが受信された場合に個々のジョブデータがID番号によって識別される。親展番号は、暗証番号などのセキュリティコードであり、属性データに親展番号が含まれることでそのジョブデータが親展印刷の対象であると判定される。また、属性データに含まれる親展番号とプリンタ1の入力部10(図3参照)からユーザによって入力される親展番号とが一致した場合にのみ印刷が行われる。
データ量情報は、印刷データのデータ量を示す。出力予定時刻は、親展印刷の出力予定時刻を指定する場合に付加する情報である。プリンタ1は出力予定時刻に基づいて印刷データの送信要求や削除の処理を行う。
図3は、プリンタ1およびコンピュータ2のそれぞれの概略の構成を示すブロック図である。なお、コンピュータ3、4は、コンピュータ2と略同様に構成されるので、ここではコンピュータ3、4についての説明は省略する。
プリンタ1は、入力部10、制御部11、プリンタエンジン12、印刷データ記憶部13、およびネットワークI/F部14を備える。入力部10は、ユーザによる親展番号の入力操作を受け付ける。入力部10として、例えばキーボードやタッチパネルが用いられる。制御部11の詳細については後述する。プリンタエンジン12は、感光体ドラムや現像装置など電子写真方式の画像形成機器で構成され、制御部11からの指示があった場合に印刷データに基づく印刷を行う。印刷データ記憶部13には、ネットワーク5を介して入力された印刷データが必要に応じて記憶される。また、印刷データ記憶部13には、印刷データと関連付けて親展番号が記憶される。印刷データ記憶部13として、例えばハードディスクが用いられる。
プリンタ1は、ネットワークI/F部14を介してネットワーク5に接続される。ネットワークI/F部14は、ネットワーク5とプリンタ1との間の各種データの送受信を行う。ネットワークI/F部14として、例えばネットワークI/Fカードが用いられる。
制御部11は、プリンタ1全体の動作を制御する。制御部11は、スケジュール記憶部11a、印刷ジョブ管理部11b、印刷出力部11c、時計11d、認証処理部11e、および印刷処理受付部11fを含む。ネットワークI/F部14から入力されたジョブデータは、印刷処理受付部11fに入力される。印刷処理受付部11fは、印刷データと属性データとを識別し、属性データのみを印刷ジョブ管理部11bに出力する。印刷処理受付部11fは、印刷ジョブ管理部11bにおいて属性データが親展番号を含むと判定された場合、印刷データを親展番号と関連付けて必要に応じて印刷データ記憶部13に格納する。
印刷ジョブ管理部11bは、入力された属性データに基づいてジョブデータの管理を行う。複数のコンピュータ2〜4から同時に大容量の印刷データを受信し、そのすべてを印刷データ記憶部13に格納しようとすると、印刷データ記憶部13の記憶容量を超えてしまう場合があるので、印刷ジョブ管理部11bは、受信した印刷データのデータ量と印刷データ記憶部13の空き記憶容量とから、同時刻に保持する印刷データの合計のデータ量が印刷データ記憶部13の記憶容量を超えないように、印刷データを印刷データ記憶部13に保持する時間帯をスケジューリングし、スケジュールデータを作成する。
印刷ジョブ管理部11bによって作成されたスケジュールデータは、スケジュール記憶部11aに記憶される。時計11dは、印刷ジョブ管理部11bに現在時刻の時刻データ を出力する。
認証処理部11eは、入力部10から入力された親展番号をジョブデータの属性データに含まれる親展番号やユーザデータと照合し、その照合結果に基づいて対応する印刷データに基づく印刷を許可するか否かの情報を印刷ジョブ管理部11bに出力する。
印刷出力部11cは、印刷ジョブ管理部11bの指示に従って、印刷データ記憶部13から印刷データを読み出し、読み出した印刷データに対して必要に応じて文字のスムージング等の画像処理を施した後、印刷データをプリンタエンジン12に出力する。
コンピュータ2は、制御部15を備える。制御部15は、ネットワークI/F部16を介してネットワーク5に接続される。また、制御部15には、入力部18、ドキュメント格納部19、およびスプーラ20がそれぞれ接続される。
制御部15は、ジョブデータを作成するプリンタドライバ17を備える。プリンタドライバ17は、親展番号/ID番号付加部17a、出力予定時刻設定部17b、印刷データ作成部17cを含む。親展番号/ID番号付加部17aは、ジョブデータに親展番号やID番号を付加する。出力予定時刻設定部17bは、親展印刷するジョブデータの出力予定時刻を設定する。印刷データ作成部17cは、コンピュータ2上のジョブデータをプリンタ1で印刷可能な形式に変換する。変換後のジョブデータは、プリンタ1に送信されるまでスプーラ20で管理される。
ドキュメント格納部19として例えばハードディスクが用いられ、入力部18として例えばキーボードおよびマウスが用いられる。コンピュータ2として、例えばパソコン(パーソナルコンピュータ)が用いられる。
図4は、プリンタ1のスケジュール記憶部11aに記憶されるスケジュールデータの概略の内容を示す模式図である。図4において、縦軸はプリンタ1の印刷データ記憶部13の記憶容量を示し、横軸は時間経過を示す。図4では、受信した複数のジョブデータ(以下、単にジョブと略する場合がある。)A〜Eの印刷データをスケジューリングした例を示す。
プリンタ1は、あるコンピュータ2〜4から出力予定時刻が指定されたジョブAを受信すると、出力予定時刻を含む所定の保持時間、ジョブAを印刷データ記憶部13に保持するようにスケジューリングする。そして、プリンタ1は、さらに他のコンピュータ2〜4からジョブBを受信すると、ジョブBの出力予定時刻を含む所定の保持時間、ジョブBを印刷データ記憶部13に保持するようにスケジューリングを試みる。ジョブAの保持時間とジョブBの保持時間とが重なる場合、プリンタ1は、ジョブAの印刷データのデータ量とジョブBの印刷データのデータ量との合計値と印刷データ記憶部13の記憶容量とを比較することで、ジョブAの印刷データに加えてジョブBの印刷データを記憶する空き記憶容量が印刷データ記憶部13にあるか否かを判定し、空き記憶容量がある場合は、上述の出力予定時刻を含む所定の保持時間にジョブBの印刷データを保持するようにスケジューリングする。
そして、プリンタ1は、さらにジョブCを受信すると、ジョブCの出力予定時刻を含む所定の保持時間、ジョブCを印刷データ記憶部13に保持するようにスケジューリングを試みる。ジョブCの出力予定時刻を含む所定の保持時間、ジョブCの印刷データを記憶するのに十分な空き記憶容量が印刷データ記憶部13にない場合、プリンタ1は、その時間帯でのジョブCのスケジューリングを受け付けず、例えばジョブCの送信元のコンピュータに出力予定時刻を変更すべき旨を通知する。そして、プリンタ1は、出力予定時刻が変更されたジョブCを受信すると、ジョブCについて再びスケジューリングを試み、変更された時間帯に空き記憶容量があればジョブCをスケジューリングする。
同様にして、プリンタ1は、受信したジョブD、Eを、それぞれの所定の保持時間に印刷データ記憶部13に空き記憶容量があるか否かを判定して、印刷データ記憶部13の記憶容量を超えないようにスケジューリングする。
図5は、図4に示すスケジュールデータの一部の詳細な内容を示す模式図である。図4と同様に、縦軸は印刷データ記憶部13の記憶容量を示し、横軸は時間経過を示す。プリンタ1は、例えば時刻T1にジョブAを受信すると、時刻T1の時点ではジョブAの属性データのみを記憶し、ジョブAの属性データに含まれる出力予定時刻T3に基づいて、送信元のコンピュータに印刷データの送信を要求する時刻T2と、ジョブAの印刷データを印刷データ記憶部13から削除する時刻T4とを算出する。ジョブAの印刷データは、送信要求時刻T2から削除時刻T4までの間、印刷データ記憶部13に保持される。
送信元のコンピュータに印刷データの送信を要求する時刻T2は、例えば[数1]の数式を用いて、印刷データのデータ量に応じて設定される。
[数1]の数式に示すように、印刷データのデータ量が大きいほど出力予定時刻に近い時刻に送信要求を行うようにすれば、データ量の大きいジョブが印刷データ記憶部13を占有する時間を少なくすることができる。ここで、設定値Hは、プリンタ1の使用環境等に応じてユーザの入力操作等によって任意に設定できるようにするとよい。また、αは印刷データのデータ量に乗じる任意の係数である。
例えば、設定値Hとして10分間を設定すれば、印刷データのデータ量がどんなに小さくても出力予定時刻T3の10分以上前に送信要求が行われることはない。ここで、例えば、係数αとして1(分/Mbyte)が設定され、5Mbyteのデータ量のジョブを受け付けた場合を想定すると、“α×データ量=5分”となり、送信要求時刻T2は、
“T2=T3−(10分−5分)”と算出され、出力予定時刻T3の5分前に送信要求するように設定される。
また、ジョブAの削除時刻T4も、出力予定時刻T3に基づいて設定される。例えば、削除時刻T4は、出力予定時刻T3の所定時間後に設定される。
ジョブAの印刷データは、送信要求時刻T2から削除時刻T4までの間、印刷データ記憶部13に保持され、ジョブAが受け付けられた時刻T1から送信要求時刻T2までの時間帯は印刷データ記憶部13に記憶されない。従って、ジョブAが受け付けられた時刻T1から送信要求時刻T2までの時間帯は、印刷データ記憶部13の空き記憶容量を大きく設けることができる。
なお、印刷データの保持時間は、次のようにして設定してもよい。図6は、印刷データの送信要求時刻T2および削除時刻T4の他の設定方法について説明する図である。図6(a)および図6(b)において、Xは基準とする所定のデータ量を示し、Tは基準とする所定の保持時間を示す。基準データ量Xおよび基準保持時間Tは、予め任意に設定される。
図6(a)に示す設定方法では、印刷データのデータ量が基準データ量Xと比較して、何倍の大きさであるかに応じて、印刷データの保持時間が設定される。例えば、印刷データのデータ量が基準データ量Xの0.5倍未満であった場合、基準保持時間Tの2倍の保持時間が設定される。また、印刷データのデータ量が基準データ量Xの0.5倍以上1.5倍未満であった場合、基準保持時間Tと同等の保持時間が設定され、印刷データのデータ量が基準データ量Xの1.5倍以上2.5倍未満であった場合、基準保持時間Tの1/2の保持時間が設定され、印刷データのデータ量が基準データ量Xの2.5倍以上3.5倍未満であった場合、基準保持時間Tの1/3の保持時間が設定される。このように、データ量の大きい印刷データほど保持時間が短くなるように設定することによって、大きいデータ量の印刷データによって印刷データ記憶部13が長時間占有されるという事態を回避でき、印刷データ記憶部13を効率的に使用して多くのジョブを受け付けることが可能になる。
また、図6(b)に示すように、スケジューリングする印刷データのデータ量の上限を設定し、所定値以上のデータ量の印刷データのスケジューリングを受け付けないようにすることもできる。例えば図6(b)に示す設定方法では、基準データ量Xの2.5倍以上のデータ量の印刷データのスケジューリングが受け付けられない。
図6(a)および図6(b)に示す方法で保持時間が設定された場合、送信要求時刻T2および削除時刻T4はそれぞれ、例えば図6(c)に示す数式によって算出される。例えば、3時にジョブデータが受け付けられ、出力予定時刻として3時5分が設定されており、保持時間として2分間が設定された場合、送信要求時刻T2として3時4分が設定され、削除時刻として3時6分が設定される。この場合、3時4分から3時6分まで印刷データが印刷データ記憶部13に保持される。
図7は、受信したジョブデータのスケジューリングに関するプリンタ1の制御部11の処理手順の一部を示すフローチャートである。なお、説明の便宜上、図5に示す時刻T1〜T4を用いて説明する。プリンタ1の制御部11は、ネットワーク5を介して接続されるいずれかのコンピュータ2〜4から時刻T1にジョブデータを受信すると(S1)、印刷処理受付部11fによってジョブデータから属性データのみを抽出して印刷ジョブ管理部11bに送り、印刷ジョブ管理部11bによって属性データに親展番号が含まれているか否かを判定することで、ジョブデータが親展印刷要求されたものであるか否かを判定する(S2)。制御部11は、ジョブデータが親展印刷要求されたものではないと判定した場合、直ちにジョブデータに含まれる印刷データに基づく印刷を行う(S3)。
制御部11は、ステップS2においてジョブデータが親展印刷要求されたものであると判定した場合、印刷ジョブ管理部11bによって属性データに出力予定時刻が含まれているか否かを判定することで、印刷データの出力予定時刻T3が指定されているか否かを判定する(S4)。制御部11は、印刷データの出力予定時刻T3が指定されていないと判定した場合、印刷データを時刻T1から保持するようにスケジューリングし(S5)、印刷データ記憶部13に印刷データを格納する(S6)。
制御部11は、ステップS4において出力予定時刻T3が指定されていると判定した場合、出力予定時刻T3に基づいて送信要求時刻T2および削除時刻T4を設定し(S7)、送信要求時刻T2から削除時刻T4までにわたって印刷データを印刷データ記憶部13に格納しておくための空き記憶容量があるか否かを判定する(S8)。
制御部11は、空き記憶容量があると判定した場合、時刻T2に送信元のコンピュータに送信要求を行って印刷データを印刷データ記憶部13に格納し、時刻T4に印刷データを印刷データ記憶部13から削除するようにスケジューリングし(S9)、時刻T2から時刻T4まで印刷データを保持するようにスケジューリングした旨をジョブデータの送信元のコンピュータへ通知し(S10)、ジョブデータを受け付けた時刻T1の時点では一旦印刷データを破棄する(S11)。
制御部11は、ステップS8において印刷データを印刷データ記憶部13に格納しておくための空き記憶容量がないと判定した場合、時刻T2から時刻T4までの印刷データの保持時間を短縮するように、ステップS7で設定した送信要求時刻T2および削除時刻T4を変更する(S12)。保持時間を短縮する方法としては例えば、[数1]における設定値Hを小さくする方法や、図6に示す基準保持時間Tを短縮する方法がある。
制御部11は、変更された送信要求時刻T2および削除時刻T4に基づいて、送信要求時刻T2から削除時刻T4までにわたって印刷データを印刷データ記憶部13に格納しておくための空き記憶容量があるか否かを判定する(S13)。制御部11は、空き記憶容量があると判定した場合、ステップS9へ進み、ステップS12で変更された送信要求時刻T2および削除時刻T4に基づいてスケジューリングし(S9)、時刻T2から時刻T4まで印刷データを保持するようにスケジューリングした旨を送信元のコンピュータへ通知して(S10)、この時点では印刷データを破棄する(S11)。
また、制御部11は、ステップS13において印刷データを印刷データ記憶部13に格納しておくための空き記憶容量がないと判定した場合、ジョブデータをスケジューリングできなかった旨および出力予定時刻を変更すべき旨を送信元のコンピュータへ通知し(S14)、印刷データを破棄する(S11)。
図8は、スケジュールデータに基づく処理に関するプリンタ1の制御部11の処理手順の一部を示すフローチャートである。なお、説明の便宜上、図5に示す時刻T1〜T4を用いて説明する。プリンタ1の制御部11は、スケジュール記憶部11aに記憶されているスケジュールデータにスケジューリングされているそれぞれのジョブに対して順に以下のような処理を施す。
制御部11は、印刷データの出力予定時刻T3が指定されているか否かを判定し(S21)、出力予定時刻T3が指定されていないと判定した場合はこのループの処理を終了する。制御部11は、出力予定時刻T3が指定されていると判定した場合、出力予定時刻T3と時計11dから入力される現在の時刻データとを比較することで現在時刻が削除時刻T4であるか否かを判定し(S22)、削除時刻T4でないと判定した場合、現在時刻が送信要求時刻T2であるか否かを判定する(S23)。
制御部11は、現在時刻が送信要求時刻T2でないと判定した場合はステップS22の処理に戻る。制御部11は、現在時刻が送信要求時刻T2であると判定した場合は、送信元のコンピュータに対して印刷データの送信を要求し(S24)、コンピュータから送信された印刷データを受信した後(S25)、必要に応じて文字のスムージング等の画像処理を施し(S26)、印刷データを印刷データ記憶部13に格納する(S27)。
制御部11は、送信要求時刻T2を経過したあと削除時刻T4までの間はステップS22およびS23の処理を繰り返し、ステップS22において現在時刻が削除時刻T4であると判定した場合、その印刷データに基づいてプリンタエンジン12で印刷中であるか否かを判定する(S28)。制御部11は、印刷中であると判定した場合、印刷の終了後にその印刷データを印刷データ記憶部13から削除し(S29)、その印刷データのスケジュールをスケジュールデータから取り消す(S30)。
制御部11は、ステップS28において印刷中でないと判定した場合、その印刷データを印刷データ記憶部13から削除し(S31)、その印刷データのスケジュールをスケジュールデータから取り消し(S32)、印刷データを削除してスケジュールを取り消した旨を送信元のコンピュータへ通知する(S33)。
図9は、印刷処理に関するプリンタ1の制御部11の処理手順の一部を示すフローチャートである。プリンタ1の制御部11は、入力部10からユーザによる親展番号の入力があるか否かを判定し(S41)、入力があるまでステップS41の処理を繰り返して待機する。
制御部11は、入力部10からユーザによる親展番号の入力があったと判定した場合、スケジューリングされた複数の印刷データにそれぞれ付加された属性データに含まれる親展番号のいずれかと、入力された親展番号とが一致するか否かを認証処理部11eにおいて判定し(S42)、いずれの印刷データの親展番号とも一致しないと判定した場合は、ステップS41の処理に戻って再び親展番号の入力待ち状態となる。制御部11は、いずれかの印刷データの親展番号と一致すると判定した場合、その印刷データが印刷データ記憶部13に保持されている時間内であるか否かを、現在時刻と送信要求時刻T2および削除時刻T4とをそれぞれ比較することで判定する(S43)。
制御部11は、印刷データが印刷データ記憶部13に保持されている時間内であると判定した場合は、印刷出力部11cにおいてプリンタエンジン12での印刷に適した形式に印刷データを処理する(S44)。ステップS44では、例えばガンマ補正処理やスムージング処理などの画像処理が施される。制御部11は、画像処理後の印刷データに基づいて印刷を行い(S45)、印刷の終了後にその印刷データを印刷データ記憶部13から削除する(S46)。
制御部11は、ステップS43において印刷データが印刷データ記憶部13に保持されている時間内ではないと判定した場合、送信元のコンピュータに印刷データの送信を要求し、要求に従って送信された印刷データを受信した後(S47)、ステップS44の処理に進み、所定の画像処理を行い(S44)、印刷をした後(S45)、印刷データを削除する(S46)。
なお、印刷終了後すぐには印刷データを削除せず、削除時刻T4まで印刷データ記憶部13で保持するようにしてもよい。このようにすれば、送信要求時刻T2から削除時刻T4までの保持時間中、親展番号の入力によって繰り返し印刷することが可能となる。また、図8のステップS26などにおいて画像処理済みである場合はステップS44では必ずしも画像処理を施す必要はない。
プリンタ1によれば、出力予定時刻を含む所定時間にわたってのみ印刷データを保持され、出力予定時刻を含む所定時間以外の時間帯の印刷データ記憶部13の空き記憶容量が増やされるので、印刷データ記憶部13の記憶領域を効率的に使用することができる。また、出力定時刻を含む所定時間内は印刷データ記憶部13に印刷データを保持しているので、正しい親展番号の入力があればすぐに印刷を行うことができ、親展番号の入力による印刷の要求から印刷物が出力されるまでの待ち時間を短縮することができる。さらに、正しい親展番号の入力があった場合にのみ印刷が行われるので、親展番号が設定された印刷データの機密性が高められる。
図10は、他の実施形態におけるスケジュールデータの一部の内容を示す模式図である。図5と同様に、縦軸は印刷データ記憶部13の記憶容量を示し、横軸は時間経過を示す。プリンタ1は、例えば時刻T11にジョブAを受信すると、時刻T11の時点ではジョブAの印刷データのうち先頭から所定データ量分の印刷データのみを記憶し、時刻T12に送信元のコンピュータに対してジョブAの残りの印刷データの送信を要求し、時刻T14にジョブAの印刷データのすべてを印刷データ記憶部13から削除する。ジョブAの印刷データのうち、先頭部分は受付時刻T1から削除時刻T4まで保持され、送信要求時刻T2から削除時刻T4までの時間帯は印刷データのすべてが印刷データ記憶部13に保持される。送信要求時刻T2および削除時刻T4は、ジョブAの属性データに含まれる出力予定時刻T13に基づいて上述の例と同様にして算出される。送信要求時刻T2から削除時刻T4までの印刷データの保持時間の長さは、例えば印刷データの全体のデータ量が大きいほど短くなるように設定される。
図11は、図10に示す実施形態における制御部11の処理手順の一部を示すフローチャートである。プリンタ1の制御部11は、親展番号を含むジョブデータを時刻T11に受信すると、時刻T11においてそのジョブデータの印刷データのうち先頭部分のみを印刷データ記憶部13に格納する(S51)。制御部11は、現在時刻が送信要求時刻T2であるか否かを判定し(S52)、現在時刻が送信要求時刻T2でないと判定した場合はステップS52の処理を繰り返して送信要求時刻T2になるまで待機し、送信要求時刻T2になったと判定した場合、送信元のコンピュータに印刷データの残りの部分の送信を要求する(S53)。制御部11は、送信の要求に従って送信された印刷データの残りの部分を受信して印刷データ記憶部13に格納する(S54)。
制御部11は、入力部10からの入力操作による親展番号の入力があったか否かを判定し(S55)、親展番号の入力がない場合はステップS55の処理を繰り返して親展番号の入力待ち状態で待機する。制御部11は、親展番号の入力があった場合は、印刷データに付加された属性データに含まれる親展番号と、入力部10から入力された親展番号とが一致するか否かを判定し(S56)、一致しないと判定した場合は、ステップS55の処理に戻って再び親展番号の入力待ち状態となる。
制御部11は、印刷データの親展番号と入力部10から入力された親展番号とが一致すると判定した場合、印刷データ記憶部13に格納される先頭部分の印刷データに基づいて印刷を行い、先頭部分の印刷データに基づく印刷を行っている間に、印刷データの残りの部分について送信元のコンピュータに送信要求して印刷データの残りの部分を受信し、先頭部分の印刷データに基づく印刷に続けて残りの部分の印刷データに基づく印刷を行う
(S57)。制御部11は、印刷が終了した印刷データを印刷データ記憶部13から削除する(S58)。
この実施形態のプリンタ1によれば、受信の当初は所定のデータ量の先頭部分の印刷データのみを印刷データ記憶部13に格納しておき、先頭部分の印刷データに基づく印刷を行っている間に印刷データの残りの部分を受信し、先頭部分の印刷に続けて残りの部分を印刷するようにしたので、大きいデータ量の印刷データに基づく印刷を行う場合であっても、印刷データ記憶部13の記憶領域を圧迫することがなく、さらに印刷要求してから印刷が終了するまでの待ち時間を短くすることができる。
なお、ステップS58において印刷終了後すぐに印刷データを削除せずとも、設定された削除時刻まで印刷済みの印刷データを印刷データ記憶部13で保持するようにしてもよい。また、受信時から印刷データ記憶部13に格納しておく印刷データの先頭部分のデータ量は、任意に設定するとよい。先頭部分のデータ量を小さく設定すれば、印刷データ記憶部13の記憶領域の空き記憶容量を増やすことができる。一方、先頭部分のデータ量を大きく設定すれば、先頭部分の印刷データに基づく印刷中に行う残りの部分の印刷データのデータ量が小さくて済み、残りの部分の受信に要する時間を短くすることができる。
上述の実施形態では、先頭部分の印刷データをジョブデータを受け付けた当初から印刷データ記憶部13に格納したが、これに限定されず、先頭部分の印刷データをジョブデータを受け付けた当初には保持せず、先頭部分の印刷データを所定の送信要求時刻に送信元のコンピュータから受信して保持し、残りの部分の印刷データを先頭部分の印刷データよりも後であって出力予定時刻よりも前の所定の時刻に送信元のコンピュータから受信して保持するようにすることができる。先頭部分の印刷データの送信要求時刻、および先頭部分以外の残りの部分の印刷データの送信要求時刻は、出力予定時刻に基づいて設定される。
これによれば、ジョブデータの受付時刻から先頭部分の印刷データの送信要求時刻までは印刷データ記憶部13を占有せず、先頭部分の保持時間内に印刷要求があれば先頭部分の印刷中に残りの部分の印刷データを受信できるので、印刷データ記憶部13の記憶領域をいっそう効率的に使用できるとともに、印刷要求から印刷が終了するまでの待ち時間を短くすることができる。
また、印刷データのデータ量が所定値以上である場合、出力予定時刻の所定時間前の送信要求時刻に所定値以下のデータ量分の先頭部分の印刷データのみについて送信元のコンピュータに送信要求することで、所定値以下のデータ量分の先頭部分の印刷データのみを印刷データ記憶部13に保持し、残りの部分の印刷データは印刷要求があってから先頭部分の印刷データに基づく印刷と並行して受信するようにしてもよい。
さらに、上述の実施形態では、データ量情報は印刷データのデータ量を示すこととしたが、印刷データおよび属性データを含むジョブデータのデータ量を示すこととしてもよい。この場合、属性データのデータ量は印刷データのデータ量と比較して極微小であると考えられるので、プリンタ1の送信要求によって受信した印刷データを保持しておく時間の長さをジョブデータのデータ量に応じて設定することができる。
また、図7に示すフローチャートのステップS12において、制御部11は、送信要求時刻T2から削除時刻T4までにわたって印刷データを印刷データ記憶部13に格納しておくための空き記憶容量がないと判定した場合、上述の実施形態では時刻T1に受信した処理中の印刷データの保持時間を短縮したが、これに限定されず、同じ時間帯に保持予定の先にスケジューリングされている他の印刷データの保持時間を短縮するようにしてもよい。
さらに、図7に示すステップS8の処理においてプリンタ1の制御部11が必要分の空き記憶容量がないと判定した場合、送信元のコンピュータに、スケジュール記憶部11aに記憶されるスケジュールデータを送信するとともに、出力予定時刻を変更すべき旨を通知するようにしてもよい。これによれば、ユーザはスケジュールデータを参照して空き記憶容量が十分にある時間帯を見計らって出力予定時刻を変更し、再度ジョブデータのスケジューリングを試みることができる。この場合、制御部11は、変更された出力予定時刻に基づいて送信要求時刻および削除時刻を算出し直して、変更された送信要求時刻から削除時刻までにわたって印刷データを保持できるか否かを再度判定する。
また、プリンタ1の制御部11は、図7に示すステップS8の処理においてプリンタ1の制御部11が必要分の空き記憶容量がないと判定した場合、スケジュール記憶部11aに記憶されるスケジュールデータを参照して、印刷データを保持できる時間帯を元の出力予定時刻になるべく近い時間帯から探し出して変更し、変更した旨と変更後の送信要求時刻および削除時刻とを送信元のコンピュータに通知するようにしてもよい。