JP4364585B2 - ポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、改質されたポリエステル樹脂の製造方法に関するものである。更に詳しくは、中空容器として使われている飲料用容器としての耐熱性、フレーバー性を備え、さらにボトル容器の口栓部を結晶化処理が必要な耐熱用容器において、容器成形工程の射出成形プリフォームの口栓部の加熱時の結晶化速度を速め、生産安定化及び生産効率向上を図る事が可能となるポリエステル樹脂の製造方法に関する。
従来より、炭酸飲料、果汁飲料、アルコール飲料、茶やミネラルウォーター等の飲料、液体調味料、食用油、液体洗剤、化粧品等のボトル容器として、その優れた機械的性質及び化学的特性に加え、その優れた透明性、ガスバリア性、低フレーバー性、安全衛生等の面からポリエステル樹脂が注目されていた。中でも特にポリチレンテレフタレート樹脂のボトル容器の生産量は、著しい伸びを示している。このポリエチレンテレフタレート樹脂のボトル容器は、通常、射出成形したプリフォームをブロー金型内で延伸ブロー成形して成形される。なかでも果汁飲料等のように熱充填を必要とする耐熱用のボトル容器においては、その透明性を重視するために通常ゲルマニウム化合物を触媒として重縮合され、その結果結晶化温度の高いポリエチレンテレフタレート樹脂が用いられている。この樹脂においては、ボトル容器の口栓部の密着性及び耐熱性を上げるために、プリフォーム又はボトル容器の段階で、口栓部を熱処理して結晶化させることが行われている。
従来ボトル容器の生産においては、成形工程内で発生する成形不良品を有効に活用する為、これらを粉砕したリプロ材と呼ばれるものを、原料のポリエチレンテレフタレート樹脂に一部混合して使用されている場合が多かった。このリプロ材は、一度溶融して成形過程を経ており、固有粘度の低下及び樹脂の一部が延伸配向されている事から、成形過程を経ていないポリエチレンテレフタレート樹脂に比べ結晶化が速い。この点を利用してリプロ材の混合比率を調整することによりプリフォームの口栓部の結晶化速度の促進や安定化が図られていた。しかしながら、近年、小型ボトル容器を中心とした需要の大幅な伸びに伴い、小型ボトル容器成形設備の専用ライン化や高速成形ライン化が進んでいる。それに伴いリプロ材そのものの減少や、更にはリプロ材を混合しても、既定の熱処理時間ではボトル容器の口栓部の結晶化不足が生じる問題が出てきており、ポリエチレンテレフタレート樹脂そのものの結晶化速度の改良要求が強く求められている。
このポリエチレンテレフタレート樹脂の結晶化速度の改良方法としては、一般的に無機核剤の添加や高級脂肪族化合物、ポリエーテル系化合物のブレンド又は共重合などが良く知られている。しかしボトル容器成形用途においては、透明性の低下、熱安定性低下による着色、剤分解成分による充填物のフレーバー性及び衛生上等の懸念問題があり、満足出来るものが得られてない。一方、この課題を解決する手段としてポリプロピレン、ポリエチレンのポリオレフィン系の異種熱可塑性樹脂を微量添加若しくは微量配合する方法が提案されている(例えば特許文献1〜5参照。)。これらの提案では、確かにボトル容器の透明性も良好で、ポリエチレンテレフタレート樹脂の結晶化速度を速くする効果は大きいものの、これらの異種熱可塑性樹脂は基本的にポリエチレンテレフタレート樹脂との相溶性が悪いため、微少の量を均一に分散することが非常に難しく、そのため結晶化速度のバラツキが大きいと言う問題があった。また、このポリオレフィン系の異種熱可塑性樹脂を結晶化促進剤として微量添加、若しくは微量配合する方法には、大掛かりな設備投資や設備改造が必要である。更に製品であるポリエチレンテレフタレート樹脂の納入先や銘柄毎に最適である結晶化速度が異なった場合、その作り分けが困難であるという実際の商業生産面における重大な問題がある。例えば、ポリオレフィンによるポリエチレンテレフタレート樹脂の処理方法として溶融重合後にチップ化されたポリマーを輸送するSUS製気力輸送配管の一部をポリエチレン製配管にすることによりポリエチレンテレフタレート樹脂をポリエチレンに接触させる方法が開示されている(例えば特許文献3参照。)。またポリエチレンテレフタレート樹脂製造装置の内部をポリエチレン等の結晶性樹脂で被覆し、これらを用いて製造することによりポリエチレンと接触させる方法も開示されている(例えば特許文献6参照。)。これらの方法では、ある納入先には結晶化速度が高い樹脂を、他の納入先は結晶化速度が低いままの樹脂を提供する必要が生じた場合、ポリエチレン製部材を外すか、もしくはポリエチレン部材との接触部分をバイパスする製造ラインが必要になってくる。また、生産を継続していくうちにポリエチレン製部材が磨耗して交換する必要が生じた場合、反応装置や配管を開放して交換しなくてはならず、生産を停止するかもしくはポリエチレンと接触させる部分の装置若しくは配管を複数並列に設置する必要があり経済上不利である。さらに装置若しくは配管の切り替えの際のロスも無視できず、収率も悪化するといった問題があった。
特開平8−302168号公報 特開平9−183430号公報 特開平9−071639号公報 特開平9−151308号公報 特開平9−194697号公報 特開2002−317052号公報
本発明の目的は上記のような問題を解決し、飲料用ボトル容器として要求される耐熱性、フレーバー性を維持しながら、口栓部分の結晶化速度が速く耐熱用ボトル容器用途として良好なポリエステル樹脂を、効率よく安定に生産することができる製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、テレフタル酸成分及び/またはナフタレンジカルボン酸成分と、エチレングリコール成分から得られるポリエステルを重合反応が終了した後に、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン及びポリフッ化ビニリデンよりなる群から少なくとも1種選ばれるプラスチック成形品と接触させ、チップ化するポリエステル樹脂の製造方法により上記課題を達成することができ、本発明に至った。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法によれば、ボトル容器の口栓部分に要求される結晶化速度の早いポリエステル樹脂を、効率的におよび安定に生産する事が可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明によって得られるポリエステル樹脂は、テレフタル酸成分及び/またはナフタレンジカルボン酸成分と、エチレングリコール成分から得られるポリエステルからなる。ナフタレンジカルボン酸には想定し得る全ての構造異性体を含有するが、2,6−ナフタレンジカルボン酸を好ましく用いることができる。さらに好ましいポリエステルは、エチレンテレフタレート及び/またはエチレンナフタレート単位を主体とするポリエステルであり、全構成の繰り返し単位に対する、エチレンテレフタレート単位とエチレンナフタレート単位の合計が80モル%以上のポリエステルであることである。言い換えると、本発明の製造方法におけるポリエステル樹脂はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート単位以外の繰り返し単位を20モル%未満の範囲で共重合成分として含んでいてもよい。その共重合成分とは、原料として用いる化合物がフタル酸、イソフタル酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等のジカルボン酸若しくはそのエステル結合形成性誘導体、p−ヒドロキシ安息香酸、またはグリコール酸等のオキシ酸若しくはそのエステル結合形成性誘導体、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、またはビスフェノールA、若しくはビスフェノールS等の芳香族ジヒドロキシ化合物若しくはそのエステル結合形成性誘導体等が挙げられる。また詳細には記載されていないが、これらの化合物の構造異性体も含まれる。ここでエステル結合形成性誘導体とは、反応により容易にエステル結合を形成する誘導体のことであり、具体的には低級アルキルエステル、フェニルエステル、酸ハライド等が挙げることができる。より好ましくはポリエチレンテレフタレート、若しくはポリエチレンナフタレートが90モル%以上から構成されるポリエステルである。
本発明におけるポリエステルは、テレフタル酸及び/若しくはナフタレンジカルボン酸(以下「テレフタル酸等」と称する。)又はその低級アルキルエステルとエチレングリコールとを主たる原料として製造することが好ましいが、前述の通り、他の酸成分及び/又は他のグリコール成分等を併せて原料として用いてもよい。
上記の様なテレフタル酸等又そのエステル形成性誘導体とエチレングリコールとを含む原料は、エステル化触媒又はエステル交換触媒の存在下のエステル化反応又はエステル交換反応により、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及び/若しくはナフタレート、又はそのオリゴマーを形成させ、その後重縮合触媒及び安定剤の存在下で高温減圧下に溶融重縮合を行ってポリエステルを得る。エステル化触媒は、テレフタル酸等がエステル化反応の自己触媒となるため特に使用する必要はない。一方、エステル交換触媒としては、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、チタン、亜鉛、マンガン等の金属化合物が好ましく使用されるが、ボトル容器の透明性を確保する目的のためには、チタン、マンガン化合物が特に好ましい。重縮合触媒としては、一般的にゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、コバルト化合物、若しくは錫化合物等が知られているが、本発明に用いる重縮合触媒としては、色調、透明性、衛生性を満足させる点から二酸化ゲルマニウムが好ましい。またチタン化合物をエステル交換触媒として用いて、これを重縮合触媒として兼用することもまた好ましい。上記の各種の触媒の使用割合は、全重合原料中、触媒中の金属元素の重量として通常5〜1000ppm、好ましくは10〜500ppmの範囲とされる。
又、重合時に添加する安定剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト等の亜リン酸エステル類、メチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート等の酸性リン酸エステル、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸等のリン化合物が好ましい。これらの安定剤の使用割合は、全重合原料中、安定剤中のリン原子の重量として、通常10〜1000ppm、好ましくは20〜500ppmの範囲とされる。
触媒及び安定剤の供給は、原料スラリー調製時の他、エステル化反応又はエステル交換反応の任意の段階において行うことができる。更に、重縮合反応工程の初期に供給することもできる。エステル化反応又はエステル交換反応時の反応温度は、通常240〜280℃であり、反応圧力は常圧〜0.3MPaである。また、溶融重縮合時の反応温度は、通常250〜300℃であり、反応圧力は通常60〜0.1KPaで行うことが好ましい。この様なエステル化反応、エステル交換反応、及び溶融重縮合反応は、一段階で行っても、複数段階に分けて行っても良い。この様な方法を実施することにより固有粘度が0.45〜0.70dl/gのポリエステルを得ることができる。
次に一般的には溶融重合反応終了後のポリエステルを重合反応器出口から吐出し水と接触させ冷却する。一般にはこの際にポリマーがストランド状態になるので、これをプラスチック成形品と接触させた後にチップ化を行うのが本発明の特徴である。また本発明においてはポリマー吐出後、先にプラスチック成形品と接触させ、その後に水と接触させて冷却を行っても良い。ここでプラスチック成形品として用いる成形品の素材としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボネートよりなる群から少なくとも1種選ばれるプラスチック成形品であることが好ましい。さらにここでポリオレフィンの具体例としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、若しくは線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、高密度ポリプロピレン、若しくは低密度ポリプロピレン等のポリプロピレン、またはプロピレンとエチレン等の他のオレフィンとの共重合体が好ましく用いられる。また、ポリアミドとしては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン等が挙げられる。ポリカーボネートとしてはビスフェノールAとホスゲンまたは炭酸ジエステルの重縮合体が好ましく挙げられる。
またこの際、プラスチック成形品の形状としては特に制限はなく、平板状、ロール状、その他いずれの形状であっても構わない。特にその平板またはロールの上をポリエステルのストランドが滑って、プラスチック成形品との接触処理が行われるのが好ましい。さらに本発明の製造方法では、プラスチック成形品との接触後、若しくは水により冷却させた後、常法によりチップ化される。ポリマーチップの平均粒径は、通常2.0〜5.5mm、好ましくは2.2〜4.0mmの範囲とされる。
次に、上記の様に溶融重縮合により得られたポリマーは、通常固相重合に供されることも好ましい。固相重合に供されるポリマーチップは、予め固相重合を行う温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重合に供されるのが通常行われる。予備結晶化工程は非晶状態若しくは低結晶化度のポリマーチップを、通常120〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度で、チップ結晶化の発熱での融着が起こらないように常に流動状態下で、一段階もしくは二段階以上の加熱工程で結晶化させることが好ましい。結晶化にかける時間は、少なくとも15分間以上であることが好ましい。予備結晶化処理後の固相重合工程は、少なくとも一段階からなり、通常190〜230℃、好ましくは195〜225℃の重合温度で、0.05〜5kPaの減圧下、もしくは常圧〜0.1MPaの条件下で窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガス流通下で実施されることが好ましい。固相重合時間は、重合温度が高いほど短時間でよいが、通常1〜50時間、好ましくは5〜30時間、更に好ましくは10〜25時間である。固相重合により得られたポリマーの固有粘度は、通常0.7〜0.90dl/gの範囲である。
またこの固相重合の重合反応終了後に、再度溶融し先述のプラスチック成形品との接触処理を行い、チップ化することも本発明の製造方法に含まれる。
本発明において、上記製造方法により得られるポリエステル樹脂を構成するジエチレングリコール成分の含有量若しくは共重合量は、ポリエステルを構成する全ジオール単位に対し、0.7〜2.0wt%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5wt%である。この含有量若しくは共重合量が少なすぎる場合は、成形後のボトル容器胴部の透明性が悪化し、また、多すぎる場合は、耐熱性が低下し更に結晶化速度の促進効果が小さくなる。上記範囲内にジエチレングリコール含有量を調節する方法としては、ジエチレングリコールを重合原料として使用するがあげられる。また他の方法として、主原料として使用するエチレングリコールからジエチレングリコールが一部副生するため、重合原料のエチレングリコールの仕込み量、その他の反応条件を制御して、その副生成量を調節する方法が挙げられる。
又、ポリマー中に含有し、ボトル容器成形時の金型汚れの要因となるオリゴマー成分や、ボトル容器中の充填物の味や匂いに影響するアセトアルデヒド成分を出来るだけ低減しておくことが望ましい。オリゴマー成分含有量としては0.5wt%以下が好ましく、特に好ましいのは0.4wt%以下である。一方アセトアルデヒド含有量としては、5ppm以下が好ましく、特に好ましいのは2ppm以下である。オリゴマー及びアセトアルデヒドの低減処理は、上記の固相重合工程の中で同時に行われるため、溶融重合後のポリマーのIV(固有粘度)、固相重合時間、固相重合の温度を調整することでこれらを目標レベルに達させるようにする。
またポリマー中の末端カルボキシル基の濃度が15〜25eq/トンの範囲にすることが特に好ましい。末端カルボキシル基の濃度が上記の範囲に満たない場合は、固相重合性が悪くて固有粘度を大きくするのに長時間を要することがあり、一方、上記濃度範囲を超える場合は、固相重合に供した場合の環状三量体(CT)等のオリゴマーの低減効果が少ないことがある。末端カルボキシル基の濃度をこの範囲内にするためには、エステル化反応又はエステル交換反応を行う時間等の反応条件を適宜調節することにより達成することができる。
このようなポリエステル樹脂の製造方法により、結晶化速度の速いポリエステル樹脂と結晶化速度の遅いポリエステル樹脂の作り分けが容易で、なおかつ結晶化速度を促進させるための部材が磨耗した際の交換が容易になる。なぜならば、溶融重合後にポリエステルポリマーを重合反応器出口の細孔から吐出し、水と接触させ冷却しストランドにしてチップ状にカットする部分は、溶融重合、固相重合の工程において原材料の投入と製品チップの出荷以外で唯一、ポリエステルポリマーが反応機外に露出する部分であるからである。この部分でプラスチック成形品と接触させ結晶化速度を促進する処理を行う本発明の製造方法を用いると、結晶化速度の異なるポリエステル間の銘柄切り替えを容易に行うことができる。例えば結晶化速度の速いポリエステル樹脂製造後、結晶化速度の遅い樹脂が必要な場合、プラスチック成形品を取り除き、ポリエステルとプラスチック成形品の接触処理の中止を行うことで容易に実施することができる。また工程の配管の一部若しくは全部、又は反応槽の内部表面にプラスチックコーティングし、接触処理を行う場合に比べると簡便に実施することができる。またプラスチック成形品が磨耗した際の成形品の交換も反応機や配管の開放、生産の停止を必要とせず極めて容易に行うことができる。これらはポリエステル樹脂の生産の効率化、安定化に貢献する。
本発明によって得られるポリエステル樹脂は、280℃の成形温度で射出成形して得られた成形品について示差走査熱量計にて測定した際の昇温時の結晶化温度(以下「Tc」と略記する。)が140〜146℃の範囲にあることが好ましい。Tcが上記範囲未満の場合は、成形して得られたプリフォームの胴部をブロー成形のために加熱する際に、結晶化による白化が生じやすく、充分な耐熱性を付与するためのプリフォーム温度まで加熱できず耐熱性が不十分となり、肩部や胴部が白化して透明性を損なうことがある。一方Tcが上記範囲を超える場合は、口栓部を目的の結晶化度まで加熱結晶化するために長時間の加熱が必要となり、生産性の低下や口栓部の結晶化設備を大型にせざるを得ないことになる。上記Tcの条件を満足することにより、成形品の結晶性、透明性及びボトル容器への耐熱性付与をより好ましいものにすることができる。上記Tcの範囲内にするには上述のプラスチック成形品との接触処理において、ポリエステルの種類により、使用するプラスチック成形品の素材の種類、接触時間を適宜調節することにより達成することができる。
本発明の製造方法によって得られるポリエステル樹脂は、ボトル容器その他の中空容器の成形に好適であり、一般的に使用される溶融成形法を採用してボトル容器等に成形することができる。さらに具体的には、例えば射出成形又は押出成形で一旦パリソンを成形し、そのまま、または口栓部及び底部を加工後、再加熱し、ホットパリソン法又はコールドパリソン法等の延伸ブロー成形法を適用する。この場合の成形温度(具体的には成形機のシリンダー各部及びノズルの温度)は、通常260〜300℃、延伸温度は、通常70〜120℃である。延伸倍率は、通常、縦方向に1.5〜3.5倍、円周方向に2〜5倍の範囲である。
得られたボトル容器は、そのままでも使用できるが、特に果汁飲料、ウーロン茶等の様に熱充填を必要とする充填液の場合は、一般に加熱したブロー金型内で熱固定し更に耐熱性を付与して使用される。熱固定は、通常圧空等による緊張下、金型温度を100〜200℃で数秒〜数分間行われる。或いは最終形状より大きいボトル容器を成形し、加熱により収縮させることにより胴部の結晶化を行い、その後最終形状の金型内でブロー成形し製品ボトル容器を得る方法も採られている。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお実施例、比較例中の「部」とは重量部を表す。本実施例、比較例においてポリエステル樹脂の結晶化温度の測定方法は以下に示す方法で行った。
(a)ポリエステル樹脂の結晶化温度
プリフォームのボトル容器の口栓部天面に相当する部分から切り出した試料について、示差走査熱量計(セイコー電子社製「DSC220C」)にて、室温から285℃まで20℃/分の速度で昇温させ、その途中で観察される結晶化ピークトップの温度(昇温時の結晶化温度、Tc)を測定した。
[実施例1]
テレフタル酸13.0部とエチレングリコール5.82部とからなるスラリーを重縮合槽に供給して、常圧下250℃でエステル化反応を行い、エステル化反応率95%のビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体を調製した。その後、正燐酸0.012部と二酸化ゲルマニウム0.012部とを加えて、0.133kPa(1mmHg)の減圧下280℃で溶融重合を行った。溶融重合終了後生成したポリエステルを、溶融重合槽の底部に冷却水槽に直結させて設けた吐出口から、ストランド状に抜き出して水冷した後、ポリテトラフルオロエチレン製のロール上を滑らしてからチップ状にカットしてポリマーチップとした。引き続いて、得られたポリマーチップを攪拌結晶化機(Bepex社式)に移送し、ポリマーチップ表面を150℃で加熱結晶化させた後、窒素流通下140℃で3時間乾燥させた。続いて静置固相重合塔に移し、窒素流通下210℃で20時間固相重合を実施してチップ状のポリエチレンテレフタレート樹脂を製造した。得られたチップを真空乾燥機にて130℃で10時間乾燥させた後、射出成形機(日精樹脂工業社製「FE−80S」)にて、シリンダー温度275℃、スクリュー回転数120rpm、1次圧時間1.0秒、金型温度20℃で、外径約30mm、内径約20mm、長さ165mm、重量約60gの円筒状のプリフォームを射出成形した。得られたプリフォームについて結晶化温度(Tc)を測定し結果を表1に示した。
また結晶化速度を改質する必要のないポリエチレンテレフタレート樹脂を製造する際には、ポリテトラフルオロエチレン製のロールをステンレス(例えばSUS304)製のロールに交換するという簡便な操作のみで安定に製造することができた。
[比較例1]
溶融重合終了後得られたポリエステルを、溶融重合槽の底部に冷却水槽に直結させて設けた吐出口からストランド状に抜き出して水冷した後、ステンレス(SUS304)製のロール上をストランドが滑らしてからチップカットするように変更した外は、実施例1と同様にしてプリフォームを射出成形した。得られたプリフォームについて、昇温時結晶化温度を測定し、結果を表1に示した。
Figure 0004364585
本発明のポリエステル樹脂の製造方法によれば、飲料用ボトル容器として要求される耐熱性、フレーバー性を維持し、ボトルの口栓部分の結晶化処理を必要とする耐熱用容器において、口栓部を加熱する時の結晶化速度の速いポリエステル樹脂を効率的にかつ安定に生産することができる。特に同一の設備工程において、結晶化速度の異なるポリエステル樹脂を製造する際の銘柄切り替えを極めて容易に行うことができる。その結果、生産安定化及び生産効率向上化を図る事が可能となりその工業的意義は大きい。

Claims (2)

  1. テレフタル酸成分及び/またはナフタレンジカルボン酸成分と、エチレングリコール成分から得られるポリエステルを重合反応が終了した後に、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン及びポリフッ化ビニリデンよりなる群から少なくとも1種選ばれるプラスチック成形品と接触させ、チップ化するポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 固相重合による重合反応が終了した後にプラスチック成形品と接触させる請求項1記載のポリエステル樹脂の製造方法。
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