JP3146652B2 - 共重合ポリエステルならびにそれより成る中空容器および延伸フィルム - Google Patents

共重合ポリエステルならびにそれより成る中空容器および延伸フィルム

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JP3146652B2 JP18910892A JP18910892A JP3146652B2 JP 3146652 B2 JP3146652 B2 JP 3146652B2 JP 18910892 A JP18910892 A JP 18910892A JP 18910892 A JP18910892 A JP 18910892A JP 3146652 B2 JP3146652 B2 JP 3146652B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボトル、フィルム、シ
ートなどに有用な共重合ポリエステルに関する。詳しく
は、オリゴマー含量が少ないうえ、成形時のオリゴマー
副生量も少ないために、成形時に金型などの汚染を起こ
しにくいのみならず、成形時の生産性、耐熱性、機械的
強度などに優れた成形体を供しえる、製造時の生産性に
優れた共重合ポリエステルおよびその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(以下、
「PET」という。)は機械的強度、化学的安定性、透
明性、衛生性などに優れており、また軽量、安価である
ために、各種のシート、容器として幅広く包装材料に用
いられ、特に、炭酸飲料、果汁飲料、液体調味料、食用
油、酒、ワイン用の容器としての伸びが著しい。
【0003】このようなPETは、例えば、ボトルの場
合、射出成形機で中空成形体用のプリフォームを成形
し、このプリフォームを所定形状の金型内で延伸ブロー
する。また、果汁飲料のように熱充填を必要とする内容
液の場合には、そのブロー金型中、あるいは別途設けた
金型中でさらに、熱固定してボトルに成形されるのが一
般的である。
【0004】しかし、成形に用いる従来のPETチップ
中には、オリゴマーが、主成分の環状3量体の量とし
て、溶融重合チップで通常1〜2重量%、固相重合チッ
プでも通常0.5〜1.0重量%含有されており、これ
らオリゴマー類が、成形時に金型などの装置類に付着
し、汚染する。この金型などの汚染は、成形品の表面肌
荒れや白化などの原因となる。そこで、金型などをなる
べく頻繁に清掃する必要がある。
【0005】そこで、従来、固相重合時間を延長した
り、触媒量を多くして、低オリゴマー化が試みられてい
るが、このような方法によるオリゴマーの低減には限度
があり、かつ、経済的な方法ではない。一方、PETに
類似した性質を有する共重合ポリエステル、例えば、ジ
カルボン酸成分としてテレフタル酸とナフタレンジカル
ボン酸を用いた共重合ポリエステルや、ジオール成分と
してエチレングリコールとジエチレングリコールを用い
た共重合ポリエステルなども多く知られている。しかし
ながら、オリゴマー量がある程度以下に低減化され、か
つ、PETと同等ないしはそれ以上の物性を有する共重
合ポリエステルは具体的には知られていなかった。ま
た、PETに少量のナフタレンジカルボン酸を共重合す
ることで、溶融重合、およびさらに固相重合して得られ
る共重合ポリエステルのオリゴマー含量が、ホモPET
に比較して低減化されることも明らかではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、オリ
ゴマー含量が少なく、成形時のオリゴマーの副生も少な
いために、成形時に金型などの汚染を起こしにくい上、
従来のPETと同等以上の耐熱性を有し、さらに固相重
合時の重合速度およびオリゴマー低減化速度が速いため
に生産性が高い共重合ポリエステルを提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、従来のPETに少
量のナフタレンジカルボン酸およびジエチレングリコー
ル単位が含まれた特定の物性範囲の共重合ポリエステル
を見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明の主
旨は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール
成分としてエチレングリコールを主成分とする共重合ポ
リエステルであって、(1)ジカルボン酸成分としてナ
フタレンジカルボン酸が0.2〜6.0モル%、(2)
ジオール成分としてジエチレングリコールが0.2〜
3.0モル%、(3)極限粘度が0.50〜1.50d
l/g、(4)密度が1.37g/cm3 以上、(5)
環状3量体の含有量が0.40重量%以下、であること
を特徴とする共重合ポリエステル、およびそれからなる
成形体に関する。
【0008】上記の共重合ポリエステルの製造方法とし
ては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール
成分としてエチレングリコールを主成分とし、(1)ジ
カルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸が0.2
〜6.0モル%、(2)ジオール成分としてジエチレン
グリコールが0.2〜3.0モル%、(6)極限粘度が
0.45〜0.70dl/g、(7)末端カルボキシル
基の濃度が10〜30eq/ton、である共重合ポリ
エステル(以下、「プレポリマー」という)を固相重合
する方法が好適である。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
共重合ポリエステルは、主成分のテレフタル酸、エチレ
ングリコールについては、公知のPETで用いられる原
料を用いればよい。ナフタレンジカルボン酸単位の原料
としては、2,6−、2,7−、1,4−、1,5−、
または2,3−などのナフタレンジカルボン酸、そのア
ルキル、アラルキル、アルコキシ、ハロゲン等の核置換
体、およびそのジメチル、ジエチル等のエステル類が挙
げられるが、これらのうち、2,6−または2,7−ナ
フタレンジカルボン酸、ないしはそのジメチルエステル
体が好ましい。さらには、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸またはそのジメチルエステル体が特に好ましい。
【0010】また、ジエチレングリコール(以下「DE
G」という)については、重合反応中にエチレングリコ
ールより一部副生してくるため、DEGまたはそのエス
テル形成性誘導体の所定量を重合原料として用いる場合
のほか、反応条件、添加剤などを適宜選択することのみ
でDEG成分の含有量を制御することができる。特に、
本発明の共重合ポリエステルの場合、ナフタレンジカル
ボン酸(以下「NDCA」という)を添加した効果によ
って、溶融重合温度を下げることができ、DEG成分副
生量を低く抑えることが容易である。また、添加剤とし
ては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルア
ミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミン、水
酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルア
ンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウムな
どの水酸化第4級アンモニウムおよび炭酸リチウム、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの塩
基性化合物を少量添加し、DEGの生成を抑制すること
ができる。一方、硫酸などの無機酸を重合原料中に少量
添加すれば、DEGの生成を促進し、含有量を増加させ
ることもできる。これらのDEGの生成量をコントロー
ルする添加剤は、必要ならば、通常、全重合原料の0.
001〜10重量%、好ましくは、0.005〜1重量
%の範囲で使用してもよい。
【0011】本発明の共重合ポリエステルは、全ジカル
ボン酸成分中のNDCAの割合が、0.2〜6.0モル
%、好ましくは0.4〜4.0モル%、さらに好ましく
は1.0〜3.0モル%の範囲であり、かつ、全ジオー
ル成分中のDEGの割合が、0.2〜3.0モル%、好
ましくは0.4〜2.5モル%、さらに好ましくは1.
0〜2.3モル%の範囲である。該範囲に満たない場合
には、本発明の共重合ポリエステルを製造する際の固相
重合工程でのオリゴマー低減化速度が遅い上、成形時に
金型に付着するオリゴマーの低減効果が少なく、従来の
PET以上の優位性が認められない。一方、該範囲を越
える場合には、成形体の耐熱性が低下傾向となり、ま
た、延伸成形体をヒートセットした場合の熱固定効果に
よる耐熱性の向上度も小さいため、好ましくない。以上
の組成において、オリゴマーの主成分である環状3量体
の含有量が0.40重量%以下、好ましくは0.35重
量%以下の共重合ポリエステルを容易に得ることができ
る。
【0012】本発明の共重合ポリエステルの極限粘度
は、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)
の混合溶媒中で30℃で測定して、0.50〜1.50
dl/g、好ましくは0.60〜1.20dl/g、さ
らに好ましくは0.70〜1.00dl/gの範囲であ
る。0.50dl/g未満では、得られた共重合ポリエ
ステルを成形品となした場合に、実用上の十分な強度を
持ち得ない。また、1.50dl/gを越える場合は、
溶融粘度が高くなりすぎ、射出、押出成形時、成形機内
での剪断発熱が大きくなるため、一旦低減化したオリゴ
マーが再度、多量に発生するため、結果的には、金型な
どの汚染改良が認められず、好ましくない。
【0013】本発明の共重合ポリエステルの密度は、四
塩化炭素/n−ヘプタンの混合溶媒を用いた密度勾配管
により、25℃で測定した場合に、1.37g/cm3
以上、好ましくは1.38g/cm3 以上、さらに好ま
しくは1.39g/cm3 以上である。密度が1.37
g/cm3 未満の場合には、共重合ポリエステルの非晶
分率が高く、固相重合や熱処理が不十分なためにオリゴ
マーが十分に低減化されていない傾向がある。
【0014】本発明の共重合ポリエステルのオリゴマー
含量については、オリゴマーの主成分である環状3量体
の含有量として、0.40重量%以下、好ましくは0.
35重量%以下、さらに好ましくは0.33重量%以
下、特に好ましくは0.30重量%以下である。環状3
量体の含有量が0.40重量%以下である該共重合ポリ
エステルを成形に供することで、金型等の汚染の改善が
認められる。一般に、環状3量体の含有量が少なければ
少ないほど、金型などの汚染は改善される。例えば、環
状3量体の含有量が0.35重量%を越える場合でも、
0.40重量%程度では十分とは言い難いものの、かな
りの汚染の改善が見られ、0.50重量%以上では顕著
に汚染が認められる。金型等の汚染の改善に対しては、
環状3量体の含有量が0.40重量%以下であるかどう
かが、ひとつの目安となる。
【0015】さらに、金型の汚染度合は、成形体の環状
3量体の含有量と密接な関係があり、成形体の環状3量
体の含有量が、0.40重量%以下ではほぼ十分な金型
汚染の改善が見られ、特に0.35重量%以下では金型
汚染の改善効果が極めて大きい。0.45重量%程度で
は十分とは言い難いものの、かなりの汚染の改善が見ら
れ、0.55重量%以上では顕著に汚染が認められる。
金型等の汚染の改善に対しては、成形体の環状3量体の
含有量が0.45重量%以下であるかどうかも、目安と
しうるものである。
【0016】また、本発明の共重合ポリエステルの末端
カルボキシル基濃度(以下「AV」という)は、通常1
8eq/ton以下、好ましくは16eq/ton以
下、さらに好ましくは15eq/ton以下であること
が望ましい。固相重合時に効率良くオリゴマー含有量が
低減化された共重合ポリエステルは、AVがこの範囲に
あり、さらに、AVがこの範囲にある場合、本発明の共
重合ポリエステルの成形時に金型などに付着するオリゴ
マーの低減効果がより大きくなり、耐湿性、熱安定性な
どが向上するため一層好ましい。AVが該範囲を越える
場合には、成形時に金型などに付着するオリゴマーの低
減効果が少なくなり、耐湿性、熱安定性なども低下する
傾向にあるため好ましくない。
【0017】本発明の共重合ポリエステルのAVは、そ
の製造において固相重合に供される共重合ポリエステル
(以下「プレポリマー」という)のAV、プレポリマー
の調湿条件、結晶化条件および固相重合条件などにより
制御される。例えば、プレポリマーの調湿、結晶化およ
び固相重合などの各工程の温度、時間や圧力などを変え
ることでAVを制御できる。その他の例を具体的に示せ
ば、プレポリマーのAVを低くしたり、プレポリマーの
調湿時に含浸させる水分量を少なくすることで結晶化工
程や固相重合工程での加水分解を抑えたり、固相重合時
に使用する不活性気流中のエチレングリコール濃度を高
めたりすることにより、本発明の共重合ポリエステルの
AVを低くすることができる。また、プレポリマーのA
Vを高くしたり、プレポリマーの調湿時に含浸させる水
分量を多くしたり、結晶化を水蒸気導入下で行うなどし
て、結晶化工程や固相重合工程での加水分解を促進させ
たり、固相重合時に使用する不活性気流中のエチレング
リコール濃度を低めたりすることにより、本発明の共重
合ポリエステルのAVを高くすることができる。
【0018】本発明の共重合ポリエステルにおいて、総
末端基に対する末端カルボキシル基の割合(以下、AV
/TEVという)は、通常7〜25当量%、好ましくは
8〜20当量%、さらに好ましくは10〜18当量%で
あることが望ましい。AV/TEVが該範囲にある場合
には、その製造において固相重合速度やオリゴマーの低
減化速度が速く、生産性が一層向上する上、成形時のオ
リゴマー副生量の低減化がさらに達成されるため、より
良好である。このAV/TEVは、上述のAVと同様な
方法により制御することができる。
【0019】一般にPETを固相重合して製造する場合
には、生産性を高めるべく、短時間で目標とする極限粘
度とするために、固相重合速度(単位時間あたりの極限
粘度の上昇量)ができる限り速くなるように固相重合条
件を設定する。PETに関する、固相重合速度と、AV
およびAV/TEVとの間には、密接な関係があること
が従来からよく知られており、一般的には、AVが同じ
であれば、AV/TEVが30〜35当量%程度である
場合に、固相重合速度が最も速くなる。一方、固相重合
速度を最も速くするのに最適なAVは、極限粘度と、A
V/TEVの最適値とにより、自動的に定めることがで
きる。
【0020】したがって、一般的には、AVおよびAV
/TEVが、固相重合速度が最も速くなるような最適値
となるような条件で固相重合を行うのが望ましいため、
従来一般のホモPETやNDCA少量共重合PETの固
相重合品では、通常、AVは20〜35eq/ton程
度、AV/TEVは25〜40当量%程度の範囲にあ
る。
【0021】これに対し、固相重合におけるオリゴマー
の低減化速度については、本発明者らが鋭意検討した結
果、AVが低いほど、また、AV/TEVが低いほど、
言い換えれば、末端ヒドロキシ基の濃度が高いほど速く
なることが判明した。したがって、本発明の共重合ポリ
エステルを固相重合により製造する際、使用するプレポ
リマーにあっては、オリゴマーの低減化の面からは、で
きる限りAVおよびAV/TEVを低くしておくことが
望ましい。しかし、前述の通り、固相重合速度に関して
は、AVおよびAV/TEVの最適値が存在するため、
固相重合速度とオリゴマー低減化速度の両方が良好とな
るように、AVおよびAV/TEVを設定する必要があ
るが、NDCAを少量共重合した効果により、ホモPE
Tに比較して固相重合速度が基本的に速いため、AVお
よびAV/TEVを極端に低くしない限り、AVおよび
AV/TEVを低くして固相重合速度を少々遅くして
も、一般のホモPETとほぼ同程度の固相重合速度を有
している。さらに、固相重合して得られる本発明の共重
合ポリエステルについては、既に目標とする極限粘度を
有しており、再度固相重合に供する必要がないため、A
VおよびAV/TEVが極端に低いものであっても構わ
ず、逆に、その方が耐加水分解性が向上するためにかえ
って好ましい。
【0022】本発明の共重合ポリエステルにゲルマニウ
ム原子が含有される場合、その含有量は、通常30〜6
0重量ppm、好ましくは35〜55重量ppm、さら
に好ましくは40〜50重量ppmであることが望まし
い。一方、アンチモン原子が含有される場合、その含有
量は、通常150〜300重量ppm、好ましくは17
0〜280重量ppm、さらに好ましくは200〜25
0重量ppmであることが望ましい。本発明の共重合ポ
リエステルでは、ホモPETと比較した場合、同量のゲ
ルマニウム原子またはアンチモン原子を含有するなら
ば、その製造において同程度のオリゴマー含量まで低減
化するのに必要な固相重合時間が短くて済み、固相重合
速度も速いために生産性が優っている上、成形時のオリ
ゴマーの副生量も少なく、金型汚染の改良効果が大きく
なっている。しかし、ゲルマニウム原子やアンチモン原
子の含有量は、多ければ多いほど、本発明の共重合ポリ
エステルの製造において、オリゴマー低減化速度が速
く、固相重合速度も速くなり、生産性が向上するが、成
形時のオリゴマーの副生量が多くなる傾向がある。逆
に、ゲルマニウム原子やアンチモン原子の含有量が少な
ければ少ないほど、成形時のオリゴマー副生量は少なく
なるが、本発明の共重合ポリエステルの製造時の生産性
が低下してしまう傾向がある。ゲルマニウム原子やアン
チモン原子の含有量が上記範囲にある場合には、本発明
の共重合ポリエステルの製造における生産性、および成
形時のオリゴマー副生量の低減化の両方が大きく向上す
るため、一層良好である。なお、このゲルマニウム原子
やアンチモン原子は、後述する本発明の共重合ポリエス
テルの重合触媒として用いられるゲルマニウム化合物ま
たはアンチモン化合物に由来のものが、ポリマー中に取
り込まれたものである。
【0023】本発明の共重合ポリエステルの熱特性とし
ては、ガラス転移温度(Tg)が、通常72〜85℃、
好ましくは75〜83℃の範囲にあり、かつ、低温結晶
化ピーク温度(Tc)が、通常130〜210℃、好ま
しくは150〜200℃の範囲にあることが望ましい。
これらTgおよびTcは、示差走査型熱量計(以下、
「DSC」という)で、共重合ポリエステル試料5mg
を室温から昇温速度20℃/分で285℃まで昇温し、
続けて285℃で3分間溶融保持した後、該試料を速や
かに外部に取り出すと同時に液体窒素に漬け、1分間保
持した後、室温で30分間〜1時間放置し、室温になっ
た試料を装置にもどして、再度、室温から昇温速度20
℃/分で昇温して測定した際の熱量曲線でのガラス転移
による比熱変化挙動および結晶化による発熱挙動から求
められる。詳しくは、Tgは、ガラス転移による比熱変
化の中間点での接線と比熱変化前の点での接線との交点
の温度であり、Tcは、結晶化による発熱ピークにおい
て単位時間あたりの発熱量が最大となる温度である。T
g、Tcが、上述の範囲にある場合には、通常の成形材
料として適当な結晶性を得たり、延伸後、熱固定して得
られる成形品の耐熱性をホモPETと同等ないしはそれ
以上にすることが容易である。
【0024】本発明の共重合ポリエステルを射出成形ま
たは押出成形してなる成形体の熱特性としては、上記と
同様にしてDSCを用いて測定したTgが、通常72〜
85℃、好ましくは75〜83℃の範囲にあり、かつ、
Tcが、通常130〜180℃、好ましくは135〜1
70℃の範囲にあることが望ましい。Tg、Tcが、こ
の範囲にある場合には、通常の成形体として適当な結晶
性を有し、さらに延伸後、熱固定して得られる成形品の
耐熱性をホモPETと同等ないしはそれ以上にすること
が容易である。なお、本共重合ポリエステルおよびその
成形品において、通常、Tcは、成形品の方が低くなる
傾向が認められる。この現象は、成形時の剪断履歴が成
形品に残っており、上記DSCによる285℃、3分間
程度の溶融操作では完全には消滅しないことを示してい
るものと考えられる。
【0025】さらに、本発明の共重合ポリエステルのア
セトアルデヒドの含有量については、通常、7重量pp
m以下、好ましくは5重量ppm以下、さらに好ましく
は3重量ppm以下であることが望ましい。アセトアル
デヒドの含有量が該範囲にある場合には、本発明の共重
合ポリエステルを成形品となした場合、例えば、ボトル
などの食品容器では、アセトアルデヒドに由来する、悪
臭や異臭、さらには内容物の風味や香りの変化が認めら
れないため、非常に好ましい。
【0026】以上の本発明の共重合ポリエステルは、P
ETについて従来から公知の方法に準じ、溶融重合およ
びそれに引き続く固相重合を行うことにより製造され
る。以下、製造方法について詳細に述べる。溶融重合法
としては、例えば、テレフタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸およびエチレングリコールを用いて加圧下で直接エ
ステル化反応を行った後、さらに昇温するとともに次第
に減圧とし重縮合反応させる方法がある。あるいは、テ
レフタル酸のエステル誘導体、例えば、テレフタル酸ジ
メチルエステルと、ナフタレンジカルボン酸ジメチルエ
ステル、およびエチレングリコールを用いてエステル交
換反応を行い、その後、得られた反応物をさらに重縮合
することで製造できる。これらの溶融重合反応におい
て、ナフタレンジカルボン酸成分は、エステル化反応、
エステル交換反応、または重縮合反応初期の任意の時期
に加えることができる。例えば、あらかじめ、テレフタ
ル酸エステル誘導体とエチレングリコールのエステル交
換反応を行い、そのエステル交換反応物にナフタレンジ
カルボン酸を加えて重縮合してもよい。このような重縮
合反応は、1段階で行っても、複数段階に分けて行って
もよい。複数段階で行う場合、重縮合反応条件は、第1
段階目の重縮合の反応温度が通常250〜290℃、好
ましくは260〜280℃であり、圧力が通常500〜
20mmHg、好ましくは200〜30mmHgであ
り、また最終段階の重縮合反応の温度が通常265〜3
00℃、好ましくは270〜295℃であり、圧力が通
常10〜0.1mmHg、好ましくは5〜0.5mmH
gである。
【0027】重縮合反応を2段階で実施する場合には、
第1段目および第2段目の重縮合反応条件はそれぞれ上
記の範囲であり、3段階以上で実施する場合には、第2
段目から最終段目の反応条件との間の条件である。例え
ば、重縮合反応が3段階で実施される場合には、第2段
目の重縮合反応の反応温度は通常260〜295℃、好
ましくは270〜285℃であり、圧力は通常50〜2
mmHg、好ましくは40〜5mmHgの範囲である。
これらの重縮合反応工程の各々において到達される極限
粘度は特に制限はないが、各段階における極限粘度の上
昇の度合いが滑らかに分配されることが好ましく、さら
に最終段目の重縮合反応器から得られるプレポリマーの
極限粘度は、通常0.45〜0.80dl/g、好まし
くは0.45〜0.70dl/g、さらに好ましくは
0.50〜0.65dl/gである。プレポリマーの極
限粘度が、該範囲以下では、チップ化が困難となり、ま
た、該範囲以上では、反応缶からのプレポリマーの抜き
出しが行いにくい上、固相重合に供した場合のオリゴマ
ーの低減効果が少なくなる。通常、プレポリマーは、溶
融状態からストランド状に抜き出し、次いで粒状のチッ
プに切断される。
【0028】このような粒状のチップは、通常2.0〜
5mm、好ましくは2.2〜4.0mmの平均粒径を有
することが望ましい。以上のエステル化反応、エステル
交換反応および重縮合反応では、エステル化触媒、エス
テル交換触媒、重縮合触媒、安定剤などの必要量を使用
することが好ましい。
【0029】エステル化触媒は、使用するテレフタル酸
およびナフタレンジカルボン酸がエステル化反応の自己
触媒となるため、特に使用する必要はないが、必要とあ
らば、例えば、少量の無機酸などを用いることができ
る。エステル交換触媒としては、一般的にPETに用い
られる公知の化合物、例えば、カルシウム、チタン、マ
ンガン、亜鉛、ナトリウムおよびリチウム化合物などの
1種以上を用いることができるが、透明性の観点からマ
ンガン化合物が特に好ましい。
【0030】重縮合触媒としては、一般的にPETに用
いられる公知の化合物、例えば、ゲルマニウム、アンチ
モン、チタンおよびコバルト化合物などの1種以上を用
いることができるが、好ましくはゲルマニウムまたはア
ンチモンの化合物を使用する。さらに、得られる共重合
ポリエステルから成る成形体の透明性を非常に重視する
場合においては、より好ましくはゲルマニウム化合物を
使用する。ゲルマニウムまたはアンチモンの化合物とし
ては、それらの酸化物、無機酸塩、有機酸塩、ハロゲン
化物、硫化物などが例示される。
【0031】触媒量は、エステル交換触媒および重縮合
触媒とも、金属量として、全重合原料中、通常5〜20
00重量ppm、好ましくは10〜500重量ppmの
範囲で用いられる。特に、ゲルマニウム化合物を用いる
場合、その使用量は、製造するプレポリマーまたは固相
重合後の共重合ポリエステル中に、ゲルマニウム原子の
含有量が、通常10〜100ppm、好ましくは30〜
60重量ppm、より好ましくは35〜55重量pp
m、さらに好ましくは40〜50重量ppmの範囲とな
るような適当量を使用するのが望ましい。また、アンチ
モン化合物を用いる場合、その使用量は、製造するプレ
ポリマーまたは固相重合後の共重合ポリエステル中に、
アンチモン原子の含有量が、通常150〜300重量p
pm、好ましくは170〜280重量ppm、さらに好
ましくは200〜250重量ppmの範囲となるような
適当量を使用するのが望ましい。ゲルマニウム原子やア
ンチモン原子の含有量が上記範囲にある場合には、プレ
ポリマーを固相重合して共重合ポリエステルを製造する
際のオリゴマーの低減化速度や固相重合速度、および成
形時のオリゴマー副生量の低減化が一層大きくなるた
め、より良好である。該範囲を満足するために、例え
ば、二酸化ゲルマニウムを使用する場合には、通常、対
ポリマーで50〜300重量ppm程度の二酸化ゲルマ
ニウム、三酸化アンチモンを使用する場合には、通常、
対ポリマーで180〜1000重量ppm程度の三酸化
アンチモンが溶融重合時に使用されるが、別途、重合時
の温度、圧力、重合時間およびエステル化反応物のジカ
ルボン酸成分とグリコール成分との比率などによって
も、その含有量を制御することができる。
【0032】安定剤としては、トリメチルホスフェー
ト、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフ
ェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホス
フェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エス
テル類、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホ
スファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの
亜リン酸エステル類、メチルアシッドホスフェート、イ
ソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホス
フェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェ
ート、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステ
ル、およびリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸
などのリン化合物が好ましい。安定剤は、安定剤中のリ
ン原子の重量として、全重合原料中、通常10〜100
0重量ppm、好ましくは20〜200重量ppmの範
囲で用いられる。特に、重縮合触媒としてゲルマニウム
化合物を使用する場合には、プレポリマーおよび固相重
合後の共重合ポリエステル中に含有されるリン原子が、
併せて含有されるゲルマニウム原子に対して重量比で、
通常0.3〜1.5倍、好ましくは0.4〜1.0倍の
範囲となるように使用するのが望ましい。リン原子の含
有量がこの範囲にある場合には、プレポリマーおよびそ
れを固相重合して得られる共重合ポリエステルの熱安定
性が良い他、プレポリマーを固相重合して共重合ポリエ
ステルを製造する際のオリゴマーの低減化速度が一層大
きくなるため、より好ましい。
【0033】さらに、前述した本発明の構成要件を逸脱
しない限りにおいては、テレフタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸以外のジカルボン酸成分、およびエチレングリ
コール、ジエチレングリコール以外のジオール成分を少
量含んでいてもよい。これらのジカルボン酸成分として
は、フタル酸、イソフタル酸、4,4′−ジフェニルス
ルホンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−フ
ェニレンジオキシジ酢酸、および、これらの構造異性
体、マロン酸、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカ
ルボン酸、オキシ酸またはその誘導体としては、p−ヒ
ドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル
類、グリコール酸などが挙げられる。また、ジオール成
分としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロ
パンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタメチレ
ングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサン
ジメタノールのような脂環式グリコールや更にはビスフ
ェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキ
シ化合物誘導体などを挙げることができる。
【0034】以上、溶融重合により製造されるプレポリ
マーの組成(構成単位)、およびゲルマニウム原子、ア
ンチモン原子、リン原子などの含有量は、該プレポリマ
ーを固相重合に供して得られる本発明の共重合ポリエス
テルと実質的に同一であるが、より詳細には、これらゲ
ルマニウム原子、アンチモン原子、リン原子などの含有
量は、固相重合時の条件、例えば、温度、時間、圧力や
不活性気体流量などの条件によっては、プレポリマーの
これらの各原子の含有量に対して、それぞれ0〜10%
程度の量が固相重合中に減少する場合がある。
【0035】プレポリマーのAVについては、通常10
〜30eq/ton、好ましくは15〜30eq/to
n、さらに好ましくは18〜25eq/tonの範囲に
あることが望ましい。AVが該範囲にある場合には、該
プレポリマーを固相重合に供した際の固相重合速度が速
く、オリゴマーの低減効果が大きいため非常に好まし
い。該範囲に満たない場合には、固相重合性が悪く、極
限粘度を大きくするのに長時間を要したり、一方、該範
囲を越える場合には、固相重合に供した場合のオリゴマ
ーの低減効果が少ないことがある。
【0036】さらに、プレポリマーのAV/TEVは、
通常10〜25当量%、好ましくは12〜22当量%、
さらに好ましくは14〜20当量%の範囲にあることが
望ましい。総末端基に対する末端カルボキシル基の割合
が該範囲にある場合には、該プレポリマーを固相重合に
供した際の固相重合速度やオリゴマーの低減化速度が速
く、生産性が一層良好な上、成形時のオリゴマー副生量
の低減化がさらに達成されるため、より良好である。
【0037】これらプレポリマーのAVおよびAV/T
EVの制御は、従来からPETの溶融重合で行われてい
るAVおよびAV/TEVの制御法、例えば、エステル
化反応時の最終エステル化率、エステル交換反応や重縮
合反応時の温度、圧力、時間などの制御により行うこと
ができる。エステル化反応時の最終エステル化率は、エ
ステル化反応の温度、圧力、時間はもとより、その他、
例えば、ジオールとジカルボン酸の仕込み比、反応生成
水やジオールの還留率(または留去速度)などによって
も制御できる。さらに具体的な例として、通常のPET
を直接重縮合法により製造するのに用いられる連続溶融
重合設備を用いて、本発明の共重合ポリエステル用のプ
レポリマーの製造を行う場合を示すと、エステル化反応
時の反応時間を長くして最終エステル化率を高くし、プ
レポリマーのAVおよびAV/TEVを低くする方法も
あるが、より好ましくはエチレングリコールの還留率
を、通常のPETの場合よりも大きく設定したり、エス
テル化反応温度を高目に設定したりすることで、最終エ
ステル化率を高くし、プレポリマーのAVおよびAV/
TEVを低くする方が、プレポリマーの生産性の面から
望ましい。また、固相重合に供される直前のプレポリマ
ーのAVおよびAV/TEVに関しては、上記のように
プレポリマーの溶融重合時に制御する他に、前述の通り
プレポリマーの調湿条件や結晶化条件などを適当に選択
することによっても制御できる。
【0038】次に、本発明の共重合ポリエステルを得る
ためには、上記のように溶融重合により得られたプレポ
リマーチップを、さらに固相重合処理を施す必要があ
る。固相重合に供されるプレポリマーチップは、水、水
蒸気または水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で吸湿させ、
調湿したものであってもよいし、また、あらかじめ固相
重縮合を行う温度より低い温度に加熱して予備結晶化を
行った後、固相重縮合工程に供給してもよい。このよう
な予備結晶化工程は、プレポリマーチップを乾燥状態
で、通常120〜200℃、好ましくは130〜180
℃の温度に1分間〜4時間程度加熱して行うこともで
き、あるいは該チップを水蒸気または水蒸気含有不活性
ガス雰囲気下で通常、120〜200℃の温度に1分間
以上加熱して行うこともでき、さらには、水、水蒸気ま
たは水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で吸湿させ、調湿し
たプレポリマーチップを、通常120〜200℃温度に
1分間以上加熱して行うこともできる。プレポリマーの
調湿は、プレポリマーの含水率が、通常0.01〜1重
量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲となるよ
うに実施される。水分を含有するプレポリマーチップを
結晶化工程や固相重合工程に供することにより、本発明
の共重合ポリエステルに含まれるアセトアルデヒドの量
を、一層低減化することが可能である。
【0039】上記のようなプレポリマーチップが供給さ
れる固相重合工程は、少なくとも1段からなり、重合温
度が、通常、190〜230℃、好ましくは195〜2
25であり、不活性ガス流通法の場合、圧力が通常1k
g/cm2 G〜10mmHg、好ましくは0.5kg/
cm2 G〜100mmHgの条件下で、窒素、アルゴ
ン、二酸化炭素などの不活性ガス流通下で実施され、減
圧法の場合、圧力が通常0.01〜300mmHg、好
ましくは0.01〜100mmHgの条件下で実施され
る。固相重合時間は、温度が高いほど短時間で所望の物
性に到達するが、通常1〜50時間、好ましくは5〜3
0時間、さらに好ましくは10〜25時間である。
【0040】以上の固相重合処理の条件を適当に選択す
ることにより、本発明の共重合ポリエステルを得ること
ができる。このようにして得られた本発明のポリエステ
ルは、PETで一般的に用いられる溶融成形法を用い
て、フィルム、シート、容器、その他の包装材料を成形
することができる。また、該共重合ポリエステルを少な
くとも一軸方向に延伸することにより機械的強度を改善
することが可能である。
【0041】延伸フィルムを製造するにあたっては、延
伸温度は本発明の共重合ポリエステルのガラス転移温度
とそれより70℃高い温度の間に設定すればよく、通常
40〜170℃、好ましくは60〜140℃である。延
伸は一軸でも二軸でもよいが、好ましくはフィルム実用
物性の点から二軸延伸である。延伸倍率は、一軸延伸の
場合であれば通常1.1〜10倍、好ましくは1.5〜
8倍の範囲で行い、二軸延伸の場合であれば、縦方向お
よび横方向ともそれぞれ通常1.1〜8倍、好ましくは
1.5〜5倍の範囲で行えばよい。また、縦方向倍率/
横方向倍率は通常0.5〜2、好ましくは0.7〜1.
3である。得られた延伸フィルムは、さらに熱固定し
て、耐熱性、機械的強度を改善することもできる。熱固
定は、通常、緊張下120〜融点、好ましくは150〜
230℃で、通常数秒〜数時間、好ましくは数十秒〜数
分間行われる。
【0042】中空成形体を製造するにあたっては、本発
明の共重合ポリエステルから形成したプリフォームを延
伸ブロー成形してなるもので、従来よりPETのブロー
成形で用いられている装置を用いることができる。具体
的には、例えば、射出成形または押出成形で一旦プリフ
ォームを成形し、そのままで、あるいは口栓部、底部を
加工後それを再加熱し、ホットパリソン法あるいはコー
ルドパリソン法などの二軸延伸ブロー成形法が適用され
る。この場合の成形温度、具体的には成形機のシリンダ
ー各部およびノズルの温度を、通常260〜280℃の
範囲で、一般のPETの場合より1〜10℃低く設定で
き、オリゴマー量を低く抑えることが容易である。ま
た、極限粘度の低下も低く抑えることができ、副生する
アセトアルデヒドの量も低く抑えることが容易である。
延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜1
10℃で、延伸倍率は、通常、縦方向に1.5〜3.5
倍、円周方向に2〜5倍の範囲で行えばよい。
【0043】得られた中空成形体は、そのまま使用でき
るが、特に果汁飲料、ウーロン茶などのように熱充填を
必要とする内容液の場合には、一般に、さらにブロー金
型内で熱固定し、さらに耐熱性を付与して使用される。
熱固定は、通常、圧空等による緊張下、100〜200
℃、好ましくは120〜180℃で、数秒〜数時間、好
ましくは数秒〜数分間行われる。
【0044】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施
例に限定されるものではない。なお、本実施例中、
「部」は「重量部」を意味する。
【0045】本実施例で用いた種々の測定法を以下に示
す。なお、極限粘度および密度の測定法は前述の通りで
ある。 (1)ナフタレンジカルボン酸量(以下「NDCA量」
という) 常法により加メタノール分解後、生成したジメチルエス
テル体成分をガスクロマトグラフで定量し、全ジカルボ
ン酸成分に対する割合(モル%)で示した。 (2)ジエチレングリコール量(以下「DEG量」とい
う) 常法により加水分解し、生成したジオール体成分をガス
クロマトグラフィーで定量し、全ジオール成分に対する
割合(モル%)で示した。
【0046】(3)環状3量体含有量(以下「CT量」
という) 試料200mgを、クロロホルム/ヘキサフルオロイソ
プロパノール(容量比3/2)混液2mlに溶解し、さ
らにクロロホルム20mlを加えて希釈した。これに、
メタノール10mlを加え、試料を再析出させた後、濾
過し、濾液を得た。該濾液を乾固後、残渣をジメチルホ
ルムアミド25mlに溶解した液について液体クロマト
グラフ法にて分析、定量した。
【0047】(4)末端カルボキシル基濃度(以下「A
V」という。) 共重合ポリエステル試料100mgを、ベンジルアルコ
ール5mlに加熱溶解し、これにクロロホルム5mlを
加えて稀釈後、フェノールレッドを指示薬とし、0.1
N−水酸化ナトリウム/ベンジルアルコール溶液により
滴定し、定量した。
【0048】(5)総末端基濃度(以下「TEV」とい
う) 以下の式を用いて、極限粘度より算出した。 TEV={2000000/(1359×極限粘度)
1.460 }(単位:eq/ton)。
【0049】(6)総末端基に対する末端カルボキシル
基の割合(以下「AV/TEV」という) AVをTEVで除した値に100を乗じ、百分率表示し
た(単位:当量%)。 (7)ゲルマニウム原子含有量(以下「Ge量」とい
う) 共重合ポリエステル試料2.0gを硫酸存在下、常法に
より灰化、完全分解後、蒸留水にて100mlに定容し
たものについて、発光分光分析法により定量した。
【0050】(8)アンチモン原子含有量(以下「Sb
量」という) ゲルマニウム原子含有量の分析と同様にして、発光分光
分析法により定量した。 (9)リン原子含有量(以下「P量」という) ゲルマニウム原子含有量の分析と同様にして、発光分光
分析法により定量した。
【0051】(10)ガラス転移温度(Tg)と低温結
晶化温度(Tc) SEIKO I&E,SSC/580(DSC20)型
示差走査型熱量計(セイコー電子工業(株)製)を用
い、前述の方法により測定した。 (11)アセトアルデヒド含有量(以下「AA量」とい
う) 160℃で2時間水抽出後、ガスクロマトグラフで定量
した。
【0052】(12)固相重合速度 固相重合品の極限粘度とプレポリマーの極限粘度との差
を固相重合時間で除して得られる、固相重合時の単位時
間あたりの極限粘度の上昇率をもって、固相重合速度と
した(単位:dl/g/hr)。 (13)不活性気体流量 不活性気体流量は、単位時間(hr)当りおよび単位樹
脂重量(kg)当りの流通した気体量を1気圧、25℃
に換算した体積量(リットル)で示した。
【0053】
【実施例1】テレフタル酸12560部、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸518部、およびエチレングリコー
ル5900部のスラリーを調製し、あらかじめ300部
のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを添加
し、250℃に保持したエステル化槽に4時間かけて順
次供給した。供給終了後、さらに250℃で1時間保持
してエステル化反応を進行させた後、半量を重縮合槽に
移し、リン酸1.15部(対ポリマー150重量pp
m)および二酸化ゲルマニウム0.92部(対ポリマー
120重量ppm)を仕込み、250℃から280℃ま
で漸次昇温するとともに、常圧から漸次減圧し、0.5
mmHgに保持した。反応を3時間行った後、生成した
プレポリマーを重縮合槽の底部に設けた抜出口よりスト
ランド状に抜き出し、水冷後、チップ状にカットした。
該プレポリマーチップの分析結果を表−1に示す。
【0054】
【実施例2】テレフタル酸ジメチル14700部、2,
6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル378部、エチレ
ングリコール9600部および酢酸マンガン・4水塩
2.61部(対ポリマー175ppm)を反応缶に仕込
み、160℃から220℃まで4時間かけて漸次昇温
し、途中生成するメタノールを留去しながらエステル交
換反応を行った。
【0055】この反応物に、リン酸2.69部(対ポリ
マー180重量ppm)、二酸化ゲルマニウム1.79
部(対ポリマー120重量ppm)を加え、最終的に2
75℃、0.5mmHg下、重合時間を3時間として、
プレポリマーチップを得た。該プレポリマーチップの分
析結果を表−1に示す。
【0056】
【実施例3】2,6−ナフタレンジカルボン酸を339
部用いた以外は、実施例1と同様にして、プレポリマー
チップを得た。該プレポリマーチップの分析結果を表−
1に示す。
【0057】
【実施例4】2,6−ナフタレンジカルボン酸を253
部、二酸化ゲルマニウムを0.98部(対ポリマー13
0重量ppm)用い、原料スラリーのフィード終了後の
エステル化反応時間を1時間30分に延長した以外は、
実施例1と同様にして、プレポリマーチップを得た。該
プレポリマーチップの分析結果を表−1に示す。
【0058】
【実施例5】2,6−ナフタレンジカルボン酸を168
部、リン酸を1.34部(対ポリマー180重量pp
m)、二酸化ゲルマニウムを1.08部(対ポリマー1
45重量ppm)用いた以外は、実施例1と同様にし
て、プレポリマーチップを得た。該プレポリマーチップ
の分析結果を表−1に示す。
【0059】
【実施例6】2,6−ナフタレンジカルボン酸を874
部、リン酸を2.36部(対ポリマー300重量pp
m)、二酸化ゲルマニウムの代わりに三酸化アンチモン
を2.83部(対ポリマー360重量ppm)用い、原
料スラリーのフィード終了後のエステル化反応時間を4
0分に短縮した以外は、実施例1と同様にして、プレポ
リマーチップを得た。該プレポリマーチップの分析結果
を表−1に示す。
【0060】
【実施例7】リン酸を2.27部(対ポリマー300重
量ppm)、二酸化ゲルマニウムの代わりに三酸化アン
チモンを2.72部(対ポリマー360重量ppm)用
いた以外は、実施例3と同様にして、プレポリマーチッ
プを得た。該プレポリマーチップの分析結果を表−1に
示す。
【0061】
【実施例8】リン酸を1.20部(対ポリマー160重
量ppm)、二酸化ゲルマニウムの代わりに三酸化アン
チモンを2.17部(対ポリマー290重量ppm)用
いた以外は、実施例5と同様にして、プレポリマーチッ
プを得た。該プレポリマーチップの分析結果を表−1に
示す。
【0062】
【比較例1】2,6−ナフタレンジカルボン酸を添加し
なかった以外は、実施例1と同様にして、プレポリマー
チップを得た。該プレポリマーチップの分析結果を表−
1に示す。
【0063】
【比較例2】2,6−ナフタレンジカルボン酸を125
0部用いた以外は、実施例1と同様にして、プレポリマ
ーチップを得た。該プレポリマーチップの分析結果を表
−1に示す。
【0064】
【比較例3】調製スラリー中にジエチレングリコールを
350部添加した以外は、実施例3と同様にして、プレ
ポリマーチップを得た。該プレポリマーチップの分析結
果を表−1に示す。
【0065】
【比較例4】原料スラリーのフィード終了後のエステル
化反応時間を20分に短縮した以外は、実施例3と同様
にして、プレポリマーチップを得た。該プレポリマーチ
ップの分析結果を表−1に示す。
【0066】
【比較例5】エステル化反応の温度を246℃に設定し
た以外は、実施例7と同様にして、プレポリマーチップ
を得た。該プレポリマーチップの分析結果を表−1に示
す。
【0067】
【比較例6】二酸化ゲルマニウムを0.53部(対ポリ
マー70重量ppm)用い、重合時間を3時間20分と
した以外は、実施例3と同様にして、プレポリマーチッ
プを得た。該プレポリマーチップの分析結果を表−1に
示す。
【0068】
【比較例7】三酸化アンチモンを1.36部(対ポリマ
ー180重量ppm)用い、重合時間を3時間20分と
した以外は、実施例7と同様にして、プレポリマーチッ
プを得た。該プレポリマーチップの分析結果を表−1に
示す。
【0069】
【実施例9】実施例1で得られたプレポリマーチップ表
面を、攪拌結晶化機(Bepex社製)にて140℃に
て結晶化させた後、静置固相重合塔に移し、20リット
ル/kg/hrの窒素流通下、約140℃で3時間乾燥
後、208℃で20時間固相重合し、固相重合チップを
得た。該固相重合チップの分析結果を表−2に示す。
【0070】
【実施例10〜18】実施例1〜8で得られたプレポリ
マーチップを用い、実施例9と同様にして、208℃ま
たは215℃で、20時間、固相重合し、固相重合チッ
プを得た。該固相重合チップの分析結果を表−2に示
す。
【0071】
【比較例8〜16】比較例1〜7で得られたプレポリマ
ーチップを用い、実施例9と同様にして、208℃で2
0時間または30時間、もしくは215℃で20時間、
固相重合し、固相重合チップを得た。該固相重合チップ
の分析結果を表−2に示す。
【0072】
【実施例19】実施例9で得られた固相重合チップを用
いて、シリンダー各部およびノズルヘッドの温度を27
0℃、スクリュー回転数100rpm、射出時間10
秒、金型冷却水温度10℃に設定した東芝(株)製IS
−60B型射出成形機で、プリフォームを成形した。こ
のプリフォームの口栓部を自製結晶化機で加熱結晶化さ
せた後、予熱炉温度90℃、ブロー圧力20kg/cm
2 、成形サイクル10秒に設定した延伸ブロー成形機で
ブロー成形し、胴部平均肉厚300μm、内容積1リッ
トルの瓶とし、引き続いて150℃に設定した金型内で
圧空緊張下、10秒間熱固定した。該熱固定瓶の分析結
果を表−3に示す。
【0073】また、連続成形試験として、1000本の
瓶を連続成形したが、射出、吹き込み、および熱固定の
いずれの金型にも汚染は認められなかった。さらに、熱
充填試験として、90℃で殺菌し、85℃まで放冷した
オレンジ果汁液を該熱固定瓶に充填し、密栓後15分間
倒置した後の瓶の変形を観察したが、液漏れや、口栓
部、肩部および胴部などの変形は全く認められなかっ
た。
【0074】
【実施例20〜31】実施例9〜18で得られた固相重
合チップを用い、射出成形機のシリンダー各部およびノ
ズルヘッドの温度を、265℃、270℃または275
℃とした以外は、実施例19と同様にして熱固定瓶を成
形した。該瓶の分析結果を表−3に示す。
【0075】また、実施例19と同様な連続成形試験を
行い、成形後の金型を観察したが、いずれの固相重合チ
ップを用いた場合にも、射出、吹き込み、および熱固定
のいずれの金型にも汚染は認められなかった。さらに、
実施例19ど同様な熱充填試験を行ったが、いずれの固
相重合チップを用いた熱固定瓶においても、液漏れや、
口栓部、肩部および胴部などの変形は全く認められなか
った。
【0076】
【比較例17〜26】比較例8〜16で得られた固相重
合チップを用い、射出成形機のシリンダー各部およびノ
ズルヘッドの温度を270℃または275℃とした以外
は、実施例19と同様にして熱固定瓶を成形した。該瓶
の分析結果を表−3に示す。なお、比較例8の固相重合
チップを用い、シリンダー各部およびノズルヘッドの温
度を270℃として射出成形をした場合には、白化した
プリフォームしか得られず、良好な成形は行えなかっ
た。この原因として、該固相重合チップは、ナフタレン
ジカルボン酸成分が共重合されていないために融点が高
く、射出成形温度270℃では、完全には溶融しえなか
ったことが考えられる。
【0077】また、実施例19と同様な連続成形試験を
行い、成形後の金型を観察した。比較例11で得られた
固相重合チップ、および比較例12で得られた固相重合
チップを用いた場合には、射出、吹き込み、および熱固
定のいずれの金型にも汚染は認められなかった。比較例
11、比較例12以外の固相重合チップを用いた場合に
は、程度の違いはあるものの、いずれの場合も、白い薄
膜状の付着物が認められた。目視観察では、成形体中の
環状3量体の含有量が多いものほど、金型の汚染は顕著
になる傾向にあった。
【0078】さらに、実施例19と同様な熱充填試験を
行った。比較例11で得られた固相重合チップ、および
比較例12で得られた固相重合チップを用いて成形した
熱固定瓶では、肩部や胴部が大きく変形するとともに、
口栓部からの液漏れが認められた。比較例11、比較例
12以外の固相重合チップを用いた熱固定瓶において
は、液漏れや、口栓部、肩部および胴部などの変形は認
められなかった。
【0079】
【実施例32】実施例13で得られた固相重合チップを
用いて、シリンダー各部およびノズルの各部の温度を2
75℃、スクリュー回転数40rpm、押出量80g/
分に設定した30mmφ押出機で肉厚300μmのシー
トを成形した。連続的に10時間押出成形を継続した
が、冷却ドラムの汚染はほとんど認められなかった。さ
らに、この押出シートを槽内90℃に設定したロング二
軸延伸機(T.M.Long社製)で3×3倍に同時に
二軸延伸した後、緊張下、オーブン中、200℃で12
0秒間熱固定し、30μm肉厚の延伸フィルムを得た。
該フィルムの分析結果を表−4に示す。
【0080】
【実施例33〜35】実施例13、実施例17、および
実施例18で得られた固相重合チップを用いて、シリン
ダー各部およびノズルの各部の温度を270℃または2
75℃とし、実施例32と同様にして、肉厚300μm
のシートを成形した。連続的に10時間押出成形を継続
したが、いずれの固相重合チップを用いた場合にも、透
明なシートを良好に成形でき、冷却ドラムの汚染はほと
んど認められなかった。さらに、これらの押出シートを
用いて、実施例32と同様にして、30μm肉厚の熱固
定二軸延伸フィルムを得た。該フィルムの分析結果を表
−4に示す。
【0081】
【比較例27〜28】比較例8で得られた固相重合チッ
プを用いて、シリンダー各部およびノズルの各部の温度
を270℃または275℃とし、実施例32と同様にし
て、肉厚300μmのシートを成形した。シリンダー各
部およびノズルの各部の温度を275℃とした場合に
は、透明なシートが得られたが、連続的に10時間押出
成形を継続したところ、冷却ドラムに白い薄膜状の付着
物が認められた。さらに、この押出シートを用いて、実
施例32と同様にして、30μm肉厚の熱固定二軸延伸
フィルムを得た。該フィルムの分析結果を表−4に示
す。
【0082】一方、シリンダー各部およびノズルの各部
の温度を270℃とした場合には、白化したシートが得
られ、良好な成形が行えなかった。この原因として、該
固相重合チップは、ナフタレンジカルボン酸成分が共重
合されていないために融点が高く、射出成形温度270
℃では、完全には溶融しえなかったことが考えられる。
【0083】以上の実施例に示したように、本発明の共
重合ポリエステルは、オリゴマー含量が少ない上、成形
時のオリゴマー副生量も少ない。また、ホモPETに比
べて、低温で成形できるために、一層、成形時のオリゴ
マー副生量を少なくすることができる。したがって、本
発明の共重合ポリエステルを成形した場合には、金型汚
染が発生しにくいため、成形品を製造する際に成形装置
を頻繁に洗浄する必要がなく、ボトル、フィルム、シー
トなどの成形品の生産性を向上させることができる。し
かも、本発明の共重合ポリエステルは、耐熱性、機械的
強度などに優れており、耐熱性を要する果汁飲料用容器
などの成形材料として好適である。
【0084】さらに、本発明の共重合ポリエステルは、
その製造過程の固相重合工程における、オリゴマー含有
量の減少速度が速いため、従来のホモPETに比較し、
短時間で目的のオリゴマー含有量とすることができるの
みならず、加えて、極限粘度の上昇速度が速いため、従
来のホモPET同等ないしはより短時間で、目的の極限
粘度とすることができるため、非常に生産性が高い。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
【表6】
【0091】
【表7】
【0092】
【発明の効果】本発明の共重合ポリエステルは、オリゴ
マー含量が少ない上、成形時のオリゴマー副生量も少な
い。また、ホモPETに比べて、低温で成形できるため
に、一層、成形時のオリゴマー副生量を少なくすること
ができる。したがって、本発明の共重合ポリエステルを
成形した場合には、金型汚染が発生しにくいため、成形
品を製造する際に成形装置を頻繁に洗浄する必要がな
く、ボトル、フィルム、シートなどの成形品の生産性を
向上させることができる。しかも、本発明の共重合ポリ
エステルは、耐熱性、機械的強度などに優れており、耐
熱性を要する果汁飲料用容器などの成形材料として好適
である。
【0093】さらに、本発明の共重合ポリエステルは、
その製造過程の固相重合工程における、オリゴマー含有
量の減少速度が速いため、従来のホモPETに比較し、
短時間で目的のオリゴマー含有量とすることができるの
みならず、加えて、極限粘度の上昇速度が速いため、従
来のホモPET同等ないしはより短時間で目的の極限粘
度とすることができるため、非常に生産性が高い。以上
の点から、本発明の共重合ポリエステルは、その工業的
価値が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木代 修 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三菱化成株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−1724(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、
    ジオール成分としてエチレングリコールを主成分とする
    共重合ポリエステルであって、(1)ジカルボン酸成分
    としてナフタレンジカルボン酸が0.2〜6.0モル
    %、(2)ジオール成分としてジエチレングリコールが
    0.2〜3.0モル%、(3)極限粘度が0.50〜
    1.50dl/g、(4)密度が1.37g/cm3
    上、(5)環状3量体の含有量が0.40重量%以下、
    であることを特徴とする共重合ポリエステル。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の共重合ポリエステルで
    あって、末端カルボキシル基の濃度が18eq/ton
    以下であることを特徴とする共重合ポリエステル。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の共重合ポリエステルで
    あって、総末端基に対する末端カルボキシル基の割合が
    7〜25当量%であることを特徴とする共重合ポリエス
    テル。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の共重合ポリエステルで
    あって、ゲルマニウム原子の含有量が30〜60重量p
    pmであることを特徴とする共重合ポリエステル。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の共重合ポリエステルで
    あって、アンチモン原子の含有量が150〜300重量
    ppmであることを特徴とする共重合ポリエステル。
  6. 【請求項6】 ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、
    ジオール成分としてエチレングリコールを主成分とし、
    (1)ジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸
    が0.2〜6.0モル%、(2)ジオール成分としてジ
    エチレングリコールが0.2〜3.0モル%、(6)極
    限粘度が0.45〜0.70dl/g、(7)末端カル
    ボキシル基の濃度が10〜30eq/ton、であるプ
    レポリマーを固相重合することにより製造された、請求
    項1に記載の共重合ポリエステル。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の共重合ポリエステル
    を、射出成形または押出成形して成るプリフォームを、
    二軸延伸ブロー成形して成る該共重合ポリエステル製中
    空容器。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の共重合ポリエステル
    を、射出成形または押出成形して成る該共重合ポリエス
    テル製シート状物。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のシート状物を、少なく
    とも一方向に延伸して成る該共重合ポリエステル製延伸
    フィルム。
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