JP4362074B2 - アルデヒド類、酸性ガス及び塩基性ガス除去材料 - Google Patents

アルデヒド類、酸性ガス及び塩基性ガス除去材料 Download PDF

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Description

本発明は、アルデヒド類、酸性ガス及び塩基性ガスを除去する材料に関する。
近年、新築家屋や住宅のリフォーム時に使用される建材や壁材から室内に放出されるホルムアルデヒドなどの有害化学物質を原因とするシックハウス症候群が問題となっており、これらの有害化学物質を除去する技術の提供が急務とされている。
これまでは、特にタバコの喫煙によって生じる低級アルデヒド類を要因とする悪臭や、アンモニア、アミン類、硫化水素、メルカプタン類などの悪臭を除去することを目的として、種々の消臭性繊維材料が開発されてきた。
例えば、ポリアルキレンイミン(NH(CRCRNH)H(Rは水素又はアルキル基))をカルボキシル基等の酸性基を有する有機高分子基材と結合させてなる消臭用高分子が、アセトアルデヒド、亜硫酸ガス及び亜硝酸ガスに対して優れた消臭性能を有すると報告されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1記載の消臭用高分子は、塩基性ガスの吸着性能を有していない。
また、カルボキシル基に遷移金属イオンを結合させた繊維金属塩を含有する消臭繊維が、タバコ臭のようなカルボニル基を有する化合物、硫化水素、アンモニア、トリメチルアミンなどに対して消臭性能を有すると報告されている(特許文献2及び3参照)。
しかしながら、特許文献2記載の消臭繊維は、湿式紡糸法によって得られるアクリル系合成繊維を使用し、特許文献3記載の消臭性繊維材料は、合成樹脂バインダーを使用することから、素材が限定されてしまう。
特開平3-218766号公報 特開平8-74131号公報 特開平10-292263号公報
そこで、本発明は、素材に対する制限がより少なく、アルデヒド類、酸性ガス及び塩基性ガスを効率的に吸着除去する材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、素材に対する制限がより少なく、スルホン酸基の付加量をコントロールすることが可能なグラフト重合及びスルホン酸基に変換が容易なグラフトモノマーを用いることにより、有機高分子基材の表面ばかりでなくその内部にまでスルホン酸基を導入し得ること、及び有機高分子基材表面に導入されたスルホン酸基に対してポリアミン化合物を反応させて第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の塩基性官能基を固定し得ること、さらにスルホン酸基と未結合のこれら塩基性官能基及び第1級アミノ基を有するポリアミン層を有機高分子基材表面に形成し得ること、を知見し、主としてアルデヒド類の吸着サイトとなる第1級アミノ基、主として酸性ガスの吸着サイトとなる遊離の塩基性官能基、主として塩基性ガスの吸着サイトとなるスルホン酸基を有する、アルデヒド類、酸性ガス及び塩基性ガスを効率的に吸着除去可能な材料を得ることに成功した。
すなわち、本発明によれば、グラフト重合法により導入されたスルホン酸基を有する有機高分子基材を含むコア層と、該コア層の表面のスルホン酸基と第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の塩基性官能基との結合によって該コア層表面に固定化されていて、さらにスルホン酸基と未結合の第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の塩基性官能基、及び第1級アミノ基を有するポリアミン層と、の二層構造を含むアルデヒド類、酸性ガス及び塩基性ガス除去材料が提供される。
本発明において、コア層は、グラフト重合法により有機高分子基材表面ばかりでなく有機高分子基材内部にまで導入されたスルホン酸基を有する有機高分子基材を含み、主として塩基性ガスの吸着サイトを構成する。グラフト重合法によりスルホン酸基を導入してなる有機高分子基材は、スルホン酸基を導入するグラフト重合部分が架橋構造を持たず、気体や低分子物質の流通や接触に対して高い自由度を有するので、吸着除去しようとする塩基性ガスとの接触効率及び接触面積が高く、効率的に塩基性ガスを吸着除去することができる。また、ポリアミン層は、主として酸性ガス吸着サイトを構成する遊離の第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基から選択される少なくとも1種の塩基性官能基と、主としてアルデヒド類吸着サイトを構成する第1級アミノ基と、を含む。さらに、ポリアミン層は、コア層表面のスルホン酸基と結合している第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基から選択される少なくとも1種の塩基性官能基を含み、図1に示すようにコア層1の表面にポリアミン層2が固定されてなる二層構造を形成する。
本発明において用いるグラフト重合法としては、過酸化ベンゾイル等の過酸化物をラジカル開始剤として用い、加熱、酸化、還元のいずれかによってグラフト重合を開始させる方法であっても、グラフト用基材に放射線を照射することによってラジカルを生成させてグラフト重合を開始させる放射線グラフト重合法であってもよい。また、モノマーとグラフト用基材との接触方法により、モノマー溶液にグラフト用基材を浸漬させたまま重合を行う液相グラフト重合法、モノマーの蒸気にグラフト用基材を接触させて重合を行う気相グラフト重合法、グラフト用基材をモノマー溶液に浸漬した後、モノマー溶液から取り出して気相中で反応を行わせる含浸気相グラフト重合法などが挙げられるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。
本発明においては、グラフト鎖の数や長さを比較的自由にコントロールすることができ、各種形状の既成の高分子材料に重合体側鎖を導入することができ、グラフト用基材内部までのより効果的なグラフト重合が可能で、スルホン酸基を導入可能な側鎖をグラフト用基材内部にまで形成させることができる放射線グラフト重合法が特に好ましい。放射線グラフト重合法において用いることのできる放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、紫外線などを挙げることができるが、本発明において用いるのにはγ線や電子線が特に適している。
放射線グラフト重合法には、グラフト用基材に予め放射線を照射した後、重合性単量体(グラフトモノマー)と接触させて反応させる前照射グラフト重合法と、グラフト用基材とモノマーの共存下に放射線を照射する同時照射グラフト重合法とがあり、いずれの方法も本発明において用いることができる。しかし、前照射グラフト重合法の場合にはグラフト重合以外の副反応が生じにくいので特に好ましい。前照射グラフト重合法を用いる場合には、温度20〜80℃、好ましくは30〜50℃で、20分〜6時間、好ましくは30分〜3時間かけて反応させることが好ましい。
放射線グラフト重合法において、放射線をグラフト用基材に照射するには窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で照射することが好ましく、照射量は10〜300kGy、好ましくは50〜200kGyである。照射量が10kGy未満の場合には、生成するラジカル密度が少なく、到達グラフト率が小さくなる。一方、照射量が300kGyを越える場合には、基材の劣化が顕著となる。
本発明において用いる有機高分子基材としては、グラフト重合法によりスルホン酸基を基材の表面及び内部にまで導入することができる高分子素材繊維又は該高分子素材繊維の集合体、例えば織布及び不織布、又はネット、フィルム、多孔質膜などを好ましく挙げることができる。
高分子素材繊維は、表面積が大きく、通気性が高く、微量イオンの除去速度を大きくすることができ、更に軽量で成形加工するのが容易である。高分子素材繊維の形状の具体例としては、長繊維及びその加工品、短繊維及びその加工品並びにそれらの切断短体などが挙げられる。長繊維としては、例えば連続フィラメントが挙げられ、短繊維としては例えばステープルファイバーが挙げられる。これら高分子素材の長繊維及び短繊維から製造される種々の織布及び不織布は、軽量でマスク状など所望の形状に加工することが容易であり、本発明において用いるのに好適である。また、複数種類の高分子繊維素材の組合せも用いることができ、例えば強度を持たせるため、芯部にポリエステル系の結合を持つポリエチレンテレフタレートなどを用い、表面部にはポリエチレンを用いた複合素材繊維を用いることもできる。
多孔質膜としては、多孔性高分子膜又は無機物を含む多孔性分子膜を挙げることができる。多孔質膜基材の形態としては、多孔性平膜、中空糸膜のいずれも適用可能である。
本発明において用いることができる有機高分子基材としては、特に、放射線グラフト重合法によってモノマーをグラフト重合させることのできるものが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のようなポリオレフィン、PTFE、ポリ塩化ビニル等のようなハロゲン化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、セルロース、及びこれらの共重合体、例えばエチレン−四フッ化エチレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVA)等に代表されるオレフィン−ハロゲン化オレフィン共重合体を挙げることができる。特に、放射線に対して崩壊性を示さないポリオレフィン系又はハロゲン化ポリオレフィン系の重合体又は共重合体が好ましい。
本発明において、グラフト重合法により有機高分子基材に導入されるスルホン酸基は、スルホン酸基を有する重合性単量体(グラフトモノマー)をグラフト重合により直接、有機高分子基材に導入したものでも、あるいは、まずスルホン酸基を導入可能な重合性単量体をグラフト重合させた後、スルホン化させて導入したものでもよい。
スルホン酸基を有する重合性単量体としては、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム等のナトリウム型スルホン酸塩、及びこれらの遊離型(H型)のものを挙げることができる。
また、それ自体スルホン酸基を有しないが、スルホン酸基を導入することが可能な重合性単量体としては、メタクリル酸グリシジル(GMA)、スチレン、アクリロニトリル、アクロレイン、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレン等を挙げることができる。これらのスルホン酸基を導入可能な重合性単量体をグラフト重合した後にスルホン酸基を導入する方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば、スチレンをグラフト重合した後、硫酸やクロロスルホン酸を反応させてスルホン化することによって、スルホン酸基を重合体側鎖上に導入することができる。スルホン酸基導入後は、ナトリウム型のスルホン酸塩を酸処理により遊離型のスルホン酸とすることができる。
本発明において、ポリアミン層は、コア層表面のスルホン酸基と第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の塩基性官能基との酸塩基結合によって該コア層表面に固定化されていて、さらに該スルホン酸基と結合していない第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の遊離の塩基性官能基、及び第1級アミノ基を有し、主としてアルデヒド類の吸着サイト及び酸性ガスの吸着サイトを構成する。ここで、第1級アミノ基は、アルデヒドを取り込んでイミンを形成させるアルデヒド類の吸着サイトを構成する。また、スルホン酸基と未結合の第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の遊離の塩基性官能基は、酸性ガスの吸着サイトを構成する。本発明において、酸性ガスの吸着サイトを構成する塩基性官能基は、塩基性の最も強い第4級アンモニウム基であることが特に好ましい。
本発明において用いることができるポリアミン化合物としては、芳香族ポリアミン、脂肪族ポリアミンのいずれもよく、例えば次式
Figure 0004362074
のポリアリルアミン、次式
Figure 0004362074
のポリエチレンイミン、次式
Figure 0004362074
のポリビニルアミンなどを挙げることができ、特に塩基性官能基の量が大きいポリエチレンイミンを好ましく用いることができる。
本発明において、ポリアミン化合物は主としてコア層の表面に存在するがコア層内部には存在せず、ポリアミン層は、第1級アミノ基と、コア層表面のスルホン酸基と結合している第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の塩基性官能基と、スルホン酸基と未結合の第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の塩基性官能基とを含む。特に、本発明においてはアルデヒド類吸着サイトを構成する第1級アミノ基がポリアミン層に存在することが必要になるので、ポリアミン化合物は第1級アミノ基を多く含有するものであることが好ましい。
また、ポリアミン化合物は、その分子量によってはコア層内部にまで浸透するので、ポリアミン化合物が過剰に浸透しない範囲の比較的高い分子量を有することが好ましい。ただし、ポリアミン化合物がコア層内部に浸透する分子量の大きさは、コア層を形成する有機高分子基材の形状(繊維の密度や多孔膜の孔径など)に依存するので、用いる有機高分子基材によって変動する。一方、分子量が高くなりすぎると、ポリアミン化合物の粘性が高くなり、取り扱いが困難になる。そこで、コア層内部に浸透せず且つ粘性が高くなりすぎない範囲の分子量とすることが好ましく、数平均分子量(Mw)が約1,000〜約100,000の範囲の分子量が好ましく、約5,000〜約20,000の範囲の分子量であることが特に好ましい。
ポリアミン化合物の導入は、ポリアミン化合物を水やアルコールなどの有機溶媒もしくはこれらの混合溶媒等に溶解させてポリアミン化合物溶液を得て、この溶液にスルホン酸基が導入されている有機高分子基材を浸漬させ、その後、余分なポリアミン化合物の溶液を取り除くために水洗し、温風乾燥などにより乾燥させることによって、行うことができる。
本発明の二層構造のアルデヒド類、酸性ガス及び塩基性ガス除去材料は、アルデヒド類吸着サイト、酸性ガス吸着サイト及び塩基性ガス吸着サイトを有し、これら有毒物質を効果的に吸着除去することができ、基材に特に制限がないので種々の用途に用いることができる。例えば、エアコンや空気清浄機のような能動的に空気を循環させる機材に用いるフィルタ、壁材や床材などの受動的に空気に接触する内装材、マスク、マスク用フィルタなどの素材として用いることができる。特に、基材として適度な空隙を有する不織布を用いる場合には、通気性に優れるので、フィルタ用素材として好適である。
また、本発明によれば、グラフト重合により有機高分子基材にスルホン酸基を導入して、スルホン酸基を有する有機高分子基材を含むコア層を形成するコア層形成工程と、形成されたコア層とポリアミン化合物とを反応させて、該コア層の表面のスルホン酸基に、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の塩基性官能基を結合させると共に、スルホン酸基と未結合の第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の塩基性官能基と、第1級アミノ基と、を有するポリアミン層を形成させるポリアミン層形成工程と、を含む、二層構造のアルデヒド類、酸性ガス及び塩基性ガス除去材料の製造方法が提供される。
好ましい実施形態
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
スルホン酸基を導入する有機高分子基材として、繊維径15μmのポリエチレンテレフタレート(PET)(芯)/ポリエチレン(PE)(鞘)の複合繊維からなる目付26g/m、厚さ0.13mmの熱融着不織布を用いた。この不織布基材を10cm角に切断して、窒素ガス雰囲気下にて、電子線150kGyを照射した後、メタクリル酸グリシジル(GMA)100%液に浸漬し、不織布重量の96%のGMAモノマーを含浸させた。
続いて、GMAモノマーを含浸させた不織布をアンプルに移して、真空ポンプで6.7hPaまで真空吸引した後、アンプルを45℃の恒温槽に入れて、4時間反応させることによって、グラフト率92%のGMAグラフト重合不織布を得た。
得られたGMAグラフト重合不織布をスルホン化液(亜硫酸ナトリウム8%、イソプロピルアルコール12%を含む水溶液)に浸漬し、10時間反応させてスルホン化させた。得られたスルホン化物のナトリウム塩を5%塩酸水溶液で遊離型とした後、塩化ナトリウム水溶液を用いて中性塩分解容量を測定したところ、185meq/mであった。
この不織布を大過剰の5%塩酸水溶液で再び遊離型(H型)としてから、さらに洗浄し、乾燥させて、スルホン酸基が導入された不織布(以下、単に「コア層」という)を調製した。
次に、得られたコア層を1%ポリエチレンイミン(商品名:エポミンSP−200、日本触媒製)水溶液60mlに約5分間、数回裏返しながら浸漬し、コア層表面のスルホン酸基と結合させて、本発明のコア層とポリアミン層とからなる二層構造の吸着材料を得た。
続いて、この吸着材料を取り出し、純水150mlに浸漬し、約5分間撹拌して洗浄し、洗浄液の電気伝導度を測定した。洗浄は、洗浄液の電気伝導度が純水程度に下がるまで繰り返した。本実施例では、純水の電気伝導度0.7μS/cmに到達するまで5回の洗浄を要した。洗浄後の吸着材料を50℃の乾燥機中で2時間かけて乾燥させ、続いて50℃の恒温真空乾燥機で3時間かけて乾燥させた。乾燥後、吸着材料の重量を測定したところ、ポリエチレンイミンが20.5mg固定化されたことがわかった。
[XMA分析]
実施例1で調製した吸着材料の構造をX線マイクロアナライザー(XMA)による元素分布を分析して確認した。
実施例1で調製した吸着材料を塩酸0.5mol/lに2時間以上浸漬させた後、純水で洗浄して余分な塩酸を除き、乾燥させて、ポリエチレンイミンのアミノ基を塩酸塩型サンプルとした。次に、このサンプルに炭素を蒸着させて、繊維断面に関してXMAによる元素分布を分析したところ、硫黄は基材繊維内部にまで分布しているが、塩素は主として基材繊維表面にのみ存在することがわかった。硫黄は、スルホン酸基に由来するもので、スルホン酸基が基材繊維内部にまで付加されているといえる。塩素は、ポリアミン化合物のアミノ基の塩酸塩に由来するもので、アミノ基は基材繊維表面に留まっているといえる。すなわち、実施例1で調製した本発明の吸着材料は、スルホン酸基が導入されてなるコア層と、アミノ基が導入されてなるポリアミン層と、の二層構造であることがわかった。
[ホルムアルデヒドの除去性能試験]
実施例1で調製した吸着材料を10リットルの気体サンプリング用アルミバッグに入れ、窒素ガス10リットルを充填した。一方、100ミリリットルのガラス製アンプル瓶にホルムアルデヒド液40mlを入れて密栓し、室温で2時間以上放置した後、アンプル瓶のヘッドスペースからガスタイトシリンジを用いて10mlのガスを抜き出して、吸着材料が入っている気体サンプリング用アルミバッグに注入した。
このアルミバッグ内のホルムアルデヒド濃度を検知管(商品番号:No. 91L、ガステック社製)を用いて定期的に測定した。対照として、吸着材料を充填しない気体サンプリング用アルミバッグを準備し、同様にホルムアルデヒドを注入して、アルミバッグ内のホルムアルデヒドの自然減少を測定した。結果を表1に示す。なお、表中、注入直後とは、注入から測定終了まで6分経過時点を意味する。
Figure 0004362074
表1から、本発明の吸着材料は、ホルムアルデヒドに対する除去効果が十分にあることがわかる。
[アンモニア除去性能試験]
実施例1で調製した吸着材料を10リットルの気体サンプリング用アルミバッグに入れ、窒素ガス10リットルを充填した。一方、100ミリリットルのガラス製アンプル瓶に25%アンモニア水10mlを入れて密栓し、2時間以上放置した後、アンプル瓶のヘッドスペースからガスタイトシリンジを用いてガス200μlを抜き出して、吸着材料が入っている気体サンプリング用アルミバッグに注入した。
このアルミバッグ内のアンモニア濃度を検知管(商品番号:No. 3L、ガステック社製)を用いて定期的に測定した。対照として、吸着材料を充填しない気体サンプリング用アルミバッグを準備し、同様にアンモニアを注入して、アルミバッグ内のアンモニアの自然減少を測定した。結果を表2に示す。なお、表中、注入直後とは、注入から測定終了まで1分経過時点を意味する。
Figure 0004362074
表2から、本発明の吸着材料は、アンモニアに対する除去効果が十分にあることがわかる。
[酢酸除去性能試験]
実施例1で調製した吸着材料を10リットルの気体サンプリング用アルミバッグに入れ、窒素ガス10リットルを充填した。一方、100ミリリットルのガラス製アンプル瓶に酢酸10mlを入れて密栓し、2時間以上放置した後、アンプル瓶のヘッドスペースからガスタイトシリンジを用いてガス2.5mlを抜き出して、吸着材料が入っている気体サンプリング用アルミバッグに注入した。
このアルミバッグ内の酢酸濃度を検知管(商品番号:No. 81、ガステック社製)を用いて定期的に測定した。対照として、吸着材料を充填しない気体サンプリング用アルミバッグを準備し、同様に酢酸を注入して、アルミバッグ内の酢酸の自然減少を測定した。結果を表3に示す。なお、表中、注入直後とは、注入から測定終了まで1分経過時点を意味する。
Figure 0004362074
表3から、本発明の吸着材料は、酢酸に対する除去効果が十分にあることがわかる。
実施例3〜5の結果より、本発明の吸着材料は、ホルムアルデヒドに代表されるアルデヒド類、アンモニアに代表される塩基性ガス、酢酸に代表される酸性ガスに対する優れた吸着除去効果を発揮するといえる。
図1は、本発明の吸着材料の基本的な概念構造を示す模式図である。
符号の説明
1:スルホン酸基が導入されてなるコア層
2:ポリアミン層

Claims (4)

  1. 前照射放射線グラフト重合法により有機高分子基材内部及び表面に導入されたスルホン酸基を有する有機高分子基材を含むコア層と、
    該コア層の表面のスルホン酸基と、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の塩基性官能基と、の結合によって該コア層表面に固定化されていて、さらにスルホン酸基と未結合の第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の塩基性官能基、及び第1級アミノ基を有するポリアミン層と、
    の二層構造を含み、
    当該コア層のスルホン酸基が塩基性ガス吸着サイトを構成し、当該スルホン酸基と結合したポリアミン層の塩基性官能基がアルデヒド類吸着サイトを構成し、当該スルホン酸基と未結合の塩基性官能基が酸性ガス吸着サイトを構成してなる、アルデヒド類、酸性ガス及び塩基性ガス除去材料。
  2. 前記有機高分子基材は、高分子素材繊維又は該高分子素材繊維の集合体であり、該基材の表面及び内部にスルホン酸基が導入されている、請求項1に記載のアルデヒド類、酸性ガス及び塩基性ガス除去材料。
  3. 前照射放射線グラフト重合により有機高分子基材内部及び表面にスルホン酸基を導入して、スルホン酸基を有する有機高分子基材を含むコア層を形成するコア層形成工程と、
    形成されたコア層とポリアミン化合物とを反応させて、該コア層の表面のスルホン酸基に、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の塩基性官能基を結合させると共に、スルホン酸基と未結合の第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選択される1種以上の塩基性官能基と、第1級アミノ基と、を有するポリアミン層を形成させるポリアミン層形成工程と、
    を含み、
    当該コア層のスルホン酸基が塩基性ガス吸着サイトを構成し、当該スルホン酸基と結合したポリアミン層の塩基性官能基がアルデヒド類吸着サイトを構成し、当該スルホン酸基と未結合の塩基性官能基が酸性ガス吸着サイトを構成してなる、二層構造のアルデヒド類、酸性ガス及び塩基性ガス除去材料の製造方法。
  4. 前記有機高分子基材は、高分子素材繊維又は該高分子素材繊維の集合体である、請求項に記載の方法。
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