JP4357134B2 - 検査システムと検査装置と半導体デバイスの製造方法及び検査プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,半導体集積回路,薄膜磁気ヘッド,光デバイスなどの電子デバイスの製造過程で発生する異物ないしはパターン欠陥を管理する検査システムや異物ないしはパターン欠陥を検出する検査装置と,それを用いた製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路の製造を例に以下,従来技術を説明する。半導体集積回路(以下,LSIと称する)は,一般にシリコンウェーハ上に回路パターンなどの層が多層化されて複数のチップ(素子)を製造する前工程と,チップ毎に切り離し,製品を完成させる後工程に分かれている。製造中に発生する不良の大半は,微細加工を伴う長大な前工程で発生し,前工程での歩留り向上が,低コスト生産に重要な課題である。ここで,前工程での歩留りとは,前工程の最終試験である電気検査の結果で決まる良品率,すなわち,ウェーハ上の全チップ数に対する良品チップの割合のことである。
【0003】
前工程の不良は,機能不良とパラメトリック不良に大別できる。機能不良とは,製造途中に発生する異物やパターン欠陥(以下,総称して欠陥)が主な原因で,回路パターンの断線や短絡などを引き起こし,回路が正常に動作しない不良である。一方,パラメトリック不良とは,加工寸法,酸化膜厚などのプロセスの微妙なばらつきが原因で,トランジスタの動作速度が設計仕様を満たさない不良である。
【0004】
機能不良の原因となる異物やパターン欠陥を検出する目的で,前工程製造ラインでは,異物検査装置や外観検査装置といった欠陥検査装置が使われる。異物検査装置とは,特許第2533610号などに記載されているように,レーザ光をウェーハに照射し,その散乱光を検出する装置が一般的である。外観検査装置とは,特許第2981434号などに記載されているように,回路パターンの画像を撮像し,画像処理により異常個所を検出する装置である。
【0005】
製造ラインでは,歩留りを維持する目的で,一般に欠陥検査装置で検出される欠陥の個数を管理する。欠陥の個数を安定に保つことで,歩留りを高く維持できるという考え方である。しかし,欠陥の個数と歩留りの間には,必ずしも相関関係が成り立つわけでなく,欠陥の個数を管理することが得策とは言えない。理由は,発生した欠陥の大きさや種類,欠陥が発生した工程や位置などによって,歩留りを劣化する度合い(歩留り損失量)が異なるためである。
【0006】
欠陥検査の結果を歩留り損失量に換算して管理する一つの方法として,特開2000−223385号などがある。この方法は,電気検査の結果と欠陥検査の結果をLSIのチップ毎に対応づけを行い,欠陥による歩留り損失量を算出する。しかし,この方法は,ウェーハ毎に前工程の最終試験である電気検査の結果が必要であり,欠陥検査の後にすぐに歩留り損失量が出力されるわけではない。そのため,歩留り損失量が算出されるまでの時間が遅いという問題があった。
【0007】
欠陥検査の結果を歩留り損失量に換算して管理する別の方法として,欠陥検査の後に,個々の欠陥を電子顕微鏡などで観察し,致命な欠陥や非致命な欠陥などに分類し,致命な欠陥の個数を管理する方法がある。この方法は,分類の精度が高ければ,電気検査の結果を必要とせず,欠陥の観察後に,歩留り損失量を求めることができる。しかし,LSIの回路パターンが微細化し,さらに欠陥検査装置が高精度化しているため,欠陥検査装置で検出される欠陥の個数は飛躍的な増加を続けている。そのため,すべての欠陥を電子顕微鏡などで観察し,分類することは時間的制約で難しい状況である。
【0008】
これらの問題を解決する試みとして,欠陥検査の結果から歩留り損失量を予測する方法が提案されている。その代表的な方法が,クリティカルエリア法と呼ばれる方法である。クリティカルエリア法は,特開昭48−40376号,特開平8−162510,USP5598341号,論文集“IBM Journalof Research and Development”の1984年,28巻,4号に掲載された論文“Modeling of defects in integrated Circuit photolithographic”などに記されている。この方法では,欠陥はランダムな位置に発生し,また,欠陥の大きさの分布は,一定であるという仮定がある。欠陥の大きさの分布が一定とは,大きな欠陥は少なく,小さな欠陥は多く存在した場合,その関係はいつも不変であることを前提としている。しかし,実際のウェーハ上に発生する欠陥は,ランダムな位置に発生するとは限らない。また,大きさの分布も一定ではなく,小さい欠陥だけが多発することもある。そのため,クリティカルエリア法では,予測精度に問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では,電気検査の結果を待つことなく,欠陥検査の結果から,高精度に歩留り損失量を換算する。また,欠陥を電子顕微鏡などで観察しなくとも,歩留り損失量を換算することができ,製造ラインでは,対策が必要な製造工程の装置などを重点的に分析したり,管理するといった戦略を取ることができる。
【0010】
また,従来の歩留り損失量予測技術であるクリティカルエリア法は,欠陥がランダムな位置に発生するとか,欠陥の大きさの分布は,一定であるといった前提条件があった。しかし,本発明はそのような前提条件はなく,欠陥がランダムな位置に発生しなくとも有効である。また,ウェーハ毎に欠陥の大きさの分布が異なっても予測精度が低下することはない。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として,まず,被検査対象の有する異物もしくはパターン欠陥の位置と大きさを検出する検査装置と,該検査装置とネットワークを介して接続され,該検査装置が検出して得た検査データと被検査対象に形成されるデバイス内に設定した異物もしくはパターン欠陥の位置と大きさに対する致命率計算データとを記憶する記憶手段と,該検査装置が検出して得た検査データと該致命率計算データから,個々の異物もしくはパターン欠陥の致命率を算出し,さらに個々の異物もしくはパターン欠陥から算出された該致命率から,被検査対象の個々のチップの致命率を算出する算出手段とを有する解析ユニットとを備えた検査システムが一つの例である。
【0012】
また,検査対象の有する異物もしくはパターン欠陥の位置と大きさを検出する検査手段と,該検査手段で検出して得た検査データと,被検査対象に形成されるデバイス内に設定した異物もしくはパターン欠陥の位置と大きさに対する致命率計算データとを記憶する記憶手段と,該検査データと該致命率計算データから,個々の異物もしくはパターン欠陥の致命率を算出し,さらに個々の異物もしくはパターン欠陥から算出された該致命率から,被検査対象の個々のチップの致命率を算出する算出手段とを備えた検査装置が別の例である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を示す前に,まず,LSIウェーハのインラインの欠陥検査について図3を用いて,説明する。ウェーハの製造過程は,製造開始から製造完了まで,多数の製造工程や検査で構成されている。図3において,30などの白抜きの四角が,一つ一つの製造工程であり,斜線の四角31〜33が,欠陥検査,黒い四角34が,最終試験の電気検査である。欠陥検査では,欠陥の座標や大きさを出力する。また,電気検査34では,ウェーハに形成されたLSIチップ毎の良品と不良品を判定する。
【0014】
次に,本発明の実施形態を図面により説明する。
【0015】
図1は本発明でLSIウェーハの製造過程での欠陥検査の結果を歩留り損失量に換算する手順を示す一実施形態である。
【0016】
図1において,処理11では,欠陥マップデータを読み込む。
【0017】
図4が,欠陥マップデータの一例である。図4の例では,品種名,ウェーハ名,検査工程名,検査日などの付帯情報40に対して,欠陥毎の座標や大きさなどの欠陥マップデータ41が備わっている。欠陥マップデータ41は,4つの欠陥があることを意味し,それぞれの欠陥に「欠陥番号」として通し番号が記されている。例えば,欠陥番号1の欠陥は,ウェーハ上のチップ列の座標3,チップ行の座標1にあり,チップ内の座標がX=10,Y=80であり,欠陥の大きさは0.5であることを意味する。欠陥マップデータ41をウェーハのマップ状に図示したものが,42である。42の丸枠は,ウェーハを表わし,四角い枠は,ウェーハに形成されるLSIチップ,黒の打点51〜54は,欠陥の位置を表わす。打点51は,欠陥マップデータ41の欠陥番号1,打点52は,欠陥マップデータ41の欠陥番号2,打点53は,欠陥マップデータ41の欠陥番号3,打点54は,欠陥マップデータ41の欠陥番号4に対応する。ここで、欠陥の大きさの関しては、例えば異物の長手方向にみた長さを用いて定義することができるが、その場合に限らない。その他の方法として、異物の長手方向の長さΔYと、それと直角に交わる方向の長さΔXとを用いて、√(ΔXΔY)として定義しても本発明の範囲内である。
【0018】
処理11で読み込む欠陥マップデータは,欠陥検査の結果そのものである場合もあるが,図5のように,複数の欠陥検査の結果を用いて演算したデータの場合もある。図5の演算は,正味欠陥の抽出処理と呼ばれるものである。図5において,欠陥マップデータ43は,図3における欠陥検査31の結果であり,61〜66の欠陥を検出している。欠陥マップデータ44は,図3における欠陥検査32の結果であり,71〜75の欠陥を検出している。ここで,欠陥61と欠陥71,欠陥63と欠陥72,欠陥65と欠陥74は,それぞれ同一の座標で検出されている。これらは,欠陥検査31で検出されたものが,欠陥検査32でも再度検出されたものである。正味欠陥の抽出処理とは,欠陥検査32の結果から,欠陥検査31以降の製造過程で発生した欠陥だけを抽出する処理で,演算結果が欠陥マップデータ45である。
【0019】
次に,図1において,処理12では,致命率計算データを読み込む。
【0020】
図6が,致命率計算データの一例である。図6の例では,品種名,検査工程名などの付帯情報80に対して,欠陥の大きさ別に,欠陥の致命率を計算するためのデータが記されている。81は,欠陥の大きさが0より大きく0.4未満のデータ91へのリンクを示す。リンク先の91が,致命率計算データである。LSIチップを平面的に4分割し,欠陥がチップの左下部にあれば,致命率0.0,右下部にあれば,致命率0.1,左上部にあれば,致命率0.0,右上部にあれば,致命率0.1に計算する。同様に,82は,欠陥の大きさが0.4以上0.8未満のデータ92へのリンク,致命率計算データ92は,欠陥がチップの左下部にあれば,致命率0.2,右下部にあれば,致命率0.5,左上部にあれば,致命率0.4,右上部にあれば,致命率0.2に計算する。83は,欠陥の大きさが0.8以上1.2未満のデータ93へのリンク,93はリンク先の致命率計算データで,84は,欠陥の大きさが1.2以上のデータ94へのリンク,94はリンク先の致命率計算データである。図6の例では,大きさを4分割,LSIチップ内を4分割,合計16通りの致命率計算データをもつ。分割方法は,この例に限ったものではなく,細分化するほど,目的の歩留り劣化量の算出精度が良くなる。このように、LSIチップを分割してデータ管理し、欠陥の大きさと分割領域とに応じた致命率計算データを保持すると、LSIチップのエリア毎の配線密度(回路レイアウトの蜜や疎の状態)に応じた詳細な致命率を利用することができるため、後述する歩留まり損失量算出の精度を向上させることができる。
【0021】
次に,図1において,処理13では,欠陥毎の致命率を算出する。
【0022】
図7の46は,図4の欠陥マップデータ41と,図6の致命率計算データから計算した致命率付きの欠陥マップデータである。致命率付きの欠陥マップデータ46は,欠陥マップデータ41に,「致命率」の列が追記されている。例えば,欠陥番号1は,大きさ0.5であるから,図6の致命率計算データの82が参照される。次に,82のリンク先の92が参照され,チップ内の座標X=10,Y=80であるから,チップ内の左上部に対応し,致命率は0.4と計算される。当該計算結果が,致命率の列に記されている。
【0023】
次に,図2において,処理14では,チップ毎の致命率を算出する。
【0024】
図8は,図7の致命率付き欠陥マップデータ46から計算したチップ毎の致命率マップ47である。マップ47内の「0」「0.46」「0.7」「0.3」がそれぞれのLSIチップの致命率を示している。まず,致命率付き欠陥マップデータ46のチップ列とチップ行の座標から,欠陥をチップ毎に振り分ける。チップ列1,チップ行2には,欠陥番号3だけが存在し,欠陥番号3の致命率が0.7であるため,チップの致命率も「0.7」になる。チップ列2,チップ行3には,欠陥番号4だけが存在し,欠陥番号4の致命率が0.3であるため,チップの致命率も「0.3」になる。チップ列3,チップ行1には,欠陥番号1と欠陥番号2の2つの欠陥が存在する。そこで,チップの致命率は,欠陥番号1の致命率が,0.4,欠陥番号2の致命率が0.1であるから,1−{(1−0.4)×(1−0.1)}を計算し,当該チップの致命率は「0.46」になる。他のチップは,欠陥が一つも存在しないため,「0」になる。
【0025】
次に,図1において,処理15では,歩留り損失量を算出する。
【0026】
具体的には、図8の致命率マップ47の全チップの平均を計算する。すなわち,(0.46+0.7+0.3)÷9を計算すると,0.16になる。この結果,歩留り損失量は16%と計算される。
【0027】
次に,図1において,処理16では,計算した歩留り損失量を出力する。単に計算結果の16%を出力するだけでもよいが,図9〜図11のように,欠陥マップやチップの致命率マップを同時に出力するとユーザに親切である。
【0028】
このように,欠陥マップデータから歩留り損失量を算出できると,品質管理の観点からは,歩留り損失量の値に応じて,コストをかけて即時に不具合工程を対策すべきか,あるいは対策の優先順位を下げてもよいか判断できる。また,生産管理の観点からは,歩留り損失量が大きいとき,製品の生産量が減少することを定量的に把握できる。そこで,製品の生産量を計画どおりにするため,新たなにウェーハを即時に投入する。
【0029】
本実施の形態の図1に示すプログラム処理により、図3に示す電気検査34の検査結果を用いること無く欠陥検査31,32等の最新の結果を用いるだけで歩留まり損失量を算出することができる。このため、ウェーハの生産量の調整を早期予測に基づいて迅速に行うことができ、顧客納期に予定量を確実に生産する確度を向上させることができる。本実施の形態では歩留まり損失量は16%と算出されるが、この出力値に基づき、ユーザは受注量に上乗せして生産量を調整することができる。また、製造ラインシステムに対して、生産量調整の指示情報を送信して調整することもできる。
【0030】
図9は,画面100に欠陥マップ101と致命率マップ102と歩留り損失量103を並べて出力した例である。
【0031】
図10は,画面110に欠陥マップ101と,致命率とは逆に良品になる確率をマップ状に112のように出力した例である。良品になる確率は,各チップとも1から致命率を引いた値である。113は,DLY(Defect Limited Yield)すなわち「欠陥で制限される歩留り」として,100%から歩留り損失量を引いた値を出力したものである。DLYのように,歩留り損失量ではなく,歩留り損失量から計算できる別の指標も有効である。他には,論文集“IEEE Transactions on Semiconductor Manufacturing”の1990年,第3巻,第2号,60ページ〜71ページに掲載された著者J. A. Cunninghamの論文“The use and evaluation of yield models in integrated circuit manufacturing”などに記載されている数式を用いて,別の指標を計算できる。例えば,欠陥密度は,求めたDLYの対数を取り,LSIチップの面積で除算したものがその一つである。
【0032】
図11は,画面120に欠陥マップと致命率マップを重ねて出力したマップ121である。この例では,致命率マップを数値ではなく,濃淡ないしは色分けして出力した。122は歩留り損失量である。
【0033】
ここまでは,一つの欠陥マップデータ41から歩留り損失量を計算して,出力する実施形態を示した。
【0034】
次に,ある一定期間に行った複数のウェーハの欠陥検査結果から,歩留り損失量を管理する方法の一実施形態を説明する。
【0035】
図12は,2000年12月16日に,欠陥検査の来歴を調べた結果の一例である。例に示す製造ラインでは,LSIウェーハの欠陥検査は,P0001,P0002,P0003の3工程で行われている。3工程のいずれかで,2000年12月10日〜12月15日の期間に,欠陥検査が行われたウェーハの検査来歴を調べた結果である。この期間に6枚のウェーハが3工程のいずれかで検査されていた。検査来歴131のウェーハは,工程P0001で2000年11月29日に検査し,工程P0002で12月2日に検査し,工程P0003で12月10日に検査していた。このウェーハは,指定期間に,工程P0003を行っていた。検査来歴132のウェーハは,工程P0001〜P0003を,それぞれ2000年12月3日,12月10日,12月14日に検査し,このウェーハは,指定期間に,工程P0002と工程P0003の2工程を行っていた。検査来歴133のウェーハは,工程P0001で2000年12月4日に検査し,工程P0002で12月12日に検査したが,まだ,来歴を調べた日に,工程P0003は,まだ検査していなかった。このウェーハは,指定期間に,工程P0002を行っていた。検査来歴134のウェーハや検査来歴135のウェーハも,工程P0001,工程P0002をそれぞれ検査し,工程P0003は,まだ検査していなかった。検査来歴136のウェーハは,工程P0001だけを検査し,まだ,工程P0002,工程P0003は検査していなかった。
【0036】
図13は、図12に示した検査来歴に基づき,上記指定期間における各検査工程の歩留り損失量の平均を計算し,グラフ140を結果として出力した一例である。141は,工程P0001で,2000年12月10日〜12月15日に検査したウェーハから計算した歩留り損失量である。対象となるウェーハの検査来歴は,135と136である。歩留り損失量142の計算対象になったウェーハの検査来歴は,132〜135である。歩留り損失量143の計算対象になったウェーハの検査来歴は,131と132である。このように,グラフ140は,工程毎に異なるウェーハの欠陥マップデータから計算される。尚、各ウェーハの各検査における歩留まり損失量の算出方法は、上記の実施の形態で示した図1のフローと同様である。
【0037】
一定期間を指定して、歩留まり損失量を算出する本実施の形態では、現在仕掛り中のウェーハを含む複数のウェーハに関する最新の欠陥検査データを用いることとしているため、現在の製造ラインが有する致命欠陥を生ずる可能性の高いライン部分を精度良く抽出することができる。図13の出力では、検査工程P0002の歩留まり損失量が最も高いことが分かるため、検査工程P0001からP0002の間の工程群をチェックすれば、歩留まりを改善するのにもっとも効率が良いことがわかる。また、本実施の形態では、複数のウェーハに基づく欠陥検査データの平均値を用いているため、前述した1枚のウェーハの欠陥検査データに基づく歩留り損失量を算出する実施形態よりも精度よく予測することができる。
【0038】
以上,欠陥マップデータから歩留り損失量を計算し,結果をユーザに提供する方法の実施形態の例を説明した。
【0039】
次に,図6で例を示した致命率計算データの作成方法を説明する。図6で示した致命率計算データは,上記の歩留り損失量を計算するときには,予め計算し,登録しておくことが必要である。
【0040】
図14は,致命率計算データを作成し,登録する手順を示す一実施形態である。図14において,処理151では,欠陥マップデータを読み込む。処理151は,図1で示した処理11と同じ処理である。
【0041】
次に,図14において,処理152では,欠陥マップデータのグループ分割を行う。図15が,グループ分割方法の一例である。図15は,図6に示した致命率計算データと同じように,欠陥マップデータを,LSIチップの領域を4分割,欠陥の大きさを4分割,計16分割した例である。チップ161を領域181〜184に分割し,左下部を領域181,右下部を領域182,左上部を領域183,右上部を領域184と定義した。欠陥マップ160を,グループ分割した例が150の表である。201〜234が,グループ分割後のそれぞれの欠陥マップである。欠陥マップ160の欠陥171は,領域182で,大きさが1.2以上のため,欠陥マップ214に属する。欠陥172は,領域181で,大きさが0.8以上のため,欠陥マップ203に属する。同様に,欠陥173は欠陥マップ233に属し,欠陥174は欠陥マップ233に属し,欠陥175は欠陥マップ211に属し,欠陥176は欠陥マップ222に属する。
【0042】
次に,図14において,処理153では,良品・不良品マップを読み込む。良品・不良品マップとは,ウェーハ製造過程の最終試験である電気検査の結果で,図16のマップ240のように,LSIチップ毎に良品あるいは不良品を判定したものである。ここで,「G」は良品チップ(Good),「B」は不良品チップ(Bad)を表わす。
【0043】
次に,図14において,処理154では,グループ毎に欠陥の致命率を算出する。
【0044】
図16は,欠陥の致命率を算出する方法の一例を示したものである。図16は,図15のグループ分割で,欠陥マップ233に属した欠陥の致命率の計算方法を示す。欠陥マップ233と良品・不良品マップ240のそれぞれ同じチップの対応づけを行い,241に示す2元表を作成する。2元表は,欠陥マップ233で欠陥があるチップで,かつ良品・不良品マップ240で「G」であるチップが,1個,欠陥マップ233で欠陥があるチップで,かつ良品・不良品マップ240で「B」であるチップが,1個,欠陥マップ233で欠陥がないチップで,かつ良品・不良品マップ240で「G」であるチップが,6個,欠陥マップ233で欠陥がないチップで,かつ良品・不良品マップ240で「B」であるチップが,1個であることを表わす。2元表241のチップ数を用いて,欠陥マップ233の致命率は,1−{1/(1+1)}/{6/(6+1)}=0.417となる。この計算をすべてのグループに対して行う。例では1ウェーハの欠陥マップデータでの計算例を示したが,複数ウェーハの欠陥マップデータから計算し,平均値を用いる方がよい。
【0045】
次に,図2は,本発明によるシステムを示すブロック図の一例である。21は欠陥検査装置,22は電気検査装置,23はローカルエリアネットワーク,24は解析ユニットであり,解析ユニット24は,記憶部25,算出部26,結果出力部27を備える。欠陥検査装置21と電気検査装置22と解析ユニット24は,ローカルエリアネットワーク23を介して接続されている。図4の41などの欠陥マップデータは,欠陥検査装置21からローカルエリアネットワーク23を介して取得し,記憶部25に格納しておく。図16などの良品・不良品マップは,電気検査装置22からローカルエリアネットワーク23を介して,取得し,記憶部25に格納しておく。良品・不良品マップは,致命率計算データを作成するときだけ必要なため,ローカルエリアネットワーク23を介さず,手入力あるいは磁気ディスクを介して記憶部25に格納してもよい。図6の致命率計算データは,記憶部25に格納しておく。図1の歩留り損失量の算出処理は,記憶部25から読み出した欠陥マップデータや致命率算出データを用いて,算出部26で歩留り損失量を計算し,結果出力部27で出力する。また,図14で示した致命率計算データ作成処理は,記憶部25から読み出した欠陥マップデータや良品・不良品マップを用いて,算出部26で新規に作成したり,更新して,記憶部25に格納される。
【0046】
また,図17は,本発明による欠陥検査装置を示すブロック図の一例である。欠陥検査装置250は,検査部251,記憶部252,算出部253,結果出力部254を備える。検査部250では,ウェーハ上の欠陥を検出し,図4の41などの欠陥マップデータを作成し,記憶部252に格納する。良品・不良品マップは,電気検査結果22からローカルエリアネットワーク23を介して,取得され,記憶部252に格納される。良品・不良品マップは,ローカルエリアネットワーク23を介さず,手入力あるいは磁気ディスクを介して記憶部252に格納してもよい。記憶部252は,欠陥マップデータ,良品・不良品マップの他に,図6で示した致命率計算データを格納する。記憶部252に格納された欠陥マップデータと致命率計算データを読み出して,歩留り損失量を算出し,算出結果を結果出力部254で出力する。また,致命率計算データ作成処理は,記憶部252から読み出した欠陥マップデータや良品・不良品マップを用いて,算出部253で新規に作成したり,更新して,記憶部252に格納される。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると,半導体集積回路などの異物検査や外観検査などの欠陥検査の結果から,歩留り損失量を換算し,出力することができるシステムや装置ならびに半導体デバイスの製造方法を提供する。この結果から,歩留りに対応の取れた欠陥の管理を,異物検査や外観検査の後,直ちに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による歩留り損失量の算出手順の一実施形態を示す図である。
【図2】本発明による検査システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図3】ウェーハの製造過程の一例を示す図である。
【図4】欠陥マップデータの一例を示す図である。
【図5】正味欠陥の検出方法の一例を示す図である。
【図6】致命率計算データの一例を示す図である。
【図7】致命率付き欠陥マップデータの一例を示す図である。
【図8】チップの致命率マップの一例を示す図である。
【図9】結果出力画面の一例を示す図である。
【図10】結果出力画面の一例を示す図である。
【図11】結果出力画面の一例を示す図である。
【図12】ウェーハ毎の検査来歴の一例を示す図である。
【図13】結果出力グラフの一例の一例を示す図である。
【図14】致命率計算データの作成手順の一例を示す図である。
【図15】欠陥マップデータのグループ分割の一例を示す図である。
【図16】致命率算出方法の一例を示す図である。
【図17】本発明による検査装置の一実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
11…欠陥マップデータ読込み処理,12…致命率計算データ読込み処理,
13…欠陥毎の致命率算出処理,14…チップ毎の致命率算出処理,
15…歩留り損失量算出処理,16…歩留り損失量出力処理,
21…欠陥検査装置,22…電気検査装置(テスタ),23…ローカルエリアネットワーク,
24…解析ユニット,25…記憶部,26…算出部,27…結果出力部,
30…製造工程,31〜33…欠陥検査,34…電気検査,
40…欠陥マップデータの付帯情報,41…欠陥マップデータ,
42〜45…欠陥マップ,46…致命率付き欠陥マップデータ,
47…チップの致命率マップ,51〜54…欠陥の位置,
61〜66…欠陥の位置,71〜75…欠陥の位置,
80〜84…致命率計算データの付帯情報,91〜94…致命率計算データ,
100…画面,101…欠陥マップ,102…致命率マップ,103…歩留り損失量,
110…画面,111…欠陥マップ,112…良品になる確率のマップ,
113…欠陥に制限される歩留り,
120…画面,121…欠陥マップと致命率マップの重ね合わせマップ,
122…歩留り損失量,131〜136…ウェーハ毎の検査来歴,
140…工程別の歩留り損失量のグラフ,141〜143…歩留り損失量の平均,
151…欠陥マップデータ読込み処理,152…欠陥マップデータのグループ分割,
153…良品・不良品マップ読込み処理,154…グループ毎の欠陥の致命率算出処理,
155…致命率計算データの登録処理,
160…欠陥マップ,161…チップの分割,171〜176…欠陥の位置,
181〜184…チップの分割領域,201〜234…グループ分割した欠陥マップ,
240…良品・不良品マップ,241…2元表,
250…欠陥検査装置,
251…検査部,252…記憶部,253…算出部,254…結果出力部
Claims (11)
- 被検査対象の有する異物もしくはパターン欠陥の位置と大きさを検出する欠陥検査手段と、
被検査対象に形成されるデバイス毎に良否を判定する電気検査手段と、
前記欠陥検査手段と前記電気検査手段とにネットワークを介して接続され、前記欠陥検査手段が検出して得た欠陥検査データと、前記電気検査手段が判定して得たデバイス毎の良否判定結果と、被検査対象に形成されるデバイス上に付着された異物もしくは形成されたパターン欠陥の位置と大きさに応じて分類されて計算された致命率計算データとを記憶する記憶手段と、
前記欠陥検査データが有する個々の異物もしくはパターン欠陥の位置と大きさに応じてグループに分類して、前記電気検査のデバイス毎の良否判定結果を対応させて、前記致命率計算データを事前に算出し、および
新たな被検査対象に対して検出した欠陥検査データと前記致命率計算データとに基づき、個々の異物もしくはパターン欠陥の致命率を算出し、さらに個々の異物もしくはパターン欠陥毎の該致命率から、前記新たな被検査対象に形成される個々のデバイス毎の致命率を算出する算出手段と、
を有することを特徴とする検査システム。 - 請求項1に記載の検査システムにおいて、
前記算出手段は、前記被検査対象に形成される個々のデバイスの致命率を算出した後、歩留り損失量を算出することを特徴とする検査システム。 - 請求項1に記載の検査システムにおいて、
被検査対象に形成される個々のデバイス毎の致命率を、ウェーハ状の2次元マップ情報として出力する出力手段を更に有することを特徴とする検査システム。 - 製造ラインに仕掛かり中の複数の被検査対象に対して、検査工程の検査装置が該被検査対象の有する異物若しくはパターン欠陥の位置と大きさを検出して、その欠陥検査データをネットワークを介して報告したものを受付ける、および前記被検査対象の歩留り損失量を算出する期間を指定する指定期間の入力を受付ける入力手段と、
前記被検査対象毎の欠陥検査データを、検査工程、検査日の来歴データと共に格納する検査来歴データと、被検査対象に形成されるデバイス上に付着された異物もしくは形成されたパターン欠陥の位置と大きさに応じて分類されて計算された致命率計算データとを記憶する記憶手段と、
前記指定期間より前に得られた欠陥検査データが有する個々の異物もしくはパターン欠陥の位置と大きさに応じてグループに分類して、電気検査のデバイス毎の良否判定結果を対応させて、前記致命率計算データを事前に算出し、および
前記検査来歴データから、前記指定期間に検査された被検査対象を抽出し、当該抽出された被検査対象に関する欠陥検査データと前記致命率計算データとに基づき、個々の異物もしくはパターン欠陥の致命率を算出し、さらに個々の異物もしくはパターン欠陥毎の該致命率から、前記抽出された被検査対象に形成される個々のデバイス毎の致命率を算出し、さらに各検査工程毎に歩留り損失量の平均値を算出する算出手段と、
前記指定期間における各検査工程の歩留り損失量の平均値を比較して表示する出力部と、
を有することを特徴とする検査システム。 - 被検査対象の有する異物もしくはパターン欠陥の位置と大きさを検出する欠陥検査手段と、
前記欠陥検査手段が検出して得た欠陥検査データと、被検査対象に形成されるデバイス毎に良否を判定する電気検査手段が出力したデバイス毎の良否判定結果と、および被検査対象に形成されるデバイス上に付着された異物もしくは形成されたパターン欠陥の位置と大きさに応じて分類されて計算された致命率計算データとを記憶する記憶手段と、
前記欠陥検査データが有する個々の異物もしくはパターン欠陥の位置と大きさに応じてグループに分類して、前記電気検査のデバイス毎の良否判定結果を対応させて、前記致命率計算データを事前に算出し、および
新たな被検査対象に対して検出した欠陥検査データと前記致命率計算データとに基づき、個々の異物もしくはパターン欠陥の致命率を算出し、さらに個々の異物もしくはパターン欠陥毎に算出された該致命率から、前記新たな被検査対象に形成される個々のデバイスの致命率を算出する算出手段と、
を有することを特徴とする検査装置。 - 請求項5に記載の検査装置において、
前記算出手段は、前記被検査対象に形成される個々のデバイスの致命率を算出した後、歩留り損失量を算出することを特徴とする検査装置。 - 請求項5に記載の検査装置において、
被検査対象に形成される個々のデバイス毎の致命率を、ウェーハ状の2次元マップ情報として出力する出力手段を更に有することを特徴とする検査装置。 - 基板に回路パターンを形成する半導体デバイスの製造ラインにおいて、
LSIウェーハ上に付着された異物もしくは形成されたパターン欠陥の位置と大きさを検出する欠陥検査手段と、
前記LSIウェーハに形成されるデバイス毎に良否を判定する電気検査手段を設置して、
前記欠陥検査手段が検出して得た欠陥検査データと、前記電気検査手段が判定して得たデバイス毎の良否判定結果データとを入力して、前記欠陥検査データが有する個々の異物もしくはパターン欠陥の位置と大きさに応じてグループに分類して、前記電気検査のデバイス毎の良否判定結果を対応させて、致命率計算データを事前に算出して記録するステップと、
製造中のLSIウェーハに対して前記欠陥検査手段により検出された欠陥検査データと、前記致命率計算データとに基づき、個々の異物もしくはパターン欠陥の致命率を算出するステップと、
個々の異物もしくはパターン欠陥毎に算出された前記致命率から、前記LSIウェーハに形成される個々のデバイス毎の致命率を算出するステップと、
前記デバイス毎の致命率より、前記製造中のLSIウェーハの歩留り損失量を予測して、受注量に上乗せした生産量を調整して、生産量調整の指示を出すステップと、
を有することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。 - 被検査対象の有する異物もしくはパターン欠陥の位置と大きさを検出する欠陥検査手段が検出して得た欠陥検査データと、被検査対象に形成されるデバイス毎に良否を判定する電気検査手段が判定して得たデバイス毎の良否判定結果データとを入力して、前記欠陥検査データが有する個々の異物もしくはパターン欠陥の位置と大きさに応じてグループに分類して、前記電気検査のデバイス毎の良否判定結果を対応させて、致命率計算データを事前に算出して記録するステップと、
新たな被検査対象に対して前記欠陥検査手段により検出された欠陥検査データと、前記致命率計算データとに基づき、個々の異物もしくはパターン欠陥の致命率を算出手段により算出するステップと、
個々の異物もしくはパターン欠陥毎に算出された前記致命率から、前記新たな被検査対象に形成される個々のデバイス毎の致命率を算出手段により算出するステップと、
を有し、計算機上で実行することを特徴とする検査プログラム。 - 請求項9に記載の検査プログラムにおいて、
前記算出ステップは、前記新たな被検査対象に形成される個々のデバイス毎の致命率に基づき、歩留り損失量を更に算出することを特徴とする検査プログラム。 - 複数の被検査対象に対して、検査工程の検査装置が該被検査対象の有する異物若しくはパターン欠陥の位置と大きさを検出して、その欠陥検査データをネットワークを介して報告したものを受付けるステップと、
前記被検査対象に形成されたデバイスの良否を判定する電気検査の結果をネットワークを介して受付けるステップと、
前記欠陥検査データが有する個々の異物もしくはパターン欠陥の位置と大きさに応じてグループに分類して、前記電気検査のデバイス毎の良否判定結果を対応させて、致命率計算データを事前に算出して記憶部へ記憶するステップと、
製造ラインに仕掛かり中の複数の被検査対象に対して、検査工程の検査装置が該被検査対象の有する異物若しくはパターン欠陥の位置と大きさを検出して、その欠陥検査データをネットワークを介して報告したものを受付けるステップと、
前記検査装置より受け付けた前記製造ラインに仕掛かり中の被検査対象毎の欠陥検査データを、検査工程、検査日の来歴データと共に検査来歴データとして記憶部へ記憶するステップと、
前記製造ラインに仕掛かり中の被検査対象の歩留り損失量を算出する期間を指定する指定期間の入力を受付けるステップと、
前記検査来歴データから、前記指定期間に検査された被検査対象を抽出し、当該抽出された被検査対象に関する欠陥検査データと前記致命率計算データとに基づき、個々の異物もしくはパターン欠陥の致命率を算出し、さらに個々の異物もしくはパターン欠陥毎の該致命率から、前記抽出された被検査対象に形成される個々のデバイス毎の致命率を算出し、さらに各検査工程毎に歩留り損失量の平均値を算出するステップと、
前記指定期間における各検査工程の歩留り損失量の平均値を比較して表示するステップと、
を実行させることを特徴とする検査プログラム。
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