JP4354937B2 - 複合電解質膜およびその製造方法,燃料電池 - Google Patents

複合電解質膜およびその製造方法,燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は,複合電解質膜およびその製造方法,燃料電池に係り,さらに詳細には,有機材料と無機材料とを含有する複合電解質膜に関する。
電解質膜は,例えば燃料電池のような多様な電気化学装置で,イオン伝達のための媒体として広く使われている。
高分子電解質膜または高分子−無機物複合電解質膜を使用する燃料電池の例としては,高分子電解質型燃料電池(Proton Exchange Membrane Fuel Cell:PEMFC),直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)などがある。
このうち,燃料としてメタノール溶液を使用するDMFCは,常温で作動でき,かつ容易に小型化及び密閉化が可能なので,無公害電気自動車,家庭用発電システム,移動通信装備,医療機器,軍事用装備,宇宙事業用装備,携帯型電子機器のような多様な分野の電力供給源として適用可能である。
DMFCの基本的な構造は,図1の通りである。図1に図示されているように,DMFCは,燃料が供給されるアノード120,酸化剤が供給されるカソード130,及びアノード120とカソード130との間に位置する電解質膜110を含む。一般的に,アノード120は,アノード拡散層122とアノード触媒層121とからなり,カソード130は,カソード拡散層132とカソード触媒層131とからなる。分離板140は,アノードに燃料を供給するための流路を備えており,アノードで発生した電子を外部回路または隣接する単位電池に伝達するための電子伝導体の役割を果たす。分離板150は,カソードに酸化剤を供給するための流路を備えており,外部回路または隣接する単位電池から供給された電子をカソードに伝達するための電子伝導体の役割を果たす。DMFCにおいて,アノードに供給される燃料としては,主にメタノール溶液が使われ,カソードに供給される酸化剤としては,主に空気が使われる。
アノードの拡散層122を介して,アノードの触媒層121に伝達されたメタノール溶液は,電子,水素イオン,二酸化炭素などに分解される。水素イオンは,電解質膜110を介してカソード触媒層131に伝えられ,電子は,外部回路に伝えられ,二酸化炭素は,外部に排出される。カソード触媒層131では,電解質膜110を介して伝えられた水素イオン,外部回路から供給された電子,そしてカソード拡散層132を介して伝えられた空気中の酸素が反応して水を生成する。
かかるDMFCにおいて,電解質膜110は,水素イオン伝導体,電子絶縁体,隔離膜などの役割を果たす。このとき,隔離膜の役割というのは,未反応燃料がカソードに伝えられたり,または未反応酸化剤がアノードに伝えられたりすることを防止することである。
DMFC電解質膜の材料としては,主にフッ素化アルキレンから構成された主鎖と,末端にスルホン酸基を有するフッ素化ビニルエーテルから構成された側鎖とを有するスルホン化された高フッ化ポリマー(例:ナフィオン(Nafion);Dupont社の商標)のような陽イオン交換性ポリマーの電解質が使われてきた。かかるポリマー電解質膜は,適量の水を含湿することにより,すぐれたイオン伝導性を発揮する。
しかし,ポリマー電解質膜には,水だけでなく,メタノールも浸透しうる。DMFCの場合,前述のように,メタノール溶液が燃料としてアノードに供給される。メタノール溶液中の未反応メタノールの一部は,ポリマー電解質膜に浸透する。ポリマー電解質膜に浸透したメタノールは,電解質膜のスウェリング(swelling)現象を引き起こす。また,ポリマー電解質膜に浸透したメタノールは,カソードの触媒層にまで広がる。このように,アノードに供給されたメタノールが電解質膜を透過してカソードに伝達される現象を「メタノールクロスオーバー」という。メタノールクロスオーバーは,水素イオンと酸素との電気化学的還元が進むカソードにおいてメタノールの直接酸化を引き起こすので,カソードの電位を低下させ,その結果,DMFCの性能を深刻に低下させることがある。
ポリマー電解質膜のメタノールクロスオーバー現象を抑制するためのさまざまな努力のうちの一つとして,ポリマー電解質マトリックスに無機充填剤を分散させて得た複合電解質膜が提案された(特許文献1,特許文献2参照)。
しかし,かかる複合電解質膜は,ある程度緩和されたメタノール透過率を示すが,陽イオン交換能力の低い無機充填剤の含有により,低下した水素イオン伝導度を有するようになる。言い換えれば,かかる複合電解質膜において,無機充填剤の含有量が多くなれば多くなるほど,電解質膜のメタノール透過率は,だんだんと緩和されるが,電解質膜の水素イオン伝導度もだんだんと低くなってしまう。DMFC電解質膜の性能指数を「水素イオン伝導度とメタノール透過率との比率」と定義できる。それにより,かかる複合電解質膜の性能指数がナフィオン膜の性能指数より顕著に改善されるには,限界があるようである。
1997年にフランスの研究者と,1998年にフィンランドの研究者は,新しい水素イオン伝導性の有機高分子物質であるポリベンゾイミダゾール(PBI)またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)をナフィオンと混合し,メタノール透過性を弱めようとする試みを行った(非特許文献1,非特許文献2参照)。しかし,PBI自体の水素イオン伝導性が0.006S/cmに過ぎないという点など,メタノール透過減少の効果に比べて電解質性能低下の副作用が大きく,実用化し難いことが知られている。
1997年にイタリアの研究者は,水素イオン伝導性の無機物質である燐タングステン酸をナフィオンと複合(hybrid)してメタノール透過性を弱めようとする試みを行った(非特許文献3参照)。有機−無機複合膜とはいえるが,複合方式が混合(blend)によるものであり,無機物の秩序性を整えられないために最大限の性能を引き出せず,何よりも使用した無機物質の水素イオン伝導性が0.003S/cmに過ぎず,電解質膜の性能を落とすという問題が発生することが知られている。
2001年にイタリアの研究者は,さらにナフィオンにシリカを混合して有機−無機複合膜を製造した(例えば,非特許文献4参照)。シリカ自体は,水素イオン伝導性がないため,メタノール透過性低下と電解質膜の機械的強度上昇とに目的があり,性能低下を防止できないことが知られている。
重合リン酸ジルコニウムは,リン酸ジルコニウムを重合して得る無機物質であり,水素イオン伝導度が,理論上で最大10S/cmに至ると予測されていた。その後,全世界的にさまざまな研究者により,リン酸ジルコニウムをナフィオンに混合して有機−無機複合膜を作る試みがなされた(例えば,特許文献3参照)。混合による方法というのは,ナフィオンを適当な溶媒に溶かした溶液を利用し,溶液とリン酸ジルコニウム懸濁液とを混合,撹拌した後で,適当なワクに注いで,固めて膜を作る方法である。この場合,混合されたリン酸ジルコニウムの粒子を均一に方向性を有して分布させることは不可能であり,電解質膜の全範囲にわたって分散された重合されていないリン酸ジルコニウムが,水素イオンの円滑な移動にむしろ障害になることが知られている。
米国特許第5,919,583号明細書 米国特許第5,849,428号明細書 米国特許第6,630,265号明細書 G.Xavier et al.,"Synthesis and characterization of sulfonated polybenzimidazole:a highly conducting proton exchange polymer",Solid State Ionics,97(1997),pp.323−331 T.Lehtinen et al.,"Electrochemical characterization of PVDF−based proton conduction membranes for fuel cells",Electrochemica Acta,43(1998),pp.1881−1890 N.Giordano et al.,"Analysis of the chemical cross−over in a phosphotungstic acid electrolyte based fuel cell",Electrochemica Acta,42(1997),pp.1645−1652 B.Tazi et al.,"Parameters of PEM fuel−cells based on new membranes fabricated from Nafion,silicotungstic acid and thiophene",Electrochimica Acta,45(2000),pp.4329−4339
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的は,すぐれた水素イオン伝導性と,すぐれたメタノール排斥性能とを有する,新規かつ改良された複合電解質膜およびその製造方法と,この複合電解質膜を用いた燃料電池を提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,水素イオン伝導性の高分子膜と,上記高分子膜の少なくとも一面に積層される,水素イオン伝導性を有し,板状に剥離する剥離体が積層した無機物である板状無機物からなる剥離体層とを含み,当該剥離体層は,ポリ塩酸アリルアミン,ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド,ポリビニルアミン,ポリエチレンイミンからなる群より選択されるバインダを更に含む複合電解質膜が提供される。
上記の剥離体層は,上記の複数の板状無機物の剥離体からなり,この複数の剥離体は,上記の高分子膜の面に対して平行な方向に積層されていてもよい。
また,上記の板状無機物は,リン酸ジルコニウムである
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,水素イオン伝導性を有し,板状に剥離する剥離体が積層した無機物である板状無機物の剥離体及び分散媒を含む剥離体の懸濁液を製造する工程と,上記の剥離体の懸濁液を水素イオン伝導性の高分子膜の一面に塗布した後分散媒を除去する工程とバインダを塗布する工程とをそれぞれ一回以上交互に行い,剥離体層を形成する工程とを含む複合電解質膜の製造方法が提供される。
ここで,上記の剥離体の懸濁液は,スピンコーティング法により水素イオン伝導性の高分子膜の一面に塗布されてもよい。
上記課題を解決するために,本発明の更に別の観点によれば,カソードと,アノードと,上記のカソードとアノードとの間に位置する電解質膜とを備える燃料電池であって,この電解質膜が上記の複合電解質膜であることを特徴とする燃料電池が提供される。
本発明によれば,水素イオン伝導性を有する無機薄膜の水素イオン伝導度を向上させるだけではなく,メタノール透過の経路を長くし,メタノール透過性を顕著に弱めることが可能な,複合電解質膜およびその製造方法と,この複合電解質膜を用いた燃料電池を提供することができる。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明の第1の実施形態に係る複合電解質膜は,水素イオン伝導性の高分子膜と,水素イオン伝導性の板状無機物からなる剥離体層とを含む。上記の剥離体層は,上記の高分子膜の一面上に積層される。このような板状無機物は,一定方向に整列されており,従来のように,単純な混合による場合とは異なる。
上記の剥離体層と高分子膜とは,いずれも水素イオン伝導性を有するので,複合電解質膜もやはり水素イオン伝導性を有する。
上記の剥離体層は,メタノール溶液のような液状燃料の拡散に対する遮断膜として機能する。すなわち,上記の剥離体層内での液状燃料の拡散性は,顕著に低い。
上記の剥離体層内での液状燃料の拡散経路は,二種類存在する。第一の拡散経路は,剥離体を直接透過する経路である。液状燃料が剥離体を直接透過することは非常に困難であると見られる。そのために,かかる経路を介した液状燃料の拡散率はゼロであるか,またはきわめて低いはずである。第二の拡散経路は,剥離体間を迂回し間隙を通り抜ける経路である。かかる経路は,剥離体層の厚さと比較するとき,非常に長くなるものと見られる。それにより,かかる長い経路を介した液状燃料の拡散性は,顕著に低くなるはずである。結果的に,上記の剥離体層内での,かかる2つの経路を介した液状燃料の拡散は,非常に遅くなる。それにより,上記の剥離体層は,液状の燃料の拡散に対する遮断膜として,機能できるわけである。
本発明のさらに望ましい実施形態では,上記の剥離体層の板状無機物の剥離体が,上記の高分子膜の面方向に対して平行に積層されているということである。その場合に,上記の剥離体が上記の高分子膜の一面に稠密に積層され,それにより,剥離体層の厚さを最小化しつつも,液状燃料の遮断効果を最大化させることが可能である。
図2は,本実施形態に係る複合電解質膜の概念図である。図2の複合電解質膜は,剥離体層10と高分子膜20とからなる。剥離体層10は,剥離体11が積層され形成されている。図2の剥離体11は,高分子膜20の面方向に対して平行に積層されている。すなわち,3次元的に隣接するそれぞれの剥離体11間に間隙が生ずるように剥離体11は積層され,剥離体層10が形成されている。
上記の剥離体層の厚さが薄すぎれば,メタノールクロスオーバーを防止し難く,剥離体層の厚さが厚すぎれば,水素イオンの移動が困難になる。かかる点を考慮し,上記の剥離体層の厚さは,例えば,約1nmから約100nmであり,望ましくは約10nmから約60nmであり,さらに望ましくは約30nmから約40nmである。
上記の剥離体層に含まれる剥離体は,水素イオン伝導性の板状無機物から剥離されたものである。ここで,板状無機物というのは,二以上の下位層が積層された,粒子の形態で存在する無機物を意味する。
上記の板状無機物の粒子サイズが小さすぎれば,液状燃料の拡散が簡単になされてしまうので,やはりメタノールクロスオーバーを防止し難く,板状無機物の粒子サイズが大きすぎれば,効果的な積層が困難である。かかる点を考慮し,上記の板状無機物の粒子サイズは,例えば,約0.2μmから約20μmであり,望ましくは約0.5μmから約3μmである。
上記の板状無機物のイオン交換容量が少なすぎれば,水素イオン自体の移動が困難になり,板状無機物のイオン交換容量が多すぎれば,構造的欠陥により物理的強度が弱くなる。かかる点を考慮し,上記の板状無機物のイオン交換容量は,例えば,約2meq/gから約4meq/gであり,望ましくは約3meq/gから約3.5meq/gである。
上記の板状無機物の具体的な例としては,例えば,重合リン酸ジルコニウム,アルカリ酸化遷移金属,クレイ(clay),酸化グラファイトなどがある。
かかる板状無機物から剥離された剥離体の厚さは,例えば,約0.5nmから約10nmであり,望ましくは約0.8nmから約1nmである。
本実施形態に係る複合電解質膜において,上記の剥離体層は,バインダをさらに含むことができる。バインダを使用することにより,剥離体層の機械的強度をさらに向上させることができる。バインダの含有量が少なすぎれば,剥離体とバインダとの相互作用が落ちて効果的な積層がなされず,多すぎれば,水素イオン伝導度に困難さが伴う。かかる点を考慮し,上記の剥離体層のバインダの含有量は,例えば,約0.05質量%から約0.15質量%とすることができる。上記のバインダとしては,例えば,ポリ塩酸アリルアミン(PAH),ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDADMAC),ポリビニルアミン(PVA),ポリエチレンイミン(PEI)のような正電荷を帯びつつ,水素イオン伝導性を低下させない高分子を使用することができる。
図3は,本発明の第2の実施形態に係る複合電解質膜の概念図である。図3の複合電解質膜は,剥離体層10と高分子膜20とからなる。剥離体層10は,剥離体11とバインダ12とを含有している。
本実施形態の複合電解質膜に使われる水素イオン伝導性の高分子膜は,陽イオン交換基を有するポリマーである。この陽イオン交換基は,例えばスルホン酸基,カルボキシル基,リン酸基,イミド基,スルホンイミド基,スルホンアミド基及びヒドロキシ基のうちから選択されうる。
陽イオン交換基を有するポリマーの具体的な例を挙げれば,例えば,トリフルオロエチレン,テトラフルオロエチレン,スチレンジビニルベンゼン,α,β,β−トリフルオロスチレン,スチレン,イミド,スルホン,ホスファゼン,エーテルエーテルケトン,酸化エチレン,ポリフェニレンスルフィドまたは芳香族基のホモポリマー及び共重合体及びそれらの誘導体があり,それらポリマーは,単独または組み合わせて用いることができる。
さらに望ましくは,上記の陽イオン交換基を有するポリマーは,その主鎖及び側鎖の炭素原子に結合されているフッ素原子の個数と水素原子の個数の合計に対して,フッ素原子の個数が90%以上である高フッ化ポリマーを含むことができる。
また,上記の陽イオン交換基を有するポリマーは,側鎖の末端に陽イオン交換基としてスルホン酸塩を有し,その主鎖及び側鎖の炭素原子に結合されているフッ素原子の個数と水素原子の個数の合計に対して,フッ素原子の個数が90%以上である高フッ化スルホン酸ポリマー(highly fluorinated polymer with sulfonate groups)を含むことができる。
例えば,MSOCFRCFO[CFYCFO]CF=CF単量体から作られるホモポリマー,もしくは,上記のホモポリマーの単量体,エチレン,ハロゲン化エチレン,過フッ素α−オレフィン,およびパーフルオロアルキルビニルエーテルのうちから選択された一つ以上の単量体から作られる共重合体が利用可能である。このとき,Rは,フッ素,炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基のうちから選択されるラジカルであり,Yは,フッ素,トリフルオロメチル基のうちから選択されるラジカルであり,nは,1から3の整数であり,Mは,フッ素,ヒドロキシル基,アミノ基,−OMe基のうちから選択されるラジカルである。このとき,Meは,アルカリ金属,四級アンモニウム基のうちから選択されるラジカルである。
また,フッ素に実質的に置換されたカーボン主鎖と,−O−[CFR’[CFRSOYと表示されるペンダント基とを有するポリマーも,陽イオン交換基を有するポリマーとして利用可能である。このとき,aは,0〜3であり,bは,0〜3であり,a+bは,少なくとも1であり,R及びR’は,それぞれハロゲン原子,フッ素に実質的に置換されたアルキル基のうちから選択され,Yは,水素またはアルカリ金属である。
他の例としては,フッ素置換された主鎖と,ZSO−[CF−[CFR−O−と表示されるペンダント基とを有するフルオロスルホン酸ポリマーがある。このとき,Zは,ハロゲン,アルカリ金属,水素,または−OR基であり,このとき,Rは,炭素数1から10のアルキル基またはアリール基であり,aは,0〜2であり,bは,0〜2であり,a+bは,0ではなく,Rは,F,Cl,炭素数1から10のパーフルオロアルキル基,炭素数1から10のフルオロクロロアルキル基のうちから選択される。
それ以外の例としては,
で表示されるポリマーが利用可能である。このとき,mは,0より大きい整数であり,n,p,qのうち少なくとも一つは,0より大きい整数であり,A,A,Aは,アルキル基,ハロゲン原子,C2y+1(yは,0より大きい整数),OR基(Rは,アルキル基,パーフルオロアルキル基,アリール基のうちから選択される),CF=CF,CN,NO,OHのうちから選択され,Xは,SOH,PO,CHPO,COOH,OSOH,OPO,OArSOH(Arは,芳香族である),NR (Rは,アルキル基,パーフルオロアルキル基,アリール基のうちから選択される),CHNR (Rは,アルキル基,パーフルオロアルキル基,アリール基のうちから選択される)のうちから選択される。
上記の高分子膜の厚さについて特別の制限はないが,この厚さが薄すぎれば,複合電解質膜の強度が過度に低下し,厚さが厚すぎれば,燃料電池の内部抵抗が過度に増加しうる。かかる点を考慮し,上記の高分子膜の厚さは,約30μmから約200μmとすることができる。
本発明の各実施形態における複合電解質膜は,本発明で提供する複合電解質膜の製造方法によって製造可能である。
まず,低分子量の乳化剤を板状無機物の下位層の間に挿入し,高分子樹脂の浸透を容易にする。このように処理された板状無機物を,「有機化板状無機物」という。その次に,溶液法,重合法,コンパウンド法などを使用して下位層を剥離させる。溶液法は,有機化板状無機物を高分子溶液に浸漬させ,溶媒が有機化板状無機物の下位層間に浸透して下位層を分散させ,乾燥過程で高分子樹脂に下位層を分散させる方法である。重合法は,有機化板状無機物の下位層間にモノマーを挿入させた後,層間重合を経て下位層を分散させる技術である。
以下では,本発明の実施形態で提供する複合電解質膜の製造方法を詳細に説明する。
本実施形態で提供する複合電解質膜の製造方法は,水素イオン伝導性の板状無機物の剥離体及び分散媒を含む剥離体の懸濁液を製造する工程と,上記の剥離体の懸濁液を水素イオン伝導性の高分子膜の一面に塗布した後,上記の分散媒を除去し,剥離体層を形成する工程とを含む。
上記の剥離体の懸濁液は,水素イオン伝導性の板状無機物を分散媒中に分散させた後で冷温処理し,水素イオン伝導性の板状無機物の下位層を剥離させることにより得ることができる。冷温処理というのは,上記の水素イオン伝導性の板状無機物を分散媒中に分散させたものを,0℃で3〜4時間撹拌することをいう。上記の分散媒としては,例えば水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAOH),水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)のような剥離層間の分子と弱く相互作用する性質を有する物質を用いることができる。
上記の剥離体の懸濁液中における分散媒の含有量が少なすぎれば,上記の水素イオン伝導性の板状無機物が分散されない。一方,上記の剥離体の懸濁液中における分散媒の含有量が多すぎれば,サイズが顕著に小さくなる。かかる点を考慮し,上記の剥離体の懸濁液中における分散媒の含有量は,水素イオン伝導性の板状無機物剥離体100質量部を基準とし,約30質量部から約100質量部,望ましくは約50質量部から約80質量部とすることができる。
水素イオン伝導性の高分子膜の一面に剥離体の懸濁液を塗布する工程は,例えばスピンコーティング,ディップコーティング,ステディキャスティングなどによって行われうる。上記の剥離体層の板状無機物の剥離体を,上記の高分子膜の面方向に対して平行に積層させるために,スピンコーティングを使用するのがさらに望ましい。
水素イオン伝導性の高分子膜の一面に塗布された剥離体の懸濁液から分散媒を除去する工程は,使われた分散媒の揮発性及び沸点を考慮し,選択された適正な温度での一般的な熱処理を介して行われうる。
上記の剥離体の懸濁液を水素イオン伝導性の高分子膜の一面に塗布した後,上記の分散媒を除去する工程は,作製する剥離体層の厚さに応じて,一回以上反復して行うことも可能である。
本実施形態で提供する複合電解質膜の製造方法における他の例は,水素イオン伝導性の板状無機物の剥離体及び分散媒を含む剥離体の懸濁液を製造する工程と,上記の剥離体の懸濁液を水素イオン伝導性の高分子膜の一面に塗布した後,上記の分散媒を除去する工程とバインダを塗布する工程とを少なくとも一回以上交互に行い,剥離体層を形成する工程とを含む。
上記のバインダとしては,PAH,PDADMAC,PVA,PEI,それらの混合物などを溶液形態で使用することができる。上記のバインダを溶解させることができる溶媒としては,水,アルコール,ジメチルスルホキシド(DMSO),ジメチルホルムアミド(DMF),それらの混合物などの極性溶媒などを用いることができる。
このように製造された本発明の各実施形態に係る複合電解質膜は,膜電極一体構造(Membrane−Electrode Assembly:MEA)の製造工程で使われる前に,前処理過程を経ることができる。前処理過程は,複合電解質膜に最適の性能を発揮させるために,複合電解質膜に十分に湿気を含ませ,複合電解質膜の陽イオン交換サイトを活性化させる過程である。前処理過程は,例えば複合電解質膜を,沸騰する脱イオン水に約2時間浸漬させた後,沸騰する低濃度の硫酸水溶液に約二時間浸漬させた後,さらに沸騰する脱イオン水に約2時間浸漬させることにより行われうる。
本発明の各実施形態に係る複合電解質膜は,ポリマー電解質を含む電解質膜を使用できるあらゆる種類の燃料電池,例えば水素を含むガスをアノードに供給する高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC),メタノールと水との混合蒸気またはメタノール溶液をアノードに供給するDMFCに適用可能である。特に,DMFCにさらに有用に適用可能である。
以下では,本発明の各実施形態に係る複合電解質膜を採用する燃料電池の例について,詳細に説明する。
本実施形態で提供する燃料電池は,カソードと,アノードと,上記のカソードとアノードとの間に位置する電解質膜とを備える。本実施形態の燃料電池において,上記の電解質膜は,前述の本発明の各実施形態による複合電解質膜である。
上記のカソードは,酸素の還元反応を促進させる触媒層を含む。この触媒層は,触媒粒子と,陽イオン交換基を有するポリマーとを含むことができる。上記の触媒としては,例えば白金触媒,白金担持カーボン触媒(Pt/C触媒)などを用いることができる。
上記のアノードは,水素,メタノール,エタノールのような燃料の酸化反応を促進させる触媒層を含む。この触媒層は,触媒粒子と,陽イオン交換基を有するポリマーとを含む。上記の触媒の具体的な例を挙げれば,白金触媒,白金−ルテニウム触媒,白金担持カーボン触媒,白金−ルテニウム担持カーボン触媒などがある。特に,白金−ルテニウム触媒,白金−ルテニウム担持カーボン触媒は,水素以外の有機燃料をアノードに直接供給する場合に有用である。
上記のカソードとアノードとに使われる触媒は,触媒金属粒子それ自体であるか,または触媒金属粒子と触媒担体とを含む担持触媒でありうる。担持触媒の場合に,上記の触媒担体としては,例えば炭素粉末のように,伝導性を有し,触媒金属粒子を担持できる微細気孔を有する固体粒子を用いることができる。炭素粉末の例としては,カーボンブラック,ケッチェンブラック,アセチレンブラック,活性炭素粉末,炭素ナノファイバ粉末,またはそれらの混合物などがある。陽イオン交換基を有するポリマーとしては,前述のポリマーを用いることができる。
上記のカソードとアノードの触媒層とは,上記の複合電解質膜と接触している。
上記のカソードとアノードは,触媒層以外にガス拡散層をさらに含むことができる。ガス拡散層は,電気伝導性を有する多孔性材料を含む。ガス拡散層は,集電体の役割と,反応物と生成物の出入通路の役割とを果たす。ガス拡散層としては,例えばカーボンペーパー,さらに望ましくは撥水処理されたカーボンペーパー,一層望ましくは撥水処理されたカーボンブラック層が塗布された撥水処理されたカーボンペーパーを用いる。撥水処理されたカーボンペーパーは,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような疎水性高分子を含んでおり,上記の疎水性高分子は,焼結されている。ガス拡散層の撥水処理は,極性液体反応物と気体反応物とに対する出入通路を同時に確保するために行われる。撥水処理されたカーボンブラック層を有する撥水処理されたカーボンペーパーにおいて,撥水処理されたカーボンブラック層は,カーボンブラック,及び疎水性バインダとしてのPTFEのような疎水性高分子を含んでおり,前述のような撥水処理されたカーボンペーパーの一面に付着されている。撥水処理されたカーボンブラック層の疎水性高分子は,焼結されている。
上記のカソードとアノードの製造は,さまざまな文献に公知されている多様な方法でなされうるので,ここでは詳細に説明しない。
本実施形態に係る燃料電池のアノードに供給できる燃料としては,水素,メタノール,エタノールなどが使われうる。さらに望ましくは,極性有機燃料及び水を含む液状燃料を上記のアノードに供給することである。極性有機燃料としては,例えばメタノール,エタノールなどが使われうる。
一層望ましくは,液状燃料は,メタノール溶液である。本実施形態の燃料電池は,上記の複合電解質膜により,液状燃料のクロスオーバー現象がかなり抑制されるので,さらに高濃度のメタノール溶液を使用できる。かかる点は,従来のDMFCでは,メタノールクロスオーバー現象のために,一般的に6質量%から16質量%の低濃度メタノール溶液を使用することと明確に対比される。また,低濃度のメタノール溶液を使用する場合にも,上記の複合電解質膜によって極性有機燃料のクロスオーバー現象がさらに抑制されるだけではなく,複合電解質膜がすぐれた水素イオン伝導度を有するので,本実施形態に係る燃料電池は,さらに向上された寿命及び効率を有する。
以下では,実施例を介し,本発明の具現例を詳細に説明する。しかし,本発明の範囲が下記の実施例に制限されるわけではない。
(リン酸α−ジルコニウムの合成)
5gの塩化ジルコニルと5.49gのリン酸とを還流反応器で24時間反応させ,200nmの平均径を有するリン酸α−ジルコニウムを合成した。このように製造されたリン酸α−ジルコニウムのX線回折装置(XRD)の分析結果と電子顕微鏡写真とをそれぞれ図4及び図5に表した。
(リン酸α−ジルコニウム粒子の成長)
このように製造されたリン酸α−ジルコニウムをオルトリン酸で3日間処理し,リン酸α−ジルコニウムの平均粒子サイズを2μmに成長させた。
(リン酸α−ジルコニウム粒子の剥離)
上記のように処理されたリン酸α−ジルコニウム1gを,0.64gのテトラブチルアルコール(TBA)中で,冷温処理(0℃,3〜4時間)して剥離させることにより,剥離体の懸濁液を製造した。剥離されたリン酸ジルコニウム剥離体の電子顕微鏡写真を図6に表した。
(剥離体層の形成)
上記のように製造された剥離体の懸濁液とPAHとを,ナフィオン115膜の一面に,交互に一回から10回までスピンコーティングした。各ステップで,スピンコーティングは,3,000rpmの速度で20秒間実施された。このように製造された複合電解質膜の剥離体層は,ナフィオン115膜から離脱されないまま,水と空気中から安定的に保持された。図7に一次コーティング後の剥離体層の電子顕微鏡写真を表した。コーティング回数による剥離体層の厚さ変化を図8に表した。図8に図示されているように,10回のコーティングを実施したとき,剥離体層の厚さは48nmであった。
(水素イオン伝導度の評価)
製造された複合電解質膜の水素イオン伝導度を,「Voltalab 40」を使用し,四点探針法で,40℃,60℃,80℃,100℃及び120℃で測定した。積層回数による測定結果を図9に表した。図9には,比較例として,ナフィオン115の水素イオン伝導度を共に示した。
図9に図示されているように,本実施例で製造された複合電解質膜の水素イオン伝導度は,積層回数の増加によって低下した。そして,本実施例で製造された複合電解質膜の水素イオン伝導度は,ナフィオン115膜の水素イオン伝導度より低かった。しかし,本実施例で製造された複合電解質膜の水素イオン伝導度は,燃料電池の電解質膜として使われるのに,十分な値を保持した。
(メタノール透過度の測定)
本実施例で製造された複合電解質膜のメタノール排斥性能をメタノール透過度の測定を介して評価した。メタノール透過度を拡散セル(diffusion cell)を利用して測定した。拡散セルを利用したメタノール透過度の測定方法では,2Mメタノール溶液を電解質膜の一方に供給しつつ,反対側から出てくるメタノール及び水の量をガスクロマトグラフィで測定した。本実施例で製造された複合電解質膜に対するメタノール透過度の測定結果を表1に示した。
表1に示したように,実施例で製造された複合電解質膜のメタノール透過度は,剥離体層の積層回数の増加によって減少した。そして,実施例で製造された複合電解質膜のメタノール透過度は,剥離体層を有さないナフィオン115膜よりはるかに低いものであった。10回積層の場合,実施例の複合電解質膜のメタノール透過度は,ナフィオン115膜のメタノール透過度のわずか53%であった。これから,本実施形態に係る複合電解質膜剥離層のメタノール拡散遮断機能が,非常にすぐれたものであるということが分かる。
(燃料電池の性能評価)
本実施例の複合電解質膜(10回積層)を採用した燃料電池を製造した。この燃料電池に採用されたアノードには,白金−ルテニウム合金触媒が使われ,カソードには,白金触媒が使われている。アノード,カソード及び本実施例の複合電解質膜を,120℃の温度で5MPaの圧力で接合させてMEAを製造した。
このMEAのアノードとカソードとにそれぞれ燃料供給用の分離板と酸化剤供給用の分離板とを付着させた後,単位電池性能を測定した。作動条件は,次の通りである。燃料として8質量%メタノール溶液3ml/minと,酸化剤として空気50ml/minとを供給し,作動温度は50℃であった。
この燃料電池の性能を図10に表した。図10には比較例として,ナフィオン115膜を電解質膜として採用したことを除いては,上記の燃料電池と同一に製造された燃料電池の性能を共に表示した。
図10に示されているように,本実施例の複合電解質膜(5回積層)を採用した燃料電池は,ナフィオン115膜を採用した比較例の燃料電池に比べ,膜の効果が顕著となる低電流領域で出力密度にすぐれている。これは,本実施形態による複合電解質膜が,すぐれたイオン伝導度及び非常にすぐれたメタノール排斥性能を有することに起因する。これは,メタノールクロスオーバー現象による開路電圧(Open Circuit Voltage:OCV)の減少が小さく現れるためである。
上記のように,本実施形態によれば,i)メタノール透過の抑制,ii)水素イオン伝導性の保持,iii)カソード分極現状の抑制,iv)水によるフラッディング(flooding)の抑制などが可能である。それにより,DMFCの出力密度及びエネルギー密度が向上され,またDMFCシステムの小型化及び低廉化を実現できる,複合電解質膜およびその製造方法と,この複合電解質膜を用いた燃料電池を提供することができる。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は,例えば燃料電池に効果的に適用可能である。
DMFCの基本的な構造を表す図面である。 本発明の第1の実施形態に係る複合電解質膜の概念図である。 本発明の第2の実施形態に係る複合電解質膜の概念図である。 本発明の実施例で製造されたリン酸α−ジルコニウムのXRD分析結果である。 本発明の実施例で製造されたリン酸α−ジルコニウムの電子顕微鏡写真である。 剥離されたリン酸ジルコニウム剥離体の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例において,一次コーティング後に形成された剥離体層の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例において,コーティング回数による剥離体層の厚さ変化を表すグラフ図である。 本発明の実施例において製造された複合電解質膜の,水素イオン伝導度の測定結果である。 本発明の実施例において製造された燃料電池の,性能を表すグラフ図である。
符号の説明
10 剥離体層
11 剥離体
12 バインダ
20 高分子膜
110 電解質膜
120 アノード
121 アノード触媒層
122 アノード拡散層
130 カソード
131 カソード触媒層
132 カソード拡散層
140,150 分離板

Claims (5)

  1. 水素イオン伝導性の高分子膜と;
    前記高分子膜の少なくとも一面に積層される,水素イオン伝導性を有し,板状に剥離する剥離体が積層した無機物である板状無機物からなる剥離体層と;
    を含み,
    前記剥離体層は,ポリ塩酸アリルアミン,ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド,ポリビニルアミン,ポリエチレンイミンからなる群より選択されるバインダを更に含み,
    前記板状無機物が,リン酸ジルコニウムであることを特徴とする,複合電解質膜。
  2. 前記剥離体層は複数の前記板状無機物の剥離体からなり,前記複数の剥離体は,前記高分子膜の面に対して平行な方向に積層されていることを特徴とする,請求項1に記載の複合電解質膜。
  3. 水素イオン伝導性を有し,板状に剥離する剥離体が積層した無機物である板状無機物の剥離体及び分散媒を含む剥離体の懸濁液を製造する工程と;
    前記剥離体の懸濁液を水素イオン伝導性の高分子膜の一面に塗布した後前記分散媒を除去する工程とバインダを塗布する工程とをそれぞれ一回以上交互に行い,剥離体層を形成する工程と;
    を含むことを特徴とする,複合電解質膜の製造方法。
  4. 前記剥離体の懸濁液は,スピンコーティング法により前記水素イオン伝導性の高分子膜の一面に塗布されることを特徴とする,請求項に記載の複合電解質膜の製造方法。
  5. カソードと;
    アノードと;
    前記カソードと前記アノードとの間に位置する電解質膜と;
    を備える燃料電池であって:
    前記電解質膜が,請求項1または請求項2のいずれかに記載の複合電解質膜であることを特徴とする,燃料電池。
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