JP4346315B2 - 感光性樹脂組成物およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂、感光性樹脂積層体、それを用いたレジストパターンの形成方法、ならびにプリント配線板等の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パソコンや携帯電話等の電子機器には、部品や半導体などの実装用としてプリント配線板等が用いられる。
プリント配線板等の製造には、従来より、支持体と感光性樹脂層と保護層から成る、いわゆるドライフィルムレジスト(以下DFRと略称)が用いられている。DFRは、一般に支持体上に感光性樹脂層を積層し、さらに該感光性樹脂層上に保護層を積層することにより調製される。ここで用いられる感光性樹脂層としては、現在、現像液として弱アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型のものが一般的である。
【0003】
以下にDFRを用いてプリント配線板等を作成する方法を説明する。まず保護層をDFRから剥離する。ついで、銅張積層板やフレキシブル基板等の永久回路作成用基板上に、ラミネーター等を用いて、保護層を剥離したDFRを積層する。次に配線パターンマスクフィルム等を介して露光を行う。そして、必要に応じて支持体を剥離し、現像液により未露光部分の感光性樹脂層を溶解、もしくは分散除去し、感光性樹脂組成物のうち露光により硬化した部分、すなわちレジストパターンを、基板上に形成させる。
【0004】
レジストパターン形成後、回路を形成させるプロセスは大きく2つの方法に分かれる。第一の方法は、レジストパターンによって覆われていない銅張り積層板等の銅面をエッチング除去した後、レジストパターン部分を現像液よりも強いアルカリ水溶液で除去する方法(エッチング法)である。エッチング方法において、貫通孔(スルーホール)を硬化膜で覆いその後エッチングする方法は、特にテンティング法と呼ばれる。第二の方法は同上の銅面に銅、半田、ニッケルおよび錫等のめっき処理を行った後、同様にレジストパターン部分の除去、さらに現れた銅張り積層板等の銅面をエッチングする方法(めっき法)である。エッチングには塩化第二銅、塩化第二鉄、銅アンモニア錯体溶液等が用いられる。
【0005】
上記の現像液により未露光部分の感光性樹脂層を溶解、もしくは分散除去する工程は、現像工程と呼ばれる。DFRの成分はそのすべてが現像液に溶解するわけではなく、現像工程を重ねるごとに現像液不溶解成分が現像液中に増え、凝集物(スカム)を発生する。凝集物は基板上に再付着しテンティング/エッチング工法の場合、隣接する配線が繋がる不良、すなわちショート不良の原因となる。凝集物の発生を防ぐために、フィルターを通して現像液の循環を行っている場合には、凝集物の発生が多いと、フィルター交換頻度が高くなる。さらに凝集物の発生が多い場合、現像機内部に凝集物が堆積し、現像機洗浄が頻繁に必要となる。このように、凝集物の発生は生産性を大きく低下させる原因となる。
【0006】
現像工程で凝集物を発生しない感光性樹脂組成物の開発は、これまでにも積極的に進められてきた。最も効果的な手法のひとつに、現像液分散性の良い、アルキルフェノール型単官能モノマー(特開2001−174986)やフェノキシ型単官能モノマー(特開2001−305730)を配合し、凝集物を低減しようとする試みがある。これらのモノマーは現像液分散性が良いほかに、硬化膜の剥離時間が短く、生産性向上の効果がある。しかし、アルキルフェノール型単官能モノマーは、現像分散性に優れる反面、後に続くエッチング工程において、エッチング液を発泡させるという欠点があった。
【0007】
エッチング液が発泡すると、エッチング液を循環させるポンプの圧力が低下したり、エッチングするべき基板が泡に覆われたりするなど、エッチングそのものが困難となり、エッチング液の更新などの必要性が生じ、生産性が大きく低下する。一方、フェノキシ型単官能モノマーは現像液分散性そのものが十分満足できるものではない。
このように、現像工程での現像液分散安定性に優れ凝集物を発生せず、かつエッチング工程での発泡性がなく、良好な剥離特性を有する感光性樹脂組成物は、これまで存在せず、これら性能を全て兼ね備える新規感光性組成物の開発が求められてきた。
【0008】
【参考文献1】
特開2001−174986号公報
【参考文献2】
特開2001−305730号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、現像工程において凝集物を発生せず、エッチング工程においてエッチング液の発泡がなく、かつ剥離性、画像解像性に優れた感光性樹脂組成物、およびそれを用いた感光性樹脂積層体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は(1)〜(5)に係る。
(1)(a)アルカリ可溶性高分子30〜75質量%(b)エチレン性不飽和付加重合性モノマー15〜60質量%、(c)光重合開始剤0.01〜20質量%、(d)下記一般式(I)からなる化合物5〜30質量%、および(e)下記一般式(II)からなる化合物0.01〜30質量%を必須成分とする感光性樹脂組成物。
【0011】
【化5】
【0012】
【化6】
【0013】
(2)(b)として、下記一般式(III)で表される化合物および、一般式(IV)で表される化合物のうち、少なくとも一種を含有してなる、(1)記載の感光性樹脂組成物。
【0014】
【化7】
【0015】
【化8】
【0016】
(3)(1)または(2)記載の感光性樹脂組成物を支持体上に有することを特徴とした感光性樹脂積層体。
(4)(3)記載の感光性樹脂積層体を金属板、または金属被服絶縁板の表面に積層し、紫外線露光した後、現像により未露光部を除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
(5)(4)記載の方法によって、レジストパターンを形成した基板をエッチングするか、またはめっき、エッチングすることによりプリント配線板等を製造する方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の感光性樹脂は(a)アルカリ可溶性高分子、(b)エチレン性不飽和付加重合性モノマー、(c)光重合開始剤、(d)下記一般式(I)からなる化合物、および(e)下記一般式(II)からなる化合物を必須成分とする。
【0018】
【化9】
【0019】
【化10】
【0020】
本発明の(a)成分アルカリ可溶性高分子とはカルボン酸含有ビニル共重合体やカルボン酸含有セルロース等である。
カルボン酸含有ビニル共重合体とは、α、β−不飽和カルボン酸の中から選ばれる少なくとも1種の第1単量体と、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドとその窒素上の水素をアルキル基またはアルコキシ基に置換した化合物、スチレン及びスチレン誘導体、(メタ)アクリロニトリル、及び(メタ)アクリル酸グリシジルの中から選ばれる少なくとも1種の第2単量体とをビニル共重合して得られる化合物である。
【0021】
カルボン酸含有ビニル共重合体に用いられる第1単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸半エステル等が挙げられ、それぞれ単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせてもよい。カルボン酸含有ビニル共重合体における第1単量体の割合は、15質量%以上40質量%以下、好ましくは20質量%以上35質量%以下である。アルカリ現像性を保持させるため、第1単量体の割合は15質量%以上であることが好ましく、カルボン酸含有ビニル共重合体の溶解度の観点から、40質量%以下であることが好ましい。
【0022】
カルボン酸含有ビニル共重合体に用いられる第2単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられ、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
カルボン酸含有ビニル共重合体における第2単量体の割合は、60質量%以上85質量%以下、好ましくは65質量%以上80質量%以下である。
第2単量体として、スチレン又は、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン誘導体を含有させることがより好ましい。この場合の、カルボン酸含有ビニル共重合体におけるスチレン又はスチレン誘導体の割合は5質量%以上35質量%以下が好ましく、15質量%以上30質量%以下がより好ましい。
【0024】
カルボン酸含有ビニル共重合体の重量平均分子量は、2万以上50万以下の範囲であり、好ましくは3万以上25万以下である。この場合の重量平均分子量とはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレンの検量線を用いて測定した重量平均分子量のことである。硬化膜の強度を維持するために、カルボン酸含有ビニル共重合体の重量平均分子量は2万以上であることが好ましく、感光性樹脂組成物を積層して感光性樹脂層を形成する際の安定性の観点から、カルボン酸含有ビニル共重合体の重量平均分子量は50万以下であることが好ましい。
【0025】
カルボン酸含有ビニル共重合体は、単量体の混合物を、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、過熱攪拌することにより合成することが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成する場合もある。また、反応終了後さらに溶剤を加えて、所望の濃度に調整する場合もある。その合成手段としては、溶液重合以外にも、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合も用いられる。
【0026】
カルボン酸含有セルロースとしては、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシエチル・カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
アルカリ可溶性高分子の含有量は感光性樹脂組成物の全重量基準で30質量%以上75質量%以下の範囲が好ましい。より好ましくは35質量%以上60質量%以下である。アルカリ現像性を保持する為に、アルカリ可溶性高分子の含有量は30質量%以上であることが好ましく、感光性樹脂層を充分に硬化させレジストとしての耐性を確保する為に、75質量%以下であることが好ましい。
アルカリ可溶性高分子は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本発明の(b)成分のエチレン性不飽和付加重合性モノマーとして、下記一般式(III)もしくは式(IV)で表される化合物群から選ばれる少なくとも一種が含有されていることは、本発明の好ましい実施形態である。
【0028】
【化11】
【0029】
(R5、R6はエチレン基又はプロピレン基であり、これらは相異なる。m7,n7,m8,n8は0以上の整数であり、m7+n7+m8+n8は2〜40である。−(R5−O)−,−(R6−O)−の繰り返し構造は、ランダムであっても、ブロックであってもよい。R7およびR8は互いに独立な水素又はメチル基である。)
m7+n7+m8+n8が40を超えると十分な感度が得られない。また、現像時の凝集物発生を抑えるために、R5がプロピレン基である場合m7+m8は10以下が好ましい。同様にR6がプロピレン基である場合n7+n8は10以下が好ましい。
【0030】
本発明において(b)上記一般式(III)で表される化合物は、具体的には以下のようなものが挙げられる。
例えば、ビスフェーノールAにエチレンオキシド4モルを反応させた後メタクリル酸をエステル結合したモノマー[R5:エチレン基、R6:プロピレン基、R7:メチル基、R8:メチル基、m7=m8=2、n7=n8=0(例:新中村化学(株)製、BPE−200)]、ビスフェーノールAにエチレンオキシド10モルを反応させた後メタクリル酸をエステル結合したモノマー[R5:エチレン基、R6:プロピレン基、R7:メチル基、R8:メチル基、m7=m8=5、n7=n8=0(例:新中村化学(株)製、BPE−500)]、
ビスフェーノールAにプロピレンオキシド4モルとエチレンオキシド12モルを反応させた後メタクリル酸をエステル結合したモノマー[R5:プロピレン基、R6:エチレン基、R7:メチル基、R8:メチル基、m7=m8=2、n7=n8=6]、ビスフェーノールAにエチレンオキシド30モルを反応させた後メタクリル酸をエステル結合したモノマー[R5:エチレン基、m7=m8=15、n7=n8=0(例:新中村化学(株)製、BPE−1300)]などが挙げられる。
【0031】
【化12】
【0032】
(qは3〜20の整数であり、pおよびrは1〜10の整数である。R9およびR10は互いに独立な水素又はメチル基である。)
qは十分な感度を得るため20以下であり、十分な解像性と硬化膜の強度を得るため3以上である。p、rは十分な感度を得るため10以下であり、凝集物の発生を抑えるため1以上である。ここで、現像時の硬化レジストの膨潤を抑えるためqの値は好ましくは8〜15であり、凝集物発生を抑えるために、p及びrの値は2〜5が好ましい。さらに式(IV)で表される化合物としては、トリエチレングリコールドデカプロピレングリコールトリエチレングリコールのα、ω−ジメタクリレート[R9:メチル基、R10:メチル基、p=r=3、q=12]がより好ましい。
【0033】
本発明に用いられる(b)成分のエチレン性不飽和付加重合性モノマーには、上記一般式(III)(IV)以外の化合物を用いることができる。
例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルオキシ)プロピルフタレート、1,4−テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘプタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、
グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、
4−ノルマルオクチルフェノキシペンタプロピレングリコールアクリレート、4−ビス(トリエチレングリコールメタクリレート)ノナプロピレングリコール、ビス(テトラエチレングリコールメタクリレート)ポリプロピレングリコール、ビス(トリエチレングリコールメタクリレート)ポリプロピレングリコール、ビス(ジエチレングリコールアクリレート)ポリプロピレングリコール、4−ノルマルノニルフェノキシオクタエチレングリコール(メタ)アクリレート、4−ノルマルノニルフェノキシヘプタエチレングリコールジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラプロピレングリコールテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート誘導体などが挙げられる。
【0034】
また、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネートなどの多価イソシアネート化合物と、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアクリレート化合物とのウレタン化化合物なども用いることができる。これらのエチレン性不飽和付加重合性モノマーはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
本発明の(b)成分のエチレン性不飽和付加重合性モノマーの含有量は感光性樹脂組成物の全重量基準で15質量%以上60質量%以下が好ましい。より好ましくは25質量%以上55質量%以下である。感光性樹脂層を充分に硬化させ、レジストとしての強度を維持するために、15質量%以上であることが好ましい。
一方、感光性樹脂積層体をロール状で保存した場合に、端面から感光性樹脂組成物層が次第にはみだす現象、即ちエッジフュージョンが発生するのを防止するために、60質量%以下であることが好ましい。
【0036】
本発明の(c)成分、光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジプロピルケタール、ベンジルジフェニルケタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−フルオロチオキサントン、4−フルオロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、
1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどの芳香族ケトン類、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等のトリアリールイミダゾリルニ量体、9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、α、α−ジメトキシ−α−モルホリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、フェニルグリシン、N−フェニルグリシンさらに1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−o−ベンゾイルオキシム、2,3−ジオキソ−3−フェニルプロピオン酸エチル−2−(o−ベンゾイルカルボニル)−オキシム等のオキシムエステル類、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸及びp−ジイソプロピルアミノ安息香酸及びこれらのアルコールとのエステル化物、p−ヒドロキシ安息香酸エステルなどが挙げられる。その中でも特に画像解像性の点で、トリアリールイミダゾリル二量体とミヒラーズケトン若しくは4,4’−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンの組み合わせが好ましい。
【0037】
本発明の(c)成分、光重合開始剤の含有量は感光性樹脂組成物の全重量基準で0.01質量%以上20質量%以下含まれることが好ましい。より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。充分な感度を得るために、0.01質量%以上が好ましく、感光性樹脂層の底の部分を充分に硬化させるために、20質量%以下であることが好ましい。
本発明は(d)下記一般式(I)からなる化合物を必須成分として含む。
【0038】
【化13】
【0039】
(R1、R2はエチレン基又はプロピレン基であり、これらは相異なる。m1,n1,m2,n2はそれぞれ0以上であり、m1+n1+m2+n2は2〜30である。−(R1−O)−,−(R2−O)−の繰り返し構造はランダムであってもブロックであっても良い。)
上記一般式(I)で表される化合物は、ビスフェノールAの両端にエチレンオキシド、もしくはプロピレンオキシドを付加することにより合成される。m1+n1+m2+n2は、十分な感度、密着性を得るため30以下であり、感光性樹脂組成物中での相溶性が悪化すること、および粘度の増加により取扱いが困難になることから2以上である。m1+n1+m2+n2は解像性と密着性の観点から2〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。さらに、解像性、密着性、凝集性の観点から、R1がエチレン基、R2がプロピレン基であり、かつ、m1+m2が0でn1+n2が2〜10である場合がより好ましい。
【0040】
一般式(I)で示される化合物の具体的な例としては、アデカノール(商標)SDX−1569[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=0、n1=n2=1]、アデカノール(商標)SDX−1570[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=0、n1=n2=3]、アデカノール(商標)SDX−1571[R1:エチレン基、R2=プロピレン基、m1=m2=0、n1=n2=5]、アデカノール(商標)SDX−479[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=5、n1=n2=0](以上旭電化(株)製)、ニューポール(商標)BP−23P[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=0、n1=n2=1]、
ニューポール(商標)BP−3P[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=0、n1=n2=1.5]、ニューポール(商標)BP−5P[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=0、n1=n2=2.5]、ニューポール(商標)BPE−20T[R1=エチレン基、R2=プロピレン基、m1=m2=1、n1=n2=0]、ニューポール(商標)BPE−60[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=3、n1=n2=0]、ニューポール(商標)BPE−100[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=5、n1=n2=0]、
ニューポール(商標)BPE−180[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=9、n1=n2=0](以上三洋化成(株)製)、ユニオール(商標)DB−400[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=0、n1=n2=1.5]、ユニオール(商標)DAB−800[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=6、n1=n2=4.5、−(R1−O)−と−(R2−O)−はランダム]、ユニオール(商標)DA−350F[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=1.1、n1=n2=0]、ユニオール(商標)DA−400[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=2、n1=n2=0]、ユニオール(商標)DA−700[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=5、n1=n2=0](以上日本油脂(株)製)、BA−P4U[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=0、n1=n2=2]グリコール、BA−P8[R1:エチレン基、R2:プロピレン基、m1=m2=0、n1=n2=4]グリコール(以上日本乳化剤(株)製)等が挙げられる。
【0041】
本発明の(d)成分のビスフェノール骨格を有する化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全質量基準で5質量%以上30質量%以下が好ましい。十分な剥離性を得る為に5質量%以上が好ましく、十分な解像性、密着性を得る為に30質量%以下が好ましい。さらに好ましくは7質量%以上25重量%以下である。
さらに、本発明には(e)下記一般式(II)からなる化合物を必須成分として含む。
【0042】
【化14】
【0043】
(R3、R4はエチレン基又はプロピレン基であり、これらは相異なる。m3,n3,m4,n4,m5,n5,m6,n6は0以上の整数でm3+n3+m4+n4+m5+n5+m6+n6は0〜40である。−(R3−O)−,−(R4−O)−の繰り返し構造は、ランダムであっても、ブロックであってもよい。A,B,C,Dは互いに独立な水素又は炭素数1〜30の脂肪酸アシル基である。)
m3+n3+m4+n4+m5+n5+m6+n6が40を超えると十分な感度、密着性が得られない。脂肪酸アシル基の炭素数が30を超えると、現像時の凝集物の十分な低減効果が得られない。また、炭素数1〜30の脂肪酸アシル基には、炭素数1〜30の飽和脂肪酸アシル基及び炭素数1〜30の不飽和脂肪酸アシル基がある。炭素数1〜30の飽和脂肪酸アシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等が挙げられる。炭素数1〜30の不飽和脂肪酸アシル基としては、例えば、アクリル基、プロピノイル基、メタクリル基、オレイル基等が挙げられる。
【0044】
本発明の(d)上記一般式(II)で示される化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
エステル型のものとしては、ソルビタンラウレート[A:ラウリル基、B=C=D:水素、m3+n3+m4+n4+m5+n5+m6+n6=0(例:日本乳化剤(株)製、ニューコール(商標)20)]、ソルビタンステアレート[A:ステアリル基、B=C=D:水素、m3+n3+m4+n4+m5+n5+m6+n6=0(例:三洋化成工業(株)製、イオネット(商標)S−60C)]、ソルビタンオレエート[A:オレイル基、B=C=D:水素、m3+n3+m4+n4+m5+n5+m6+n6=0(例:三洋化成工業(株)製、イオネット(商標)S−80C)]、ソルビタンパルミテート[A:パルミチル基、B=C=D:水素、m3+n3+m4+n4+m5+n5+m6+n6=0(例:東邦化学工業(株)製、ソルボン(商標)S−40)]、
【0045】
ソルビタンヤシ油脂肪酸エステル[A:ヤシ油脂肪酸のアシル基(ここでヤシ油とはヤシ科の核肉から得られる脂肪のことで、その脂肪酸はラウリン酸やミリスチン酸等の飽和脂肪酸とオレイン酸やリノール酸等の不飽和脂肪酸の混合物である)、B=C=D:水素、m3+n3+m4+n4+m5+n5+m6+n6=0(例:三洋化成工業(株)製、イオネット(商標)S−20)]、ソルビタントリオレエート[A=B=D:オレイル基、C:水素、m3+n3+m4+n4+m5+n5+m6+n6=0(例:三洋化成工業(株)製、イオネット(商標)S−85、または日本乳化剤(株)製、ニューコール(商標)3−80)]等及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0046】
ソルビタンとオキシエチレン鎖の複合型としては、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート[A:ラウリル基、B=C=D:水素、m3+m4+m5+m6=20、n3+n4+n5+n6=0、R3:エチレン基(例:日本乳化剤(株)製、ニューコール(商標)25)]、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート[A:ステアリル基、B=C=D:水素、m3+m4+m5+m6=20、n3+n4+n5+n6=0、R3:エチレン基(例:三洋化成工業(株)製、イオネット(商標)T−60C)]、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート[A:オレイル基、B=C=D:水素、m3+m4+m5+m6=8または20、n3+n4+n5+n6=0、R3:エチレン基(例:日本乳化剤(株)製、ニューコール(商標)82又は85)]、
【0047】
ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート[A:パルミチル基、B=C=D:水素、m3+m4+m5+m6=20、n3+n4+n5+n6=0、R3:エチレン基(例:東邦化学工業(株)製、ソルボン(商標)T−40)]、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート[A=B=D:オレイル基、C:水素、m3+m4+m5+m6=20、n3+n4+n5+n6=0、R3:エチレン基(例:日本乳化剤(株)製、ニューコール(商標)3−85)]、ポリオキシエチレンソルビタンヤシ油脂肪酸エステル[A:ヤシ油脂肪酸のアシル基、B=C=D:水素、m3+m4+m5+m6=20、n3+n4+n5+n6=0、R3:エチレン基(例:三洋化成工業(株)製、イオネット(商標)T−20C)]、ポリアルキレンソルビタン脂肪酸エステル[A:混合脂肪酸のアシル基(オレイン酸:66%、ステアリン酸:2%、炭素数20の飽和及び不飽和脂肪酸:18%、炭素数16の飽和及び不飽和脂肪酸:7%、炭素数20を超える飽和及び不飽和脂肪酸:7%)、B=C=D:水素、m3+n3+m4+n4+m5+n5+m6+n6=30、(m3+m4+m5+m6)/(n3+n4+n5+n6)=2/1、R3:エチレン基、R4:プロピレン基(例:日本乳化剤(株)製、ニューコール(商標)95−FJ)]等及びそれらの混合物などが挙げられる。
【0048】
これら上記一般式(II)で示される化合物は単独で使用しても、2種類以上併用しても構わない。
上記一般式(II)で示される化合物は、感光性樹脂組成物中に0.01〜30質量%含まれることが好ましく、より好ましい範囲は0.1〜15質量%である。上記一般式(II)で示される化合物の量は、現像時の凝集物の十分な低減効果を得るため0.01質量%以上が好ましく、光重合を効率的に進行させ、現像による十分な感度、解像度等の画像形成性を得るため30質量%以下が好ましい。
【0049】
本発明の感光性樹脂組成物の熱安定性、保存安定性を向上させる為にラジカル重合禁止剤を含有させることは好ましい。このようなラジカル重合禁止剤としては、例えばp−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、t−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2’メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
【0050】
本発明の感光性樹脂組成物には染料、顔料等の着色物質が含有されていてもよい。このような着色物質としては、例えばフクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS、パラマジェンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ベイシックブルー20、ダイヤモンドグリーン等が挙げられる。
また、本発明の感光性樹脂組成物に光照射により発色する発色系染料を含有させてもよい。このような発色系染料としては、ロイコ染料とハロゲン化合物の組み合わせが良く知られている。ロイコ染料としては、例えばトリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。一方ハロゲン化合物としては臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルホン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン等が挙げられる。
【0051】
さらに本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて可塑剤等の添加剤を含有させてもよい。このような添加剤としては、例えばジエチルフタレート等のフタル酸エステル類、o−トルエンスルホン酸アミド、p−トルエンスルホン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。
【0052】
本発明の感光性樹脂積層体は、支持体上に前記感光性樹脂組成物を積層し感光性樹脂層を形成することにより作成する。
支持体としては、通常活性光線を透過させる透明な基材フィルムが用いられ、このような基材フィルムとしては厚み10μm以上100μm以下程度のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルムがあるが、通常適度な可とう性と強度を有するポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。ラミネート時にシワを発生させにくくするため、また支持体の破損を防ぐために、膜厚は10μm以上であることが好ましい。また充分な解像度を得るために、膜厚は30μm以下であることが好ましい。
【0053】
またヘーズは5以下のものが好ましい。ここでいうヘーズ(Haze)とは濁度を表す値であり、ランプにより照射され、試料中を透過した全透過率Tと、試料中で拡散され散乱した光の透過率Dにより、ヘーズ値H=D/T×100として求められる。これらはJIS K 7105により規定されており、市販の濁度計により容易に測定可能である。
本発明の感光性樹脂層の膜厚は用途によって異なるが、通常5μm以上100μm以下である。より好ましくは、5μm以上50μm以下である。
【0054】
本発明の感光性樹脂積層体には、必要に応じて感光性樹脂層の支持体とは反対側の面に、保護層を形成すると良い。感光性樹脂層との密着力において、感光性樹脂層と支持体との密着力よりも感光性樹脂層と保護層の密着力が小さいことがこの保護層に必要な特性であり、これにより保護層が容易に剥離できる。
保護層は、本発明の感光性樹脂層を保護する為のフィルムであり、このようなフィルムとしては10〜100μm厚程度のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルムがあるが、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムが好ましく用いられる。
保護層の膜厚は10μm以上50μm以下が好ましい。
【0055】
次に本発明の感光性樹脂積層体の作製方法について説明する。
支持体、感光性樹脂層、及び保護層を順次積層して感光性樹脂積層体を作成する方法は、従来知られている方法を採用することができる。
例えば感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を、これらを溶解する溶剤と混ぜ合わせ均一な溶液にしておき、まず支持体上にバーコーターやロールコーターを用いて塗布して乾燥し、支持体上に感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を積層する。
次に感光性樹脂層上に保護層をラミネートすることにより感光性樹脂積層体を作成することができる。
【0056】
次に、本発明の感光性樹脂積層体を用いてプリント配線板を製造する方法の一例を説明する。プリント配線板は、以下の各工程を経て製造される。
(1)ラミネート工程
上記感光性樹脂積層体の保護層を剥がしながら、銅張積層板やフレキシブル基板等の基板上に、ホットロールラミネーターを用いて、保護層を剥離した感光性樹脂積層体を密着させる工程。
(2)露光工程
所望の配線パターンを有するマスクフィルムを支持体上に密着させ活性光線源を用いて露光を施す工程。
(3)現像工程
上記ラミネート、露光を施した感光性樹脂積層体から支持体を剥離した後、アルカリ現像液を用いて感光性樹脂層の未露光部分を溶解または分散除去、レジストパターンを基板上に形成する工程。
【0057】
(4)エッチング工程又はめっき工程
形成されたレジストパターン上からエッチング液を吹き付けレジストパターンによって覆われていない銅面をエッチングする工程、またはレジストパターンによって覆われていない銅面に銅、半田、ニッケルおよび錫等のめっき処理を行う工程。
(5)剥離工程
レジストパターンをアルカリ剥離液を用いて基板から除去する工程。
上記(2)露光工程において用いられる活性光線源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプなどが挙げられる。また、より微細なレジストパターンを得るためには平行光光源を用いるのがより好ましい。ゴミや異物の影響を極力少なくしたい場合には、フォトマスクを支持体(A)上から数十μm以上数百μm以下浮かせた状態で露光(プロキシミティー露光)する場合もある。
【0058】
また、上記(3)現像工程で用いられるアルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は感光性樹脂層(B)の特性に合わせて選択されるが、一般的に0.5質量%以上3質量%以下の炭酸ナトリウム水溶液が用いられる。
上記(4)エッチング工程は、酸性エッチング、アルカリエッチングなど、使用するDFRに適した方法で行われる。
上記(5)剥離工程で用いられるアルカリ剥離液としては、一般的に現像で用いたアルカリ水溶液よりも更に強いアルカリ性の水溶液、例えば1%以上5%以下の水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液が挙げられる。
また、セミアディティブ工法等めっき工程を設けた場合には、レジストパターンを剥離後に、レジストパターンの下に現れた銅面をエッチングする場合もある。
以下、実施例により本発明の実施形態の例をさらに詳しく説明する。
【0059】
【実施例】
以下に、評価用サンプルの作製方法を示す。次いで、実施例、比較例の評価方法、評価結果について示す。
1.評価用サンプルの作製
実施例、比較例に用いた感光性樹脂組成物および感光性樹脂積層体の作製は以下のように行った。
【0060】
<感光性樹脂積層体の作製>
表1に示す組成の感光性樹脂組成物をよく攪拌、混合し、支持体として20μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で4分間乾燥して感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の厚みは40μmであった。表1における略号(P−1〜D−2)で表わした感光性樹脂組成物中の成分の材料を表2、表3、表4に示す。
次いで、感光性樹脂層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない表面上に、保護層として30μm厚のポリエチレンフィルムを張り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
レジストパターンの形成、プリント配線板の製造は以下のように行った。
【0061】
<基板整面>
評価基板として、35μm圧延銅箔を積層した1.6mm厚の銅張積層板を用いた。上記銅張積層板の表面を、湿式バフロール研磨(スリーエム(株)製、スコッチブライト(登録商標)HD#600、2回通し)した。
【0062】
<ラミネート>
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、整面して60℃に予熱した銅張積層板に、ホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−70)により、ポリエチレンフィルムを剥離した感光性樹脂積層体をラミネートした。ロール温度は105℃、エアー圧力は0.35MPa、ラミネート速度は2.0m/minとした。
【0063】
<露光>
評価に必要なマスクフィルムを、上記によりラミネートした感光性樹脂層の支持体であるポリエチレンテレフタレートフィルム上におき、超高圧水銀ランプ(オーク製作所製、HMW−201KB)により50mJ/cm2の露光量で露光した。
【0064】
<現像>
上記により露光した感光性樹脂積層体のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、30℃の1質量%Na2CO3水溶液を所定時間スプレーし、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去し、レジストパターンを形成した。この際、未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とした。
【0065】
<エッチング>
現像によってレジストパターンが形成された評価基板に、塩化第二銅濃度250g/l、塩酸濃度3mol/lである、50℃の塩化第二銅エッチング液を所定時間スプレーし、銅張積層板上のレジストパターンにより被覆されていない部分の銅箔を溶解除去した。
【0066】
<めっき前処理>
現像によってレジストパターンが形成された上記評価基板を、酸性脱脂FRX(10%水溶液、アトテックジャパン(株)製)浴に、40℃で4分浸せきした。水洗後、APS水溶液(過硫酸アンモニウム水溶液、濃度200g/L)に、室温下1分間浸漬した。更に水洗後10%硫酸水溶液に室温下2分浸せきした。
【0067】
<硫酸銅めっき>
上記めっき前処理後を施した評価基板を、硫酸銅コンク(メルテックス(株)製)を19wt%硫酸で3.6倍に希釈しためっき液中で2.5A/dm2の電流密度で室温下30分間めっきを行った。
【0068】
<はんだめっき>
上記硫酸銅めっきを施した評価基板を、半田めっき液(錫/鉛=6/4質量比、メルテックス(株)製)で2.0A/dm2の電流密度で室温下10分間浸せきし、半田めっきを行った。
【0069】
<レジスト剥離>
エッチング工程の場合、エッチング後の評価基板に、50℃に加温した3質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーして硬化したレジストを剥離し、プリント配線板を製造した。めっき工程の場合、硫酸銅めっき次いではんだめっきを施した評価基板に、50℃に加温した3質量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーして硬化したレジストを剥離し、ついで、はんだめっきにより保護されていない部分の銅箔をエッチング除去し、プリント配線板を得た。
【0070】
2.評価方法
(1)凝集性評価
ラミネート処理をせずに露光した、厚さ40μm、面積0.15m2の感光性樹脂積層体中の感光性樹脂層を、200mlの1質量%Na2CO3水溶液に溶解させ、循環式スプレー装置を用いてスプレー圧0.1MPa、3時間スプレーを行って凝集物の発生を観察した。凝集物が多量に発生するとスプレー装置の底部及び側面に粉状のもの又は油状のものが観察される。凝集物が発生しない場合は、これらが全く見られない。凝集物の発生量を以下のようにランク分けした。
○:凝集物が発生しない
△:スプレー装置の底部もしくは側面の一部に凝集物が見られる
×:スプレー装置全体に凝集物が見られる
【0071】
(2)エッチング発泡性評価
厚さ40μm、面積0.01m2の感光性樹脂積層体を、ラミネート処理をせずに露光し、支持体であるポリエチレンテレフタレートを剥離、30℃の1質量%Na2CO3水溶液を所定時間スプレーした。つづいて保護層であるポリエチレンフィルムを剥離し、塩化第二銅濃度250g/l、塩酸濃度3mol/lである塩化第二銅エッチング液100mlに浸漬し、50℃に加温した状態で20時間放置した。こうして得られたエッチング溶液を、(株)山本鍍金試験機社製267mlハルセル鍍金試験機に移し、1500ml/分でエアーバブリングし、2分後の液面からの泡高さを測定した。泡高さにより以下のようにランクわけした。
○:液面からの泡高さが10mm以下
△:液面からの泡高さが10mmを超え30mm以下
×:液面からの泡高さが30mmを超える
【0072】
(3)剥離性評価
ラミネート後15分経過した剥離性評価用基板を、4cm×5cmのベタパターンのマスクを通して露光し、最小現像時間の2倍の現像時間で現像した。ベタパターンを形成した基板を、50℃の3%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、ベタパターンのレジストが完全に基板から剥離されるまでの時間を測定した。この剥離時間により下記のようにランクわけした。
○:剥離時間が50秒以下
△:剥離時間が50秒を超え60秒以下
×:剥離時間が60秒を超える
【0073】
(4)解像性評価
ラミネート後15分経過した解像度評価用基板を、露光部と未露光部の幅が1:1の比率のラインパターンマスクを通して露光した。最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが正常に形成されている最小マスク幅を解像度の値とし、解像性を下記のようにランクわけした。
○:解像度の値が40μm以下
△:解像度の値が40μmを超え、50μm以下
×:解像度の値が50μmを超える
【0074】
3.評価結果
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。表1中の凝集性、エッチング発泡性、剥離性、解像性は、上記評価方法によってランクわけされた結果を示しており、○、△、×横の数字は、それぞれの評価における評価値を示している。なお、比較例1〜4は一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物の双方もしくは一方を欠いている。
尚、表中の空欄はゼロを意味する。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物及び感光性樹脂積層体は、現像工程において凝集物を発生せず、エッチング工程においてエッチング液の発泡がなく、かつ剥離性、画像解像性に優れるという効果を奏する。
Claims (5)
- (a)アルカリ可溶性高分子30〜75質量%、(b)エチレン性不飽和付加重合性モノマー15〜60質量%、(c)光重合開始剤0.01〜20質量%、(d)下記一般式(I):
- (b)のエチレン性不飽和付加重合性モノマーとして、下記一般式(III):
- 請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物を支持体上に有する感光性樹脂積層体。
- 請求項3に記載の感光性樹脂積層体を金属板又は金属被覆絶縁板の表面に積層し、紫外線露光した後、現像により未露光部を除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
- 請求項4に記載の方法によって、レジストパターンを形成した基板をエッチングするか又はめっきすることによりプリント配線板を製造する方法。
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