JP3986119B2 - 表面保護材付塗装板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建材、あるいは家具等の面材として使用される、繊維補強セメント板、ケイ酸カルシウム板、石膏板等の窯業系無機質板からなる基材と、この基材上に設けられた、トップクリヤー層を有する化粧層とから成る表面保護材付塗装板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、建材、あるいは家具等の面材として使用される窯業系無機質板を基材とする塗装板において、鏡面仕上げの要求が高まりつつあり、これに対応するために、基材の上に形成された化粧層の上に、平滑な透明もしくは半透明のトップクリヤー層を形成した塗装板が増加している。このような塗装板におけるトップクリヤー層は、透明もしくは半透明の樹脂塗料を、ロールコーター、フローコーター、スプレー等で塗装し、これを硬化させて形成しているが、輸送、施工、加工等において表面に傷を生じ易く、傷が生じた場合には商品価値を低下させることになるので、製造後に紙や合成樹脂フィルムの表面保護材を取り付けている。なお、この表面保護材は、輸送、施工、加工等の化粧板の表面を傷つける危険のある作業を完了した後には、取り外すものである。
【0003】
一方、トップクリヤー層を有する塗装板の製造においては、トップクリヤー層塗装時にトップクリヤー層内に空気がまき込まれて気泡を発生ずるため、これを取り除かねばならず、生産効率を低下させる原因となっていた。また、塗装板を製造した後に、その表面に表面保護材を取り付けることも、非常に生産効率を低下させる原因となる。さらに、鏡面仕上げの場合、塗装工程においてわずかなほこりが付着しても外観不良となってしまうことから、塗装工程においてほこりの付着を避けることも重要な課題であった。特に、基材が繊維補強セメント板、ケイ酸カルシウム板、石膏板等の窯業系無機質板であるために、ほこりが発生し易く、ほこりのトップクリヤー層への付着を防止することは極めて重要な課題であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来の問題や課題を解決するためになされたもので、その目的は、塗装工程において気泡の発生やほこりの付着することがなく、かつ、平滑なトップクリヤー層の表面に取り外し可能な表面保護材を効率よく設けることのできる表面保護材付塗装板の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、窯業系無機質板からなる基材と、この基材上に設けられた、トップクリヤー層を有する化粧層とから成る表面保護材付塗装板の製造方法において、厚さ20μm〜100μmのPETフィルムに紫外線硬化型樹脂塗料を塗布し、塗布された紫外線硬化樹脂塗料を前記基材上に設けられた化粧層と接合し、全体を加熱圧着して、基材、化粧層、紫外線硬化型樹脂塗料およびPETフィルムを一体化させた後、PETフィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂塗料を硬化させてトップクリヤー層を形成することにより、PETフィルムが表面に付着した状態で保たれるようにしたものである。
【0006】
また、前記表面保護材付塗装板の製造方法において、厚さ20μm〜100μmのPETフィルムに紫外線硬化型樹脂塗料を塗布し、この紫外線樹脂塗料上に化粧層形成用塗材の層を設けるとともにこの化粧層形成用塗材の層を前記基材と接合し、全体を加熱圧着して、基材、化粧層、紫外線硬化型樹脂塗料およびPETフィルムを一体化させた後、PETフィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂塗料を硬化させることによりトップクリヤー層を形成することにより、PETフィルムが表面に付着した状態で保たれるようにしたものである。さらに、前記表面保護材付塗装板の製造方法において、厚さ20μm〜100μmのPETフィルムに紫外線硬化型樹脂塗料を塗布し、塗布された紫外線硬化型樹脂塗料の上に化粧層形成用塗材の層を設け、この設けられた化粧層形成用塗材の層の上にベースコート用樹脂塗料を塗布し、この塗布されたベースコート用樹脂塗料の層を前記基材と接合し、全体を加熱圧着して、基材、ベースコート層、化粧層、紫外線硬化型樹脂塗料およびPETフィルムを一体化させた後、PETフィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂塗料を硬化させてトップクリヤー層を形成することにより、このトップクリヤー層の形成後にもPETフィルムが表面に付着した状態に保たれるようにしたものである。
【0007】
なお、前記表面保護材付塗装板の製造方法において、窯業系無機質板からなる基材の表面は、研磨、含浸シーラー処理等の下地処理をなされていることが好ましく、また、上記PETフィルムの表面には、凹凸形状を形成されているのが好ましい場合がある。
【0008】
【発明の実施の形態】
基材を構成する窯業系無機質板は、所定の大きさに作られた、繊維補強セメント板、ケイ酸カルシュウム板、石膏板、木片セメント板等の多孔質体である。化粧層が形成される表面には、必要に応じて、研磨、含浸シーラー処理等の下地処理が行われる。また、無機質板の表面には、直接または下地処理した上に、必要に応じて、後述のベースコート層が設けられる。
【0009】
化粧層を構成する化粧用塗材は、柄付を行う顔料(インク)とこれを固定する固着剤(いわゆるベタ材)とからなる。化粧層の塗装方法は、特に限定されるわけではないが、鏡面仕上げの塗装板を目指す場合には、転写法が好適である。転写法とは、化粧層を形成する顔料(インク)とこれを固着するための固着材とからなる塗材を転写紙または転写シート上に予め印刷しておき、加熱ロールを介して転写紙または転写シート上の化粧層形成用塗材を基材上に加熱圧着して転写するとともに固着させることにより化粧層を形成する方法である。そして、トップクリヤー層は、紫外線硬化型樹脂(以下、UV樹脂ともいう。)により形成するものである。
【0010】
表面保護材としては、従来の表面保護材、すなわち保護紙や保護シートを使用できるが、トップクリヤー層を形成するUV樹脂塗料を硬化させるために、紫外線が透過し易くかつ紫外線の吸収の少ないもので、かつ、UV樹脂塗料の硬化後、UV樹脂からの分離が容易なものを選択すべきである。実験の結果によれば、表面保護材の材料としては、PETフィルムが最も適している。フィルムの厚さは、使用する材質によって異なるが、20μm〜100μmである。鏡面仕上げの塗装板を目指す場合には、UV樹脂塗料を塗布する表面に傷や汚れのない、平滑なフィルムを使用する。しかし、トップクリヤー層の表面に凹凸を付与する必要がある場合には、表面に凹凸形状を有するフィルムを使用すればよい。そして、このフィルムの凹凸形状を非常に微細にすることにより、トップクリヤー層の表面の艶の調節を行うこともでき、さらに、この艶の調節により半透明のトップクリヤー層とすることもできる。
【0011】
トップクリヤー層を形成するUV樹脂塗料としては、トップクリヤー層を通して化粧層が透視できる必要があるので、使用するUV樹脂塗料は原則的に透明もしくは半透明(着色による)である。PETフィルムに塗布するUV樹脂塗料の量は、30g/m2〜80g/m2が好ましく、これによって形成されるトップクリヤー層の厚さは、およそ30μm〜80μmである。UV樹脂塗料が塗布された、長く連続しているPETフィルムは、UV樹脂塗料の上に離型紙を置いてロール状に巻き取られる。なお、塗布されたUV樹脂塗料の上に化粧層形成用塗材を塗装し、さらに、化粧層形成用塗材の上にベースコート用樹脂塗料を塗布する場合がある。
【0012】
ベースコート層は基材である無機質板の下地処理の状態に応じて設けられる。ベースコート用樹脂塗料としては、アクリル系、アクリルウレタン系、ウレタン系等の樹脂塗料を用いることができる。ベースコート層は膜厚が30μm〜80μmの範囲が好ましい。なお、ベースコート用樹脂塗料として、UV樹脂塗料を使用することは、表面保護材の上からUV樹脂塗料及び化粧層形成用塗材を透過して紫外線をベースコート用樹脂塗料に達せしめることが難しいので好ましくない。
【0013】
製造工程においては、必要に応じて、下地処理を行い、その上にベースコート層を形成した窯業系無機質板からなる基材のベースコート層の上に化粧層を設け、この化粧層に、PETフィルムの上に塗布され、その表面に離型紙を置かれたUV樹脂塗料を、離型紙を取り外しながら接合し、加熱ロール等により全体を加熱圧着する。この加熱圧着により、基材、化粧層、UV樹脂塗料およびPETフィルムが一体化される。なお、接合および加熱圧着の際に、表面保護材となるべきPETフィルムにしわが生じないように注意する必要がある。
【0014】
加熱圧着の際の加熱温度は、基材を構成する無機質板の材質や、PETフィルムの厚さ等によっても異なるが、加熱ロールの温度で140℃〜200℃の範囲が好適である。また、加熱ロールの圧着力は、線圧で1kg/cm〜5kg/cmの範囲であることが好ましい。次いで、紫外線を照射し、UV樹脂塗料を硬化させてトップクリヤー層を形成する。なお、紫外線源としては、通常の水銀ランプもしくはメタルハライドランプを使用する。紫外線の照射は、通常80〜120W/cmの紫外線ランプ2〜3灯を用い、これらのランプの下を5〜15m/分の速度でUV樹脂塗料を通過させることにより行わせる。
【0015】
PETフィルムは、形成されたトップクリヤー層上に付着した状態で保たれる。したがって、このまま表面保護材として利用することができ、また、輸送、施工、加工等の表面を傷付け易い作業を完了した後は、容易に取り外すことができる。なお、上述の工程において、トップクリヤー層に気泡の発生やほこりの付着する機会がなく、気泡やほこりの付着により外観不良となることはない。
【0016】
また、化粧層形成用塗材の層を、PETフィルムに塗布されたUV樹脂塗料の上に設け、この化粧層形成用塗材の層を必要により基材上のベースコート層と接合し、加熱ロール等により全体を加熱圧着し、基材、ベースコート層、形成された化粧層、UV樹脂塗料およびPETフィルムを一体化することもできる。なお、無機質板からなる基材は予め予備加熱しておくのがよく、ベースコート層の表面上には、必要に応じて、接着剤となる樹脂塗料を塗布しておくのが好ましい。加熱ロールの温度は140℃〜200℃の範囲が好適であり、その圧着力は1kg/cm〜5kg/cmの範囲が好ましい。
【0017】
次いで、紫外線を照射し、UV樹脂塗料を硬化させてトップクリヤー層を形成する。PETフィルムは、形成されたトップクリヤー層上に付着した状態で保たれ、したがって、このまま表面保護材として利用することができ、輸送、施工、加工等の表面を傷付け易い作業を完了した後は、容易に取り外すことができる。したがって、トップクリヤー層に気泡の発生やほこりの付着する機会がなく、気泡やほこりの付着、あるいは傷の付くことにより外観不良となることはない。
【0018】
さらに、ベースコート用樹脂塗料を、表面保護材となるべきPETフィルムに塗布されたUV樹脂塗料上に設けた化粧層形成用塗材の層の上に塗布し、このベースコート用樹脂塗料を必要により下地処理された基材と接合し、加熱ロール等により全体を加熱圧着する。この加熱圧着により、ベースコート用樹脂塗料および化粧層形成用塗材は硬化し、ベースコート層および化粧層が形成され、基材、ペースコート層、化粧層、UV樹脂塗料およびPETフィルムとは一体化される。なお、この場合にも、無機質板からなる基材は予め加熱しておくのがよく、下地処理された基材表面には、必要に応じて接着剤となる樹脂塗料を塗布しておくのがよい。
【0019】
次いで、紫外線を照射し、UV樹脂塗料を硬化させてトップクリヤー層を形成する。PETフィルムは、形成されたトップクリヤー層上に付着した状態で保たれ、したがって、このまま表面保護材として利用することができ、輸送、施工、加工等の表面を傷付け易い作業を完了した後は、容易に取り外すことができる。かくして、これらの工程によれば、トップクリヤー層を形成するためのUV樹脂塗料のPETフィルムへの塗布が表面保護材の取付けとなるので、製造工程におけるほこりの影響を最小限とすることができるばかりでなく、表面保護材を効率よく取り付けることができ、表面保護材付塗装板の生産効率を向上させることができる。
【0020】
【実施例】
実施例1
基材として、かさ比重1.1で厚さ6mmのケイ酸カルシウム板を用い、この基材の塗装用表面を研磨した後、下地処理用含浸シーラーをロールコーターにより90g/m2塗布し、80℃で1分間乾燥した後に、下地処理用UV樹脂塗料をロールコーターにより90g/m2塗布し、しかる後紫外線を照射してこの下地処理用UV樹脂を硬化させ、更に研磨を行い、塗装用下地処理を行った。この下地処理を行った基材を約60℃に加温した後、フローコーターでベースコート用としてアクリルウレタン樹脂塗料を120g/m2塗布し、2分間のセッティングの後に80℃の雰囲気中に10分間入れて乾燥させ、ベースコート層を形成した。
【0021】
厚さ50μmの平滑なPETフィルム上に、トップクリヤー層形成のためのUV樹脂塗料(日本ペイント社製UVコート#60F)を予め約60g/m2塗布し、塗布されたUV樹脂塗料上には離型紙を取り付けてロール状に巻き取っておく。
【0022】
以後の製造工程は図1に示された装置により行われた。図1の装置は、第1コンベヤ1、第2コンベヤ2および第3コンベヤ3、第1コンベヤ1と第2コンベヤ間に配置された2対の転写用加熱圧着ロール4a,4aおよび4b,4b、第2コンベヤ2と第3コンベヤ3間に配置された2対の加熱圧着ロール5a,5aおよび5b,5b、第1コンベヤ1の上に配置された加温部6、第3コンベヤ3上に配置された紫外線照射部7、紫外線ランプ8、転写紙供給部9、転写紙巻取部10、表面保護材供給部11、UV樹脂塗料用離型紙巻取部12および切断部13からなっている。
【0023】
ベースコート層16の形成された基材15(図2(a)参照)は第1コンベヤ1上の加温部6において約60℃に加温された。加温された基材15のベースコート層16の表面上に、約160℃に加温した2対の転写用加熱圧着ロール4a,4aおよび4b,4bを利用して、転写法により化粧塗装を行った。すなわち、転写法による化粧塗装は、転写紙供給部9から供給される転写紙17に印刷された化粧層形成用塗材18a(図2(b)参照)を、基材15のベースコート層16に接合し、転写用加熱圧着ロール4a,4a間および4b,4b間で加熱圧着して行った(図2(c)参照)。なお、転写が済んだ転写紙17は転写紙巻取部10により巻き取った。
【0024】
続いて、PETフィルム19に塗布されたトップクリヤー層用UV樹脂塗料20a(図2(d)参照)を、UV樹脂塗料20aの表面から離型紙21を取り外しながら(離型紙巻取部12へ巻き取りながら)表面保護材供給部11から供給し、トップクリヤー層形成用UV樹脂塗料を化粧塗装された表面と接合させて、約160℃に加温した2対の加熱圧着ロール5a,5aおよび5b,5bによって加熱圧着し、基材15、ベースコート層16、化粧層20、UV樹脂塗料18aおよびPETフィルムが一体化された。このときの加圧力は2kg/cmであった。第3コンベヤ上に設けられた紫外線照射部7において、PETフィルム19の表面から高さ12cmの位置に設置された紫外線照射ランプ(水銀ランプを使用)8,8,8により、PETフィルム19の上から紫外線照射を行い、UV樹脂塗料20aを硬化させることによりトップクリヤー層20を形成した(図2(e)参照)。トップクリヤー層20形成後、切断部13において、表面保護材用のPETフィルム19、トップクリヤー層20および化粧層18を隣接する基材15,15間で切断し、表面保護材付塗装板を連続的に得ることができた。
【0025】
表面保護材であるPETフィルム19は、手で容易に取り外すことができ、塗装板の表面は気泡の発生やほこりの影響を受けることなく鏡面状に仕上げることができた。この表面保護材付塗装板50枚を1単位としてパレット上に積み重ね、施工現場へ搬送し施工を行った。施工完了後表面保護用のPETフィルムを取り外したところ、表面に傷等がなかった。すなわち、表面に傷をつけることなく塗装板の施工を行うことができた。
【0026】
実施例2
基材として、かさ比重1.0で厚さ6mmのケイ酸カルシウム板を用い、これを研磨した後、下地処理用UV樹脂塗料をロールコーターにより塗布し、しかる後、紫外線を照射してUV樹脂を硬化させ、更に研磨を行い、下地処理を行った。この下地処理を行った基材を約60℃に加温した後、フローコーターによりアクリルウレタン樹脂塗料(日本ペイント社製ルリール310転写用ベースコート)を約120g/m2塗布し、約80℃の雰囲気中で10分間加熱して硬化させてベースコート層を形成した(図4(a)参照)。
【0027】
塗装板の表面保護材となるべき厚さ50μmの平滑なPETフィルム19上に、トップクリヤー層形成のためのUV樹脂塗料18a(日本ペイント社製UVコート#60F)を約60g/m2予め塗布し、さらに、その上に大理石模様を形成する顔料とこれを固定する固着材からなる化粧層形成用塗材20aを塗装した。この化粧層用塗材20aの層の上には離型紙21を取り付けて、全体をロール状に巻き取った(図4(b)参照)。
【0028】
以後の製造工程は図3に示される装置により行われた。図3に示される装置は、第1コンベヤ1および第3コンベヤ3、第1コンベヤ1と第3コンベヤ3との間に配置された2対の加熱圧着ロール5a,5aおよび5b,5b、第1コンベヤ1の上に配置された加温部6、第3コンベヤ3の上に配置された紫外線照射部7、紫外線ランプ8、表面保護材供給部11、UV樹脂塗料用離型紙巻取部12および切断部13からなっている。
【0029】
実施例1と同様に、ベースコート層16の形成された基材15(図4(a)参照)は、第1コンベヤ1上の加温部6において約60℃に加温された。続いて、表面保護材となるべきPETフィルム19上に塗布されたUV樹脂塗料18a上に塗装された化粧層形成用塗材20aの層を、離型紙21を取り外しながら、約160℃に加温した一対の加熱圧着ロール5,5を介して基材15のベースコート層16に接合し、全体を加熱圧着することにより化粧層を形成し、同時に、基材15、ベースコート層16、化粧層20、UV樹脂塗料18aおよびPETフィルム19が一体化された。このときの加圧力は2kg/cmであった。
【0030】
次いで、PETフィルム19面から高さ12cmの位置に設置された紫外線照射部7の紫外線ランプ(水銀ランプ)8,8,8により、紫外線照射を行い、UV樹脂塗料18aを硬化させることによりトップクリヤー層18を形成した。トップクリヤー層18の形成後、切断部13において、表面保護材用フィルム19、トップクリヤー層20および化粧層18を隣接する基材15,15間で切断し、表面保護材付塗装板を連続的に得ることができた。
【0031】
表面保護材であるPETフィルムは、手で容易に取り外すことができ、塗装板の表面を鏡面状に仕上げることができた。この表面保護材付塗装板50枚を1単位としてパレット上に積み重ねて施工現場へ搬送し、施工を行った。表面からの保護用フィルムの取り外しを施工完了後とすることにより、表面に傷等を生じさせること無く塗装板の施工を行うことができた。また、気泡やほこり等の混入による外観不良、性能不良も認められなかった。
【0032】
実施例3
基材として、かさ比重1.2で厚さ6mmのケイ酸カルシウム板を用い、これを研磨した後、下地処理用UV樹脂塗料をロールコーターにより塗布し、しかる後紫外線を照射してUV樹脂を硬化させて下地処理層15aを設け、更に研磨を行い、下地処理した基材15を得た(図5(a)参照)。
【0033】
厚さ50μmの平滑なPETフィルム19上に、トップクリヤー層形成のためのUV樹脂塗料18a(日本ペイント社製UVコート#60F)を予め約60g/m2塗布し、その上に大理石模様を形成する顔料とこれを固定する固着材から成る化粧層用塗材20aの層を設け、さらに、その上にベースコート層形成用アクリルウレタン樹脂塗料16a(日本ペイント社製ルリール310転写用ベースコート)を約120g/m2塗布した。そして、ベースコート形成用アクリルウレタン樹脂塗料16a上には離型紙21を取り付けてロール状に巻き取った(図5(b)参照)。
【0034】
以後の製造工程は図3に示された装置によって実施例2と同様に行われた。すなわち、加温部6において下地処理されている基材15は約60℃に加温され、PETフィルム19上に塗布されたUV樹脂塗料18a、その上に設けられた化粧層用塗材20a、そしてこの化粧層用塗材の上に塗布されたベースコート形成用樹脂塗料16aを、その表面から離型紙21を取り外しながら、基材15の下地処理された表面と接合し、約160℃に加温した一対の加熱圧着ロール5,5によって加熱圧着することにより、ベースコート層と化粧層の形成を行うと同時に、基材15、ベースコート層16、化粧層20、UV樹脂塗料18aおよびPETフィルム19を一体化した。このときの加圧力は2kg/cmであった。
【0035】
次いで、紫外線照射部7において、PETフィルム19面から高さ12cmの位置に設置された紫外線照射ランプ(水銀ランプ)8,8,8により、PETフィルム19の上から紫外線照射を行い、UV樹脂塗料18aを硬化させることによりトップクリヤー層18を形成した。
【0036】
トップクリヤー層18の形成後、切断部13において、表面保護材用のPETフィルム19、トップクリヤー層20、化粧層18およびベースコート層16などを隣接する基材15,15間で切断し、表面保護材付塗装板を連続的に得ることができた。表面保護材であるPETフィルム19は、手で容易に取り外すことができ、塗装板の表面を鏡面状に仕上げることができた。この表面保護材付塗装板50枚を1単位としてパレット上に積み重ね、施工現場へ搬送し施工を行った。表面保護材であるPETフィルムの取り外しを施工完了後に行うことにより、表面に傷等を生ずること無く塗装板の施工を行うことができた。また、気泡やほこり等の混入による外観不良、性能不良も認められなかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、窯業系無機質板からなる基材と、この基材上に設けられた、トップクリヤー層を有する化粧層とから成る表面保護材付塗装板の製造方法において、厚さ20μm〜100μmのPETフィルムに紫外線硬化型樹脂塗料を塗布し、塗布された紫外線硬化型樹脂塗料を基材上の化粧層に接合し、または、その塗布された紫外線硬化型樹脂塗料の上に化粧層形成用塗材の層を設けあるいはその化粧層形成用塗材の層の上にさらにベースコート用樹脂塗料を塗布して、それらの表面を基材に接合し、全体を加熱圧着して、基材、化粧層形成用塗材、紫外線硬化型樹脂塗料およびPETフィルムを一体化させた後、紫外線硬化型樹脂塗料を硬化させてトップクリヤー層を形成することにより、表面を傷付け易い作業中も、PETフィルムがトップクリヤー層の表面に表面保護材として付着した状態で保たれるので、製造工程においてトップクリヤー層に気泡の発生やほこりの付着することがなく、また、輸送、施工、加工工程において傷付けられることもなく、かくして、トップクリヤー層の表面に表面保護材を効率よく取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の製造方法を実施するための装置の一例を概略的に示した側面図である。
【図2】 (a)〜(e)図は,図1の装置に供給された材料の状態を示すための側面図である。
【図3】 図3は本発明の製造方法の他の実施例を実施するための装置を概略的に示した側面図である。
【図4】 (a)および(b)図は、図3の装置に供給される材料の状態を示すための側面図である。
【図5】 (a)および(b)図は、図3の装置に供給される材料の他の状態を示すための側面図である。
【符号の説明】
1,2,3 コンベヤ
4,4 転写用加熱圧着ロール
5,5 加熱圧着ロール
6 加温部
7 紫外線照射部
8 紫外線ランプ
11 表面保護材供給部
13 切断部
15 基材
16 ペースコート層
16a ベースコート用樹脂塗料
18 化粧層
18a 化粧層形成用塗材
19 表面保護材
20 トップクリヤー層
20a UV樹脂塗料
21 離型紙
Claims (5)
- 窯業系無機質板からなる基材と、この基材上に設けられた、トップクリヤー層を有する化粧層とから成る表面保護材付塗装板の製造方法において、厚さ20μm〜100μmのPETフィルムに紫外線硬化型樹脂塗料を塗布し、塗布された紫外線硬化樹脂塗料を前記基材上に設けられた化粧層と接合し、全体を加熱圧着して、基材、化粧層、紫外線硬化型樹脂塗料およびPETフィルムを一体化させた後、PETフィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂塗料を硬化させてトップクリヤー層を形成することにより、このトップクリヤー層の形成後にもPETフィルムが表面に付着した状態に保たれることを特徴とする表面保護材付塗装板の製造方法。
- 窯業系無機質板からなる基材と、この基材上に設けられた、トップクリヤー層を有する化粧層とから成る表面保護材付塗装板の製造方法において、厚さ20μm〜100μmのPETフィルムに紫外線硬化型樹脂塗料を塗布し、この紫外線樹脂塗料の上に化粧層形成用塗材の層を設けるとともにこの化粧層形成用塗材の層を前記基材と接合し、全体を加熱圧着して、基材、化粧層、紫外線硬化型樹脂塗料およびPETフィルムを一体化させた後、PETフィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂塗料を硬化させてトップクリヤー層を形成することにより、このトップクリヤー層の形成後にもPETフィルムが表面に付着した状態に保たれることを特徴とする表面保護材付塗装板の製造方法。
- 窯業系無機質板からなる基材と、この基材上に設けられた、トップクリヤー層を有する化粧層とから成る表面保護材付塗装板の製造方法において、厚さ20μm〜100μmのPETフィルムに紫外線硬化型樹脂塗料を塗布し、塗布された紫外線硬化型樹脂塗料の上に化粧層形成用塗材の層を設け、この設けられた化粧層形成用塗材の層の上にベースコート用樹脂塗料を塗布し、この塗布されたベースコート用樹脂塗料を前記基材と接合し、全体を加熱圧着して、基材、ベースコート層、化粧層、紫外線硬化型樹脂塗料およびPETフィルムを一体化させた後、PETフィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂塗料を硬化させてトップクリヤー層を形成することにより、このトップクリヤー層の形成後にもPETフィルムが表面に付着した状態に保たれることを特徴とする表面保護材付塗装板の製造方法。
- 上記窯業系無機質板からなる基材の表面が、研磨、含浸シーラー処理等の下地処理がなされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表面保護材付塗装板の製造方法。
- 上記PETフィルムの表面には、凹凸形状が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面保護材付塗装板の製造方法。
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JP16401697A JP3986119B2 (ja) | 1997-06-20 | 1997-06-20 | 表面保護材付塗装板の製造方法 |
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JP16401697A JP3986119B2 (ja) | 1997-06-20 | 1997-06-20 | 表面保護材付塗装板の製造方法 |
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