JP4341008B2 - 水素ドープシリコン単結晶製造装置 - Google Patents
水素ドープシリコン単結晶製造装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4341008B2 JP4341008B2 JP2003005935A JP2003005935A JP4341008B2 JP 4341008 B2 JP4341008 B2 JP 4341008B2 JP 2003005935 A JP2003005935 A JP 2003005935A JP 2003005935 A JP2003005935 A JP 2003005935A JP 4341008 B2 JP4341008 B2 JP 4341008B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hydrogen
- mixed gas
- gas
- single crystal
- silicon single
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素を含む不活性雰囲気中でCZ法によりシリコン単結晶を育成する水素ドープシリコン単結晶製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコンウェーハの素材であるシリコン単結晶の製造方法として代表的なものは、CZ法と呼ばれる回転引上げ法である。CZ法によるシリコン単結晶の製造では、周知のとおり、石英ルツボ内に形成したシリコン融液に種結晶を浸漬し、ルツボ及び種結晶を回転させながら種結晶を引上げることにより、種結晶の下方にシリコン単結晶を育成する。
【0003】
このようなCZ引上げにおける炉内雰囲気としては、従来より不活性ガス(主にArガス)が使用されてきた。これは、シリコン融液、炉部材及び結晶との種々の化学反応を抑制し、副生成物として発生する不純物の混入を回避するためである。更に、多量にガス供給を行うことで生じる炉内のガス流れを利用して、金属汚染を回避することもでき、引上げ結晶の高品質化を実現できる。
【0004】
この炉内雰囲気に関し、最近になって、微量の水素ガスを混合することの有効性が報告され始めた(例えば特許文献1〜特許文献4)。この技術によると、結晶中に導入されたGrown−in欠陥、特にCOPに代表される空孔欠陥に水素が作用することにより、シリコン融液への窒素ドープと同様に空孔欠陥の縮小や消滅が可能になるとされている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−178495号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平11−189495号公報
【0007】
【特許文献3】
特開2000−281491号公報
【0008】
【特許文献4】
特開2001−335396号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このようなCZ引上げにおける水素ドープ技術では、水素ガスと不活性ガスの混合ガスが、不活性ガスに代わって引上げ炉内に導入される。導入形態は、通常のCZ引上げにおける不活性ガスの場合と同様に、炉内全体を所定雰囲気に置換することを目的として、プルチャンバの上部から炉内にガス導入を行い、メインチャンバの下部から炉外へガス排出を行うものになっている。つまり引上げ炉の最上部から最下部へ混合ガスが流通される。
【0010】
しかしながら、このような混合ガス導入形態では、混合ガス中の水素ガスが空孔欠陥の発生防止に有効に機能しないことが判明した。その理由は以下のとおりである。
【0011】
水素ガスドープのそもそもの目的は、COPの基となるシリコン中の空孔が凝集する前に空孔を水素と結合させることにより、空孔の凝集を抑制することにある。このため、シリコンが空孔凝集温度(融液固化温度付近)に冷却される前に、そのシリコン中に水素を供給する必要がある。即ち、炉内に導入された水素ガスは、引き上げ結晶の外表面からも供給されるが、その水素は結晶品質に及ぼす影響が少ない。これは、引き上げ時間と水素原子のシリコン中の拡散距離を考えた場合、結晶外表面から入った水素は結晶中心部まで到達せず、結晶中心部で生成されるCOPの抑制効果があらわれないためである。したがって、結晶品質の改善に有効に作用させるためには、所定量の水素ガスを坩堝内の融液表面に供給して水素を含有させたシリコン融液から結晶を育成させることが有効であり、固液界面近傍部、あるいはシリコン融液内に直接水素ガスを供給することが有効となる。
【0012】
ところが、シリコン融液を収容するルツボは、混合ガス導入点から遠く離れた引上げ炉下部のメインチャンバ内に配置されている。加えて、混合ガス中の水素ガスは、引上げ炉の内面や炉内の各種部材、特にカーボン部材に捕捉されやすい。その上、この水素ガス量は爆発危険防止等の観点から、最大で3vol%程度と微量に制限されている。これらのために、炉内に導入された水素ガスは僅かしかルツボ内の融液表面に到達せず、COPの発生抑制に有効に作用しない結果になっているのである。
【0013】
本発明の目的は、混合ガス中の水素ガス濃度を上げずとも、CZ法により高品質な水素ドープシリコン単結晶を製造できる水素ドープシリコン単結晶製造装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するめに、本発明者らは水素を含む不活性雰囲気中でCZ法によりシリコン単結晶を育成する場合の水素ガス供給装置について鋭意検討した。その結果、以下の結論に到達した。
【0015】
前述したように、水素ガスをCOPの発生抑制に有効に作用させるには、相当量の水素ガスをルツボ内の融液表面、なかでも融液表面の固液界面近傍部分に供給する必要がある。これを阻害する最大の理由は、混合ガス中に含まれた微量の水素ガスが、シリコン融液を収容するルツボから最も離れたチャンバ最上部に導入されるために、シリコン融液に到達するまでの経路が長くなり、その経路途中で引上げ炉の内面や炉内の各種部材、特にカーボン部材などに多くが捕捉されてしまう点にある。
【0016】
したがって、混合ガス中に含まれた微量の水素ガスをCOPの発生抑制に有効に作用させるためには、その水素ガスが炉内に吐出されてからシリコン融液に到達するまでの炉内経路長を短くすることが必要となる。
【0017】
請求項1に記載の発明は、シリコン融液を収容するルツボを内部に有するメインチャンバと、このメインチャンバの上に連結されたシリコン単結晶を引き上げるプルチャンバと、水素ガスと不活性ガスとからなる混合ガスを供給する混合ガス供給源とを有するとともに、この混合ガスを、上記プルチャンバを介して上記メインチャンバに供給し、シリコン単結晶を引き上げる水素ドープシリコン単結晶製造装置において、上記混合ガス供給源から上記ルツボ内のシリコン融液表面に、上記プルチャンバを介さずに直接上記混合ガスを供給するガス吐出手段を備え、このガス吐出手段を介してシリコン融液表面に供給する混合ガスの分流比を50%とした水素ドープシリコン単結晶製造装置である。
【0018】
請求項2に記載の発明は、上記ガス吐出手段は、環状又は円筒状のヘッダーに設けられた下方に向かって混合ガスを排出する複数のノズルと、上記混合ガス供給源からこのノズルに混合ガスを供給するガス供給管とから構成されている請求項1に記載の水素ドープシリコン単結晶製造装置である。
【0019】
請求項3に記載の発明は、シリコン融液を収容するルツボを内部に有したメインチャンバと、このメインチャンバの上に連結されたシリコン単結晶を引き上げるプルチャンバと、水素ガスと不活性ガスとからなる混合ガスを供給する混合ガス供給源とを有するとともに、この混合ガスを、上記プルチャンバを介して上記メインチャンバに供給し、シリコン単結晶を引き上げる水素ドープシリコン単結晶製造装置において、上記混合ガス供給源から上記ルツボ内のシリコン融液中に、直接上記混合ガスを供給するガス吐出手段を備え、このガス吐出手段を介してシリコン融液中に供給する混合ガスの分流比を50%とした水素ドープシリコン単結晶製造装置である。
【0020】
請求項4に記載の発明は、上記ガス吐出手段は、上記メインチャンバ内に差し込まれた石英製のロート管の一方の端部に、この上記混合ガス供給源からこのロート管の他方の端部に混合ガスを供給するガス供給管が接続されている請求項3に記載の水素ドープシリコン単結晶製造装置である。
【0021】
本発明の水素ドープシリコン単結晶製造装置においては、混合ガスが炉内に導入されてからルツボ内のシリコン融液に到達するまでの経路長が短く、経路途中における炉内部材との衝突が可及的に回避されることにより、水素ガスの捕捉が抑制され、その利用度が上がる。このため、混合ガス中の水素ガス濃度を上げたり混合ガス流量を増大させずとも、シリコン融液を介して結晶中に所望量の水素をドープすることが可能となる。加えて、シリコン融液にガスの供給が行われることにより、空孔の凝集防止に有効な凝固前のシリコンに水素ガスが効率的に導入される点からも、水素ガスの利用度が上がる。
【0022】
上記混合ガスをシリコン融液の表面に直接供給する形態としては、シリコン融液の表面近傍でシリコン単結晶を包囲するようにメインチャンバ内に設けられた環状のガス吐出手段から、この混合ガスを融液表面、好ましくはその表面の固液界面近傍部分に吹き付けるものが、効率等の点から推奨される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の水素ドープシリコン単結晶製造装置に係るCZ引上げ炉の概略構成図である。
【0024】
CZ引上げ炉は、図1に示すように、炉体として、円筒形状のメインチャンバ1と、メインチャンバ1の下面開口部を塞ぐベースチャンバ2と、メインチャンバ1の上面開口部を塞ぐトップチャンバ3と、トップチャンバ3を介してメインチャンバ1の上に同心状に連結される細長い円筒形状のプルチャンバ4とを備えている。
【0025】
メインチャンバ1内には、ルツボ5が中心部に位置して配置されている。ルツボ5は内側の石英ルツボを外側の黒鉛ルツボで保持した二重構造であり、ベースチャンバ2を貫通してメインチャンバ1内に挿入されたペディスタルと呼ばれる支持軸の上に受け皿を介して支持されている。支持軸は、ルツボ5の昇降及び回転のために、ボトムチャンバ2の下方に配置された駆動機構により、軸方向及び周方向に駆動される。
【0026】
ルツボ5の外側には環状のヒータ6が配置されており、その更に外側には断熱材7がメインチャンバ1の内面に沿って配置されている。
【0027】
メインチャンバ1内には又、ガス吐出手段15がルツボ5の上方に位置して設けられている。ガス吐出手段15は、ルツボ5の上方に同心状に配置されたリング状のヘッダー16と、ヘッダー16をルツボ5の上方の定位置に水平に吊り下げ支持する2本の支持部材17,17とを有している。ヘッダー16は円形に曲成されたチューブであり、その底部には複数のノズル孔が全周にわたって等間隔で形成されている。2本の支持部材17,17は、トップチャンバ3の下面に逆ハ字状に傾斜して取り付けられた管状部材であり、前記ガス吐出管16に後述の混合ガスを供給するガス供給管を兼ねている。
【0028】
メインチャンバ1上のプルチャンバ4内には、引上げ軸としてのワイヤ8が垂らされている。ワイヤ8は、プルチャンバ4の上に設けられた駆動機構9により、巻き上げ及び回転を行う。
【0029】
プルチャンバ4の上部には、炉体内の雰囲気管理のために、ガス導入口11が設けられている。ガス導入口11は、水素ガスと不活性ガスの混合ガスを供給するガス源12に配管13により接続されている。ガス源12は、前述したガス供給管を兼ねる2本の支持部材17,17に、配管13とは別の独立した配管18により接続されている。プルチャンバ4の下部には、メインチャンバ1内に挿入されるドローチューブ14が設けられている。ドローチューブ14は、プルチャンバ4の周壁部と同様のジャケット構造により水冷された円筒体であり、ルツボ5内のシリコン融液から引上げられるシリコン単結晶の冷却を促進すると共に、ガス導入口11からプルチャンバ4内に導入された混合ガスを整流してメインチャンバ1内に導入する整流体筒を兼ねている。一方、ベースチャンバ2にはガス排出口19が設けられている。ガス排出口19は図示されない真空ポンプと接続されている。
【0030】
ドローチュープ14の直径は、大きすぎると単結晶を冷却する効果が薄れ、小さすぎると引き上げ時に結晶の振れ等が発生した場合、育成中の結晶とドローチューブ内壁とが接触して結晶落下の危険性がある。この観点から、ドローチューブ14の直径は育成結晶の直径の1.1〜1.3倍が適当である。そしてリング状のヘッダー16の直径については、小さすぎると結晶に接触する危険性があり、大きすぎると結晶と融液界面に直接吹き付ける作用効果が低減することから、育成結晶の1.1〜1.3倍が適当である。
【0031】
操業では、まず、ルツボ5内にシリコンの原料融液20を形成する。ワイヤ8の下端部に装着した種結晶を原料融液20に漬ける。ルツボ5及びワイヤ8を回転させながら、ワイヤ8を巻き上げることにより、種結晶の下方にシリコンの単結晶21を育成する。育成結晶は、環状のヘッダー16及びドローチューブ14の各内側を通ってプルチャンバ4内に徐々に引き込まれる。
【0032】
このとき、ガス排出口19に接続された真空ポンプを作動させることにより、炉体内を所定の真空度に減圧し、この状態で、ガス源12から配管13及びガス導入口11を介して炉体内に水素ガスと不活性ガス(Arガス)の混合ガスを導入する。ガス導入口11から炉体内に導入された混合ガスは、炉体内を上から下に流通し、ガス排出口19から炉外へ排出される。これにより、炉体内が一応混合ガス雰囲気に管理される。
【0033】
これと同時に、ガス源12から別の配管18を介して2本の支持部材17,17に前記混合ガスを供給する。支持部材17,17に供給された混合ガスは、水平なリング状のヘッダー16に送られ、ヘッダー16の底部に設けられた複数のノズル孔から、プルチャンバ4内を通過することなくメインチャンバ1内へ下向きに吐出される。メインチャンバ1内へ下向きに吐出された混合ガスは、主にルツボ5内の原料融液20の表面、より具体的には、その表面の単結晶21からその外側にかけての範囲に、至近距離からフレッシュ状態で衝突することになる。この結果、複数のノズル孔から吐出される混合ガス中の水素ガスは、単結晶21中の空孔防止に効率的に作用する。
【0034】
なぜなら、ヘッダー16から吐出される混合ガスが至近距離からルツボ5内の融液面に衝突し、水素ガスが炉内の流通経路途中でカーボン部材に捕捉されることなどによる無駄な水素消費が回避されると共に、混合ガスの衝突位置が、主にルツボ5内の融液表面の固液界面近傍部分であることにより、混合ガス中の水素ガスが空孔の凝集抑制に効果的な凝固直前のシリコンに効率よく取り込まれ、単結晶21などへの水素の無駄な取り込みが回避されるからである。
【0035】
こうした効率的な水素取り込みにより、凝固直前の段階でシリコンに所定濃度の水素がドープされ、空孔欠陥の発生が効果的に抑制された高品質な水素ドープシリコン単結晶21が製造されることになる。
【0036】
図2は本発明の水素ドープシリコン単結晶製造装置に係る別のCZ引上げ炉の概略構成図である。
【0037】
この引上げ炉は、ガス吐出手段15の構造が、前述した引上げ炉と相違する。他の構造は、前述した引上げ炉と実質同一であり、同一部分に同一番号を付して説明を省略する。
【0038】
ここにおけるガス吐出手段15は、メインチャンバ1内に挿入されるドローチューブ14の外側に設けられた円筒状のヘッダー22を有している。ヘッダー22は、ドローチューブ14とその外側に設けた円筒状の外筒とで構成された2重筒構造であり、そのヘッダー22の底面には複数のノズル孔が全周にわたって等間隔で設けられているそして、このヘッダー22には、ガス源12が、当該ガス源12をプルチャンバ4の上部に接続する配管13とは別の独立した配管18により、接続されている。
【0039】
操業中、ガス源12からプルチャンバ4内に水素ガスと不活性ガスの混合ガスが供給される。同時に、ガス吐出手段15のヘッダー22内にもこの混合ガスが供給される。ヘッダー22内に供給された混合ガスは、当該ヘッダーの底面に設けられた複数のノズル孔からメインチャンバ1内へ下向きに吐出される。メインチャンバ1内へ下向きに吐出された混合ガスは、前述した引上げ炉の場合と同様に、主にルツボ5内の原料融液20の表面、より具体的には、その表面の単結晶21からその外側にかけての範囲に至近距離から衝突する。この結果、複数のノズル孔から吐出される混合ガス中の水素ガスは、単結晶21中の空孔欠陥防止に効率的に作用することになる。
【0040】
図3は本発明の水素ドープシリコン単結晶製造装置に係る更に別のCZ引上げ炉の概略構成図である。
【0041】
この引上げ炉は、ルツボ5内の原料融液20に混合ガスを供給する形態が、前述した二つの引上げ炉と相違する。即ち、ルツボ5内の原料融液20に混合ガスを供給する形態は、前述した二つの引上げ炉では、環状のガス吐出手段15から原料融液20の表面、特に融液面の固液界面近傍部分に混合ガスを吹き付けるものであるのに対し、この引上げ炉では、ルツボ5内の原料融液20に浸漬するように、トップチャンバ3を貫通してメインチャンバ1内に差し込まれた石英からなるロート管24を用いて、原料融液20中に混合ガスを吹き込む構成になっている。
【0042】
この形態によっても、炉内に吐出される混合ガスが原料融液20に直接供給され、原料融液20に到達するまでの経路長が実質0に大幅短縮されることにより、混合ガス中の水素ガスが経路途中でカーボン部材に捕捉されることなどによる無駄な水素消費が回避される。また、その水素ガスが空孔の凝集抑制に効果的な凝固直前のシリコンに効率よく取り込まれ、単結晶21などへの水素の無駄な取り込みが回避される。こうした効率的な水素取り込みの結果、凝固直前の段階でシリコンに所定濃度の水素がドープされ、空孔欠陥の発生が効果的に抑制された高品質な水素ドープ単結晶21が製造される。
【0043】
本発明法の実施例として、図1に示す形態により、種々の水素濃度の混合ガスをプルチャンバの上部からとリング状のヘッダーからとに別けて炉内に供給し、混合ガス中の水素濃度と単結晶中の水素濃度との関係を調べた。また、従来例として、混合ガスの全量をプルチャンバの上部から供給し、この場合の混合ガス中の水素濃度と単結晶中の水素濃度との関係を調べた。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
結晶径は150mm、本発明法に用いたリング状ヘッダーの管径は10mm、リング径は内径165mm、混合ガスのガス吐出管への分流比は50%とした。また、結晶中の水素濃度の測定には光吸収測定装置(FT−IR)を用いた。結晶中の水素濃度が十分の場合には、光吸収測定装置によってシリコンと水素との複合体としての吸収ピークが観察されるため、この吸収ピークの有無によって水素濃度の適否を判断することができる。表中、○印は十分な大きさの吸収ピークが観察されたものを示し、△印は観察された吸収ピークが小さかったもの、×印は全く吸収ピークが観察されないかったものを示している。
【0046】
表1から明らかなように、本発明例の場合、混合ガス中の水素濃度が3%あたりからシリコンと水素の複合体ピークが確認され、従来法と比較して複合体ピークが確認される水素濃度が低水素濃度側にシフトしていることが分かる。これは、シリコン融液表面に直接供給した水素が効率よく結晶中に取り込まれた結果である。また、本発明例では水素濃度5%の供給で水素が十分に結晶中に取り込まれており、従来法よりもより安全な低水素濃度の操業が可能となる。
【0047】
以上より、本発明法により安全上有利である低水素濃度範囲内で十分に結晶中に水素を導入することが可能になることが分かる。
【0048】
前述した本発明法の各例では、炉内に導入すべき雰囲気ガスの全部を混合ガスとし、その混合ガスの一部をメインチャンバ内の原料融液に至近距離から直接供給し、残りの混合ガスをプルチャンバ上部から炉内に導入したが、混合ガスの全部をメインチャンバ内の原料融液に至近距離から直接供給することもできる。また、炉内に導入すべき雰囲気ガスの一部を混合ガスとしてメインチャンバ内の原料融液に至近距離から直接供給することもできる。この場合、残りの雰囲気ガスは全て不活性ガスであり、例えばプルチャンバの上部から炉内に導入される。
【0049】
【発明の効果】
以上に説明したとおり、本発明の水素ドープシリコン単結晶製造装置は、水素を含む不活性雰囲気中でCZ法によりシリコン単結晶を育成する際に、炉内に導入された水素ガスがルツボ内のシリコン融液に到達するまでの炉内経路長を短く制限することにより、その経路途中における水素ガスの捕捉及びシリコン単結晶への水素ガスの取り込みを回避でき、その水素ガスの効率的な利用を可能にする。これにより、混合ガス中の水素ガス濃度を上げずに、水素量が十分に多くかつ正確に管理された高品質な水素ドープシリコン単結晶を安全に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素ドープシリコン単結晶製造装置に係るCZ引上げ炉の概略構成図である。
【図2】本発明の水素ドープシリコン単結晶製造装置に係る別のCZ引上げ炉の概略構成図である。
【図3】本発明の水素ドープシリコン単結晶製造装置に係る更に別のCZ引上げ炉の概略構成図である。
【符号の説明】
1 メインチャンバ
4 プルチャンバ
5 ルツボ
6 ヒータ
8 ワイヤ
11 ガス導入口
12 ガス源
13,18 配管
14 ドローチューブ
15 ガス吐出手段
16,22 ヘッダー
17 支持部材
19 ガス排出口
20 原料融液
21 単結晶
24 ロート管
Claims (4)
- シリコン融液を収容するルツボを内部に有するメインチャンバと、
このメインチャンバの上に連結されたシリコン単結晶を引き上げるプルチャンバと、
水素ガスと不活性ガスとからなる混合ガスを供給する混合ガス供給源とを有するとともに、
この混合ガスを、上記プルチャンバを介して上記メインチャンバに供給し、シリコン単結晶を引き上げる水素ドープシリコン単結晶製造装置において、
上記混合ガス供給源から上記ルツボ内のシリコン融液表面に、上記プルチャンバを介さずに直接上記混合ガスを供給するガス吐出手段を備え、
このガス吐出手段を介してシリコン融液表面に供給する混合ガスの分流比を50%とした水素ドープシリコン単結晶製造装置。 - 上記ガス吐出手段は、環状又は円筒状のヘッダーに設けられた下方に向かって混合ガスを排出する複数のノズルと、
上記混合ガス供給源からこのノズルに混合ガスを供給するガス供給管とから構成されている請求項1に記載の水素ドープシリコン単結晶製造装置。 - シリコン融液を収容するルツボを内部に有したメインチャンバと、
このメインチャンバの上に連結されたシリコン単結晶を引き上げるプルチャンバと、
水素ガスと不活性ガスとからなる混合ガスを供給する混合ガス供給源とを有するとともに、
この混合ガスを、上記プルチャンバを介して上記メインチャンバに供給し、シリコン単結晶を引き上げる水素ドープシリコン単結晶製造装置において、
上記混合ガス供給源から上記ルツボ内のシリコン融液中に、直接上記混合ガスを供給するガス吐出手段を備え、
このガス吐出手段を介してシリコン融液中に供給する混合ガスの分流比を50%とした水素ドープシリコン単結晶製造装置。 - 上記ガス吐出手段は、上記メインチャンバ内に差し込まれた石英製のロート管の一方の端部に、この上記混合ガス供給源からこのロート管の他方の端部に混合ガスを供給するガス供給管が接続されている請求項3に記載の水素ドープシリコン単結晶製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003005935A JP4341008B2 (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | 水素ドープシリコン単結晶製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003005935A JP4341008B2 (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | 水素ドープシリコン単結晶製造装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004217460A JP2004217460A (ja) | 2004-08-05 |
JP4341008B2 true JP4341008B2 (ja) | 2009-10-07 |
Family
ID=32896472
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003005935A Expired - Lifetime JP4341008B2 (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | 水素ドープシリコン単結晶製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4341008B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4862290B2 (ja) * | 2005-06-20 | 2012-01-25 | 株式会社Sumco | シリコン単結晶製造方法 |
US7384480B2 (en) | 2005-06-20 | 2008-06-10 | Sumco Corporation | Apparatus for manufacturing semiconductor single crystal |
JP4710429B2 (ja) * | 2005-06-20 | 2011-06-29 | 株式会社Sumco | 半導体単結晶製造装置 |
US7306676B2 (en) | 2005-06-20 | 2007-12-11 | Sumco Corporation | Apparatus for manufacturing semiconductor single crystal |
DE102006002682A1 (de) * | 2006-01-19 | 2007-08-02 | Siltronic Ag | Vorrichtung und Verfahren zur Herstellung eines Einkristalls, Einkristall und Halbleiterscheibe |
JP4650345B2 (ja) * | 2006-05-29 | 2011-03-16 | 株式会社Sumco | シリコン単結晶の製造方法 |
JP4862836B2 (ja) * | 2008-02-05 | 2012-01-25 | 信越半導体株式会社 | 単結晶製造装置及び単結晶製造方法 |
JP6287991B2 (ja) * | 2015-07-29 | 2018-03-07 | 信越半導体株式会社 | シリコン単結晶育成装置 |
-
2003
- 2003-01-14 JP JP2003005935A patent/JP4341008B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004217460A (ja) | 2004-08-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4341008B2 (ja) | 水素ドープシリコン単結晶製造装置 | |
EP1895028B1 (en) | Apparatus for producing semiconductor single crystal | |
US20080035050A1 (en) | An Apparatus for Producing a Single Crystal | |
JP3360626B2 (ja) | シリコン単結晶の製造方法 | |
DK2679706T3 (en) | PROCEDURE FOR MANUFACTURING N-TYPE SILICON MONO CRYSTAL | |
US20060254499A1 (en) | Method For Manufacturing Nitrogen-Doped Silicon Single Crystal | |
US7300517B2 (en) | Manufacturing method of hydrogen-doped silicon single crystal | |
JPH06247789A (ja) | 単結晶引上げ装置用不活性ガス整流・吹付け装置 | |
JP2010018446A (ja) | 単結晶の製造方法及び単結晶引上装置 | |
US7384480B2 (en) | Apparatus for manufacturing semiconductor single crystal | |
US7306676B2 (en) | Apparatus for manufacturing semiconductor single crystal | |
JP2002321997A (ja) | シリコン単結晶の製造装置及びそれを用いたシリコン単結晶の製造方法 | |
EP1895029B1 (en) | Apparatus for producing semiconductor single crystal | |
JP4650345B2 (ja) | シリコン単結晶の製造方法 | |
JP2004123516A (ja) | 単結晶引上装置 | |
JP2007204305A (ja) | 単結晶引上装置 | |
JP6642410B2 (ja) | シリコン単結晶の製造方法 | |
JP2011037643A (ja) | 単結晶引き上げ装置、単結晶の製造方法及び単結晶 | |
JP7285197B2 (ja) | 単結晶引上方法及び単結晶引上装置 | |
JP2002128593A (ja) | シリコンウェーハの製造方法及びその方法により製造されたシリコンウェーハ | |
JP2010006657A (ja) | シリコン単結晶の製造装置およびシリコン単結晶の製造方法 | |
JP2004224642A (ja) | 単結晶製造装置 | |
JPH09142990A (ja) | シリコン単結晶中の酸素濃度の低減方法及びその装置 | |
JP2001226195A (ja) | シリコン単結晶インゴットの製造方法 | |
JPH0446088A (ja) | 単結晶の製造方法および装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD05 | Notification of revocation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425 Effective date: 20040722 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050524 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080205 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080219 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080414 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20080414 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080815 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090206 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090306 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20090414 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090612 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090625 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120717 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4341008 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120717 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130717 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |