JP4334273B2 - カラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物、カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、及び表示パネル - Google Patents

カラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物、カラーフィルターの製造方法、カラーフィルター、及び表示パネル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
また本発明は、当該カラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物を用いてカラーフィルターを製造する方法、当該カラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルター、及び表示パネルにも関する。
【0003】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、このカラー液晶ディスプレイが高価であることから、コストダウンの要求が高まっており、特にコスト的に比重の高いカラーフィルターに対するコストダウンの要求が高い。
【0004】
このようなカラーフィルターにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
【0005】
従来より行われているカラーフィルターの製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。
【0006】
また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。
【0007】
さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
【0008】
しかしながら、いずれの方法も、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
【0009】
これらの問題点を解決したカラーフィルターの製造方法として、特許文献1には、熱硬化性樹脂を含有する着色インクをインクジェット方式で基板上に吹き付け、加熱することにより着色層(画素部)を形成することが記載されている。
【0010】
一方、特許文献2には、顔料がウレタン結合を含む分散剤により分散されていることを特徴とするカラーフィルター用感放射線性組成物が開示されているが、開示されているが、熱硬化性組成物については言及されていない。
【0011】
【特許文献1】
特開平9−21910号公報
【特許文献2】
特開2000−155209号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
顔料を含有する熱硬化性インクは、例えば、白及び黒を含む様々な色の着色パターン又は着色コーティング等を形成するために用いられているが、該熱硬化性インクを用いて形成した塗膜の熱膨張又は熱収縮(以下「熱膨張収縮」という場合がある)が大きい場合には、熱硬化工程又はその前後の工程での加熱処理、或いは製品となった後での高温環境によって、着色パターンの変形、塗膜のクラック、密着性の悪化、或いは、該塗膜の上に積層された隣接層の皺等を来たすといった問題が生じる。
【0013】
特に、液晶表示パネル等、表示パネル用のカラーフィルターの画素やブラックマトリックス等の着色層を熱硬化性インクを用いて形成する場合には、基板上に着色層を形成後、オーバーコート層(保護膜)と配向膜を順次形成する。また、透明電極膜は、液晶セルの構造によって着色層の上下いずれに形成される場合もあるが、着色層の上に形成する場合には、オーバーコート層、透明電極膜及び配向膜が順次形成された層構成となる。
【0014】
このようなカラーフィルターのオーバーコート層を形成する際には、下地となる画素は約180℃以上の高温にさらされる。また、透明電極として代表的なITO膜の真空蒸着成膜を行う場合には、下地となる画素は約120℃以上という高温及び真空による超低圧にさらされる。熱硬化性インクから形成された画素がこのような高温条件にさらされると、画素部分のパターンが熱膨張収縮するために、その上に形成された透明電極膜等の隣接層を歪ませて、その表面に皺が発生するという問題が起こる。透明電極膜表面の皺は、断線、ひいては表示不良の原因となる。
【0015】
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、耐熱性に優れた塗膜を形成できる熱硬化性インクを調製するための熱硬化性インク用顔料分散液を提供することにある。
【0016】
また、本発明の第二の目的は、耐熱性に優れた塗膜を形成できる熱硬化性インクを提供することにある。
【0017】
また、本発明の第三の目的は、上記目的を達成するインクを用いてカラーフィルターを製造する方法を提供することにある。
【0018】
さらに、本発明の第四の目的は、上記目的を達成するインクを用いて製造したカラーフィルターを提供することにある。
【0019】
さらに、本発明の第五の目的は、上記目的を達成するカラーフィルターを備えた表示パネルを提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物は、少なくとも、
(1)顔料、
(2)単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、且つ、ポリエーテル鎖及び酸性官能基を含まない重合体からなる顔料分散剤、
(3)少なくともSP値が10以上である構成単位を含む2種以上の構成単位が連結した分子構造を有し、且つ、酸性官能基を有さない共重合体からなる分散補助剤、
(4)1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、
(5)硬化剤、及び、
(6)主溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを溶剤全量に対して80質量%以上の割合で含有する有機溶剤を含有する、カラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物である。
【0031】
本発明のカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物は、多量の顔料を分散させるために用いられる顔料分散剤の耐熱性が高いため、熱膨張収縮が極めて小さい塗膜を形成できると推測される。当該カラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物により形成された未硬化状態の又は硬化後の塗膜は、熱硬化工程又はその前後の工程での加熱処理、或いは製品となった後での高温環境に曝されても、着色パターンの変形、塗膜のクラック、密着性の悪化、或いは、該塗膜の上に積層された隣接層の皺等を来たすといった塗膜不良の問題が生じない。
【0032】
特に、液晶表示パネル等の表示パネル用のカラーフィルターの画素やブラックマトリックス等の着色層を、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物を用いて形成する場合には、透明電極膜やオーバーコート層を形成する工程において、下地となる画素は高温及び真空による超低圧に曝されるが、この場合であっても下地となる画素部分のパターンが熱膨張収縮することが少ないために、その上に形成される透明電極膜等の隣接層を歪ませて、その表面に皺が発生し、断線するという問題が起こらない。従って、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルターや表示パネルは、表示不良が低減する。
【0033】
本発明のカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物を用いて、カラーフィルターの画素やブラックマトリックス等の微細なパターンを形成する場合には、溶剤やバインダー成分を適宜選定することにより粘性、流動性等のインク物性を調節し、インクジェット方式により微細なパターンを正確に形成することができる。
【0035】
また、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を更に含有することが、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与える点から好ましい。
【0036】
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、(1)基板上の所定領域に、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物をインクジェット方式によって選択的に付着させて、インキ層を形成する工程と、
(2)当該インキ層を加熱することにより硬化させて、所定パターンの硬化層を形成する工程、
を含むことを特徴とする。
【0037】
また、本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、(1)基板上に、親水性が大きくなる方向に濡れ性を変化させることのできる濡れ性可変層を形成する工程と、
(2)当該濡れ性可変層の表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親水性の大きいインキ層形成領域を形成する工程と、
(3)当該インキ層形成領域に、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物を選択的に付着させて、インキ層を形成する工程と、
(4)当該インキ層を加熱することにより硬化させて、所定パターンの硬化層を形成する工程、
を含むことを特徴とする。
【0038】
本発明に係るカラーフィルターは、基板上に少なくとも着色層を備えてなり、当該着色層が前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする。
【0039】
本発明に係るカラーフィルターは、前記着色層上に、透明導電層及び/又はオーバーコート層を積層する場合であっても、これらの層は歪まず、その表面に皺が発生し、断線するという問題が起こらない。
【0040】
本発明に係る表示パネルは、前記本発明に係るカラーフィルターを備える表示パネルである。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下において本発明を詳しく説明する。
【0042】
<顔料分散液>
本発明に係る熱硬化性インク用顔料分散液は、少なくとも、
(1)顔料、
(2)単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、且つ、ポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤、及び、
(3)有機溶剤を含有する。
【0043】
顔料分散液とは、後述の熱硬化性インクを調製する前段階において予備調製される、P/V比(組成物中の顔料分/組成物中の顔料以外の固形分)の高い顔料組成物である。具体的には、P/V比は1.0以上であることが多い。顔料分散液とバインダー成分を混合することにより、顔料分散性の高い熱硬化性インクを容易に調製することができる。
【0044】
以下、本発明に係る顔料分散剤の配合成分について説明する。
【0045】
(顔料)
本発明の顔料分散液に用い得る顔料は特に限定されず、種々の有機又は無機顔料を用いることができる。中でも有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0046】
C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー60、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー71、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー106、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー113、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー119、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175;
C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73;C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド14、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド30、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド37、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド40、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド42、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド50:1、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド57:2、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド90:1、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントレッド102、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド113、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド151、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド174、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36;C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
【0047】
また、前記無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0048】
カラーフィルターの基板上に、後述する本発明の熱硬化性インクを用いて遮光層のパターンを形成する場合には、インク中に遮光性の高い黒色顔料を配合する。遮光性の高い黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックや四三酸化鉄などの無機顔料、或いは、シアニンブラックなどの有機顔料を使用できる。
【0049】
本発明において、顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0050】
本発明に用いられる顔料分散剤は、単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、且つ、ポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤である。
【0051】
本発明者は、顔料を含む熱硬化性着色インクを用いて着色塗膜を形成する場合に発生する塗膜不良、例えば、微細な着色パターンを形成する場合の形状不良やソリッドパターン(ベタ塗り)を形成する場合のクラック、着色層の上に形成した隣接層の歪みなど、特に、カラーフィルターの製作工程において、該熱硬化性着色インクを用いて着色層を形成した後、該着色層に隣接して透明導電層やオーバーコート層を形成する場合に隣接層に発生する皺の原因を検討した。
【0052】
その結果、熱硬化性着色インクには、多量の顔料を分散させるために、塗膜不良への影響を無視できない量の顔料分散剤が用いられており、適切な顔料分散剤を選定することによって、加熱プロセス又は高温環境による着色塗膜の不良を阻止できることを見出した。
【0053】
本発明においては、上記構造の重合体からなる顔料分散剤を用いることによって、加熱プロセス又は高温環境による塗膜不良の発生が極めて少ない熱硬化性インクが得られる。
【0054】
その理由として、上記顔料分散剤の耐熱性が高い点を挙げることができる。すなわち、顔料分散剤が例えば特開平9−169821号公報記載のポリアリルアミン骨格や特表平8−507960号公報記載のポリエチレンイミン骨格等のような耐熱性の低い構造であると、着色硬化膜の形成及びその後の加工を含む製造段階での加熱工程において、或いは、着色硬化膜を備えた製品が高温環境に放置された場合において熱分解されやすくなる。また、顔料分散剤の分子構造にポリエーテル鎖を含むと耐熱性が低くなることが見出されたが、これも、ポリエーテル鎖がアルキル鎖に比べて加熱時に切断され易いためと推測される。このような耐熱性の低い顔料分散剤を用いると、加熱工程又は高温環境において塗膜の物性が変動しやすいため、熱膨張収縮が大きくなり、塗膜不良が発生すると推測される。
【0055】
これに対して、本発明の熱硬化性インク又はそのために予備調製される顔料分散液は、イソシアネート類同士が重合した熱分解しにくい主鎖構造を有し、更には、熱分解しやすいポリエーテル鎖を含まない重合体からなる耐熱性の高い顔料分散剤を用いるので、着色硬化膜が製造段階での加熱工程又は製造後の高温環境に置かれても、顔料分散剤の分子構造が切断されることなく、塗膜の物性が安定なため、著しい熱膨張収縮が阻止され、塗膜不良を防止できると推測される。
【0056】
顔料分散剤の耐熱性は、例えばガラス転移温度(Tg)を1つの指標とすることができる。本発明に用いられる上記顔料分散剤のガラス転移温度(Tg)は、70℃以上であることが好ましく、更に150℃以上、特に180℃以上であることが好ましい。Tg測定においてTgを示すピークが2つ以上現われる場合には、耐熱性の観点から、チャートのピーク面積、すなわちベースラインから突出した部分の面積が最も大きいピーク点を急変点の代表値とする。なお、ガラス転移温度(Tg)はDSC法により測定することができる。
【0057】
また、顔料分散剤の耐熱性は、70℃で30分間の熱処理を行って溶融するか否かの試験(以下、「溶融試験」ということがある)を1つの指標とすることができる。本発明に用いられる上記顔料分散剤は、70℃の熱処理を30分間行った場合に、溶融しないものであることが好ましく、タックが出現しない固体状態であることが更に好ましい。この溶融試験においては、150℃、30分間の加熱条件で溶融しないことが更に好ましく、180℃、30分間の加熱条件で溶融しないことが特に好ましい。
【0058】
ジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類の単量体に基づく構成単位を主鎖構造に有するものとしては、上記ジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類の分子間でイソシアネート基同士が結合して重合した分子構造が挙げられる。また、主鎖骨格の連鎖構造内には、置換基を有していても良い芳香環及び/又は複素環等の環構造が含まれていても良い。
【0059】
ジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造としては、例えば、式(A−1)〜(A−5)で表されるポリイソシアネートが挙げられ、これらのポリイソシアネートは更に重合連鎖していても良く、更に置換基を有しても良い。2−メタクリロイルエチルイソシアネートは、例えば、昭和電工(株)製「カレンズMOI」等の商品名で市販されている。
【0060】
なお、式(A−1)は、例えばバイエル社製「デスモジュールIL」等の商品名で、式(A−2)は、例えばバイエル社製「デスモジュールHL」等の商品名で、式(A−3)はエッセアピイチイ社製「ポルレンKC」等の商品名で、式(A−4)は例えばエッセアピイチイ社製「ポルレンHR」等の商品名で、式(A−5)は例えばエッセアピイチイ社製「トルエンジイソシアネート−イソフォロンジイソシアネート−イソシアヌレート」として、市販されている。
【0061】
【化1】
Figure 0004334273
【0062】
【化2】
Figure 0004334273
【0063】
本発明の顔料分散剤に用いられるジイソシアネート類としては、耐熱性の点で芳香族イソシアネート類が好ましく、例えば、ベンゼン−1,3−ジイソシアネート、ベンゼン−1,4−ジイソシアネート等のベンゼンジイソシアネート類;トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,5−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、トルエン−3,5−ジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート類;1,2−キシレン−3,5−ジイソシアネート、1,2−キシレン−3,6−ジイソシアネート、1,2−キシレン−4,6−ジイソシアネート、1,3−キシレン−2,4−ジイソシアネート、1,3−キシレン−2,5−ジイソシアネート、1,3−キシレン−2,6−ジイソシアネート、1,3−キシレン−4,6−ジイソシアネート、1,4−キシレン−2,5−ジイソシアネート、1,4−キシレン−2,6−ジイソシアネート等のキシレンジイソシアネート類等の芳香族ジイソシアネート類を挙げることができ、また前記トリイソシアネート類としては、例えば、ベンゼン−1,2,4−トリイソシアネート、ベンゼン−1,2,5−トリイソシアネート、ベンゼン−1,3,5−トリイソシアネート等のベンゼントリイソシアネート類;トルエン−2,3,5−トリイソシアネート、トルエン−2,3,6−トリイソシアネート、トルエン−2,4,5−トリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート、トルエン−3,4,6−トリイソシアネート、トルエン−3,5,6−トリイソシアネート等のトルエントリイソシアネート類;1,2−キシレン−3,4,6−トリイソシアネート、1,2−キシレン−3,5,6−トリイソシアネート、1,3−キシレン−2,4,5−トリイソシアネート、1,3−キシレン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3−キシレン−3,4,5−トリイソシアネート、1,4−キシレン−2,3,5−トリイソシアネート、1,4−キシレン−2,3,6−トリイソシアネート等のキシレントリイソシアネート類等の芳香族トリイソシアネート類を挙げることができる。中でも高い耐熱性の点から、トルエンジイソシアネート類が好ましい。これらのジイソシアネート類およびトリイソシアネート類は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。特に式(A−1)や式(A−4)で表されるようなトルエンジイソシアネート類が単独で重合した主鎖構造であることが高い耐熱性の点から好ましい。
【0064】
本発明に用いられる顔料分散剤は、耐熱性の点からポリエーテル鎖を含まない重合体である。ここでポリエーテル鎖とは、−(O−Ri)n−(Riは、炭素数1〜10のアルキレン基、nは2以上の整数)で表される構造をいう。具体的には、−(O−CH2CH2)n−、−(O−CH2CH2CH2)n−、−(O−CH2CH2CH2CH2)n−、−(O−CH2CH2CH2CH2CH2)n−、−(O−CH2CH2CH2CH2CH2CH2)n−が挙げられる。
【0065】
熱硬化性インクの安定性の点から、本発明に用いられる上記顔料分散剤は酸性官能基を持たないことが好ましい。顔料分散剤が酸性官能基を含む場合には、顔料分散剤の酸性官能基が硬化剤として作用するので、安定性を調整しにくくなる場合がある。酸性官能基としては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられるが、代表的にはカルボキシル基である。
【0066】
また、本発明に用いられる上記顔料分散剤はポリエステル鎖を含む場合には、このポリエステル鎖により顔料の分散性が向上するので好ましい。ここでポリエステル鎖とは、−(O−RCO)n−(Rjは、炭素数1〜20のアルキレン基、nは2以上の整数)で表される構造をいう。具体的には、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリプロピオラクトン等のポリラクトン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の重縮合系ポリエステル類が挙げられる。中でも耐熱性の点から、ポリラクトン類、更にポリカプロラクトンを含むことが好ましい。ポリエステル鎖は、片末端又は両末端に水酸基を有するポリエステル類を用いて、上記イソシアネート類のイソシアネート基と反応させることにより導入することが好ましい。
【0067】
また、顔料分散性の点から、アミン価は5〜80mgKOH/gであることが好ましい。なお、アミン価は固形分1gあたりのアミン価を示し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めたのち、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
【0068】
また、この共重合体からなる顔料分散剤は、後述するインクの保存安定性の点から低い方が好ましく、実質的に酸性官能基がないと見なせる値、具体的には酸価が10mgKOH/g以下が好ましく、特に3mgKOH/g以下であることが好ましい。共重合体が酸性官能基を持たなくても加水分解等の影響や実験誤差により酸価が検出される場合があり、例えば、酸性官能基を含まないメチルメタクリレートモノポリマーであっても、酸価実測値が3mgKOH/gとなる場合がある。なお、酸価は固形分1gあたりの酸価を示し、JIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求めた値をいう。
【0069】
更に、この重合体からなる顔料分散剤の分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量で500〜30,000の範囲が好ましい。重合体の分子量が500未満であると分散安定性が低下し、30,000を超えるとインクジェット吐出性が低下する傾向にある。なお、重量平均分子量(Mw)はクエン酸を20ミリモル/リットル含むテトラヒドロフランを展開液としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(例えば、HLC−8029、東ソー株式会社製)により求めた値をいう。
【0070】
上記顔料分散剤の市販品としては、Disperbyk−161、162(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)を挙げることができる。
【0071】
上記顔料分散剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0072】
本発明においては、顔料分散液中に顔料100重量部当たり、上記顔料分散剤を通常は10〜200重量部、好ましくは20〜80重量部の割合で用いる。このような比較的少ない割合で含有させた場合でも、分散性を充分に向上させることができるので、顔料分散剤が少ない顔料分散液及び熱硬化性インクが得られ、塗膜の耐熱性に対する顔料分散剤の影響を小さくすることができる。
【0073】
(有機溶剤)
本発明の熱硬化性インク用顔料分散液は、顔料分散性に優れたインクを調製するための予備調製物として用いられるため、顔料分散液に用いられる有機溶剤(以下、「分散溶剤」ということがある)は、顔料分散性の点から極性が低い溶剤を用いることが好ましく、具体的には、後述する熱硬化性インクに用いられる有機溶剤の中から顔料分散性に優れる有機溶剤を適宜選択して用いることができる。顔料分散液を調製するのに適した有機溶剤としては、例えば、3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を挙げることができる。
(分散補助剤)
上記構造の顔料分散剤は、一般的に分散時に用いるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等の有機溶剤に溶解し難いため、顔料を高濃度に分散できる充分な量を用いることは困難である場合がある。そのような場合には分散補助剤を更に用いることが好ましい。
【0074】
本発明に用いられる分散補助剤も上記顔料分散剤と同様に、耐熱性が高いものを用いることが好ましい。分散補助剤のガラス転移温度(Tg)は、70℃以上であることが好ましく、更に150℃以上、特に180℃以上であることが好ましい。また、分散補助剤を70℃で30分加熱した時に溶融しないものであることが好ましい。なお、分散補助剤のガラス転移温度(Tg)は、上記顔料分散剤と同様に求めることができる。
【0075】
本発明に用いられる分散補助剤としては、少なくともSP値が10以上である構成単位を含む2種以上の構成単位が連結した分子構造を有し、且つ、酸性官能基を有さない共重合体からなる分散補助剤(以下、「高SP値単位含有分散補助剤」ということがある)であることが好ましい。このような分散補助剤は、分散補助機能と共にバインダーとしての機能を併せ持つため、顔料分散剤の使用量の低減を可能にしながら、後述のインクにした場合の成膜性等を向上させることができる。また、酸性官能基を有さないため、後述の熱硬化性インクにした場合の保存安定性が優れる。
【0076】
なお、SP値は物質同士の相溶性、非相溶性を示す指標であり、混合される2つの物質間でSP値の差が小さければ相溶性、溶解性が大きく、易溶性となり、一方、その差が大きければ相溶性、溶解性が小さく、難溶性乃至不溶性となる。
【0077】
SP値の測定方法や計算方法は幾つかあるが、本発明においては、Michael M. Collman, John F. Graf, Paul C. Painter (Pensylvania State Univ.)が書いた、"Specific Interactions and the Miscibility of Polymer Blends" (1991), Technomic Publishing Co. Inc.に記載されている計算方法を用いる。但し、‐COOH基と‐OH基については記載がないため、R. F. Fedorsが書いたPolymer Engineering and Science, 14(2), 147(1974)に記載の値を用いる。
【0078】
顔料はSP値が概ね13以上で高く、顔料を分散するために用いられる有機溶剤はSP値が概ね9以下の低いものが好ましく用いられることより、SP値が10以上の構成単位は、顔料と親和性が高くなると推定される。従って、上記高SP値単位含有分散補助剤は、上記SP値が10以上の構成単位の部分が顔料表面及び顔料を覆う顔料分散剤表面に吸着して立体障害を形成し、顔料同士の凝集を回避するため、少量の分散剤と共に用いると顔料を分散させることが可能であると推定される。
【0079】
本発明に用いられるSP値が10以上の構成単位とは、該構成単位のホモポリマーのSP値が10以上である構成単位のうち、酸性官能基を含まない構成単位をいい、分散性の点から、SP値が11以上であることが好ましく、12以上であることがさらに好ましい。ここで酸性官能基は、上記顔料分散剤で述べた酸性官能基と同様である。
【0080】
SP値が10以上の構成単位(高SP値含有単位)は、顔料分散性に寄与する成分であり、その含有割合は、要求される顔料分散性の程度により調整される。高SP値含有単位を高SP値単位含有分散補助剤の主鎖へと導入するために使用される単量体としては、エチレン性不飽和結合と共にSP値が10以上となるように寄与する官能基を有する化合物を使用することができる。
【0081】
SP値が10以上で酸性官能基を含まない構成単位を導入するために使用する単量体としては、例えば、グリセロールモノメタクリレート[ホモポリマーのSP値:12.7(以下カッコ内は同様)]、ヒドロキシエチルアクリレート[12.2]、ヒドロキシエチルメタクリレート[11.3]、ヒドロキシプロピルアクリレート[11.1]等のヒドロキシル基含有モノマー;ビニルサクシンイミド[13.9]、N‐フェニルマレイミド[13.6]、N‐p−ヒドロキシフェニルマレイミド[16.7]、N‐p−メチルフェニルマレイミド[13.0]、N‐p−メトキシフェニルマレイミド[13.2]、N‐シクロヘキシルマレイミド[12.0]、N‐ベンジルマレイミド[12.8]、1,2,3,6−テトラヒドロフタルイミドアクリレート[13.3]等のイミド基含有モノマー、N‐ビニルピロリドン[11.9]等のピロリジノニル基含有モノマー、アクリルアミド[14.5]、メタクリルアミド[12.6]等のアミド基含有モノマー、N‐アクリル−2−オキサゾリドン[14.0]等のオキサゾリドニル基含有モノマー、4−ビニルピリジン[10.3]、下記式(1a)[10.3]、式(1b)[10.7]、式(1c)[11.5]、式(1d)[10.5]、式(1e)[10.3]、式(1f)[10.7]、式(1g)[10.3]、式(1h)[10.7]、式(1i)[11.5]、式(1p)[11.9]等のピリジル基含有モノマー、式(1j)[11.3]、式(1k)[10.5]、式(1l)[11.8]、式(1q)[12.0]等のイミダゾリル基含有モノマー、式(1m)[11.0]等のトリアゾリル基含有モノマー、式(1n)[11.8]、式(1o)[11.8]等のテトラゾリル含有モノマー等を用いることができる。
【0082】
【化3】
Figure 0004334273
【0083】
【化4】
Figure 0004334273
【0084】
【化5】
Figure 0004334273
【0085】
これらの中でも、顔料吸着性の点から、窒素を含有する単量体であることが好ましく、中でもイミド基、ピロリジノニル基、アミド基、ピリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、を含有する単量体であることが好ましく、特にN−置換マレイミド基含有モノマー全般、イミド基含有モノマー全般、N−ビニルピロリドン、式(1a)〜(1q)等、を用いることが好ましい。
【0086】
上記高SP値単位含有分散補助剤は、さらに芳香族炭素環を備えた構成単位(芳香族炭素環含有単位)を含んでいてもよい。芳香族炭素環含有単位は、感光性着色組成物に塗膜性を付与する成分であると共に、顔料分散性を調整する成分である。芳香族炭素環含有単位としては、下記式(2)で表されるものが好ましい。
【0087】
【化6】
Figure 0004334273
【0088】
(式中、Rは上記と同じであり、R2は芳香族炭素環を示す。)
式(2)中に含まれるR2(芳香族炭素環)は、例えば、フェニル基、ナフチル基等である。式(2)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンを例示でき、また、その芳香族環は、塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ジアルキルアミノ基等のアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルフォン酸基、燐酸基等で置換されていてもよい。
【0089】
上記共重合体は、さらにエステル基を備えた構成単位(エステル基含有単位)を含んでいてもよい。エステル基含有単位は、顔料分散性を調整する成分である。エステル基含有単位としては、下記式(3)で表されるものが好ましい。
【0090】
【化7】
Figure 0004334273
【0091】
(式中、Rは上記と同じであり、R3はアルキル基またはアラルキル基を示す。)
式(3)中に含まれるR3(アルキル基またはアラルキル基)は、例えば、炭素数1乃至12のアルキル基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基である。式(3)の構成単位を導入するために使用される単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が例示され、中でも顔料分散性を調整する点からは、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0092】
なお、顔料分散性の点からは、上記構成単位中に芳香族炭化水素が含まれることが好ましく、芳香族炭素環含有単位及び/又はエステル基含有単位のうち芳香族炭素環を含有する単位を有することが好ましい。
【0093】
好ましい分散補助剤としては、具体的には例えば、N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体、N−ビニルピロリドン/ベンジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0094】
各構成単位を高SP値単位含有分散補助剤の主鎖へと導入するために使用される単量体は、各構成単位ごとに、それぞれ例示したものを単独でも、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0095】
本発明において、高SP値単位含有分散補助剤の分子構造を構成する各構成単位の含有割合は適宜調節されるが、高SP値含有単位の含有割合が少なすぎる場合には顔料分散性が十分に向上しない。一方、高SP値含有単位の含有割合が多すぎる場合には、顔料への吸着点が増え過ぎて顔料間に吸着による架橋が起こり、かえって分散性が低下するという問題がある。
【0096】
具体的には、単量体としての仕込み量換算で、高SP値単位含有分散補助剤中の高SP値含有単位の含有割合を5モル%〜90モル%、特に10モル%〜70モル%の範囲で調節することにより、顔料分散性等の高SP値含有単位が関与する物性を最適化することができる。更に、芳香族炭素環含有単位を含有する場合には5モル%〜80モル%、エステル基含有単位を含有する場合には5モル%〜80モル%程度含有することが好ましい。分散する顔料の種類や顔料処理剤の種類によって、高SP値含有単位の含有割合の他、必要に応じてエステル基含有単位等の他の主鎖構成単位の含有割合を調整することが好ましい。
【0097】
さらに、エステル基含有単位を含む場合に、高SP値含有単位とエステル基含有単位の含有割合の比は、90:10〜10:90、さらに80:20〜20:80モルが好ましく、分散する顔料の種類や顔料処理剤の種類によって適宜調整することが好ましい。
【0098】
前記の高SP値単位含有分散補助剤は、公知の方法に準じて合成することができ、例えば、特開2000−105456号公報や特開2003-26949号公報に記載の手順及び条件に順じ、高SP値含有単位と、芳香族炭素環を備えた式(2)のような構成単位、エステル基を備えた式(3)のような構成単位、或いは、その他の構成単位を含有する主鎖を有する重合体(原料重合体)を製造すればよい。
【0099】
高SP値単位含有分散補助剤は、ランダム共重合体およびブロック共重合体のいずれであってよい。
【0100】
高SP値単位含有分散補助剤は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」または「Mw」という。)を1,000〜30,000、さらに好ましくは5,000〜20,000の範囲に調節するのが好ましい。測定条件としては、例えば、テトラヒドロフランを展開液とし、HLC−8029(東ソー株式会社製)を用いてGPCを測定することができる。重量平均分子量が1,000より小さいと充分な立体障害を形成することができず、顔料間の距離が近くなる、1分子中の顔料への吸着点が少なくなりすぎて顔料に吸着しづらくなる等の問題が発生して分散性を低下する等の問題がある。一方、重量平均分子量が30,000より大きいと、1分子中の顔料への吸着点が増えすぎて、顔料間に架橋が起こり、分散性や現像性の低下等の問題がある。
【0101】
高SP値単位含有分散補助剤の水酸基価は、顔料分散性の点から、200mgKOH/g以下、更に好ましくは150mgKOH/g以下とするのが好ましい。なお、水酸基価は固形分1gあたりの水酸基価を示し、JIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求める値をいう。
【0102】
また、高SP値単位含有分散補助剤の酸価は、顔料分散剤と同様、後述するインクの保存安定性の点から低い方が好ましく、具体的には10mgKOH/g以下、特に3mgKOH/g以下であることが好ましい。なお分散補助剤の酸価は、顔料分散剤と同様の方法で求めることができる。
【0103】
高SP値単位含有分散補助剤は、上記顔料100重量部に対して、通常は0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部の割合で配合することによって、優れた分散補助効果が得られる。
【0104】
また、本発明の目的と効果を損なわない量的質的範囲内で他の顔料分散剤を更に配合しても良い。そのような分散剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤の中から耐熱性が高いものを選択して適宜用いることができ、特に、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)、すなわち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などの高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
【0105】
本発明に係る顔料分散液は、従来公知の顔料分散液の調製手順において、場合によって分散剤の一部を分散補助剤に置き換えることにより調製できる。すなわち、上記の顔料、顔料分散剤、及び、必要に応じてその他の成分を、任意の順序で有機溶剤に混合し、ニーダー、ロールミル、アトライタ、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機を用いて分散させることによって顔料分散液を調製することができる。
【0106】
このようにして、顔料粒子の分散性に優れた顔料分散液が得られる。この顔料分散液は、顔料分散性に優れたインクを調製するための予備調製物として用いられる。顔料や顔料分散剤を、硬化性成分やバインダー成分と共に溶剤中に直接添加して混合すると、充分な分散性が得られない場合がある。これに対して、本発明に係る顔料分散液にバインダー成分や硬化性成分、及び他の成分を混合するか、或いは、本発明に係る顔料分散液、バインダー成分や硬化性成分、及び他の成分を固形分濃度を調節するための溶剤(希釈溶剤)に添加することによって、顔料分散性に優れた塗工液を容易に調製することができる。
【0107】
<熱硬化性インク>
本発明に係る熱硬化性インクは、少なくとも、
(1)顔料、
(2)単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、且つ、ポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤、
(3)熱硬化性樹脂、及び、
(4)有機溶剤を含有する、熱硬化性インクである。
【0108】
本発明に係る熱硬化性インクは、様々な分野で着色塗膜を形成することができ、特に、カラーフィルターの画素やブラックマトリックスのような着色層等を形成するインクとして好適に用いることができる。
【0109】
本発明の熱硬化性インクは、多量の顔料を分散させるために用いられる顔料分散剤の耐熱性が高いため、熱膨張収縮が極めて小さい塗膜を形成できると推測される。当該熱硬化性インクにより形成された未硬化状態の又は硬化後の塗膜は、熱硬化工程又はその前後の工程での加熱処理、或いは製品となった後での高温環境に曝されても、着色パターンの変形、塗膜のクラック、密着性の悪化、或いは、該塗膜の上に積層された隣接層の皺等を来たすといった塗膜不良の問題が生じない。
【0110】
特に、液晶表示パネル等の表示パネルの構造によっては、該表示パネル用のカラーフィルターの画素やブラックマトリックス等の着色層を熱硬化性インクを用いて形成し、その上に透明電極膜やオーバーコート層を形成する場合がある。この場合には、透明電極膜やオーバーコート層を形成する工程において、下地となる画素は高温及び真空による超低圧に曝されるが、本発明に係る熱硬化性インクを用いて画素を形成することにより、画素パターンの熱膨張収縮を少なくすることができるので、透明電極膜等の隣接層を歪ませて、その表面に皺が発生し、断線するという問題を回避できる。従って、本発明に係る熱硬化性インクを用いて形成されたカラーフィルターや表示パネルは、表示不良が低減する。
【0111】
また、本発明の熱硬化性インクを用いて、カラーフィルターの画素やブラックマトリックス等の微細なパターンを形成する場合には、溶剤やバインダー成分を適宜選定することにより粘性、流動性等のインク物性を調節し、インクジェット方式により微細なパターンを正確に形成することができる。
【0112】
以下、本発明に係る熱硬化性インクの配合成分について説明する。
【0113】
(顔料及び顔料分散剤)
本発明に係る熱硬化性インクに配合される、顔料及び顔料分散剤としては、上述した本発明にかかる顔料分散液に配合できるものと同じものを用いることができる。また各成分は、1種または2種以上を混合して使用することができる。
【0114】
なお、熱硬化性インクにおいては、塗工適性又はインク物性、及び硬化性の点から、P/V(組成物中の顔料分/組成物中の顔料以外の固形分)比を1.0以上とすることは通常困難である。ここで、インクの固形分には、溶剤を除く全ての成分が含まれ、例えば液状のモノマー成分もこれに含まれる。
【0115】
(熱硬化性樹脂)
本発明の熱硬化性インクには、熱硬化性を付与するために熱硬化性樹脂を配合する。熱硬化性樹脂としては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。
【0116】
[1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物]
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、通常は、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物が用いられる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。エポキシ化合物としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
【0117】
エポキシ化合物としては、硬化膜に耐溶剤性や耐熱性を付与するために通常バインダー成分として用いられる比較的分子量の高い重合体と、硬化膜の架橋密度を高くしたり、低粘度化によりインクジェット吐出性能を向上させるために、比較的分子量の低い化合物とを併用することが好ましい。
【0118】
通常バインダー成分として用いられる比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(4)で表される構成単位及び下記式(5)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
【0119】
【化8】
Figure 0004334273
【0120】
(R4は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R5は炭素数1〜12の炭化水素基である。)
【0121】
【化9】
Figure 0004334273
【0122】
(R6は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
式(4)で表される構成単位は、下記式(6)で表されるモノマーから誘導される。
【0123】
【化10】
Figure 0004334273
【0124】
(R4およびR5は式(4)と同じである。)
式(6)で表されるモノマーをバインダー性エポキシ化合物の構成単位として用いることにより、本発明のインクから形成される硬化塗膜に充分な硬度および透明性を付与することができる。式(6)において、R5は、炭素数1〜12の炭化水素基であり、直鎖脂肪族、脂環式、芳香族いずれの炭化水素基であってもよく、さらに付加的な構造、例えば二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
【0125】
上記式(6)で表されるモノマーとして具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートのいずれであっても良いことを意味する。
【0126】
式(6)において、R4として好ましいのは水素またはメチル基であり、R5として好ましいのは炭素数1〜12のアルキル基であり、そのなかでも特にメチル基及びシクロヘキシル基が好ましい。上記式(6)で表されるモノマーのなかで好ましいものとして、具体的にはメチルメタクリレート(MMA)及びシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)を挙げることができる。
【0127】
重合体中の式(5)で表される構成単位は、下記式(7)で表されるモノマーから誘導される。
【0128】
【化11】
Figure 0004334273
【0129】
(R6は式(5)と同じである。)
式(7)で表されるモノマーは、重合体中にエポキシ基(エポキシの反応点)を導入するために用いられる。当該重合体を含有するインクは保存安定性に優れており、保存中および吐出作業中に粘度上昇を生じ難いが、その理由の一つは式(5)または式(7)中のエポキシ基がグリシジル基だからであると推測される。式(7)で表されるモノマーの代わりに脂環式エポキシアクリレートを用いると、インクの粘度が上昇しやすい。
【0130】
式(7)において、R6として好ましいのは水素またはメチル基である。式(7)で表されるモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
【0131】
上記重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、上記重合体は、カラーフィルターの各細部に必要とされる性能、例えば硬度や透明性等が確保できる限り、式(4)あるいは式(5)以外の主鎖構成単位を含んでいてもよい。そのようなモノマーとして具体的には、アクリロニトリル、スチレン等を例示することができる。
【0132】
上記バインダー性エポキシ化合物中の式(4)の構成単位と式(5)の構成単位の含有量は、式(4)の構成単位を誘導する単量体と式(5)の構成単位を誘導する単量体との仕込み重量比(式(4)を誘導する単量体:式(5)を誘導する単量体)で表した時に、10:90〜90:10の範囲にあるのが好ましい。式(4)の構成単位の量が上記の比10:90よりも過剰な場合には、硬化の反応点が少なくなって架橋密度が低くなるおそれがあり、一方、式(5)の構成単位の量が上記の比90:10よりも過剰な場合には、嵩高い骨格が少なくなって硬化収縮が大きくなるおそれがある。
【0133】
また、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に、3,000〜20,000であることが好ましく、4,000〜15,000であることが特に好ましい。上記バインダー性エポキシ化合物の分子量が3,000よりも小さすぎるとカラーフィルターの細部としての硬化樹脂層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易く、一方、当該分子量が20,000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがある。
【0134】
上記バインダー性エポキシ化合物としては、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあるグリシジルメタクリレート(GMA)/メチルメタクリレート(MMA)系共重合体を用いるのが特に好ましい。なお、GMA/MMA系共重合体は本発明の目的を達成し得るものである限り、他のモノマー成分を含有していてもよい。
【0135】
上記バインダー性エポキシ化合物の合成例としては、例えば、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、水酸基を含有しない溶剤を仕込み、攪拌しながら120℃に昇温する。水酸基を含有しない溶剤を用いるのは、合成反応の最中にエポキシ基が分解するのを避けるためである。次いで上記式(7)で表されるモノマー、上記式(8)で表されるモノマー、及び、必要に応じて他のモノマーを組み合わせた組成物と重合開始剤の混合物(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下する。滴下終了後、110℃に降温して触媒を追加し3時間反応させ、130℃に昇温し2時間保ったところで反応を終了することにより、上記バインダー性エポキシ化合物が得られる。
【0136】
本発明に係る熱硬化性インクには、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(以下、「多官能エポキシ化合物」ということがある。)であって、上記バインダー性エポキシ化合物よりも分子量が小さいものを添加するのが好ましい。多官能エポキシ化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、これと組み合わせるバインダー性エポキシ化合物よりも小さいことを条件に、4,000以下が好ましく、3,000以下が特に好ましい。
【0137】
なお、エポキシ化合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めることができ、測定条件としては、例えば、テトラヒドロフランを展開液とし、HLC−8029(東ソー株式会社製)を用いて測定することができる。
【0138】
上記バインダー性エポキシ化合物には、エポキシ基(グリシジル基)が式(5)で表される構成単位によって導入されているため、上記共重合体の分子内に導入できるエポキシ量には限界がある。インクに比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、インク中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。
【0139】
多官能エポキシ化合物の中でも、酸−エポキシ反応の架橋密度を上げるためには、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物を用いるのが好ましい。特に、熱硬化性インクをインクジェットに用いる場合であって、インクジェット方式の吐出ヘッドからの吐出性を向上させるために前記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量を10,000以下とした場合には硬化樹脂層の強度や硬度が低下し易いので、そのような4官能以上の多官能エポキシ化合物をインクに配合して架橋密度を充分に上げるのが好ましい。
【0140】
多官能エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2個以上含有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
【0141】
より具体的には、商品名エピコート828(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YDF−175S(東都化成社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名YDB−715(東都化成社製)などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA1514(大日本インキ化学工業社製)などのビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名YDC−1312(東都化成社製)などのハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA4032(大日本インキ化学工業社製)などのナフタレン型エポキシ樹脂、商品名エピコートYX4000H(油化シェルエポキシ社製)などのビフェニル型エポキシ樹脂、商品名エピコート157S70(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名エピコート154(油化シェルエポキシ社製)、商品名YDPN−638(東都化成社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名EPICLON HP−7200(大日本インキ化学工業社製)などのジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名エピコート1032H60(油化シェルエポキシ社製)などのトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名VG3101M80(三井化学社製)などの3官能型エポキシ樹脂、商品名エピコート1031S(油化シェルエポキシ社製)などのテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名デナコールEX−411(ナガセ化成工業社製)などの4官能型エポキシ樹脂、商品名ST−3000(東都化成社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名エピコート190P(油化シェルエポキシ社製)などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名YH−434(東都化成社製)などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名YDG−414(東都化成社製)などのグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名エポリードGT−401(ダイセル化学社製)などの脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂などを例示することができる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、商品名ネオトートE(東都化成社製)などを混合することができる。
【0142】
これらの多官能エポキシ化合物の中でも、商品名エピコート157S70(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、及び、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0143】
[硬化剤]
本発明の熱硬化性インクに用いられる熱硬化性樹脂としては、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
【0144】
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
【0145】
また、本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
【0146】
これら多価カルボン酸無水物および多価カルボン酸は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる硬化剤の配合量は、エポキシ基を含有する成分(モノマーと樹脂)100重量部当たり、通常は1〜100重量部の範囲であり、好ましくは5〜50重量部である。硬化剤の配合量が1重量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができない。また、硬化剤の配合量が100重量部を超えると、塗膜の基板に対する密着性が劣るうえに、均一で平滑な塗膜を形成することができない。
【0147】
(その他の成分)
本発明の熱硬化性インクには、硬化樹脂層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
【0148】
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。具体的には、(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合物、(ロ)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物、(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物、(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。また、オニウム化合物としては、アンモニウム化合物[R3NR']+X-、スルホニウム化合物[R3SR']+X-、オキソニウム化合物[R3OR']+X-等を挙げることができる。なお、ここでR及びR’はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ等である。
【0149】
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
【0150】
a)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
【0151】
b)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
【0152】
c)酸化防止剤:例えば、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノールなど。
【0153】
d)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなど。
【0154】
e)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、或いは各種の界面活性剤など。
【0155】
f)レベリング剤:例えば、市販のシリコン系、ポリオキシアルキレン系、脂肪酸エステル系、特殊アクリル系重合体など。
【0156】
(固形分の配合割合)
本発明の熱硬化性インクは、用途に応じ要求される性能と使用方法に応じ要求される性能の両方を兼ね備えるように、前記各材料の配合割合を適宜選択することができる。例えば、本発明の熱硬化性インクがカラーフィルター用インクジェットインクとして用いられる場合、カラーフィルターとして要求される性能と、インクジェットインクとして要求される性能の両方を兼ね備えたインクを設計するために、前記各材料の配合割合が決定される。
【0157】
カラーフィルター用インクジェットインクとして用いられる場合のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ化合物、及び、硬化剤の配合割合については、重量比ではバインダー性エポキシ化合物を10〜80重量部、多官能エポキシ化合物を10〜60重量部、及び硬化剤を10〜60重量部の割合で配合することが好ましく、更に、バインダー性エポキシ化合物を20〜60重量部、多官能エポキシ化合物を20〜50重量部、及び、硬化剤を20〜50重量部の割合で配合することが好ましく、特に、バインダー性エポキシ化合物を30〜40重量部、多官能エポキシ化合物を25〜35重量部、及び、硬化剤を35〜45重量部の割合で配合することが好ましい。
【0158】
充分な架橋密度を得るために、より正確に配合割合を調節する場合には、硬化剤に含有されている酸性官能基と、エポキシ化合物中に含有されている合計のエポキシ基の当量比(酸性官能基の反応当量/エポキシ基の反応当量)が0.2〜2.0の範囲となるように調節するのが好ましく、0.4〜1.2の範囲となるように調節するのが特に好ましい。この当量比(酸性官能基の反応当量/エポキシ基の反応当量)が0.2未満だと反応が遅く、硬化不良となるおそれがあり、一方、この当量比が2.0を超えると、エポキシ基の残存量が少なくなるため、密着性が著しく低下するおそれがある。
【0159】
また、硬化膜に充分な密着性、強度、硬度を付与するためには、顔料やその他の成分を含めたインクの固形分全量に占めるバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ化合物、及び、硬化剤の合計割合を50質量%以上とするのが好ましい。ここで、配合割合を特定するためのインクの固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の多官能エポキシ化合物等も固形分に含まれる。
【0160】
熱潜在性触媒は、バインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ化合物、及び、硬化剤の合計100重量部に対して、通常は0.01〜10重量部程度の割合で配合する。
【0161】
顔料は、インクの固形分全量に対して、通常は10〜40質量%、好ましくは20〜30質量%程度の割合で配合する。顔料が少なすぎると、インクを所定の膜厚(通常は0.1〜2.0μm)に塗布した際の透過濃度が充分でないおそれがある。また、顔料が多すぎると、バインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ化合物、及び、硬化剤の配合割合が相対的に少なくなって膜物性が不充分となりやすい。
【0162】
(有機溶剤)
本発明の熱硬化性インクを、保存用の高濃度インク又は直ちに塗工可能な濃度のインキに調製するために、有機溶剤が配合される。
【0163】
本発明の熱硬化性インクを、インクジェット方式に適用する場合には、ヘッドからの吐出性を向上させるために、沸点が180℃〜260℃、特に210℃〜260℃で且つ常温(特に18℃〜25℃の範囲)での蒸気圧が0.5mmHg以下、特に0.1mmHg以下の溶剤成分を主溶剤として用い、そのような主溶剤を有機溶剤の全量に対して80質量%以上、特に85質量%以上の割合で配合するのが好ましい。また、主溶剤の表面張力は、29dyn/cm以上であることが好ましい。
【0164】
沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分は適度な乾燥性及び蒸発性を有している。そのため、このような溶剤成分を高い配合割合で含有する単独溶剤又は混合溶剤を用いると、インクジェットインクとした場合に吐出ヘッドのノズル先端において急速には乾燥しないので、インクの急激な粘度上昇や目詰まりが発生せず、吐出の直進性や安定性に悪影響を及ぼさないで済む。それと共に、被吐出面に吹き付けた後は乾燥が適度な速度で進行するので、インクが被塗布面になじんで塗工膜表面が水平且つ滑らかになってから、自然乾燥又は一般的な加熱工程によってインクを速やかに且つ完全に乾燥させることができる。湿潤剤や極めて沸点の高い溶剤を用いる場合と比べて、乾燥工程後の塗膜中に溶剤が残留するおそれも少ない。
【0165】
インクに用いられる有機溶剤は、顔料分散液を調製するために用いる分散溶剤のように、必要に応じて主溶剤以外の溶剤成分を少量ならば含有していても良い。しかしながら、その場合でも、上記した沸点と蒸気圧を有する主溶剤を溶剤全量に対して80質量%以上の割合で使用することが好ましい。主溶剤の割合が溶剤全量の80質量%に満たない場合には、インクジェット方式に適した乾燥性、蒸発性を確実に得ることができない場合がある。
【0166】
主溶剤は、できるだけ高い配合割合で用いるのが望ましく、具体的には少なくとも80質量%以上、好ましくは85質量%以上とし、できるだけ100質量%とするのが望ましい。従って、主溶剤を適切に選択することにより、顔料分散液の調製時に分散溶剤と混合使用するか、或いは、主溶剤をそのまま分散溶剤として使用することが好ましい。
【0167】
基板表面に濡れ性可変層を形成し露光することにより、基板上のインク層を形成したい部分に親インク性領域を形成し、当該親インク性領域にインクジェット方式によって本発明のインクを選択的に付着させる場合には、主溶剤として、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上、好ましくは30°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すものを選択して用いてもよい。
【0168】
濡れ性に関して上記挙動を示す溶剤を用いてインクを調製すると、インクは、後述する濡れ性可変層の濡れ性を変化させる前は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな反撥性を示し、当該濡れ性可変層の濡れ性を変化させて親水性が大きくなる方向に変化させた後は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな親和性を示す。従って、濡れ性可変層の表面の一部を選択的に露光して形成した親インク性領域に対するインクの濡れ性と、その周囲の領域に対する撥インク性領域の濡れ性の差を大きくとることができるようになり、親インク性領域にインクジェット方式で吹き付けたインクが、親インク性領域の隅々にまで均一に濡れ広がる。その結果、微細且つ精緻なインク層のパターンをインクジェット方式により形成できるようになる。
【0169】
ここで、臨界表面張力に関し上記特性を有する試験片は如何なる材料で形成されていても差し支えない。臨界表面張力30mN/mを示す試験片としては、例えば、表面が平滑なポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、平滑なガラス表面に前記ポリマーや表面改質剤等を塗布したものの中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。また、臨界表面張力70mN/mを示す試験片としては、例えば、ナイロンや親水化処理したガラス表面等を塗布したものの中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。
【0170】
主溶剤は、以下に示すような溶剤の中から選んで用いることができる:エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類。
【0171】
また、有機溶剤、特に溶剤の大部分を占める主溶剤としては、顔料の分散性、分散安定性の点から、水酸基を含有しないものを用いることが好ましい。
【0172】
主溶剤として好ましいものとしては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。これらの溶剤は、沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の要求を満たしているだけでなく、分子中に水酸基を有していない点でも好ましい。さらに、これらの溶剤は、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から顔料分散体の調製に用いられている分散性の高い溶剤と混合し或いは混合せずそのまま分散溶剤として用い、顔料分散液を調製することができる。
【0173】
好ましいものとして例示した上記溶剤は、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すという要求も満たしている。従って、これらの溶剤は、基板表面に濡れ性可変層を設けて露光し、露光部分と未露光部分の間の濡れ性の差を利用してインクを選択的に付着させる場合にも、主溶剤として好適に用いることができる。
【0174】
また、溶剤中に水分が混入している場合も溶剤中に水分子の水酸基が存在することになるので、水酸基を有する溶剤を用いる場合と同様の問題を生じるおそれがある。従って、酸−エポキシ間の架橋反応系から水分を実質的に排除するために、水との混和性の低い有機溶剤を用いてインクを調製するのが好ましい。かかる観点から、インクを調製する溶剤の水に対する溶解性は、液温が20℃の水100重量部に対して20重量部以下であることが好ましい。
【0175】
具体例として挙げた上記主溶剤の中では、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートは水酸基を有しておらず、また、液温が20℃の水100重量部に対する溶解性も6.5重量部と低い水混和性を示すので、特に好ましい。
【0176】
有機溶剤は、当該溶剤を含むインクの全量に対して、通常は40〜95質量%の割合で用いてインクを調製する。溶剤が少なすぎると、インクの粘度が高く、インクジェットインクの場合にはインクジェットヘッドからの吐出が困難になる。また、溶剤が多すぎると、所定の濡れ性変化部位(インク層形成部位)に対するインク盛り量(インク堆積量)が充分でないうちに当該濡れ性変化部位に堆積させたインクの膜が決壊し、周囲の未露光部へはみ出し、さらには隣の濡れ性変化部位(インク層形成部位)にまで濡れ広がってしまう。言い換えれば、インクを付着させるべき濡れ性変化部位(インク層形成部位)からはみ出さないで堆積させることのできるインク盛り量が不充分となり、乾燥後の膜厚が薄すぎて、それに伴い充分な透過濃度を得ることができなくなる。
【0177】
(インクの製造方法)
本発明の熱硬化性インクは、顔料、顔料分散剤、熱硬化性樹脂、有機溶剤、及び、必要に応じてその他の各成分を任意の順序で混合するか、或いは、それらの成分を任意の順序で上記の溶剤に投入し、ディゾルバーなどにより十分に攪拌して、均一に溶解、分散することによって、調製することができる。
【0178】
しかしながら、顔料をバインダー成分等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合する場合には、顔料を溶剤中に充分に分散させられない場合がある。そこで本発明の熱硬化性インクを調製する場合には、通常上記顔料分散液を調製し、得られた顔料分散液を、顔料以外の成分と共に、ほとんど主溶剤からなるか又は主溶剤のみからなる有機溶剤に投入し、ディソルバーなどにより充分に攪拌混合することによって、本発明に係る熱硬化性インクとすることができる。
【0179】
本発明においては、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分(そのなかでも特に水酸基を含有しない溶剤成分)を溶剤全体の80質量%以上の割合で含有する単独溶剤又は混合溶剤を用いることが好ましい。しかし、主溶剤の最終濃度を溶剤全体の80質量%以上とするためには、顔料分散体の調製時に3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から用いられている分散溶剤を充分な量だけ用いることができない場合がある。その場合には、主溶剤として使用可能な溶剤の中から顔料の分散性、分散安定性が比較的良好なものを選択し、従来から用いられている分散溶剤と混合したものを分散溶剤として用いるか、或いは、このような顔料分散性が比較的良好な主溶剤をそのまま分散溶剤として用いて顔料分散液を予備調製する。
【0180】
顔料分散液を投入する残部の有機溶剤としては、最終的な溶剤全体の組成から顔料分散液の調製に用いた有機溶剤の分を差し引いた組成を有するものを用い、最終濃度にまで希釈してインクを完成させても良い。また、顔料分散液を比較的少量の主溶剤に投入して高濃度のインクを調製しても良い。高濃度のインクは、そのまま保存し、使用直前に最終濃度に希釈してインクジェット等の各種の塗工方式に使用することができる。
【0181】
以上のように調製された熱硬化性インクのうちで、カラーフィルター用インクジェットインクとして好ましいものでは、調製直後の初期粘度が0.1〜100cpsであり、且つ、調製してすぐ密閉容器中に入れ5℃で30日間放置後の粘度を初期粘度の15%以内の増粘に抑えることができる。
【0182】
(カラーフィルターの製造方法)
本発明に係る熱硬化性インクをカラーフィルター用インクジェットインクとして用いる場合に、カラーフィルターの透明基板上の所定領域にインクジェット方式により選択的に付着させて所定パターンのインク層を形成した後、当該インク層を加熱して硬化させることによって、画素部、ブラックマトリックス層、柱状スペーサー、保護膜など、カラーフィルターの細部としての硬化樹脂層を形成することができる。
【0183】
(1)第一の方法
本発明に係る熱硬化性インクをカラーフィルター用インクジェットインクとして用いる場合のカラーフィルターの製造方法の一例を、以下に説明する。先ず、図1(A)に示すようにカラーフィルターの透明基板1を準備する。この透明基板としては、従来よりカラーフィルターに用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックスガラス(登録商標)、合成石英板等の可とう性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可とう性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。本発明においては、通常、透明基板を用いるが、反射性の基板や白色に着色した基板でも用いることは可能である。また、基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的で表面処理を施したものを用いてもよい。
【0184】
次に、図1(B)に示すように、透明基板1の一面側の画素部間の境界となる領域にブラックマトリックス層2を形成する。ブラックマトリックス層2は、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成することができる。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
【0185】
また、ブラックマトリックス層2としては、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層であってもよい。用いられる樹脂バインダーとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製ブラックマトリックス層の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このような樹脂製ブラックマトリックス層のパターニングの方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
【0186】
次に、図1(C)に示すように、ブラックマトリックス層のパターンの幅方向中央に、ブラックマトリックス層よりも幅の狭い撥インク性凸部3を必要に応じて形成する。このような撥インク性凸部の組成は、撥インク性を有する樹脂組成物であれば、特に限定されるものではない。また、特に透明である必要はなく、着色されたものであってもよい。例えば、ブラックマトリックス層に用いられる材料であって、黒色の材料を混入しない材料等を用いることができる。具体的には、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の水性樹脂を1種または2種以上混合した組成物や、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を挙げることができる。本発明においては、取扱性および硬化が容易である点等の理由から、光硬化性樹脂が好適に用いられる。また、この撥インク性凸部は、撥インク性が強いほど好ましいので、その表面をシリコーン化合物や含フッ素化合物等の撥インク処理剤で処理したものでもよい。
【0187】
撥インク性凸部のパターニングは、撥インク性樹脂組成物の塗工液を用いる印刷や、光硬化性塗工液を用いるフォトリソグラフィーにより行うことができる。撥インク性凸部の高さは、上述したようにインクジェット法により着色する際にインクが混色することを防止するために設けられるものであることから、ある程度高いことが好ましいが、カラーフィルターとした場合の全体の平坦性を考慮すると、画素部の厚さに近い厚さであることが好ましい。具体的には、吹き付けるインクの堆積量によっても異なるが、通常は0.1〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。
【0188】
次に、R、G又はBの顔料が配合された本発明に係る各色の画素部形成用インクを用意する。そして、図1(D)に示すように、透明基板1の表面に、ブラックマトリックス層2のパターンにより画成された各色の画素部形成領域4R、4G、4Bに、対応する色の画素部形成用インクをインクジェット方式により吹き付けてインク層を形成する。インク層は赤色パターン、緑色パターン及び青色パターンがモザイク型、ストライプ型、トライアングル型、4画素配置型等の所望の形態で配列されるように形成される。このインクの吹き付け工程において、画素部形成用インクは、ヘッド5の先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続けることができる。従って、所定の画素部形成領域内に、対応する色のインクを正確に、且つ、均一に付着させることができ、正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。また、各色の画素部形成用インクを、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、印刷等の方法で各色ごとに画素部を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。さらに、本発明にかかるインクの安定性は上述のように高いので、一旦使用に供して残ったインクの残液は、短時間の作業ではまだ劣化していない。従って、そのような残液を回収したり或いは新鮮なインクを注ぎ足すなどして再使用することが可能であり、経済的である。
【0189】
次に、図1(E)に示すように、各色のインク層6R、6G、6Bを乾燥し必要に応じてプリベークした後、加熱することにより硬化させる。インク層を加熱すると、エポキシ化合物が有するエポキシ基と硬化剤が有する酸性官能基が架橋反応を起こし、インク層が硬化する。画素部の厚さは、光学特性等を考慮して、通常は0.1〜2.0μm程度とする。
【0190】
次に、図1(F)に示すように、透明基板の画素部7R、7G、7Bを形成した側に、オーバーコート層8を形成する。オーバーコート層の厚みは、使用される材料の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定することができ、例えば、0.1〜2.0μmの範囲で設定することができる。オーバーコート層は、例えば、公知の透明感光性樹脂、二液硬化型透明樹脂等の中から、透明オーバーコート層として要求される光透過率等を有するものを用いて塗工液を調製し、スピンコーターにより500〜1500回転/分の範囲内で塗工することにより形成できる。
【0191】
オーバーコート層上の透明電極は図示されていないが、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形成され、必要に応じてフォトレジストを用いたエッチング又は治具の使用により所定のパターンとする。この透明電極の厚みは20〜500nm程度、好ましくは100〜300nm程度とすることできる。
【0192】
透明電極上に柱状スペーサーを形成する場合には、光硬化性樹脂組成物の塗工液を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により塗布し、フォトマスクを介する紫外線照射により露光し、アルカリ現像後、クリーンオーブン等で加熱硬化することにより形成できる。柱状スペーサーは、例えば、5μm程度の高さに形成される。スピンコーターの回転数も保護膜を形成する場合と同様に、500〜1500回転/分の範囲内で設定すればよい。
【0193】
このようにして、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを用いてカラーフィルター101が製造される。そして、このカラーフィルターの内面側に配向膜を形成し、電極基板と対向させ、間隙部に液晶を満たして密封することにより、液晶パネルが得られる。
【0194】
この例においては、本発明のインクを用いて画素部を形成する。本発明に係る熱硬化性インクを用いるインクジェット方式によれば、画素部やブラックマトリックス層のように高い精細度が求められる着色層を精密に形成することができる。
【0195】
(2)第二の方法
カラーフィルターの基板表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成し、当該インク層形成領域に、本発明に係るインクをインクジェット方式により選択的に付着させてインク層を形成し、当該インク層を硬化させる方法によって、特に微細パターンの硬化樹脂層を正確に形成することができる。
【0196】
例えば、カラーフィルターの透明基板上に、光触媒の作用により親インク性が大きくなる方向に濡れ性を変化させる濡れ性可変層を形成し、当該濡れ性可変層の表面の所定領域内の濡れ性を露光により選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成し、当該インク層形成領域に、本発明に係るインクをインクジェット方式により選択的に付着させてインク層を形成することが可能である。
【0197】
このような濡れ性可変層を基板上に設ける場合には、主溶剤として、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すものを用いて調製したインクを用いるのが好ましい。
【0198】
このようなカラーフィルターの第二の製造方法の一例を、以下に説明する。先ず、図2(A)に示すように、カラーフィルターの透明基板1の一面側の画素部間の境界となる領域にブラックマトリックス層2を形成する。このブラックマトリックス層のパターンによって、各色の画素部形成領域4R、4G、4Bが画成される。透明基板1としては、上述した第一の方法で用いられるのと同じものを用いることができ、ブラックマトリックス層2も、第一の方法におけるのと同様のものを設けることができる。
【0199】
次に、図2(B)に示すように、透明基板1の表面の少なくとも一部領域、特に、この例では、画素部形成領域を含む領域に、濡れ性可変層としての光触媒含有層9をベタ塗りのパターン(ソリッドパターン状)に形成する。
【0200】
次に、図2(C)に示すように、光触媒含有層9にフォトマスク10を介して光線12を照射して露光を行い、画素部形成領域4R、4G、4Bの親インク性を増大させる。
【0201】
上記光触媒含有層9のような濡れ性可変層の画素部形成領域の濡れ性を選択的に変化させて親インク性を大きくすると、本発明のインクは、画素部形成領域に容易に付着して均一に広がり、一方、画素部形成領域の周囲領域では強く反撥して排除されるので、画素部形成領域に選択的に且つ均一に付着し、その結果、正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。
【0202】
第二の方法において用いる濡れ性可変層は、JIS K6768に規定する濡れ試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が、濡れ性を変化させる前においては20〜50mN/mを示し、且つ、濡れ性を変化させた後においては40〜80mN/mを示すものであることが好ましい。
【0203】
臨界表面張力をこのように変化させることのできる濡れ性可変層を用いると、インクは、濡れ性を変化させて親インク性を大きくした画素部形成領域等のパターン形成領域において、非常に小さな接触角を示し、一方、パターン形成領域の周囲においては非常に大きな接触角を示し、濡れ性の差を非常に大きくとることができる。
【0204】
フォトマスク10を用いて露光を行う場合は、隣接し合う画素部形成領域間の境界部に未露光部を確保しつつ、露光部11の幅を画素部形成領域4の幅よりも広くとるようにすることが好ましい。このようにすることにより、画素部形成領域4の隅々まで充分に露光され、親インク性が増大するので、画素部の色抜け等の不都合が生じなくなる。光触媒含有層9は、フォトマスクを用いずとも、レーザー光線の走査によるフォトリソグラフィーなどの他の方法で所定のパターン状に露光してもよい。また、透明基板の裏面側(光触媒含有層9が設けられているのとは反対側)から露光を行うと、ブラックマトリックス層2がフォトマスクとして機能するので、フォトマスクが不要である。
【0205】
光触媒含有層9に照射される光は、光触媒を活性化できるものであれば可視光線であっても不可視光線であっても差し支えないが、通常は、紫外光を含む光を用いる。このような紫外光を含む光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を挙げることができる。この露光に用いる光の波長は400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定することができ、また、露光に際しての光の照射量は、露光された部位が光触媒の作用により親水性を増大させるのに必要な照射量とすることができる。
【0206】
親インク性が大きくなる方向に濡れ性を変化させることのできる濡れ性可変層としては、例えば、a)図示した光触媒含有層9のように光触媒を含有し且つ光触媒の作用により濡れ性可変層自体の親水性が増大するもののほか、b)濡れ性可変層の下側(透明基板側)に光触媒含有層を備え、光触媒含有層内に存在する光触媒の作用によって濡れ性可変層の親水性が増大するもの、c)光触媒及び当該光触媒の作用により分解するバインダーからなる分解性濡れ性可変層であって、当該分解性濡れ性可変層の露光部分が分解、除去されて親水性を有する下地、例えば透明基板等が露出するもの、或いは、d)光触媒の作用により分解するバインダーからなる分解性濡れ性可変層の下側に光触媒含有層を備え、光触媒含有層内に存在する光触媒の作用によって当該分解性濡れ性可変層の露光部分が分解、除去されて親水性を有する下地、例えば光触媒含有層等が露出するものなどを例示することができる。
【0207】
本発明における「親インク性が大きくなる方向に濡れ性を変化させることのできる濡れ性可変層」は、基板に濡れ性可変層を設けてなる積層体において、濡れ性可変層形成面の濡れ性を親インク性が大きくなる方向に変化させるものであればよく、上記例示a)、b)のように、濡れ性可変層自体の親インク性が増大するものだけでなく、上記例示c)、d)のように、濡れ性可変層が分解して親インク性の下地が露出するものも、これに含まれる。
【0208】
なお、上記a)図示した光触媒含有層9のように光触媒を含有し且つ光触媒の作用により濡れ性可変層自体の親水性が増大するもの、及びb)濡れ性可変層の下側(透明基板側)に光触媒含有層を備え、光触媒含有層内に存在する光触媒の作用によって濡れ性可変層の親水性が増大するものについては、特開2001−350012号公報の段落番号149〜段落番号174記載のものを好適に用いることができる。
【0209】
次に、本発明に係る熱硬化性インクである、各色の画素部形成用インクを用意する。そして、上述した図2(C)の工程において親インク性を増大させた画素部形成領域4R、4G、4Bに、対応する色の画素部形成用インクをインクジェット方式によって選択的に付着させて、図2(D)に示すようなインク層6R、6G、6Bを形成する。
【0210】
次に、図2(E)に示すように、各色のインク層6R、6G、6Bを乾燥し必要に応じてプリベークした後、加熱することにより硬化させて各色の画素部7R、7G、7Bを形成する。次に、図2(F)に示すように、透明基板の画素部7R、7G、7Bを形成した側に、オーバーコート層8を形成する。さらに、オーバーコート層8上に透明電極と柱状スペーサーを形成することにより、カラーフィルター102が製造される。第二の方法における硬化工程、オーバーコート層形成工程、透明電極形成工程、及び、柱状スペーサー形成工程は、第一の方法におけるのと同様に行うことができる。
【0211】
この例においては、本発明に係る熱硬化性インクを用いて画素部を形成するが、本発明に係るインクを、基板表面の濡れ性の差を利用して親インク性領域だけに選択的に付着させることによって、ブラックマトリックス層の硬化樹脂層も所望のパターン状に形成することができる。
【0212】
以上のように液晶表示パネル等の表示パネル用のカラーフィルターの画素やブラックマトリックス等の着色層を、本発明に係る熱硬化性インクを用いて形成する場合には、その後の透明電極膜やオーバーコート層を形成する工程で高温及び真空による超低圧にさらされても、画素部分のパターンは熱膨張収縮しないか、したとしても僅かであるから、透明電極膜等の隣接層を歪ませて、その表面に皺が発生するという問題を回避することができ、表示不良の少ないカラーフィルター及び表示パネルが得られる。
【0213】
(硬化膜の物性)
本発明に係る熱硬化性インクを用いて形成された硬化膜は、耐熱性(熱膨張収縮の少なさ、加熱による膜減りや変色の程度など)に優れるだけでなく、特にカラーフィルターの細部に要求される、透明性、硬度、その他の諸特性にも優れている。例えば、本発明に係る熱硬化性インクを用いて、下記の耐熱性、硬度等を兼ね備えた硬化樹脂層を透明基板上に形成することができる。
a)耐熱性:剛体振子試験で評価する塗膜の粘弾性が急激に変化する温度が180℃以上、特に好ましくは200℃以上、さらに好ましくは250℃以上の着色硬化膜を形成することができる。また、カラーフィルターを250℃で1時間放置後の硬化樹脂層の膜厚減少が10%以下で、且つ、当該放置前後の色差が1以下とすることができる。
【0214】
ここで、剛体振子試験において塗膜の粘弾性が急激に変化する温度は、塗膜の熱膨張収縮する温度に相関があり、粘弾性が急激に変化する温度を、塗膜が熱膨張収縮する温度とみなすことができる。
【0215】
ISO 1522、DIN 53157には、先端が球状のエッジを2個有する剛体振子を用いる試験方法が規定されているが、本発明においては、パイプ型エッジを有する剛体振子を用い試験を行うことにより、塗膜の粘弾性変化をより適切に測定することができる。図3は、本発明で用いられる剛体振子試験装置の原理図である。図3の試験装置13は、支持台14、支持体の支柱15、剛体振子16から構成され、剛体振子には、剛体振子の支点となるパイプ型エッジ17が取り付けられ、支持体の支柱には振り子の振幅及び周期を測定するための検出器18と振り子の振動を開始させるための磁石19が取り付けられている。パイプ型エッジは、円柱を縦断した形状を有している。パイプ型エッジを有する剛体振子試験機としては、例えば、剛体振子型物性試験器(エー・アンド・ディ株式会社製)がある。
【0216】
測定サンプルとしては、一例として、ガラス基板上に本発明の熱硬化性インクを塗布し、ホットプレート上で80℃、5分間、150Torr(1.99983×10Pa)の条件で減圧乾燥し、引き続きホットプレート上で200℃、30分間、さらに引き続き240℃、30分間加熱硬化させて、最終的な硬化後の膜厚が約1.6μmとなるように塗膜を形成したものを用いた。
【0217】
このような測定サンプル20が上記測定装置の支持台上に載置され、その塗膜表面にパイプ型エッジを載せ剛体振子の支点とする。装置のセットが済んだら、磁石により振子に応力を加え、エッジの幅方向に振動を開始させる。サンプルの温度を連続変化させながら振動の対数減数率を測定すると、対数減数率のピーク(極大点)が現われる。昇温条件は、一例として昇温速度3℃/min、温度範囲30〜300℃とすることができる。
【0218】
剛体振子試験における対数減数率のピーク点は、塗膜の粘弾性が急激に変化する温度を示しており、この温度付近で該塗膜の熱膨張収縮が起きることが本発明者らによって見出された。なお、熱硬化性インクの組成によってはピーク点が2つ以上現われる場合がある。その場合には、チャートのピーク面積、すなわちベースラインから突出した部分の面積が最も大きいピーク点を急変点の代表値とする。
b)耐温純水性:硬化樹脂層を設けたカラーフィルターを80℃の純水に1時間浸漬後にJIS K5400(1990)8.5に規定される碁盤目テープ剥離試験を行った結果を6点以上とすることができる。
c)硬度:JIS K5400(1990)に規定される鉛筆引っ掻き試験のうち8.4・1試験法で2H以上の鉛筆硬度を示す。
d)耐溶剤性(耐薬品性):硬化樹脂層を設けたカラーフィルターをイソプロピルアルコール、N−メチルピロリドンまたはγ−ブチロラクトンいずれかの溶剤に液温40℃で1時間浸漬した後に硬化樹脂層の膜厚を測定して算出される膜厚減少を、いずれの溶剤に浸漬した場合でも10%以下とすることができる。
【0219】
本発明において作成される硬化樹脂層が優れた耐熱性を示すのは、上述したようにインクの構成成分に意図的に耐熱性が高いものを用いたことが大いに貢献しているものと推測される。また、本発明において作成される硬化樹脂層が優れた硬度、耐溶剤性および耐温純水性を示すのは、硬化樹脂層の架橋密度が非常に高いことが大いに貢献しているものと推測される。
【0220】
【実施例】
1.分散剤
(顔料分散剤1)
n−デカノール10.3重量部、カプロラクトン92.8重量部、及びジブチルスズラウレート0.003重量部を保護雰囲気下で均質化し、1時間以内で160℃に加熱した。99%の固形含量が得られると直ちに付加反応を終えた。この温度においてこの固形含量は10時間で達成された。室温において無色の固形である生成物(ポリエステル1)が得られ、融点は60℃であった。重量平均分子量は1800であった。
【0221】
デスモジュールIL(バイエル社製)(固形分51%、溶剤:酢酸ブチル)15.5重量部を保護雰囲気下で、キシレン15重量部に溶かしたポリエステル1を13.3重量部と均質化し、ジブチルスズラウレート0.003重量部を加えて反応混合物を50℃に加熱した。ポリエステル1の付加反応の後(NCO基が25%に減少したことを定量し反応を確認した。)、反応混合物をキシレン20重量部で希釈し、1,12−ジアミノドデカン0.7重量部を加えた。発熱反応の後、キシレン14重量部とN−メチルピロリドン20重量部に溶かしたN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン1.5重量部を加えた。70℃で1時間撹拌後、冷却した。反応液をヘキサンに添加して再沈精製を行った。得られた固形物20重量部を1−メトキシ−プロピルアセテート/酢酸ブチル=6/1混合溶液26重量部に溶かし、顔料分散剤1(固形分30質量%)を得た。重量平均分子量は9600であった。
【0222】
(顔料分散剤2)
熱分解GC−MS、FT−IR及び酸価、アミン価測定を用いた分析試験により、Disperbyk−161(ビックケミー・ジャパン(株)製)が、本発明に係る上記単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、且つ、ポリエーテル鎖を有しない重合体からなる顔料分散剤であることを確認した。
【0223】
顔料分散剤2はBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(ブチルカルビトールアセテート))で希釈し固形分30質量%に調製した後、顔料分散液等の調製に供した。
【0224】
なお、熱分解GC−MS及びFT−IRの測定は、下記測定条件により行った。
【0225】
<熱分解GC−MS>
(手順及び測定条件)
(1)サンプルをガラス板に10mg塗り、ドライヤー、オーブン等で乾燥させる。
(2)乾燥させた皮膜をサンプリングメスで削り取り、試料カップに0.3mg〜0.5mg程度削り取ったサンプルを入れる。
(3)試料カップを熱分解装置にセットし、測定を行う。
○測定装置(アジレントテクノロジー社)
・GC:6890
・MS:5973N
○熱分解装置(フロンティア・ラボ社)
・ダブルショットパイロライザー(PY2020D)
○カラム(スペルコ社)
・PTE−5(膜厚0.25μm、内径0.25mm×長さ30m)
○GC−MS測定条件
・インジェクション温度:320℃
・キャリアガス:ヘリウム 1.7ml/min 定流量モード
○MS測定条件
・インターフェース温度:250℃
・イオン源温度:230℃
・イオン化法:EI イオン化電圧:70eV
・走査質量範囲:33〜700
○熱分解炉測定条件
・熱分解温度:550℃
・インターフェース温度:320℃
(結果)
図4にトータルイオンクロマトグラムを示し、拡大チャートと各ピークのマススペクトルを以下の図に示す。図5に示されるように11.186分にポリカプロラクトン由来のピーク(1)が検出された。図6に示されるように13.223分に1−デカノール由来のピーク(2)が検出された。図7に示されるように14.429分にトルエンジイソシアネート由来のピーク(3)が検出された。図8に示されるように26.360分にポリカプロラクトン由来のピーク(4)が検出された。ピーク(3)は、本発明に係るイソシアネート類が重合した主鎖構造の分解ピークと考えられる。ピーク(1)(4)はポリエステル鎖を含むことを示す。また、ポリエーテル鎖は検出されなかった。
【0226】
<FT−IR>
(手順及び測定条件)
(1)サンプル適量をIRE(KRS−5)の板に塗り、ドライヤー等で乾燥させ、皮膜にする。
(2)(1)の測定サンプルを装置にセットして測定する。
○測定装置:Spectrum One(パーキンエルマー社)
○スキャン範囲:4000cm-1〜400cm-1 スキャン回数4回
○分光器分解能:8.00cm-1
(結果)
図9に示されるように、1730cm-1にポリエステル由来のピークが検出され、1710cm-1及び1410cm-1にイソシアヌレート由来のピークが検出された。
【0227】
<酸価>
酸価はJIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求めた。その結果、酸価は3mgKOH/g以下であり、酸性官能基を有しないことが明らかになった。
【0228】
<アミン価>
アミン価は0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めたのち、水酸化カリウムの当量に換算した。その結果、固形分1gのアミン価は、36.7mgKOH/gであった。
【0229】
以上の分析結果より、Disperbyk−161(ビックケミー・ジャパン(株)製)が本発明に係る上記単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、且つ、ポリエーテル鎖を含まない重合体からなる顔料分散剤であることが確認できた。
【0230】
(比較顔料分散剤1)
熱分解GC−MS及びFT−IRを用いた分析試験により、Disperbyk−182(ビックケミー・ジャパン(株)製)が、本発明の範囲外の顔料分散剤であることを確認した。
【0231】
固形分43質量%のサンプルをBCAで希釈し固形分30質量%に調整した後、顔料分散液等の調製に供した。
【0232】
なお、熱分解GC−MS、FT−IRの測定は、上記顔料分散剤2と同様に行った。
【0233】
<熱分解GC−MS>
図10にトータルイオンクロマトグラムを示し、拡大チャートと各ピークのマススペクトルを以下の図に示す。図11に示されるように14.501分にトルエンジイソシアネート由来のピークが検出された。図12に示されるように34.601分にポリエチレングリコール由来のピークが検出されポリエーテル鎖を含有することが明らかになった。
【0234】
<FT−IR>
図13に示されるように、1710cm-1及び1410cm-1に、イソシアヌレート由来のピークが検出された。
【0235】
以上より、Disperbyk−182(ビックケミー・ジャパン(株)製)は、トルエンジイソシアネート由来の基とポリエーテル鎖を有し、本発明の範囲外の顔料分散剤であることが確認された。
【0236】
(比較顔料分散剤2)
酸価測定の分析試験により、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ(株)製)は酸性官能基を含む共重合体からなり、本発明の範囲外の顔料分散剤であることを確認した。比較顔料分散剤2はBCAで希釈し固形分30質量%に調整した後、顔料分散液等の調製に供した。
【0237】
(比較顔料分散剤3)
ラウリン酸(17.58g、0.88モル)とカプロラクトン(50.0g、0.44モル)を、チタン(IV)ブチレート触媒(0.14g)の存在下において170℃で窒素雰囲気下で6時間攪拌した。リシノール酸(78.45g、0.26モル)とチタン(IV)ブチレート(0.14g)を混合物に添加し、170℃で窒素雰囲気下で16時間攪拌して、51.1mgKOH/gの酸価を有する茶色の液体を得た。MW20,000のポリエチレンイミン(11.25g)を液体に添加し、120℃で窒素雰囲気下で6時間攪拌した。比較顔料分散剤3が茶色の液体として単離された。得られた反応物を1−メトキシ−プロピルアセテート/酢酸ブチル=6/1に溶かし固形分30質量%に調整した後、顔料分散液等の調製に供した。
【0238】
(顔料分散剤の評価)
顔料分散剤1〜2及び比較顔料分散剤1〜3のガラス転移温度、溶融性及び酸価を下記方法により評価した。結果を表1に示す。
【0239】
(a)ガラス転移温度(Tg)
熱化学反応熱量計(SII製)を用いるDSC法により、温度範囲25〜280℃、昇温速度7.5℃/minの条件下で測定した。
【0240】
(b)溶融試験
(1)乾燥させた各分散剤の小片をスチール缶にとり、70℃に加熱したホットプレート上に30分放置し、(2)30分放置後、ピンセット等で分散剤表面を摘もうとした時に、変形して摘める場合には「溶融」状態、変形しないが粘着性がある場合には「タックが出現」した状態、変形せず粘着性もない場合には「固体」状態と評価した。
【0241】
(c)酸価
顔料分散剤2の酸価測定方法により、他の分散剤についても酸価を測定した。
【0242】
【表1】
Figure 0004334273
【0243】
2.分散補助樹脂
(分散補助樹脂1):N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体
下記モノマー溶液を窒素置換した三口フラスコに導入し、スリーワンモーターにて攪拌し、完全に溶解させた。
<モノマー溶液>
・N−フェニルマレイミド:72重量部
・ベンジルメタクリレート(BzMA):28重量部
・2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:V−65;和光純薬工業(株)製):3重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA):80重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG):50重量部
次いで、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して、フラスコ内を80℃まで昇温し、1時間撹拌後、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:V−65;和光純薬工業(株)製)5重量部をフラスコ内の溶液中に添加し、90℃で2時間保持し、さらに100℃で30分反応させ、分散補助樹脂1(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体)の溶液を得た。
【0244】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量Mwは8300であった。得られた分散補助樹脂1の溶液をBCAで固形分濃度を30質量%に調整した後、顔料分散液等の調製に用いた。
【0245】
3.顔料分散液の調製
(実施例1)
顔料、分散剤、分散補助樹脂及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、実施例1の顔料分散液を調製した。
<顔料分散液の組成>
・顔料:C.I.ピグメントグリーン36:15重量部
・顔料分散剤1:15重量部
・分散補助樹脂1(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体):15重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):55重量部
参考例1
実施例1の組成から分散補助樹脂1を除き、その分だけ顔料分散剤1を増量したこと以外は実施例1と同様にして、下記組成を持つ参考例1の顔料分散液を調製した。
<顔料分散液の組成>
・顔料:C.I.ピグメントグリーン36:15重量部
・顔料分散剤1:30重量部
・BCA:55重量部
(実施例3)
顔料分散剤を顔料分散剤2(Disperbyk−161)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、下記組成をもつ実施例3の顔料分散液を調製した。
<顔料分散液の組成>
・顔料:C.I.ピグメントグリーン36:15重量部
・顔料分散剤2(Disperbyk−161、ビックケミー・ジャパン(株)製):15重量部
・分散補助樹脂1(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体):15重量部
・BCA:55重量部
参考例2
実施例3の組成から分散補助樹脂1を除き、その分だけ顔料分散剤2を増量したこと以外は実施例3と同様にして、下記組成を持つ参考例2の顔料分散液を調製した。
<顔料分散液の組成>
・顔料:C.I.ピグメントグリーン36:15重量部
・顔料分散剤2(Disperbyk−161、ビックケミー・ジャパン(株)製):30重量部
・BCA:55重量部
(比較例1)
顔料分散剤を比較顔料分散剤1(Disperbyk−182)に代え、配合割合を変更したこと以外は実施例1と同様の手順で、下記組成を持つ比較例1の顔料分散液を調製した。
<顔料分散液の組成>
・顔料:C.I.ピグメントグリーン36:15重量部
・比較顔料分散剤1(Disperbyk−182、ビックケミー・ジャパン(株)製):15重量部
・分散補助樹脂1(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体):30重量部
・BCA:40重量部
(比較例2)
比較例1の組成から分散補助樹脂1を除き、配合割合を変更したこと以外は比較例1と同様の手順で、下記組成を持つ比較例2の顔料分散液を調製した。
<顔料分散液の組成>
・顔料:C.I.ピグメントグリーン36:15重量部
・比較顔料分散剤1(Disperbyk−182、ビックケミー・ジャパン(株)製):30重量部
・BCA:55重量部
(比較例3)
顔料分散剤を比較顔料分散剤2(アジスパーPB821)に代えたこと以外は比較例1と同様の手順で、下記組成をもつ比較例3の顔料分散液を調製した。
<顔料分散液の組成>
・顔料:C.I.ピグメントグリーン36:15重量部
・比較顔料分散剤2(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ(株)製):15重量部
・分散補助樹脂1(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体):30重量部
・BCA:40重量部
(比較例4)
比較例3の組成から分散補助樹脂1を除き、配合割合を変更したこと以外は比較例3と同様にして、下記組成を持つ比較例4の顔料分散液を調製した。
<顔料分散液の組成>
・顔料:C.I.ピグメントグリーン36:15重量部
・比較顔料分散剤2(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ(株)製):30重量部
・BCA:55重量部
(顔料分散液の安定性評価)
得られた分散液の粒度分布変化及び粘度の変化を以下の手順で測定し、安定性を評価した。評価結果を表2に示す。
【0246】
<粒度分布変化の測定>
顔料分散液0.1重量部をBCA19.9重量部で希釈し、分散初期及び23℃保存で一週間後の粒度分布を、マイクロトラックUPA粒度分布計(日機装社製)を用い23℃の条件で測定した。評価は50%平均粒子径で行った。
【0247】
<粘度変化の測定>
分散初期及び、23℃保存で一日後及び一週間後の粘度を、回転振動型粘度計(ビスコメイトVM−1G、山一電機社製)を用い23℃の条件で測定した。
【0248】
<評価基準>
○:初期分散が可能かつ1週間後の粒度及び粘度変化が15%未満
△:初期分散は可能だが1週間後の粒度又は/及び粘度変化が15%以上
×:初期分散不可能
【0249】
【表2】
Figure 0004334273
【0250】
4.熱硬化性インクの調製(1)
(実施例5)
C.I.ピグメントグリーン36を同量のC.I.ピグメントイエロー138(PY138)に代えた以外は実施例1と同様にして、PY138顔料分散液(5)を調製した。
【0251】
実施例1で調製したPG36顔料分散液、上記PY138顔料分散液(5)及び、その他の成分を充分に混合して、顔料分散剤1を含有する下記組成の熱硬化性インクを調製した。
<組成>
・上記実施例1のPG36顔料分散液:28.5重量部
・上記PY138顔料分散液(5):21.5重量部
・グリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体(共重合比=20/80、Mw=20,000、固形分30質量%):10重量部
・多官能エポキシ化合物(エピコート154、油化シェルエポキシ社製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA:35重量部
(実施例6)
C.I.ピグメントグリーン36を同量のC.I.ピグメントイエロー138(PY138)に代えた以外は実施例3と同様にして、PY138顔料分散液(6)を調製した。
【0252】
実施例3で調製した顔料分散液、上記PY138顔料分散液(6)及び、その他の成分を充分に混合して、顔料分散剤2(Disperbyk−161)を含有する下記組成の熱硬化性インクを調製した。
<組成>
・上記実施例3の顔料分散液:28.5重量部
・上記PY138顔料分散液(6):21.5重量部
・グリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体(共重合比=20/80、Mw=20,000、固形分30質量%):10重量部
・多官能エポキシ化合物(エピコート154、油化シェルエポキシ社製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA:35重量部
(比較例5)
C.I.ピグメントグリーン36を同量のC.I.ピグメントイエロー138(PY138)に代えた以外は比較例4と同様にして、比較PY138顔料分散液(5)を調製した。
【0253】
比較例4で調製した顔料分散液、上記比較PY138顔料分散液(5)及び、その他の成分を充分に混合して、比較顔料分散剤2(アジスパーPB821)を含有する下記組成の熱硬化性インクを調製した。
<組成>
・上記比較例4の顔料分散液:28.5重量部
・上記比較PY138顔料分散液(5):21.5重量部
・グリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体(共重合比=20/80、Mw=20,000、固形分30質量%):10重量部
・多官能エポキシ化合物(エピコート154、油化シェルエポキシ社製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA:35重量部
(熱硬化性インクの安定性評価)
得られた熱硬化性インクの粒度分布及び粘度の変化を以下の手順で測定し、安定性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0254】
<粒度分布変化の測定>
熱硬化性インク0.1重量部をBCA9.9重量部で希釈し、分散初期及び、5℃保存で一ヶ月後の粒度分布を、マイクロトラックUPA粒度分布計(日機装社製)を用い23℃の条件で測定した。評価は50%平均粒子径で行った。
【0255】
<粘度変化の測定>
分散初期及び、5℃保存で一ヶ月後の粘度を、回転振動型粘度計(ビスコメイトVM−1G、山一電機社製)を用い、23℃の条件で測定した。
【0256】
<評価基準>
○:1ヶ月後の粒度及び粘度変化が15%未満
△:1ヶ月後の粒度又は/及び粘度変化が15%以上30%未満
×:1ヶ月後の粒度又は/及び粘度変化が30%以上
【0257】
【表3】
Figure 0004334273
【0258】
5.熱硬化性インクの調製(2)
(実施例7)
(1)赤色インク
C.I.ピグメントレッド254(PR254)又はC.I.ピグメントレッド177(PR177)、顔料分散剤及びその他の成分を下記割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PR254顔料分散液(7)及びPR177顔料分散液(7)をそれぞれ調製した。
<PR254/PR177顔料分散液(7)の組成>
・PR254又はPR177:30重量部
・顔料分散剤1:30重量部
・分散補助樹脂1(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体):30重量部
・BCA:210重量部
次に下記分量の各成分を十分混合して、熱硬化性赤色インク(7)を得た。
<熱硬化性赤色インクの組成>
・上記のPR254顔料分散液(7):68.85重量部
・上記のPR177顔料分散液(7):6.15重量部
・グリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体(共重合比=20/80、Mw=20,000、固形分30質量%):10重量部
・多官能エポキシ化合物(エピコート154、油化シェルエポキシ社製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA:10重量部
(2)青色インク
C.I.ピグメントレッド254に代えてC.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)又はC.I.ピグメントバイオレット23(PV23)を用いる以外は、上記PR254顔料分散液(7)と同様にして、PB15:6顔料分散液(7)及びPV23顔料分散液(7)をそれぞれ調製した。
【0259】
次に下記分量の各成分を十分混合して、熱硬化性青色インク(7)を得た。
【0260】
<熱硬化性青色インクの組成>
・PB15:6顔料分散液(7):46.8重量部
・PV23顔料分散液(7):3.2重量部
・グリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体(共重合比=20/80、Mw=20,000、固形分30質量%):15重量部
・多官能エポキシ化合物(エピコート154、油化シェルエポキシ社製):3重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1.5重量部
・トリメリット酸:3重量部
・BCA:27.5重量部
(3)緑色画素の作製
C.I.ピグメントレッド254に代えてC.I.ピグメントグリーン36(PG36)又はC.I.ピグメントグリーン7(PG7)又はC.I.ピグメントイエロー138(PY138)又はC.I.ピグメントイエロー150(PY150)を用いる以外は、上記PR254顔料分散液(7)と同様にして、PG36顔料分散液(7)、PG7顔料分散液(7)、PY138顔料分散液(7)及びPY150顔料分散液(7)をそれぞれ調製した。
【0261】
次に下記分量の各成分を十分混合して、熱硬化性緑色インク(7)を得た。
【0262】
<熱硬化性緑色インクの組成>
・PG36顔料分散液(7):19.25重量部
・PG7顔料分散液(7):13.65重量部
・PY138顔料分散液(7):24.64重量部
・PY150顔料分散液(7):12.46重量部
・グリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体(共重合比=20/80、Mw=20,000、固形分30質量%):11重量部
・多官能エポキシ化合物(エピコート154、油化シェルエポキシ社製):2.2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1.1重量部
・トリメリット酸:2.2重量部
・BCA:13.5重量部
(実施例8)
(1)熱硬化性赤色インク
上記実施例7の赤色インク調製において、PR254顔料分散液(7)及びPR177顔料分散液(7)の組成中、顔料分散剤1を同量の顔料分散剤2(Disperbyk−161、ビックケミー・ジャパン(株)製)に代えたこと以外は同様にして、熱硬化性赤色インク(8)を得た。
【0263】
(2)熱硬化性青色インク
上記実施例7の青色インク調製において、PB15:6顔料分散液(7)及びPV23顔料分散液(7)の組成中、顔料分散剤1を同量の顔料分散剤2(Disperbyk−161、ビックケミー・ジャパン(株)製)に代えたこと以外は同様にして、熱硬化性青色インク(8)を得た。
【0264】
(3)熱硬化性緑色インク
上記実施例7の緑色インク調製において、PG36顔料分散液(7)、PG7顔料分散液(7)、PY138顔料分散液(7)及びPY150顔料分散液(7)の組成中、顔料分散剤1を同量の顔料分散剤2(Disperbyk−161、ビックケミー・ジャパン(株)製)に代えたこと以外は同様にして、熱硬化性緑色インク(8)を得た。
【0265】
(比較例6)
(1)比較赤色インク
上記実施例7の赤色インク調製において、PR254顔料分散液(7)及びPR177顔料分散液(7)の組成中、顔料分散剤1を同量の比較分散剤2(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ(株)製)に代えたこと以外は同様にして、比較赤色インク(6)を得た。
【0266】
(2)比較青色インク
上記実施例7の青色インク調製において、PB15:6顔料分散液(7)及びPV23顔料分散液(7)の組成中、顔料分散剤1を同量の比較分散剤2(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ(株)製)に代えたこと以外は同様にして、比較青色インク(6)を得た。
【0267】
(3)比較緑色インク
上記実施例7の緑色インク調製において、PG36顔料分散液(7)、PG7顔料分散液(7)、PY138顔料分散液(7)及びPY150顔料分散液(7)の組成中、顔料分散剤1を同量の比較分散剤2(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ(株)製)に代えたこと以外は同様にして、比較緑色インク(6)を得た。
【0268】
(比較例7)
(1)比較赤色インク
上記実施例7の赤色インク調製において、PR254顔料分散液(7)及びPR177顔料分散液(7)の組成中、顔料分散剤1を同量の比較分散剤3に代えたこと以外は同様にして、比較赤色インク(7)を得た。
【0269】
(2)比較青色インク
上記実施例7の青色インク調製において、PB15:6顔料分散液(7)及びPV23顔料分散液(7)の組成中、顔料分散剤1を同量の比較分散剤3に代えたこと以外は同様にして、比較青色インク(7)を得た。
【0270】
(3)比較緑色インク
上記実施例7の緑色インク調製において、PG36顔料分散液(7)、PG7顔料分散液(7)、PY138顔料分散液(7)及びPY150顔料分散液(7)の組成中、顔料分散剤1を同量の比較分散剤3に代えたこと以外は同様にして、比較緑色インク(7)を得た。
【0271】
6.カラーフィルターの作製
(実施例9)
厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(旭硝子(株)製)上に、フォトリソグラフィー法により線幅20μm、膜厚1.2μmのブラックマトリックスパターンを形成した。上記基板のブラックマトリックスにより区画された赤色画素形成部に、実施例7の熱硬化性赤色インク(7)をインクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。次に、同じ基板の青色画素形成部に、実施例7の熱硬化性青色インク(7)をインクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。次に、同じ基板の青色画素形成部に、実施例7の熱硬化性青色インク(7)をインクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。
【0272】
その後、80℃のホットプレート上で10分間プリベークを行い、さらにクリーンオーブン内で200℃で30分間、引き続き230℃で30分間のポストベークを行って、基板上に最終膜厚が1.8μmのRGB3色の画素パターンを形成した。
【0273】
RGB画素パターンを形成した基板を、IPAに5分間浸漬させ、次いでIPA蒸気にて乾燥を行ない洗浄した後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化インジウムスズ)電極を120nmの厚さになるように成膜した。このITO成膜を行った基板を更にIPAに5分間浸漬し、IPAで蒸気洗浄を行った後、ポリイミドをスピンコートし、180℃、60分間の焼成を行って配向膜を形成し、カラーフィルターを得た。
【0274】
(実施例10)
実施例7の熱硬化性赤色インク(7)、青色インク(7)及び緑色インク(7)を、実施例8の熱硬化性赤色インク(8)、青色インク(8)及び緑色インク(8)に代えたこと以外は実施例9と同様にして、実施例10のカラーフィルターを得た。
【0275】
(比較例8)
実施例7の熱硬化性赤色インク(7)、青色インク(7)及び緑色インク(7)を、比較例6で調製した比較赤色インク(6)、比較青色インク(6)及び比較緑色インク(6)に代えたこと以外は実施例9と同様にして、比較例8のカラーフィルターを得た。
【0276】
(比較例9)
実施例7の熱硬化性赤色インク(7)、青色インク(7)及び緑色インク(7)を、比較例7で調製した比較赤色インク(7)、比較青色インク(7)及び比較緑色インク(7)に代えたこと以外は実施例9と同様にして、比較例9のカラーフィルターを得た。
【0277】
(カラーフィルターの評価)
得られたカラーフィルターの分光性能を下記手順により評価した。また、同じカラーフィルターに下記手順により耐熱試験を行って皺の発生状況を評価した。さらに、同じカラーフィルターを用いて組み立てた液晶セルの表示性能を下記手順により評価した。これらの結果を表4に示す。
【0278】
いずれの実施例及び比較例も顔料及び分散剤の量を同じにしてカラーフィルターを作製したところ、分光性能は同等と評価された。しかし、耐熱試験後に表面粗度の測定により皺の発生状況を評価したところ、実施例ではカラーフィルター表面に皺が発生せず、このカラーフィルターを用いた液晶表示装置は問題なく動作することを確認できたのに対して、比較例では皺が発生し、皺の発生に伴い液晶表示装置の表示不良も発生した。
【0279】
(a)表示性能
得られたカラーフィルターを、ITO電極間距離が5〜15μmの範囲となるように相手材のITO基板と対向させ、周辺部をシール部材により封止し、両ITO基板間に液晶を封入し測定用液晶セルを作製した。
【0280】
さらに、この液晶セルをモジュール化して液晶表示装置を作製し、実際に駆動させて表示性能を調べた。
【0281】
(b)分光性能
カラーフィルター上の各色の画素パターンの分光を、C光源を用いてCIEのXYZ表色系におけるxy色度座標を測定した。
【0282】
(c)ITO成膜後の皺(表面粗さ)
ITO成膜後のカラーフィルター膜に180℃、60分間の熱処理を行なった後で画素部上に成膜されたITO膜の表面粗さRaをAFMで測定した。AFMは日本ビーコ株式会社のNanoScopeIIIaを用いた。
【0283】
【表4】
Figure 0004334273
【0284】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明においては、ジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、且つ、ポリエーテル鎖を含まない重合体からなる、耐熱性の高い上記顔料分散剤を用いることにより、着色硬化膜が製造段階での加熱工程又は製造後の高温環境に置かれても、顔料分散剤の分子構造が切断されることなく、塗膜の物性が安定なため、著しい熱膨張収縮が阻止され、塗膜不良の発生が極めて少ない熱硬化性インク及びそのための顔料分散液が得られる。
【0285】
本発明に係る熱硬化性インクは、様々な分野で着色塗膜を形成することができ、特に、カラーフィルターの画素やブラックマトリックスのような着色層等を形成するインクとして好適に用いることができる。
【0286】
当該熱硬化性インクにより形成された未硬化状態の又は硬化後の塗膜は、熱硬化工程又はその前後の工程での加熱処理、或いは製品となった後での高温環境に曝されても、着色パターンの変形、塗膜のクラック、密着性の悪化、或いは、該塗膜の上に積層された隣接層の皺等を来たすといった塗膜不良の問題が生じない。
【0287】
特に、液晶表示パネル等の表示パネル用のカラーフィルターの画素やブラックマトリックス等の着色層を形成し、その上に透明電極膜やオーバーコート層を形成する場合には、本発明に係る熱硬化性インクを用いて着色層を形成することにより、下地となる該着色層が、透明電極膜やオーバーコート層等の隣接層を形成する工程において高温さらには真空による超低圧に曝されたとしても、着色層部分のパターンは熱膨張収縮することが少ないために、隣接層表面の皺、その皺による断線といった問題を回避できる。従って、本発明に係る熱硬化性インクを用いて形成されたカラーフィルターや表示パネルは、表示不良が低減する。
【0288】
また、本発明の熱硬化性インクを用いて、カラーフィルターの画素やブラックマトリックス等の微細なパターンを形成する場合には、溶剤やバインダー成分を適宜選定することにより粘性、流動性等のインク物性を調節し、インクジェット方式により微細なパターンを正確に形成することができる。
【0289】
また、本発明に係るインク及びカラーフィルター製造方法によれば、耐熱性が高く且つ性能の良いカラーフィルターを製造することができ、特に、着色濃度が高く且つ均一で、しかも色抜けの無い画素部を精密に形成できる点で利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のインクを用いてカラーフィルターを製造する方法の説明図である。
【図2】図2は本発明のインクを用いてカラーフィルターを製造する別の方法を説明する図である。
【図3】図3は剛体振子型物性試験装置を模式的に示す図である。
【図4】図4はDisperbyk−161のトータルイオンクロマトグラムである。
【図5】図5はDisperbyk−161の拡大チャートと11.186分のマススペクトルである。
【図6】図6はDisperbyk−161の拡大チャートと13.223分のマススペクトルである。
【図7】図7はDisperbyk−161の拡大チャートと14.429分のマススペクトルである。
【図8】図8はDisperbyk−161の拡大チャートと26.360分のマススペクトルである。
【図9】図9はDisperbyk−161のFT−IRスペクトルである。
【図10】図10はDisperbyk−182のトータルイオンクロマトグラムである。
【図11】図11はDisperbyk−182の拡大チャートと14.501分のマススペクトルである。
【図12】図12はDisperbyk−182の拡大チャートと34.601分のマススペクトルである。
【図13】図13はDisperbyk−182のFT−IRスペクトルである。
【符号の説明】
1…透明基板
2…ブラックマトリックス層
3…撥インキ性凸部
4…画素部形成領域
5…インクジェットヘッド
6…インキ層
7…画素部
8…オーバーコート層
9…光触媒含有層
10…フォトマスク
11…露光部
12…光線
13…剛体振子試験装置
14…支持台
15…支柱
16…剛体振子
17…パイプ型エッジ
18…検出器
19…磁石
20…測定サンプル
R…画素(赤)
G…画素(緑)
B…画素(青)

Claims (13)

  1. 少なくとも、
    (1)顔料、
    (2)単量体単位として少なくともジイソシアネート類及び/又はトリイソシアネート類が重合した主鎖構造を有し、且つ、ポリエーテル鎖及び酸性官能基を含まない重合体からなる顔料分散剤、
    (3)少なくともSP値が10以上である構成単位を含む2種以上の構成単位が連結した分子構造を有し、且つ、酸性官能基を有さない共重合体からなる分散補助剤、
    (4)1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、
    (5)硬化剤、及び、
    (6)主溶剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートを溶剤全量に対して80質量%以上の割合で含有する有機溶剤を含有する、カラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記顔料分散剤がポリエステル鎖を更に含む重合体である、請求項1に記載のカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記顔料分散剤の酸価が10mgKOH/g以下、アミン価が5〜80mgKOH/gである、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記顔料分散剤のガラス転移温度Tgが、70℃以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物。
  5. 前記顔料分散剤が70℃で30分加熱して溶融しないものである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物。
  6. 前記分散補助剤に含まれるSP値が10以上の構成単位が窒素を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物。
  7. 前記分散補助剤のガラス転移温度が、70℃以上である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物。
  8. さらに、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を含有することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物。
  9. (1)基板上の所定領域に、前記請求項1乃至8のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物をインクジェット方式によって選択的に付着させて、インキ層を形成する工程と、
    (2)当該インキ層を加熱することにより硬化させて、所定パターンの硬化層を形成する工程、
    を含むことを特徴とする、カラーフィルターの製造方法。
  10. (1)基板上に、親水性が大きくなる方向に濡れ性を変化させることのできる濡れ性可変層を形成する工程と、
    (2)当該濡れ性可変層の表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親水性の大きいインキ層形成領域を形成する工程と、
    (3)当該インキ層形成領域に、前記請求項1乃至8のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物を選択的に付着させて、インキ層を形成する工程と、
    (4)当該インキ層を加熱することにより硬化させて、所定パターンの硬化層を形成する工程、
    を含むことを特徴とする、カラーフィルターの製造方法。
  11. 基板上に少なくとも着色層を備えてなり、当該着色層が前記請求項1乃至8のいずれか一項に記載のカラーフィルター用インクジェットインク用エポキシ樹脂組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする、カラーフィルター。
  12. 前記着色層上に、透明導電層又はオーバーコート層が積層されている、請求項11に記載のカラーフィルター。
  13. 前記請求項11又は12に記載のカラーフィルターを備える表示パネル。
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