JP5072383B2 - カラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法、カラーフィルターの製造方法、並びに液晶表示装置の製造方法 - Google Patents
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Description
このようなカラーフィルターにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッターとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
従来より行われているカラーフィルターの製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。
また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。
さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
インクジェット方式でインクを正確なパターンに合わせて吹き付けて画素を形成するためには、吐出ヘッドから吐出する際の直進性、安定性が求められる。しかし、インクの蒸発速度が早すぎると、吐出ヘッドのノズル先端でインクの粘度が急激に増加してインク滴の飛行曲がりが発生したり、時間を空けて間歇的に吐出すると目詰まりを起こして再吐出できなくなったりする。
さらに、ヘッド33のオリフィス表面33aにインクが塗れ広がっていると、図3に示すように正面方向Vxに吐出されたインク滴34が、インクの塗れ広がった方向Vyに引張られ、飛行曲がりが発生する。従って、オリフィス表面でのインクの塗れ広がりによって、吐出の直進性はさらに悪くなる。
また、カラーフィルターの着色剤としては顔料を用いることが多いが、カラーフィルター用インクの顔料分散性が悪いと、顔料粒子同士の凝集により吐出ヘッドのノズル部で目詰まりを起こす。従って、着色剤として顔料を用いる場合には、顔料分散性もインクの吐出性能に影響を与える。
以上の問題点を解決した、ヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、均一性の高いパターンが得られると共に、効率よく乾燥させることができるカラーフィルター用インクジェットインクとして、発明者らは、特許文献3に、少なくともバインダー成分、顔料、及び、溶剤からなり、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を、前記溶剤の全量に対して90重量%以上の割合で含有することを特徴とするカラーフィルター用インクジェットインクを開示している。
また、本発明の第二の目的は、上記目的を達成するインクジェットインクを用いた生産効率が高いカラーフィルターの製造方法を提供することにある。
また、本発明の第三の目的は、上記目的を達成するカラーフィルターの製造方法を用いた液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、上記特定の成分を含有するカラーフィルター用インクジェットインクであって、濾過精度が0.6〜2.5μmのポリプロピレン製濾過フィルターを、0.05〜0.5MPaの濾過圧力で通過させるか、又は濾過精度が0.45〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン製濾過フィルターを、0.1〜0.5MPaの濾過圧力で通過させることにより、長期間にわたってヘッドから吐出した時の直進性や吐出量安定性に優れるカラーフィルター用インクジェットインクを得ることができる。このため、長期間や数百億ショットもの多数回の吐出にわたって吐出ヘッドの交換や製造ラインの洗浄を必要とすることなく、ノズル部での目詰まりやインク滴の飛行曲がりが発生し難い。その結果、長期にわたってインクの着弾精度が良好となり、精密且つ均一なパターンを得ることができるため、カラーフィルターの生産効率が向上するという利点を有する。
(式中、XおよびYは、それぞれ独立に水素、重合開始剤残基又は連鎖移動触媒残基のいずれかを、R 11 は遊離のアミノ基、下記一般式(II)又は(III)で示される基を、nは2〜1,000の整数を表す。但しn個のR 11 中、少なくとも1個は一般式(III)で示される基を表す。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、上記本発明に係る長期吐出安定性に優れたインクジェットインクを用いてインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程を有することにより、良好にパターニングされた画素を備え、表示不良が低減されたカラーフィルターを生産効率良く製造することが可能である。
本発明に係るインクを用いたカラーフィルターの製造方法によれば、良好にパターニングされた画素を備え、表示不良が低減されたカラーフィルターを生産効率良く製造することが可能である。
また、本発明に係る液晶表示装置の製造方法によれば、表示不良が低減されたより性能の良いカラーフィルターを用いることから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、少なくとも顔料、バインダー成分、並びに、主溶剤としてエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種以上の溶剤成分を溶剤の全量に対して60重量%以上含有するカラーフィルター用インクジェットインクであって、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターを、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過したことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、カラーフィルターにおける画素や遮光部等の着色層を、インクジェット方式により形成するのに適したインクである。
この点、本発明によれば、所定の溶剤中に顔料とバインダー成分を含むインクについて、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターを、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過したことにより、長期間にわたってヘッドから吐出した時の直進性や吐出量安定性に優れるカラーフィルター用インクジェットインクを得ることができる。
カラーフィルター用インクジェットインクは、上述のように、様々な粒子径を有する粒子が所定の溶媒中に分散されている上、粒子は帯電している場合が多い。インクジェットの吐出ヘッドのノズル径は通常10μm〜50μm程度である。一方、カラーフィルター用インクジェットインクの場合、粒子の分散平均粒子径は通常0.02〜5μm程度であるため、フィルター孔径よりも大きい粒子は通り抜けることができず除去される原理に基づいた、精密濾過法を用いた濾過を吐出安定性の向上に適用可能と考えられた。しかしながら、上記インクジェットインクに用いる所定の溶媒を通過させることにより、インク中に濾過フィルター成分が含有されるとカラーフィルターに悪影響を及ぼす可能性がある。また、インク中には帯電している成分が含まれるため、インクの濾過に際しては、フィルター孔径よりも小さな粒子がフィルター内部を通過する際にゼータ電位、濃度、ブラウン運動による拡散、さえぎり、静電気的な力などにより、濾材に接触した結果、インク濾過重量を低下させるデプス濾過作用も考慮すべきと考えられた。ここで、デプス濾過作用は、濾過流速、粒子の電位などによっても影響されるものである。
それに対し、本発明のインクの濾過に用いられる濾過フィルターは、濾過精度が0.2〜4.0μmでポリプロピレンを主材とするものか、 或いは、濾過精度が0.2〜4.0μmでポリテトラフルオロエチレンを主材とするものという、特定の濾過精度と材質を組み合わせた上、さらに0.01〜2MPaという所定の濾過圧力を組み合わせて濾過する。このため、上記インクジェットインクに用いる所定の溶媒を通過させることによりインク中に濾過フィルター成分が含有されることなく、インク中に存在する顔料を主体とした着色微粒子の凝集物やその他の異物、更にノズル等に付着しやすい成分を除去できる。その結果、インクジェットヘッドの内部流路を着色微粒子の凝集物やその他の異物が閉塞したり、ノズル等にインク成分が付着することが抑制されると共に、インク中の微粒子の粒子径分布が狭く比較的均一化されることにより、長期間にわたってヘッドから吐出した時の直進性や吐出量安定性に優れるカラーフィルター用インクジェットインクが得られると推定される。
(顔料)
着色剤は、画素(画素部)のR、G、B等やブラックマトリックス層の求める色に合わせて、有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
遮光性の高い顔料を含有するインクジェットインクで形成したインク層は、内部にまで光が到達し難いので、本発明のインクジェットインクを用いてブラックマトリックス層のパターンを形成する場合には、後述するバインダーは、光硬化性のバインダーを用いるよりも、熱硬化性バインダーを用いるのが好ましい。ただし、インク層の厚さや露光時間を長くするなど硬化方法を調節することによって、光でも硬化させることが可能である。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクの他の一実施形態としては、前記顔料として、C.I.ピグメントグリーン36(PG36)、C.I.ピグメントグリーン7(PG7)、C.I.ピグメントイエロー150(PY150)、及びC.I.ピグメントイエロー138(PY138)よりなる群から選択される1種以上の顔料が含まれ、緑色用であることが挙げられる。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクの他の一実施形態としては、前記顔料として、C.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)及び/又はC.I.ピグメントバイオレット23(PV23)が含まれ、青色用であることが挙げられる。
本発明に係るインクジェットインクは、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダー成分を含有する。本発明において、バインダー成分とはインク中に含まれる、画素を所定の位置に付着させ固定するために含有させる成分であり、通常は混合物である。
本発明に係るインクジェットインクは、インクジェット方式に用いるインクであるため、所定のパターンを形成するためには、所定のパターン形成領域にのみインクを選択的に付着させて固化すれば形成することができ、露光及び現像を行なうことによりパターンを形成する必要がない。従って、バインダー成分としては、それ自体は重合反応性のない樹脂のみから構成されるような単に乾燥固化するバインダー成分を用いてもよい。しかしながら、塗工膜に十分な強度、耐久性、密着性を付与するためには、インクジェット方式により基板上にインク層(塗工膜)のパターンを形成後、当該インク層を重合反応により硬化させることのできるバインダー成分を用いるのが好ましく、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性のバインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー成分のような、重合硬化可能なバインダー成分を用いることができる。
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
式(3)において、R1として好ましいのは水素またはメチル基であり、R2として好ましいのは炭素数1〜12のアルキル基であり、そのなかでも特にメチル基及びシクロヘキシル基が好ましい。上記式(3)で表されるモノマーのなかで好ましいものとして、具体的にはメチルメタクリレート(MMA)及びシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)を挙げることができる。
重合体中の式(2)で表される構成単位は、下記式(4)で表されるモノマーから誘導される。
式(4)において、R3として好ましいのは水素またはメチル基である。式(4)で表されるモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
なお、エポキシ化合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めることができ、測定条件としては、例えば、テトラヒドロフランを展開液とし、HLC−8029(東ソー株式会社製)を用いて測定することができる。
多官能エポキシ化合物の中でも、酸−エポキシ反応の架橋密度を上げるためには、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物を用いるのが好ましい。特に、本発明の硬化性樹脂組成物をインクジェット方式で用いる場合であって、インクジェット方式の吐出ヘッドからの吐出性を向上させるために前記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量を10,000以下とした場合には、硬化樹脂層の強度や硬度が低下し易いので、そのような4官能以上の多官能エポキシ化合物を硬化性樹脂組成物に配合して架橋密度を充分に上げるのが好ましい。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。具体的には、(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合物、(ロ)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物、(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物、(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。また、オニウム化合物としては、アンモニウム化合物[R3NR']+X-、スルホニウム化合物[R3SR']+X-、オキソニウム化合物[R3OR']+X-等を挙げることができる。なお、ここでR及びR'はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ等である。
紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含むバインダー成分においては、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与することを目的として比較的分子量の高い重合体を含むことが好ましい。ここでいう比較的分子量が高いとは、所謂モノマーやオリゴマーよりも分子量が高いことをいい、重量平均分子量5,000以上を目安にすることができる。比較的分子量の高い重合体としては、それ自体は重合反応性のない重合体、及び、それ自体が重合反応性を有する重合体のいずれを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いても良い。そして、比較的分子量の高い重合体を主体とし、必要に応じて、光重合性官能基を2つ以上有する多官能モノマーやオリゴマー、光重合性官能基を1つ有する単官能のモノマーやオリゴマー、光により活性化する光重合開始剤、及び、増感剤などを配合して、光硬化性バインダー成分を構成する。
より具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレートマクロモノマー/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレンマクロモノマー共重合体などを例示することができる。
この中で、ラジカル重合型プレポリマーは、市場において最も容易に入手でき、例えば、エステルアクリレート類、エーテルアクリレート類、ウレタンアクリレート類、エポキシアクリレート類、アミノ樹脂アクリレート類、アクリル樹脂アクリレート類、不飽和ポリエステル類などを例示できる。
比較的分子量の高い重合体は、インクの固形分全量に対して、通常、1〜50重量%の割合で配合する。ここで、配合割合を特定するためのインクの固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の重合性モノマー等も固形分に含まれる。
塗工膜のネットワーク構造を形成する多官能重合性成分としては、2官能以上のモノマー又はオリゴマーを用いることができる。光硬化性樹脂に十分な膜強度や密着性を付与するために、通常は4官能以上のモノマーやオリゴマーが用いられている。
2乃至3官能モノマーの配合割合は、インクの固形分全量に対して、通常、20〜70重量%の割合で配合する。
ここで、2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の20重量%に満たない場合には、インクがモノマーによって十分に希釈されず、インクの粘度が初めから高いか或いは溶剤分の揮発後に高くなり、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを起こすおそれがある。また、2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の70重量%を超える場合には、塗膜の架橋密度が低くなり、塗膜の耐溶剤性、密着性、硬さが劣り、十分な特性が得られなくなるおそれがある。
4官能以上の多官能成分は、インクの固形分全量に対して、通常、1〜30重量%の割合で配合する。また、2乃至3官能性モノマーによる吐出性安定化と、4官能以上の多官能成分による強度及び密着性向上のバランスをとるために、2乃至3官能性モノマー100重量部に対して、4官能以上の多官能成分の配合割合を、通常は1〜50重量部とし、好ましくは当該配合割合の下限を2重量部以上とし、且つ/又は、当該配合割合の上限を35重量部以下とする。
ここで、4官能以上の多官能成分の配合割合が前記2乃至3官能性モノマー100重量部に対して1重量部に満たない場合には、インクを硬化させた後の硬さ、耐溶剤性などの特性が十分に得られないおそれがある。また、4官能以上の多官能成分の前記配合割合が50重量部を超える場合には、インクの硬化速度が遅くなり、プロセススピードが遅くなるおそれがある。
単官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、スチレン、酢酸ビニル等のビニルモノマーや、n−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリルモノマーを例示することができる。
また、硬化したインク層に十分な密着性、強度、硬度を付与するためには、顔料やその他の成分を含めたインクの固形分全量に占めるバインダー成分の合計割合を50〜75重量%とするのが好ましい。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクに用いられる溶剤は、主溶剤としてエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種又は2種以上の溶剤成分を溶剤の全量に対して60重量%以上含有する。
上記主溶剤として挙げた溶剤は、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すという要求も満たしている。濡れ性に関して上記挙動を示す溶剤を用いてインクを調製すると、インクは、後述する濡れ性可変層の濡れ性を変化させる前は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな反撥性を示し、当該濡れ性可変層の濡れ性を変化させて親水性が大きくなる方向に変化させた後は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな親和性を示す。従って、濡れ性可変層の表面の一部を選択的に露光して形成した親インク性領域に対するインクの濡れ性と、その周囲の領域に対する撥インク性領域の濡れ性の差を大きくとることができるようになり、親インク性領域にインクジェット方式で吹き付けたインクが、親インク性領域の隅々にまで均一に濡れ広がる。従って、本発明のインクは、基板表面に濡れ性可変層を形成し露光することにより、基板上のインク層を形成したい部分に親インク性領域を形成し、当該親インク性領域にインクジェット方式によってインクを選択的に付着させる場合にも、好適に用いることができる。
中でも、副溶剤に用いられる各溶剤成分の沸点は、更に、140℃〜180℃であることが、特に140℃〜175℃であることが、端部に厚膜部分が生じ難く、且つ表面ムラが低減された良好な塗膜が得られ易い点から好ましい。
前記副溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールエーテル類や、グリセリン1,3−ジメチルエーテルのようなグリセリンエーテル類などの多価アルコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類を含むグリコールエステル類や、グリセリン1−モノアセタートのようなグリセリンエステル類などの多価アルコールエステル類;イソ吉草酸、イソ酪酸、プロピオン酸、酪酸のようなカルボン酸類;イソ吉草酸エチル、蟻酸ヘキシル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、乳酸メチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、クエン酸トリブチル、シュウ酸ジメチルのような脂肪族エステル類;3−エトキシプロピオン酸エチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸メチルのようなケトカルボン酸エステル類;n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、2−エチルブタノール、グリシドール、n−ヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−ヘプタノールのような1価アルコール類;ジイソアミルエーテル、及び1、8−シネオールのようなエーテル類;エチル−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ヘキシルケトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコールのようなケトン類;ノナン、デカン等のアルカン類等が挙げられる。
顔料分散剤は、顔料を良好に分散させるためにインクジェットインク中に配合されることが好ましい。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系等の界面活性剤などを使用できる。また、特殊アクリル系重合体などの分散補助樹脂を更に用いても良い。本発明のインクジェットインクには、顔料分散剤として、ポリエチルイミン誘導体、又はポリアリルアミン誘導体を含有することが好ましい。
ここで、ポリエチルイミン誘導体とは、6−ヒドロキシヘキサン酸と、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシデカン酸および4−ヒドロキシデカン酸から選択される少なくとも1の他のヒドロキシカルボン酸とから誘導しうる複数の繰り返し単位を各々が含有している複数のポリ(カルボニルアルキレンオキシ)鎖を有していて、6−ヒドロキシヘキサン酸から誘導しうる単位の他のヒドロキシカルボン酸(単数または複数)から誘導しうる単位に対する重量比が90:10〜10:90の範囲内であるポリエチレンイミン基、あるいはそれらの酸との塩を含む分散剤である。
好ましくは、6−ヒドロキシヘキサン酸から誘導しうる単位の、他のヒドロキシカルボン酸(単数または複数)から誘導しうる単位に対する重量比は、20:80から80:20の範囲内であり、特には20:80から50:50の範囲内である。
上記ポリ(カルボニルアルキレンオキシ)鎖(本明細書の以下において「PCAO鎖」と称す)は、上記のヒドロキシカルボン酸(または、適当ならば対応するラクトン類)の重合によって誘導しうるポリエステル鎖であり、上記鎖は、6−ヒドロキシヘキサン酸と上記の他のヒドロキシカルボン酸の少なくとも1とから誘導しうる複数のカルボニルアルキレンオキシ(本明細書中の以下において「CAO」と称す)繰り返し単位を、ブロックまたはランダム配置中に含むコポリエステル鎖である。PCAO鎖は典型的には、平均で、2から100、好ましくは3から40、より好ましくは4から15の上記CAO基を含有しており、鎖終止末端基(chain-stopping terminal group)を、例えば、置換されていてもよいアルキルカルボニル、特には12以上の炭素原子を含有しているアルキルカルボニル基のようなオキシ末端に有していてもよい。
PCAO鎖のPEI基に対する重量比は、典型的には、2:1から30:1、好ましくは3:1から20:1、より好ましくは8:1から20:1、そして特には10:1から15:1の範囲内である。
ポリエチルイミン誘導体は、PEIをPCAO酸(単数または複数)またはその前駆体と反応させることにより調製することができる。
上記顔料分散剤の市販品として、アジスパーPb821、Pb822(味の素ファインテクノ株式会社製)、Solsperse24000GR、24000SC、32000、33500(日本ルーブリゾール社製)等を用いることができる。
上記顔料分散剤の含有量は、固形分全体に対して5〜50重量%、更に固形分全体に対して10〜30重量%であることが好ましい。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)増感剤:例えば、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエートなど。
b)硬化促進剤(連鎖移動剤):例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなど、
c)高分子化合物からなる光架橋剤又は光増感剤:高分子光架橋・増感剤は、光架橋剤あるいは光増感剤として機能しうる官能基を主鎖および/または側鎖中に有する高分子化合物であり、その例としては、4−アジドベンズアルデヒドとポリビニルアルコールとの縮合物、4−アジドベンズアルデヒドとフェノールノボラック樹脂との縮合物、4−(メタ)アクリロイルフェニルシンナモイルエステルの(共)重合体、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン等を挙げることができる。
d)分散助剤:例えば、銅フタロシアニン誘導体等の青色顔料誘導体や黄色顔料誘導体等など。
e)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
f)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
g)酸化防止剤:例えば、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノールなど。
h)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなど。
i)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、或いは各種の界面活性剤など。
次に、本発明に係るインクジェットインクに特徴的な濾過について説明する。
上記のような成分を含み顔料が分散されたカラーフィルター用インクジェットインクの顔料の分散平均粒子径は通常0.01〜5μm程度であるため、精密濾過を行う。ここで上述のように、インクジェットインクは帯電した成分が含まれているため、インクの濾過に際しては、フィルター孔径よりも小さな粒子がフィルター内部を通過する際にゼータ電位、濃度、ブラウン運動による拡散、さえぎり、静電気的な力などにより、ろ材に接触した結果保持されるデプス濾過作用も考慮すべきと考えられた。デプス濾過作用は、濾過流速、粒子の電位などによっても影響されるものである。
中でも、インク中にフッ素系界面活性剤等、フッ素系成分を含有する場合には、デプス濾過作用によりフッ素系界面活性剤が除去され得ることを考慮して、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルターを用いることが好ましい。ここで通常、ポリテトラフルオロエチレンといえば親水化処理されていないものであり、本発明においてポリテトラフルオロエチレンは−(−CF2−CF2−)n−で表わされる高分子物質の意味で用いている。濾過フィルターの材質が親水化処理されたポリテトラフルオロエチレンの場合には、帯電した成分が濾過フィルターに吸着する等して、濾過流量が低下して好適に濾過できない場合が多い。また、濾過フィルターの材質によっては、上記インクに用いられる溶剤に対して一部溶解して、フィルター成分がインク中に混入する場合がある。更に、濾過精度が上記範囲未満であると、濾過が困難或いは不可能となる。一方、濾過精度が上記範囲を超えると、インク中に分散平均粒子径の大きな粒子が残り、吐出安定性が悪くなる場合がある。
なお、本発明における濾過精度は、濾過効率が99.9%以上となるところの粒子径であり、ANSI B93,31−1973に基づいたシングルパスF−2試験法によるものである。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクは、各成分を上記溶剤に投入して混合し、固形成分を溶解又は分散させた後、上記所定の条件で濾過することにより製造しても良い。
しかしながら、顔料をバインダー等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、顔料を溶剤中に十分に分散させられないことが多い。そこで通常は、上記主溶剤、及び必要に応じて顔料の分散性及び分散安定性が良好な溶剤(分散溶剤)を含む分散体調製溶剤を用意し、そこに顔料を必要に応じて顔料分散剤と共に投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、顔料分散液を調製する。そして、得られた顔料分散液と、顔料以外の成分と、主溶剤からなるか又は主溶剤に副溶剤を添加した混合溶剤とを、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合し、最後に場合に応じて副溶剤を添加することによって、本発明に係る濾過前のインクジェットインクとすることができる。
上記の「得られた前記顔料分散体、少なくともバインダー成分、及び新たに用意した前記主溶剤を含有する溶剤を混合する」態様には例えば下記態様が含まれる。
1)得られた上記顔料分散体、及び少なくともバインダー成分を、新たに用意した前記主溶剤を含有する溶剤に投入する。
2)少なくともバインダー成分を新たに用意した前記主溶剤を含有する溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液を混合する。
3)少なくともバインダー成分を新たに用意した前記主溶剤を含有する溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液、更に主溶剤及び/又は副溶剤を混合する。
本発明に係るインクの製造方法において、前記予備調製インクを、濾過精度が0.2〜4.0μmのポリプロピレンを主材とする濾過フィルター及び/又は濾過精度が0.2〜4.0μmのポリテトラフルオロエチレンを主材とする濾過フィルターに、0.01〜2MPaの濾過圧力で通過させる濾過工程については、上記本発明に係るインクジェットインクの「濾過」の項目において説明したものと同様であるから、ここでの説明を省略する。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、カラーフィルターにおいて画素やブラックマトリックス等、所定のパターンを有する着色層を形成するのに特に好適に用いられる。また、カラーフィルターのオーバーコートや、カラーフィルターと電極基板の間のセルギャップを一定且つ均一に維持するためのスペーサーや、液晶配向用隔壁としてのリブ等にも適宜用いることができる。カラーフィルターとしては、液晶表示装置等の画像出力装置に用いられるカラーフィルター、或いは固体撮像素子等の画像入力装置に用いられるカラーフィルターのいずれにも好適に用いることができる。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、基板上の所定領域に上記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させて着色層を形成する着色層形成工程を含むことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにR、G、B又はブラック等の所望の顔料を配合し、カラーフィルターの透明基板上の所定領域にインクジェット方式により選択的に付着させ、硬化させることによって、画素部や遮光層などの着色硬化層を形成することができる。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、上記本発明に係る長期吐出安定性に優れたインクジェットインクを用いてインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程を有することにより、良好にパターニングされた画素を備え、表示不良が低減されたカラーフィルターを生産効率良く製造することが可能である。
本工程に用いられるインクジェットヘッドは、後述する遮光部が備える開口部内の基材表面上に、所望量のインクジェットインクを滴下できるものであれば特に限定されるものではない。このようなインクジェットヘッドとしては、例えば、帯電したインクジェットインクを連続的に吐出し磁場によって吐出量を制御する吐出方式のもの、圧電素子を用いて間欠的にインクジェットインクを吐出する吐出方式のもの、または、インクジェットインクを加熱しその発泡現象を利用して間欠的に吐出する吐出方式のもの等の一般的なインクジェットヘッドを用いることができる。
次に、本工程に用いられるカラーフィルター用基板について説明する。本工程に用いられるカラーフィルター用基板は基材と、上記基材上に形成された遮光部とを有するものである。
a.遮光部
まず、上記遮光部について説明する。上記遮光部は後述する基材上に形成され、開口部を有するものである。
本工程に用いられる上記遮光部としては、通常、同一の形状を有する開口部が等間隔で規則的に形成されたものが用いられる。ここで、上記開口部の具体的な大きさや配置態様は特に限定されるものではなく、本発明により製造されるカラーフィルターの用途等に応じて任意に決定することができる。
上記遮光部としては、所望の遮光性を有する材料からなるものであれば特に限定されるものではないが、通常、遮光材料および樹脂から構成されるもの、または、金属材料からなるものが用いられる。
本発明に用いられる撥液性材料としては、遮光部を形成した際に所望の撥液性を発現できるものであれば特に限定されるものではない。このような撥液性材料としては、例えば、フッ素含有化合物、および、低表面エネルギー物質の微粒子等を挙げることができる。
一般式(1):Rf−X−Rf’
一般式(2):(Rf−X−R)−Y−(R’−X’−Rf’)
ここで、上記式(1)または(2)において、RfおよびRf’はフルオロアルキル基、RおよびR’はアルキレン基を表し、RfとRf’また、RとR’は同一でも異なっていても良い。また、X、X’およびYは、−COO−、−OCOO−、−CONR”−、−OCONR”−、−SO2NR”−、−SO2−、−SO2O−、−O−、−NR”−、−S−、−CO−、OSO2O−、−OPO(OH)O−のうちのいずれかを表し、X、X’およびYは同一でも異なっていても良い。R”はアルキル基または水素を表す。
上記カラーフィルター用基板に用いられる基材としては、上記遮光部および着色層を形成できるものであれば特に限定されるものではなく、従来よりカラーフィルターに用いられているもの等を用いることができる。このような基材としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等を挙げることができる。なかでも本工程においてはコーニング社製7059ガラスを用いることが好ましい。上記7059ガラスは寸度安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、かつ、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであることから、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルタに好適に用いることができるからである。
上述のように濾過して製造した各色のカラーフィルター用インクジェットインクを用意する。そして、図1の1(A)に示すように、基材21上に形成された遮光部22とを有するカラーフィルター用基板23において画成された各色の着色層形成領域24R、24G、24Bに、対応する色の着色層形成用インクジェットインクをインクジェット方式により吹き付けてインク層を形成する。このインクの吹き付け工程において、上述のように濾過して製造された着色層形成用インクジェットインクは、ヘッド25の先端部で顔料の凝集を起こし難く且つ壁面に付着し難く、長期にわたって、良好な吐出性を維持し続けることができる。従って、所定の着色層形成領域内に、対応する色のインクを正確に、且つ、均一に付着させることができ、正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。また、各色の着色層形成用インクジェットインクを、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、各色ごとに着色層を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
また、本発明において製造されるカラーフィルターにおいては、前記画素の膜厚の最高値が3.5μm以下、更に3μm以下であることが好ましい。また、本発明において製造されるカラーフィルターにおいては、前記画素の膜厚の最高値と平均膜厚との差が1μm以下、更に0.7μm以下であることが好ましい。このような場合には、厚膜部分の画素が暗くなったり、クラックによるITO成膜不良が起こって断線等を引き起こす等の問題が生じないため、表示不良が低減するからである。また、液晶層のギャップが正確に取れなくなる等の問題が生じないからである。なお、膜厚は、基板からの高さをいう。また、画素の平均膜厚は、画素内の塗膜体積を画素面積で割ることにより、算出する。更に、端部の膜厚の最高値とは、端部盛り上がり部位の中で膜厚が最も高い箇所における膜厚の値をいう。
本発明のカラーフィルターの製造方法は、上記着色層形成工程以外に他の工程を有するものであっても良い。このような他の工程としては、本発明により製造されるカラーフィルターの用途等に応じて任意に決定することができる。なかでも本発明においては上記着色層形成工程の前に上記カラーフィルター用基板に用いられる基板の表面の所定領域を親液化する親液化工程を有することが好ましい。
このような親液化工程を有することにより、上記着色層形成工程において上記遮光部が備える開口部内に、インクジェットインクを満遍なく濡れ拡げることが容易になるため、上記開口部内に着色層が形成されない部位が生じることを防止できる。
以下、本発明に用いられる親液化工程について説明する。
以下、このような撥液化工程について説明する。
また、上記プラズマ照射に用いられる導入ガスのフッ素化合物としては、例えばフッ化炭素(CF4)、窒化フッ素(NF3)、フッ化硫黄(SF6)等を挙げることができる。
また、上記導入ガスとして用いられるフッ素化合物の流量は1L/min〜100L/minの範囲内であることが好ましく、なかでも3L/min〜50L/minの範囲内であることが好ましい。
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、上記本発明に係るカラーフィルターの製造方法を用いてカラーフィルターを製造する工程と、当該製造されたカラーフィルターと液晶駆動側基板を対向させて組み立てる工程を有する。
本発明に係る液晶表示装置の製造方法によれば、上記本発明に係るインクジェットインクを用い、より性能の良いカラーフィルターが得られる上記本発明に係るカラーフィルターの製造方法を用いた工程を有することから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
上記のようにして製造されたカラーフィルターと、液晶駆動側基板(TFTアレイ基板)を対向させ、両基板の内面側周縁部をシール剤により接合すると、両基板は所定距離のセルギャップを保持した状態で貼り合わされる。そして、基板間の間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明に係る製造方法により製造される液晶表示装置に属する、アクティブマトリックス方式のカラー液晶表示装置が得られる。
液晶表示装置におけるその他の製造方法及び構成は、通常用いられる方法及び構成を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
本発明に係る製造方法によって得られる液晶表示装置としては、上述したカラーフィルターを有するものであれば特に限定はされず、公知の液晶表示装置を挙げることができる。具体的には、IPS(In-Plane Switching)型、STN(Super Twisted Nematic)型、TN(Twisted Nematic)型、強誘電性型、反強誘電性型、MVAモード型等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を40.7重量部仕込み、攪拌しながら加熱して140℃に昇温した。次いで、140℃の温度で第1表に記載した組成の単量体、及び、重合開始剤の混合物(滴下成分)54.7重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、110℃に降温し重合開始剤及び水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)の混合物(追加触媒成分)4.6重量部を添加し、110℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、表1に記載の特性を有するバインダー性エポキシ化合物が得られた。
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製商品名)
*2)重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。
(1)赤色顔料分散液の調製
C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド150の3つの顔料に対してそれぞれ顔料分散液を調製した。各顔料15重量部に対し、顔料分散(アジスパーPb821、商品名、味の素ファインテクノ(株)製)9重量部、及びBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)76重量部を混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、赤色インクジェットインク用顔料分散液を調製した。
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記合成例1に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤BCAを加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
[熱硬化性バインダー溶液の配合割合]
・合成例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):62.5重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名jER157S70、ジャパンエポキシレジン(株)製):12.5重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:6.25重量部
・トリメリット酸:12.5重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):6.25重量部
表2に示す組成となるように、上記調製した各赤色顔料分散液、バインダー組成物、及び溶剤を充分に混合し、製造例R1のカラーフィルター用赤色インクジェットインクを得た。
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
製造例R1のカラーフィルター用赤色インクジェットインクについて、表3に示す各濾過フィルターと各濾過圧力により濾過を行った。濾過には、ステンレスサニタリーハウジング、アドバンテック東洋社製1TWA−1S−PSを使用した。1TWA−1S−PSの構造を図2に示す。図2において、記号は以下のとおりである。
1:ボールバルブ、2:胴、3:4Sクランプ、4:胴ガスケット、5:ベース、6:袋ナットガスケット、7:袋ナット、8:入口、9:出口。
図2における胴内に表3に示す濾過フィルターを設置、表3に示す所定の圧力を印加し濾過を行った。濾過に用いるインク量は3kgとした。以下の評価基準による濾過性も併せて表3に示す。
[濾過性評価基準]
◎:インク全量に対して2分未満の濾過時間
○:インク全量に対して2分以上5分未満の濾過時間
△:インク全量に対して5分以上10分未満の濾過時間
×:インク全量に対して10分以上の濾過時間
(1)濾過フィルターの耐インク性
濾過フィルターの初期重量をメトラー社製電子天秤で測定した。上記各インクジェットインクに用いられているBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)とEEP(3−エトキシプロピオン酸エチル)の混合溶媒(重量比BCA:EEP=70:10)に24時間、濾過フィルターを浸漬した。
その後、上記混合溶媒から濾過フィルターを引き上げ、イソプロピルアルコールで充分に洗浄後、30℃で加熱しながら0.2Torrで乾燥を行った。
乾いた濾過フィルターの重量を測定し、初期重量よりも減少している濾過フィルターは、インクに濾過フィルターが溶解しているとし、初期重量に対して重量減少がないものは濾過フィルターが溶解せず、耐インク性に優れていると判断した。
[耐インク性評価基準]
○:初期濾過膜重量に対して重量減少がない
×:初期濾過膜重量に対して重量減少がある
インクジェットヘッドに濾過後の各インクを充填し、当該インクジェットヘッドの全穴からインクを吐出、1孔につき20ngをガラス基材上に滴下した。
その後連続吐出し、飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生した吐出発数により、インクの連続吐出性の良否を評価した。
[初期吐出性の評価基準]
◎:ヘッドの全孔(オリフィス)からインクを吐出することが可能。
○:ヘッドの95%以上の孔からインクの吐出が可能。
△:ヘッドの50%以上95%未満の孔からインクの吐出が可能。
×:ヘッドの全孔から吐出しないか、50%未満の孔からのみ吐出可能。
[長期連続吐出性の評価基準]
◎:10億発連続吐出しても飛翔曲がりが発生せず、吐出不可能となる孔がない。
○:5億発以上10億発未満で飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生。
△:1万発以上5億発未満で飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生。
×:1万発未満で飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生。
PP:ポリプロピレン
PTFE:疎水ポリテトラフルオロエチレン
GF:樹脂含浸グラスファイバー
なお、表3に示す濾過フィルターは、以下のものを用いた。
・材質ポリプロピレン、濾過精度0.6μm:品番HDCIIAB1J0067H、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度1.2μm:品番HDCIIAB1J0127H、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度2.5μm:品番HDCIIAB1J0257H、日本ポール(株)
・材質疎水ポリテトラフルオロエチレン、濾過精度0.45μm:品番エンフロンAB1FX7ESH11、日本ポール(株)
・材質疎水ポリテトラフルオロエチレン、濾過精度1.0μm:品番エンフロンAB1FN7ESH11、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度4.5μm:品番HDCIIAB1J0457H、日本ポール(株)
・材質疎水ポリテトラフルオロエチレン、濾過精度0.1μm:品番エンフロンAB1FT7ESH11、日本ポール(株)
・材質樹脂含浸グラスファイバー、濾過精度1μm:品番ウルチポアGFプラスAB1U010Z7H、日本ポール(株)
表3に示すように、本発明に係るインクの製造方法において規定した範囲内の濾過フィルターと濾過圧力を用いて濾過を行った実施例1〜6のインクでは、インク全量に対して5分未満の濾過時間と良好な濾過性を示し、濾過フィルターの耐薬品性も良好で、濾過後のインクジェットインクの吐出性は、初期吐出性、及び長期連続吐出性の両方において良好であり、吐出安定性に優れていた。
また、同じ製造例R1のインクを用い、濾過精度を0.1μmと規定範囲外の小さな濾過精度の疎水ポリテトラフルオロエチレン製濾過フィルターを用いた比較例2は、インク全量に対して10分以上の濾過時間がかかり、インクの製造時にインクの損失や濾過時間の損失が大きくなり、製造上問題があることが明らかになった。
また、同じ製造例R1のインクを用い、濾過圧力を0.005MPaと規定範囲外の小さな濾過圧力とした比較例3は、安定な濾過圧力が確保できず、かつインク全量に対して10分以上の濾過時間がかかり、インクの製造時にインクの損失や濾過時間の損失が大きくなり、製造上問題があることが明らかになった。
(1)緑色顔料分散液の調製
C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150の4つの顔料に対してそれぞれ顔料分散液を調製した。各顔料15重量部に対し、顔料分散剤(アジスパーPb821、商品名、味の素ファインテクノ(株)製)9重量部、及びBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)76重量部を混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、緑色インクジェットインク用顔料分散液を調製した。
バインダー組成物は、実施例R1の赤色インクジェットインクで用いたバインダー組成物と同様のものを用いた。
(3)インクジェットインクの調製
表4に示す組成となるように、上記調製した各緑色顔料分散液、バインダー組成物、及び溶剤を充分に混合し、製造例G1のカラーフィルター用緑色インクジェットインクを得た。
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
製造例G1のカラーフィルター用緑色インクジェットインクを用いて、表5に示す各濾過フィルターと各濾過圧力により濾過を行った。各評価方法や評価基準は実施例1と同様に行った。
また、用いた濾過フィルターの各インクジェットインクに対する耐性、各インクジェットインクのインクジェット吐出性についても実施例1と同様に評価した。これらの評価結果を併せて表5に示す。
PP:ポリプロピレン
PTFE:疎水ポリテトラフルオロエチレン
なお、表5に示す濾過フィルターは、以下のものを用いた。
・材質ポリプロピレン、濾過精度1.2μm:品番HDCIIAB1J0127H、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度2.5μm:品番HDCIIAB1J0257H、日本ポール(株)
・材質疎水ポリテトラフルオロエチレン、濾過精度1.0μm:品番エンフロンAB1FN7ESH11、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度4.5μm:品番HDCIIAB1J0457H、日本ポール(株)
一方、濾過精度を4.5μmと規定範囲外の大きな濾過精度のポリプロピレン製濾過フィルターを用いた比較例5は、濾過時間が2分未満と濾過性は良好であったが、当該濾過後のインクジェットインクの吐出性は、初期にヘッドの5%以上50%未満の孔に詰まりが見られ、更に、1万発未満で飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生し吐出安定性が悪いものであった。
(1)青色顔料分散液の調製
C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23の2つの顔料に対してそれぞれ顔料分散液を調製した。各顔料15重量部に対し、顔料分散剤(アジスパーPb821、商品名、味の素ファインテクノ(株)製)9重量部、及びBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)76重量部を混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、青色インクジェットインク用顔料分散液を調製した。
バインダー組成物は、実施例R1の赤色インクジェットインクで用いたバインダー組成物と同様のものを用いた。
(3)インクジェットインクの調製
表6に示す組成となるように、上記調製した各青色顔料分散液、バインダー組成物、及び溶剤を充分に混合し、製造例B1のカラーフィルター用青色インクジェットインクを得た。
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
製造例B1のカラーフィルター用青色インクジェットインクを用いて、表7に示す各濾過フィルターと各濾過圧力により濾過を行った。各評価方法や評価基準は実施例1と同様に行った。
また、用いた濾過フィルターの各インクジェットインクに対する耐性、各インクジェットインクのインクジェット吐出性についても実施例1と同様に評価した。これらの評価結果を併せて表7に示す。
PP:ポリプロピレン
PTFE:疎水ポリテトラフルオロエチレン
なお、表7に示す濾過フィルターは、以下のものを用いた。
・材質ポリプロピレン、濾過精度1.2μm:品番HDCIIAB1J0127H、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度2.5μm:品番HDCIIAB1J0257H、日本ポール(株)
・材質疎水ポリテトラフルオロエチレン、濾過精度1.0μm:品番エンフロンAB1FN7ESH11、日本ポール(株)
・材質ポリプロピレン、濾過精度4.5μm:品番HDCIIAB1J0457H、日本ポール(株)
一方、濾過精度を4.5μmと規定範囲外の大きな濾過精度のポリプロピレン製濾過フィルターを用いた比較例6は、濾過時間が2分未満と濾過性は良好であったが、当該濾過後のインクジェットインクの吐出性は、初期にヘッドの5%以上50%未満の孔に詰まりが見られ、更に、1万発未満で飛翔曲がり、吐出不可能となる孔が発生し吐出安定性が悪いものであった。
22 遮光部
23 カラーフィルター用基板
24(24R、24G、24B) 着色層形成領域
25 インクジェットヘッド
26(26R、26G、26B) インキ層
33 オリフィス
34 インク滴
100、101、102 カラーフィルター
Claims (6)
- 少なくとも顔料を、顔料分散剤と共に、主溶剤としてエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種以上の溶剤成分を含有する分散体調製溶剤に混合して顔料分散体を調製する工程と、得られた前記顔料分散体、少なくともバインダー成分、及び新たに用意した前記主溶剤を含有する溶剤を混合することにより、溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合を60重量%以上に調節して予備調製インクを調製する工程と、前記予備調製インクを、濾過精度が0.6〜2.5μmのポリプロピレン製濾過フィルターを、0.05〜0.5MPaの濾過圧力で通過させるか、又は濾過精度が0.45〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン製濾過フィルターを、0.1〜0.5MPaの濾過圧力で通過させる濾過工程とを有し、前記顔料分散剤として、下記一般式(I)で表されるポリアリルアミン誘導体を含有し、前記バインダー成分として、少なくとも下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有するポリスチレン換算の重量平均分子量が3,000〜20,000のエポキシ基含有重合体、及びポリスチレン換算の重量平均分子量が4,000以下で且つ前記重合体よりも重量平均分子量が小さい一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ基含有化合物を含むことを特徴とする、カラーフィルター用インクジェットインクの製造方法。
- 基板上の所定領域に前記請求項1に記載のカラーフィルター用インクジェットインクの製造方法により得られたカラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させて着色層を形成する着色層形成工程を含むことを特徴とする、カラーフィルターの製造方法。
- 前記基板が基材と当該基材上に形成された遮光部とを有するものであり、前記基板の遮光部が撥液性材料を含有していることを特徴とする、請求項2に記載のカラーフィルターの製造方法。
- 前記基板が基材と当該基材上に形成された遮光部とを有するものであり、前記着色層形成工程の前に、前記基板の遮光部を撥液化する撥液化工程を更に含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載のカラーフィルターの製造方法。
- 前記着色層形成工程の前に、前記基板表面の所定領域の表面を親液化する親液化工程を更に含むことを特徴とする、請求項2乃至4のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法。
- 前記請求項2乃至5のいずれかに記載のカラーフィルターの製造方法を用いてカラーフィルターを製造する工程と、当該製造されたカラーフィルターと液晶駆動側基板を対向させて組み立てる工程を有する、液晶表示装置の製造方法。
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