JP4331467B2 - 耐熱性を有する生分解性軽量パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は看板、掲示板等に使用可能なパネルに関するものであり、さらに詳しくは、耐熱性や形態安定性に優れ、軽量で装飾性や機能性を併せ持った生分解可能なパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の発泡体からなる発泡パネルは、軽量で安価なため、土木、建築及び装飾等の様々な分野で多用されてきた。しかしながら、これらのパネルは焼却すると紙ゴミ等よりも燃焼熱量が高く、焼却炉を傷めてしまう恐れがあり、埋め立て処理すると自然環境下での分解速度がきわめて遅いため半永久的に地中に残存し、地球環境を破壊するという問題があった。
【0003】
そこで、近年生分解性樹脂を利用した発泡パネルが注目されている。生分解性樹脂は、焼却しても通常のプラスチックより燃焼熱量が低く、埋め立て処理しても自然環境下において炭酸ガスと水とに分解されるため、環境に優しい樹脂である。
【0004】
生分解性樹脂を用いた発泡パネルとしては、特許文献1に、発泡可能な生分解性材料であるポリ乳酸ポリマーから作られたフォームコアーシート及びフォームコアーシートの少なくとも片側に接着された表面仕上げシートを含む堆肥化可能な生分解性フォームコアーボードが開示されている。しかしながら、ポリ乳酸ポリマーは、他の生分解性樹脂に比較すると融点(以降Tmと記す)は高いものの、結晶化度が低いため耐熱性に劣り、保管、輸送・運搬時に形態変化が生じるという問題があった。
【0005】
また、ポリ乳酸以外の生分解性樹脂を用いた発泡パネルは、ガラス転移温度及び融点が低く、耐熱性が劣り、保管、輸送・運搬時に経時的変化が進んで実用に適さないという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特表平8−510501号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、生分解性樹脂組成物からなり、軽量で、特に耐熱性及び形態安定性に優れ、装飾性や機能性を併せ持ったパネルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、生分解性樹脂組成物の発泡体からなり、発泡体の結晶化度を18%以上にすることにより、保管、輸送・運搬時の耐熱性及び形態安定性に優れたパネルを実現できることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明の要旨は,次のとおりである。
(1)生分解性樹脂組成物の発泡体からなる芯材を有するパネルであって、生分解性樹脂組成物が、ポリ乳酸と、架橋剤としての(メタ)アクリル酸エステル化合物と、ラジカル重合開始剤としての有機過酸化物とを溶融混練してなる樹脂組成物であり、この発泡体の結晶化度が18%以上であることを特徴とする生分解性軽量パネル。
(2)芯材が、生分解性樹脂組成物の発泡体の2層以上の積層物であることを特徴とする前記(1)に記載の生分解性軽量パネル。
(3)生分解性樹脂組成物の発泡体の発泡倍率が1.5〜200倍であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の生分解性軽量パネル。
(4)さらに表面層および/または裏面層を有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の生分解性軽量パネル。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の生分解性軽量パネルの一実施態様を示す概略断面図である。複数枚の生分解性樹脂組成物の発泡シート3’からなる芯材3の片方の面に接着層2を介して紙等からなる表面層1を、さらに、他方の面に粘着層4を介して離型紙5が貼りつけられた構成を有している。
【0010】
本発明のパネルにおける生分解性樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル樹脂成分を主成分とすることが好ましく、具体的にはこの成分を70質量%以上含有することが好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。他の成分としては、脂肪族ポリエステルのブロック及び/またはランダム共重合体、及び脂肪族ポリエステルに他の成分、例えば芳香族ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオルガノシロキサン等を30質量%未満(ブロックまたはランダム)共重合したもの及び/またはそれらの混合したものが含まれていてもよい。
【0011】
脂肪族ポリエステルとしては、(1)グリコール酸、乳酸、ヒドロキシブチルカルボン酸などのヒドロキシアルキルカルボン酸、(2)グリコリド、ラクチド、ブチロラクトン、カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン、(3)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどの脂肪族ジオール、(4)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレン/プロピレングリコール、ジヒドロキシエチルブタンなどのようなポリアルキレンエーテルのオリゴマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレンエーテルなどのポリアルキレングリコール、(5)ポリプロピレンカーボネート、ポリブチレンカーボネート、ポリヘキサンカーボネート、ポリオクタンカーボネート、ポリデカンカーボネート等のポリアルキレンカーボネートグリコール及びそれらのオリゴマー、(6)コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0012】
これらの脂肪族ポリエステルの中でも、前記(1)に示したヒドロキシアルキルカルボン酸由来の脂肪族ポリエステルは、融点が高く、耐熱性の観点から好適であり、さらにこの中でもポリ乳酸は、融点が高く、本発明のパネルに用いるポリマーとしては最適である。ポリ乳酸は、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸、ポリD、L乳酸またはこれらの混合物を用いることができる。これらのポリ乳酸の中で、光学活性のあるL−乳酸、D−乳酸の単位が90モル%以上であると融点がより高く、耐熱性の観点からより好適に用いることができる。また、この乳酸系重合体の性能を損なわない程度に、ヒドロキシカルボン酸類、ラクトン類等のコモノマーとの共重合体を用いてもよい。共重合可能なヒドロキシカルボン酸類、ラクトン類としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ絡酸、4−ヒドロキシ絡酸、4−ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、グリコリド、β―プロピオラクトン、β―ブチロラクトン、ε―カプロラクトン等が挙げられる。また、前記(3)、(4)、(6)に示した中からジオールとジカルボン酸の組み合わせから得られる脂肪族ポリエステルや(5)のカーボネートを共重合してもよい。
【0013】
本発明のパネルにおける生分解性樹脂組成物は、前記生分解性樹脂に架橋剤及び/またはラジカル重合開始剤が配合されていることが好ましい。これらを配合することにより、生分解性樹脂の架橋度を高め、分岐度合いを調整することができ、発泡成形等の成形性に優れたものとなる。
【0014】
架橋剤としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物(3価メタクリレート化合物、多価(メタ)アクリレートを含む)、ジイソシアネート、多価イソシアネート、プロピオン酸カルシウム、多価カルボン酸、多価無水カルボン酸、多価アルコール、多価エポキシ化合物、金属アルコキシド、シランカップリング剤等が挙げられる。反応の安定性、生産性、操業時の安全性等を考慮すると、(メタ)アクリル酸エステル化合物が最も好ましい。架橋剤の配合量は、生分解性樹脂100質量部に対して0.005〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましい。0.005質量部未満では架橋度が不十分であり、5質量部を超える場合には架橋の度合いが強すぎて、操業性に支障が出ることがある。
【0015】
ラジカル重合開始剤としては、分散性が良好な有機過酸化物が好ましく、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。ラジカル重合開始剤の配合量は生分解性樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましい。0.01質量部未満では架橋度が不十分であり、10質量部を超える場合には反応性が飽和するため、コスト面で好ましくない。
【0016】
本発明の生分解性樹脂組成物にはその特性を大きく損なわない限りにおいて、さらに顔料、香料、染料、艶消し剤、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、難燃剤、抗菌剤、界面活性剤、表面改質剤、帯電防止剤、充填材等を添加してもよい。熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物を使用することができる。無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。
【0017】
なお、本発明の生分解性樹脂組成物に架橋剤、ラジカル重合開始剤、添加剤や他の熱可塑性樹脂を混合する方法は特に限定されるものではなく、通常の加熱溶融後、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等を用いる混練法によって混練するとよい。また、スタティックミキサーやダイナミックミキサーを併用することも効果的である。また、生分解性樹脂の重合時に添加してもよい。
【0018】
本発明に係るパネル芯材の結晶化度は18%以上とする必要がある。好ましくは19%以上、さらに好ましくは20%以上である。結晶化を促進させることで、形態の安定性を促すことができる。結晶化度が18%に満たない場合には、耐熱性や寸法安定性が不十分となり、保管、輸送・運搬時に変形してしまう。また、最大の結晶化度は、適用する生分解性樹脂組成物の状態あるいは形態により異なるが、せいぜい40%程度である。
【0019】
本発明のパネルに用いる生分解性樹脂組成物は、通常の分析で用いられるDSC装置を用い、いったん200℃で溶融した後、130℃にて等温結晶化させた時の結晶化速度指数が50(分)以下であることが好ましい。結晶化速度指数は、樹脂を200℃の溶融状態から130℃にて結晶化させたときに最終的に到達する結晶化度の2分の1に到達するまでの時間(分)(図2参照)で示され、指数が小さいほど結晶化速度が速いことを意味する。結晶化速度指数が50(分)よりも高いと、結晶化するのに時間がかかりすぎ、希望する結晶化度のパネル芯材が得られなかったり、生産性が悪化したりする。結晶化速度指数は0.1(分)程度までが好ましい。
【0020】
パネル芯材の結晶化度を18%以上とするためには、パネル芯材製造時、パネル芯材積層時あるいはパネル製造時の温度条件、例えばダイ先端温度、積層温度、表裏面層接着温度等を前記生分解性樹脂組成物のガラス転移温度(以降Tgと記す)+20℃以上、融点(以降Tmと記す)−20℃以下で所定時間保った後で、Tg以下に冷却することにより実現できる。パネル芯材の結晶化をより促進させるためには、結晶化温度(以降Tcと記す)−20℃〜Tc+20℃の温度範囲を適用することがより好ましい。また、積層・接着前の生分解性樹脂組成物の発泡体を生分解性樹脂組成物の(Tg+20℃)以上、(Tm−20℃)以下、より好ましくは(Tc−20℃)〜(Tc+20℃)で予め所定時間熱処理する、あるいは表裏面層接着後のパネルを生分解性樹脂組成物の(Tg+20℃)以上、(Tm−20℃)以下、より好ましくは(Tc−20℃)〜(Tc+20℃)で所定時間熱セットすることでも実現できる。
(Tg+20℃)未満では、得られる芯材の結晶化度を十分に高めることができず、耐熱性が不十分となり、積層・接着等が困難になる場合がある。一方、(Tm−20℃)を超えると、発泡倍率が低下したり、積層・接着時に表面の平滑性が低下したりする場合がある。
(Tg+20℃)以上、(Tm−20℃)以下の温度で保持する時間は、使用する生分解性樹脂組成物の結晶化速度指数に依存するため、一概に規定できないが、使用する生分解性樹脂組成物の結晶化速度指数よりも長くすることが好ましい。結晶化速度指数よりも短い場合、結晶化度を十分に高めることができない。
【0021】
本発明のパネルの芯材とする発泡体は、軽量性及び機能性の観点から発泡倍率を1.5倍〜200倍にすることが好ましく、さらに好ましくは、3〜50倍であり、特に好ましくは5〜20倍である。芯材の発泡倍率が1.5倍未満であると軽量化が損なわれ、持ち運び等の操作性が困難になる恐れがある。また、押しピン等が刺さらなかったり、釘を打った際にパネルにヒビが入ったりする恐れもある。一方、200倍を超える場合は、機械強度が不足する恐れがある。
【0022】
気泡の形態は、特に限定されるものではないが、雨水等の水分の浸透による分解・劣化を防ぐために、独立気泡であることが好ましい。また、気泡径としては、0.001〜5mm、さらに0.01〜5mmであることがより好ましい。0.001mm未満では、パネルの軽量性が劣ることになり、5mmを超えるとパネルの機械強度が不足したり、パネルの品位が損なわれたりする場合がある。
【0023】
発泡剤の種類は、特に限定されず、例えば、炭酸ガス、窒素、空気等の無機不活性ガス系発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、4,4‘−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド等の化学熱分解型発泡剤や、プロパン、ブタン、ヘキサン、代替フロン等の蒸発型発泡剤等が挙げられる。安全でかつ環境負荷の少ない無機不活性ガス系発泡剤が好ましく、特に炭酸ガスが好ましい。
【0024】
また、発泡剤とともに、発泡核剤や発泡助剤を添加するのが好ましい。発泡核剤は発泡核を形成し、その核から発泡が成長するための調整に用いられ、また発泡助剤は発泡を均一に分散するために有効である。
【0025】
発泡核剤としては、通常、タルク、シリカ微粉末、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。また、発泡助剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等が挙げられる。
【0026】
本発明のパネルにおいては、生分解性樹脂組成物の発泡体からなる芯材の上に、さらに表面層を設けることができる。表面層としては、例えば、上記生分解性樹脂組成物のフィルム、スパンボンド及びシートや、紙、パルプ、セルロース、麻等の天然素材からなるシート等が挙げられる。意匠性を付与するために、これらの表面層に着色したり、文字や模様を印刷したりしてもよい。これらの層の厚みとしては5μm以上、さらに150〜500μmがより好ましい。
また、これらの表面層を芯材に接着する目的で、表面層の芯材側に接着層を設けることが好ましい。接着層としては、例えば、ポリオレフィン系、エチレン−酢酸ビニル系、酢酸ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、シアノアクリレート系、エポキシ系、合成ゴム系等のホットメルトあるいはエマルジョン接着剤又は接着フィルムが挙げられる。また、接着剤をあらかじめ芯材に塗布又はコーティングしておいてもよい。
【0027】
本発明のパネルにおいては、生分解性樹脂組成物の発泡体からなる芯材の上に裏面層として、粘着層を設けることができる。粘着層としては、ゴム系、アクリル系、シリコーン系等の溶剤型粘着剤や、アクリルエマルジョン系、水溶性の水溶型粘着剤や、ジエン系、ポリエチレン系、アクリル系等のホットメルト型粘着剤が挙げられる。これらの粘着層は、芯材に直接塗布又はコーティングしたり、粘着層を有するフィルムあるいはシート等を芯材に接着することにより設けることができる。また、こうした粘着層を設けた場合には、表面に露出している粘着層を離型紙等で覆っておくことが好ましい。これにより、持ち運び等の操作性が向上し、必要に応じて離型紙を剥がせば、いつでも貼り付けることができる。
【0028】
前述の表面層と裏面層は、いずれか一方だけ設けてもよいし、両方設けてもよい。使用目的や意匠性に応じて適宜設計することができる。
【0029】
本発明のパネルは、張り紙・ポスター等の掲示板や看板等に利用できる。さらに、インテリア・エクステリア向けの間仕切り板等の建築部材としても利用できる。
【0030】
本発明におけるパネルの厚さは1mm以上、さらに5〜20mmがより好ましい。厚さが20mmを超えるとパネルがかさばったり、重くなったりするため、操作性が困難になる恐れがある。
【0031】
本発明のパネルの製造方法としては、まず、通常の押出し成形あるいは射出成形により生分解性樹脂組成物からなる発泡シートを作製し、この発泡シート(1枚もしくは複数枚)をダブルベルトプレス機あるいは多段プレス機に挿入し、結晶化を促進する温度で所定時間熱融着することにより得られる。このとき、工程の簡略化の目的で、発泡シートのプレス時に表面層、裏面層を同時に積層することもできる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0033】
実施例及び比較例の評価に用いた測定法は次のとおりである。
(1)ガラス転移温度、融点(℃):パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、生分解性樹脂組成物を昇温速度20℃/分で測定した融解吸収曲線の初期極値と最大値を与える温度をガラス転移温度(以降Tgと記す)と融点(以降Tmと記す)とした。
(2)結晶化温度(℃):パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、生分解性樹脂組成物を昇温速度20℃/分で200℃まで昇温した後、降温速度20℃/分で−50℃まで降温した際の融解吸収曲線の初期極値を与える温度を結晶化温度(以降Tcと記す)とした。
(3)分子量測定:示差屈折率検知器を備えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(島津製作所製)を用い、テトラヒドロフランを溶出液として40℃で分析を行い、標準ポリスチレン換算で分子量を求めた。
(4)MFI:JIS K7210のD法に基づき測定した。但し、荷重が2.16kg(標準条件)のときをMFI−1とし、荷重が13.225kgのときをMFI−2とした。
(5)見掛け密度(g/cm3):得られた発泡体を水中に浸漬した際に増加する体積を発泡体の質量で除して見掛け密度を算出した。
(6)発泡倍率(倍):発泡体を構成する樹脂の真密度を前記発泡体の見掛け密度で除して算出した。
(7)表面状態:パネルの表面状態を目視にて観察し、下記の3段階にて評価した。
◎:凹み、膨らみ、うねり等の問題がなく、平滑性に優れ、良好な表面状態を有している。
○:若干の凹み、膨らみ、うねり等の問題があるものの、使用上の問題点はない。
×:表面に凹み、膨らみ、うねり等の問題が見られる。
(8)結晶化度:RAD−rBX線回折装置(理学電機工業社製)を用い、WAXD反射粉末法(X線:CuーKα線/50kV/200mA、スキャンスピード:4°/min.)により測定した。具体的には、密度法測定により結晶化度が明確な試料(結晶化度:0.1〜1%)のX線強度を測定し、その値を用いて補正した結晶化度0%完全非晶試料のX線強度をブランク(基準値)とした。また、結晶化度が明確な試料と同重量のパネル芯材試料を採取し、そのX線強度も測定し、この時、ブランクX線強度とパネル芯材試料のX線強度との比較をルーランド法により算出して、パネル芯材の結晶化度を求めた。
(9)耐熱性・形態安定性(%):パネルを70℃の熱風乾燥機(タバイエスペック社製)に1時間投入した後のパネル体積V1と、投入前のパネル体積V0から、次式に基づいて算出した。
耐熱性・形態安定性(%)=V1/V0×100
(10)生分解性評価:パネル試料片(縦10cm×横5cm×厚み2cm)を採取し、家庭用生ゴミよりなる発酵コンポストにて、ISO14855に準じてコンポスト処理を行った。試料片を、温度58℃で45日処理したのち、コンポスト中より掘り出して、目視観察および分子量測定を行って、生分解性を判定した。
×:全く変化なし。
△:形態を保持しているが、分子量低下が見られる。
○:部分的又は半分程度崩壊し、分子量低下が著しい。
◎:殆ど崩壊した。
【0034】
実施例1〜5、比較例1〜2
ガラス転移温度60℃、融点168℃、重量平均分子量9万であるポリL−乳酸樹脂(カーギル・ダウ社製)を用い、これに平均粒径2.5μmのタルクを1.0質量%ドライブレンドしたのち、温度200℃の二軸混練機(池貝製PCM−45)に供給した。
一方、エチレングリコールジメタクリレート(以下EGDMと記す)とジブチルパーオキサイド(混合溶液質量比率1:2)を用い、樹脂成分100質量部に対し、それぞれ0.18質量%、0.36質量%になるよう二軸混練機の途中より注入混練して、発泡用樹脂組成物のペレットを採取した。このペレットの乾燥後のMFI−1は1.0g/10分、MFI−2/MFI−1比は26であり、Tc:110℃、結晶化速度指数:0.5分であった。
その後、二軸混練押し出し発泡体製造装置(東芝機械製TEM−48BS)にペレットを供給し、温度200℃で溶融し、吐出量100kg/h下で炭酸ガスを2質量%添加して発泡体シートを作製した。得られた発泡体シートは、独立気泡からなる見掛け密度0.13g/cm3、発泡倍率9倍で厚みが2mmの均一なシートであった。このシートを5枚積層し、ダブルベルトプレス機に挿入し、成形条件である融着温度と融着時間とを表1のごとく変更して熱接着することにより、厚み10mmのパネル芯材を作製した。さらに、得られたパネル芯材の表面に接着層を有する上質紙と、裏面に粘着層を有する離型紙とを積層し、押し付け圧0.2MPaの回転ローラー間に挿入しパネルを作製した。
その結果を表1に示す。
【0035】
実施例6
ガラス転移温度60℃、融点168℃、重量平均分子量15万であるポリL−乳酸樹脂(カーギル・ダウ社製)を用いた以外は実施例1〜5及び比較例1〜3と同じ方法でパネルを作製した。乾燥後の発泡用樹脂組成物のMFI−1は0.8g/10分、MFI−2/MFI−1比は20であり、Tc:110℃、結晶化速度指数:0.5分であった。また、得られた発泡体シートは、独立気泡からなる見掛け密度0.23g/cm3、発泡倍率5倍で厚みが2mmの均一なシートであった。
その結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例1〜5において、表1にある融着温度と融着時間の下で得られたパネルは、表面状態も良好で、結晶化度が高いため、優れた耐熱性・形態安定性があり、生分解性についても極めて良好なものであった。
実施例6において得られたパネルは、表面状態も良好で、結晶化度が高いため、優れた耐熱性・形態安定性があり、生分解性についても極めて良好なものであった。
比較例1は、融着温度が低いためパネル芯材の結晶化度が低く、耐熱性・形態安定性が著しく劣るものであった。
比較例2は、融着時間が短いためパネル芯材の結晶化度が低く、耐熱性・形態安定性が著しく劣るものであった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、自然環境下で炭酸ガスと水とに分解するパネルであり、さらに、高温下での保管や運搬時の耐熱性・形態安定性に優れた軽量パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の生分解性軽量パネルの一実施態様を示す概略断面図である。
【図2】 本発明の生分解性軽量パネルの結晶化速度指数を示す図である。
【符号の説明】
1:表面層
2:接着層
3:芯材
3’:発泡シート
4:粘着層
5:離型層
Claims (4)
- 生分解性樹脂組成物の発泡体からなる芯材を有するパネルであって、生分解性樹脂組成物が、ポリ乳酸と、架橋剤としての(メタ)アクリル酸エステル化合物と、ラジカル重合開始剤としての有機過酸化物とを溶融混練してなる樹脂組成物であり、この発泡体の結晶化度が18%以上であることを特徴とする生分解性軽量パネル。
- 芯材が、生分解性樹脂組成物の発泡体の2層以上の積層物であることを特徴とする請求項1に記載の生分解性軽量パネル。
- 生分解性樹脂組成物の発泡体の発泡倍率が1.5〜200倍であることを特徴とする請求項1または2に記載の生分解性軽量パネル。
- さらに表面層および/または裏面層を有する請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性軽量パネル。
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