JP4317976B2 - 修飾されたプロテアーゼ切断部位を有するx因子類似体 - Google Patents

修飾されたプロテアーゼ切断部位を有するx因子類似体 Download PDF

Info

Publication number
JP4317976B2
JP4317976B2 JP53706298A JP53706298A JP4317976B2 JP 4317976 B2 JP4317976 B2 JP 4317976B2 JP 53706298 A JP53706298 A JP 53706298A JP 53706298 A JP53706298 A JP 53706298A JP 4317976 B2 JP4317976 B2 JP 4317976B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
factor
analog
amino acid
protease
analogue
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP53706298A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001513631A (ja
Inventor
イメルスパシュ,ミシェル
シュロカト,ウヴェ
ドルナー,フリードリッヒ
フィッシュ,アンドレアス
アイブル,ヨハン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Baxalta Innovations GmbH
Original Assignee
Baxter Innovations GmbH
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Baxter Innovations GmbH filed Critical Baxter Innovations GmbH
Publication of JP2001513631A publication Critical patent/JP2001513631A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4317976B2 publication Critical patent/JP4317976B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/48Hydrolases (3) acting on peptide bonds (3.4)
    • C12N9/50Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25)
    • C12N9/64Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue
    • C12N9/6421Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue from mammals
    • C12N9/6424Serine endopeptidases (3.4.21)
    • C12N9/6432Coagulation factor Xa (3.4.21.6)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • A61P7/04Antihaemorrhagics; Procoagulants; Haemostatic agents; Antifibrinolytic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12YENZYMES
    • C12Y304/00Hydrolases acting on peptide bonds, i.e. peptidases (3.4)
    • C12Y304/21Serine endopeptidases (3.4.21)
    • C12Y304/21006Coagulation factor Xa (3.4.21.6)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は活性化ペプチドの一定領域に修飾を有するX因子類似体、本発明のX因子類似体を含有する製品および単鎖型および二鎖型であるX因子類似体の製法に関する。
血液凝固過程が開始されると、血液中で血液凝固経路は種々のプロエンザイム(チモーゲン)の活性型、すなわちセリンプロテアーゼ群への順序立った活性化を経て進行する。この中には、就中、XII因子/XIIa因子、XI因子/XIa因子、IX因子/IXa因子、X因子/Xa因子、VII因子/VIIa因子、およびプロトロンビン/トロンビンがある。生理学的条件下では、これらの酵素の殆どは複合体として膜表面と会合する時にのみ活性になる。Caイオンはこれらの過程の多くに関与している。血液凝固は蛋白質成分全てが血液中に存在する内因性経路によるか、または細胞膜の組織因子が重要な役割を演じる外因性経路によることとなる。最後に、外傷はフィブリノーゲンをフィブリンに切断するトロンビンによって閉鎖されることになる。
プロトロンビナーゼ複合体はプロトロンビンをトロンビンに活性化する原因である。トロンビンは凝固促進剤として、ならびに抗凝固剤として作用できる重要な酵素である。プロトロンビナーゼ複合体、就中、Va因子(コファクターとして)およびXa因子(セリンプロテアーゼとして)が関与するものは、ホスホリピド表面でのCa依存性会合に関与する。Xa因子はプロトロンビナーゼ複合体の触媒的成分であると議論されている。
X因子(Stuart−Prower因子)はビタミンK依存性凝固糖蛋白質の1種であって、これによって内因性および外因性の血液凝固経路が活性化されることができる。X因子の一次翻訳生成物(プレプロFX)は488個のアミノ酸を持ち、最初に肝臓またはヒトのヘパトーマ細胞によって75kDの単鎖型前駆体蛋白質として合成される。血中では、X因子は殆どが二鎖型の分子として存在する(Fair、ほか著、1984年、Blood誌、64巻:194〜204頁)。
生合成の過程で、シグナルペプチダーゼによるプレ配列の切断(Ser23/Leu24の間)、およびプロペプチドの切断(Arg40/Ala41の間)の後、単鎖型X因子の分子をプロセッシングおよびトリペプチドArg180−Lys181−Arg182の除去、によって切断すると、約22kDの軽鎖と約50kDの重鎖とから構成され、ジスルフィド橋を経て結合する二鎖型となる(図1)。それ故、X因子は血中では二鎖型の分子として循環している。
血液凝固過程では、X因子は特定のプロテイン分解によって不活性チモーゲンから活性型プロテアーゼXa因子へと変換される。ここではX因子は膜会合性の複合体2種:外因性のVIIa因子−組織因子複合体または内因性のVIIIa因子−IXa因子−ホスホリピド−Ca−複合体、または「テナーゼ複合体」のいずれかにおいてXa因子にまで活性化されることができる(Mertens、ほか著、1980年、Biochem.J.、185巻:647〜658頁)。アミノ酸Arg234/Ile235の間でのプロテイン分解的切断は重鎖のN−末端からアミノ酸52個の長さの活性化ペプチドを放出し、こうして活性酵素Xa因子を形成する。Xa因子の触媒中心は重鎖に存在する。
VIIa因子−TF(外因性)複合体による活性化はXaα因子(35kD)およびXaβ因子(31kD)の形成をもたらすが、複合体中のVIIa因子の濃度が低いと42(kD)ポリペプチドも形成する。Xaα因子は重鎖のArg234/Ile235での切断によって形成され、X因子からXa因子への活性化が現れる。Xaβ因子の存在は、おそらくXaα因子の重鎖C末端にあるArg469/Gly470での自己触媒的切断および4.5kDペプチドの除去、の結果である。Xaα因子と同様に、Xaβ因子は触媒活性を示す。しかしながら、プラスミノーゲン結合部位がXaα因子からXaβ因子への切断によって形成されることおよびXaβ因子がフィブリン分解活性を有するかまたはフィブリン分解に補助因子として関与することが証明されている。しかしながら、Xaα因子からXaβ因子への変換はトロンビンの形成よりも遅いので、凝血が形成される以前のフィブリン分解の開始が防止される(Pryzdial、ほか著、1996年、J.Biol.Chem.、271巻:16614〜16620頁;Pryzdial、ほか著、1996年、J.Biol.Chem.、271巻:16621〜16626頁)。
42kDのポリペプチドはArg234/Ile235間での予備的プロセッシングなしに行われる重鎖C末端のArg469/Gly470間でのプロセッシングに由来する。Lys370での蛋白質分解で形成されるXaγ因子断片と同様に、この中間体は触媒活性を示さない(Mertens、ほか著、1980年、Biochem.J.、185巻:647〜658頁;Pryzdial、ほか著、1996年、J.Biol.Chem.、271巻:16614〜16620頁)。
内因性のX因子活性化はIXa因子−VIIIa因子複合体によって触媒される。これら同じプロセッシング生成物は活性化の間に得られるが、Xaβ因子生成物は他のX因子プロセッシング生成物と比べて多量に得られる(Jesty、ほか著、1974年、J.Biol.Chem.、249巻:5614頁)。
試験管内ではX因子は、例えば、ラッセルのクサリヘビ蛇毒(RVV)またはトリプシンによって(Bajaj、ほか著、1973年、J.Biol.Chem.、248巻:7729〜7741頁)、またはたとえばFVIIa−TF複合体またはIXa因子−VIIIa因子複合体(Mertens、ほか著、1980年、Biochem.J.、185巻:647〜658頁)のような精製された生理学的活性化剤によって、活性化できる。
商業的に購入できるX因子製品は血漿から製造され、その殆どがXaα因子とXaβ因子との混合物を含有する。なぜなら、X因子をXa因子まで活性化すると主としてXaα因子が形成され、これが次に自己触媒工程によってXaβ因子にまで切断されるからである。構造的に高度な完全さを有する単一なXa因子生成物を製造するためには、欧州特許第0651054号はX因子を長時間にわたってRVVで活性化して、得られる最終生成物が実質的にXaβ因子を含むようにすること、を示唆する。続いて、例えばXaα因子ならびにプロテアーゼなどの副生成物を数工程のクロマトグラフィーで除去する。
X因子のcDNAは分離され、特性解析されている(Leytus、ほか著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82巻:3699〜3702頁;Fung、ほか著、1985年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82巻:3591〜3595頁)。ヒトのX因子は、たとえばヒトの胚腎臓細胞またはCHO細胞のように種々の細胞型において試験管内で発現される(Rudolph、ほか著、1997年、Prot.Exp.Purif.、10巻:373〜378頁;Wolf、ほか著、1991年、J.Biol.Chem.、266頁:13726〜13730頁)。しかしながら、生体内での状況とは対照的にヒトX因子の組換え発現ではArg40/Ala41位でのプロセッシングは効果がないことおよびX因子の軽鎖に様々なN末端ができることが見出されている(Wolf、ほか著、1991年、J.Biol.Chem.、266頁:13726〜13730頁)。試験管内では組換えX因子(rFX)はRVVによってrXa因子(rFXa)まで活性化され、またアミノ酸183からアミノ酸234までが除去され、トリペプチドと置換された活性化ペプチドで、二重鎖rFXa型への直接プロセッシング可能になってrFXaは直接に発現される。精製rFXの約70%がプロセッシングされて軽鎖と重鎖になるが、一方では残りの30%は75kDの単鎖型rFXを表す。rFXaの直接的発現は活性なXa因子の形成を起こが、不活性中間体も形成する。Wolf、ほかは(1991年、J.Biol.Chem.、266頁:13726〜13730頁)活性がさらに低下した組換えX因子を検出し、これを彼等はRVVによって活性化されるべきrFXの活性が弱いこと、および不活性な蛋白質および単鎖型の前駆体分子のポリペプチド数量とを原因とした。殊に、彼等は組換え細胞で発現した時のrFXaの高度な不安定性を見出し、彼等はこれを自己蛋白質分解が高速な原因であるとした。
Xaα因子のC末端ペプチドの機能を研究するために、Eby、ほか(1992年、Blood、80巻(補1):1214A頁)はX因子配列のGly430に停止コドンを導入した。しかしながら、β−ペプチドによるXa因子(FXaα)の活性化とβ−ペプチドを持たない欠損突然変異体の活性化速度との間に相違を見出せなかった。
Xa因子はプロトロンビナーゼ複合体の重要な成分であって、それ故、たとえば血友病のような血液凝固疾患に罹患した患者を処置するために使用できよう。
特に、VIII因子またはIX因子が欠乏している血友病患者を血漿から製造した因子濃縮物で処置すると長期にわたる療法の間にこれらの因子に対する阻止抗体を形成するようになって悪化することが多い。それ故、血友病を処置するためにバイパス活性を有する因子を有する代替品が多数開発されてきた。プロトロンビン複合体濃縮物、部分的に活性化されたプロトロンビナーゼ複合体(APPC)、VIIa因子またはFEIBAの使用が示唆されている。VIII因子のバイパス活性を有する商業製品(FEIBA)は、例えばFEIBA(商標)またはAutoplex(商標)である。FEIBA(商標)は匹敵する単位のII因子、VII因子、IX因子、X因子およびFEIBA、少量のVIII因子およびV因子、および痕跡量の活性化凝固因子、たとえばトロンビンおよびXa因子またはX因子様活性を有する因子のような因子を含有する(Elsinger著、1982年、「活性化プロトロンビン複合体濃縮物(Activated・Prothrombin・Complex・Concentrates)」、Mariani、Russo、Mandelli編、77〜87頁)。Elsingerは特にFEIBA(商標)の「Xa因子様」活性の重要性を指摘する。VIII因子のバイパス活性はGiles、ほかが精製Xa因子とホスホリピドとの組合せについて動物モデルで証明した(1988年、British・J.Haematology、9巻:491〜497頁)。
それ故に、X因子/Xa因子またはX因子/Xa因子様蛋白質は単独でまたは凝固複合体の成分として需要が多く、止血療法における利用の様々な分野で使用できる。
試験管内でと同様に生体内ではXa因子の半減期はチモーゲンの半減期と比較するとかなり短い。例えば、X因子はグリセリン中で18ケ月安定に貯蔵できるが、Xa因子は同一条件下では5ケ月しか安定ではなく(Bajaj、ほか著、1973年、J.Biol.Chem.、248巻:7729〜7741頁)、4℃のグリセリン中では8ケ月後には60%を超える活性低下が見られる(Teng、ほか著、1981年、Thrombosis・Res.、22巻:213〜220頁)。血清中ではXa因子の半減期は僅か30秒ほどに過ぎない。
Xa因子が不安定なので、X因子製剤の投与が示唆されている(米国特許第4501731号)。しかしながら、特に血友病患者のように出血が深刻で、患者が死ぬほどあれば、X因子の投与は有効ではない。血液凝固の内因性経路での機能的「テナーゼ複合体」欠乏のために、X因子がXa因子にまで十分に活性化されることができず、また、外因性経路を経る活性化は迅速に効果を示すには遅すぎることが多い。さらにその上、血友病患者は十分な量のX因子を有するが、そのプロトロンビナーゼ活性はXa因子のものよりも1000倍も弱い。このような場合には活性化されたXa因子を、所望ならば、Giles、ほか(1988年、British・J.Haematology、9巻:491〜497頁)が記載しているようにホスホリピドと組合せて、または、たとえばVIII因子バイパス活性を持つその他の凝固因子などとともに、直接に投与することが必要である。
X因子からXa因子を製造するためには活性化は、今まで主として、たとえばRVVまたはトリプシンのような動物起源の非生理学的活性化剤によって行われてきたので、最終生成物にはこれらプロテアーゼを絶対的に含まないことを確証することが必要であった。前記の通り、X因子をXa因子にまで活性化する時には、全く数多くの中間体、その幾つかは不活性であるが、が形成される(Bajaj、ほか著、1973年、J.Biol.Chem.、248巻:7729〜7741頁;Mertens、ほか著、1980年、Biochem.J.、185巻:647〜658頁)。そのような中間体の存在は生成物の比活性を低下させ、活性なセリンプロテアーゼ拮抗剤として機能できる中間体を生成するかもしれない。それ故、通常の方法に従って比活性の高い均質で純粋な生成物を製造するには活性化およびクロマトグラフィー精製に複雑な工程が必要である。
そこで、本発明の目的はX因子/Xa因子活性を有し、安定性の高度なポリペプチドを含有する製品であって、通常のプロテアーゼ、特に、たとえばRVVまたはトリプシンのような動物起源プロテアーゼ、をいずれも全く使用せずに、活性化されてXa因子にまで活性化できるものを提供する点にある。別の目的はVIII因子バイパス活性を有する医薬的製品を提供する点にある。
本発明に従えば、前記目的は天然型Xa因子活性化切断部位の領域に修飾を有するX因子類似体を提供することによって達成される。この活性化切断部位の領域における修飾はそのプロテアーゼにとって新規な認識部位であり、かつプロセッシング部位である。その部位はこのポリペプチドのこの位置には天然には存在せず、また、このプロテアーゼは通常、この部位ではこのポリペプチドを切断しないものである。
本発明のX因子類似体は特に活性化ペプチドが修飾されており、その活性化ペプチドはX因子がXa因子にまで活性化される時に除去されるものである。X因子の活性化ペプチドのアミノ酸配列の中にあるアミノ酸少なくとも1個が修飾される。前記修飾は特に前記活性化ペプチドのC末端領域に存在し、少なくとも、X因子アミノ酸配列のGly228とArg234との間の位置でアミノ酸少なくとも1個の置換を表す。このアミノ酸の位置は図1に示すMet1に始まり、Lys488に終わる配列に従った番号付けに基づく。
本発明のX因子類似体におけるこの修飾は、好ましくは種々のプロテアーゼの別の切断部位に対するこの位置に存在するVIIa因子/IXa因子プロセッシング部位の交換である。この修飾はアミノ酸少なくとも1個の置換であることができ、またはプロテアーゼ認識部位または切断部位を表すペプチド配列の挿入であることができる。本発明のX因子類似体において、この修飾は好ましくはそれが、たとえばケキシン/KEX2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4、LPC/PC7(Barr、ほか著、1991年、Cell、66巻:1〜3頁;または米国特許第5460950号に記載)のような一群のエンドプロテアーゼの群;たとえばXIIa因子、XIa因子、IIa因子、Xa因子のようなセリンプロテアーゼの群;カリクレインの群;またはこれらのプロテアーゼ誘導体の群;からのプロテアーゼに対する検出配列または切断配列を表すものである。
好ましくは、この修飾はこれらのプロテアーゼによるプロセッシングが在来型Xa因子に対応するポリペプチドを招来するように選択される。この在来型Xa因子は実質的に天然型Xa因子配列と等しく、またXa因子活性を現すものである。
最適なプロセッシングについては各個の場合についてアミノ酸Ile235も置換することが必要になりうる。しかしながら、好ましくは重鎖のNH2末端アミノ酸であるイソロイシンは活性化後も存在しなければならない。このアミノ酸は基質結合ポケットの形成に必須な機能を果たすからである(Watzke、ほか著、1995年、「血栓症および止血の分子的基盤(Molecular・Basis・of・Thrombosis・and・Hemostasis)」、Katherine・HighとHarold・Roberts編)。本発明のX因子類似体は在来型X因子配列と比べると殊にアミノ酸のレベルでは構造的な相違を有する。しかし、それらは同じ様式で天然型のX因子にまで活性化されることができ、また活性化の後にはXa因子活性を示す。
本発明は天然型のX因子配列に関して活性化ペプチドにおいて修飾を有し、また異なるプロテアーゼ特異性を有するX因子類似体の例示多数を提供する。
修飾は図1に示すMet1に始まり、Lys488に終わる配列番号に従ったX因子配列番号によればアミノ酸Gly228とアミノ酸Arg234との間の領域および、所望ならばIle235における部位1個またはそれ以上に存在できる。アミノ酸置換はIle235(R1)、Arg234、Thr233(R2)、Leu232(R3)、Asn231(R4)、Asn230(R5)、Asp229(R6)の位置に存在できるが、Arg234は未変化のままにするのが好ましい。
本発明のX因子類似体は、好ましくはGly228−R6−R5−R4−R3−R2−Arg234を有するX因子配列を含む。ここに、R1=Ile、Val、Ala、SerまたはThr;R2=Thr、Pro、Gly、LysまたはArg;R3=Leu、Phe、Lys、Glu、Met、Gln、Ser、Val、ArgまたはPro;R4=Asn、Asp、Ile、Ser、Met、Pro、Thr、LysまたはArg;R5=Asn、Lys、Ser、Glu、Ala、Gln、HisまたはArg;およびR6=Asp、Phe、Thr、Arg、LeuまたはSerである。
本発明のX因子類似体の好適な態様は次の修飾を有するX因子類似体である:
a)R1=Val、R2=Thr、R3=Phe、R4=Asp、R5=Asnおよび所望ならばR6=Phe(図2A)であって、XIa因子によってプロセッシングされる;
b)R1=Ser、R2=Arg、R3=Thr、R4=Leu(図2B)であって、IIa因子によってプロセッシングされる;
c)R1=Ile、R2=Pro、R3=Lys、R4=Ile、および所望ならばR5=Lysおよび/またはR6=Thr(図2C)であるか;または
R1=Ile、R2=Thr、R3=Ser、R4=Thr、および所望ならばR5=Lysおよび/またはR6=Thr(図2I)であって、XIIa因子によってプロセッシングされる;
d)R1=Ile、R2=Thr、R3=Met、R4=Ser、および所望ならばR5=Serおよび/またはR6=Leu(図2D)であって、カリクレインによってプロセッシングされる;
e)R1=Ile、R2=Gly、R3=Gln、R4=Pro、および所望ならばR5=Lysおよび/またはR6=Ser(図2H)であるか;または
R1=Ile、R2=Thr、R3=Lys、およびR4=Met(図2E)であるか;または
R1=Ile、R2=Gly、R3=Glu、およびR4=Ile(図2F)であって、Xa因子によってプロセッシングされる;
f)R1=Ile、R2=Lys、R3=Arg、R4=Arg、および所望ならばR5=Gluおよび/またはR6=Leuであるか;または
R1=Ile、R2=Thr、R3=Val、R4=Arg、および所望ならばR5=Alaおよび/またはR6=Leuであるか;または
R1=Ile、R2=Arg、R3=Val、R4=Arg、および所望ならばR5=Glnおよび/またはR6=Leuであるか;または
R1=Ile、R2=Arg、R3=Arg、R4=Arg、および所望ならばR5=Hisおよび/またはR6=Leuであるか;または
R1=Ile、R2=Lys、R3=Pro、R4=Arg、および所望ならばR5=Asnおよび/またはR6=Leuであるか;または
R1=Ile、R2=Lys、R3=Arg、R4=Ile、および所望ならばR5=Argおよび/またはR6=Leuであるか;または
R1=Ile、R2=Lys、R3=Ser、およびR4=Arg;または
R1=Ile、R2=Thr、R3=Val、およびR4=Arg;または
R1=Ile、R2=Lys、R3=Leu、およびR4=Arg(すべて図2G)。
ここに、f)の項に示したものについては例えばフリン、PACE、ケキシン/Kex2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4、LPC/PC7、またはこれらのプロテアーゼの1種の誘導体のような二塩基性エンドプロテアーゼによってプロセッシングされる。
図2A〜図2Iは可能性のある修飾の選択および種々のプロテアーゼ特異性を招来するアミノ酸置換を示す。
前記修飾は、例えば直接的な試験管内突然変異誘発、PCRまたはその他の当技術分野で現在知られている遺伝子操作法を目指し、指定するアミノ酸置換のためにDNA配列を特異的に変化させるのに適する方法などによって実施できる。
本発明によれば、本発明のX因子類似体は活性化されて、好ましくはたとえばケキシン/KEX2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4、LPC/PC7のような一群のエンドプロテアーゼから選択されたプロテアーゼ;たとえばXIIa因子、XIa因子、Xa因子、IIa因子またはカリクレインのような一群のセリンプロテアーゼから選択されたプロテアーゼ;またはこれらのプロテアーゼの誘導体によって在来型のXa因子またはXa因子類似体になる。
活性のあるXa因子を製造するに当たって遭遇する困難の一つはその不安定性にある。というのはXaα因子およびXaβ因子の他にも、不活性な中間体が自己触媒反応によって形成されるからである。活性のある実質的に無傷なX因子/Xa因子およびX因子/Xa因子様分子各々の製造のためには安定な最終生成物を招来する蛋白質のみが得られることが望ましい筈である。
Xaα因子(FXaα)からXaβ因子(FXaβ)へのプロセッシングに好適な切断部位は、Arg469/Gly470の間にあることがよく知られている。Eby、ほか(1992年、Blood、80巻、補1:1214頁)の研究によれば、X因子の明確なカルボキシ末端ペプチド(アミノ酸残基476〜487)の隣に、別の短いペプチド(アミノ酸残基474〜477)があり、これはXaα因子の自己触媒反応によって形成される。無傷なX因子から不活性なプロセッシング中間体を副生することなく本質的に活性なXa因子へと指向するプロセッシングに集中させるために本発明のX因子類似体は、所望ならば追加的な修飾を有する。
それ故、特定的態様の一つでは、本発明のX因子類似体はX因子アミノ酸配列のC末端領域にもう一つの修飾を有する。
態様の一つによれば、前記X因子類似体は無傷なβ−ペプチド(FXα)を有する。本発明のこのX因子類似体は、殊にC末端β−ペプチド切断部位の領域に修飾を有し、これがX因子からXa因子への活性化後におけるX因子からのβ−ペプチドの切り取りを防止する。そこで、Xa因子の分子が得られるが、これは無傷のXaα因子分子として100%までが分離可能である。
この修飾はX因子アミノ酸配列のアミノ酸Arg469とSer476との間の位置、および所望によりアミノ酸Lys370の領域における突然変異、欠失または挿入であることができる。しかしながら、アミノ酸置換の結果としてこれが蛋白質の構造および、さらに可能性として機能および活性に影響を与えることになるポリペプチドの不正な折畳みを防止するアミノ酸置換が好適である。
態様の一つによれば、本発明のX因子類似体はArg469および/またはGly470の位置のアミノ酸1個が置換されており、好ましくはArg469がLys、HisまたはIleに交換され、または好ましくはGly470はSer、Ala、ValまたはThrに交換されている。
Arg469および/またはGly470の位置の突然変異の他に、本発明のX因子類似体はその他の突然変異をLys370および/またはLys475、および/またはSer476の位置に有することができる。
これらの位置の1個所におけるアミノ酸置換は各々Xaα因子からXaβ因子またはXaγ因子へのプロセッシングを防止する。なぜならカルボキシ末端ペプチドの偶発的な自己触媒的切断反応が不可能になるように天然型のプロセッシング配列が修飾されるからである。
別の態様の一つによれば、本発明のX因子類似体はカルボキシ末端β−ペプチド(FXβ)が除去されている。このようなX因子類似体はX因子類似体をコードするcDNAを組換え発現系内で発現して、アミノ酸Met1からArg469までをコードする配列のみをクローニングすれば製造できる。
別の態様の一つによれば、本発明のX因子類似体は翻訳停止シグナルをX因子配列のC末端領域に有する。好ましくはこの翻訳停止シグナルは天然型プロセッシング後に形成されるC末端アミノ酸の後の位置に存在する。それ故、好ましくは翻訳停止シグナルはX因子配列のアミノ酸470の位置に存在し、Xaβ因子の末端Arg469が留保される。この目的のためには、アミノ酸Gly470をコードするコドンGGCをTAA、TAGまたはTGAに置換する。
本発明の別の側面は試験管内で適当なプロテアーゼで処理して活性化すると、在来型X因子またはXa因子類似体を与えるX因子類似体に関する。実用され、活性化されるX因子類似体に依存して、在来型のXa因子に対応し、これと本質的に同一なポリペプチド、またはXa因子活性を有し、また在来型Xa因子配列に関連するがその生物学的活性が限定されない修飾を有するポリペプチドが得られる。活性化ペプチド配列の中で活性化ペプチドの領域が修飾されたX因子類似体が活性化される時には、在来型のXa因子の分子に対応するポリペプチドのみが得られる。そのようなX因子類似体が追加的に翻訳停止シグナルをβ−ペプチドのC末端領域に有するならば、Xaβ因子同族体の分子が得られる。しかしながら、切断されないβ−ペプチドをもたらす修飾をβ−ペプチド配列内に有するX因子類似体が採用されるならば、分子のC末端にアミノ酸交換を有するXaα因子類似体が得られる。
本発明のX因子類似体は活性化さるべき性能についての特異性は変化させるが活性には影響を与えない修飾のみを有する。それ故に、いずれの場合も生物学的におよび機能的に活性なXa因子の分子またはXa因子類似体がおのおの得られる。
試験管内での活性化は、たとえばケキシン/Kex2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4、LPC/PC7のようなエンドプロテアーゼの群;たとえばIIa因子、XIIa因子、XIa因子、Xa因子、またはカリクレインのようなセリンプロテアーゼの群;またはこれらのプロテアーゼの誘導体から選択されたプロテアーゼによって実現できる。RVV、トリプシン、IXa因子またはVIIa因子を除いて、本発明のX因子類似体をXa因子にまでプロセッシングするのに適切である限り、いかなるプロテアーゼを使用することも本発明の範囲内である。
本発明の別の態様によれば、このX因子類似体はX因子類似体からXa因子、好ましくは在来型のXa因子、への生体内での活性化を可能にする修飾を含む。これに関連して、「在来型」のXa因子は本発明のX因子類似体から誘導された活性化されたXa因子が在来型のXa因子に対応し、同族体であるアミノ酸配列を有し、Xa因子としての活性を有することを意味する。この修飾はX因子が生体内、すなわち体内に存在するプロテアーゼ、好ましくは血液凝固経路内に存在するプロテアーゼによってプロセッシングされてXa因子となるように選択される。このプロテアーゼは、たとえばXIIa因子、XIa因子、Xa因子、IIa因子またはカリクレインのようなセリンプロテアーゼの群から選択されたプロテアーゼであることができる。活性化ペプチドにおける修飾以外にX因子分子のC末端領域における修飾を有するX因子類似体は生体内でも前記の通りに対応するXa因子類似体にまで活性化される。
例えばWolf、ほか(1991年、J.Biol.Chem.、266巻:13726〜137309頁)は、たとえばKex2、フリンまたはPACEのようなエンドペプチダーゼがこの研究室が報告したXa因子欠損突然変異体のプロセッシングに関与すると推測したが、彼等はX因子のプロセッシングに与えるこれらのプロテアーゼの影響に関しては示唆を与えなかった。同様にして、米国特許第5660950号にはPACEの組換え生産およびこのプロテアーゼを使用してビタミンK依存性蛋白質のプロセッシングを改善することが記載されている。血液因子の長大なリストの中にはX因子が指摘されてはいるが、この陳述を証明するデータは提供されていない。
本発明はX因子の成熟過程に必要なプロテアーゼが二塩基性エンドプロテアーゼ、特に内因性フリン、であることを初めて明確に証明する。生体内では、このエンドプロテアーゼは主として単鎖型のX因子の分子から重鎖と軽鎖とから構成される成熟型への切断を媒介する。試験管内では、それはX因子プロペプチド配列の切断も媒介する(実施例2)。
天然には細胞内に存在しないプロテアーゼについてのプロテアーゼ切断部位を有する本発明のX因子類似体は在来型のX因子においても切断される部位でのみ選択的なプロセッシング反応によって切断される。そこで、22kDの軽鎖と約50kD重鎖とから構成され、非特異的プロセッシングによって形成されるような不活性なX因子分子を持たない組換えX因子分子が得られる。在来型のX因子分子と同様にして、これらの修飾されたX因子分子は細胞内プロテアーゼによってXa因子に活性化されることはない。これは適当なプロテアーゼ(すなわち、好ましくはセリンプロテアーゼまたはスブチリシン−関連プロテアーゼ)によってのみXa因子に活性化される。
そこで、態様の一つによって二鎖型のX因子類似体が提供される。
特定の態様によれば、好ましくは単鎖型分子として精製された型で存在するX因子類似体が提供される。二塩基性プロテアーゼ欠損細胞中でX因子類似体を発現することによって、プロX因子が単鎖型の分子として得られる。この単鎖型のX因子分子は高度な安定性および分子の完全さによって特徴付けられる。今までは単鎖型のX因子分子は二鎖型にまで急速にプロセッシングされるので精製された型では分離できなかった(Fair、ほか著、1984年、Blood、64年:194〜204頁)。単鎖型の組換えX因子類似体は特定的プロセッシングによって二鎖型のX因子にまでプロセッシングでき、これが続いて各々Xa因子またはXa因子類似体にまで活性化される。これは、プロテアーゼ欠損細胞から分離した単鎖型組換えX因子の分子と、たとえばフリン/PACEまたはKex2のような、二塩基性プロテアーゼとが接触して、二鎖型のX因子類似体にまでプロセッシングすることによって達成できる。
二鎖型のX因子類似体は各々Xa因子またはXa因子類似体にまで活性化できる。これは、たとえば活性化ペプチドの領域における修飾によってフリン特異的切断部位を有するX因子類似体をフリン欠損細胞から単鎖型分子として分離し、続いてそれをプロセッシングして活性化されたXa因子の分子を得て、これとこのエンドプロテアーゼとを接触させることによって実行できる。
同様にして活性化ペプチドの中にセリンプロテアーゼまたはカリクレインの群から選択したプロテアーゼによる別種のプロセッシングを可能にする修飾を有する分離された単鎖型のX因子類似体は、たとえばフリンのような二塩基性エンドプロテアーゼで処理することによってのみ切断されて二鎖型のX分子を得るが、この二鎖型のX因子の分子とセリンプロテアーゼとを経路のその後の経過において接触させて、Xa因子またはXa因子類似体にまで各々活性化を起こすようにすることができる。
二鎖型の分子として細胞培養物から分離したX因子類似体は、活性化のために特異的なプロテアーゼで処理できる。
選択的かつ指向性のプロセッシング反応によって、このようにして得られるX因子またはXa因子類似体は高い安定性および構造的完全さを有し、さらに殊に不活性なX因子/Xa因子類似体中間体および自己蛋白質分解性分解産物を含まない。
本発明の別の側面は、本発明のX因子類似体をコードする組換えDNAに関する。この組換えDNAは発現の後にプロセッシング特異性およびプロセッシング産物に影響を与える修飾を除いてヒトのX因子に対応するアミノ酸配列を有するX因子類似体を与えるが、その生物学的凝血活性は基本的に変化していない。
さらに別の側面によれば、前記の組換えDNAを含有する形質転換細胞も提供される。
本発明のさらに別の側面は天然型Xa因子活性化部位内の領域に修飾を有する精製されたX因子類似体またはその前駆体蛋白質を含有する製品に関する。この活性化切断部位の領域における修飾はポリペプチドのこの位置には天然には存在せず、通常はこのポリペプチドをこの位置ではプロセッシングしないプロテアーゼの新規な認識および切断の部位である。この製品は単鎖または二重鎖のX因子類似体の精製品であることができる;このポリペプチドは細胞培養上清液または細胞培養抽出物のいずれかの細胞培養系から分離した後に取得できる。細胞培養系から予備精製した組換えX因子類似体は先行技術から知られている方法によってさらに精製できる。たとえばゲル濾過、イオン交換または親和性のクロマトグラフィーのようなクロマトグラフィー法は特にこの目的に適する。
態様の一つによれば、本発明の製品は分離された型の単鎖型の分子としてX因子類似体を含有する。このような製品は、好ましくはエンドプロテアーゼであって単鎖分子を重鎖および軽鎖へとプロセッシングするものが欠損した細胞の細胞培養物である細胞系から単鎖型の分子として、組換え製法で得られるX因子類似体を、分離することによって製造される。
特別な側面によれば、この製品は、たとえばケキシン/Kex2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4、LPC/PC7のような二塩基性エンドプロテアーゼからからなる群から選択されたプロテアーゼの一種によるXa因子への試験管内活性化を可能にする修飾を有する単鎖型のX因子類似体を含有する。この活性化はX因子類似体と前記プロテアーゼとを接触させることによって実行され、それによって天然型のプロセッシングである成熟型X因子型への切断が行われ、また修飾の結果として、活性化ペプチドが切出されてXa因子またはXa因子類似体が形成される。
本発明の製品では単鎖分子としてのX因子類似体はXα因子(FXα)またはβ−ペプチドが欠損したものとしても存在できる。この製品は殊に酵素的に不活性な型のX因子類似体を含有し、純度は少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、殊に好ましくは少なくとも95%であって、X因子/Xa因子類似体のいかなる不活性な、蛋白質分解された中間体も含有しない。
別の態様によれば、本発明の製品はX因子類似体を、好ましくは二重鎖分子として、分離された型で含有する。この目的のためには、例えば細胞系から単鎖分子として組換え製法によって得られたX因子類似体を、試験管内、即ち細胞外でプロテアーゼ、好ましくは二塩基性プロテアーゼによって二重鎖型に切断する。これはX因子類似体を発現するクローンの培養上清液を前記プロテアーゼと直接混合することによって、または精製プロテアーゼまたは前記プロテアーゼを組換え型で発現する細胞培養物の細胞培養上清液のいずれかと混合することにより、またはX因子類似体とプロテアーゼ発現クローンとを共培養することによって、実行できる。
同様にして、X因子類似体を含有する細胞培養上清液または精製X因子類似体を固定化プロテアーゼと接触させて、そこで二重鎖型へのプロセッシングを起こさせることもできる。この工法では、好ましくはプロテアーゼをマトリックスに結合し、X因子類似体を含有する細胞培養上清液または精製品をこのマトリックス上を通過させる。しかしながら、X因子類似体を固定化し、プロテアーゼを移動相に入れることも可能である。同様に、反応物(X因子類似体およびプロテアーゼ)を混合して一定時間インキュベーションすることも可能である。続いて、たとえば親和性クロマトグラフィーによるなどの方法で、プロテアーゼを混合物から除去する。
X因子類似体の二重鎖型は一定の細胞中で直接にプロテアーゼとX因子類似体とを共発現し、また、所望ならばそれを精製することによっても製造できる。
本発明の特殊な態様によれば、本製品は試験管内でXa因子またはXa因子類似体への活性化を可能にする修飾を有する単鎖または二重鎖のX因子類似体を含有する。X因子類似体のXa因子またはXa因子類似体への活性化には各々、たとえばケキシン/Kex2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4、LPC/PC7のような二塩基性エンドプロテアーゼの群;たとえばXIIa因子、XIa因子、IIa因子、Xa因子またはカリクレインのようなセリンプロテアーゼの群;またはこれらのプロテアーゼの誘導体から選択されたプロテアーゼと接触させることによって実行できる。このプロテアーゼは担体上に固定化することもできる。
本発明の製品はXa因子を製造するための出発材料に役立てることができる。大量生産には単鎖または二重鎖のX因子類似体を含む製品と、例えば所望ならば固定化されたプロテアーゼとを、X因子類似体からXa因子類似体への活性化を至適に可能化する条件下に接触させて、Xa因子またはXa因子類似体を製造する。続いて、こうして得られるXa因子/Xa因子類似体を一般に知られた方法によって医薬的組成物に製剤化する。
特殊な態様によれば、精製された単鎖または二重鎖のX因子類似体を含有する製品は生理学的に許容される担体を含有し、所望ならば医薬的製品として製剤化される。この製剤化はそれ自体が普通の方法に従って実行でき、またそれを、たとえばNaCl、CaCl2のような塩、たとえばグリシンおよび/またはリジンのようなアミノ酸などを含有する緩衝液とpH範囲6から8で混合し、医薬的製品として製剤化することもできる。X因子類似体を含有する精製製品は調製済溶液の型、凍結乾燥物の型または冷凍物の型で最終的な使用まで貯蔵可能な生産物として提供できる。好ましくはこの製品は凍結乾燥物の型で保存して、適当な再構成用溶液に溶解して視覚的に透明な溶液とする。
本発明の製品は液体製品としてまたは冷凍液の型としても提供できる。
本発明の製品は殊に安定である。すなわち、溶解した型で使用するまで長期間放置できる。本発明の製剤はその活性が数時間から数日間低下しないことが証明されている。
本発明の製品は適切な用具、好ましくは投与用の用具中、たとえばケキシン/Kex2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4、LPC/PC7のようなエンドプロテアーゼの群;たとえばIIa因子、XIIa因子、XIa因子、Xa因子またはカリクレインのようなセリンプロテアーゼの群;またはこれらのプロテアーゼの誘導体、から選択されたプロテアーゼと組合せて提供できる。
X因子類似体からXa因子またはXa因子類似体へと活性化することができるプロテアーゼと組合せてX因子類似体を含有する本発明の製品は、所望ならば小さいカラムの型であってもよい、担体に固定化したプロテアーゼを入れた容器、またはプロテアーゼを装着した注射筒とX因子類似体の医薬的製品を入れた容器とから構成される複合製品として提供できる。X因子類似体を活性化するためにはX因子類似体を含む溶液を、例えば固定化プロテアーゼ上を通過させる。製品を貯蔵しておく間はX因子類似体を含有する溶液はプロテアーゼとは分離しておくのが好ましい。本発明の製品は他の成分を含むプロテアーゼと同じ容器内に存在させることもできるが、しかしながら使用に際して容易に除去できる不浸透性分離壁によって空間的に分離しておく。各溶液はまた個別の容器に貯蔵して使用直前に接触させることもできる。
特殊な態様では、活性化のために使用するプロテアーゼは、たとえばXIIa因子またはXIa因子、IIa因子、Xa因子のように活性化されたXa因子類似体から使用前に分離する必要がなく、それと同時に投与できる天然の血液凝固に関与するセリンプロテアーゼである。
X因子類似体は使用直前に、すなわち患者に投与する直前に、Xa因子にまで活性化できる。この活性化は前記を固定化プロテアーゼと接触させるか、またはそれぞれプロテアーゼを含む溶液とX因子類似体を含む溶液とを混合することによって実行できる。そこで、この二成分を相互に異なる溶液中に保存し、適当な点滴装置によってそれらを混合することが可能である。この点滴装置では両成分が通過中に互いに接触して分子をXa因子またはXa因子類似体にまで活性化できるものである。患者はXa因子とさらに活性化を媒介したセリンプロテアーゼとを投与されることになる。内因性X因子もセリンプロテアーゼの追加的な投与によって活性化されて凝血時間が短縮されることもあるので、用量に関しては特別の注意が必要である。
好適な態様によれば、この医薬的製品は凍結された液体型または凍結乾燥型として、好ましくは投与用具である、適切な用具中で提供される。適切な投与用具はオーストリア特許第366916号またはオーストリア特許第382783号に記載されている二室注射筒であることができる。
本発明の一側面によれば、本製品はX因子類似体からXa因子への生体内での活性化を可能にする修飾を有するX因子類似体を含有する。本発明の製品におけるX因子類似体は殊に、たとえばXIIa因子、IIa因子、XIa因子、Xa因子またはカリクレインのようなセリンプロテアーゼの群から選択されたプロテアーゼの認識部位/切断部位を表す修飾を有し、生体内で前記プロテアーゼの一種によって切断されて、在来型のXa因子またはXa因子類似体を与える。殊に治療的使用のためには、血液凝固経路内にあるVIIa因子/組織因子複合体およびテナーゼ複合体とは無関係なプロテアーゼの認識部位/切断部位を持つX因子類似体が有利である。それ故、本発明の製品はIX因子およびVII因子、ならびにVIII因子が欠乏している患者での出血を制御するために使用できる。XI因子またはXII因子欠乏症に起因する血液凝固疾患の患者には、XIIa因子またはXIa因子によって活性化されることができるX因子類似体を含有する医薬的製品を投与してはならない。XI因子欠乏症の症例では、例えばXIIa因子切断部位を有するX因子類似体は使用できるであろう。
本発明のもう一つの側面によれば、本発明の製品は、所望ならば追加的成分としてのチモーゲンまたは活性セリンプロテアーゼの型での血液因子を含有する。好適な追加的成分はVIII因子バイパス活性を有する成分である。これらには殊にII因子、VII因子、IX因子、VIII因子、V因子および/または活性セリンプロテアーゼがある。追加的成分はまた、ホスホリピド類、Caイオン、その他であることができる。本発明の特殊な態様によれば、本発明の製品はVIII因子バイパス活性を有する追加的成分少なくとも1種を含有する。
本発明による製品は単一成分製剤としてまたは他の因子との組合せによる多成分製剤としてのXa因子活性を有する医薬的製品として提供できる。
医薬的製品にプロセッシングする前に、精製された蛋白質を通常は品質制御に付してから治療的に投与可能な剤型にする。好ましくは欧州特許第0714987号に記載された方法により、組換え製造では精製した製品を殊に細胞性および発現ベクター由来の核酸の不在について検査する。
原理的にはいかなる生物学的材料にも病原性物質が混入することがあるので、本製品を安全な製品として製造するには、所望ならばウイルスを不活性化または消耗させる処理を行う。
本発明のさらに別の側面によれば、高度な安定性と構造的完全さを有しているXa因子類似体を含有する製品が提供される。これは殊に不活性なX因子/Xa因子類似体中間体および自己蛋白質分解的分解産物が存在せず、前記定義の型のX因子類似体が活性化されて適当な製品が得られるように製造される。
本発明の別の側面の一つは医薬的薬剤の製造において前記の型の製品を使用することに関連する。本発明のX因子類似体またはXa因子類似体を含有する治療用薬剤は血液凝固疾患、たとえば血友病に罹患している患者およびそれに加えて処置に普通に使用され、殊に、VIII因子バイパス活性を持つ製剤として使用されるVIII因子および/またはIX因子に対する阻害抗体を産生する可能性のある患者、の処置には殊に有用である。
本発明の別の側面の一つは本発明のX因子類似体の配列をコードするものを含む核酸を医薬品製造のために使用することに関する。その核酸が適切な発現制御配列を持つ限り、それは裸の核酸として利用でき、組換え用発現ベクターに組込むか、または燐脂質またはウイルス粒子のいずれかである担体に結合することができる。この核酸は、たとえば血友病、または阻害抗体産生を併発する血友病のような血液凝固疾患に罹患している患者の処置に殊に有用な治療用薬剤の製造のために使用できる。この核酸は遺伝子治療に使用することも可能である。
本発明の別の側面の一つは本発明のX因子類似体およびX因子類似体を含有する本発明の製品の製造法に関する。このX因子類似体をコードする配列を適当な発現系に挿入し、適当な細胞、好ましくは永久細胞系列にこの組換えDNAを遺伝子移入する。この細胞を遺伝子発現のために適する条件下に培養し、細胞培養抽出物から、または細胞培養上清液からX因子類似体を分離する。この組換え分子はさらに、たとえばアニオン交換またはカチオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーまたは免疫親和性クロマトグラフィー、またはこれらの組合せのような、あらゆる知られているクロマトグラフィー法を駆使して精製する。
本発明のX因子類似体を製造するにはX因子をコードする全cDNAを発現ベクターにクローニングする。これは一般的に知られているクローニング技術に従って行う。続いてX因子をコードするヌクレオチド配列を修飾して、活性化ペプチドの領域におけるコード配列および、所望ならばC末端β−ペプチドの領域におけるコード配列を前に定義した型のX因子分子が産生されるように修飾する。これは、たとえば部位特異的試験管内突然変異誘発または配列の欠失、たとえばエンドヌクレアーゼによる制限消化、および別個の変化した配列の挿入、またはPCRによるものなどのような先行技術で知られている遺伝子工学技術によって実行される。次に、こうして得られたX因子類似体を組換え発現のために適する発現系に挿入して発現させる。
本発明のX因子類似体は化学的合成法によっても製造できる。
X因子類似体は好ましくは組換え発現によって製造する。それは遺伝子工学によって、たとえば永久細胞系列またはウイルス発現系のような、通常の発現系のいずれを用いても製造できる。永久細胞系列は、たとえばVero、MRC5、CHO、BHK、293、Sk−Hepl、殊に肝細胞および腎細胞など、宿主細胞染色体への外来DNAの安定な組込みによって;または、たとえばパピローマウイルスに由来する、エピソームベクターによって作製される。たとえばワクチニアウイルス、バキュロウイルスまたはレトロウイルスの系のようなウイルス発現系も採用できる。細胞系列としてはVero、MRC5、CHO、BHK、293、Sk−Hepl、腺、肝および腎の細胞が通常使用される。真核生物の発現系としては、酵母、内生の腺(たとえば、トランスジェニック動物の腺)、およびその他の型の細胞も使用できる。勿論、トランスジェニック動物も本発明のポリペプチドまたはその誘導体を発現するために使用できる。組換え蛋白質を発現するためにはCHO−DHFR−細胞が殊に有用であることが証明されている(Urlaub、ほか著、1980年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77巻:4216〜4220頁)。
本発明のX因子類似体を組換え製造するには原核生物発現系をも使用できる。大腸菌または枯草菌中での発現を可能にする系は殊に有用である。
X因子類似体は各発現系の中で適当なプロモーターの制御下に発現される。真核生物での発現については、たとえばSV40、CMV、RSV、HSV、EBV、β−アクチン・hGHまたは、たとえばhspまたはメタロチオネインプロモーターのような、誘導可能プロモーター、のような知られているプロモーターは全て好適である。CHO細胞ではX因子類似体は、好ましくはβ−アクチンプロモーターの制御下に発現される。
本発明の一態様によれば、本発明の製品を製造する方法には次の段階を含む:X因子類似体をコードするDNAを提供すること;組換えDNAで細胞を形質転換すること;X因子類似体を発現すること;所望ならばプロテアーゼの存在下にX因子類似体を分離すること、および所望ならばクロマトグラフィー法によって精製すること。
この工程の一態様ではX因子類似体を二重鎖分子として分離する。X因子類似体はプロX因子類似体から二重鎖X因子類似体へのプロセッシングを可能にする細胞中で発現される。この細胞は好ましくは、たとえばフリンまたはその誘導体のような、たとえば二塩基性プロテアーゼなどの、X因子類似体前駆体をプロセッシングすることのできるプロテアーゼを発現する細胞である。プロセッシング効率を改善または強化するためには、所望ならば細胞をそのプロテアーゼ発現が強化されるように修飾する。たとえばこの修飾は、たとえばフリン/PACE、Kex2またはその誘導体のような対応する二塩基性エンドプロテアーゼの共発現によって実行される。本発明のX因子類似体はまた、内因的には正常なプロテアーゼ濃度、すなわちプロセッシング用には最適に達しない濃度、を有する細胞中でも発現できるが、その結果、二重鎖型へのプロセッシングは不完全となる。この場合、前記のように単鎖型のX因子類似体が細胞上清液に分泌される限り、それに続く軽鎖および重鎖へのプロセッシングはプロテアーゼ発現細胞とともに共培養するか、または所望ならば固定化されたプロテアーゼと接触させることによっても行われる。細胞上清液はプロテアーゼを結合した担体マトリックス上を通過させて二重鎖のX因子類似体を溶離液中に得ることもできる。また、反応物を溶液中で混合させて、一定時間インキュベーションし、次に、たとえば親和性マトリックスを用いて、プロテアーゼを除去できる。
こうして得られた二重鎖型のX因子類似体は、続いて前記のように分離し、精製し、その後の使用まで安定に貯蔵できる。
特定的態様では二重型の、所望ならば精製されたX因子類似体を試験管内で、X因子類似体を活性化して在来型のXa因子またはXa因子類似体とする条件下に、たとえばケキシン/Kex2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4、LPC/PC7のようなエンドプロテアーゼの群;たとえばXIIa因子、XIa因子、Xa因子、IIa因子、またはカリクレインのようなセリンプロテアーゼの群;またはこれらのプロテアーゼの誘導体から選択されたプロテアーゼと接触させる。
一態様においては、活性化はクロマトグラフィー段階で行うが、その場合にはプロテアーゼを担体に固定化する。精製二重鎖型X因子類似体はプロテアーゼが結合したマトリックス上を通過させて、精製されたXa因子類似体を溶離液から分離する。
別の一態様によれば、各成分を混合し、混合物からプロテアーゼを選択的に除去する。
勿論、一工程での単鎖型のプロX因子類似体から二重鎖型のX因子類似体型へのプロセッシングおよびXa因子への活性化の組合せも可能である。単鎖型のX因子類似体またはその前駆体を直接に二塩基性プロテアーゼ、好ましくはフリンまたはその誘導体と接触させて、軽鎖と重鎖へのプロセッシングおよびXa因子への活性化を可能にする。活性化ペプチド中にフリンまたはその誘導体に対する切断部位を持たないX因子類似体は、所望なら第一のプロテアーゼとは異なり、活性化が可能な別のプロテアーゼと接触させる。これらのプロテアーゼは、たとえばフリンとXIa因子との混合物などの混合物としても存在できる。
活性化は、順次に整列させ、相互に直接的に連結した用具、好ましくはたとえばプロテアーゼを固定化したカラムのようなキャリヤー、による二工程の組合せによっても実行できる。第一のキャリヤーではX因子を重鎖と軽鎖とにまで切断し、第二のキャリヤーでは固定化したプロテアーゼによってX因子をXa因子にまで活性化する。これらのキャリヤーは第一カラムの出口と第二カラムの入口とを直接的に結合することによって連結できる。
プロセッシング反応および活性化の反応条件は当技術分野の熟練者にとっては実験の設定と所与の基本的条件とに従って容易に最適化できる。接触時間については、本反応剤の流速は殊に重要である。理想的にはそれは0.01mL/分と1mL/分との間かと思われる。さらに重要な要因は温度、pH値、および溶離条件である。通過した後に、活性化されたXa因子は、所望ならば選択的クロマトグラフィーによってさらに精製する。好ましくはクロマトグラフィーカラムなどのキャリヤーを使用する時には、反応の設定は追加的な精製段階が可能になるので、キャリヤーに結合したプロテアーゼを用いてこの工程を実行するのが殊に有利である。
X因子類似体製造の別の一側面によれば、X因子類似体を単鎖型の分子として分離する。単鎖型のX因子類似体をプロセッシングして重鎖−軽鎖としない細胞内でX因子類似体を発現する。この細胞には、好ましくは、たとえばケキシン、フリン、PACEのような二塩基性プロテアーゼが欠損している。本発明を実行するに当り、軽鎖および重鎖にX因子を切断する原因である必須プロテアーゼの一つがフリンであることが発見された。このようなエンドプロテアーゼが欠損する突然変異細胞からはX因子類似体は単鎖型の分子として分離できる。続いて、こうして分離し、所望により精製したX因子類似体と、たとえばケキシン/Kex2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4、LPC/PC7のような二塩基性エンドプロテアーゼの群から選択されたプロテアーゼとを単鎖型のX因子類似体が切断されて二重鎖型X因子型になる条件の下に、接触させる。活性化ペプチドの領域にこれらのエンドプロテアーゼの1種による切断を可能にする修飾を有する本発明のX因子類似体は、所望であればこの方法によってエンドプロテアーゼと接触させればXa因子またはXa因子類似体にまで直接に活性化できる。
セリンプロテアーゼまたはカリクレインによる切断を可能にする修飾を活性化ペプチドの領域に有する本発明のX因子類似体は二重鎖型のX因子類似体として製造した後に、最初のプロテアーゼとは異なる別のプロテアーゼと接触させて、これをXa因子類似体にまで活性化する。
本発明の一側面によれば、活性なXa因子または活性なXa因子類似体を含有する製品の製造においては、前記のように製造したX因子類似体の一種を活性化工程に付し、さらに活性化ポリペプチドを精製された製品にまでプロセッシングし、所望ならばこれを医薬的組成物として製剤化することによって得られる。
前記の工法によって活性化された本発明のX因子類似体を用いて、高い安定性と構造的完全さとを有し、ことに不活性なX因子/Xa因子中間体不含のXa因子、精製されたXa因子、またはXa因子類似体が得られる。
本発明を以下の実施例と図面とによってさらに詳記するが、本発明はこれらの特定的な実例に限定されるものではない。
実施例1はrX因子の構築と発現とを例示する。実施例2はフリンによるrX因子の重鎖と軽鎖とへのプロセッシングを例示する。実施例3は固定化プロテアーゼによるプロX因子のプロセッシングを例示する。実施例4は試験管内でプロセッシングされたrX因子の活性を例示する。実施例5はフリン欠損細胞中でのrX因子の発現を例示する。実施例6はrX因子類似体の構築を例示する。実施例7はX因子プロセッシング生成物のN−末端の構造決定を例示する。実施例8はフリン切断部位Arg−Arg−Lys−Arg/Ile(rFXRRKR/I)を有するX因子類似体の発現および特性解析を例示する。実施例9はr−フリン誘導体によるrFXRRKR/I蛋白質の試験管内活性化を例示する。実施例10は試験管内で活性化された組換えFX類似体rFXRRKR/Iの機能を例示する。実施例11はXIa因子に対する切断部位Asp−Phe−Thr−Arg/Valを有するrFX類似体の試験管内活性化を例示する。
図面:
図1:X因子のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列。
図2:活性化ペプチドの領域内に修飾されたプロテアーゼ切断部位を有するX因子類似体の図式的表示。
図3:発現ベクターphAct−rFXの図式的表示。
図4:増幅の前および後にCHO細胞内に発現されたrX因子のウェスタンブロット分析。
図5:フリン誘導体によって試験管内で切断された後のrX因子のウェスタンブロット分析。
図6:フリン含有細胞およびフリン欠損細胞中で発現されたrX因子分子のウェスタンブロット分析。
図7:重鎖C末端が修飾されたrFX/rFXa類似体構築物の図式的表示。
図8:組換えフリンで処理する前および後での、フリン含有およびフリン欠損CHO細胞のrX因子プロセッシング生成物のN末端の図式的表示。
図9:CHO細胞中に発現されたr因子、FXRRKR/Iのウェスタンブロット分析。
図10:フリン誘導体を用いて試験管内活性化した後のr因子、FXRRKR/Iのウェスタンブロット分析。
図11:フリン誘導体を用いて試験管内活性化した後のr因子、FXDFTR/Vのウェスタンブロット分析。
発現ベクターは標準的なクローニング技術によって製造した(Maniatis、ほか著、「Molecular・Cloning−A・Laboratory・Manual(分子クローニング−実験室便覧)」、Cold・Spring・Harbor・Laboratory社、Cold・Spring・Harbor、ニューヨーク、米国、1993年)。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNA断片の製造は一般法に従った(Clackson、ほか著、1991年、「PCR−A・practical・approach(PCR−実際的手法)」、McPherson、Quirke、Taylor編、187〜214頁)。
実施例1:単鎖型rFXの発現およびrFX軽鎖/重鎖へのプロセッシング
a.rFX発現ベクターの構築
組換えFX(rFX)の製造には、Messier、ほか(1991年、Gene、99巻:291〜294頁)が記載した方法で、FXのcDNAをヒトの肝ラムダーcDNAライブラリーから分離した。陽性クローンからオリゴヌクレオチド#2911(5’−ATTACTCGAGAAGCTTACCATGGGGCGCCCACTG−3’)(配列番号1)を5’−プライマーとして、またオリゴヌクレオチド#2912(5’−ATTACAATTGCTGCAGGGATCCAC−3’)(配列番号2)を3’−プライマーとして用いるPCRによってDNA断片を増幅した。このDNA断片はFXをコードする1467kBの配列と39bpの3’−非翻訳領域とを含み、これに5’−末端にXhoI切断部位を、3’−末端にMfeI切断部位を結合している。これに加え、プライマー#2911によって配列ACCをFXにあるATGの前に導入して、最適なKozak翻訳開始配列を作らせた。続いて、このPCR生成物を発現ベクターphAct中にはXhoI/MfeI断片としてクローニングして、SalIおよびEcoRIで切断した。得られた発現プラスミドをphAct−rFX(図3)と命名した。発現ベクターphActにはヒトのβ−アクチンプロモーター78bp5’−UTRおよびイントロン、多重クローニング切断部位およびSV40ポリアデニル化部位を含有する。
b.CHO細胞におけるrFXの発現
安定なrFX発現細胞系列を樹立するために、dhfr欠損CHO細胞に発現プラスミドphAct−rFXと選択マーカープラスミドpSV−dhfrとを共遺伝子移入した。以下の発現および機能分析の全てでは、細胞を血清不含選択培地を用いてビタミンK10μg/mLの存在下に24時間インキュベーションした。得られた細胞クローン中のrFXの発現は抗原の量(ELISA、Asserachrom、Boehringer・Mannheim社)によって検出し、組換え蛋白質はSDS−PAGE(図4Aおよび図4B)で特性解析した。ウェスタンブロットから明らかなように(図4A)、最初のクローンおよびそのサブクローンでは22kDの軽鎖(LC)と約50kDの重鎖(HC)の形での組換えFX蛋白質が存在し、これらはサイズが血中X因子鎖のものと一致する。これに加え、蛋白質バンドが75kDに見られるが、これは単鎖型の分子に対応し、その存在はFXを遺伝子移入したCHO細胞(Wolf、ほか著、J.Biol.Chem.、266巻:13726〜13730頁、1991年)およびヒトの血漿(Fair、ほか著、Blood、64巻:194〜204頁、1984年)について報告されている。発現の高度なクローンを産生するためには、最初のクローンをメトトレキセートの量を増加させながら増幅し、続いて安定化のためにサブクローニングした。発現量は24時間におのおの約200〜500ng/10E6細胞および1μg/mLからおのおの約78μg/10E6細胞および120μg/mLまで増加できた。発現の高度なこれらの細胞クローンの上清液をウェスタンブロット分析すると(図4Bおよび図5A、レーン2)、単鎖型のrFX分子の量が増加することおよび別な型の軽鎖が存在することが判明した。軽鎖は血漿型(完全カルボキシル化され、プロペプチドなし)に対応する22kD型のほかに、別な型の軽鎖変異体が約21kD、約22.5kDおよび約20kDの3種が存在する。組換え物質のN末端配列決定によって、これらのクローンにおける軽鎖の異質性はプロペプチドの不完全な切断(ここに:rFX材料の約50%)および不完全なカルボキシル化(ここに:rFXの約50%)に起因する。21kDに現れる蛋白質はカルボキシル化が不完全なプロペプチド含有型の軽鎖であり、20kDに現れる蛋白質はカルボキシル化が不完全なプロペプチド不含型の軽鎖であるが、一方では22.5kDに現れるバンドはカルボキシル化は完全であるが、プロペプチドを含有するLC型である。
実施例2:rフリン誘導体による単鎖型rFXからrFX軽鎖/重鎖へのプロセッシング
X因子のプロペプチド/軽鎖N末端(RVTR↓A)および軽鎖/重鎖(RRKR↓S)間の切断部位とフリンの共通認識配列(RXK/RR↓X)との類似性によって、rフリン誘導体による単鎖型ならびにrFX分子を含むプロペプチドの試験管内プロセッシングの改善が可能になるものと思われる。文献では、2段階のプロセッシング工程にプロテアーゼが推測されているが、しかしながら、これらはフリンではない(Rehemtulla、ほか著、1992年、Blood、79巻:2349〜2355頁;Wallin、ほか著、1994年、Thromb.Res.、1994年:395〜403頁)。
CHO−rFXおよびCHO−rフリン・ΔTM6xHis(欧州特許EP0775750号A2)ならびにCHO−rFXおよび非遺伝子移入CHO(ネガティブ対照として)の細胞培養上清液を1:1の比率で混合して37℃でインキュベーションした。反応混合物の適量を採取し、プロセッシングされたrEXの量をインキュベーション前(t=0時間)および所定のインキュベーション時間(t=2、4、6時間)後にウェスタンブロット分析により検査した(図5)。rFXは抗ヒトFX抗血清によって(図5A)、またFXの軽鎖に特異的なモノクローナル抗体(図5B)によって細胞培養上清液中に検出された。
CHO−rFX/CHO混合物とは異なって、CHO−rFX/CHO−rフリンは37℃でのインキュベーション2時間後には殆ど完全なプロセッシングを示した(図5A、レーン7;図5B、レーン8)。単鎖型のrFXは主に軽鎖型と重鎖型とに変換された。軽鎖の領域では22kDのプロセッシングされたプロペプチド不含型(カルボキシル化型)および20kD(カルボキシル化不全型)のみが約50:50の比率で見出された。細胞培養条件を最適化することによって、この比率はカルボキシル化型が増加する方向に改善された。Arg1とAla+1との間で行われるプロ配列の正常な切断と軽鎖N末端の均質性とはN末端の配列決定によって判定された。CHO−rFXとCHO−上清液とを混合した対照実験では、インキュベーション6時間後にもrFXバンドのパターンに変化は見られなかった(図5Aのレーン5;図5Bのレーン6)。これはCHO細胞上清液中のrフリンが生物学的に活性であって、プロペプチドならびにrFXの重鎖/軽鎖をプロセッシングできることを証明する。
実施例3:キレート−テンタクルにゲル固定化したrフリンによるX因子のプロセッシング
カラムに結合したrフリン誘導体によって基質を切断できるかどうかを研究するために、カラムのマトリックスとしてNi2+−NTAアガロースの代わりに、Fractogel・EMD(商標)テンタクルゲル(Merck社製)が実験設定に使用できるかどうかに関する研究を行った。この金属イオンは実用したカラムマトリックスからNi2+−NTAアガロースの場合よりもさらに離れているので、結合したrフリン誘導体への基質の立体的接近を改善できると思われた。今回の実験設定では、プロX因子はテンタクルゲルに結合したrフリン誘導体によってプロセッシングされた。製造社の指示書に従ってNi2+イオンをFractogel・EMD(商標)テンタクルゲルに負荷し、新鮮な血清不含細胞培養培地と平衡させた。続いて、このカラムに血清不含CHO−rフリン誘導体上清液を負荷した。洗浄段階は添加するイミダゾール濃度を40mMまで徐々に上昇させながら血清不含細胞培養培地によって行った。次にカラムに血清不含CHO上清液としてプロ−X因子を通過させた。プロ−X因子から二重鎖型のX因子へのプロセッシングは特異的X因子抗血清によるウェスタンブロット分析によってカラムの溶離液中に検出した。
実施例4:試験管内でプロセッシングされた組換えX因子の活性
組換えX因子前駆体をrフリンの存在および不在下に4℃でインキュベーションした。所定の時間に試料を採取して−20℃で凍結した。インキュベーションの完了後(4日間後)、全試料についてFX・Coatest・Kit(Chromogenix社製)を使用してFX活性を検査した。各50μLの上清液をFX欠損ヒト血漿50μLと混合し、製造社の指示に従ってCaCl2存在下にヘビ毒(RVV)でrFXをrFXaにまで活性化し;次にrFXaを使用して発色性基質(S−2337)を加水分解して黄色のパラニトロアニリンを放出させた。着色の強度とrFXaの量とは相互に比例するので、rFXaまで活性化されたrFXの量/mL細胞培養上清液は、血漿希釈系の値から補正曲線に内挿して測定できる。これらの結果とrFX抗原の既知量(ELISAデータ)とを用いて、Xa因子にまで活性化されたrX因子の比率を%で算出できる。その結果を表1に示す。
CHOおよびCHO−rフリン上清液に存在する非特異的な蛋白質分解的活性を排除するために、これら二種の細胞培養上清液も検査した。
4日後でも、対照としてのCHO上清液(rフリン不在)とともにインキュベーションしたCHO−rFXはrFX活性に実質的な変化を示さなかった。このrFX活性は約800mU/mLであり、実験的な変動に依存して機能的rFXの55〜61%に対応する。これとは対照的に、CHO−rFXをCHO−rフリンとインキュベーションする時にはrFX活性はインキュベーションの間に着実に向上して61%(T=0)から86%にまで上昇した(表1)。これは発現の高度なクローンから得たCHO−rFXについてはrフリン誘導体を使用する試験管内プロセッシングが機能性のあるrFXaへと活性化されるrFXの比率を実質的に改善することを証明する。
Figure 0004317976
実施例5:フリン欠損細胞中における組換えX因子の発現
前実施例に記載したようにX因子前駆体蛋白質の場合にはフリンは試験管内ではプロペプチドの切断ならびに単鎖型から軽鎖/重鎖への切断を媒介する。これは発現されるrX因子の量に依存する様々な効率で、遍在するフリンによって、これらの切断が細胞内でも内在的に行われることを示唆する。これによって異質なrX因子型の混合物が産生される。
できるだけ均質で安定なrX因子分子の型を製造する方法の一つは内在性のプロテアーゼ、特にフリン、によるrX因子の切断を防止し、機能的には不活性なrX因子前駆体(この前駆体は後に、理想的には使用の直前に、下流のプロセッシングによって機能的に活性な型に転換される)を産生させることである。この方法は本来の活性化部位の代わりにフリン切断部位を含有するX因子類似体を産生するに当たっては殊に有用となる。このような構築物においては組換えrFX突然変異体は生体内で内在性フリンによって活性化でき、活性化された、不安定性が高い型のrFXを分泌するものである。これらの型からの分解反応は、たとえば細胞培養上清液の貯蔵の間または精製工程の間に起きるCHOプロテアーゼによる、または自己蛋白質分解による、高度な細胞溶解の細胞培養条件下などでは不活性な分解産物を与えることになる(Wolf、ほか著、1991年)。
この目的は、例えば、細胞内フリン活性を削減ないし防止できる薬剤を細胞培養培地に添加することによって達成できる。
もう一つの方法は最初からフリンが欠損している細胞
Figure 0004317976
を使用ものことである。
この目的のためには、フリンが欠損したCHO細胞のクローンFD11(Gordon、ほか著、1995年、Infect.Immun.、63巻:82〜87頁)にphAct−FXを20μgとpUCSV−neo(pUCベクター中にSV40プロモーターに制御されるネオマイシン耐性遺伝子を含む)を1μgとを共遺伝子移入した。安定なクローンを得るため、培地にはmL当り0.8μgのG418を添加した。フリン含有CHOクローンおよびフリン欠損CHOクローンの血清不含上清液中に分泌されたrX因子分子を比較するウェスタンブロットはrX因子前駆体がフリン欠損細胞中ではプロセッシングされないことおよび単鎖型のX因子前駆体のみが存在すること(図6)を証明した;これとは対照的に、中庸な発現では「正常な」細胞によってrX因子は完全にプロセッシングされたが、高度な発現ではフリンが内在するにも関わらずプロセッシングは非常に僅かであった。この分析に使用した細胞クローンのrFX発現レベルが低かったので、このブロットにはrX因子の軽鎖は目視できなかった。
実施例6:X因子類似体の製造(出願時点では出願人はこれを本発明実施の最適態様であると見做している)
6.1.X因子類似体製造用発現プラスミドの構築
組換えrX因子類似体の製造のためには、X因子からXa因子に至る活性化に役立つ切断部位Asn−Leu−Thr−Arg/Ile(アミノ酸231から235まで)を、たとえばフリン、FXIa、FXa、FXIIa、FIIまたはカリクレインのような種々のプロテアーゼに特異的な切断部位に置換する。これらのX因子類似体に対する発現プラスミドは全てプラスミドphAct−FX(実施例1に記載)から誘導する。
X因子発現プラスミドのクローニングを単純化するために、X因子をコードする位置番号+1から+1116までの領域を含むphAct−FX発現プラスミドからのHindIII−NaeIのDNA断片をプラスミドpUC19のHindIII/SmaI制限切断部位に挿入した。得られたプラスミドをpUC/FXと命名した。
そこで位置508から705までのヌクレオチド(アミノ酸160から235まで)のX因子配列をpUC/FXプラスミドから容易に除去でき、種々の突然変異体X因子DNA断片で置換できた。これらのDNA断片は、新しい切断部位をコードする位置691から705まで(アミノ酸231から235まで)を除けば除去した野生型X因子の配列と同一である。
pUC/FXプラスミドからBsp120IとBstXIの制限消化によって
野生型のX因子配列を除去した。これに加えて、BstXI部位の3’−オーバーハングを緑豆ヌクレアーゼ(Biolab社製)で除去した。
突然変異体X因子DNA断片はPCR法によって製造した。5’−プライマーは全てのクローニングについて同一であって、X因子配列の位置496から516までを含む。3’−プライマーはX因子(位置676から690まで)に相補的な配列および新らしい切断部位および制限切断部位の配列を有する非相補的な5’−末端を含む。増幅したPCR生成物を続いて適当な制限酵素で消化して、前に製造したpUC/FXベクター(前記参照)にクローニングした。
続いて、突然変異X因子DNA断片をpUC/FXプラスミドからのHindIII/AgeIでphAct−FXベクターに再クローニングした。図2.1および図2.2に最終的な各構築物を図式的に示す。野生型のX因子を構築物の対照として示す。アミノ酸は1文字表記とし、これに加えて、突然変異した位置を影付き文字とした。Asp−Phe−Thr−Arg/ValのFXIa切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCCTAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、およびオリゴヌクレオチド#1002(5’−ACCAGTT AACCCTGGT GAA GTC GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号4)を3’−プライマーとして使用した。こうして、X因子配列の位置231、232および235にあるアミノ酸Asn、LeuおよびIleをAsp、PheおよびValと置換した。このPCR断片はBst120IおよびHpaIによって平滑断端とした(図2A)。
Arg/SerのFIIa切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1003(5’−ACCA TCG CGA CCT GGT CAG GTT GTT GTC−3’)(配列番号5)を3’−プライマーとして用いた。こうして、位置235のアミノ酸IleをSerに突然変異させた。このPCR断片はBsp120IおよびNruIによって平滑断端とした(図2B)。
Ile−Lys−Pro−Arg/IleのFXIIa切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1004(5’−ACC AGA ATC GAT TCT GGG TTT GAT GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号6)を3’−プライマーとして使用した。こうして、FX配列の位置231、232および233のアミノ酸Asn、LeuおよびThrをIle、LysおよびProに突然変異させた。このPCR断片はBst120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2C)。
Ser−Met−Thr−Arg/Ileのカリクレイン切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCCTAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1005(5’−ACC AGA ATC GAT TCT GGT CAT GCT GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号7)を3’−プライマーとして使用した。こうして、X因子配列の位置231、232のアミノ酸Asn、LeuをSer、Metに突然変異させた。このPCR断片はBst120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2D)。
Pro−Gln−Gly−Arg/IleのFXa切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1016(5’−ACC AGA ATC GAT TCT TCC TTG GGG GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号8)を3’−プライマーとして使用した。こうして、FX蛋白質の位置231、232および233のアミノ酸Asn、LeuおよびThrをPro、GlnおよびGlyに突然変異させた。このPCR断片はBst120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2H)。
Met−Lys−Thr−Arg/IleのFXa切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1014(5’−ACC AGA ATC GAT TCT CGT TTT CAT GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号9)を3’−プライマーとして使用した。こうして、FX蛋白質の位置231、232のアミノ酸Asn、LeuをMet、Lysに突然変異させた。このPCR断片はBst120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2E)。
Ile−Glu−Gly−Arg/IleのFXa切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1015(5’−ACC AGA ATC GAT TCT TCC CTC GAT GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号10)を3’−プライマーとして使用した。こうして、FX蛋白質の位置231から233までのアミノ酸Asn、Leu、ThrをIle、Glu、Glyに突然変異させた。このPCR断片はBst120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2F)。
Arg−Arg−Lys−Arg/Ileのフリン切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1006(5’−ACC AGA ATC GAT TCT TTT CCT CCT GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号11)を3’−プライマーとして使用した。こうして、位置231から233までのアミノ酸Asn、Leu、およびThrをArg、ArgおよびLysに突然変異させた。このPCR断片はBsp120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2G)。
Arg−Val−Arg−Arg/Ileのフリン切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1007(5’−ACC AGA ATC GAT TCT CCT CAC CCT GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号12)を3’−プライマーとして使用した。こうして、位置231から233までのアミノ酸Asn、Leu、およびThrをArg、ValおよびArgに突然変異させた。このPCR断片はBsp120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2G)。
Arg−Arg−Arg−Arg/Ileのフリン切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1008(5’−ACC AGA ATC GAT TCT CCT CCT CCT GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号13)を3’−プライマーとして使用した。こうして、位置231から233までのアミノ酸Asn、Leu、およびThrをArg、ArgおよびArgに突然変異させた。このPCR断片はBsp120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2G)。
Arg−Pro−Lys−Arg/Ileのフリン切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1009(5’−ACC AGA ATC GAT TCT TTT GGG CCT GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号14)を3’−プライマーとして使用した。こうして、位置231から233までのアミノ酸Asn、Leu、およびThrをArg、ProおよびLysに突然変異させた。このPCR断片はBsp120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2G)。
Ile−Arg−Lys−Arg/Ileのフリン切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1010(5’−ACC AGA ATC GAT TCT TTT CCT GAT GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号15)を3’−プライマーとして使用した。こうして、位置231から233までのアミノ酸Asn、Leu、およびThrをIle、ArgおよびLysに突然変異させた。このPCR断片はBsp120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2G)。
Arg−Ser−Lys−Arg/Ileのフリン切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1011(5’−ACC AGA ATC GAT TCT TTT GCT CCT GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号16)を3’−プライマーとして使用した。こうして、位置231から233までのアミノ酸Asn、Leu、およびThrをArg、SerおよびLysに突然変異させた。このPCR断片はBsp120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2G)。
Arg−Val−Thr−Arg/Ileのフリン切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1012(5’−ACC AGA ATC GAT TCT GGT CAC CCT GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号17)を3’−プライマーとして使用した。こうして、位置231、232のアミノ酸Asn、LeuをArg、Valに突然変異させた。このPCR断片はBsp120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2G)。
Arg−Leu−Lys−Arg/Ileのフリン切断部位を製造するためには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1013(5’−ACC AGA ATC GAT TCT TTT GAG CCT GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号18)を3’−プライマーとして使用した。こうして、位置231および233のアミノ酸AsnおよびThrをArgおよびLysに突然変異させた。このPCR断片はBsp120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2G)。
Thr−Ser−Thr−Arg/IleのFXIIa切断部位を製造するには、オリゴヌクレオチド#1001(5’−CCC ACA GGG CCC TAC CCC TGT−3’)(配列番号3)を5’−プライマーとして使用し、オリゴヌクレオチド#1017(5’−ACC AGA ATC GAT TCT CGT GCT CGT GTT GTC GCC CCT CTC−3’)(配列番号19)を3’−プライマーとして使用した。こうして、FX蛋白質の位置231、232にあるアミノ酸Asn、LeuをIle、Lysに突然変異させた。このPCR断片はBst120Iおよび部分的にXmnIを用いて平滑断端とした(図2G)。
6.2.FXβ類似体製造用発現プラスミドの構築
これらの構築物は前記のX因子類似体構築物の位置470にTGA停止コドンを導入して誘導したものである。cDNAレベルで、位置457から停止コドンまでのアミノ酸をSpeIおよび部分的BstEII消化によって除去し、オリゴヌクレオチドのペア#0003(5’−GTC ACC GCC TTC CTC AAG TGG ATC GAC AGG TCC ATG AAA ACC AGG TGA A−3’)(配列番号20)および#0004(5’−CTA GTT CAC CTG GTT TTC ATG GAC CTG TCG ATC CAC TTG AGG AAG GCG−3’)(配列番号21)によって置換した。図7はXβ因子類似体構築物の図式的な表示である。図を単純化するために、Xβ因子類似体は全て一般的構築物として表示し、そこでは切断部位領域における変化可能なアミノ酸は影付き文字の「X」として表示してある。
6.3.FXa類似体製造用発現プラスミドの構築
重鎖N末端にある4.5kDa活性化ペプチドの除去によってX因子を活性化することによって、Xaα因子型が作製される。この型は続いて自己蛋白分解活性によって重鎖C末端のArg469とGly470との間で切断されてFXaβ型に変換される。活性化された後に無傷のβ−ペプチドを有し、完全にFXaα型にまで活性化されるX因子の製造を導くX因子発現プラスミドを製造するため、重鎖のこの領域がさらに分解されないようにアミノ酸Arg469をLysに突然変異させた。
この目的のためには、X因子の位置1363から停止シグナルまでのC−末端アミノ酸配列を部分的なBstEII−SpeI消化によって除去し、連結したオリゴヌクレオチドペア2本に置換した。オリゴヌクレオチド#0005(5’−GTC ACCGCC TTC CTC AAG TGG ATC GAC AGG TCC ATG AAA ACC AAG GGC TTG CCC AAG−3’)(配列番号22)およびオリゴヌクレオチド#0006(5’−TTG GCC TTG GGC AAG CCC TTG GTT TTC ATG GAC CTG TCG ATC CAC TTG AGG AAG GCG−3’)(配列番号23)を、オリゴヌクレオチド#0007(5’−GCC AAG AGC CAT GCC CCG GAG GTC ATA ACG TCC TCT CCA TTA AAG TGA GAT CCC A−3’)(配列番号24)およびオリゴヌクレオチド#0008(5’−CTA GTG GGA TCT CAC TTT AAT GGA GAG GAC GTT ATG ACC TCC GGG GCA TGG CTC−3’)(配列番号25)で連結した。アミノ酸Arg469の突然変異はオリゴヌクレオチドペア#0005〜#0006によって導入した。図7にこのFX類似体を図式的に表示する。
実施例7:X因子のN末端およびrフリンの存在および不在下でのプロセッシング生成物の構造決定
実施例1に記載のように内在性フリンを有するCHO細胞、および実施例5に記載のフリン欠損細胞中で、組換えX因子を発現した。rX因子を発現の高度なCHO−rFXクローンの細胞培養上清液であって、a)処置しないもの、b)37℃で12時間延長インキュベーションしたもの、c)CHO−rフリン上清液とともに37℃で12時間インキュベーションしたものから、ならびにCHO−FD11−rFXクローンの細胞培養上清液であって、d)処置しないもの、e)CHO−rフリン上清液とともに37℃で12時間インキュベーションしたものから、分離した。X因子のN末端アミノ酸および各反応混合物a)からe)までのプロセッシング生成物をエドマン分析によって測定した。この結果を図8に図式的に表示する。
発現の高度なCHO細胞から得たrX因子は成熟した重鎖および軽鎖の型ならびに単鎖型で存在するがその一部はまだプロペプチドを含む。これらの細胞培養上清液を37℃でインキュベーションした後(b)、すでにWolf、ほか(1991年、J.Biol.Chem.、266巻:13726〜13730頁)が記載しているように付加的アミノ酸3個Val38−Thr39−Arg40を持つ別のrFX軽鎖の不完全なN末端が形成される。これらの潜在末端はCHO−F11細胞から無処置で得たrFX物質(d)を配列決定した時にも見出される。この観察はこれらの不完全なN末端の形成がCHOプロテアーゼによるrFXの蛋白質分解を削減するように条件、すなわち細胞培養条件、貯蔵および精製工程、を最適化することによって防止できることを示す。
CHO細胞から得た精製材料a)およびb)とは反対に、非増幅、フリン欠損細胞から得たrFX(d)はプロセッシングされていない単鎖型前駆体の形でのみ存在する。プロペプチド部分に対応するN末端配列はいずれも見出されていない。これはフリン欠損CHO細胞中(d)では単鎖型のrFX前駆体はそれ以上には軽鎖/重鎖へのプロセッシングを受けないことを証明し、これは生体内におけるエンドプロテアーゼであるフリンのこのプロセッシング段階での中心的役割を示唆する。これに加えて、これはプロペプチドを含むrFX分子もフリン欠損CHO細胞中でプロセッシングされること、すなわち生体内のこのプロセッシング段階ではフリンは本質的役割を果たしていないこと、を示す。フリンの存在下には、CHO細胞からのrFX(c)およびCHO−FD11細胞からのrFX(e)のインキュベーション後には、正常なN末端を有する軽鎖および重鎖のみが見出される。これは単鎖型のFX前駆体ならびにプロペプチドを含むrFX分子は試験管内プロセッシングによって均質な成熟X因子に変換されることを証明する。そこでフリンの存在下にプロセッシングされたX因子は例外的な構造的完全性および均質性を示す。
実施例8:フリン切断部位Arg−Arg−Lys−Arg/Ileを有するFX類似体(rFX RRKR/I )の発現および特性解析
組換えrFXRRKR/I蛋白質を製造するために切断部位Arg−Arg−Lys−Arg/Ileを有するFX発現プラスミド(実施例6.1、図2G参照)および実施例1に記載した選択プラスミドpSV/dhfrをCHO細胞中に共遺伝子移入した。この細胞培養上清液のウェスタンブロット分析(図9)は組換え蛋白質が主として二重鎖型で存在することを示す。血漿FXと比べて重鎖は50kDではなくて46kDとして移動するが、これはこの組換え蛋白質のグリコシル化における変化に起因すると思われる。これに加えて、少量の単鎖型の前駆体(SC)が出現し、また野生型のrFXを発現した時に観察されたもの(実施例1.b)と同様な軽鎖のLC4アイソフォームが出現した。rFX類似体のこれらの分子型は内在性プロテアーゼによる単鎖型のFX前駆体のプロセッシングならびに軽鎖のγ−カルボキシル化は限定されたものであることを示唆する。FX類似体に導入された切断部位はフリンの共通配列を表すが、この蛋白質の活性化型に対応するものであるかもしれない蛋白質のバンド(35kD、31kD)は見られない。切断部位領域の構造またはその近辺のアミノ酸配列は、生体内でのフリンによる修正活性化部位のプロセッシングについては最適以下の配置を表すと思われる。
実施例9:rフリン誘導体によるrFX RRKR/I 蛋白質の試験管内活性化
試験管内でrフリンによって組換えFX類似体がFXaのα型(35kD)とβ型(31kD)とにまで活性化される性能を、実施例2に記載したような混合実験によって試験した。しかしながら、この試験は、CHO−rフリン上清液を使用する代わりに、欧州特許EP0775750−A2に記載されている精製rフリン誘導体であるrフリンΔCys−スペーサー−10×Hisを150mM−NaCl、2mM−CaCl2、および0.2%BSAを含有する10mM−Hepes、pH7.0中で使用した点で相違する。rフリン不在の対照実験では150mM−NaCl、2mM−CaCl2、および0.2%BSAを含有する緩衝液10mM−Hepes、pH7.0とCHO−rFX類似体上清液とを比率1:1で混合した。反応混合物の適量をインキュベーション前および37℃で6時間、24時間、48時間、および72時間のインキュベーション後(t=0、6、24、48、72)にウェスタンブロット分析を使用してrFX活性化について試験した(図10)。rフリン誘導体の不在下では、72時間のインキュベーション後にもrFXRRKR/Iのバンドパターンは不変であった(図10B)が、他方ではrフリンの存在下には血漿FXのα型に対応する35kD重鎖蛋白質バンド(図10A、レーン9)が6時間後には既に出現していた(図10A、レーン5)。インキュベーションの過程で、このα型が蓄積して、72時間のインキュベーション後(図10A、レーン8)には出発物質(HC)の約50%が活性化型に変換された。約24時間後に出現し、および活性化血漿FXのβ−型(図10A、レーン9)に対応する別の31kD重鎖蛋白質バンド(図10A、レーン6)は、組換えFX類似体から作製されたα型は自己蛋白質分解活性を持ち、それで機能的であることを示す。
これらの結果はrFX類似体の異種活性化切断部位Arg−Arg−Lys−Arg/Ileが試験管内でrフリン誘導体によって特異的に認識され、正常に切断されるので、rFX類似体をα型およびβ型のFXa分子にまで活性化するために適していることが証明される。
実施例10:試験管内で活性化された組換えFX類似体rFX RRKR/I の機能性
実施例9の混合実験で得た試料の適量を色素原試験によりFXa活性について試験した。被験物質の適量を150mM−NaCl、0.1%BSAを含有する50mM−Tris、pH7.3中で、色素原基質S2337(600μM)と混合した。37℃で3分間インキュベーションした後、20%酢酸で反応を停止し、次にODを405nmで測定した。反応混合物中にある組換えFXa活性の量は精製RVV活性化血漿FXaで作製した補正曲線と比較して決定した。この分析の結果、使用した抗原の量(ELISAデータ)、およびそれらから算出した比活性を表2に示す。
rフリン溶液およびCHO細胞培養上清液中の不都合なアミド分解活性を除外するため、非遺伝子移入CHO細胞の上清液と精製rフリン誘導体との混合物もFXa活性について試験した(CHO+rフリン)。この混合物中では厳密にrFX類似体/緩衝液混合物におけるものと同様にして(rFXRRKR/I+緩衝液)インキュベーション72時間の後にもFXa活性は検出されなかった。これとは対照的に、rFXRRKR/I/rフリン反応の場合には、6時間のインキュベーション後にはすでに56mUのrFXa活性が検出され、これはインキュベーションの進行につれて定常的に増加し、72時間後には133mUに達した。この点ではウェスタンブロットによれば、rFX類似体の約半分だけが反応して活性化されたα型およびβ型になっていた(図10A、レーン8)のであるが、試験管内で活性化されたrFX類似体物質はRVVで完全に活性化された血漿FX(153mU/μg)よりも高い比活性である190mU/μgを示した。測定された活性増加はウェスタンブロット中にあるα型およびβ型の出現(図10A、レーン5〜8)に対応する。
これは各プロテアーゼが認識し、切断する異種プロテアーゼ切断部位をFXに導入できること、および機能可能な型における高品質なrFXa(または所望ならば、FXa活性を有するrFXa類似体)が組換え技術によって製造できることを証明する。
Figure 0004317976
実施例11:FXIa切断部位Asp−Phe−Thr−Arg/Val(rFX DFTR/V )を有するrFXa類似体の血漿FXIaによる試験管内活性化
FX活性化配列からFXIa切断部位への突然変異誘発によってFX構築物を製造した。続いて、これらの分子を発現する安定なCHO細胞クローンを樹立した。150mM−NaCl、8mM−CaCl2、PCPSおよび0.1%BSAを含有する10mM−トリス、pH7.3の存在下、rFXDFTR/Vを含むCHO細胞培養物上清液を精製血漿FXIa(100μg/mL)と混合し、37℃で所定の時間インキュベーションした。ネガティブ対照として、細胞培養上清液をBSA含有緩衝液のみとインキュベーションした。rFXDFTR/V蛋白質および得られる活性化生成物をウェスタンブロット分析によって分析した(図11)。インキュベーション前(t=0)のFXIa不含混合物に見られるように、組換え蛋白質(図11、レーン5)は二重鎖型の血漿のFXとほとんど同一であって(レーン2)、唯一の相違は実施例8でrFXRRKRの場合に観察されたように重鎖(HC)の分子量が50kDよりもわずかに少ないことである。この混合物の37℃におけるインキュベーションの間には(図11、レーン6)、バンドのパターンに顕著な変化は現れなかった。CHO−rFX類似体/FXIa混合物においては、精製FXIaを添加した後であって、細胞培養上清液と実際にインキュベーションをする前に35kDおよび31kDの蛋白質バンドが急速に現れる(図11、レーン3)。これらのバンドはそのサイズから血漿にある重鎖のα型およびβ型に対応する(図11、レーン9)。これら二つの型はFXIaとのインキュベーション4時間の後にはかなり増加する(図11、レーン4)。
これは血液凝固経路において活性な蛋白質分解酵素に関する異種プロテアーゼ切断部位を有するFX類似体が後者によって成功裏にプロセッシングできることを証明する。
これに加えて、rFXaα類似体の自己蛋白質分解活性の結果であるrFXaβバンドの存在によって、得られたrFXaα類似体の機能的な活性を証明することに成功した。
配列表
(2)配列番号1の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:34塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号1:
Figure 0004317976
(2)配列番号2の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:24塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号2:
Figure 0004317976
(2)配列番号3の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:21塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号3:
Figure 0004317976
(2)配列番号4の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:37塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号4:
Figure 0004317976
(2)配列番号5の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:28塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号5:
Figure 0004317976
(2)配列番号6の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号6:
Figure 0004317976
(2)配列番号7の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号7:
Figure 0004317976
(2)配列番号8の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号8:
Figure 0004317976
(2)配列番号9の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号9:
Figure 0004317976
(2)配列番号10の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号10:
Figure 0004317976
(2)配列番号11の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号11:
Figure 0004317976
(2)配列番号12の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号12:
Figure 0004317976
(2)配列番号13の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号13:
Figure 0004317976
(2)配列番号14の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号14:
Figure 0004317976
(2)配列番号15の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号15:
Figure 0004317976
(2)配列番号16の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号16:
Figure 0004317976
(2)配列番号17の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号17:
Figure 0004317976
(2)配列番号18の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号18:
Figure 0004317976
(2)配列番号19の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:39塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号19:
Figure 0004317976
(2)配列番号20の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:49塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号20:
Figure 0004317976
(2)配列番号21の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:48塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号21:
Figure 0004317976
(2)配列番号22の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:57塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号22:
Figure 0004317976
(2)配列番号23の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:57塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号23:
Figure 0004317976
(2)配列番号24の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:55塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号24:
Figure 0004317976
(2)配列番号25の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:54塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(xi)配列:配列番号25:
Figure 0004317976
(2)配列番号26の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:1467塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:DNA(ゲノミック)
(ix)特徴:
(A)名称/キー:CDS
(B)位置:1..1467
(xi)配列:配列番号26:
Figure 0004317976
Figure 0004317976
Figure 0004317976
(2)配列番号27の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:489アミノ酸
(B)型:アミノ酸
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)分子の種類:タンパク質
(xi)配列:配列番号27:
Figure 0004317976
Figure 0004317976
Figure 0004317976

Claims (46)

  1. 天然型Xa因子活性化切断部位の領域に修飾を有していることを特徴とするX因子類似体であって、該修飾は、配列番号27で示されるX因子配列におけるGly228−R6−R5−R4−R3−R2−Arg234−R1
    (ここに、
    a)R1はIle、Val、Ser、ThrまたはAlaから選択されたアミノ酸であり;
    b)R2はPro、Gly、LysまたはArgから選択されたアミノ酸であり;
    c)R3はPhe、Lys、Met、Gln、Glu、Ser、Val、ArgまたはProから選択されたアミノ酸であり;
    d)R4はAsp、Ile、Ser、Met、Pro、Thr、ArgまたはLysから選択されたアミノ酸であり;
    e)R5はAsn、Lys、Ser、Glu、Ala、Gln、HisまたはArgから選択されたアミノ酸であり;および
    f)R6はAsp、Phe、Thr、Arg、LeuまたはSerから選択されたアミノ酸である)
    で示される配列によって表される、ケキシン/Kex2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4およびLPC/PC7からなるエンドプロテアーゼの群;またはIIa因子、XIIa因子、XIa因子、Xa因子およびカリクレインからなるセリンプロテアーゼの群から選択されたプロテアーゼのためのプロセッシング部位を表すもの。
  2. さらなる修飾を前記X因子アミノ酸配列のC末端の領域に有することを特徴とする請求項1のX因子類似体。
  3. 修飾をβ−ペプチド切断部位のC末端領域に有することを特徴とする請求項2のX因子類似体。
  4. その修飾が前記X因子アミノ酸配列のアミノ酸位置Arg469とSer476との間の領域における突然変異、欠失、または挿入であることを特徴とする請求項3のX因子類似体。
  5. その修飾がβ−ペプチドの切取を防止するものであることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか一つのX因子類似体。
  6. X因子のβ−ペプチドの欠失を有することを特徴とする請求項2のX因子類似体。
  7. 前記X因子配列のC末端領域に翻訳停止シグナルを有することを特徴とする請求項2のX因子類似体。
  8. 前記X因子配列のアミノ酸Gly470をコードするコドンGGCが翻訳停止シグナルで置換されていることを特徴とする請求項7のX因子類似体。
  9. 前記修飾がX因子類似体からXa因子類似体への試験管内活性化を可能にすることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一つのX因子類似体。
  10. その修飾が、ケキシン/Kex2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4およびLPC/PC7からなるエンドプロテアーゼの群;またはIIa因子、XIIa因子、XIa因子、Xa因子およびカリクレインからなるセリンプロテアーゼの群から選択されたプロテアーゼによる活性化を可能にすることを特徴とする請求項のX因子類似体。
  11. その修飾がX因子類似体からXa因子類似体への生体内活性化を可能にすることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか一つのX因子類似体。
  12. その修飾がXIIa因子、XIa因子、IIa因子、Xa因子およびカリクレインからなるセリンプロテアーゼの群から選択されたプロテアーゼによる活性化を可能にすることを特徴とする請求項11のX因子類似体。
  13. 無変化のβ−ペプチドを有するX因子類似体またはアミノ酸470からアミノ酸488が欠失した短縮されたC末端を有するX因子類似体として提供されることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか一つのX因子類似体。
  14. 単鎖型の分子として提供されることを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか一つのX因子類似体。
  15. コードされたプロテインの組換え発現のためのベクターに含まれている請求項1から請求項14までのいずれか一つのX因子類似体をコードする組換えDNA。
  16. 天然型Xa因子活性化部位の領域に修飾を有する精製X因子類似体またはその前駆体蛋白質を含有する調製物であって、該修飾は、配列番号27で示されるX因子酸配列におけるGly228−R6−R5−R4−R3−R2−Arg234−R1
    (ここに、
    a)R1はIle、Val、Ser、ThrまたはAlaから選択されたアミノ酸であり;
    b)R2はPro、Gly、LysまたはArgから選択されたアミノ酸であり;
    c)R3はPhe、Lys、Met、Gln、Glu、Ser、Val、ArgまたはProから選択されたアミノ酸であり;
    d)R4はAsp、Ile、Ser、Met、Pro、Thr、ArgまたはLysから選択されたアミノ酸であり;
    e)R5はAsn、Lys、Ser、Glu、Ala、Gln、HisまたはArgから選択されたアミノ酸であり;および
    f)R6はAsp、Phe、Thr、Arg、LeuまたはSerから選択されたアミノ酸である)
    で示される配列によって表される、ケキシン/Kex2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4およびLPC/PC7からなるエンドプロテアーゼの群;またはIIa因子、XIIa因子、XIa因子、Xa因子およびカリクレインからなるセリンプロテアーゼの群から選択されたプロテアーゼのプロセッシング部位を表すもの。
  17. X因子類似体がFXaα類似体として提供されることを特徴とする請求項16の調製物。
  18. そのX因子類似体がアミノ酸470からアミノ酸488が欠失した短縮されたC末端を有するX因子類似体として提供されるものであることを特徴とする請求項16または17の調製物。
  19. 単離された単鎖型分子としてX因子類似体を含有することを特徴とする請求項16から請求項18までのいずれか一つの調製物。
  20. 少なくとも80%の純度を有し、また非特異的プロセッシングによって形成されるX因子/Xa因子類似体の中間体を含有せず、細胞内プロテアーゼによりXa因子に活性化されない単鎖型分子のX因子類似体を含有することを特徴とする請求項16から請求項19までのいずれか一つの調製物。
  21. 少なくとも90%の純度を有する前記X因子類似体を含有することを特徴とする請求項20の調製物。
  22. 少なくとも95%の純度を有する前記X因子類似体を含有することを特徴とする請求項20の調製物。
  23. 単離された二重鎖型分子としてX因子類似体を含有することを特徴とする請求項16から請求項22までのいずれか一つの調製物。
  24. X因子類似体からXa因子類似体への試験管内活性化を可能とする修飾を有するX因子類似体を含有することを特徴とする請求項16から請求項23までのいずれか一つの調製物。
  25. ケキシン/Kex2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4およびLPC/PC7からなるエンドプロテアーゼの群;またはXIIa因子、XIa因子、Xa因子、IIa因子およびカリクレインからなるセリンプロテアーゼの群から選択されたプロテアーゼと組合せて適当な用具中で提供されることを特徴とする請求項16から請求項24までのいずれか一つの調製物。
  26. 投与用の用具中で提供されることを特徴とする請求項25の調製物。
  27. 各成分が別々に分けて提供されることを特徴とする請求項25または26の調製物。
  28. X因子類似体からXa因子類似体への生体内活性化を可能にする修飾を有するX因子類似体を含有することを特徴とする請求項16から請求項23までのいずれか一つの調製物。
  29. Xa因子類似体を含有する調製物であって、請求項1から請求項14までのいずれか一つのX因子類似体の活性化によって得られ、非特異的プロセッシングによって形成されるX因子/Xa因子類似体の中間体およびXaβ因子およびXaγ因子を含有しないもの。
  30. 生理学的に許容される担体を含有し、安定に貯蔵可能な型で提供されることを特徴とする請求項16から請求項29までのいずれか一つの調製物。
  31. 次の各工程を包含することを特徴とする精製された組換えX因子類似体を含有する調製物の製造法:
    請求項15の組換えDNAを提供する。
    − 適当な細胞を形質転換する。
    − X因子類似体を発現する。
    − そのX因子類似体を分離する。および
    − クロマトグラフィー法によってそのX因子類似体を精製する。
  32. X因子類似体を発現させた後に、そのX因子類似体をプロテアーゼとインキュベーションする工程を含む請求項31の製造法。
  33. そのX因子類似体を二重鎖分子として分離することを特徴とする請求項31または32の製造法。
  34. X因子類似体がXa因子類似体へと切断される条件下に、ケキシン/Kex2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4およびLPC/PC7からなるエンドプロテアーゼの群;またはIIa因子、XIIa因子、XIa因子、Xa因子およびカリクレインからなるセリンプロテアーゼの群から選択されたプロテアーゼと該X因子類似体を接触させることを特徴とする請求項32または33に記載の製造法。
  35. その細胞が単鎖型からX因子類似体の軽鎖および重鎖まで切断できるプロテアーゼを発現しない細胞であることを特徴とする請求項34の製造法。
  36. 前記細胞がプロテアーゼを欠損するものである請求項35の製造法。
  37. その細胞が、ケキシン、フリンまたはPACEから選択されるエンドプロテアーゼを発現しないことを特徴とする請求項35または36の製造法。
  38. そのX因子類似体を単鎖型分子として分離することを特徴とする請求項31の製造法。
  39. 単鎖型のX因子類似体と、ケキシン/Kex2、フリン/PACE、PC1/PC3、PC2、PC4、PACE4およびLPC/PC7からなるエンドプロテアーゼの群から選択されたプロテアーゼとを、単鎖型のX因子類似体が切断されて二重鎖X因子型になる条件下に、接触させることを特徴とする請求項38の製造法。
  40. 単鎖型のX因子類似体が単離されている請求項39の製造法。
  41. 単鎖型のX因子類似体を直接的にXa因子類似体にまで活性化することを特徴とする請求項39または40の製造法。
  42. 前記単鎖型のX因子類似体がプロテアーゼと接触させることにより活性化される、請求項41の製造法。
  43. 二重鎖型のX因子類似体を第一のプロテアーゼとは異なる別のプロテアーゼと接触させて、Xa因子類似体にまで活性化することを特徴とする請求項39または40の製造法。
  44. そのプロテアーゼが固定化されていることを特徴とする請求項31から請求項43までのいずれか一つの製造法。
  45. 請求項31から請求項40までのいずれか一つの製造法に従って製造したX因子類似体を活性化工程に付すことを特徴とする、Xa因子類似体を含有する調製物の製造法。
  46. 精製されたXa因子類似体であって、非特異的プロセッシングによって形成されるX因子/Xa因子類似体の中間体を含まないものを得ることを特徴とする請求項45の製造法。
JP53706298A 1997-02-27 1998-02-27 修飾されたプロテアーゼ切断部位を有するx因子類似体 Expired - Lifetime JP4317976B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
AT335/97 1997-02-27
AT0033597A AT405516B (de) 1997-02-27 1997-02-27 Faktor x-analoge mit modifizierter proteasespaltstelle
PCT/AT1998/000045 WO1998038317A1 (de) 1997-02-27 1998-02-27 Faktor x-analoge mit modifizierter proteasespaltstelle

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001513631A JP2001513631A (ja) 2001-09-04
JP4317976B2 true JP4317976B2 (ja) 2009-08-19

Family

ID=3487868

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP53706298A Expired - Lifetime JP4317976B2 (ja) 1997-02-27 1998-02-27 修飾されたプロテアーゼ切断部位を有するx因子類似体

Country Status (17)

Country Link
US (2) US6573071B1 (ja)
EP (1) EP0966536B1 (ja)
JP (1) JP4317976B2 (ja)
AR (1) AR012034A1 (ja)
AT (2) AT405516B (ja)
AU (1) AU744428B2 (ja)
BR (1) BR9807627A (ja)
CA (1) CA2282707A1 (ja)
CZ (1) CZ298298B6 (ja)
DE (1) DE59813518D1 (ja)
ES (1) ES2263199T3 (ja)
HU (1) HU225246B1 (ja)
IL (2) IL131346A0 (ja)
NO (1) NO327878B1 (ja)
PL (1) PL190734B1 (ja)
SK (1) SK286359B6 (ja)
WO (1) WO1998038317A1 (ja)

Families Citing this family (45)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AT405517B (de) * 1997-02-27 1999-09-27 Immuno Ag Faktor x-deletionsmutanten und analoge davon
IL129427A0 (en) * 1999-04-13 2000-02-17 Yeda Res & Dev Preparation of biologically active molecules
AT410216B (de) * 1999-08-10 2003-03-25 Baxter Ag Faktor x-analogon mit verbesserter aktivierbarkeit
AU2001249389A1 (en) * 2000-03-22 2001-10-03 The Children's Hospital Of Philadelphia Modified blood clotting factors and methods of use
US7223577B2 (en) * 2000-11-17 2007-05-29 Allergan, Inc. Post-translational modifications and Clostridial neurotoxins
FR2831170B1 (fr) * 2001-10-19 2004-03-19 Inst Nat Sante Rech Med Proteines c modifiees activables directement par la thrombine
FR2841904B1 (fr) * 2002-07-03 2004-08-20 Inst Nat Sante Rech Med Analogues de facteurs x clivables par la thrombine
AU2003279754A1 (en) * 2002-10-04 2004-05-04 Schering Aktiengesellschaft Modified hepsin molecules having a substitute activation sequence and uses thereof
DE602005021509D1 (de) * 2004-08-17 2010-07-08 Csl Behring Gmbh Modifizierte vitamin-k-abhängige polypeptide
EP1728798A1 (en) * 2005-06-01 2006-12-06 ZLB Behring GmbH Coagulation factor X polypeptides with modified activation properties
US7855279B2 (en) * 2005-09-27 2010-12-21 Amunix Operating, Inc. Unstructured recombinant polymers and uses thereof
US7846445B2 (en) * 2005-09-27 2010-12-07 Amunix Operating, Inc. Methods for production of unstructured recombinant polymers and uses thereof
MX2008006313A (es) * 2005-11-15 2008-11-06 Philadelphia Children Hospital Metodos y composiciones para modular la hemostasia.
EP1820508A1 (en) 2006-02-21 2007-08-22 CSL Behring GmbH Coagulation factor X polypeptides with modified activation properties
WO2007122975A1 (ja) 2006-04-20 2007-11-01 Kringle Pharma Inc. Hgf前駆体蛋白質改変体及びその活性型蛋白質
US9956272B2 (en) 2007-05-30 2018-05-01 Bio Products Laboratory Limited Methods for preparing factor X, activated factor X, inactivated factor X and inactivated factor Xa, and pharmaceutical compositions comprising same
GB0710321D0 (en) * 2007-05-30 2007-07-11 Nhs Blood & Transplant Method
CN103298935A (zh) * 2007-08-15 2013-09-11 阿穆尼克斯公司 用于改善生物活性多肽性能的组合物和方法
SG185263A1 (en) 2007-09-28 2012-11-29 Portola Pharm Inc Antidotes for factor xa inhibitors and methods of using the same
JP5709316B2 (ja) * 2008-11-14 2015-04-30 ポートラ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド 第Xa因子阻害剤のための解毒剤および血液凝固剤と組み合わせて該解毒剤を使用する方法
US8680050B2 (en) * 2009-02-03 2014-03-25 Amunix Operating Inc. Growth hormone polypeptides fused to extended recombinant polypeptides and methods of making and using same
US8703717B2 (en) * 2009-02-03 2014-04-22 Amunix Operating Inc. Growth hormone polypeptides and methods of making and using same
KR101544245B1 (ko) 2009-02-03 2015-08-12 아뮤닉스 오퍼레이팅 인코포레이티드 연장된 재조합 폴리펩티드 및 이를 포함하는 조성물
WO2010117729A1 (en) 2009-03-30 2010-10-14 Portola Pharmaceuticals, Inc. Antidotes for factor xa inhibitors and methods of using the same
US9849188B2 (en) 2009-06-08 2017-12-26 Amunix Operating Inc. Growth hormone polypeptides and methods of making and using same
CA2764108A1 (en) * 2009-06-08 2010-12-16 Amunix Operating Inc. Glucose-regulating polypeptides and methods of making and using same
EP2453910B1 (en) 2009-07-15 2016-08-31 Portola Pharmaceuticals, Inc. Unit dose formulation of antidote for factor xa inhibitors for use in preventing bleeding
EP3222287A1 (en) * 2009-08-24 2017-09-27 Amunix Operating Inc. Coagulation factor ix compositions and methods of making and using same
WO2011123830A2 (en) 2010-04-02 2011-10-06 Amunix Operating Inc. Alpha 1-antitrypsin compositions and methods of making and using same
WO2013049804A1 (en) 2011-09-30 2013-04-04 The Children's Hospital Of Philadelphia Compositions and methods for modulating hemostasis
SI2814840T1 (sl) 2012-02-15 2020-06-30 Bioverativ Therapeutics Inc. Sestavki faktorja VIII in postopki njihove izdelave in uporabe
EA201491388A1 (ru) 2012-02-15 2015-01-30 Байоджен Айдек Ма Инк. Рекомбинантные белки фактора viii
CN107496932A (zh) 2012-02-27 2017-12-22 阿穆尼克斯运营公司 Xten缀合组合物和制造其的方法
GB201211617D0 (en) * 2012-06-29 2012-08-15 Univ Aberdeen Production of cyclic peptides
EA028865B1 (ru) 2012-07-25 2018-01-31 Каталист Биосайенсиз, Инк. Модифицированные полипептиды фактора х и их применение
AU2014210830A1 (en) 2013-01-31 2015-07-16 Pfizer Inc. Compositions and methods for counteracting Factor Xa inhibition
FR3001729B1 (fr) * 2013-02-04 2015-03-06 Lab Francais Du Fractionnement Mutants du facteur x
WO2014140103A2 (en) * 2013-03-12 2014-09-18 Novo Nordisk A/S Thrombin sensitive coagulation factor x molecules
EP3033097B1 (en) 2013-08-14 2021-03-10 Bioverativ Therapeutics Inc. Factor viii-xten fusions and uses thereof
WO2015044836A1 (en) 2013-09-24 2015-04-02 Pfizer Inc. Compositions comprising heterogeneous populations of recombinant human clotting factor xa proteins
RU2585532C2 (ru) * 2014-01-31 2016-05-27 Федеральное государственное учреждение "Федеральный исследовательский центр "Фундаментальные основы биотехнологии" Российской академии наук"(ФИЦ Биотехнологии РАН) Плазмида для экспрессии рекомбинантного фактора свёртываемости крови ix человека, клетка сно - продуцент рекомбинантного фактора свёртываемости крови ix человека и способ получения указанного фактора
US10676731B2 (en) 2014-08-19 2020-06-09 The Children's Hospital Of Philadelphia Compositions and methods for modulating factor IX function
EA201890423A1 (ru) 2015-08-03 2018-07-31 Биовератив Терапьютикс Инк. Слитые белки фактора ix, способы их получения и применения
TWI744247B (zh) 2015-08-28 2021-11-01 美商亞穆尼克斯製藥公司 嵌合多肽組合體以及其製備及使用方法
KR102613936B1 (ko) * 2020-11-13 2023-12-15 한국생명공학연구원 자가분해능이 저하된 켁신 효소 및 이의 생산 방법

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AT366916B (de) * 1980-04-02 1982-05-25 Immuno Ag Vorrichtung zur applikation eines gewebeklebstoffes auf basis von menschlichen oder tierischenproteinen
US4501731A (en) 1983-06-27 1985-02-26 Tishkoff Garson H Treatment of disparate bleeding disorders with factor X zymogen
AT382783B (de) * 1985-06-20 1987-04-10 Immuno Ag Vorrichtung zur applikation eines gewebeklebstoffes
US5597799A (en) * 1990-09-04 1997-01-28 Cor Therapeutics, Inc. Recombinant agents affecting thrombosis
WO1992009698A1 (en) 1990-11-26 1992-06-11 Genetics Institute, Inc. Expression of pace in host cells and methods of use thereof
US5621039A (en) 1993-06-08 1997-04-15 Hallahan; Terrence W. Factor IX- polymeric conjugates
DE4325872C1 (de) 1993-08-02 1994-08-04 Immuno Ag Virusinaktivierte Faktor Xa-Präparation
AT401270B (de) 1994-09-26 1996-07-25 Immuno Ag Verfahren zur quantifizierung von genomischer dna
AT404838B (de) 1995-11-24 1999-03-25 Immuno Ag Herstellung von proteinen aus pro-proteinen durch fusionsproteine abgeleitet von furin oder furinanalogen
AT405517B (de) * 1997-02-27 1999-09-27 Immuno Ag Faktor x-deletionsmutanten und analoge davon

Also Published As

Publication number Publication date
CA2282707A1 (en) 1998-09-03
NO994139D0 (no) 1999-08-26
PL190734B1 (pl) 2005-12-30
ES2263199T3 (es) 2006-12-01
CZ298298B6 (cs) 2007-08-22
CZ303299A3 (cs) 2000-02-16
IL131346A0 (en) 2001-01-28
HU225246B1 (en) 2006-08-28
BR9807627A (pt) 2000-02-22
SK286359B6 (sk) 2008-08-05
EP0966536B1 (de) 2006-04-26
HUP0100652A3 (en) 2003-01-28
PL335382A1 (en) 2000-04-25
ATA33597A (de) 1999-01-15
HUP0100652A1 (hu) 2001-06-28
US20030181381A1 (en) 2003-09-25
AR012034A1 (es) 2000-09-27
JP2001513631A (ja) 2001-09-04
NO994139L (no) 1999-10-27
AU744428B2 (en) 2002-02-21
DE59813518D1 (de) 2006-06-01
SK117199A3 (en) 2000-05-16
AU6200298A (en) 1998-09-18
IL131346A (en) 2007-05-15
US6573071B1 (en) 2003-06-03
WO1998038317A1 (de) 1998-09-03
AT405516B (de) 1999-09-27
ATE324454T1 (de) 2006-05-15
EP0966536A1 (de) 1999-12-29
US7220569B2 (en) 2007-05-22
NO327878B1 (no) 2009-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4317976B2 (ja) 修飾されたプロテアーゼ切断部位を有するx因子類似体
JP4108761B2 (ja) X因子欠失突然変異体およびそのアナログ
US5580560A (en) Modified factor VII/VIIa
US6958322B1 (en) Factor X analog with an improved ability to be activated
MXPA99007817A (en) Factor x deletion mutants and analogues thereof
MXPA99007768A (en) Factor x analogues with a modified protease cleavage site

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080108

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080408

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080526

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080508

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080616

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080606

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081118

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090414

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090512

A72 Notification of change in name of applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A721

Effective date: 20090501

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120605

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130605

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term