JP4308577B2 - 基板処理方法及び基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、本発明は、半導体デバイスの製造において半導体基板上に絶縁膜を形成する基板処理方法及び基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造工程において、例えばSOD(Spin on Dielectric)システムにより層間絶縁膜を形成している。このSODシステムでは、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」と呼ぶ。)上に塗布膜をスピンコートし、加熱等の物理的処理や化学的処理を施して絶縁膜を形成している。
【0003】
近年多用されているデュアルダマシン工程において、エッチングの精度を高めるため、あるいはハードマスク等を形成するために、二種以上の異なる絶縁膜を用いて絶縁膜を積層している。従って、通常、1枚の半導体ウェハにおいては、微細な空孔を有する多孔質の絶縁膜とそうではない非多孔質の絶縁膜とが混在した状態となっている。
【0004】
一般的に多孔質の絶縁膜が形成された後、この多孔質の絶縁膜上に非多孔質等の他の絶縁膜を形成して積層する場合、当該他の絶縁膜をスピンコートにより成膜している。ここで、下層となる多孔質の絶縁膜に他の絶縁膜を形成する場合、他の絶縁膜の絶縁膜材料が下層の多孔質絶縁膜上で拡散しにくく、当該他の絶縁膜を形成するために大量の絶縁膜材料を要するという問題があった。
【0005】
この問題を解決するために、基板にレジスト膜を形成する場合と同様に、あらかじめ下層となる多孔質の絶縁膜の表面にシンナ等の揮発性溶剤を塗布してプリウェットを行うことにより、下層の絶縁膜と当該他の絶縁膜の絶縁膜材料との接触角を小さくし、容易に拡散させることが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−153799号公報(段落[0030]、図3等参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、シンナを用いてプリウェットを行う場合、あらかじめ絶縁膜の表面にUV等を照射し、絶縁膜の表面を改質しておく必要がある。このようなUVを発生させる装置は非常に大型であるため、基板処理装置全体の大きさが大型化し、また、処理工程も煩雑になり、複数のUV処理システムが必要になるという問題がある。
【0008】
また、プリウェットに使用する塗布液の使用量を削減するという従来からの要請もある。
【0009】
上記事情に鑑みて、本発明の目的は、装置が大型化せず、処理工程が煩雑でなく、プリウェットに使用する塗布液の使用量も削減できる基板処理方法、またその方法を用いた基板処理装置を提供することにある。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る基板処理方法は、(a)基板の表面上に15℃〜30℃の温度に調節されたオゾン水を塗布することで、該基板の表面をプリウェットする工程と、(b)前記工程(a)によってプリウェットされた前記基板の表面に絶縁膜を形成する工程とを具備する。
【0011】
このような構成であれば、基板をプリウェットするのにオゾン水を用いることにより、基板上で該オゾン水が気化するのを抑えることができる。従来では、プリウェットするのにシンナを用いており、シンナは揮発性を有し基板上で揮発してしまうため、塗布量が余分に必要であった。本発明により、基板上におけるオゾン水の気化が抑えられるため、プリウェットに必要な塗布量を削減することができる。また、従来のような例えばシンナ等によるプリウェットには、プリウェット前に基板表面をUV処理する工程が必要であり、それぞれの塗布処理においてUV処理する必要があったが、オゾン水を用いればこのようなUV処理工程は不要になる。これにより、基板を処理する工程を短縮することができる。
【0012】
ここで、基板の表面は、基板に形成された絶縁膜の表面を含むものとする。プリウェットとは、被処理体の表面で絶縁膜材料が拡散されやすくするため、例えばスピンコート法によって絶縁膜を形成する直前に、絶縁膜材料との接触角が小さくなるような材料を基板に塗布する処理をいう。以下同様である。
【0013】
また、オゾン水を基板のプリウェットに適した温度にすることができる。これにより、プリウェットが確実に行われることとなる。
【0014】
さらにオゾン水を用いた場合、基板の表面に付着した有機物を除去することができる。基板に形成された絶縁膜は表面粗さが粗いほどその表面に別の絶縁膜を形成したときに密着性が高くなる。すなわち、この密着性は表面の粗さに左右される。基板に形成された絶縁膜の表面を酸化し、さらに表面粗さを粗くすることにより、酸化された絶縁膜の表面に形成する別の絶縁膜との密着性を向上させることができる。ここで、オゾン水とは、水にオゾンを所定濃度で溶解させたものをいう。
【0015】
本発明の一の形態に係る基板処理方法は、(g)前記工程(a)の途中、または、前記工程(a)の後前記工程(b)の前に、前記オゾン水が塗布された基板の表面上に揮発性溶剤を供給する工程を更に具備する。
【0016】
このような構成によれば、オゾン水を基板に塗布した後、基板上に残る水を揮発性溶剤により除去することが可能となる。基板にオゾン水を塗布した場合、このオゾン水が水となって基板上に残る場合がある。基板上に水が残った状態で絶縁膜を形成すると、水が、形成された絶縁膜中から蒸発しようとし、この絶縁膜を破る場合がある。また、絶縁膜を破らない場合でも、絶縁膜の水が残っていた個所に空洞が形成されてしまう場合もある。本発明により、このような不都合を避けることができる。
【0019】
本発明の一の形態に係る基板処理方法は、(a)基板の表面上にオゾン水を塗布することで、該基板の表面をプリウェットする工程と、(b)前記工程(a)によってプリウェットされた前記基板の表面に絶縁膜を形成する工程とを具備し、(c)前記基板の表面上に前記オゾン水を塗布する前に、前記基板を第1の回転速度で回転させておく工程と、(d)前記工程(b)で前記基板の表面に絶縁膜を形成するときに、前記工程(c)の後連続して前記基板を回転させた状態から第2の回転速度で前記基板を回転させる工程とを更に具備する。
【0020】
プリウェットに用いる例えばオゾン水などのように、光に当てるとオゾン水中のオゾンが水に変化してしまうようなものもある。従来では、基板下地膜をプリウェットするため例えばシンナ等が用いられており、基板にシンナを塗布する際には一度基板の回転を止めてから塗布し、塗布後基板を回転させるという方法で行っていた。しかし、オゾン水を塗布してから基板を回転させたのでは、オゾン水中のオゾンが水に変化しオゾン水濃度が変化してしまう場合も考えられる。そこで、本発明のような構成であれば、プリウェット前に基板を第1の速度で回転させておき、この状態からオゾン水を塗布することで、迅速な処理が可能となる。これにより、オゾン水の濃度を一定に保つことができ、より最適な状態でプリウェットを行うことができる。また、迅速な処理によりスループットの向上にもつながる。
【0022】
このような構成であれば、基板の回転を止めることなく絶縁膜を形成できる。これにより、処理時間が短縮され、スループットが向上する。
【0023】
本発明の一の形態に係る基板処理方法は、(e)前記工程(c)は、前記第1の回転速度として、前記基板を100rpm〜2000rpmの回転速度で回転させる工程を具備する。
【0024】
このような構成であれば、処理時間を短縮でき、スループットが向上する。
【0025】
本発明の一の形態に係る基板処理方法は、(f)前記工程(d)は、前記第2の回転速度として、前記基板を1000rpm〜6000rpmの回転速度で回転させる工程を具備する。
【0026】
このような構成であれば、処理時間を短縮でき、スループットが向上する。
【0027】
本発明の一の形態に係る基板処理方法は、(h)前記工程(a)は、前記オゾン水を5秒間〜60秒間で塗布する工程を具備する。
【0028】
このような構成によれば、オゾン水を基板に塗布する時間を最適にすることができる。プリウェットの時間が長ければそれだけ接触角も小さくなるが、オゾン水を用いてプリウェットするときには、基板表面が酸化され、比誘電率が高くなってしまう。本発明によれば、接触角を十分に小さくすることができ、表面酸化も最小限に抑えられるため、プリウェットを最適な状態で行うことができる。
【0029】
本発明の一の形態に係る基板処理方法は、(i)前記オゾン水の濃度を1ミリグラム毎リットル〜200ミリグラム毎リットルにする工程を更に具備する。
【0030】
このような構成であれば、プリウェットするためのオゾン水の濃度を最適にすることができる。オゾン水の濃度が高ければ一定時間のプリウェットでそれだけ接触角も小さくなるが、基板表面の酸化も激しくなる。本発明によれば、接触角が十分に小さくすることができ、表面酸化も最小限に抑えられるため、プリウェットを最適な状態で行うことができる。
【0031】
本発明に係る基板処理装置は、基板をプリウェットするためのオゾン水を該基板に供給するオゾン水供給機構と、プリウェットされた前記基板の表面に絶縁膜を形成するための絶縁膜材料を供給する絶縁膜材料供給機構と、前記オゾン水の温度を調節する温度調節手段とを具備する。
【0032】
このような構成であれば、基板をプリウェットするのにオゾン水を用いることにより、基板上で該オゾン水が気化するのを抑えることができる。これにより、プリウェットに必要な塗布量を削減することができる。また、従来のような例えばシンナ等によるプリウェットには、プリウェット前に基板表面をUV処理する工程が必要であり、大型で高価なUV処理ユニットを各塗布ユニットごとに設ける必要があったが、オゾン水を用いればこのようなUV装置は不要になる。これにより、基板処理装置の大型化を避けることができる。
【0034】
また、オゾン水を用いた場合、基板の表面に付着した有機物を除去することもできる。あらかじめ形成された絶縁膜の表面に別の絶縁膜を形成したときの密着性は、あらかじめ形成された絶縁膜の表面粗さが粗いほど高くなるため、本発明によれば、オゾン水が基板に形成された絶縁膜の表面を酸化し、表面粗さを粗くすることにより絶縁膜同士の密着性を向上させることもできる。
【0036】
さらにオゾン水の温度をプリウェットに適した温度にすることで、プリウェットを効果的に行うことができる。
【0037】
本発明の一の形態に係る基板処理装置は、前記オゾン水供給機構は、前記オゾン水を前記基板に向けて吐出する第1のノズルと、前記第1のノズルに接続され、前記オゾン水を流通させる流路とを具備し、前記温度調節手段は、前記流路を流れる前記オゾン水の温度を調節するための第1の温調器を具備する。
【0038】
このような構成であれば、オゾン水の温度をプリウェットに適した温度にすることで、プリウェットを効果的に行うことができる。
【0039】
本発明の一の形態に係る基板処理装置は、前記オゾン水が供給される前記基板を保持する保持部を更に具備し、前記温度調節手段は、前記保持部に設けられ、前記基板に供給されたオゾン水の温度を調節する第2の温調器を具備する。
【0040】
このような構成であれば、基板に塗布されたオゾン水の温度をプリウェットに適した温度にすることで、プリウェットを効果的に行うことができる。
【0041】
本発明の一の形態に係る基板処理装置は、前記ノズルが前記オゾン水を吐出する時間を制御する吐出時間制御部を更に具備する。
【0042】
このような構成であれば、ノズルからオゾン水が基板に吐出される時間を最適に制御することができる。この時間が長ければ長いほど、基板に塗布されるオゾン水の量も多くなり、結果としてそれだけ接触角も小さくなる。しかし、その反面、オゾン水と基板との接触時間も長くなるため、オゾン水の酸化作用により、基板表面が酸化され、比誘電率が高くなってしまう。本発明によれば、吐出時間を最適に制御することにより、基板の表面酸化を抑えつつ接触角を十分に小さくすることができるため、最適な状態でプリウェットを行うことができる。
【0043】
本発明の一の形態に係る基板処理装置は、前記オゾン水または前記絶縁膜材料を基板に塗布するために該オゾン水を基板上で拡散させるように前記保持部を回転させる回転機構と、前記保持部を回転させる際の回転数を制御する回転制御部とを更に具備する。
【0044】
このような構成であれば、例えばスピンコート法により、プリウェット時及び絶縁膜形成時の基板の回転数を制御することができる。従来では、基板をプリウェットするためシンナが用いられており、基板にシンナを塗布する際には一度基板の回転を止めて行っていた。本発明では、基板の回転を止めることなく連続して回転させ続けることも可能である。これにより、処理時間が短縮され、スループットが向上する。
【0045】
本発明の一の形態に係る基板処理装置は、前記保持部に保持された基板の周囲の少なくとも一部に配置された第1の排出路と、前記第1の排出路の近傍に設けられた第2の排出路と、前記第1の排出路と前記第2の排出路との間に設けられ、前記回転機構により回転する前記基板の表面上から飛散する前記オゾン水と前記絶縁膜材料とを分けて、前記第1の排出路と前記第2の排出路とにそれぞれ排出させる仕切り部材とを更に具備する。
【0046】
このような構成によれば、オゾン水を第1の排出路から、また、絶縁膜材料を第2の排出路から排出することができる。絶縁膜材料の中には水と混合させると硬化し再利用できなくなるものもある。本発明により、オゾン水と絶縁膜材料とを別の排出路から排出させることで、両者が混合することもなく、それぞれ再利用することができ、プリウェットに必要なオゾン水及び絶縁膜材料を削減することができる。
【0047】
本発明の一の形態に係る基板処理装置は、前記オゾン水が塗布された前記基板に揮発性溶剤を供給する揮発性溶剤供給機構を更に具備する。
【0048】
このような構成であれば、オゾン水を基板に塗布した後、基板上に残る水を揮発性溶剤により除去することが可能となる。基板にオゾン水を塗布した場合、このオゾン水が水となって基板上に残る場合がある。基板上に水が残った状態で絶縁膜を形成すると、水が、形成された絶縁膜中から蒸発しようとし、この絶縁膜を破る場合がある。また、絶縁膜を破らない場合でも、絶縁膜の水が残っていた個所に空洞が形成されてしまう場合もある。本発明により、このような不都合を避けることができる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0050】
[第1実施形態]
(基板処理装置)
図1〜図3は本発明の一実施形態に係るSOD(Spin on Dielectric)システムの全体構成を示す図であって、図1は平面図、図2は正面図および図3は背面図である。
【0051】
このSODシステム1は、基板としての半導体ウェハWをウェハカセットCRで複数枚たとえば25枚単位で外部からシステムに搬入しまたはシステムから搬出したり、ウェハカセットCRに対してウェハWを搬入・搬出したりするためのカセットブロック10と、SOD塗布工程の中で1枚ずつウェハWに所定の処理を施す枚葉式の各種処理ステーションを所定位置に多段配置してなる処理ブロック11とを一体に接続した構成を有している。
【0052】
カセットブロック10では、図1に示すように、カセット載置台20上の突起20aの位置に複数個たとえば4個までのウェハカセットCRがそれぞれのウェハ出入口を処理ブロック11側に向けてX方向一列に載置され、カセット配列方向(X方向)およびウェハカセットCR内に収納されたウェハのウェハ配列方向(Z垂直方向)に移動可能なウェハ搬送体21が各ウェハカセットCRに選択的にアクセスするようになっている。さらに、このウェハ搬送体21は、θ方向に回転可能に構成されており、後述するように処理ブロック11側の第3の組G3の多段ステーション部に属する受け渡し・冷却プレート(TCP)にもアクセスできるようになっている。
【0053】
処理ブロック11では、図1に示すように、中心部に垂直搬送型の主ウェハ搬送機構22が設けられ、その周りに全ての処理ステーションが1組または複数の組に亙って多段に配置されている。この例では、4組G1,G2,G3,G4の多段配置構成であり、第1および第2の組G1,G2の多段ステーションはシステム正面(図1において手前)側に並置され、第3の組G3の多段ステーションはカセットブロック10に隣接して配置され、第4の組G4の多段ステーションはキャビネット12に隣接して配置されている。
【0054】
図2に示すように、第1の組G1では、カップCP内でウェハWをスピンチャックに載せて絶縁膜材料を供給し、ウェハを回転させることによりウェハ上に均一な絶縁膜を塗布するSOD塗布処理ステーション(SCT)が配置されている。
【0055】
第2の組G2では、SOD塗布処理ステーション(SCT)が上段に配置されている。なお、必要に応じて第2の組G2の下段にSOD塗布処理ステーション(SCT)やソルベントエクスチェンジ処理ステーション(DSE)等を配置することも可能である。
【0056】
図3に示すように、第3の組G3では、2個の低酸素高温加熱処理ステーション(DLB)と、2個の低温加熱処理ステーション(LHP)と、冷却処理ステーション(CPL)と、受け渡し・冷却プレート(TCP)と、冷却処理ステーション(CPL)とが上から順に多段に配置されている。低温加熱処理ステーション(LHP)はウェハWが載置される熱板を有し、ウェハWを低温加熱処理する。冷却処理ステーション(CPL)はウェハWが載置される冷却板を有し、ウェハWを冷却処理する。受け渡し・冷却プレート(TCP)は下段にウェハWを冷却する冷却板、上段に受け渡し台を有する2段構造とされ、カセットブロック10と処理ブロック11との間でウェハWの受け渡しを行う。
【0057】
第4の組G4では、例えば2個の低酸素加熱冷却ステーション(DLC)が多段に配置されている。低酸素加熱冷却ステーション(DLC)は、酸素濃度の制御を行いながら、ウェハを加熱及び冷却するものである。
【0058】
なお、第4の組G4における最下段に、例えばエージング処理を行うエージング処理ユニット(DAC)を必要に応じて設けるようにしてもよい。
【0059】
図3を参照して、主ウェハ搬送機構22は筒状支持体27の内側に、上下方向(Z方向)に昇降自在なウェハ搬送装置30を装備している。筒状支持体27は図示しないモータの回転軸に接続されており、このモータの回転駆動力によって、前記回転軸を中心としてウェハ搬送装置30と一体に回転する。従って、ウェハ搬送装置30はθ方向に回転自在となっている。このウェハ搬送装置30の搬送基台32上にはアーム31が例えば3本備えられており、これらのアーム31は主ウェハ搬送機構22の周囲に配置された処理ステーションにアクセスしてこれら処理ステーションとの間でウェハWの受け渡しを行うようになっている。
【0060】
次に以上のように構成されたこのSODシステム1の処理工程について説明する。
【0061】
まずカセットブロック10において、処理前のウェハWはウェハカセットCRからウェハ搬送体21を介して処理ブロック11側の第3の組G3に属する受け渡し・冷却プレート(TCP)における受け渡し台へ搬送される。
【0062】
受け渡し・冷却プレート(TCP)における受け渡し台に搬送されたウェハWは主ウェハ搬送機構22を介して冷却処理ステーション(CPL)へ搬送される。そして冷却処理ステーション(CPL)において、ウェハWはSOD塗布処理ステーション(SCT)における処理に適合する温度まで温調される。
【0063】
冷却処理ステーション(CPL)で冷却処理されたウェハWは主ウェハ搬送機構22を介してSOD塗布処理ステーション(SCT)へ搬送される。そしてSOD塗布処理ステーション(SCT)において、ウェハWはSOD塗布処理が行われる。これについては後に詳述する。
【0064】
SOD塗布処理ステーション(SCT)でSOD塗布処理が行われたウェハWは主ウェハ搬送機構22を介して低温加熱処理ステーション(LHP)へ搬送される。そして低温加熱処理ステーション(LHP)において、ウェハWは低温加熱処理される。
【0065】
低温加熱処理ステーション(LHP)で低温加熱処理されたウェハWは、主ウェハ搬送機構22を介して低酸素加熱処理ステーション(DLB)において、低温加熱処理ステーション(LHP)における加熱処理より高い温度で、低酸素加熱処理される。
【0066】
低酸素加熱処理ステーション(DLB)で低酸素加熱処理されたウェハWは、主ウェハ搬送機構22を介して受け渡し・冷却プレート(TCP)における冷却板へ搬送される。そして受け渡し・冷却プレート(TCP)における冷却板において、ウェハWは冷却処理される。
【0067】
受け渡し・冷却プレート(TCP)における冷却板で冷却処理されたウェハWはカセットブロック10においてウェハ搬送体21を介してウェハカセットCRへ搬送される。
【0068】
なお、絶縁膜材料によっては塗布処理後にエージング処理やソルベントエクスチェンジを行うこともある。
【0069】
(SOD塗布処理ステーション)
次に、本発明に係るSOD塗布処理ステーション(SCT)の構成について図4から図6にもとづいて説明する。なお、本実施形態における絶縁膜材料とは、例えばポーラスMSQ系材料等の多孔質絶縁膜材料(以下、本実施形態ではポーラス材料という)と、例えばPAE等有機材料等の非多孔質絶縁膜材料(以下、本実施形態では非ポーラス材料という)とを含んでいるが、ポーラス材料及び非ポーラス材料の場合ともに、SOD塗布処理ステーション(SCT)は同様の構成を有している。したがって構成の説明については説明を簡単にするため、ポーラス材料の場合のみ説明する。
【0070】
図4は、SOD塗布処理ステーション(SCT)の内部構造の断面を模式的に示したものである。SOD塗布処理ステーション(SCT)は、塗布部15と、カップ部16とを有する。
【0071】
塗布部15について説明する。塗布部15は、塗布液供給部17と、駆動部18とを有する。塗布液供給部17は、オゾン水供給源35、オゾン水ノズル36、配管37、温調器38を有する。オゾン水供給源35は、ウェハWをプリウェットするためのオゾン水を配管37を介して供給する。オゾン水ノズル36は、オゾン水供給源35から供給されるオゾン水をウェハWに吐出する。温調器38は、オゾン水供給源35から供給されるオゾン水の温度を調節する。また、塗布部15は、ポーラス材料を供給するポーラス材料供給源45、ポーラス材料を基板に向けて吐出するポーラス材料ノズル46、ポーラス材料供給源45とポーラス材料ノズル46とを接続する配管47とを有する。オゾン水は下地となるウェハ等と塗布するポーラス材料との接触角を小さくすることができるためプリウェット液として適しているほか、気化しにくいためプリウェット液を節約することができるという利点もある。また、絶縁膜を積層する場合には下層の絶縁膜の表面を酸化し、上層の絶縁膜との密着性を向上させることもできる。
【0072】
図6に示すように、オゾン水供給源35は、オゾン発生装置41、純水供給部42を有する。オゾン発生装置41は、光照射部43、貯留部48を有する。光照射部43は、純水供給部42から供給される純水に例えばUV等の光を照射することにより純水中にオゾンを発生させる。発生したオゾンは純水に溶解し、オゾン水が形成され、このオゾン水は貯留部48に貯留される。貯留部48に貯留されたオゾン水は、例えば加圧部34により圧力を加えることでオゾン水ノズル36にオゾン水を供給するようにする。吐出時間制御部39は、加圧部34を制御することでオゾン水ノズル36がオゾン水を吐出する時間を制御する。具体的には吐出時間は5〜60秒となるように制御される。濃度制御部44は、光照射部43が純水に照射するUVの照射強度や照射時間等を制御することで、オゾン水中のオゾン濃度を制御する。具体的には、オゾン濃度は1ミリグラム毎リットル〜200ミリグラム毎リットルに制御されることが好ましい。これにより、最適な条件でプリウェットを行うことができる。オゾン発生装置41、純水供給部42は、例えばキャビネット12等に設けることができる。
【0073】
温調器38の内部には例えば図示しない電熱線等の加熱機構が設けられる。温度制御部40は、温調器38内部の電熱線を流れる電流値を制御することでオゾン水の温度を制御する。オゾン水の温度がプリウェットに適した温度、好ましくは15℃〜30℃、より好ましくは22℃〜23℃になるようにオゾン水を加熱する。これにより、プリウェットを最適に行うことができる。
【0074】
図4、図5に基づき、駆動部18について説明する。駆動部18は、ノズルスキャンアーム50、ノズル保持体51、エアシリンダ52、ガイドレール53、垂直支持部材54を有する。オゾン水ノズル36、ポーラス材料ノズル46はノズルスキャンアーム50の先端部にノズル保持体51を介して着脱可能に取り付けられている。
【0075】
ノズルスキャンアーム50は、ユニット底板55の上に一方向(Y方向)に敷設されたガイドレール53上で水平移動可能な垂直支持部材54の上端部に取り付けられており、図示しないY方向駆動機構によって垂直支持部材54と一体にY方向に移動するようになっている。また、垂直支持部材54の上端部に取り付けられたエアシリンダ52によりX方向にも移動するようになっている。
【0076】
次に、再び図4に基づいて、カップ部16について説明する。カップ部16は、このSOD塗布処理ステーション(SCT)のほぼ中央部に配設される環状のカップCΡを有し、カップCΡの内側には、基板を水平に支持するスピンチャック56が配置されている。スピンチャック56は真空吸着によってウェハWを固定支持した状態で駆動モータ57によって回転駆動されるようになっている。この駆動モータ57は、ユニット底板55に設けられた開口55aに上下移動可能に配置され、例えばアルミニウムからなるキャップ状のフランジ部材60を介して例えばエアシリンダからなる昇降駆動手段61及び昇降ガイド手段62と結合されている。駆動モータ57の回転数は回転制御部57aにより制御される。具体的には、プリウェット時には100rpm〜2000rpmとなるように制御することが好ましく、ポーラス材料塗布時には1000rpm〜6000rpmとなるように制御することが好ましい。それぞれの処理における回転時間は、ノズルの吐出時間と対応して、プリウェット時には0.1秒〜1秒、ポーラス材料塗布時には0.5秒〜2秒とする。また、ウェハWの回転については、プリウェットを行うときには回転した状態であることが好ましい。オゾン水中のオゾンは光に当てると水に変化する性質を有するため、ウェハWにオゾン水を塗布してから基板を回転させたのでは、オゾン水中のオゾンが水に変化しオゾン水濃度が変化してしまう。本実施形態では、ウェハWをプリウェット前から回転させて迅速に処理することで、オゾン水濃度を一定に保つことができる。また、このような迅速な処理によりスループットの向上にもつながる。また、駆動手段61によりスピンチャック56は昇降し、アーム31との間でウェハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0077】
また、カップCPは2重構造をなしており、オゾン水廃液管58、ポーラス材料廃液管59、廃液管切替部63を有し、ポーラス材料廃液管59には廃液管切替部63を保持するための保持部59aが設けられている。廃液管切替部63は環状をなし、カップCPの内側に設けられる。図示しない例えばエアシリンダ等の昇降機構により、上端がウェハWの基板面から突出した状態1(図4の実線で示す状態)と、上端が保持部59aの肩の高さと等しくなる状態2(図4の破線で示す状態)との2つの状態をとるようにする。昇降機構に例えば昇降制御部を設け、オゾン水ノズル36よりオゾン水が吐出される時には廃液管切替部63が状態1となるようにする。また、ポーラス材料ノズル46よりポーラス材料が吐出される時には廃液管切替部63が状態2となるようにする。状態1の場合にはスピンチャック56の回転によって基板から飛散したオゾン水はオゾン水廃液管58へ流れ、また、状態2の場合にはスピンチャック56の回転によって基板から飛散したポーラス材料はポーラス材料廃液管59へ流れるようする。オゾン水廃液管58、ポーラス材料廃液管59は、図示しない流路によりそれぞれオゾン水供給源35、ポーラス材料供給源45等へと配管されている。このような構成であれば、オゾン水、ポーラス材料の廃液を再利用することができ、プリウェットや絶縁膜形成に必要な溶液を節約することができる。
【0078】
スピンチャック56の内部には、例えば電熱線64等の加熱機構が設けられている。電熱線64による発熱は、スピンチャック56、ウェハWを伝導し、ウェハWに塗布されたオゾン水を加熱する。これにより、オゾン水がウェハW上に塗布されたときにも、オゾン水の温度をプリウェットに最適な温度にすることができる。スピンチャック56の温度はウェハ温度制御部65によって制御される。ウェハ温度制御部65は、例えば電熱線64に流れる電流の値を制御することで電熱線64の温度を制御する。このとき、ウェハ温度制御部65は、ウェハWの温度が、好ましくは15℃〜30℃、より好ましくは22.5℃〜23℃となるように制御する。
【0079】
次に、図7から図10をもとにして、以上のように構成されたSOD塗布処理ステーション(SCT)の動作について説明する。
【0080】
図7は、ウェハに絶縁膜を形成する場合の工程を示すフロー図である。
【0081】
まず、ウェハWのプリウェットを行う(ステップ701)。図8を参照して、ウェハWのプリウェットについて説明する。ここでは、図2の上段に示すSOD塗布処理ステーションで多孔質絶縁膜を、また、下段に示すSOD塗布処理ステーションで非多孔質絶縁膜を形成するものとして説明するが、この逆であっても勿論構わない。
【0082】
図8(a)を参照して、アーム31によりウェハWが、上段のSOD塗布処理ステーション内のスピンチャック56に載置されると、スピンチャック56がウェハWを吸着し、ウェハWを固定する。このとき、廃液管切替部63の上端が基板面から突出した状態1となるようにし、オゾン水ノズル36をウェハWの中心に位置させる。ウェハWが固定されると、回転制御部57aが駆動モータ57を制御し、スピンチャック56を回転させる。スピンチャック56の回転により、ウェハWの回転速度が100〜2000rpmの所定の回転速度に達すると、吐出時間制御部39が加圧部34を制御し、オゾン水供給源35からオゾン水を供給する。供給されたオゾン水を、配管37を流通させ、オゾン水ノズル36からウェハWに向けて吐出させる。吐出時間制御部39は、オゾン水ノズル36から一定時間、例えば5〜60秒間オゾン水が吐出されると、加圧部34を制御し、オゾン水供給源35からのオゾン水の供給をストップする。
【0083】
図8(b)を参照して、ウェハW上に塗布されるオゾン水は、ウェハWの回転による遠心力の作用でウェハWの中心から端部に拡散する。拡散したオゾン水の一部は、遠心力の影響でウェハWから飛散し、廃液管切替部63を伝って、オゾン水廃液管58へと流れる。オゾン水廃液管58へ流れるオゾン水は、オゾン水供給源35に戻され再利用される。
【0084】
次に、プリウェットされたウェハWにポーラス材料を塗布し多孔質絶縁膜を形成する(ステップ702)。図9をもとにして、この工程について説明する。
【0085】
図9(a)を参照して、ウェハWのプリウェットが終わると、回転制御部57aは駆動モータ57を制御し、ウェハWの回転速度を加速させる。この間、廃液管切替部63を状態2となるようにし、エアシリンダ52によりノズル保持体51をX方向に移動させてポーラス材料ノズル46をウェハWの中心に位置させる。ウェハWの回転速度が1000rpmから6000rpmに達すると、ポーラス材料供給源45がポーラス材料を供給し、配管47を流通させてポーラス材料ノズル46からウェハWに向けて吐出させる。ポーラス材料供給源45は、ポーラス材料ノズル46から一定時間ポーラス材料が吐出されると、ポーラス材料の供給をストップする。
【0086】
図9(b)を参照して、ウェハWがオゾン水によりプリウェットされているため、ウェハW上に塗布されるポーラス材料は、ウェハWの回転による遠心力の作用でウェハWの中心から端部にスムースに拡散する。拡散したポーラス材料の一部は、遠心力の影響でウェハWから飛散し、カップCPの内壁を伝って、ポーラス材料廃液管59へと流れる。ポーラス材料廃液管59へ流れるポーラス材料は、ポーラス材料供給源45に戻され再利用される。このように、オゾン水と非ポーラス材料とで廃液管を分離させることで、オゾン水とポーラス材料とが混合することなく、オゾン水を再利用することができる。これにより、処理液を節約することができる。ウェハWに塗布されたポーラス材料を加熱処理し、膜質を硬化・改善させることにより多孔質絶縁膜66を形成する。
【0087】
次に、形成された多孔質絶縁膜66の表面をプリウェットする(ステップ703)。図10(a)をもとにして、この工程について説明する。
【0088】
アーム31によりウェハWが、下段のSOD塗布処理ステーション内のスピンチャック56に載置されると、スピンチャック56がウェハWを吸着し、ウェハWを固定する。このとき、廃液管切替部63の上端が基板面から突出した状態1となるようにし、オゾン水ノズル36をウェハWの中心に位置させる。ウェハWが固定されると、回転制御部57aが駆動モータ57を制御し、スピンチャック56を回転させる。スピンチャック56の回転により、ウェハWの回転速度が100〜2000rpmの所定の回転速度に達すると、吐出時間制御部39が加圧部34を制御し、オゾン水供給源35からオゾン水を供給する。供給されたオゾン水を、配管37を流通させ、オゾン水ノズル36から多孔質絶縁膜66に向けて吐出させる。吐出時間制御部39は、オゾン水ノズル36から一定時間、例えば5〜60秒間オゾン水が吐出されると、加圧部34を制御し、オゾン水供給源35からのオゾン水の供給をストップする。
【0089】
多孔質絶縁膜66上に塗布されるオゾン水は、ウェハWの回転による遠心力の作用で多孔質絶縁膜66の中心から端部に拡散する。拡散したオゾン水の一部は、遠心力の影響で多孔質絶縁膜66上から飛散し、廃液管切替部63を伝って、オゾン水廃液管58へと流れる。オゾン水廃液管58へ流れるオゾン水は、オゾン水供給源35に戻され再利用される。
【0090】
また、多孔質絶縁膜66上に塗布されたオゾン水は、多孔質絶縁膜66の表面に堆積した有機物を除去するとともに、多孔質絶縁膜66の表面を酸化し、表面粗さを粗くする。これにより、以下に述べる非発泡性材料との密着性を向上させることができる。
【0091】
次に、表面をプリウェットされた多孔質絶縁膜66上に非ポーラス材料を塗布し、非多孔質絶縁膜を形成する(ステップ704)。図10(b)をもとにして、この工程について説明する。
【0092】
多孔質絶縁膜66のプリウェットが終わると、回転制御部57aは駆動モータ57を制御し、ウェハWの回転速度を加速させる。この間、廃液管切替部63を状態2となるようにし、エアシリンダ52によりノズル保持体をY方向に移動させて非ポーラス材料ノズル76をウェハWの中心に位置させる。ウェハWの回転速度が1000rpmから6000rpmに達すると、図示しない非ポーラス材料供給源がポーラス材料を供給し、配管77を流通させて非ポーラス材料ノズル76からウェハWに向けて吐出させる。非ポーラス材料供給源は、非ポーラス材料ノズル76から一定時間非ポーラス材料が吐出されると、非ポーラス材料の供給をストップする。
【0093】
多孔質絶縁膜66がオゾン水によりプリウェットされているため、多孔質絶縁膜66上に塗布される非ポーラス材料は、ウェハWの回転による遠心力の作用で多孔質絶縁膜66の中心から端部にスムースに拡散する。拡散した非ポーラス材料の一部は、遠心力の影響で多孔質絶縁膜66から飛散し、カップCPの内壁を伝って、非ポーラス材料廃液管79へと流れる。非ポーラス材料廃液管79へ流れる非ポーラス材料は、非ポーラス材料供給源に戻され再利用される。このように、オゾン水と非ポーラス材料とで廃液管を分離させることで、オゾン水と非ポーラス材料とが混合することなく、純水に近い状態で再利用することができる。これにより、処理液を節約することができる。多孔質絶縁膜66に塗布された非ポーラス材料を加熱処理し、膜質を硬化・改善させることにより非多孔質絶縁膜を形成する。非多孔質絶縁膜は、多孔質絶縁膜66との密着性も高く、性能のよい絶縁膜を形成することとなる。
【0094】
このようにして、ウェハW上に多孔質絶縁膜や非多孔質絶縁膜を形成する。本実施形態では下層が多孔質絶縁膜、上層が非多孔質絶縁膜の積層として説明したが、この工程を繰り返すことにより、さらに非多孔質絶縁膜の上に多孔質絶縁膜を積層させ、3層となるようにしてもよい。
【0095】
[第2実施形態]
図11をもとにして、本発明の第2実施形態について説明する。図11は本発明の第2実施形態に係るSOD塗布処理ステーションの内部構造を示したものである。
【0096】
本実施形態では、図4に示す構成に加えて、シンナ供給源95、シンナノズル96、配管97を有する。シンナ供給源95は、配管97を介してシンナノズル96に接続されている。シンナノズル96は、ノズル保持体51のオゾン水ノズル36とポーラス材料ノズル46との間にそれぞれほぼ均等な間隔で設けられている。シンナ供給源から供給されるシンナの量、供給時間等は図示しない制御部により制御される。
【0097】
次に、図12〜図15をもとにして本発明の第2実施形態に係るSOD塗布処理ステーションの動作について説明する。
【0098】
図12は、ウェハにポーラス材料を塗布し多孔質絶縁膜を形成する場合の工程を示すフロー図である。
【0099】
まず、ウェハWにオゾン水を塗布する(ステップ1201)。この工程について図13をもとにして説明する。
【0100】
アーム31によりウェハWが、例えば上段のSOD塗布処理ステーション内のスピンチャック56に載置されると、スピンチャック56がウェハWを吸着し、ウェハWを固定する。このとき、廃液管切替部63の上端が基板面から突出した状態1となるようにし、オゾン水ノズル36をウェハWの中心に位置させる。ウェハWが固定されると、回転制御部57aが駆動モータ57を制御し、スピンチャック56を回転させる。スピンチャック56の回転により、ウェハWの回転速度が100〜2000rpmの所定の回転速度に達すると、吐出時間制御部39が加圧部34を制御し、オゾン水供給源35からオゾン水を供給する。供給されたオゾン水を、配管37を流通させ、オゾン水ノズル36からウェハWに向けて吐出させる。吐出時間制御部39は、オゾン水ノズル36から一定時間、例えば5〜60秒間オゾン水が吐出されると、加圧部34を制御し、オゾン水供給源35からのオゾン水の供給をストップする。
【0101】
この間、ウェハW上に塗布されるオゾン水は、ウェハWの回転による遠心力の作用でウェハWの中心から端部に拡散する。拡散したオゾン水の一部は、遠心力の影響でウェハWから飛散し、廃液管切替部63を伝って、オゾン水廃液管58へと流れる。オゾン水廃液管58へ流れるオゾン水は、図示しないフィルタを介してオゾン水供給源35に戻され再利用される。
【0102】
次に、オゾン水が塗布されたウェハWにシンナを供給する(ステップ1202)。この工程について図14をもとにして説明する。
【0103】
ウェハWにオゾン水を塗布し終え、回転制御部57aは駆動モータ57を制御し、ウェハWの回転速度を維持させる。この間、廃液管切替部63を状態2となるようにし、エアシリンダ52によりノズル保持体をX方向に移動させてシンナノズル96をウェハWの中心に位置させる。そしてシンナ供給源95がシンナを供給し、配管97を流通させてシンナノズル96からウェハWに向けて吐出させる。シンナ供給源95は、シンナノズル96から一定時間シンナが吐出されると、シンナの供給をストップする。
【0104】
ステップ1201が終了した段階で、ウェハWに塗布されたオゾン水が残留することがある。この残留オゾン水中のオゾンは光を受けて水に変化する。したがって、ウェハW上に水が残留することとなる。ウェハW上に水を残留させたままポーラス材料等を塗布し絶縁膜を形成すると、絶縁膜中に水が残り、絶縁膜中の水が絶縁膜の外に脱しようとして絶縁膜を破損することがある。また、残留した水が絶縁膜に吸収され、絶縁膜中に空洞が形成されることもある。そうなると絶縁膜の品質が下がるため、絶縁膜を形成する際には、ウェハW上に水を残留させないようにする必要がある。
【0105】
ステップ1202により、ウェハWに残留した水は供給されたシンナの拡散によって除去される。シンナは揮発性であるため、拡散したシンナの一部は空気中に揮発する。また、ウェハWの回転によって飛散するものもある。飛散したシンナは、カップCPの内壁を伝ってポーラス材料廃液管59に流れる。このように、ウェハWにオゾン水を塗布した後、シンナを供給することにより、ウェハW上に水が残留することを防ぐことができる。
【0106】
次に、ウェハWにポーラス材料を塗布する(ステップ1203)。この工程について図15をもとにして説明する。
【0107】
オゾン水及びシンナによりウェハWのプリウェットが終わると、回転制御部57aは駆動モータ57を制御し、ウェハWの回転速度を加速させる。この間、廃液管切替部63は状態2のままで、エアシリンダ52によりノズル保持体をY方向に移動させてポーラス材料ノズル46をウェハWの中心に位置させる。ウェハWの回転速度が1000rpmから6000rpmに達すると、ポーラス材料供給源45がポーラス材料を供給し、配管47を流通させてポーラス材料ノズル46からウェハWに向けて吐出させる。ポーラス材料供給源45は、ポーラス材料ノズル46から一定時間ポーラス材料が吐出されると、ポーラス材料の供給をストップする。
【0108】
ウェハWがオゾン水によりプリウェットされているため、ウェハW上に塗布されるポーラス材料は、ウェハWの回転による遠心力の作用でウェハWの中心から端部にスムースに拡散する。拡散したポーラス材料の一部は、遠心力の影響でウェハWから飛散し、カップCPの内壁を伝って、ポーラス材料廃液管59へと流れる。ポーラス材料廃液管59へ流れるポーラス材料は、ポーラス材料供給源45に戻され再利用される。このように、オゾン水と非ポーラス材料とで廃液管を分離させることで、オゾン水とポーラス材料とが混合することなく、オゾン水を再利用することができる。これにより、処理液を節約することができる。また、ポーラス材料とシンナの排出管が同じであるが、ポーラス材料はシンナと混合しても硬化・変質しないため、その混合液を分離することにより、それぞれ再利用することができる。この後、ウェハWに塗布されたポーラス材料を加熱処理し、膜質を硬化・改善させることにより多孔質絶縁膜66を形成する。なお、このステップ123の後非ポーラス材料を塗布することにより非多孔質絶縁膜を積層するようにしてもよい。
【0109】
本発明は以上説明した実施形態には限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0110】
例えば、上記の実施形態では、オゾン水供給源35、ポーラス材料供給源45等の処理液の供給源をSOD塗布膜ステーション内に設けたが、これらはキャビネット12内に設けるようにしてもよい。
【0111】
また、それぞれの廃液管58、59は配管を介して供給源35、45に戻るようにしたが、それぞれの廃液管58、59に例えばタンク等を設け、一定量溜まると交換できるようにしてもよい。特に第2実施形態においては、シンナとポーラス材料とを容易に分離することができるという利点がある。
【0112】
上記実施の形態では、絶縁膜材料としてポーラス材料及び非ポーラス材料を用いたが、これらに限られず、例えば有機膜等を用いた場合にも本発明の適用が可能である。
【0113】
また、上記実施形態は、被処理基板が半導体ウェハWである場合について適用したものだが、ウェハW以外に、例えばFPD(Flat Panel Display:フラットパネルディスプレイ)用ガラス基板であっても適用が可能である。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、装置が大型化せず、処理工程が煩雑でなく、プリウェットに使用する塗布液の使用量も削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るSODシステムの平面図である。
【図2】図1に示すSODシステムの正面図である。
【図3】図1に示すSODシステムの背面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るSOD塗布処理ステーションを示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るSOD塗布処理ステーションを示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るSODシステムを示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る絶縁膜形成工程を示すフロー図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るSOD塗布処理ステーションの動作を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るSOD塗布処理ステーションの動作を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るSOD塗布処理ステーションの動作を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るSOD塗布処理ステーションを示す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る絶縁膜形成工程を示すフロー図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係るSOD塗布処理ステーションの動作を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るSOD塗布処理ステーションの動作を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係るSOD塗布処理ステーションの動作を示す図である。
【符号の説明】
W…ウェハ
CP…カップ
1…SODシステム
12…キャビネット
35…オゾン水供給源
36…オゾン水ノズル
37…配管
38…温調器
41…オゾン発生装置
42…純水供給部
51…ノズル保持体
58…オゾン水廃液管
59…ポーラス材料廃液管
Claims (14)
- (a)基板の表面上に15℃〜30℃の温度に調節されたオゾン水を塗布することで、該基板の表面をプリウェットする工程と、
(b)前記工程(a)によってプリウェットされた前記基板の表面に絶縁膜を形成する工程と
を具備することを特徴とする基板処理方法。 - (a)基板の表面上にオゾン水を塗布することで、該基板の表面をプリウェットする工程と、
(b)前記工程(a)によってプリウェットされた前記基板の表面に絶縁膜を形成する工程と
を具備し、
(c)前記基板の表面上に前記オゾン水を塗布する前に、前記基板を第1の回転速度で回転させておく工程と、
(d)前記工程(b)で前記基板の表面に絶縁膜を形成するときに、前記工程(c)の後連続して前記基板を回転させた状態から第2の回転速度で前記基板を回転させる工程と
を更に具備することを特徴とする基板処理方法。 - 請求項2に記載の基板処理方法であって、
(e)前記工程(c)は、前記第1の回転速度として、前記基板を100rpm〜2000rpmの回転速度で回転させる工程
を具備することを特徴とする基板処理方法。 - 請求項2に記載の基板処理方法であって、
(f)前記工程(d)は、前記第2の回転速度として、前記基板を1000rpm〜6000rpmの回転速度で回転させる工程
を具備することを特徴とする基板処理方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の基板処理方法であって、
(g)前記工程(a)の途中、または、前記工程(a)の後前記工程(b)の前に、前記オゾン水が塗布された基板の表面上に揮発性溶剤を供給する工程
を更に具備することを特徴とする基板処理方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の基板処理方法であって、
(h)前記工程(a)は、
前記オゾン水を5秒間〜60秒間で塗布する工程
を具備することを特徴とする基板処理方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の基板処理方法であって、
(i)前記オゾン水の濃度を1ミリグラム毎リットル〜200ミリグラム毎リットルにする工程
を更に具備することを特徴とする基板処理方法。 - 基板をプリウェットするためのオゾン水を該基板に供給するオゾン水供給機構と、
プリウェットされた前記基板の表面に絶縁膜を形成するための絶縁膜材料を供給する絶縁膜材料供給機構と、
前記オゾン水の温度を調節する温度調節手段と
を具備することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項8に記載の基板処理装置であって、
前記オゾン水供給機構は、
前記オゾン水を前記基板に向けて吐出する第1のノズルと、
前記第1のノズルに接続され、前記オゾン水を流通させる流路と
を具備し、
前記温度調節手段は、前記流路を流れる前記オゾン水の温度を調節するための第1の温調器を具備する
ことを特徴とする基板処理装置。 - 請求項8に記載の基板処理装置であって、
前記オゾン水が供給される前記基板を保持する保持部
を更に具備し、
前記温度調節手段は、
前記保持部に設けられ、前記基板に供給されたオゾン水の温度を調節する第2の温調器
を具備することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項9に記載の基板処理装置であって、
前記ノズルが前記オゾン水を吐出する時間を制御する吐出時間制御部
を更に具備することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項10に記載の基板処理装置であって、
前記オゾン水または前記絶縁膜材料を基板に塗布するために該オゾン水を基板上で拡散させるように前記保持部を回転させる回転機構と、
前記保持部を回転させる際の回転数を制御する回転制御部と
を更に具備することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項12に記載の基板処理装置であって、
前記保持部に保持された基板の周囲の少なくとも一部に配置された第1の排出路と、
前記第1の排出路の近傍に設けられた第2の排出路と、
前記第1の排出路と前記第2の排出路との間に設けられ、前記回転機構により回転する前記基板の表面上から飛散する前記オゾン水と前記絶縁膜材料とを分けて、前記第1の排出路と前記第2の排出路とにそれぞれ排出させる仕切り部材と
を更に具備することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項8に記載の基板処理装置であって、
前記オゾン水が塗布された前記基板に揮発性溶剤を供給する揮発性溶剤供給機構
を更に具備することを特徴とする基板処理装置。
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JP2005005279A (ja) | 2005-01-06 |
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