JP4303361B2 - スクータ型車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、前輪を操向可能に支承するヘッドパイプ部と、該ヘッドパイプ部から後下りに延びるダウンフレーム部と、該ダウンフレーム部の下端から後方に延びるフロア支持フレーム部とを有する車体フレームが、シートに座乗する運転者の足を乗せるべく前記フロア支持フレーム部を覆うように形成されるステップフロアを備える合成樹脂製の車体カバーで覆われ、前記シートの下方で車体フレームに支持される水冷式エンジンの左右いずれか一側にラジエータが配置されるスクータ型車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかるスクータ型車両は、たとえば実公平1−36708号公報等で既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかるスクータ型車両を整備等のために倒してしまうことがあるが、エンジンの左右いずれか一側にラジエータが配置されているので、スクータ型車両の倒れによりラジエータが地面に接触しないように、従来のものでは、車体フレームの一部をラジエータよりも外方に張出させることで、ラジエータをガードするようにしている。
【0004】
しかるに、車体フレームの一部をラジエータのガードとして用いるようにすると、車体フレーム全体の幅が大きくなってしまい、重量増大およびコスト増大を招くだけでなく、運転者が足を地面に着け難くなり、また他の機種への適用が難しくなる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ラジエータをガードするにあたって、車体フレームの重量増大およびコスト増大を回避するとともに、足着き性の低下を防止し、さらに汎用性を高め得るようにしたスクータ型車両を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、前輪を操向可能に支承するヘッドパイプ部と、該ヘッドパイプ部から後下りに延びるダウンフレーム部と、該ダウンフレーム部の下端から後方に延びるフロア支持フレーム部とを有する車体フレームが、シートに座乗する運転者の足を乗せるべく前記フロア支持フレーム部を覆うように形成されるステップフロアを備える合成樹脂製の車体カバーで覆われ、前記シートの下方で車体フレームに支持される水冷式エンジンの左右いずれか一側にラジエータが配置されるスクータ型車両において、前記ステップフロアが、前記フロア支持フレーム部を上下から覆うアッパーカバーとアンダーカバーとで構成され、前記ラジエータが配置される側での前記アンダーカバーの一側内面に、前記車体フレームに当接可能な補強リブが一体に突設され、前記ラジエータが前記ステップフロアの一側外面よりも内方側に配置され、前記アンダーカバーの、前記補強リブが設けられる部分の上部が前記アッパーカバーにより覆われることを第1の特徴とし、またこの特徴に加えて、前記アンダーカバーの、前記補強リブが設けられる部分の下部の外側面は、下方に行くに従い車幅方向内方側に向かうように形成されることを第2の特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、ラジエータが配置される側にスクータ型車両を倒したときに、該ラジエータよりも先にステップフロアの一側外面が地面に接触することになり、補強リブの車体フレームへの当接により、前記ステップフロアの一側の剛性が確保されるので、前記ラジエータの地面への接触を回避することができる。したがって車体フレームの一部をラジエータのガードとして用いることが不要であり、車体フレームの重量増大を回避してコストの低減を図ることが可能となり、また車体フレームの幅が広がることはないので運転者の足着き性の低下を防止することができ、さらに車体カバーの一部を改造するだけで他の機種に適用することができるので汎用性を高めることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0009】
図1〜図11は本発明の一実施例を示すものであり、図1はスクータ型車両の側面図、図2は車体カバー、収納ボックスおよび燃料タンクを省略した状態での図1の2矢視図、図3はアッパーカバーを省略した状態での図1の3矢視図、図4はパワーユニットの横断面図、図5はエアクリーナおよび2次空気用エアクリーナの拡大側面図、図6は図5の6−6線断面図、図7は図5の7−7線拡大断面図、図8は車体フレームへのエンジンの揺動支持部を示す一部切欠き側面図、図9は図8の9−9線断面図、図10は図2の10−10線拡大断面図、図11は図10の11−11線断面図である。
【0010】
先ず図1において、スクータ型車両の車体フレームFは、アルミ合金等で鋳造成形される前部フレーム11と、アルミ合金等で鋳造成形されて前部フレーム11の後端に締結される後部フレーム12と、金属製のパイプを加工して構成されて後部フレーム12の後端に締結されるサブフレーム13とを備える。
【0011】
前部フレーム11がその前端に備えるヘッドパイプ部14には、前輪WFを跨ぐフロントフォーク17が操向可能に支承される。前記フロントフォーク17の下端は前輪WFの車軸18よりも前方に配置されており、該フロントフォーク17の下端に一端が連結されるリンク19の他端が前記車軸18に連結され、フロントフォーク17の上下方向中間部およびリンク19の中間部間にフロントクッション20が設けられる。またフロントフォーク17の上端には操向ハンドル21が連結される。
【0012】
図2および図3を併せて参照して、前部フレーム11は、ヘッドパイプ部14と、該ヘッドパイプ部14から後下りに延びるダウンフレーム部15と、該ダウンフレーム部15の下端から後方に延びる左右一対のフロア支持フレーム部16,16とを一体に有して、鋳造成形される。而して後部フレーム12は、両フロア支持フレーム部16,16の後端に締結される。
【0013】
後輪WRの前方側に配置されるエンジンEと、後輪WRの左側方に配置される無段変速機Mとから成るパワーユニットPが、後部フレーム12の前後方向中間部に、防振リンク22を介して揺動可能に支承される。エンジンEは、たとえばシリンダを車体前方に向けてほぼ水平に配置した水冷式の単気筒4サイクルエンジンであり、無段変速機Mは、たとえばベルト式のものである。
【0014】
図4において、エンジンEは、第1エンジンブロック32および第2エンジンブロック33を備えており、第1エンジンブロック32はシリンダブロック321 およびクランクケース半部322 を構成し、第2エンジンブロック33はクランクケース29の他の半部を構成する。
【0015】
第1エンジンブロック32の前端にはシリンダヘッド34が結合され、シリンダヘッド34の前端にはヘッドカバー35が結合される。第1および第2エンジンブロック32,33の右側面には発電機カバー36が結合される。
【0016】
無段変速機Mは、相互に結合される右側ケーシング37および左側ケーシング38を備えており、右側ケーシング37の前部右側面が、第1および第2エンジンブロック32,33の左側面に結合される。また右側ケーシング37の後部右側面には減速機ケーシング39が結合される。
【0017】
第1エンジンブロック32が備えるシリンダ41の内部に摺動自在に嵌合するピストン42は、コネクティングロッド43およびクランクピン28を介してクランクシャフト31に連結される。シリンダヘッド34にはカムシャフト44が回転自在に支持されており、シリンダヘッド34に設けられた吸気バルブおよび排気バルブ(図示せず)が前記カムシャフト44によって開閉駆動される。第1エンジンブロック32に設けられたチェーン通路40内にはタイミングチェーン45が収納され、該タイミングチェーン45が、クランクシャフト31に設けられた駆動スプロケット46とカムシャフト44に設けられた従動スプロケット47とに巻き掛けられる。これによりカムシャフト44は、クランクシャフト31の2回転につき1回転する。
【0018】
右側ケーシング37および左側ケーシング38の内部に突出するクランクシャフト31の左端には駆動プーリ54が設けられる。該駆動プーリ54は、クランクシャフト31に固定された固定側プーリ半体55と、固定側プーリ半体55に対して接近・離間可能な可動側プーリ半体56とを備えており、可動側プーリ半体56はクランクシャフト31の回転数の増加に応じて半径方向外側に移動する遠心ウエイト57によって、固定側プーリ半体55に接近する方向に付勢される。
【0019】
右側ケーシング37の後部および減速機ケーシング39間に支持された出力軸58に設けられた従動プーリ59は、出力軸58に相対回転可能に支持された固定側プーリ半体60と、固定側プーリ半体60に対して接近・離間可能な可動側プーリ半体61とを備えており、可動側プーリ半体61はスプリング62で固定側プーリ半体60に向けて付勢される。また固定側プーリ半体60と出力軸58との間に発進用クラッチ63が設けられる。そして駆動プーリ54および従動プーリ59間に無端状のVベルト64が巻き掛けられる。
【0020】
右側ケーシング37および減速機ケーシング39間には前記出力軸58と平行な中間軸65および車軸66が支持されており、出力軸58、中間軸65および車軸66間に減速ギヤ列67が設けられる。そして減速機ケーシング39を貫通して右側に突出する車軸66の右端に後輪WRが設けられる。
【0021】
このような無段変速機Mにおいて、クランクシャフト31の回転動力は駆動プーリ54に伝達され、該駆動プーリ54からVベルト64、従動プーリ59、発進用クラッチ63および減速ギヤ列67を介して後輪WRに伝達される。
【0022】
而してエンジンEの低速回転時には、駆動プーリ54の遠心ウエイト57に作用する遠心力が小さいため、従動プーリ59のスプリング62によって固定側プーリ半体60および可動側プーリ半体61間の溝幅が減少し、変速比はLOWになっている。この状態からクランクシャフト31の回転数が増加すると、遠心ウエイト57に作用する遠心力が増加して駆動プーリ54の固定側プーリ半体55および可動側プーリ半体56間の溝幅が減少し、それに伴って従動プーリ59の固定側プーリ半体60および可動側プーリ半体61間の溝幅が増加するため、変速比はLOWからTOPに向かって無段で変化する。
【0023】
クランクシャフト31の右側に設けられた交流発電機68は発電機カバー36により覆われており、その発電機カバー36の右側にラジエータ69が設けられる。このラジエータ69に冷却風を供給すべく、クランクシャフト31の右端に固定された冷却ファン70が交流発電機68およびラジエータ69間に配置される。冷却ファン70と、該冷却ファン70の外方に配置されるラジエータ69とは、発電機カバー36に締結される合成樹脂製のカバー74で覆われ、該カバー74の外側面には外部から冷却空気を吸入するためのルーバー75が設けられる。
【0024】
またシリンダヘッド34の右側面には、内部にサーモスタット71を収納したサーモスタットケース72が結合されており、カムシャフト44の右端に設けられた冷却水ポンプ73がシリンダヘッド34およびサーモスタットケース72によって囲まれた空間に収納される。
【0025】
再び図1および図2において、パワーユニットPの後部および後部フレーム12間にはリヤクッションユニット76が設けられる。またエンジンEからの排気ガスを導く排気管77がエンジンEから後輪WRの右側方側に延出されており、この排気管77は、後輪WRの右側方に配置される排気マフラー78に接続される。さらにエンジンEにはスタンド79が回動可能に支持される。
【0026】
後部フレーム12の中間部上面には、ヘルメット等を収納可能な収納ボックス80が、前記エンジンEの上方に配置されるようにして支持されており、サブフレーム13上には燃料タンク81が支持される。
【0027】
図5および図6において、パワーユニットPの後部には、エンジンEの吸気系に供給する空気を浄化するためのエアクリーナ82が、後輪WRの上部側方に配置されるようにして取付けられ、該エアクリーナ82の前部には、エンジンEの排気系に供給する空気を浄化するための2次空気用エアクリーナ83が付設される。
【0028】
エアクリーナ82および2次空気用エアクリーナ83は、共通のクリーナケース84を備えるものであり、該クリーナケース84は、合成樹脂製の第1および第2ケース部材85,86が結合されて成るものである。第1ケース部材85は、椀状の大ケース部85aと、大ケース部85aよりも小型に形成されて大ケース部85aと同一方向に開放した椀状の小ケース部85bとを一体に備えるように形成され、第2ケース部材86は、椀状の大ケース部86aと、第1ケース部材85の小ケース部85bに嵌合される有底筒状の小ケース部86bと一体に備えるように形成され、第1および第2ケース部材85,86の大ケース部85a,86aは、複数のねじ部材87…により相互に締結される。
【0029】
エアクリーナ82は、第1ケース部材85の大ケース部85aならびに第2ケース部材86の大ケース部86a間に、クリーナエレント88を保持する保持部材89の周縁部が挟持されて成るものであり、クリーナエレメント88および保持部材89と、第1ケース部材85の大ケース部85aとの間には、第1未浄化室91が形成され、クリーナエレメント88および保持部材89と、第2ケース部材86の大ケース部86aとの間には、第1浄化室92が形成される。
【0030】
図7において、エアクリーナ82の後方側下部には、第1未浄化室91に外部から空気を導入するための吸入ダクト93が設けられる。この吸入ダクト93は、後上がりに傾斜して第1未浄化室内91内に配置されるとともに下端部が第1ケース部材85における大ケース部85aに支持される小径管94と、該小径管94よりも大径にして前記大ケース部85aに一体に形成される大径管95とから成るものであり、小径管94の下端は大径管95の上端に開口され、大径管95の下端はパワーユニットPの後方で下方に向けて開口している。
【0031】
しかも大径管95の後方下部には切欠き96が設けられており、切欠き96の上端すなわち大径管94の後部開放端から前記小径管94の下部開口端までの距離L1(図5参照)は、大径管94の下部開放端において前記後部を除く部位から前記小径管94の下部開口端までの距離L2(図5参照)よりも短く設定される。
【0032】
第2ケース部材86における大ケース部86aには、第1浄化室92に通じるようにして合成樹脂製の第1吸気管98の一端が接続されており、第1吸気管98の中間部にはレゾネータ99が接続される。また第1吸気管98の他端は、エアクリーナ82よりも前方側でエンジンEおよび収納ボックス80間に配置される気化器100に接続され、気化器100に一端が接続される第2吸気管101の他端が、シリンダヘッド34の吸気ポートに接続される。すなわちエアクリーナ82の第1未浄化室91に吸入ダクト93から導入された空気はクリーナエレメント88を第1浄化室92側に通過して浄化された後に気化器100に導かれ、該気化器100で生じる混合気が前記吸気ポートに吸入される。
【0033】
また第2ケース部材86の大ケース部86aには、第1浄化室92に通じる負圧取出管102が設けられており、この負圧取出管102は負圧導管103を介して気化器100に接続される。
【0034】
さらにエンジンEからのブローバイガスを導く導管104を接続するための接続管105が、第1吸気管98の開口端の近傍で第1浄化室92内に通じるようにして、第2ケース部材86の大ケース部86aに設けられており、大ケース部86a内には、接続管105から第1浄化室92内に導入されたブローバイガスがクリーナエレメント88に直接あたって該クリーナエレメント88を汚してしまうことがないように、接続管105の内端開口部およびクリーナエレメント88に介在する邪魔板106が固定配置される。
【0035】
2次空気用エアクリーナ83は、第1ケース部材85の小ケース部85bと、第2ケース部材86の小ケース部86bと、小ケース部85b,86bにそれぞれ突設された複数の突部107…,108…間に挟持されて小ケース部85b,86b間に配置されるクリーナエレント109とを備え、クリーナエレメント109と第1ケース部材85の小ケース部85bとの間には、前記第1未浄化室91よりも小容量である第2未浄化室110が形成され、クリーナエレメント109と第2ケース部材86の小ケース部86bとの間には、前記第1浄化室92よりも小容量である第2浄化室111が形成される。また小ケース部85b,86bはねじ部材112で相互に結合される。
【0036】
第2ケース部材86の小ケース部86bには、第2浄化室111に通じる接続管113が一体に設けられており、この接続管113に一端が接続される第1空気導管114の他端は、空気量制御弁115に接続される。この空気量制御弁115は、図3で示すように、シリンダヘッド34に装着される点火プラグ116とは反対側でヘッドカバー35に取付けられる。またヘッドカバー35に設けられたリード弁等の逆止弁117に空気量制御弁115が第2空気導管118を介して接続されており、2次空気用エアクリーナ83で浄化された2次空気は、空気量制御弁115で空気量を制御され、前記逆止弁117を介して、シリンダヘッド34の排気ポート(図示せず)に供給されることになる。
【0037】
ところで空気量制御弁115は、エンジンEの吸気負圧に応じて作動するものであり、空気量制御弁115に負圧を導く負圧導管119が第2吸気管101の中間部に接続される。
【0038】
2次空気用エアクリーナ83の第2未浄化室111に外部から空気を導入するための空気導入管120が、第2未浄化室111に内端を開口するようにクリーナエレメント109を貫通して、第2ケース部材86の小ケース部86bに一体に設けられており、この空気導入管120に一端が接続される吸入チューブ121が、エンジンEの車体フレームFへの揺動支軸131の近傍を経由して、前方側に延出される。
【0039】
ところで、エンジンEは防振リンク22を介して車体フレームFにおける後部フレーム12に支承されるものであり、この防振リンク22の構造について、図8および図9を参照しつつ説明する。
【0040】
防振リンク22は、エンジンEに設けられる左右一対のエンジン側ブラケット1231 ,1232 と、各エンジン側ブラケット1231 ,1232 に一端が揺動可能に連結されるとともに他端が後部フレーム12に揺動可能に連結される左右一対のリンク1241 ,1242 と、両リンク1241 ,1242 間を連結するクロスメンバー125と、後部フレーム12に当接するようにして一方の前記リンク1241 に設けられる一対のストッパラバー126,127とを備える。
【0041】
エンジン側ブラケット1231 ,1232 は、上方に突出するようにしてエンジンEに設けられており、これらのエンジン側ブラケット1231 ,1232 には、装着孔128,128が同軸に設けられ、各装着孔128,128にはゴムブッシュ129,129が圧入され、両ゴムブッシュ129,129間には円筒状のスペーサ130が介装される。両ゴムブッシュ129,129およびスペーサ130に挿通される揺動支軸131としてのボルトの両端が、エンジン側ブラケット1231 ,1232 に連結される。
【0042】
後部フレーム12の両側には、支持孔132,132が同軸に設けられ、各支持孔132,132にはゴムブッシュ133,133が圧入される。而して両リンク1241 ,1242 の他端に設けられて前記揺動支軸131と平行であるボルト134,134が前記ゴムブッシュ133,133を介して後部フレーム12の両側に揺動可能に支承される。
【0043】
一方のリンク1241 において、揺動支軸131およびボルト134の中心を結ぶ直線よりも前方側にはボックス状のラバー支持部135が設けられ、このラバー支持部135に装着されるストッパラバー126を当接させる当接面136が、後部フレーム12の下面に形成される。また前記リンク1241 において、揺動支軸131およびボルト134の中心を結ぶ直線よりも後方側にはボックス状のラバー支持部137が設けられ、このラバー支持部137に装着されるストッパラバー127を当接させる当接面138が、後部フレーム12の下面に形成される。
【0044】
両リンク1241 ,1242 を連結するクロスメンバー125は、下方を開いた略U字状に形成されており、両リンク1241 ,1242 よりも後方側に配置される前記気化器100と、エンジンEとの間を接続する第2吸気管101を跨ぐように配置される。
【0045】
このような防振リンク22では、パワーユニットPのエンジンEから揺動支軸131に作用する荷重は、ゴムブッシュ129,129の弾性変形によって吸収されるとともに、ストッパラバー126,127が当接面136,138に押付けられて弾性変形することにより吸収され、さらにゴムブッシュ133,133の弾性変形によっても吸収される。
【0046】
而して、前記吸入チューブ121は、前記防振リンク22における揺動支軸131の近傍を経由して前方側に延出されている。
【0047】
車体フレームFは、合成樹脂製の車体カバー141で覆われるものであり、この車体カバー141は、運転者の足の前方を覆うレッグシールド141aと、レッグシールド141aの下部に連なるアッパーカバー141bと、アッパーカバー141bの下方を覆ってレッグシールド141aおよびアッパーカバー141bに連なるアンダーカバー141cと、アッパーカバー141bおよびアンダーカバー141cに連なって車体後部を両側から覆うサイドカバー141dとを備え、前記アッパーカバー141bおよびアンダーカバー141cは、運転者の足を載せるべく、両フロア支持フレーム部16,16を上下から覆うように形成されるステップフロア140を構成する。
【0048】
後部フレーム12上に支持される収納ボックス80の大部分、ならびにサブフレーム13上に支持される燃料タンク81は、上記サイドカバー141dで覆われており、収納ボックス80を上方から覆い得るシート142がエンジンEの上方に位置するようにしてサイドカバー141dの上部に開閉可能に取付けられる。また燃料タンク81が備える燃料注入用のキャップ81aはサイドカバー141dの上部から上方に突出するように配置される。
【0049】
図3に特に注目して、前部フレーム11における両フロア支持フレーム部1616間においてアッパーカバー141bの下方には、上部を開放した箱形の物入れ143が固定配置される。この物入れ143内の前部には、ゴムバンド144で固定されるようにしてバッテリ145が収納される。またバッテリ145の左側に配置されるリレー146,147,148と、バッテリ145の後方側に配置されるヒューズ149,150と、それらのヒューズ149,150の後方側に配置されるレギュレータ151と、バッテリ145の後方でレギュレータ151の右側に配置されるラジエータリザーブタンク147とが、物入れ143内に収納される。
【0050】
而して前記2次空気用エアクリーナ83に一端が接続されて前方側にから延出されている吸入チューブ121の他端は、ステップフロア140におけるアッパーカバー141bの下方まで延出されており、前記物入れ143内に開口される。
【0051】
ところで、このスクータ型車両では、図2で示すように、ラジエータ69がエンジンEの右側に配置されるのであるが、該スクータ型車両を整備等のために右側に倒したときにラジエータ69をガードすべく、該ラジエータ69ならびにラジエータ69を覆うカバー74が、前記ステップフロア140の右側外面よりも内方側に配置される。
【0052】
しかもステップフロア140を、アッパーカバー141bとともに構成するアンダーカバー141cの右側後部内面には、複数たとえば3つの補強リブ154,154,154が、車体フレームFにおける後部フレーム12の右側面に当接し得るように一体に設けられる。そして、図10に示されるように、アンダーカバー141cの、補強リブ154が設けられる部分の上部は、アッパーカバー141bにより覆われており、またアンダーカバー141cの、補強リブ154が設けられる部分の下部の外側面は、下方に行くに従い車幅方向内方側に向かうように形成される。
【0053】
而して各補強リブ154…は、スクータ型車両の通常の状態では後部フレーム12の右側面に当接しなくてもよいが、スクータ型車両を右側に倒したときに、ステップフロア140の右側外面が地面に接触することによるステップフロア140の撓みによって後部フレーム12の右側面に当接したときには、前記カバー74が地面に接触しない状態にあるように、各補強リブ154…の後部フレーム12側への突出量が設定される。
【0054】
次にこの実施例の作用について説明すると、エンジンEの排気系(この実施例ではシリンダヘッド34の排気ポート)に供給される2次空気を浄化するための2次空気用エアクリーナ83がパワーユニットPに取付けられるので、車体フレームFへの組付前にエンジンEの排気系への2次空気用エアクリーナ83の接続作業を行なうことができ、接続作業を容易とすることができる。
【0055】
しかもパワーユニットPに取付けられることから2次空気用エアクリーナ83の容量は最少限に設定せざるを得ないのであるが、2次空気用エアクリーナ83に外部から空気を導入する吸入チューブ121が、2次空気用エアクリーナ83から延出されるので、該吸入チューブ121により2次空気用エアクリーナ83の実質的な容積を増大して吸入音の低減を図ることができる。
【0056】
また吸入チューブ121は、エンジンEの車体フレームFへの揺動支軸131の近傍を経由して、ステップフロア140におけるアッパーカバー141bの下方まで延出されており、パワーユニットPの揺動によって吸入チューブ121を屈曲させる等の外力が該吸入チューブ121に作用することを極力回避して、後輪WRではね上げた水や泥などの悪影響を受け難い位置に、吸入チューブ121を適切にレイアウトすることができる。
【0057】
さらにアッパーカバー141bの下方には、バッテリ145、リレー146,147,148、ヒューズ149,150およびレギュレータ151等の電装品や、ラジエータリザーブタンク147等を収納して、上方を開放した物入れ143が配置されており、吸入チューブ121が該物入れ143内に開口される。したがって、2次空気用エアクリーナ83での吸入音をより一層効果的に低減することが可能となるとともに、水や泥などの悪影響が2次空気用エアクリーナ83に及ぶことをより効果的に防止することができる。
【0058】
このスクータ型車両では、エンジンEの右側に、ラジエータ69と、該ラジエータ69を覆うカバー74とが配置されるのであるが、ラジエータ69が配置される側でのステップフロア140におけるアンダーカバー141cの一側内面、すなわちアンダーカバー141cの右側内面に、車体フレームFの後部フレーム12に当接可能な補強リブ154…が突設されており、ラジエータ69およびカバー74がステップフロア140の右側外面よりも内方側に配置されている。
【0059】
したがって整備等のためにスクータ型車両を右側に倒したときに、ラジエータ69およびカバー74よりも先にステップフロア140の右側外面が地面に接触することになり、補強リブ154…の後部フレーム12への当接により、ステップフロア140の右側の剛性が確保されるので、ラジエータ69およびカバー74の地面への接触を回避することができる。
【0060】
この結果、車体フレームFの一部をラジエータ69およびカバー74のガードとして用いることが不要であり、車体フレームFの重量増大を回避してコストの低減を図ることが可能となり、また車体フレームFの幅が広がることはないので運転者の足着き性の低下を防止することができ、さらに車体カバー141の一部を改造するだけで他の機種に適用することができるので汎用性を高めることができる。
【0061】
またパワーユニットPにクリーナケース84が取付けられるエアクリーナ82内に外部から空気を導入するための吸入ダクト93は、クリーナケース84内の第1未浄化室91に上端を通じさせる小径管94と、該小径管94よりも大径に形成されて小径管94の下端に上端を通じさせる大径管95とで構成され、前記大径管95の後部開放端から前記小径管94の下部開口端までの距離L1が、前記大径管95の下部開放端において前記後部を除く部位から前記小径管94の下部開口端までの距離L2よりも短く設定されている。
【0062】
このような吸入ダクト93の構成によれば、スクータ型車両の走行により吸入ダクト93における大径管95の前壁よりも後方側に負圧を生じさせ、その負圧を利用して外部の空気を吸入ダクト93から第1未浄化室91に効果的に導入することができる。すなわち吸入ダクト93への外部空気の吸込方向を吸入ダクト93の後方側に特定することが可能である。したがって、スクータ型車両の走行時に車体カバー141の後方側に生じる負圧による風の巻込みで、パワーユニットPの後部に埃が堆積していたとしても、その埃をエアクリーナ82が吸入することを極力回避することができる。しかも吸入ダクト93は、大径管95の一部に、切欠き96を設ける等の工夫をこらすだけの簡単な形状ですみ、コスト増大を招くことはない。
【0063】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0064】
例えば上記実施例では、ラジエータ69を覆うカバー74が設けられているが、そのようなカバーが設けられていないスクータ型車両に本発明を適用することも可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ラジエータが配置される側にスクータ型車両を倒したときに該ラジエータよりも先にステップフロアの一側外面を地面に接触させるようにし、補強リブの車体フレームへの当接によりステップフロアの一側の剛性を確保するので、ラジエータの地面への接触を回避することができる。したがって車体フレームの一部をラジエータのガードとして用いることが不要であり、車体フレームの重量増大を回避してコストの低減を図ることが可能となり、運転者の足着き性の低下を防止することができ、さらに汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スクータ型車両の側面図
【図2】 車体カバー、収納ボックスおよび燃料タンクを省略した状態での図1の2矢視図
【図3】 アッパーカバーを省略した状態での図1の3矢視図
【図4】 パワーユニットの横断面図
【図5】 エアクリーナおよび2次空気用エアクリーナの拡大側面図
【図6】 図5の6−6線断面図
【図7】 図5の7−7線拡大断面図
【図8】 車体フレームへのエンジンの揺動支持部を示す一部切欠き側面図
【図9】 図8の9−9線断面図
【図10】 図2の10−10線拡大断面図
【図11】 図10の11−11線断面図
【符号の説明】
14・・・ヘッドパイプ部
15・・・ダウンフレーム部
16・・・フロア支持フレーム部
69・・・ラジエータ
140・・・ステップフロア
141・・・車体カバー
141c・・アンダーカバー
141b・・アッパーカバー
142・・・シート
154・・・補強リブ
E・・・エンジン
F・・・車体フレーム
WF・・・前輪
Claims (2)
- 前輪(WF)を操向可能に支承するヘッドパイプ部(14)と、該ヘッドパイプ部(14)から後下りに延びるダウンフレーム部(15)と、該ダウンフレーム部(15)の下端から後方に延びるフロア支持フレーム部(16)とを有する車体フレーム(F)が、シート(142)に座乗する運転者の足を乗せるべく前記フロア支持フレーム部(16)を覆うように形成されるステップフロア(140)を備える合成樹脂製の車体カバー(141)で覆われ、前記シート(142)の下方で車体フレーム(F)に支持される水冷式エンジン(E)の左右いずれか一側にラジエータ(69)が配置されるスクータ型車両において、
前記ステップフロア(140)が、前記フロア支持フレーム部(16)を上下から覆うアッパーカバー(141b)とアンダーカバー(141c)とで構成され、前記ラジエータ(69)が配置される側での前記アンダーカバー(141c)の一側内面に、前記車体フレーム(F)に当接可能な補強リブ(154)が一体に突設され、前記ラジエータ(69)が前記ステップフロア(140)の一側外面よりも内方側に配置され、前記アンダーカバー(141c)の、前記補強リブ(154)が設けられる部分の上部が前記アッパーカバー(141b)により覆われることを特徴とするスクータ型車両。 - 前記アンダーカバー(141c)の、前記補強リブ(154)が設けられる部分の下部の外側面は、下方に行くに従い車幅方向内方側に向かうように形成されることを特徴とする、請求項1に記載のスクータ型車両。
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