JP4294757B2 - スリットコート式塗布装置及びスリットコート式塗布方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スリットコート式塗布装置及びスリットコート式塗布方法に係り、特にプラズマ、液晶ディスプレイ等の平面状の塗布対象物(以下、基板Wと言う)や半導体ウェハー上にレジスト液、スラリー等の各種液状塗布液を均一な薄膜状態で塗布する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種電子機器のディスプレイ装置の表示部に用いられるガラス製の平板状の基板上、あるいは半導体製造用ウエハー上に、フォトレジスト液や絶縁材料、はんだレジストなどの各種塗布流体を塗布する方法として、基板またはウエハーの中央部位にノズルから塗布液を滴下するか、中央から外周方向に移動しつつ渦巻き状の軌跡を描いた後に、基板またウエハーを高速回転させ、回転による遠心力の作用で滴下された塗布液を周囲に拡散することで均一な薄膜を形成するスピンコート式塗布装置が採用されている。
【0003】
また、塗布対象物の基板が矩形形状である場合には、基板の短辺に該当する幅寸法の全長を有するスリット状の開口部を備えた塗布ヘッドを用いて、スリット状のスリット開口部から一定量の所定塗布液を吐出しつつ、塗布ヘッド側もしくは基板側を一定速度で相対移動することで均一な薄膜を形成するスリットコート式塗布装置が近年多く採用されている。
【0004】
このスリットコート式塗布装置によれば、所望の塗布面形成(例えば膜厚1.5μm±5%)に必要な吐出流体量を必要形成量の1.1倍以下に抑えることができることから、上記のスピンコート式塗布装置との比較において無駄になる塗布流体の消費を大幅に削減することができる。つまり、上記のスピンコート法の全面塗布との比較において、1方向へ1回の移動塗布による塗布であるので塗布液による塗布膜形成の必要量の1.4倍以下に抑えることが可能となる。さらに、矩形形状の基板の短辺と長辺で規定される面積内に略矩形に収まるように塗布する「額縁」塗布が可能となり、また大型サイズの基板にも対応できるようになる。
【0005】
しかし、このスリットコート式塗布装置は、一回の相対移動における塗布のみで均一な薄膜を得るようにしているために、吐出流体をスリット開口部の全長に亘り均一な膜厚で吐出する条件と、スリット開口部から吐出した吐出流体の膜厚を引き伸ばしつつ均一な薄膜にする条件と、さらに塗布開始時と塗布終了時における不安定領域を最少化する条件とが必要となる。例えば、乾燥後のドライ膜厚1μm±5%の要求に対して、吐出直後のウェット膜厚6μmの塗布を行なうときに、経験的にはスリット開口部の幅30μm±1.5μmの精度の塗布ヘッド先端と塗布対称面の間隙を100μm前後に合わせ、一定の圧力でスリット開口部から押し出される塗布流体を、所定の走行速度で塗布ヘッドもしくは基板側を移動させることにより所望の均一な厚さの乾燥後のドライ薄膜が得られることが判明している。
【0006】
一方、特開平05−7814号公報に開示の「粘性流体圧制御装置」によれば、塗布ヘッドに該当するノズルと流体供給部の間に圧力調整タンクを接続するとともに、圧力調整タンクを変位検出部を設けた可撓膜で糊室と空気室とに仕切ることで、調整タンクの空気圧を変位検出部からの検出結果に基づき制御し、吐出圧力制御の応答性を改善する技術が示されている。つまり、加圧した塗料をノズルに供給するときの過渡状態において圧力制御の追従性をよくする技術が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、矩形塗布面の四方の縁部の塗布膜厚みの内で、特に塗布開始時と塗布終了時の不安定領域の塗布厚のばらつきは大きくなり、均一な薄膜を得るまでにかなりの助走領域(不安定領域)を必要としていた。この領域は塗布有効面から外れた領域であるので、所望の塗布有効面を得ようとしたときに、塗布有効面以外の助走面を有するかなりの広さの基板を用意しなければならない。また、塗布ムラが有効面にまで及ぶと塗布不良として扱われることになるので、経済性、生産性の面から塗布ムラ領域の極小化と安定化及び有効面外の面積の極小化が大きな課題となっている。
【0008】
また、上記公報に開示の内容をそのままスリットコート式塗布装置に適用した場合には、流体の挙動については一切モニターしておらず、塗布ムラ領域の極小化と安定化及び有効面外の面積の極小化については、結局実現できないことになる。
【0009】
一方で、従来のスリットコート式塗布装置によれば、特に塗布開始時と塗布終了時の不安定領域の塗布開始時の塗布厚のばらつきを解消し、かつまた不安定領域を短くするために、熟練した制御知識と調整技術を持つ経験者が、かなりの時間をかけて調整している。具体的には、塗布流体の供給速度、供給開始及び終了のタイミング調整を塗布開始前の準備段階において実際の基板上に何度も塗布して、不安定領域を短くする調整を行なうようにしていた。
【0010】
また、この調整作業は、上記のようなフォトレジスト液や絶縁材料、はんだレジストなどの各種塗布流体の種別が変わる度に調整する必要があることから、種別毎に行われる調整時間の短縮と、誰でも簡単にできることが望まれていた。
【0011】
一方、半導体用の円形ウエハーや液晶基板の塗布装置は、簡単な構造で所望の薄膜が高い精度で得られる上記のスピンコート法に依存していたが、このために速乾性の高い塗布流体の場合には希釈液が蒸発してしまい回転盤上の塗布流体を遠心力のみでは完全に均一に拡散できないものであり、また回転盤を定期的に洗浄する必要があるので生産タクト時間を短縮できす、かつまた大量の洗浄液や不要となる塗布液を回収した後に、処理するための付帯設備が必要となるので、スリットコート式塗布装置に移行することが望まれていた。しかし、半導体用の円形ウエハーにおいては塗布開始時と塗布終了時の不安定領域塗布開始時の塗布厚のばらつきが三日月状に発生するので、熟練した制御知識と調整技術を持つ経験者が、かなりの時間をかけて調整する必要がある。
【0012】
したがって、本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、スリットコート式塗布装置における塗布開始時と塗布終了時の不安定領域を短くするための調整作業を、誰でも簡単にできるようにでき、特に塗布開始前の準備段階における調整時間を大幅に短縮することを目的としている。特に、フォトレジスト液や絶縁材料、はんだレジストなどの各種塗布流体の種別が変わる度に調整するときに、種別毎に行われる調整時間の短縮を図ることで、塗布液の高い歩留まりと塗布基板の高い良品率を達成でき、しかも大型サイズ基板の対応を計ることを目的としている。
【0013】
半導体用ウエハーや液晶基板において、簡単な構造で所望の薄膜が高い精度で得られるとともに、定期的な洗浄を不要にして生産タクト時間を短縮でき、かつ大量の洗浄液や不要となる塗布液の処理用の付帯設備を不要にすることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、塗布対象である平面の基板の塗布有効面上に塗布流体を所定厚さで流出するために、スリット状の開口部を有する塗布ヘッドから前記塗布流体を塗布開始時のタイミングで供給するとともに塗布終了時のタイミングで前記供給を停止する供給制御手段と、前記基板に対して前記塗布ヘッドを相対移動するとともに、前記塗布ヘッドを前記基板から離れた待機位置と前記基板に近い塗布する位置との間で昇降させる相対移動手段とを備えたスリットコート式塗布装置であって、前記塗布流体の流路途中において、前記塗布ヘッドの取付部に接続されることで前記塗布ヘッド近傍の圧力変化を検出しかつ圧電変換する圧力センサと、前記塗布流体の供給状態を目視または数値データで観測する観測手段と、前記観測手段による観測結果に応じて前記塗布流体の供給のためのパラメータを調整することで、前記観測結果を適正な波形に調整可能にするために、前記供給制御手段は、前記相対移動手段により前記塗布ヘッドが前記塗布する位置から前記待機位置に移動される直前に、オン状態からオフ状態にされることで前記塗布流体の供給を停止するオンオフ弁と、前記相対移動手段により前記塗布ヘッドが前記塗布する位置から前記待機位置に移動されるときに、オフ状態から一定時間オン状態にされることで前記流路内の残圧を大気に開放する残圧開放弁と、前記残圧開放弁がオン状態からオフ状態にされた後に、オン状態からオフ状態にされることで前記塗布ヘッド内に残留している前記塗布流体を吸引するサックバック弁と、を含み、前記オンオフ弁の下流側に前記サックバック弁を接続し、前記オンオフ弁と前記サックバック弁の間の前記流路から前記残圧開放弁を分岐接続して、前記塗布流体の供給開始から供給停止までの塗布領域における塗膜調整作業を容易にすることを特徴としている。
【0015】
また、前記塗布流体は、供給部に印加される供給圧力により前記塗布ヘッドに供給可能な低粘度の塗布流体であって、前記供給制御手段を、前記塗布ヘッドの供給管に接続され、前記供給管内の体積を一時的に増加するために所定ストロ−クで駆動される栓体を有するサックバック弁と、前記サックバック弁と前記供給部との間に接続され、所定ストロ−クで駆動される栓体により流路を開閉する開閉弁と、前記開閉弁と前記サックバック弁の間の流路から分岐して接続され、前記流路内の残圧を開放するために所定ストロ−クで駆動される栓体により流路を大気に開放する残圧開放弁と、前記各弁のうちの少なくとも一つに設けられてなり、前記栓体の所定ストロークを調整して開閉のタイミングを前記移動速度に応じて調整する調整部とから構成し、前記複数のパラメータを調整することを特徴としている。
【0016】
また、前記塗布流体は、供給部に接続される強制ポンプにより前記塗布ヘッドに供給される高粘度の塗布流体であって、前記供給制御手段を、前記塗布ヘッドの供給管に接続される前記強制ポンプと、前記強制ポンプを所定タイミングで正逆回転方向に駆動することで前記観測結果が略台形の立ち上がり及び立ち下がり波形に自動調整するモータ駆動部とから構成することを特徴としている。
【0017】
また、塗布開始及び塗布終了時における前記基板に対する前記塗布ヘッドの相対移動の加速及び減速の度合を調整するための速度調整手段をさらに具備し、前記複数のパラメータを調節可能にすることを特徴としている。
【0018】
また、前記供給制御手段は、前記調整部または前記モータ駆動部を自動調整するために、前記観測結果に応じて塗布流体の供給のための複数のパラメータを自動調整することを特徴としている。
【0019】
また、塗布対象である平面の基板の塗布有効面上に塗布流体を所定厚さで流出するために、スリット状の開口部を有する塗布ヘッドから前記塗布流体を塗布開始時のタイミングで供給するとともに塗布終了時のタイミングで前記供給を停止する供給制御工程と、前記基板に対して前記塗布ヘッドを相対移動するとともに、前記塗布ヘッドを前記基板から離れた待機位置と前記基板に近い塗布する位置との間で昇降させる相対移動工程とを備えたスリットコート式塗布方法であって、前記塗布流体の流路途中において、前記塗布ヘッドの取付部に接続される圧力センサにより前記塗布ヘッド近傍の圧力変化を検出しかつ圧電変換することで、前記塗布流体の供給状態を目視または数値データで観測する観測工程と、前記観測工程による観測結果に応じて前記塗布流体の供給のためのパラメータを調整する調整工程とを備え、前記供給制御工程は、前記相対移動工程により前記塗布ヘッドが前記塗布する位置から前記待機位置に移動される直前に、オンオフ弁をオン状態からオフ状態にすることで前記塗布流体の供給を停止する工程と、前記相対移動工程で、前記塗布ヘッドが前記塗布位置から前記待機位置に移動されるときに、残圧開放弁をオフ状態から一定時間オン状態にすることで前記流路内の残圧を大気に開放する工程と、前記残圧開放弁がオフ状態にされた後に、サックバック弁をオン状態からオフ状態にすることで前記塗布ヘッド内に残留している前記塗布流体を吸引する工程を含み、前記オンオフ弁の下流側に前記サックバック弁を接続し、前記オンオフ弁と前記サックバック弁の間の前記流路から前記残圧開放弁を分岐接続して、前記塗布流体の供給開始から供給停止までの塗布領域における塗膜調整作業を容易にすることを特徴としている。
【0020】
また、前記塗布流体は、供給部に印加される供給圧力により前記塗布ヘッドに供給可能な低粘度の塗布流体であって、前記調整工程において、前記塗布ヘッドの供給管に接続され、前記供給管内の体積を一時的に増加するために所定ストロ−クで駆動される栓体を有するサックバック弁の前記栓体の所定ストロークを調整し、または移動速度を調整するとともに、前記サックバック弁と前記供給部との間に接続され、所定ストロ−クで駆動される栓体により流路を開閉する開閉弁の前記栓体の所定ストロークを調整し、または移動速度を調整することで、前記複数のパラメータを調整することを特徴としている。
【0021】
また、前記塗布流体は、供給部に接続される強制ポンプにより前記塗布ヘッドに供給される高粘度の塗布流体であって、前記調整工程において、前記塗布ヘッドの供給管に接続される前記強制ポンプと、前記強制ポンプを所定タイミングで正逆回転方向に駆動することで前記観測結果が略台形の立ち上がり及び立ち下がり波形に自動調整することを特徴としている。
【0022】
そして、上記のスリットコート式塗布方法による塗布基板であって、平面の矩形基板及び円形平面状の半導体用ウエハーを含むことを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の各実施形態について、添付図を参照して述べる。
【0024】
先ず、図1は、塗布ヘッド1により塗布対象である平面の基板Wの塗布有効面上に塗布流体Tを所定厚さで流出して塗布を行う様子を示した動作原理図である。
【0025】
本図において、塗布ヘッド1には供給管2と排出管3とが接続されており、供給管2を介して塗布流体が供給されスリット状の開口部1aを介して略シート状に吐出する一方で、排出管3を介して塗布直後の塗布流体を排出するように構成されており、不図示の昇降機構により昇降するように構成されている。
【0026】
この塗布ヘッド1は、待機位置(P1)に上昇して待機しており、基板Wの搬送を待つ。その後に、基板Wが搬送されると一定の位置(P2)の一直線の塗布開始線からの膜厚が所定の均一膜を得るように塗布ヘッド1に供給する塗布流体Tに常に一定の圧力を与え、後述する各弁を開閉駆動することで圧力の印加された流体を塗布ヘッド1に安定供給しつつ相対移動することで、塗布ヘッド1内に貯留していた塗布流体をスリット状の開口部1aを介して押し出すことで位置(P3)までの定量吐出を行ない塗布終了線を形成してから、再度待機位置(P4)に上昇する。このように塗布開始線を一直線で同じ位置となるように再現性を持たせることと、開始線から位置(P3)までの間において等厚の塗布を行うようにするには、塗布ヘッド1内は貯留した塗布液で充填されており、塗布開始線での走行速度は所定の一定速度に到達している必要がある。
【0027】
また、図1に示すように塗布終了線のやや手前となる、適当な位置で流体供給の開閉弁を閉じ、塗布ヘッド1への供給を止め、塗布ヘッド1の残圧にて吐出される量で塗布を行う。この後に、P3で示す位置に塗布ヘッド1が到着すると、これをP4位置へと上昇させると略同時に、塗布ヘッド1の供給路に設けたサックバック機構を働かせることで、塗布ヘッド先端部と塗布した液切りとヘッド先端部に付着した液をサックバック弁内に一定量(一定時間)引き込み塗布動作を完了する。
【0028】
そして、図1のP1位置に待機させた塗布ヘッド1をP2の位置へ塗布対象面と塗布ヘッド先端の距離を所定の設定値にすべく下降させ、塗布ヘッド1に対して供給が開放され供給が開始されるとP1位置からP2の位置へ基板Wの移動が加速され、塗布ヘッドがP2aの位置に到達するときは走行速度は最高塗布速度に到達して、その速度で等速塗布動作を行うようにしている。このようにして塗布ヘッドを基板Wに接地させることで塗布開始線からの塗布膜の再現性(品質)が左右されることになる。また、P3位置では、塗布完了時において基板Wに塗布した塗布液と塗布ヘッド1内の塗布液の互いの引っ張り合いによってその状態がその都度変化する。
【0029】
以上のことから、塗布開始及び終了時における一定塗布前後の不安定領域の再現性を高めるために調整者は毎回変化する塗布液(粘性)や生産仕様(生産タクトや塗布膜厚み)に対応するべく、その都度対応している。このために、設備計画時に要求通りの品質を容易には確保出来なくなる場合が多くある。すなわち、従来は、塗布時の走行速度を極力遅く設定(例えば20mm/sec)することで不安定領域の範囲の極小化を図っている。しかしながら、例えば、対象基板の大型化(走行距離で約2倍増)と生産性向上(生産タクト50%向上)の要求に応えるには、少なくとも4〜5倍以上の速度が必要になる。したがって、現状のままでは不安定領域を増長させるばかりとなる。
【0030】
図2は、以上説明の動作原理に基づく塗布ヘッド1を2機分配設したスリットコート式塗布装置10を一部破断して示した外観斜視図である。
【0031】
本図において、装置10の基部となるフレーム11には昇降エアシリンダー12が配設されている。また、フレーム11上にはモータ15が固定されており、このモータ15の出力軸のネジ軸15aを回動駆動するとともに、このネジ軸15aに螺合するリニアブッシュ14を往復駆動するように構成されている。また、各塗布ヘッド1は両端において上記の昇降エアシリンダー12を設けた昇降部材4に固定されており、各エアシリンダー12の駆動により吸着盤13上に吸着保持された基板Wの塗布面に対して相対上下駆動されるように構成されている。また、昇降エアシリンダーの上には微少調整用のサーボモータ120が固定されている。また、吸着盤13には上記のリニアブッシュ14が固定されており、矢印方向に基板Wを往復移動するようにして上記の相対移動にともなう塗布を可能にしている。吸着盤13が図示の位置に待機しているときに、ロボットアーム18上に載置された基板Wが搬送される。この装置10の右横にはモニターテレビ20が設けられており、操作パネル19上の調整ツマミ類の調整をこのモニターテレビ20を見ながら行なえるようにしている。
【0032】
図3は、塗布ヘッド1の配管図であって、図1で既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛する。図3は塗布流体の挙動を観測可能にした点に特徴がある。塗布流体Tは、供給部であるタンク24中に貯えられており、制御部22で制御される空電ユニット23から供給されるガスの供給圧力により流路25中に塗布流体Tを所定供給圧力で送り込む。この流路25には、真空ポンプ29に対して電磁弁28を介して接続されることで内部を真空状態に近づけるようにした脱ガス装置26が接続されており、装置26内の脱ガス管27に真空が作用することで塗布流体Tに混入したガスを除去する。その後、オンオフ弁30に送られ、サックバック弁33を経由して供給管2に送られる。またオンオフ弁30とサックバック弁33の間の流路から分岐してオンオフ弁30が図示のようにさらに接続されているが、このオンオフ弁30は、流路25及び供給管2内の残圧を開放するために所定ストロ−クで駆動される栓体を電磁弁28の通電で一定時間開くようにして流路25及び供給管2を大気に開放する残圧開放弁として機能するものである。
【0033】
この残圧開放弁は図5に示すように、塗布終了時点において流路を一定期間大気に開放し、圧力を急速に下げることで、この残圧開放弁を設けない図4の場合に比べて塗布流体の供給を急速に低下させるものである。この残圧開放弁から外部に放出された塗布流体は容器32で回収される。
【0034】
一方、塗布ヘッド1には、距離センサー6が固定されており基板Wとの間隙を測定することで、所定間隙に開口部1aが離間する状態をモニター可能にしている。
【0035】
また、塗布ヘッド1の排出管3は図示のように左右端部に固定されており、分岐した先端の容器32に塗布後の塗布液を排出するようにしている。また、上記の塗布ヘッド1の供給管2に接続されるサックバック弁33は、供給管の体積を一時的に増加するために所定ストロ−クで駆動される栓体を有している。また、このサックバック弁33と供給部との間に接続されるオンオフ弁30にも所定ストロ−クで駆動される栓体が内蔵されており、残圧開放弁としてこの栓体により流路を開閉するようにしている。
【0036】
発明者は、上述のように塗布開始及び終了時における一定塗布前後の不安定領域の再現性を高めるために毎回変化する塗布液や生産仕様に対応するべく、調整者が勘と経験に基づき、その都度対応しなければならない最大の原因は、塗布液の塗布ヘッド供給途中の挙動をつぶさに把握していないことにあると判断し、その挙動を目視で観察可能にすることに着目した。
【0037】
このために、先ず供給管2の途中部分となる塗布ヘッド1取付部に圧力センサー5を設け、この圧力センサ5により供給管2内の内圧の変化を制御部22に圧電変換することで送信し、その結果を上記のテレビモニター20で目視するか数値データを出力できるようにした。この圧力センサー5は、その位置での圧力挙動を塗料供給の上流側の後述する制御パラメーターにより制御するための可視情報を提供することができるようになる。
【0038】
すなわち、開口部1a付近での流体の状態(圧力挙動)を観測し、その観測情報に基づき、開口部1aから離れた位置に配設された各流体制御弁の制御パラメーターを制御することによって、開口部1a付近のリアルタイムな圧力挙動制御を行う事が可能になるようにしている。換言すれば、塗布開始や塗布終了時のような非定常状態における粘性流体は管路内では検出位置によってその圧力や流速が異なり、又レスポンスの遅れが発生するので、開口部1aに最も近い場所を検出することに意味がある。また、インプットとアウトプットの関係が予め判っていれば、再現性が保証されるからで、このインプットとアウトプットの関係は、本番前に試験的な塗布を繰り返しデータを蓄積する事により求める事ができ、それにより後述する手動又は自動のパラメータ設定が可能になる。
【0039】
図6は、圧力センサー5により検出された圧力波形であり急激な圧力上昇を示したものである。通常、塗布終了時とほぼ同時にサックバック弁33は、栓体の移動で塗布ヘッド1の開口部1a先端の液を吸い上げるが、塗布オンのタイミングでサックバック弁33は元の位置まで移動する。その時にサックバック弁内の容積が急激に縮まり圧が一時的に上がる為に図6のAaで示す波形が出る。この波形Aaは、サックバック弁33においてスピードコントロール調整を行い、栓体の移動するスピードを遅くする事により無くす事が出き、図7に示す状態にできることが確認された。
【0040】
図6においてアンダーシュート波形Abはオーバーシュート波形Acとは逆位相であり通常、塗布終了時にはオンオフ弁30の栓体は、所定位置に移動して塗布液を止めているが、塗布オンのタイミングで栓体が移動し圧が一時的に下がる為にアンダーシュート波形Abが発生する。これは、サックバック弁33の場合と同様に、スピードコントロール調整を行い栓体の移動するスピードを遅くする事によりなくす事ができる。但し、弁のスピード調整を行う事により圧力の伝わる時間も遅れる事になる。
【0041】
図8は、サックバック弁と残圧解放弁のエアホースを外し、サックバックと残圧解放の効果を効かせてない状態の圧力波形である。この波形により、サックバックを行わずに圧力を落とす場合、塗布終了の信号Bによりオンオフ弁30が閉じ、その時オンオフ弁30内の容積変化により、一時的に急激な圧が発生し、圧力Aは徐々(0kgf/cm2まで、約1.66sec)に、曲線を描きながら0kgf/cm2になっていくのが判る。
【0042】
また、図9は、サックバック及び残圧解放を効かせた状態の波形Aであるが解放時間Abが短い為に圧が解放できず、圧力が抜けきれない事がわかる。 以上から解放時間が短すぎると、残圧解放により圧が抜けきれず、ヘッド開口部から抜けようとした液だれ原因となる虞があるが、逆に、解放時間が長すぎるとヘッド内で液の引き込みを起こし、再び塗布開始する際にすじ引き等の原因になる。その為、残圧の解放時間の設定は塗布する際に重要となる。
【0043】
図10は、オンオフ弁30の断面図(a)、同動作説明図(b)である。
【0044】
本図において、オンオフ弁30の本体40は上記の流路25に連通する部屋40a、40bが形成されており、これらの部屋の間を栓体42により密閉するか、開放するようにして各部屋間を仕切る状態と連通する状態にするものである。このように栓体42を駆動するために栓体42は空気シリンダ49内を上下するピストン43の下端に設けられる一方で、ピストン43は配管48からの空気圧によりピストン43が圧縮されて圧縮バネ44が圧縮して図示の栓をする状態にしている。塗布終了後には、栓体42が図10(b)において実線で示す位置に移動することで部屋40a、40b間を連通する状態にする。この結果、部屋内の容積変化により、一時的に急激な内圧変化が発生することが判明した。
【0045】
また、栓体42の移動ストロ−クSは固定であったので、調整ができないものであった。そこで、このオンオフ弁30において、ピストン43の上方位置を可変するように調整可能なネジ体45を調整ノブ31に一体的に固定するとともに本体40に対して螺合するとともに、ナット46をさらに螺合するようにしたオンオフ弁30として、ピストン43の移動ストロークを調整可能にする一方で、上記の電磁弁28に速度調節弁を付加し、弁の開閉スピードの調整を可能にした。また、栓体42が元の位置に戻るときは、スプリング力によりシリンダ43が元に戻るが、このときに排気口47が排気開口部として機能して、開状態と同様に速度制御弁により戻り速度を調整できる。
【0046】
続いて、図11はサックバック弁33の断面図(a)、同動作説明図(b)である。
【0047】
本図において、サックバック弁33の本体40は上記の流路25に連通する部屋40a、40bが形成されており、部屋40bの一部を形成する栓体41が上下方向に移動することにより部屋40bの体積を増加させることで、流路25内に残る塗布流体を一時的に部屋40b内に吸引する機能を行なうものである。
【0048】
このように栓体41を駆動するために、栓体41は空気シリンダ49内を上下するピストン43の上端に設けられるゴム製のダイアフラム39に支持される一方で、塗布中は配管48により空気圧がかかっており、ピストンは上側に圧縮させ、弁は上側の位置にある。塗布終了時には、配管48は開放されバネにより弁は下側に戻り、サックバック動作を行なう。また、塗布開始時は、配管48から空気圧がかかり、弁は上側位置となる。
【0049】
このとき、部屋内の容積変化により、一時的に急激な内圧変化が発生することが判明した。また、栓体41の移動ストロ−クSは固定であったので、調整ができないものであった。そこで、このサックバック弁33において、ピストン43の上方位置を可変するように調整可能なネジ体45を調整ノブ34に一体的に固定するとともに本体40に対して螺合するとともに、ナット46をさらに螺合するようにした弁33とすることで、ピストン43の移動ストロークSを調整可能にする一方で、上記の電磁弁28を調整式とすることで空気圧の調整を可能にしたものを用いるようにした。
【0050】
図12は、図2及び図3に図示の配管図におけるタイミング図であって、塗布ヘッド1の移動状態とともに示したものである。
【0051】
本図において、塗布開始とともに、昇降エアシリンダ12がオンされて塗布ヘッド1が基板W上に下降移動しつつ吸着盤13の移動が開始されてP1からP2の位置に移動する。また、塗布終了時点のP3において昇降エアシリンダ12が再度オンされて塗布ヘッド1が基板W上から離れるように移動しつつ吸着盤13の移動が停止されて塗布ヘッド1がP3からP4の位置に移動する。このとき、サーボモータ120で微調整を行なう。
【0052】
また、タンク24から供給される塗布流体は、オンオフ弁30とサックバック弁33に空気圧を送るために速度制御弁付きの電磁弁9がP2の位置のタイミングにおいて夫々オンされることで、残圧開放弁ではない方のオンオフ弁30の栓体42が開くとともにサックバック弁33の栓体41が図11(b)の破線図示の位置に移動して吸引の待機状態にされることになる。
【0053】
以上のようにして、塗布流体が安定供給されて基板W上への塗布が終了し、位置P3より早いタイミングになると、オンオフ弁30が電磁弁9によりP3の位置のタイミングにおいてオフされることで栓体42による密閉が行なわれて、供給停止状態となる。この後にタイミングT1経過後に、残圧開放弁のオンオフ弁30が時間T2分オンされて栓体42が移動して流路を大気に開放して図5において説明した塗布状態にする。この時間T2にさらにT3時間分遅れた時点においてオン状態にあったサックバック弁33がオフされて塗布ヘッド1内に残留していた塗布流体を吸引して液だれを防止する。
【0054】
以上の構成及び通電制御において、ヘッド側圧力挙動を圧力センサー5で把握するとともに電磁弁のオンオフのタイミングを同期を図りつつモニターテレビ20に映すことで、この画像を観測しつつ調整することができるので、速度制御弁と調整ノブ31、34を夫々調整するようにして、図13の塗布開始状態と、図14の塗布終了状態の波形を得る。
【0055】
すなわち、開始及び塗布終了時における膜厚制御のために、オンオフ弁30の栓体42の開閉ストークの制御を調整ノブ31の調整で行なう。また、オンオフ弁30の開閉スピードの制御を、開閉動作をするエア流体圧の開閉スピードの調整で行なう。また、電磁弁28、9はエア流体圧信号を速度制御弁を介してオンオフ弁に伝える構成にして、速度制御弁により開閉スピードを調整する。残圧開放の残圧開放時間の制御はタイマーによる電気的開閉スイッチによる開閉時間の制御で行なう。サックバック弁33のサックバック量の制御はサックバック付属の調整ノブ34のつまみで開閉ストロークを調整する。
【0056】
また、サックバック弁33の開閉スピードの制御はサックバックのサックバック動作をエア流体圧で行っており動作スピードが調整できるので、電磁弁9(方向制御弁)からのエア流体圧信号を速度制御弁を介してサックバックに伝える構成にして、速度制御弁により動作スピードを調整する。また、サックバック弁33の動作開始タイミングの制御は、電磁弁(方向制御弁)への入力電気制御信号のタイミングを制御する。また、塗布ヘッドと基板の相対速度の立ち上がり度合い(加速度)を制御するために、モータ15には回転数と回転方向を検出するエンコーダ15bが設けられており、この検出結果を制御部22に送ることで駆動モータ15の回転数を上記の昇降シリンダ12との同期を図りつつ制御する。
【0057】
以上のように圧力センサー5により塗布流体の挙動をモニターできるようにして、従来のスリットコート式塗布装置にみられるような塗布開始時と塗布終了時の不安定領域の塗布開始時の塗布厚のばらつきを解消し、かつまた不安定領域を短くすることができ、従来は14mmであった不安定領域が3mmにすることができた。また、熟練した制御知識と調整技術を必ずしも持たない者であっても短時間で調整できるようになった。具体的には、塗布流体の供給速度、供給開始及び終了のタイミング調整を塗布開始前の準備段階において実際の基板上に塗布して、不安定領域を短くする調整作業が簡単に行なえるようになった。
【0058】
以上は塗布流体が低粘度であるので空電ユニット23からの圧力で送り出される場合であるが、塗布流体が高粘度の場合には、空電ユニット23からの圧力で送ることはできず、特殊ポンプが使用される。
【0059】
図15は、塗布流体が高粘度の場合の配管図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、タンク24に連通する流路25と供給管2の間には正逆モータ60により駆動されるポンプ装置55が接続されており、高粘度の塗布流体Tを塗布ヘッド1側に送るようにしている。
【0060】
図16はポンプ装置55の断面図である。本図において、ポンプ55は基部54とこの基部54に内蔵される減速機64に動力を与える正逆回転可能なモータ60と、減速機64からの出力が伝達されるとともに軸受62により回動自在に支持された軸体61と、シール63と、軸体61に接続されるユニバーサルジョイント59と、このジョイントに接続されるとともに螺旋部屋57内において回動駆動される螺旋体58と、上記のユニバーサルジョイント59を覆うとともに流路25に連通した部屋56とから構成されており、上記の螺旋部屋57の先端において供給管2を接続することで、モータ60の回転に伴い高粘度の塗布流体Tを塗布ヘッド1に送るかまたは戻せるようにしている。
【0061】
図17は、図15の塗布流体が高粘度の場合の配管図におけるタイミング図であって、圧力センサー5による検出波形Aとモータ60の駆動波形Cとともに示している。
【0062】
本図において、塗布開始とともにモータ60の正方向の駆動が図示のように行われてやや急峻な供給を行ない、塗布ヘッド1からの吐出が安定してからモータ60の正方向の駆動が図示のように下げられて、一定塗布を行ない、塗布終了の時点でモータ60の逆方向の駆動が図示のように行われてやや急峻な戻しを行ない、塗布ヘッド1から過剰に吐出されることを防止する。
【0063】
塗布流量:Q(CC/S)は、塗布速度:V(mm/s),設定ドライ膜厚:t(μm),塗布液固形分体積率:X(%)、塗布幅:W(mm)として次式により設定できる。
【0064】
Q=(V×10-1)×(t×10-4)×(100/X)×(W×10-1)、但し半角文字はべき乗を示す。以上の計算からテレビモニターまたはオシロスコープの波形を見ながら、塗布起動時流量及び塗布起動時間残圧解放流量及び残圧解放時間を図13、図14に示す様な圧力波形になるように設定する。このとき設定目標を圧力立ち上がり、立ち下がりが0〜1.0secとする。この設定の要領として、塗布起動時間、残圧解放時間を固定して、塗布起動時の流量残圧の解放流量を調整すると設定しやすい。この調整の目安は、塗布起動時流量、残圧解放流量の整備直後は、塗布流量の2〜3倍程度から調整すればよい。
【0065】
この設定の要領として、最初に圧力のオーバーシュートがでるように設定した後に、塗布起動時流量を絞っていくと良い。また、いくら起動時流量、時間を大きくしても立ち上がりが鈍い場合は、間違いなくエアが混入しているのでエア抜きを行なう。
【0066】
以上のようにして、テレビで観測した圧力波形と、ヘッド移動速度の立ち上がり波形を合わせ込むように、設定する。
塗布流量レシピ設定の例として、塗布速度:V=20(mm/s),設定ドライ膜厚:t=15(μm),固形分体積率:25(%)、塗布幅:W=500(mm)と仮定する。
【0067】
Q=(20×10-1)×(15×10-4)×(100/25)×(500×10-1)=0.6(CC/S)となる。
【0068】
ここで、仮に塗布起動時間:t1、残圧解放時間:t2をt1=t2=0.5(sec)に固定すると、塗布起動時流量:Q1=1.2(CC/S),残圧解放時流量:Q2=1.2(CC/S)としてモニターによる調整を開始する。
【0069】
塗布はじめにおいて、圧力がt1=0.5secで立ち上がったとすると、加速時間:t2は次の式にて計算した値を設定する。
【0070】
【数1】
【0071】
初速:V1=1mm/sec
塗布速度:V2=20mm/secとすると
t2=13(sec)・・・加速時間
上記のt2の値を設定すると、V1=1mm/sec〜V2=20mm/secに立ち上がる時間が約0.5(sec)になる。
【0072】
ここで、この時の加速度を:a(mm/sec2)とすると
【0073】
【数2】
【0074】
塗布はじめのポイントを15mmとすると速度立ち上がり完了ポイントは、15+(202−12)/(2×38)=15+5.25=20.25mm上記の設定にて、ほぼ速度立ち上がりと圧力立ち上がりが一致する。
【0075】
塗布終わりは、圧力がt3=0.3secで立ち下がったとすると減速時間:t4は次の式にて計算した値を設定する。
【0076】
【数3】
【0077】
終速度:V3=10mm/sec(塗布OFF後の速度)とすると
t4=15(sec)・・・減速時間
上記のt4の値を設定すると、V2=20mm/sec〜V3=10mm/secに立ち下がる時間が約0.3(sec)になる。
【0078】
ここで、この時の減速度:b(mm/sec2)とすると
【0079】
【数4】
【0080】
塗布終わりのポイントを200mmとすると速度立ち下がり始めるポイントは、
200−(202−102)/(2×33)=200−4.55=195.45mm
となる。
【0081】
このようにして設定し、あとは微調整をする。
【0082】
図18は、塗布ヘッド1の配管図であって、全て自動化した場合を示したものである。本図において、図3で既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、上記の調整ノブ31、34に代えてモータ駆動される調整部131、134が各弁に設けられている。また、主制御部122にはモータと調整部131、134を駆動するためのドライバー126と画像モニター20と初期設定を行なうキーボード124が接続されている。
【0083】
以上の構成において、塗布流体の供給速度、供給開始及び終了のタイミング調整を塗布開始前の準備段階において調整するときに、上記の設定値をキーボード124から入力することで不安定領域を短くする調整が自動的に行なわれることになる。特に、この調整作業は、フォトレジスト液や絶縁材料、はんだレジストなどの各種塗布流体の種別が変わる度に調整する必要があることから、種別毎に行われる調整時間の短縮が誰でも簡単にできるようになる。したがって、半導体用の円形ウエハーの塗布装置としてスリットコート式塗布装置を用いた場合には、簡単な調整で薄膜精度の高いウエハーが得られるようになる。また、手動による調整だけでなく、数値データに基づく自動化も可能となる
尚、本発明は上記の各実施形態に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があつても本発明に含まれることは無論である。
【0084】
【発明の効果 】
以上説明したように、本発明によれば、スリットコート式塗布装置において低粘度高粘度の塗布流体如何によらず、観測結果に応じて塗布流体の供給のための複数のパラメータを手動または自動調整することで、略台形の立ち上がり及び立ち下がり波形に調整するようにして供給開始状態及び供給停止状態における不安定領域を狭くして、基板の塗布有効面を広くする調整作業を確実容易にすることで、塗布開始時と塗布終了時の不安定領域を短くするための調整作業を、誰でも簡単にできるようにでき、特に塗布開始前の準備段階における調整時間を大幅に短縮することができる。
【0085】
特に、フォトレジスト液や絶縁材料、はんだレジストなどの各種塗布流体の種別が変わる度に調整するときに、種別毎に行われる調整時間の短縮を図ることで、塗布液の高い歩留まりと塗布基板の高い良品率を達成でき、しかも大型サイズ基板の対応を計ることができる。
【0086】
【図面の簡単な説明】
【図1】 塗布ヘッド1により塗布対象である平面の基板Wの塗布有効面上に塗布流体Tを所定厚さで流出して塗布を行う様子を示した動作原理図である。
【図2】スリットコート式塗布装置の一部を破断して示した外観斜視図である。
【図3】塗布ヘッドの配管図である。
【図4】残圧開放弁無しの場合の動作説明図である。
【図5】残圧開放弁有りの場合の動作説明図である。
【図6】圧力センサー波形Aと電磁弁通電波形Bの調整前の波形図である。
【図7】圧力センサー波形Aと電磁弁通電波形Bの調整後の波形図である。
【図8】塗布終了時点の圧力センサー波形Aと電磁弁通電波形Bの調整前の波形図である。
【図9】塗布終了時点の圧力センサー波形Aと電磁弁通電波形Bの調整前の波形図である。
【図10】オンオフ弁の断面図(a)、同動作説明図(b)である。
【図11】サックバック弁の断面図(a)、同動作説明図(b)である。
【図12】図2、図3の塗布ヘッドの配管図における通電のタイミング図である。
【図13】塗布開始状態における理想的な圧力センサー波形Aと電磁弁通電波形Bの調整後の波形図である。
【図14】塗布終了状態における理想的な圧力センサー波形Aと電磁弁通電波形Bの調整後の波形図である。
【図15】高粘度の塗布流体における塗布ヘッドの配管図である。
【図16】ポンプ装置55の断面図である。
【図17】図15の塗布ヘッドの配管図における通電のタイミング図である。
【図18】自動制御される塗布ヘッドの配管図である。
【符号の説明】
1 塗布ヘッド
2 供給管
3 排出管
4 昇降部材
5 圧力センサー
10塗布装置
12エアシリンダー
13吸着盤
15モータ
18ロボットアーム
20テレビモニター
22制御部
23空電ユニット
24タンク
25流路
26脱ガス装置
28電磁弁
30オンオフ弁
31調整ノブ
33サックバック弁
34調整ノブ
35排気調整装置
41栓体
42栓体
60正逆モータ
T 塗布流体
W 基板
Claims (4)
- 塗布対象である平面の基板の塗布有効面上に塗布流体を所定厚さで流出するために、スリット状の開口部を有する塗布ヘッドから前記塗布流体を塗布開始時のタイミングで供給するとともに塗布終了時のタイミングで前記供給を停止する供給制御手段と、前記基板に対して前記塗布ヘッドを相対移動するとともに、前記塗布ヘッドを前記基板から離れた待機位置と前記基板に近い塗布する位置との間で昇降させる相対移動手段とを備えたスリットコート式塗布装置であって、
前記塗布流体の流路途中において、前記塗布ヘッドの取付部に接続されることで前記塗布ヘッド近傍の圧力変化を検出しかつ圧電変換する圧力センサと、
前記塗布流体の供給状態を目視または数値データで観測する観測手段と、
前記観測手段による観測結果に応じて前記塗布流体の供給のためのパラメータを調整することで、前記観測結果を適正な波形に調整可能にするために、
前記供給制御手段は、前記相対移動手段により前記塗布ヘッドが前記塗布する位置から前記待機位置に移動される直前に、オン状態からオフ状態にされることで前記塗布流体の供給を停止するオンオフ弁と、
前記相対移動手段により前記塗布ヘッドが前記塗布する位置から前記待機位置に移動されるときに、オフ状態から一定時間オン状態にされることで前記流路内の残圧を大気に開放する残圧開放弁と、
前記残圧開放弁がオン状態からオフ状態にされた後に、オン状態からオフ状態にされることで前記塗布ヘッド内に残留している前記塗布流体を吸引するサックバック弁と、を含み、
前記オンオフ弁の下流側に前記サックバック弁を接続し、前記オンオフ弁と前記サックバック弁の間の前記流路から前記残圧開放弁を分岐接続して、
前記塗布流体の供給開始から供給停止までの塗布領域における塗膜調整作業を容易にすることを特徴とするスリットコート式塗布装置。 - 前記サックバック弁は前記流路内の体積を一時的に増加するために所定ストロ−クで駆動される栓体を有し、
前記残圧開放弁は、前記流路内の残圧を大気に開放するために所定ストロ−クで駆動される栓体を有し、
前記各弁のうちの少なくとも一つに設けられてなり、前記栓体の所定ストロークを調整して開閉のタイミングを前記相対移動速度に応じて調整する調整部により前記複数のパラメータを調整することを特徴とする請求項1に記載のスリットコート式塗布装置。 - 塗布開始及び塗布終了時における前記基板に対する前記塗布ヘッドの相対移動の加速及び減速の度合を調整するための速度調整手段をさらに具備し、
前記複数のパラメータを調節可能にすることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のスリットコート式塗布装置。 - 塗布対象である平面の基板の塗布有効面上に塗布流体を所定厚さで流出するために、スリット状の開口部を有する塗布ヘッドから前記塗布流体を塗布開始時のタイミングで供給するとともに塗布終了時のタイミングで前記供給を停止する供給制御工程と、前記基板に対して前記塗布ヘッドを相対移動するとともに、前記塗布ヘッドを前記基板から離れた待機位置と前記基板に近い塗布する位置との間で昇降させる相対移動工程とを備えたスリットコート式塗布方法であって、
前記塗布流体の流路途中において、前記塗布ヘッドの取付部に接続される圧力センサにより前記塗布ヘッド近傍の圧力変化を検出しかつ圧電変換することで、前記塗布流体の供給状態を目視または数値データで観測する観測工程と、
前記観測工程による観測結果に応じて前記塗布流体の供給のためのパラメータを調整する調整工程とを備え、
前記供給制御工程は、前記相対移動工程により前記塗布ヘッドが前記塗布する位置から前記待機位置に移動される直前に、オンオフ弁をオン状態からオフ状態にすることで前記塗布流体の供給を停止する工程と、
前記相対移動工程で、前記塗布ヘッドが前記塗布する位置から前記待機位置に移動されるときに、残圧開放弁をオフ状態から一定時間オン状態にすることで前記流路内の残圧を大気に開放する工程と、
前記残圧開放弁がオフ状態にされた後に、サックバック弁をオン状態からオフ状態にすることで前記塗布ヘッド内に残留している前記塗布流体を吸引する工程を含み、
前記オンオフ弁の下流側に前記サックバック弁を接続し、前記オンオフ弁と前記サックバック弁の間の前記流路から前記残圧開放弁を分岐接続して、
前記塗布流体の供給開始から供給停止までの塗布領域における塗膜調整作業を容易にすることを特徴とするスリットコート式塗布方法。
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