JP2000343015A - 塗布装置 - Google Patents

塗布装置

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JP2000343015A
JP2000343015A JP11160912A JP16091299A JP2000343015A JP 2000343015 A JP2000343015 A JP 2000343015A JP 11160912 A JP11160912 A JP 11160912A JP 16091299 A JP16091299 A JP 16091299A JP 2000343015 A JP2000343015 A JP 2000343015A
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coating
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tank
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一人 尾崎
Kazuo Kise
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部タンク方式において、塗布開始領域およ
びその後の定常塗布領域における薄膜化を防止して所望
の一定膜厚にすることができる塗布装置を提供する。 【解決手段】 ノズルユニット6と外部塗布液槽16と
が塗布液供給管12を介して接続されるとともに、この
塗布液供給管12のノズル側端付近に定量吐出吸引ユニ
ット18が接続されている。そして、液溜り形成と同時
あるいは形成後で、しかも塗布処理に先立って、定量吐
出吸引ユニット18が所定量の塗布液を塗布液供給管1
2から吸引して、塗布開始前に予め塗布液供給管12お
よび外部塗布液槽16に存在する塗布液に対して移動慣
性を与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示デバイス
(LCD)、プラズマ表示デバイス(PDP)、半導体
デバイスおよび、その他の各種電子部品などの製造プロ
セスにおいて、LCDまたはPDP用ガラス基板、半導
体基板およびプリント基板などの基板表面に対して、フ
ォトレジスト膜、カラーフィルタ材、平坦化材、層間絶
縁膜、絶縁膜および導電膜などを形成するために各種塗
布液を塗布する塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の塗布装置は、縦方向に保持され
た基板の被塗布面に対してノズルを下方に移動させるこ
とで、毛管現象で塗布液槽から汲み上げられた塗布液を
ノズル口から吐出させて、その被塗布面に塗布液を塗布
するものであり、以下に、図7および図8に基づいて詳
細に説明する。
【0003】図7は、従来の塗布装置の概略構成を示す
正面図であり、図8は、図7の塗布装置におけるAA線
断面図である。これらの図において、この塗布装置は、
基板100を鉛直(垂直)方向に立てて保持するステー
ジ101と、基板100の被塗布面に塗布液102を供
給する塗布液槽を内部に有するノズル部材103と、こ
のノズル部材103を基板100に沿って下方に直線移
動させる移動手段(図示せず)とから構成されている。
このノズル部材103は、両端が閉塞され基板100の
幅方向に延在する筒状をなしており、基板100の被塗
布面と対向する前面壁部104に槽内から外部に貫通し
たスリット状の塗布液流出路105をその幅方向に形成
している。
【0004】また、基板100の被塗布面と対向する前
面壁部104の前端面106は、基板100の被塗布面
に非接触でかつ近接するように配設され、その下端10
6aが塗布液流出路105の出口よりも下方で且つその
反対側の入口よりも上方に位置し、その上端106b
が、基板100の被塗布面と前端面106との間の隙間
107を上方へ無限に延長させたと仮定した場合に塗布
液流出路105を通って隙間107内に流入した塗布液
が少なくとも毛管現象などによって上昇するときの到達
高さ位置と塗布液流出路105の出口との間に位置する
ようになっている。
【0005】上記構成により、塗布液槽内に塗布液流出
路105の入口と前端面106の下端106aとの間の
高さまで塗布液を注入し、塗布液槽を大気開放とする
と、塗布液槽内に供給された塗布液102は、少なくと
も毛管現象によって、塗布液流出路105を通って槽外
に流出し、ステージ101によって鉛直姿勢に保持され
た基板100の被塗布面と前端面106との間の隙間1
07内に流入する。
【0006】この隙間107内に流入した塗布液は、毛
管現象などによってその隙間107内を前端面106の
下端106aまで下降するが、前端面106の下端10
6aからさらに流下することはない。また、隙間107
内に流入した塗布液の上方への流動は、毛管現象などに
よってその隙間107内を前端面106の上端106b
まで上昇するが、前端面106の上端106bで規制さ
れてそれ以上には上昇しない。このようにして、基板1
00の被塗布面と前端面106との間の隙間107内
に、基板100の幅方向に延びる帯状の塗布液の液溜り
が形成されることになる。
【0007】さらに、この塗布液の液溜りが形成された
状態で、基板100の被塗布面と前端面106との間の
隙間107を保持したまま、基板100の縦方向(基板
100の幅方向と直交する上下方向)aにノズル部材1
03と基板100とを相対的に直動させると、基板10
0の被塗布面に塗布液が塗布されることになる。このと
き、基板100の被塗布面と前端面106の隙間107
にある液溜りの塗布液は、基板100の被塗布面に塗布
されていくに従って消費されるが、大気開放されたノズ
ル部材103の塗布液槽の塗布液にかかる大気圧と毛管
現象などによって、その消費量とほぼ同等の塗布液が塗
布液槽内から塗布液流出路105を通ってその隙間10
7内に供給される。そのため、塗布時の隙間107内の
塗布液量は常にほぼ一定に保持されることになって、基
板100に塗布液が連続して略均一な膜厚に塗布される
ことになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ノズル部材
103の内部塗布液槽から毛管現象などによって基板1
00の被塗布面に塗布液を供給して塗布する場合には、
ノズル部材103の内部塗布液槽は容積が小さく、塗布
に伴って内部塗布液槽内の液面が低下して変化すること
から、基板100の被塗布面への塗布膜厚を一定にでき
ないという問題があった。これを解決するために、液面
面積および容積が大きい外部塗布液槽をノズル部材10
3の内部塗布液槽に配管で連結してノズル部材103の
外部に配設している。この液面面積および容積が大きい
外部塗布液槽から、塗布に伴って消費される塗布液量を
供給することによって、塗布に伴って外部塗布液槽内の
液面が低下する量を大幅に抑えることができる。このよ
うに、外部タンク方式とすることによって、塗布開始時
と塗布終了時の液面高さの差を抑制して基板100の被
塗布面への面内膜厚を一定にすることができる。
【0009】しかし、この外部タンク方式の場合、ノズ
ル口までの液経路は、外部塗布液槽から配管を経てノズ
ル部材103の内部塗布液槽さらにスリット状の塗布液
流出路105に至る経路であり、内部タンク方式に比べ
て長い経路となる。このため、塗布液全体の移動慣性に
よって、塗布開始時近傍において塗布膜厚が薄い領域が
内部タンク方式に比べて増えてしまうという問題を有し
ていた。
【0010】また、外部タンク方式では、その塗布初期
以降の定常塗布領域においても液経路の圧損によって絶
対膜厚が薄くなってしまうという問題を有していた。こ
の液経路の管圧損を軽減するべく、配管をできる限り短
くかつ太く構成しても、この塗布初期の薄膜化領域は、
塗布液の移動慣性によっているために、それほど改善さ
れない。また、外部塗布液槽内の液面高さを高くするな
どして、塗布初期の薄膜化領域をできる限り抑制しよう
としても、その塗布初期以降の塗布膜厚が厚くなり過
ぎ、基板100の被塗布面への塗布膜厚を塗布面全体と
して一定化することが困難であった。
【0011】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
で、外部塗布液槽からノズル手段に塗布液を供給するい
わゆる外部タンク方式において、塗布開始領域における
薄膜化を防止して所望の一定膜厚にすることができる塗
布装置を提供することを第1の目的とする。
【0012】また、この発明は、上記第1の目的に加
え、塗布開始後の定常塗布領域における薄膜化を防止し
て均一な塗布膜を基板全体に塗布することができる塗布
装置を提供することを第2の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる発明
は、塗布液を供給可能なノズル手段と、鉛直または傾斜
姿勢で保持された被塗布基板とを相対移動させつつ、毛
管現象で塗布液槽から汲み上げられた塗布液を前記ノズ
ル手段から供給して前記基板の被塗布面に塗布する塗布
装置であって、前記ノズル手段に塗布液を供給する塗布
液供給管と、塗布処理の開始に先立ち、少なくとも前記
ノズル手段近傍の前記塗布液供給管内の塗布液に対し
て、前記ノズル手段側に向う移動慣性を付与する液移送
手段とを備えている。
【0014】この発明では、ノズル手段に塗布液を供給
する塗布液供給管内の塗布液に、ノズル手段側に向う移
動慣性が付与されているので、塗布処理開始時に塗布さ
れる領域における、塗布液供給管内の液の移動慣性に起
因する塗布膜の薄膜化が防止される。
【0015】ここで、塗布液供給管内の塗布液に対して
付与される移動慣性は、塗布処理中の定常状態と略同じ
移動慣性であることが望ましい(請求項2)。
【0016】また、塗布液供給管内の塗布液を循環させ
るための循環戻り流路をさらに備えることで、塗布液供
給管内の塗布液に移動慣性を付与するために移送された
液を循環使用することができ、塗布液に無駄が生じるこ
とがなく、好ましい(請求項3)。
【0017】請求項4にかかる発明は、塗布液を供給可
能なノズル手段と、鉛直または傾斜姿勢で保持された被
塗布基板とを相対移動させつつ、毛管現象で塗布液槽か
ら汲み上げられた塗布液を前記ノズル手段から供給して
前記基板の被塗布面に塗布する塗布装置であって、上記
第1の目的を達成するため、前記ノズル手段に塗布液を
供給可能な外部塗布液槽と、前記ノズル手段と前記外部
塗布液槽とを接続する塗布液供給管と、前記ノズル手段
に接続され、塗布開始位置での前記ノズル手段と基板と
の間の液溜りの形成と同時あるいは形成後で、しかも塗
布処理に先立って、所定量の塗布液を前記塗布液供給管
から吸引する定量吸引手段とを備えている。
【0018】この発明では、塗布処理を行うためにノズ
ル手段と基板との間に液溜りが形成されるが、この液溜
り形成と同時あるいは形成後で、しかも塗布処理に先立
って、定量吸引手段によって所定量の塗布液が塗布液供
給管から吸引される。このため、塗布開始前に予め塗布
液供給管および外部塗布液槽に存在する塗布液に対して
移動慣性が与えられ、塗布開始領域における薄膜化が防
止される。
【0019】なお、定量吸引手段により吸引する塗布液
量を、例えば塗布時に消費される塗布液量と略同一とな
るように構成してもよい(請求項5)。
【0020】また、定量吸引手段はノズル手段と接続さ
れているが、ノズル手段に直接接続したり、塗布液供給
管を介して間接的に接続してもよく、特に後者の場合に
は定量吸引手段を塗布液供給管のノズル側端付近に接続
するのが望ましい(請求項6)。
【0021】また、定量吸引手段は、前記塗布液供給管
からの塗布液の吸引を、塗布処理開始に先立って所定時
間以上行えばよい(請求項7)。具体的には、この所定
時間とは、塗布液供給管内などの塗布液に移動慣性が与
えられて塗布開始領域における薄膜化が実質的に無視で
きる状態となる程度の時間であればよい。この時間はお
よそ、本発明を実施しない場合に塗布開始領域において
薄膜化が発生する間の時間に相当するとみてよい。
【0022】また、定量吸引手段は、塗布開始位置での
前記ノズル手段に向けて塗布液を吐出し、前記ノズル手
段と前記基板との間に液溜りを形成する定量吐出機能を
備えることができる(請求項8)。
【0023】また、定量吸引手段で吸引した塗布液につ
いては、循環戻り流路を介して外部塗布液槽に戻すよう
に構成してもよく、塗布処理中に、塗布処理により消費
される塗布液量と略同一量の塗布液を定量吸引手段から
循環戻り流路を介して外部塗布液槽に戻す定量吐出機能
を備える場合(請求項9)には、塗布処理中における外
部塗布液槽内での塗布液の液面変動を抑えることがで
き、塗布開始後の定常塗布領域においても均一な塗布膜
が形成される。特に、塗布処理によって消費される塗布
液の消費と同時に、かかる消費速度と略同一の速度で塗
布液を定量吸引手段から外部塗布液槽に戻すようにすれ
ば(請求項10)、塗布処理中の液面を一定に保つこと
ができ、液面変動の影響が排除されて基板全体に亘って
より均一な塗布膜が形成される。
【0024】さらに、上記のように構成された循環戻り
流路にフィルタ手段を介挿することによって(請求項1
1)、外部塗布液槽に戻る塗布液がフィルタリングされ
て高品質の塗布膜が形成可能となる。
【0025】請求項12にかかる塗布装置は、塗布液を
供給可能なノズル手段と、鉛直または傾斜姿勢で保持さ
れた被塗布基板とを相対移動させつつ、毛管現象で塗布
液槽から汲み上げられた塗布液を前記ノズル手段から供
給して前記基板の被塗布面に塗布する塗布装置であっ
て、上記第1の目的を達成するため、前記ノズル手段に
接続され、前記ノズル手段に塗布液を供給可能な外部塗
布液槽と、前記ノズル手段に接続され、前記ノズル手段
への塗布液の吐出と、前記ノズル手段からの塗布液の吸
引とを選択的に行う定量吐出吸引手段と、前記ノズル手
段に接続され、前記ノズル手段の塗布液を前記外部塗布
液槽に戻す循環手段とを備えている。
【0026】この発明では、外部塗布液槽からノズル手
段に向けて供給された塗布液が循環手段により再度外部
塗布液槽に戻され、塗布処理前にノズル手段に供給され
る塗布液に対して移動慣性が与えられ、塗布開始領域に
おける薄膜化が防止される。
【0027】ここで、ノズル手段を基板に対して相対移
動させて塗布処理を行っている時を除いて常時、循環手
段によって塗布液の吸引・吐出を行って塗布液を循環さ
せるようにすれば(請求項13)、塗布処理開始前に塗
布液に対して十分な移動慣性を与えることができ、塗布
開始領域における薄膜化を防止することができる。
【0028】なお、循環手段による塗布液の循環速度
は、例えば塗布時に消費される塗布液の流速と略同一と
することができる(請求項14)。
【0029】さらに、ノズル手段と外部塗布液槽とを接
続する配管にフィルタ手段を介挿してもよく(請求項1
5)、この場合、外部塗布液槽に戻る塗布液がフィルタ
リングされて高品質の塗布膜が形成可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る塗布装置の実
施形態について図面を参照して説明するが、本発明は以
下に示す実施形態に限定されるものではない。
【0031】図1は、本発明の一実施形態の塗布装置の
概略構成を示す斜視図である。
【0032】図1において、壁状に構成されて立設され
た架台1の中央部に、ガラス基板などの基板2の被塗布
面を外側に向けた状態で基板2を吸盤(図示せず)で吸
着して鉛直姿勢に保持する吸着ステージ3が配設されて
いる。この吸着ステージ3の手前側に架け渡されたベー
ス部材4の両端部の各々には、上下に移動自在に巻回さ
れたスチールベルト(図示せず)が連結されており、吸
着ステージ3上の基板2の被塗布面に対してベース部材
4がリニアモータ5によって上下動自在に構成されてい
る。
【0033】このベース部材4上の中央部分にはノズル
ユニット6が搭載されている。このノズルユニット6
は、基板2の被塗布面に対向して開口した水平方向の細
長いノズル口(図示せず)から塗布液を吐出可能なノズ
ル部材7と、ボールねじ機構などで構成され、基板2の
被塗布面に対してノズル部材7を接近離間自在に接離モ
ータ8で駆動する接離手段(図示せず)とを有してい
る。
【0034】このノズル部材7の内部には、図2に示す
ように、気相のない塗布液槽9が形成されている。この
塗布液槽9は、斜め上方に位置するノズル口10に塗布
液流出通路としてのスリット11を介して連結されてい
ると共に、その塗布液槽9の下方部には塗布液供給管1
2の一端が連結されている。この塗布液供給管12の一
端はバルブ13を介して分岐しており、その分岐した一
方はバルブ14をさらに介して、処理液としてのフォト
レジスト液などの塗布液15を所定量貯留可能な外部塗
布液槽16の底部に連結されている。また、その分岐し
た他方は定量吐出吸引ユニット18の一方側に配管接続
されている。
【0035】この定量吐出吸引ユニット18の他方側は
配管49を介して塗布液供給源である塗布液容器50に
接続されている。そして、この配管49の中間部にバル
ブ61が介挿されており、このバルブ61の開閉動作に
応じて塗布液容器50から定量吐出吸引ユニット18側
への塗布液の流れが制御されるようになっている。
【0036】また、この配管49は、バルブ61の定量
吐出吸引ユニット18側において分岐しており、その分
岐配管62が外部塗布液槽16に延びており、後で説明
するように定量吐出吸引ユニット18から吐出された塗
布液が分岐配管62に設けられたバルブ63およびフィ
ルタ64を介して外部塗布液槽16に戻されるように構
成されている。このように、この実施形態では、配管4
9および分岐配管62によって定量吐出吸引ユニット1
8中の塗布液を外部塗布液槽16に戻すための流路(以
下「循環戻り流路」という)65が形成されている。
【0037】また、この外部塗布液槽16の上部蓋19
には連通管20の一端がバルブ21を介して連結されて
いる。この連通管20の他端は、バルブ21を開状態と
することで外部塗布液槽16内部と連通してその内部を
加圧し、減圧し、または大気開放にするための圧力設定
機構(図示せず)に接続されている。また、この上部蓋
19には塗布液補給管22が連結されており、この塗布
液補給管22を介して外部塗布液槽16内に塗布液15
を補給可能となっている。さらに、外部塗布液槽16の
底部には排液用のバルブ23が配管接続されている。
【0038】図3は、定量吐出吸引ユニット18の構成
を示す図である。この定量吐出吸引ユニット18は、同
図に示すように、定量吐出吸引機構24と、この定量吐
出吸引機構24のノズル側に設けられたバルブ25と、
定量吐出吸引機構24の塗布液供給源側に設けられたバ
ルブ26とを有している。この定量吐出吸引機構24に
は、塗布液を一時的に貯溜自在な筒状の本体27内の一
方側にベローズ28が伸縮自在に設けられている。この
ベローズ28の伸縮方向にボールねじ29が延びてお
り、ボールねじ29は、2つのプーリ30,31とそれ
らの間に掛け渡されたベルト32からなる駆動伝達機構
33を介してパルスモータ34の回転駆動力を受けて回
転するようになっている。このボールねじ29にはブラ
ケット35が螺合されており、ボールねじ29の回転駆
動に応じてブラケット35がベローズ28の伸縮方向に
移動することでベローズ28が伸縮動作するようになっ
ている。
【0039】このため、例えばバルブ25を開きバルブ
26を閉じた状態で、パルスモータ34を回転駆動させ
てベローズ28を伸長させると、ベローズ28の伸長量
ΔLに応じた量ΔQの塗布液が本体27からバルブ25
を介してノズル側に吐出される。また、このバルブ開閉
状態で、パルスモータ34を逆方向に回転駆動させてベ
ローズ28を収縮させると、ベローズ28の収縮量ΔL
に応じた量ΔQの塗布液がノズル側からバルブ25を介
して本体27内に吸引される。
【0040】また、例えばバルブ25を閉じバルブ26
を開いた状態で、パルスモータ34を回転駆動させてベ
ローズ28を伸長させると、ベローズ28の伸長量ΔL
に応じた量ΔQの塗布液が本体27からバルブ26を介
して塗布液供給源側に吐出される。また、このバルブ開
閉状態で、パルスモータ34を回転駆動させてベローズ
28を収縮させると、ベローズ28の収縮量ΔLに応じ
た量ΔQの塗布液が塗布液供給源側からバルブ26を介
して本体27内に吸引される。
【0041】このようにして、定量吐出吸引ユニット1
8は、一定量ΔQの塗布液を吐出したり吸引することが
でき、その一定量ΔQはパルスモータ34を回転制御す
ることで任意に制御できるようになっている。つまり、
定量吐出吸引ユニット18は塗布液供給管12を介して
ノズル部材7の塗布液槽9に接続されており、定量吐出
機能による初期ディスペンスによって、塗布開始位置で
ノズル部材7と基板2との間に液溜りを形成することが
できるようになっている。一方、液溜りの形成と同時、
あるいはその後、塗布処理のためにノズル走行を開始す
る(塗布処理開始)までの間の一定時間、定量吸引機能
を発揮させることによって、塗布処理によって消費され
る塗布液の流量と略同一の流量の塗布液が塗布液供給管
12のノズル側端付近に向かって流れるように吸引する
ことができるようになっている。なお、この吸引された
塗布液は塗布処理の間に循環戻り流路65を介して塗布
処理によって消費される塗布液量と略同一の速度で外部
塗布液槽16に戻され、このような循環制御によって塗
布処理中の液面を一定に保つことが可能となっている。
【0042】図4は、図1の塗布装置の概略制御構成を
示すブロック図である。
【0043】図4において、操作部41としては、数字
を入力するテンキー、電源のオン・オフを入力する電源
キー、塗布スタートキー、リニアモータの駆動速度の基
準値をマニュアル設定する速度設定キーおよび、接離モ
ータを駆動させて基板2の被塗布面とノズル口10との
隙間Gを調整する隙間設定キー、基板サイズ、塗布液粘
度および塗布膜厚などを設定する各種設定キーなどで構
成されている。また、この操作部41が接続される制御
部42はROM43およびRAM44に接続されてお
り、ROM43内に登録された各制御プログラムで用い
る制御データを、操作部41から制御部42を介してR
AM44内に書き込み可能である。
【0044】また、これらの操作部41、ROM43お
よびRAM44が接続される制御部42は、リニアモー
タ駆動回路45を介してリニアモータ5に接続されてお
り、ROM43内に登録されたリニアモータ駆動制御プ
ログラムと、操作部41から入力され、リニアモータ駆
動制御プログラムに対応した制御データに基づいて、制
御部42は、その制御信号をリニアモータ駆動回路45
に出力し、リニアモータ駆動回路45がリニアモータ5
を駆動してベース部材4上のノズルユニット6を基板2
の被塗布面に対する所定上下位置に移動自在である。ま
た、制御部42は、ROM43内に登録されたリニアモ
ータ駆動制御プログラムと、基板サイズ、塗布液粘度お
よび塗布膜厚などの各種設定キーからの入力や、操作部
41の塗布スタートキーの入力によって、リニアモータ
駆動制御プログラムに対応した制御データに基づいて、
リニアモータ駆動回路45を介してリニアモータ5を駆
動して所定速度でノズル走行させつつ塗布可能なように
制御するようになっている。
【0045】また、これらの操作部41、ROM43お
よびRAM44が接続される制御部42は、接離モータ
駆動回路46を介して接離モータ8に接続されており、
ROM43内に登録された接離モータ駆動制御プログラ
ムと、操作部41から入力され、接離モータ駆動制御プ
ログラムに対応した制御データに基づいて、制御部42
は、その制御信号を接離モータ駆動回路46に出力し、
接離モータ駆動回路46が接離モータ8を駆動してベー
ス部材4上のノズルユニット6を基板2の被塗布面に対
して接近または離間させて所定ギャップ位置に移動自在
に制御が為されるようになっている。
【0046】また、これらの操作部41、ROM43お
よびRAM44が接続される制御部42は、パルスモー
タ駆動回路47を介してパルスモータ34に接続されて
おり、ROM43内に登録されたパルスモータ駆動制御
プログラムと、操作部41から入力され、パルスモータ
駆動制御プログラムに対応した制御データに基づいて、
制御部42は、その制御信号をパルスモータ駆動回路4
7に出力し、パルスモータ駆動回路47がパルスモータ
34を駆動してベローズ28を伸縮させることで、定量
吐出機能による初期ディスペンスによって、塗布開始位
置でノズル部材7と基板2の間に液溜りを形成すること
ができ、さらにそれと同時、あるいはその後に塗布処理
のためにノズル走行を開始するまでの間の一定時間、塗
布処理によって消費される塗布液の流量と略同一の流量
の塗布液が塗布液供給管12のノズル側端付近に向かっ
て流れるように吸引するように制御がなされるようにな
っている。
【0047】またその後、この吸引された塗布液は、塗
布処理の間に、かかる一回の塗布処理によって消費され
る塗布液量と略同一量を、かかる消費速度と略同一の速
度で循環戻り流路65を介して外部塗布液槽16に戻す
ように制御がなされるようになっている。
【0048】なお、これらの制御においては、所望する
膜厚に応じてノズル部材7の塗布時の走行速度をその膜
厚が得られるように決定すると共に、かかる所望膜厚と
基板2への塗布幅とノズル部材7の走行速度から、定量
吐出吸引ユニット18が吐出するべき単位時間当りの塗
布液量ΔQを制御部42が算出する。そして、その結果
に応じてパルスモータ34の制御が為される。
【0049】さらに、これらの操作部41、ROM43
およびRAM44が接続される制御部42は、バルブ駆
動回路48を介して各バルブ13,14,25,26,
61,63の各制御端子に接続されており、ROM43
内に登録されたバルブ駆動制御プログラムに基づいて、
制御部42は、その制御信号をバルブ駆動回路48に出
力し、バルブ駆動回路48が各バルブ13,14,2
5,26,61,63を順次開閉制御するようになって
いる。例えば、定量吐出吸引ユニット18が、定量吐出
機能による初期ディスペンスによって、塗布開始位置で
ノズル部材7と基板2の間に液溜りを形成すると同時、
あるいはその後、塗布処理のためにノズル走行を開始す
るまでの間の一定時間、塗布処理によって消費される塗
布液量と略同一量の塗布液を塗布液供給管12のノズル
側端付近より吸引する動作(以下「塗布準備動作」とい
う)時に、制御部42は、バルブ駆動回路48を介し
て、各バルブ13,14,25を開状態に制御すると共
に、バルブ26を閉状態に制御することで、配管を介し
てノズル部材7の塗布液槽9および外部塗布液槽16内
に連通するようになっている。
【0050】次に、上記のように構成された塗布装置の
動作について説明する。
【0051】まず、所定の塗布液を塗布処理する基板2
を搬送ロボット(図示せず)などによって搬送後に、基
板2の外周部を吸着ステージ3の複数の吸盤(図示せ
ず)に対応させた状態で所定の位置に位置決めして、基
板2の被塗布面を外側に向けた状態で基板2を吸着して
保持する。
【0052】次に、制御部42は、基板2の被塗布面に
対する原点位置にノズルユニット6におけるノズル部材
7のノズル口10を上方向または下方向に移動するべ
く、ノズルユニット6と共にベース部材4をリニアモー
タ5によって移動させる。このとき、ROM43内に登
録されたリニアモータ駆動制御プログラムとその制御デ
ータに基づいて、制御部42が、その制御信号をリニア
モータ駆動回路45に出力することで、リニアモータ駆
動回路45がリニアモータ5を駆動してベース部材4上
のノズルユニット6におけるノズル部材7を基板2の被
塗布面に対する所定の塗始め位置に原点復帰させること
ができる。この場合の制御データは、基板2の保持位置
が精密な場合には、登録された原点データであり、ま
た、マニュアル的に操作部41から所定の高さ位置が入
力されたデータであってもよい。さらに、その塗始め位
置に原点センサ(図示せず)を設けて、その原点センサ
(図示せず)がベース部材4を検知する所定の塗始め位
置で、制御部42がベース部材4を停止するようにリニ
アモータ駆動回路45を介してリニアモータ5を駆動制
御するようにしてもよい。
【0053】さらに、基板2の被塗布面とノズル部材7
のノズル口10との所定のギャップ寸法に移動するべ
く、ボールねじ機構を介した接離モータ8の駆動により
ノズル部材7のノズル口10を基板2の被塗布面に対し
て接近させるように移動させる。このとき、ROM43
内に登録された接離モータ駆動制御プログラムとその制
御データに基づいて、制御部42が、その出力制御信号
を接離モータ駆動回路46に出力し、接離モータ駆動回
路46が接離モータ8を駆動してベース部材4上のノズ
ル部材7を、基板2の被塗布面に対する所定の近接ギャ
ップ位置まで移動させる。
【0054】この場合の制御データは、塗布液15の粘
度や目標塗布膜厚、塗布速度、液面高さなどの各種塗布
条件に基づいて設定され登録されたギャップデータ(所
定ギャップ位置データ)であってもよく、また、実験ギ
ャップデータを参照してマニュアル的に操作部41から
入力されたギャップデータであってもよい。
【0055】この目標ギャップ位置にノズル部材7を移
動させたとき、バルブ13を開いて定量吐出吸引ユニッ
ト18を動作させて微量の塗布液を塗布液槽9内へ送り
込むことによるディスペンス動作によって、基板2の被
塗布面とノズル部材7の前端面との間に、塗布液15が
毛管現象で塗布液槽9内から汲み上げられて液溜りが形
成される。なお、液溜り形成方法にはこの他に、前記圧
力設定機構により塗布液槽9内の圧力を一時的に高める
ことによってもよく、また基板2の被塗布面とノズル部
材7の前端面との間に容易に液溜りが形成されるよう
に、塗布時における所定ギャップ位置よりもギャップが
狭くなるようにノズル部材7を基板2に一旦近接させ、
その状態で被塗布面と前端面との間に液溜りを形成し、
その動作後に所定ギャップ位置にノズル部材7を移動さ
せるようにしてもよい。
【0056】このように、基板2の被塗布面とノズル部
材7の前端面との間に液溜りが形成され目標ギャップ位
置にノズル部材7を移動させた後に、基板2の被塗布面
に所定の塗布膜厚で塗布するべく、操作部41のスター
トキーを操作すると、まず、次のようにして塗布準備動
作を行う。すなわち、パルスモータ駆動制御プログラム
とその制御データに基づいて、制御部42は、その出力
制御信号をパルスモータ駆動回路47に出力し、パルス
モータ駆動回路47がパルスモータ34を駆動してベロ
ーズ28を作動させ、また、バルブ駆動制御プログラム
とその制御データに基づいて、制御部42は、その出力
制御信号をバルブ駆動回路48に出力し、バルブ駆動回
路48が各バルブ13,14,25を開閉制御すること
で、定量吐出吸引ユニット18内に塗布液を吸引する。
【0057】かかる吸引動作を詳細に説明するが、以下
では説明を簡単にするため、本実施形態の塗布装置で1
枚の基板に対して塗布される塗布液は10ccであっ
て、1cc/秒の速度で10秒間で1枚の基板の塗布が
なされると仮定し、この条件で本発明を使用しない場合
に塗布開始領域に生じる薄膜化は塗布開始から1秒間に
塗布される領域に生じるものと仮定する。
【0058】まず、第1のステップとして、制御部42
の制御によりバルブ25,63を閉、バルブ26,61
を開とし、ベローズ28を作動させて、定量吐出吸引ユ
ニット18内に10ccの塗布液を塗布液容器50から
吸引する。
【0059】次に、第2のステップとして、バルブ1
4,25を開、バルブ26を閉とし、ベローズ28を作
動させて、定量吐出吸引ユニット18内に1ccの塗布
液を1秒かけて外部塗布液槽16から吸引する。この吸
引により、塗布液供給管12のうち、分岐点Sよりも外
部塗布液槽16側の内部の塗布液は、ノズル部材7側に
向って移動し始めており、約1秒の吸引が終了する際に
は、塗布液供給管12の該当部分内の塗布液は1cc/
秒の流れが生じるだけの移動慣性を持っている。なお、
この第2のステップにおいて、バルブ13は開の状態、
すなわち定量吐出吸引ユニット18のディスペンスによ
り基板2とノズル部材7との間に液溜りを形成したとき
と同じ状態ではあるが、ノズル部材7と基板2との間の
液溜りには強い表面張力が働いているので、バルブ1
3,25を開いた状態で定量吐出吸引ユニット18を吸
引動作させても、塗布液槽9内の塗布液がバルブ13を
通って定量吐出吸引ユニット18内に吸引されることは
ほとんどない。しかし、この塗布液槽9からの吸引がも
し問題となるようであれば、この第2のステップではバ
ルブ13を閉じておけばよい。この第2のステップ終了
時には、定量吐出吸引ユニット18内には少なくとも1
1ccの塗布液が吸い込まれた状態となっている。
【0060】以上の塗布準備動作に引き続き、すぐに塗
布動作が開始される。この塗布動作は、塗布準備動作の
第2のステップにおいて塗布液供給管12内の塗布液に
移動慣性が生じている間に、次の4つの動作をほぼ同時
に行うことにより開始される。まず、第1に、バルブ2
5,61を閉、バルブ13,14,26,63を開とす
る。第2に、前記圧力設定機構により外部塗布液槽16
内を大気開放にする。第3に、ROM43内に登録され
たリニアモータ駆動制御プログラムとその制御データに
基づいて、制御部42は、その出力制御信号をリニアモ
ータ駆動回路45に出力し、リニアモータ駆動回路45
がリニアモータ5を駆動してベース部材4をノズルユニ
ット6と共に基板2の被塗布面に対して下方向に移動さ
せ、これによってノズル部材7を基板2に対して相対的
に下方に移動させて塗布処理を行う。第4に、パルスモ
ータ駆動制御プログラムとその制御データに基づいて制
御部42は、その出力制御信号をパルスモータ駆動回路
47に出力し、パルスモータ駆動回路47がパルスモー
タ34を駆動してベローズ28を作動させて定量吐出吸
引ユニット18から塗布液を1cc/秒の速度で10秒
間吐出させる。これにより、1枚の基板の塗布処理時に
消費される塗布液量と略同一量の塗布液を、塗布処理時
に消費される塗布液の消費速度と略同一の速度で外部塗
布液槽16に戻す。
【0061】塗布処理は、以上の動作により開始され、
ノズル部材7が10秒で基板2の下端部まで移動するこ
とで終了する。この10秒間の塗布処理の間に、定量吐
出吸引ユニット18は、10ccの塗布液を吐出し、塗
布終了時には、内部に少なくとも1ccの塗布液を残し
ている。塗布処理が終了すると、バルブ14、26を
閉、バルブ13、25を開として、定量吐出吸引ユニッ
ト18はノズル口10部分の余剰の塗布液を吸引するサ
ックバック動作を行う。なお、このサックバック動作で
吸引される塗布液の量は微少量である。そして、サック
バック動作が終了すると、ノズル部材7は基板2から離
間して当該基板2に対する処理が終了する。このとき、
さらに、バルブ25、61が閉、バルブ26、63を開
として、定量吐出吸引ユニット18が作動し、1ccの
塗布液を外部塗布液槽16に戻すように吐出する動作を
行う。これは、塗布準備動作の第2のステップにおいて
外部塗布液槽16から吸引された塗布液と同じ量を戻す
ための動作である。
【0062】以上のように、この実施形態にかかる塗布
装置によれば、塗布処理を行う前に、予め塗布処理時に
使用される塗布液量と略同一量の塗布液を外部塗布液槽
16から塗布液供給管12を介して吸引するようにして
いるので、塗布液供給管12および外部塗布液槽16に
存在する塗布液に対して塗布時と同一方向で、かつ略同
一速度の移動慣性を与えておくことができるので、塗布
開始領域における薄膜化を防止して所望の一定膜厚で塗
布膜を形成することが可能となる。つまり、塗布液供給
管12および外部塗布液槽16における塗布液の移動慣
性による塗布開始領域の薄膜化という外部タンク方式の
欠点を補うことができる。なお、かかる吸引は、塗布処
理開始直前に、所定時間以上行われる。この所定時間
は、塗布液供給管内などの塗布液に移動慣性が与えられ
て塗布開始領域における薄膜化が実質的に無視できる状
態となる程度の時間であればよく、この時間はおよそ、
本発明を実施しない場合において塗布開始領域において
薄膜化が発生する間の時間に相当するとみることができ
る。この吸引により、塗布液供給管12内および外部塗
布液槽16内にある塗布液がノズル部材7側に向って移
動を始め、かかる方向の移動慣性が塗布液に生じる。
【0063】また、塗布処理時には、外部塗布液槽16
からノズル部材7を通って基板2上に消費される塗布液
量と略同一量の塗布液を定量吐出吸引ユニット18から
循環戻り流路65を介して外部塗布液槽16に戻すよう
に制御しているため、塗布処理中の外部塗布液槽16の
液面高さの変動が抑えられ、その結果、塗布開始後の定
常塗布領域においても所望の一定膜厚で塗布膜を形成す
ることが可能となる。また、特に、塗布処理によって消
費される塗布液の消費速度と略同一の速度で塗布液を外
部塗布液槽16に戻すようにしているので、塗布処理中
の液面を一定に保つことができ、液面変動の影響を排除
して基板全体に亘ってより均一な塗布膜を形成すること
ができる。なお、塗布膜厚に影響する外部塗布液槽16
の液面高さは、この塗布実行時において一定に保たれる
液面高さに相当する。
【0064】また、上記実施形態では、定量吐出吸引ユ
ニット18から循環戻り流路65を介して外部塗布液槽
16に塗布処理時に消費される塗布液と略同一の速度で
戻すように構成しているが、その循環戻り流路65にフ
ィルタ64を介挿しているため、塗布液供給管12及び
外部塗布液槽16に存在する塗布液に対するフィルタリ
ング効果が発揮され、より品質のよい塗布膜を形成する
ことができ、製品歩留りを向上させることができる。
【0065】また、本実施形態では、ノズル部材7の塗
布液槽9は配管を介して定量吐出吸引ユニット18と外
部塗布液槽16とに分岐するように構成したが、この分
岐は、できる限りノズル部材7の塗布液槽9に最も近い
部分で分岐して連結されているか、または、塗布液槽9
に定量吐出吸引ユニット18のための配管と外部塗布液
槽16のための配管とが直接連結されている方が制御レ
スポンスがよい。
【0066】なお、塗布開始領域における薄膜化の防止
のためには、塗布準備動作において塗布液供給管12内
などにある塗布液に塗布時と略同じ移動慣性を与えるこ
とができればよいのであるから、塗布準備動作において
定量吐出吸引ユニット18が吸引する塗布液量は、その
移動慣性を与えることができる以上の量であれば、1回
の塗布により消費される塗布液量よりも少なくてもよ
い。しかし、塗布処理時において定量吐出吸引ユニット
18から循環戻り流路65を介して外部塗布液槽16に
戻される塗布液は、1回の塗布により消費される塗布液
量と略等しいことが望ましい。そのためには、塗布準備
動作の終了時には、定量吐出吸引ユニット18内には、
1回の塗布により消費される塗布液量と同量の塗布液が
内部に吸引されていることが必要となる。そのため、本
実施形態では、第1のステップにおいて塗布液容器50
から10ccの塗布液を吸引してから、第2のステップ
で塗布液供給管12から塗布液を吸引している。なお、
塗布開始領域における薄膜化防止のためには、塗布準備
動作においては、例えば第1のステップを省略し、第2
のステップのみにおいて全量(すなわち、上記例におい
ては10cc)の塗布液を吸引することとしてもよい。
但し、この場合には、この基板2の塗布終了時点で外部
塗布液槽16内の塗布液が10cc減少しているから、
次なる基板に塗布する前には、同じだけの量の塗布液を
塗布液容器50から吸引して外部塗布液槽16へ補給す
る動作が必要となる。
【0067】さらに、上記実施形態では、1つの定量吐
出吸引ユニット18を用いて塗布液供給管12および外
部塗布液槽16に存在する塗布液に対して移動慣性を与
えるようにしているが、図5に示す実施形態の如く、2
つの定量吐出吸引ユニット(一方が循環手段として機能
する)を用いて塗布液の流れを制御するようにしてもよ
い。以下、図5を参照しつつ、この実施形態について説
明する。
【0068】図5は、本発明にかかる塗布装置の他の実
施形態を示す図である。また、図6は図5の塗布装置の
概略制御構成を示すブロック図である。この塗布装置が
先に説明した装置と大きく相違する点は、定量吐出吸引
ユニット18の他に、定量吐出吸引ユニット18と同一
の構成を備えた定量吐出吸引ユニット18a,18bを
並列に接続してなる循環ポンプユニット(循環手段)1
8′をさらに備えるとともに、循環ポンプユニット1
8′の追加に伴いその循環ポンプユニット(循環手段)
18′の外部塗布液槽16側にフィルタ17′を介挿す
るなど、配管系および制御構成を一部変更している点で
あり、その他の構成はほぼ同一である。したがって、同
一構成については、同一符号を付して説明を省略する。
なお、循環ポンプユニット18′における各部について
は定量吐出吸引ユニット18の相当部分と区別すべく、
符号に「′」を付して区別することとする。
【0069】循環ポンプユニット(循環手段)18′の
2つの定量吐出吸引ユニット18a,18bは、それぞ
れが図3で示したようなバルブ等を備えており、2つの
定量吐出吸引ユニット18a,18bの一方がノズル部
材7側から吸引動作を行うときに他方が外部塗布液槽1
6側へ吐出する動作を行うようにそのバルブやパルスモ
ータが制御され、かつそれらの吸引および吐出の速度は
同一である。これによって、循環ポンプユニット18′
は見かけ上、ノズル部材7側から塗布液を吸引すると同
時にそれと同じ量の塗布液を外部塗布液槽16側へ吐出
する動作を行う。
【0070】また、図6中の符号「47′」は循環ポン
プユニット18′の2つのパルスモータ34′を駆動す
るためのパルスモータ駆動回路である。
【0071】この実施形態にかかる塗布装置では、循環
ポンプユニット18′を介してノズル部材7の塗布液槽
9と外部塗布液槽16とが接続されており、次のように
して塗布準備動作、塗布処理およびサックバック処理が
実行される。
【0072】まず、所定の塗布液を塗布処理する基板2
を搬送ロボット(図示せず)などによって搬送後に、基
板2の外周部を吸着ステージ3の複数の吸盤(図示せ
ず)に対応させた状態で所定の位置に位置決めして、基
板2の被塗布面を外側に向けた状態で基板2を吸着して
保持する。そして、ノズルユニット6のノズル洗浄処理
やプリディスペンス処理を行い、先の実施形態と同様に
して、基板2の被塗布面に対する原点位置にノズル部材
7のノズル口10を移動させた後、目標ギャップ位置に
ノズル部材7を移動させる。このとき、定量吐出吸引ユ
ニット18を動作させて微少量の塗布液を塗布液槽9内
へ送り込むことによるディスペンス動作によって基板2
の被塗布面とノズル部材7の前端面との間に、塗布液1
5の液溜りを形成する。
【0073】ここで循環ポンプユニット18′は、上記
のような液溜りの形成が完了した後、塗布準備動作を行
う。この塗布準備動作では、制御部42より制御信号を
パルスモータ駆動回路47′に出力し、パルスモータ駆
動回路47′が2つのパルスモータ34′を駆動して2
つの定量吐出吸引ユニット18a,18bのベローズ2
8′を交互に伸縮させることで、ノズル部材7の塗布液
槽9から塗布液を吸引し、フィルタ17′を通して外部
塗布液槽16に戻す。このとき、バルブ13、14は開
とされており、塗布液は、塗布液供給管12内をバルブ
14、分岐点S、バルブ13、塗布液槽9、循環ポンプ
ユニット18′、フィルタ17′、外部塗布液槽16の
順に循環する。この循環時の塗布液の単位時間当たりの
流量、すなわち流速は、実際の塗布時において分岐点S
からバルブ13、塗布液槽9にかけての塗布液供給管1
2を通過する単位時間当たりの流量(流速)と等しくな
るように制御される。これにより、分岐点Sからバルブ
13、塗布液槽9にかけての塗布液供給管12内にある
塗布液は、塗布時と略同じ移動慣性を与えられることに
なる。なお、この第2の実施形態においても、ノズル部
材7と基板2との間の液溜りには強い表面張力が働いて
いるので、循環ポンプユニット18′を吸引作動させて
も、基板2とノズル部材7との間に形成された液溜りの
塗布液が循環ポンプユニット18′に吸引されてしまう
ことはない。そして、この塗布準備動作における塗布液
の循環は、次に述べる塗布処理開始まで継続する。
【0074】このように、塗布準備動作が行われている
間に、基板2の被塗布面に所定の塗布膜厚で塗布するべ
く、操作部41のスタートキーを操作すると、塗布処理
が開始される。具体的には、圧力設定機構により外部塗
布液槽16内を大気開放にするとともにROM43内に
登録されたリニアモータ駆動制御プログラムとその制御
データに基づいて、制御部42は、その出力制御信号を
リニアモータ駆動回路45に出力し、リニアモータ駆動
回路45がリニアモータ5を駆動してベース部材4をノ
ズルユニット6と共に基板2の被塗布面に対して下方向
に移動させる。
【0075】そして、このノズルユニット6と基板2と
の相対移動の開始と同時に、循環ポンプユニット18′
の停止と、定量吐出吸引ユニット18の駆動が行われ
る。すなわち、制御部42は、パルスモータ駆動制御プ
ログラムとその制御データに基づいて、その出力制御信
号をパルスモータ駆動回路47′に出力し、パルスモー
タ駆動回路47′は2つのパルスモータ34′の駆動を
停止させるとともに、制御部42は、その出力制御信号
をパルスモータ駆動回路47に出力し、パルスモータ駆
動回路47がパルスモータ34を駆動してベローズ28
を伸縮させて、基板への塗布に伴って消費する一定量Δ
Qの塗布液をリアルタイムにノズル部材7に移送する。
また、バルブ駆動制御プログラムとその制御データに基
づいて、制御部42は、その出力制御信号をバルブ駆動
回路48に出力し、バルブ駆動回路48が各バルブ1
3,14,25を開状態に制御すると共に、バルブ26
を閉状態に制御することで、定量吐出吸引ユニット18
のノズル側吐出口がノズル部材7の塗布液槽9および外
部塗布液槽16内に連通している。これらの各バルブ1
3,14,25は、ここでは例えば液溜り形成動作から
サックバック動作まで開状態とする。
【0076】なお、これらの制御においては、制御部4
2は、所望する塗布膜厚に応じてノズル部材7の塗布時
の走行速度をその膜厚が得られるように設定するととも
に、かかる所望膜厚と基板2への塗布幅とノズル部材7
の走行速度から、単位時間当たりにノズル部材7から基
板2に対して供給される塗布液の量ΔQを算出する。そ
して、制御部42は、かかる単位時間当たりに消費され
る塗布液の量ΔQだけを、同じ単位時間当たりに定量吐
出吸引ユニット18が吐出するように、定量吐出吸引ユ
ニット18のパルスモータ34を駆動制御する。そし
て、ノズル部材7が基板2の下端部まで走行して基板2
への塗布が終了すると、定量吐出吸引ユニット18は余
剰の塗布液をノズル口10から吸引するサックバック動
作を行う。
【0077】このように、塗布時に、定量吐出吸引ユニ
ット18のノズル側吐出口がノズル部材7の塗布液槽9
および外部塗布液槽16内に連通しているため、この定
量吐出吸引ユニット18による吐出圧力が大きいときに
は、その吐出圧力を外部タンク側に逃がし、小さいとき
には外部タンク側からの液圧力で補うことができる。そ
のため、一定膜厚を得るために要求される定量吐出吸引
ユニット18の吐出圧力制御がラフなものでもよくな
る。また、この定量吐出吸引ユニット18の吐出圧力に
よって、定常塗布領域における液経路の圧損に起因した
薄膜化を防止して所望の一定膜厚にすることができる。
つまり、液経路の圧損による定常塗布領域の絶対膜厚の
薄膜化という外部タンク方式の欠点を定量吐出吸引ユニ
ット18の吐出圧力によって補うと共に、従来は、所望
の一定膜厚に塗布するべく、ポンプによる加圧制御のみ
で塗布液をノズル部材7に所定量だけ正確に供給するこ
とは大変困難であったが、塗布に伴って消費した塗布液
量に相当する液量だけをリアルタイムにノズル部材7に
一定量供給する定量吐出吸引ユニット18や制御部42
による塗布液供給精度がラフなものでよくなり、定量吐
出吸引ユニット18や制御部42による定量吐出制御を
容易に行うことができる。
【0078】また、定量吐出吸引ユニット18から押し
出されてノズル部材7のノズル口10から基板2の被塗
布面に供給される塗布液が最終的にフィルタ17を介し
てフィルタリングされているので、より品質のよい塗布
膜を形成することができて歩留まりを向上させることが
できる。
【0079】なお、本実施形態では、定量吐出吸引ユニ
ット18が所定圧力よりも多少大きい吐出圧力でノズル
部材7の塗布液槽9側に塗布液を移送するように働いて
も、ノズル部材7の前端面側では塗布液の強い表面張力
によるメニスカスカーブが形成されつつ塗布が為されて
いるため、定量吐出吸引ユニット18からの吐出圧力が
外部塗布液槽16側に逃げ、逆に、定量吐出吸引ユニッ
ト18が所定圧力よりも多少小さい吐出圧力でノズル部
材7の塗布液槽9側に塗布液を移送するように働いて
も、ノズル部材7の前端面側では塗布液の強い表面張力
によるメニスカスカーブが形成されつつ塗布が為されて
いるため、定量吐出吸引ユニット18からの吐出圧力を
補うように外部塗布液槽16側から吐出圧力が働くよう
に構成したが、より高精度の定量吐出吸引ユニットおよ
び制御部を用いて、塗布に伴って消費した塗布液量に相
当する液量だけをリアルタイムにノズル部材7に高精度
に一定量供給するようにすれば、外部塗布液槽16を用
いずに定量吐出吸引ユニットおよび制御部などの定量吐
出手段による圧力制御だけで、液経路の圧損による定常
塗布領域の絶対膜厚が薄膜化することなく、所望の一定
膜厚にすることができる。
【0080】この場合に、ノズル部材7内の圧力を超微
差圧計で計測し、超微差圧計からのフィードバック信号
を用いてノズル部材7内の圧力が所定値で一定になるよ
うに制御部がパルスモータ34を駆動して定量吐出吸引
ユニット18を駆動するようにすれば、より高精度の圧
力制御が可能となる。
【0081】なお、本実施形態では、循環ポンプユニッ
ト18′は、ノズルユニット6がノズル洗浄処理やプリ
ディスペンス処理などを受けた後、塗布準備動作とし
て、塗布液槽9内の塗布液を吸引して外部塗布液槽16
側へ送り出す動作を塗布処理(ノズル走行)開始まで継続
しているが、ノズルユニット6の各種寸法パラメータ
や、塗布液種類などのプロセス条件によってノズル口1
0の長手方向に上記吸引による負圧が均一に分散せずノ
ズル口10よりエアを吸い込む可能性がある場合は、循
環ポンプユニット18′によるノズルユニット6からの
吸引及び送り出し動作を液溜り形成後からノズル走行開
始までの間に限って行うようにしてもよいし、また、塗
布処理時を除いて常時この吸引と送り出しの動作を行う
ようにしてもよい。いすれにしても、分岐点Sから塗布
液槽9にかけての塗布液供給管12内の塗布液が、塗布
処理中の定常状態と同じ移動速度、同じ移動慣性を、塗
布処理開始時点で持っているように与えることができれ
ばよい。
【0082】なお、この実施形態においては、循環ポン
プユニット(循環手段)18′を構成するために、2つ
の定量吐出吸引ユニット18a,18bを組み合わせて
用いているが、液を吸引すると同時に同量の液を吐出す
ることができるポンプであればこれに限られるものでは
ない。例えば、小型のギヤーポンプや、チューブポンプ
(ペリスタポンプ)などで循環ポンプユニット(循環手
段)18′を構成することもできる。
【0083】また、本実施形態では、ノズル部材7の塗
布液槽9は配管を介して定量吐出吸引ユニット18と外
部塗布液槽16とに分岐するように構成したが、この分
岐は、できる限りノズル部材7の塗布液槽9に最も近い
部分で分岐して連結されているか、または、塗布液槽9
に定量吐出吸引ユニット18のための配管と外部塗布液
槽16のための配管とが連結されている方が制御レスポ
ンスがよい。
【0084】なお、この図5に示した実施形態の機械的
構成に対して、異なる制御で塗布処理を行うこともでき
る。かかる変形例について以下に説明する。まず、基板
2を吸着ステージ3に吸着保持し、ノズル洗浄やプリデ
ィスペンス動作を終えたノズル部材7を所定のギャップ
位置に移動させる。そして、定量吐出吸引ユニット18
を作動させて基板2の被塗布面とノズル部材7の前端面
との間に塗布液15の液溜りを形成する。そして、それ
に引き続いて、定量吐出吸引ユニット18を作動させて
塗布液をノズル部材7へ圧送するとともに、循環ポンプ
ユニット18′をも作動させて塗布液をノズル部材7か
ら吸引して外部塗布液槽16へ圧送する。このとき、バ
ルブ14は閉、バルブ13は開としておく。これによ
り、塗布処理が実際に実行される前、すなわちノズル部
材7が基板2に対して走行する前に、定量吐出吸引ユニ
ット18、フィルタ17、バルブ13、塗布液槽9、循
環ポンプユニット18′、フィルタ17′、外部塗布液
槽16を順に通る塗布液の流れが形成される。なお、定
量吐出吸引ユニット18、循環ポンプユニット18′
は、この塗布液の流れが、先の説明と同様に、実際の塗
布時、すなわちノズル部材7が基板2に対して走行する
際において塗布液がバルブ13や分岐点Sを通過する速
度と等しくなるように駆動制御される。そして、この流
路内の塗布液の流れが前記の速度で一定になったとき、
定量吐出吸引ユニット18の駆動は継続しつつ、循環ポ
ンプユニット18′の駆動を停止し、同時にバルブ14
を開放し、基板2に対するノズル部材7の走行を開始し
て塗布処理を開始する。かかる動作制御を行えば、塗布
処理開始時には、定量吐出吸引ユニット18からフィル
タ17、バルブ13、塗布液槽9までの間の液流路にお
いて、塗布液の流れが既に形成されており、この液流路
の範囲における塗布液は塗布処理実行時と略同じ移動慣
性を既に与えられているので、塗布開始時における塗布
液の移動慣性に起因する塗布開始領域における薄膜化の
発生を防止することができる。なお、この変形例の制御
によれば、塗布処理開始前に循環ポンプユニット18′
から外部塗布液槽16に塗布液が送られているので、塗
布処理開始時には、外部塗布液槽16の液面が若干上昇
することになる。そのため、所望の厚みの塗布膜を得る
ためには、この上昇した液面高さを考慮する必要があ
る。
【0085】上記した2つの実施形態と変形例とはいず
れも垂直あるいは傾斜姿勢の基板に毛管現象で汲み上げ
た塗布液を塗布する塗布装置に本発明を適用したもので
あるが、本発明の適用対象はこれに限定されるものでは
なく、スリットを有するノズルに外部タンクから塗布液
を供給して基板表面に塗布膜を形成する塗布装置全般に
適用することができる。
【0086】
【発明の効果】以上のように請求項1ないし3にかかる
発明によれば、塗布処理の開始に先立ち、少なくともノ
ズル手段近傍の塗布液供給管内の塗布液に対して、ノズ
ル手段側に向う移動慣性を付与しているので、塗布処理
開始時に塗布される領域における塗布液供給管内の液の
移動慣性に起因する塗布膜の薄膜化を防止することがで
きる。
【0087】ここで、塗布液供給管内の塗布液に対して
付与される移動慣性は、塗布処理中の定常状態と略同じ
移動慣性とすることで(請求項2)、塗布膜の薄膜化を
最も良好に防止することができる。また、塗布液供給管
内の塗布液を循環させるための循環戻り流路を設けるこ
とで(請求項3)塗布液供給管内の塗布液に移動慣性を
付与するために移送した液を循環使用することができ、
塗布液に無駄が生じることがない。
【0088】また、請求項4ないし11にかかる発明に
よれば、液溜り形成と同時あるいは形成後で、しかも塗
布処理に先立って、定量吸引手段が所定量の塗布液を塗
布液供給管から吸引するように構成しているので、塗布
開始前に予め塗布液供給管および外部塗布液槽に存在す
る塗布液に対して移動慣性を与えることができ、塗布開
始領域における薄膜化を効果的に防止することができ
る。
【0089】ここで、定量吸引手段が、塗布液供給管か
らの塗布液の吸引を塗布処理開始に先立って所定時間以
上行うことで(請求項7)、塗布液に十分な移動慣性が
付与される。また、定量吸引手段は、塗布開始位置での
ノズル手段に向けて塗布液を吐出し、ノズル手段と前記
基板との間に液溜りを形成する定量吐出機能を備えるこ
とで(請求項8)、液溜りを形成する手段としても利用
できて装置構成を簡単にできる。また、塗布処理中に、
塗布処理により消費される塗布液量と略同一量の塗布液
を定量吸引手段で吸引し、その吸引した塗布液を循環戻
り流路を介して外部塗布液槽に戻す定量吐出機能を備え
るように構成した場合(請求項9)、塗布処理中におけ
る外部塗布液槽内での塗布液の液面変動を抑えることが
でき、塗布開始後の定常塗布領域においても塗布膜を均
一に塗布することができる。特に、塗布処理によって消
費される塗布液の消費速度と略同一の速度で塗布液を定
量吸引手段から外部塗布液槽に戻すように構成すると
(請求項10)、塗布処理中の液面を一定に保つことが
でき、より均一な塗布膜を基板全体に亘って形成するこ
とができる。
【0090】さらに、上記のように構成された循環戻り
流路にフィルタ手段を介挿することで(請求項11)、
外部塗布液槽に戻る塗布液をフィルタリングして高品質
な塗布膜を形成することができる。
【0091】請求項12ないし15にかかる塗布装置に
よれば、ノズル手段の塗布液を循環手段により再度外部
塗布液槽に戻すように構成しているので、塗布処理前に
ノズル手段に供給される塗布液に対して移動慣性を与え
ることができ、塗布開始領域における薄膜化を効果的に
防止することができる。
【0092】ここで、ノズル手段を基板に対して相対移
動させて塗布処理を行っている時を除いて常時、循環手
段によって塗布液の吸引・吐出を行って塗布液を循環さ
せるようにすれば(請求項13)、塗布処理開始前に塗
布液に対して十分な移動慣性を与えることができ、塗布
開始領域における薄膜化を防止する上で、より効果的で
ある。
【0093】さらに、ノズル手段と外部塗布液槽とを接
続する配管にフィルタ手段を介挿することで(請求項1
5)、外部塗布液槽に戻る塗布液をフィルタリングして
高品質な塗布膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の塗布装置の構成を示すブ
ロック図である。
【図2】図1のノズルユニットの塗布液供給経路の概略
構成を示す模式図である。
【図3】図2の定量吐出吸引ユニットの構成を示す縦断
面図である。
【図4】図1の塗布装置の概略制御構成を示すブロック
図である。
【図5】本発明にかかる塗布装置の他の実施形態を示す
図である。
【図6】図5の塗布装置の概略制御構成を示すブロック
図である。
【図7】従来の塗布装置の概略構成を示す正面図であ
る。
【図8】図7の塗布装置におけるAA線断面図である。
【符号の説明】
2…基板 6…ノズルユニット 7…ノズル部材 9…塗布液槽 10…ノズル口 11…スリット 12…塗布液供給管 15…塗布液 16…外部塗布液槽 17…フィルタ(フィルタ手段) 18…循環ポンプユニット(循環手段) 18…定量吐出吸引ユニット(定量吐出吸引手段) 42…制御部 49…配管 62…分岐配管 64…フィルタ(フィルタ手段) 65…循環戻り流路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/027 B05C 5/02 5F046 // B05C 5/02 H01L 21/30 564Z (72)発明者 尾崎 一人 京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神 北町1番地の1 大日本スクリーン製造株 式会社内 (72)発明者 木瀬 一夫 京都市上京区堀川通寺之内上る4丁目天神 北町1番地の1 大日本スクリーン製造株 式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA00 AB13 AB15 AB16 AB17 EA04 2H088 EA02 FA18 FA20 FA30 HA04 MA20 4D075 AB04 AB13 AB41 AB52 CA48 DA06 DB13 DB14 DC22 EA45 4F040 AA12 AB06 AC01 BA35 BA38 CC10 CC14 4F041 AA06 AB01 BA10 BA34 CA02 CA13 CA16 5F046 JA02 JA03 JA27

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗布液を供給可能なノズル手段と、鉛直
    または傾斜姿勢で保持された被塗布基板とを相対移動さ
    せつつ、毛管現象で塗布液槽から汲み上げられた塗布液
    を前記ノズル手段から供給して前記基板の被塗布面に塗
    布する塗布装置において、 前記ノズル手段に塗布液を供給する塗布液供給管と、 塗布処理の開始に先立ち、少なくとも前記ノズル手段近
    傍の前記塗布液供給管内の塗布液に対して、前記ノズル
    手段側に向う移動慣性を付与する液移送手段とを備えた
    ことを特徴とする塗布装置。
  2. 【請求項2】 前記液移送手段は、少なくとも前記ノズ
    ル手段近傍の前記塗布液供給管内の塗布液に対して、塗
    布処理中の定常状態と略同じ移動慣性を付与するもので
    あることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
  3. 【請求項3】 前記塗布液供給管内の塗布液を循環させ
    るための循環戻り流路をさらに備え、当該塗布液供給管
    内の塗布液を循環させることにより移動慣性を付与する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の塗布装置。
  4. 【請求項4】 塗布液を供給可能なノズル手段と、鉛直
    または傾斜姿勢で保持された被塗布基板とを相対移動さ
    せつつ、毛管現象で塗布液槽から汲み上げられた塗布液
    を前記ノズル手段から供給して前記基板の被塗布面に塗
    布する塗布装置において、 前記ノズル手段に塗布液を供給可能な外部塗布液槽と、 前記ノズル手段と前記外部塗布液槽とを接続する塗布液
    供給管と、 前記ノズル手段に接続され、塗布開始位置にある前記ノ
    ズル手段と基板との間の液溜りの形成と同時あるいは形
    成後で、しかも塗布処理に先立って、所定量の塗布液を
    前記塗布液供給管から吸引する定量吸引手段とを備えた
    ことを特徴とする塗布装置。
  5. 【請求項5】 前記定量吸引手段により吸引する塗布液
    量は、一回の塗布時に消費される塗布液量と略同一であ
    る請求項4記載の塗布装置。
  6. 【請求項6】 前記定量吸引手段は、前記塗布液供給管
    のノズル側端付近に接続されている請求項4または5記
    載の塗布装置。
  7. 【請求項7】 前記定量吸引手段は、前記塗布液供給管
    からの塗布液の吸引を、塗布処理開始に先立って所定時
    間以上行うことを特徴とする請求項4ないし6のいずれ
    かに記載の塗布装置。
  8. 【請求項8】 前記定量吸引手段は、塗布開始位置での
    前記ノズル手段に向けて塗布液を吐出し、前記ノズル手
    段と前記基板との間に液溜りを形成する定量吐出機能を
    備えたことを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに
    記載の塗布装置。
  9. 【請求項9】 前記定量吸引手段と前記外部塗布液槽と
    を接続して前記定量吸引手段から前記外部塗布液槽に塗
    布液を戻すための循環戻り流路をさらに備え、 前記定量吸引手段は、塗布処理中に、塗布処理により消
    費される塗布液量と略同一量の塗布液を前記循環戻り流
    路を介して前記外部塗布液槽に戻す定量吐出機能を備え
    る請求項4ないし8のいずれかに記載の塗布装置。
  10. 【請求項10】 前記定量吸引手段は、塗布処理によっ
    て消費される塗布液の消費と同時に、かかる消費速度と
    略同一の速度で塗布液を前記外部塗布液槽に戻す請求項
    9記載の塗布装置。
  11. 【請求項11】 前記循環戻り流路に介挿されたフィル
    タ手段をさらに備えた請求項9または10記載の塗布装
    置。
  12. 【請求項12】 塗布液を供給可能なノズル手段と、鉛
    直または傾斜姿勢で保持された被塗布基板とを相対移動
    させつつ、毛管現象で塗布液槽から汲み上げられた塗布
    液を前記ノズル手段から供給して前記基板の被塗布面に
    塗布する塗布装置において、 前記ノズル手段に接続され、前記ノズル手段に塗布液を
    供給可能な外部塗布液槽と、 前記ノズル手段に接続され、前記ノズル手段への塗布液
    の吐出と、前記ノズル手段からの塗布液の吸引とを選択
    的に行う定量吐出吸引手段と、 前記ノズル手段に接続され、前記ノズル手段の塗布液を
    前記外部塗布液槽に戻す循環手段とを備えたことを特徴
    とする塗布装置。
  13. 【請求項13】 前記ノズル手段を前記基板に対して相
    対移動させて塗布処理を行っている時を除いて常時、前
    記循環手段は塗布液を吸引するとともに、当該塗布液を
    前記外部塗布液槽に吐出することにより塗布液を循環さ
    せる請求項12記載の塗布装置。
  14. 【請求項14】 前記循環手段による塗布液の循環速度
    は、塗布時に消費される塗布液の流速と略同一である請
    求項12または13記載の塗布装置。
  15. 【請求項15】 前記ノズル手段と前記外部塗布液槽と
    を接続する配管に介挿されたフィルタ手段をさらに備え
    た請求項12ないし14のいずれかに記載の塗布装置。
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