JP4742511B2 - 塗布方法および塗布装置並びにディスプレイ用部材の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、例えばカラー液晶ディスプレイ用カラーフィルタやTFT用アレイ基板、光学フィルタ、プリント基板、集積回路、半導体等の製造分野に使用されるものであり、詳しくはガラス基板などの被塗布部材表面に塗布液を吐出しながら塗膜を形成する塗布装置および塗布方法並びにこれら装置および方法を使用したカラーフィルタやTFT用アレイ基板等のディスプレイ用部材の製造方法の改良に関する。
カラー液晶ディスプレイ用のカラーフィルタは、ガラス基板上に3原色の細かな格子模様を有しており、このような格子模様はガラス基板上に黒色の塗膜を形成した後に、赤、青、緑の塗膜を順次形成していき、これにより、ガラス基板上を3原色に塗り分けて得られる。
それゆえ、カラーフィルタの製造には、ガラス基板上に黒、赤、青、緑の塗布液を順次塗布して、その塗膜を形成していく形成工程が必要不可欠となる。この種の形成工程には、スピナーが容易に均一な塗膜を形成できるので多く使用されてきたが、最近にいたって、高価な塗布液の消費を削減することと、幅が1mをこえるガラス基板に対応した装置の大型化があいまって、ダイコータが多く導入されるようになってきている。
この種のダイコータの一例としては、往復動可能なテーブルと、下向きの吐出口を有した塗布ヘッド(ダイ)とを1台備え、テーブル上にガラス基板が吸着保持された後、テーブルとともにガラス基板が塗布ヘッドの直下を移動するに伴い、塗布ヘッドの吐出口から塗布液を吐出させ、ガラス基板上に塗膜を連続して形成するものがある(例えば特許文献1)。
近年製品の高品質化に伴って、基板に塗布するダイコータに要求される膜厚分布精度はますます高くなってきており、たとえば、端部10mmを除外して±3%以下の膜厚むらにすることが望まれている。
通常、大きな膜厚変動を生じるのは、塗布方向、ダイの長手方向である基板幅方向をとわず、中央部分ではなくて端部である。幅方向端部については、塗布液の特性によって塗膜の膜厚プロファイルが定まるため、塗布液の特性調整が主な改善手段となる。一方、塗布方向端部については、塗布開始部と塗布終了部の膜厚制御の良否が、目標の膜厚範囲内に到達しない不良膜厚区間を最小とする膜厚プロファイル形成に大きく影響をするために、不良膜厚区間を短くして均一な膜厚の区間を増加させるための改善手段が、数多く提案されてきている。
塗布開始部については、その厚膜化を防止するために、基板とダイとの間のすきまであるクリアランスを、塗布液の吐出ならびに基板に対するダイの水平移動と連動させて制御する方法(例えば特許文献2)、基板を静止させておき、ポンプを駆動して吐出を始めた一定時間後に基板の移動を開始して塗布開始する方法(例えば特許文献3)等がある。
特開平6-339656号公報(第5欄18行目〜第7欄25行目、第10欄9行目〜43行目、図1) 特開2002−113411号公報(第4欄48行目〜第5欄24行目、第9欄3行目〜31行目、図1、図5) 特開平8−229482号公報(第13欄46行目〜第15欄48行目、図3)
上記の塗布開始部の膜厚プロファイル制御手段は、いずれもパラメータを変えることで膜厚プロファイルを変えることができる。しかし、いずれもパラメータを装置上可能な最小単位で変更させても、膜厚プロファイルの変化が大きくて、所望の膜厚プロファイルに十分調整できず、その結果、塗布開始部と終了部の目標の膜厚範囲内に到達しない不良膜厚区間が長くなって、均一な膜厚の区間が短くなってしまうという問題があった。
本発明は、上述の事情に基づいてなされたものでその目的とするところは、塗布開始部の塗膜の膜厚プロファイルを微細に調整できる手段を示して、塗布開始部に発生する目標膜厚範囲内に到達しない不良膜厚区間を最小とし、それによって均一な膜厚区間を最長にして、一枚の被塗布部材上での有効製品領域を最大とすることが安価に、しかも容易に実現できる塗布装置及び方法ならびにこの方法を使用したディスプレイ用部材の製造方法を提供することにある。
上記目的は、以下に述べる手段によって達成される。
本発明の塗布方法は、一方向に延びる吐出口を有する塗布器を被塗布部材に近接させ、定容量ポンプから塗布器に粘度が1〜50mPaSの塗布液を供給して被塗布部材に塗布器から塗布液を吐出するとともに、被塗布部材の塗布器に対する相対移動をして、被塗布部材上に塗膜を形成する塗布方法において、予め塗布時と同じ条件にて定容量ポンプから塗布器に至る経路中で塗布時の圧力を検知する予備試験を繰り返し、前記検知した圧力波形形状が所望の形状になるように、前記定容量ポンプの機械駆動部の動作速度を目標とする膜厚をえるための動作速度に達するよう立ち上げる時に、圧力波形の立上げ時間よりも短い任意の時間間隔ごとに、アンダーシュートする動作速度に達するように変化させて行うことで各パラメータを定めた後に、圧力を制御して実際の塗布をすることを特徴とする。
ここで、前記圧力の制御は、前記定容量ポンプと塗布器の間に形状が可変となるオリフィスを設け、オリフィスの形状を変えることで行うこと好ましい。
本発明の塗布装置は、塗布液を吐出するために一方向に延びる吐出口を有する塗布器と、塗布器に粘度が1〜50mPaSの塗布液を供給する定容量ポンプと、被塗布部材を保持する載置台と、前記塗布器および載置台のうちの少なくとも一方を相対的に移動させる移動手段と、塗布器を被塗布部材に近接させる近接手段とを備えて、被塗布部材に塗膜を形成する塗布装置であって、さらに定容量ポンプから塗布器に至る経路中に圧力検知器を設けるとともに、予備試験で予め塗布時と同じ条件にて該圧力検知器により検知した圧力波形形状を所望の形状になるように、前記定容量ポンプの機械駆動部の動作速度を目標とする膜厚をえるための動作速度に達するよう立ち上げる時に、圧力波形の立上げ時間よりも短い任意の時間間隔ごとに、アンダーシュートする動作速度に達するように変化させて行うことで各パラメータを定めて、実際の塗布の圧力を制御する圧力制御装置を備えたことを特徴とする。
ここで、前記圧力制御装置として前記定容量ポンプと塗布器の間に形状が可変となるオリフィスを設けること好ましい。
本発明のディスプレイ用部材の製造方法は、上記の本発明の塗布方法を用いてディスプレイ用部材を製造することを特徴とする。
本発明になる塗布方法および塗布装置を用いれば、予め塗布時と同じ条件にて定容量ポンプから塗布器に至る経路中で塗布時の圧力を検知する予備試験を繰り返し、その検知した圧力波形形状が所望の形状になるように、定容量ポンプの機械駆動部の動作速度を、圧力波形の立上げ時間よりも短い任意の時間間隔で変化させて行うことで各パラメータを定めた後に、圧力を制御して実際の塗布をすることで、塗布開始部の膜厚プロファイルを微細に調整できる。したがって、塗布開始部に発生する目標膜厚範囲内に到達しない不良膜厚区間を最小とし、それによって均一な膜厚区間を最長にする膜厚プロファイル形状を容易にえられる。その結果、高い膜厚分布精度を有する塗膜を得ることができ、一枚の被塗布部材上での有効製品領域を最大とすることが可能となる。
本発明になるディスプレイ用部材の製造方法によれば、上記の優れた塗布方法を用いてディスプレイ用部材を製造するのであるから、塗膜の膜厚分布精度と品質の高いディスプレイ用部材を低コストで製造することが可能となる。
以下、この発明の好ましい一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお本発明の塗布方法は、定容量ポンプから塗布器に至る経路中で、塗布時の圧力を検知することにより、その検知した圧力波形形状が、少なくとも塗布開始部では所望の形状となるように、圧力を制御して塗布を行うものである。ここで塗布開始部とは、塗布を開始してから塗膜の膜厚がゼロから目標とする一定膜厚に到達するまでの遷移区間、すなわち前記でいう不良膜厚区間のことをいう。また塗布開始部での所望の圧力波形形状とは、定められた立上げ時間内で圧力がゼロから所定の値に達しているものを指す。さらに立上げ時間は、不良膜厚区間を最小とするために、短くすることが好ましい。
したがって本発明の方法を実施する場合には、予め、塗布時と同じ条件にて圧力波形形状を検知する予備試験を繰り返し、圧力波形形状が所望のものとなるように各パラメータを定めた後に、実際の塗布を行うものである。
図1は、この発明に係る塗布方法を行う塗布装置であるダイコータ1の概略正面断面図、図2は膜厚とシリンジポンプ塗布液供給速度と基板A移動速度との関係を示す時間線図、図3は塗布開始部での圧力とピストン動作速度との関係を示す時間線図、図6は別の圧力とピストン機械動作速度の時間線図、図7はさらに別の圧力とピストン機械動作速度の時間線図である。
まず図1を参照すると、本発明のダイコータ1が示されている。このダイコータ1は基台2を備えており、基台2上には、一対のガイドレール4が設けられている。このガイドレール4上には、被塗布部材である基板Aの載置台、すなわちステージ6が配置されている。ステージ6は図示しないリニアモータで駆動されて図1に矢印で示されているX方向に自在に往復動する。またステージ6の上面は吸着孔からなる真空吸着面となっており、基板Aを吸着保持することができる。
基台2の中央を見ると、門型の支柱10がある。支柱10の両側に、上下昇降ユニット70が備えられており、この上下昇降装置ユニット70に塗布を行うダイ20が取り付けられている。
ダイ20は、X方向に直交する方向(紙面に垂直な方向)にのびているフロントリップ22、及びリアリップ24を、シム32を介してX方向に重ね合わせ、図示しない複数の連結ボルトにより一体的に結合されている。ダイ20内の中央部にはマニホールド26が形成されており、このマニホールド26もダイ20の長手方向(X方向に直交する方向)に延びている。マニホールド26の下方には、スリット28が連通して形成されている。このスリット28もダイ20の長手方向にのびており、その下端がダイ20の最下端面である吐出口面36で開口となって、吐出口34を形成する。なおスリット28はシム32によって形成されるので、スリットの間隙(X方向に測定)は、シム32の厚さと等しくなる。
このダイ20を昇降させる上下昇降装置ユニット70は、ダイ20を吊り下げる形で保持する吊り下げ保持台80、吊り下げ保持台80を昇降させる昇降台78、昇降台78を上下方向に案内するガイド74、モータ72の回転運動を昇降台78の直線運動に変換するボールねじ76より構成されている。上下昇降ユニット70はダイ20の長手方向の両端部を支持するよう左右1対あって、各々が独立に昇降できるので、ダイ20長手方向の水平に対する傾き角度を任意に設定することができる。これによってダイ20の吐出口面36と基板Aを、ダイ20の長手方向にわたって略並行にすることができる。さらに、この上下昇降ユニット70によって、ステージ6上の基板Aとダイ20の吐出口面36の間にすきま、すわなち、クリアランスを、任意の大きさに設けることができる。
さらに図1で基台2の右側端部を見ると、拭き取りユニット90がガイドレール4上にX方向に移動自在に取付られている。拭き取りユニット90には、ダイ20の吐出口34周辺に係合する形状を有する拭き取りヘッド92が、ブラケット94を介してスライダー96に取り付けられている。スライダー96は駆動ユニット98により、ダイ20の長手方向、すなわちX方向に直行する方向に自在に移動する。駆動ユニット98とトレイ100は台車102上に固定されている。台車102はガイドレール4上にあり、ガイドレール4に案内されて、図示しないリニアモータによりX方向に自在に往復動できるので、拭き取りユニット90全体がX方向に往復動できる。また拭き取りを行うときは、拭き取りヘッド92がダイ20に係合する位置まで拭き取りユニット90全体をX方向に移動させ、ダイ20を下降して拭き取りヘッド92に係合させる。そして、駆動ユニット98を駆動して拭き取りヘッド92をダイ20の長手方向に摺動させると、ダイ20の吐出口34付近に残存している塗布液その他の汚染物を除去、清掃することができる。除去した塗布液その他はトレイ100で回収される。トレイ100は図示しない排出ラインに接続されており、内部にたまった塗布液等の液体を外部に排出、回収することができる。またトレイ100は、ダイ20からエアー抜き等で吐出される塗布液を回収するために使用することもできる。なお拭き取りヘッド92はダイ20に均等に係合できるようゴム等の弾性体、合成樹脂が好ましい。
さらにまた基台2の左側を見ると、基板Aの厚さを測定する厚さセンサー120が支持台122に取り付けられている。厚さセンサー120はレーザを使用したものであることが好ましい。厚さセンサー120により基板Aの厚さを測定することで、どのような厚さの基板Aに対しても、ダイ20の吐出口面36と基板Aの隙間であるクリアランスを、常に一定にすることができる。
再びダイ20を見ると、ダイ20のマニホールド26の上流側は、塗布液供給装置40に連なる供給ホース60に、内部通路(図示しない)を介して常時接続されており、これにより、マニホールド26へは塗布液供給装置40から塗布液を供給することができる。マニホールド26に入った塗布液はダイ20の長手方向に均等に拡幅されて、スリット28を経て、吐出口34から吐出される。吐出口面36と基板Aとの間に液だまりであるビードBを形成後、基板A上に塗布膜Cを形成する。
なお、塗布液供給装置40は、供給ホース60の上流側に、フィルター46、絞りバルブ47、圧力検知器である圧力計48、供給バルブ42、シリンジポンプ50、吸引バルブ44、吸引ホース62、タンク64を備えている。絞りバルブ47はニードル型、ボール型、ダイヤフラム型、ベローズ型等、オリフィスを形成して圧力差を発生し、かつオリフィスの形状が開度により可変で圧力差を任意に設定できるものであればいかなるものでもよい。すなわち、オリフィスの開度を小さくすると、オリフィスの形状つまり断面積は小さくなるので圧力差は大きくなり、逆にオリフィスの開度を大きくすると、オリフィスの形状つまり断面積は大きくなるので圧力差は小さくなる。さてタンク64には塗布液66が蓄えられており、圧空源68に連結されて任意の大きさの背圧を塗布液66に付加することができる。タンク64内の塗布液66は、吸引ホース62を通じてシリンジポンプ50に供給される。シリンジポンプ50では、シリンジ52、ピストン54がポンプ本体56に取り付けられている。ここでピストン54は図示しない駆動源によって上下方向に自在に往復動できる。シリンジポンプ50は、一定の内径を有するシリンジ52内に塗布液を充填し、それをピストン54により押し出して、ダイ20に基板Aを一枚塗布する分だけ供給する定容量型のポンプである。シリンジポンプ50のシリンジ52は静止しているが、ピストン54は上下動するので機械駆動部となる。そして、機械駆動部であるピストン54の動作速度、すなわち機械動作速度となる上昇移動速度により、シリンジポンプ50からダイ20への塗布液供給速度が定まる。そして、シリンジ52内に塗布液66を充填するときは、吸引バルブ44を開、供給バルブ42を閉として、ピストン54を下方に移動させる。またシリンジ52内に充填された塗布液をダイ20に向かって供給するときは、吸引バルブ44を閉、供給バルブ42を開とし、ピストン54を上方に移動させることで、ピストン54でシリンジ52内部の塗布液を押し上げて排出する。シリンジポンプ50では、オス側のピストン54とメス側のシリンジ52との間に、気密性を持たせるために図示しないOリングをシール材として、ピストン54またはシリンジ52に取り付けるのが好ましい。ダイ20に塗布液をシリンジポンプ50から供給する時の圧力は、圧力計48で計測される。圧力計の設置位置は、定容量ポンプから塗布器に至る経路内、すなわち、シリンジポンプ50からダイ20に至る経路内であれば、いかなる位置に設置してもよい。ダイ20に塗布液をシリンジポンプ50から供給する時にシリンジポンプ50に作用する圧力の大きさは、絞りバルブ47のオリフィスの開度の調整によって行うことができるので、絞りバルブ47は圧力制御装置としての役割をもつ。上記したように絞りバルブ47のオリフィスの開度を小さくすると、オリフィスの形状つまり断面積は小さくなるので、塗布液がオリフィスを通過するときの圧力差は大きくなり、シリンジポンプ50に作用する圧力は大きくなる。逆にオリフィスの開度を大きくすると、オリフィスの形状つまり断面積は大きくなるので、塗布液がオリフィスを通過する時の圧力差は小さくなり、シリンジポンプ50に作用する圧力は小さくなる。シリンジポンプ50からダイ20に至る供給ホース60が樹脂製の場合、圧力が大きいと供給ホース60が膨張弾性変形して変形が完了するまで塗布液がそこに蓄積されることになる。したがって、シリンジポンプ50からダイ20への塗布液供給を開始するときは、次第に圧力が上昇して供給ホース60が膨張変形し、塗布液が膨張変形分だけ供給ホース60に蓄積されることになるが、蓄積が完了するまではダイ20には塗布液は供給されないから、シリンジポンプ50からダイ20への塗布液供給速度がゼロから所定の値に到達するまでの立上げ時間が長くなることになる。つまり絞りバルブ47によってシリンジポンプ50に作用する圧力を変えると、立上げ時間もそれに応じて変化するので、絞りバルブ47によってシリンジポンプ50の塗布液供給速度の立上げ時間を調整できるといえる。
なお、制御信号にて動作するリニアモータ、モータ72、塗布液供給装置40等はすべて制御装置130に電気的に接続されている。そして、制御装置に組み込まれた自動運転プログラムにしたがって制御指令信号が各機器に送信されて、あらかじめ定められた動作を行う。なお条件変更時は操作盤132に適宜変更パラメータを入力すれば、それが制御装置130に伝達されて、運転動作の変更が実現できる。特に塗布液供給装置40の中では、圧力計48とシリンジポンプ50、供給バルブ42、吸引バルブ44が電気的に接続されており、制御装置130にその電気的な信号や測定値をとりこんだり、制御装置130からの指令により、任意の動作をさせることができる。制御装置130を用いれば、塗液供給装置40、上下昇降ユニット70、ステージ6の動作を自在に制御できるので、塗布開始部、塗布終了部での塗布膜のプロファイルが任意のものとなるよう各部分の動作を制御できる。
実際の塗布開始部の制御例を示す。図2は、シリンジポンプ50の塗布液供給速度、ステージ6に吸着された基板Aの移動速度と、基板Aに塗布される塗膜Cの膜厚の関係を示す時間線図である。図2(a)を見ると塗布は、静止した基板Aに対して、まずシリンジポンプから塗布液を供給し、一定時間t0秒後に基板Aすなわちステージ6が移動を開始することで行われる。一定時間t0秒は、ダイ20と基板Aとの間に塗布液を供給してビードBを形成するのに費やされる時間である。基板Aが移動を開始してからは、基板A上に塗膜が形成されるが、その厚さ、すなわち膜厚は、基板Aの移動速度とシリンジポンプ50からの塗布液供給速度から導かれるマテリアルバランスで定まる。そして基板Aの移動速度、シリンジポンプ50からの塗布液供給速度があらかじめ定められた一定値Vs、Vpに到達したとき、基板Aには目標膜厚THの塗膜が形成される。図2では、塗布開始から目標膜厚THに達するまでの区間を不良膜厚区間、目標膜厚THに達している区間を均一膜厚区間と名付けているが、不良膜厚区間を最小、すなわち均一膜厚区間を最大とする制御を行うことが望ましい。そのためには、基板Aの移動速度がゼロから定められた一定値Vsに達するまでの時間ts、シリンジポンプ50からの塗布液供給速度がゼロから定められた一定値Vpに達するまでの時間tpとも、最小とする制御が必要とされる。例えば、図2(b)、(c)のように、基板Aの立上げ時間tsが短くても、シリンジポンプ50からの塗布液供給速度が、オーバーシュートして安定するまでに時間ががかかったり、あるいはゆっくり加速されて立上げ時間が長くなると、不良膜厚区間は長くなってしまう。
次にダイコータ1を使用しての本発明の塗布方法について詳述する。
本発明の塗布方法は、図2(a)に示す塗布開始部の不良膜厚区間を最小とするために、定容量ポンプであるシリンジポンプ50から塗布器であるダイ20への塗布液供給速度がシリンジポンプ50始動開始からあらかじめ定められた一定値Vpに到達するまでの時間、すなわち立上げ時間tpを最小とする手段を提示する。
シリンジポンプ50からの塗布液供給速度は、圧力計48で検知される圧力と比例する。すなわち、圧力計48で圧力を測定することは、シリンジポンプ50からの塗布液供給速度を測定することと同義である。図6はピストン54の機械動作速度と、そのときに測定した圧力の時間線図である。図6では、シリンジポンプ50から所望の塗布液供給速度をえるようにシリンジポンプ50のピストン54の上昇動作速度、すなわち機械動作速度Vpiを求め、一定の立上げ時間tpiでピストン54を駆動している。この時にシリンジポンプ50から供給される塗布液により発生する圧力波形は、圧力計48で測定されるが、ピストン54の機械動作速度波形と対応していない。すなわち、ピストン54は時間tpiで予め定めた一定速度Vsiに達しているのに対して、圧力、すなわち、実際の塗布液供給速度はそれよりも長い時間tprにて一定値Pに到達している。いいかえると、ピストン54の立上げ時間tpiよりも圧力の立上げ時間tprの方が長くなっている。これはシリンジポンプ50から塗布液が、ピストン54の動作速度に対応した塗布液供給速度で送りだされても、シリンジポンプ50からダイ20の間にある樹脂製チューブよりなる供給ホース60の内圧による変形や、混入したエアーの圧縮変形等で、塗布液がそこに蓄積され、一時的にダイ20に塗布液が供給されなくなり、遅れが生じるためである。
そのために本発明の塗布方法では、あらかじめ塗布のときと同じ条件でシリンジポンプ50からダイ20に塗布液を供給して、圧力計48で圧力を測定し、その圧力波形が所望の形状となるようにピストン54の動作条件を定める。
ここで、所望の圧力波形の形状とは、塗布開始から圧力があらかじめ定めた立上げ時間にて立ち上がっている、すなわち所定の圧力値に到達するものである。圧力の立上げ時間tprは、ステージ6の立上げ時間tsと同じにするか、それよりも短くする。これは図2より、圧力すなわちシリンジポンプ50からの塗布液供給速度の立上げ時間tpを基板A、すなわちステージ6の立上げ時間tsよりも短くしていると、目標膜厚THに到達する時間は、ステージ6の立上げ時間よりも長くならない、すなわち不良膜厚区間を最小にできるためである。
圧力計48により測定した圧力波形が所望の形状となるようにピストン54の動作条件を定める方法を図3を用いて説明する。
まず、シリンジポンプ50のピストン54を実際の塗布と同じ条件、すなわち図3(a)に破線で示すように、立上げ時間tpi、到達速度Vpi2にて動作させて、破線のように圧力波形が測定されたとする。圧力はピストン54の機械動作速度tpiよりもはるかに長い時間tpr1で立ち上がっている。そこで、ピストン54の動作速度を、実線で示すように、立上げ時間tpiよりも短い時間間隔t1、t2ごとにピストン54が速度Vpi1、Vpi2に達するようにし、しかもわざとオーバーシュートするようにVpi1>Vpi2にして、圧力が短い時間で立ち上がるようにする。ここでVpi2は目標とする膜厚をえるためのピストン54機械動作速度である。この実線で示すピストン54の動作により、圧力は実線のように目標立上げ時間tpiで立上がり、所望のものとなる。また、図3(b)の破線で示すように、シリンジポンプ50のピストン54機械動作速度を時間tpiで立ち上げると、圧力がオーバーシュートして、ピストン54の機械動作速度tpiよりも長い時間tpr1で立ち上がっている時は、実線で示すように、時間間隔t1、t2ごとにピストン54の機械動作速度Vpi1、Vpi2に達するようする。しかもわざとアンダーシュートするようにVpi1<Vpi2として、圧力のオーバーシュートと相殺するようにする。これによって、圧力は実線のように目標立上げ時間tpiで立ち上がり、所望のものとなる。
なお、図3では、時間間隔はt1、t2、到達速度ともVpi1、Vpi2の2つの組合せしか示していないが、どちらも2を越える値であってもよい。また時間間隔は同じでも、異なっていてもどちらでもよいが、調整の簡便さから、時間間隔は2個にし、それぞれ同じ値にするのが好ましい。時間間隔の実際の大きさとしては、立上げを短くして不良膜厚領域を少なくすることから、好ましくは20〜300ms、より好ましくは50〜200msである。さらにアンダーシュートを補正する場合は、Vpi1/Vpi2が好ましくは1.01〜5、より好ましくは1.1〜3であり、オーバーシュートを補正する場合は、Vpi2/Vpi1が好ましくは1.01〜5、より好ましくは1.1〜3である。なおピストン54の機械動作速度Vpi1、Vpi2は、膜厚TH1、TH2を与えてそれから換算することで、導出してもよい。
さらに図7の実線で示すように、シリンジポンプ50のピストン54機械動作速度を立上げ時間tpiで立ち上げると圧力がオーバーシュートして、一定に達するまでのtpiよりも長い時間tpr1を要する時は、絞りバルブ47のオリフィスの開度を適度に小さくする、すなわちオリフィスの形状を小さくして、シリンジポンプ50に作用する圧力をP1から高くしてP2にすることでも対処することができる。これによって、図7の破線で示すように圧力のオーバーシュートをなくして、ピストン54機械動作速度Vpiの立上げ時間tpiと同じ短い時間で圧力を一定値P2まで立ち上げることができる。圧力が時間tpiで一定値P2に到達するということはシリンジポンプ54からダイ20への塗布液供給速度もそれと同じ時間tpiで一定値に到達して立ち上がることを意味する。絞りバルブ47でこのような調整、すなわち制御が可能なのは、絞りバルブ47のオリフィス開度減少により圧力が大きくなることで、樹脂製チューブよりなる供給ホース60、供給バルブ42、吸引バルブ44、シリンジポンプ50等の塗布液接液部に存在する弾性変形要素が変形してバッファーの役目を果たし、変形分だけ塗布液が蓄積されることにより圧力の上昇速度が緩和される効果による。絞りバルブ47を使用して圧力のオーバーシュートを解消する場合は、圧力計47で圧力波形を確認しながら、絞りバルブ47のオリフィスの開度を適正に調整することがポイントとなる。
次に、以上の塗布方法をダイコータ1での枚葉塗布に適用するときの塗布方法について詳述する。
まず、ダイコータ1の各動作部の原点復帰が行われると、各移動部はスタンバイ位置に移動する。すなわち、ステージ6は図1の左端部(破線で示す位置)、ダイ20は最上部に移動するとともに、拭き取りユニット90はトレイ100がダイ20の下部位置にくるよう移動する。ここで、タンク64〜ダイ20まで塗布液66はすでに充満されており、ダイ20内部の残留エアーを排出する作業も既に終了している。このときの塗布液供給装置40の状態は、シリンジ52に塗布液66が充填、吸引バルブ44は閉、供給バルブ42は開、そしてピストン54は最下端の位置にあり、いつでも塗布液66をダイ20に供給できるようになっている。この状態で塗布の時と同じ機械動作速度でシリンジポンプ50のピストン54を上昇させて、塗布液66をダイ20に供給してダイ20からトレイ100に向かって吐出するとともに、圧力計48で圧力を測定する。そして測定した圧力の立上げ時間tpが所定の値となるように、図3の実線のようなピストン54の立上げ機械動作速度を定める。このピストン54の最適な立上げ機械動作速度が求まるまでは、シリンジポンプ50への塗布液66充填、塗布液66のダイ20への供給を繰り返す。
以上の準備動作が完了してから、ステージ6の表面に図示しないリフトピンを上昇させ、図示しないローダから基板Aがリフトピン上部に載置される。次にリフトピンを下降させて基板Aをステージ6上面に載置し、同時に吸着保持する。これと並行して塗布液供給装置40を稼働させて少量の塗布液66をトレイ100に向かって吐出後、拭き取りヘッド92をダイ20の吐出口34の真下の位置にくるよう拭き取りユニット90を移動させる。そして、ダイ20を下降させてダイ20の吐出口面36を拭き取りヘッド92に係合後、拭き取りヘッドをダイ20長手方向に摺動させて、ダイ20の吐出口34付近をダイ長手方向にわたって、清掃する。清掃完了後、拭き取りユニット90はもとの場所(図1の右端)に復帰する。
拭き取りユニット90が基台2の右端部に移動したのを確認したら、基板Aを載置したステージ6を移動開始する。このとき、ダイ20は、塗布が行われる位置よりもはるか上方にある拭き取り位置にあり、一方シリンジポンプ50は停止して、待機している。そして基板Aが厚さセンサー120下を通過するときに基板厚さを測定し、基板Aの塗布開始部がダイ20の吐出口34の真下に達したら、ステージ6を停止させる。このとき、測定した基板Aの厚さデータを用い、上下昇降ユニット70を駆動して、ダイ20の吐出口面36と基板A間のすきま、すなわちクリアランスがあらかじめ定めた値になるようダイ20を下降させる。そしてシリンジポンプ50を、あらかじめ最適化したピストン54の立上げ機械動作速度にて駆動して、ダイ20から塗布液66を吐出開始する。そして待機時間t秒後に、ビードが所定の大きさに成長してから、ステージ6を所定の立上げ時間tsと速度Vsで移動開始し、塗布液66の基板Aへの塗布を始めて、塗布膜Cを形成する。ここで待機時間tの大きさを変えることで、塗布開始部の膜厚プロファイルを調整することができる。
そして、基板Aの塗布終了位置より少し手前のがダイ20の吐出口34の位置にきたら、ピストン54を停止させて塗布液66の供給を停止する。このときステージ6は塗布のときと同じ速度で移動し続けているので、ダイ20の吐出口面と基板Aとの間に残存している塗布液の一部が塗布終了位置まで、ステージ6上の基板Aの移動に伴い基板Aに転写される。そして、基板Aの塗布終了位置がダイ20の吐出口34の真下に来たときに、上下昇降ユニット70を駆動して、ダイ20を上昇させる。これによって基板Aとダイ20の間に形成されたビードが断ち切られ、塗布が終了する。
その間もステージ6は動作を継続し、終点位置にきたら停止し、基板Aの吸着を解除してリフトピンを上昇させて基板Aを持ち上げる。このとき、図示されないアンローダによって基板Aの下面が保持され、次の工程に基板Aを搬送する。基板Aをアンローダに受け渡したら、ステージ6はリフトピンを下降させ原点位置に復帰する。ステージ6の原点位置復帰後、拭き取りユニット90を、トレイ100がダイ20の吐出口34の下部に配置するよう移動させる。
その後シリンジポンプ50を作動させて、10〜500μLの少量の塗布液をダイ20に送り込み、ダイ20内部に残存する空隙部を塗布液で満たす。
完了後、吸引バルブ44を開、供給バルブ42を閉として、ピストン54を下降させて、塗布液66をシリンジ52内に充填する。充填完了後、ピストン54を停止させ、吸引バルブ44を閉、供給バルブ42を開として、次の基板Aが来るのを待ち、同じ動作をくりかえす。
なお、所望の圧力波形形状をえるために、圧力、ピストン54の機械動作速度、シリンジポンプ50の塗布液供給速度の立上げ時間は、好ましくは40〜500msec、より好ましくは100〜300msecとする。また上記の態様例では、立上げ時間は、ゼロから所定の値に到達するまでの時間としたが、ゼロから所定の値を含む範囲内に到達するまでの時間としてもよい。ここでの範囲とは所定の値の好ましくは0.5〜10%、より好ましくは1〜5%である。
なお、本発明の方法、装置に適用できる塗布液としては粘度が1〜50mPaSであることが重要であり、ニュートニアンであることが塗布性から好ましいが、チキソ性を有する塗液にも適用できる。とりわけ溶剤に揮発性の高いもの、たとえばPGMEA、酢酸ブチル、乳酸エチル等を使用している塗布液を塗布するときに有効である。具体的に適用できる塗布液の例としては、上記にあげたカラーフィルター用のブラックマトリックス、色画素形成用塗布液の他、レジスト液、オーバーコート材等がある。基板である被塗布部材としてはガラスの他にアルミ等の金属板、セラミック板、シリコンウェハー等を用いてもよい。さらに使用する塗布状態と塗布速度が0.1m/分〜10m/分、より好ましくは0.5m/分〜6m/分、ダイのリップ間隙は50〜1000μm、より好ましくは80〜200μm、塗布厚さがウェット状態で1〜50μm、より好ましくは2〜20μmである。
実施例1
370×470mmで厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板を洗浄後に、ダイコータ1を用いて塗布をした。ダイは吐出口の長手方向長さが370mm、吐出口面の塗布方向長さが0.5mm、スリットの間隙が100μmで、基板に370mm幅の塗布膜が形成できるものであり、塗布速度は100mm/sにした。シリンジポンプ50にはシリンジ内径がφ16mmのものを用いた。また塗布液は液晶TFTの製造の用いられるポジレジストで、固形分濃度23%、粘度が10mPaSであった。シリンジポンプ50のピストン52の動作速度は、真空乾燥後の厚さが1.5μmになるように、1.2mm/sに設定した。そして、まず、ダイ20を停止している基板の塗布開始部に近接させ、ダイ20の吐出口面36と基板との間のすきまであるクリアランスを100μmにした。クリアランス設定後にピストン54を1.2mm/sで動作開始した。そしてピストン動作開始から待機時間t=0.1秒後にステージ6の動作も開始して塗布を行い、基板端(塗布開始位置)から465mmのガラス基板の位置にダイ20の吐出口34がきたときに、シリンジポンプ50を停止した。その後、基板端から470mmのガラス基板位置が吐出口34の真下に来たところで、ダイ20を塗布終了のために引き上げた。以上の塗布後に、27秒で到達真空度65Paの真空乾燥を行った。そして塗布方向の膜厚分布を、光干渉式の膜厚計で測定し、図4に破線で示す膜厚分布を得た。このときの膜厚精度Uを、端部10mmを除く領域でU=(最大値−最小値)/(2×平均値)で求め、3.4%の値を得た。目標が3%未満であり、膜厚分布を見ると図4の破線のように、塗布開始部がかなりのアンダーシュートとなった。圧力計48で塗布開始時の圧力を測定したところ、図5(a)の破線に示すように、開始部は膜厚分布と同様なアンダーシュートとなった。シリンジポンプ50のピストンの動作速度は、図5(b)の破線に示すように制御していたが、圧力の開始部アンダーシュートを解消するために、図5(b)の実線のように、ピストン速度を、動作開始から0.1秒後に、目標膜厚塗布時のピストン速度1.2mm/sに対して1.5倍の大きさである1.8mm/sに、さらにその0.1秒後に目標膜厚塗布時のピストン速度である1.2mm/sになるよう調整した。まず圧力を測定したところ、図5(a)の実線のようになり、アンダーシュートは解消された。同じピストン動作速度パターンで再度塗布を行い、真空乾燥後に膜厚分布を実施例1と同様に測定したところ、図4の実線に示すものとなり、アンダーシュートが解消されているとともに、膜厚精度Uも端部10mm除外で2.5%となり、目標の3%以下を達成した。
実施例2
ダイコータ1を用いてカラーフィルターを製造した。
ダイは、吐出口の長手方向長さが360mm、吐出口面の塗布方向長さが0.5mm、スリットの間隙が100μmで、基板に360mm幅の塗布膜が形成できるものであった。
まず、360×465mmで厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板を洗浄後に、ブラックマトリックス塗布液を厚さ10μm、ダイと基板との間のクリアランス100μmで3m/分にて塗布した。塗布はダイの吐出口付近を吐出口形状と同じ形状のシリコンゴムで拭き取ってから、ダイを停止している基板の塗布開始部に100μmのクリアランスで近接させ、ウェット厚さ10μmに相当する塗布液をシリンジポンプから送液し、ポンプ送液開始後0.08秒後に基板Aの移動を開始することで行った。なお、事前に塗布と同じ条件でシリンジポンプから塗布液をダイに供給して圧力計48で圧力を測定したところ10kPaであり、さらに吐出開始部で圧力のオーバーシュートが認められたので、絞りバルブ47のオリフィスの開度を小さくして圧力が100kPaになるようにした。これによって圧力のオーバーシュートを解消され、圧力が0.2秒で一定値に達するのを確認できたので、製品への塗布を開始した。なお、塗布の終了のために、ダイが塗布終了位置から5mmの位置に達したときにシリンジポンプからの塗布液吐出を終了し、塗布終了位置に達したときにダイを3m/分の速度で上昇させることもあわせて行った。なお、このとき、塗布したブラックマトリックス塗布液には、チタン酸窒化物を遮光材、アクリル樹脂をバインダー、PGMEAを溶剤にそれぞれ用い、固形分濃度を10%、粘度を10mPaSに調整した感光性のものを用いた。なお、塗布のタクトタイムは30秒であった。さて、塗布した基板は30秒で65Paに到達する真空乾燥を60秒行ってから、100℃のホットプレートで10分間さらに乾燥した。ついで露光・現像・剥離を行った後、260度のホットプレートで30分加熱して、キュアを行い、基板の幅方向にピッチが254μm、基板の長手方向にピッチが85μm、線幅が20μm、RGB画素数が4800(基板長手方向)×1200(基板幅方向)、対角の長さが20インチ(基板幅方向に305mm、基板長手方向に406mm)となる格子形状で、厚さが1μmとなるブラックマトリックス膜を作成した。なお、1枚目に塗布した基板の格子模様形成前の状態で塗布厚さを測定したところ、端部の10mmを除いて、基板走行方向、幅方向とも±3%以下のむらであった。
次にウェット洗浄後、R色用塗布液を厚さ20μm、ダイと基板との間のクリアランス100μm、吐出速度360mCC/s、ステージ移動速度3m/分にて塗布した。R色用塗布液はアクリル樹脂をバインダー、PGMEAを溶媒、ピグメントレッド177を顔料にして固形分濃度10%で混合し、さらに粘度を5mPaSに調整した感光性のものであった。塗布した基板は、30秒で65Paに到達する真空乾燥を60秒行ってから、90℃のホットプレートで10分間さらに乾燥した。ついで露光・現像・剥離を行って、R画素部にのみ厚さ2μmのR色塗膜を残し、260度のホットプレートで30分加熱して、キュアを行なった。続いてブラックマトリックス、R色の塗膜を形成した基板に、G色用塗布液を厚さ20μm、ダイと基板との間のクリアランス100μm、吐出速度360mCC/s、ステージ移動速度3m/分にて塗布後、30秒で65Paに到達する真空乾燥を60秒行ってから、100℃のホットプレートで10分間さらに乾燥した。次いで、露光・現像・剥離を行って、G色画素部にのみ厚さ2μmのG色塗膜を残し、260度のホットプレートで30分加熱して、キュアを行なった。さらにブラックマトリックス、R色、G色の塗膜を形成した基板に、B色用塗布液を厚さ20μm、ダイと基板との間のクリアランス100μm、ポンプの吐出速度360mCC/s、ステージ移動速度3m/分にて塗布し、30秒で65Paに到達する真空乾燥を60秒行ってから、100℃のホットプレートで10分間さらに乾燥した。ついで露光・現像・剥離を行って、B色画素部にのみ厚さ2μmのB色塗膜を残し、260度のホットプレートで30分加熱して、キュアを行なった。なお、G色用塗布液はR色用塗布液で顔料をピグメントグリーン36にして固形分濃度10%で粘度を10mPaSに調整したもの、B色用塗布液にはR色用塗布液で顔料をピグメントブルー15にして固形分濃度10%で粘度を10mPaSに調整したものであった。R、G、B色塗布液の塗布はいずれも、ダイの吐出口付近をシリコンゴムで拭き取ってから、ダイを停止している基板の塗布開始部に100μmのクリアランスで近接させ、ウェット厚さ20μmに相当する塗布液をシリンジポンプから送液し、ポンプ送液開始後0.13秒後に基板Aの移動を開始することで行った。またいずれも塗布液の吐出は塗布終了位置から6mm手前で終了し、塗布終了位置にてダイを上昇させ塗布を終了した。塗布のタクトタイムは30秒であった。なお、塗布品位は申し分のないものであった。膜厚分布についても乾燥後、各色とも測定したところ、端部10mmを除外して塗布方向、幅方向とも±3%以下の変動しかなく、良好であった。
そして最後にITOをスパッタリングで付着させた。この製造方法にて、1000枚のカラーフィルターを作成した。得られたカラーフィルターは、塗布むらがなく、色度も基板全面にわたって均一で、品質的に申し分ないものであった。
この発明は、例えばカラー液晶ディスプレイ用カラーフィルタやTFT用アレイ基板、光学フィルタ、プリント基板、集積回路、半導体等の製造分野で、ガラス基板などの被塗布部材表面に塗布液を吐出しながら塗膜を形成する際に、より高精度の膜厚分布をえるための調整を行うときに大いに利用されうる。またこのような高精度の膜厚分布が必要なカラーフィルタやTFT用アレイ基板等のディスプレイ用部材の製造に用いられる。
本発明の一実施例のダイコータ1を概略的に示した概略正面断面図である。 本発明の一実施例での膜厚とシリンジポンプ塗布液供給速度と基板A移動速度との関係を示す時間線図である。 本発明の一実施例での塗布開始部での圧力とピストン機械動作速度との関係を示す時間線図である。 本発明の一実施例での基板位置に対する膜厚分布を示す線図である。 本発明の一実施例での圧力とピストン機械動作速度の時間線図である。 本発明の他の一実施例での圧力とピストン機械動作速度の時間線図である。 本発明のさらに他の一実施例での圧力とピストン機械動作速度の時間線図である。
符号の説明
1 ダイコータ
2 基台
4 ガイドレール
6 ステージ
10 支柱
20 ダイ(塗布器)
22 フロントリップ
24 リアリップ
26 マニホールド
28 スリット
32 シム
34 吐出口
36 吐出口面
40 塗布液供給装置
42 供給バルブ
44 吸引バルブ
46 フィルター
47 絞りバルブ
48 圧力計
50 シリンジポンプ
52 シリンジ
54 ピストン
56 本体
60 供給ホース
62 吸引ホース
64 タンク
66 塗布液
68 圧空源
70 上下昇降ユニット
72 モータ
74 ガイド
78 昇降台
80 吊り下げ保持台
90 拭き取りユニット
92 拭き取りヘッド
94 ブラケット
96 スライダー
98 駆動ユニット
100 トレイ
102 台車
120 厚さセンサー
122 支持台
130 制御装置
132 操作盤
A 基板(被塗布部材)
B ビード
C 塗布膜

Claims (3)

  1. 一方向に延びる吐出口を有する塗布器を被塗布部材に近接させ、定容量ポンプから塗布器に粘度が1〜50mPaSの塗布液を供給して被塗布部材に塗布器から塗布液を吐出するとともに、被塗布部材の塗布器に対する相対移動をして、被塗布部材上に塗膜を形成する塗布方法において、予め塗布時と同じ条件にて定容量ポンプから塗布器に至る経路中で塗布時の圧力を検知する予備試験を繰り返し、前記検知した圧力波形形状が所望の形状になるように、前記定容量ポンプの機械駆動部の動作速度を目標とする膜厚をえるための動作速度に達するよう立ち上げる時に、圧力波形の立上げ時間よりも短い任意の時間間隔ごとに、アンダーシュートする動作速度に達するように変化させて行うことで各パラメータを定めた後に、圧力を制御して実際の塗布をすることを特徴とする塗布方法。
  2. 塗布液を吐出するために一方向に延びる吐出口を有する塗布器と、塗布器に粘度が1〜50mPaSの塗布液を供給する定容量ポンプと、被塗布部材を保持する載置台と、前記塗布器および載置台のうちの少なくとも一方を相対的に移動させる移動手段と、塗布器を被塗布部材に近接させる近接手段とを備えて、被塗布部材に塗膜を形成する塗布装置であって、さらに定容量ポンプから塗布器に至る経路中に圧力検知器を設けるとともに、予備試験で予め塗布時と同じ条件にて該圧力検知器により検知した圧力波形形状を所望の形状になるように、前記定容量ポンプの機械駆動部の動作速度を目標とする膜厚をえるための動作速度に達するよう立ち上げる時に、圧力波形の立上げ時間よりも短い任意の時間間隔ごとに、アンダーシュートする動作速度に達するように変化させて行うことで各パラメータを定めて、実際の塗布の圧力を制御する圧力制御装置を備えたことを特徴とする塗布装置。
  3. 請求項1に記載の塗布方法を用いてディスプレイ用部材を製造することを特徴とするディスプレイ用部材の製造方法。
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