JP4294210B2 - レンズ研削加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼鏡フレームに枠入れするために未加工の眼鏡レンズを眼鏡フレームの玉型形状(フレーム形状、型板形状等)に倣って研削砥石により研削加工するためのレンズ研削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、眼鏡フレームに枠入れするために未加工の眼鏡レンズを眼鏡フレームの玉型形状に倣って研削砥石により研削加工するレンズ研削装置においては、眼鏡レンズを支持するレンズ回転軸を備えたキャリッジの回動支点を中心としてレンズ回転軸とは反対側に、眼鏡レンズに対して研削砥石の加工圧を調整する部材を設けたものが知られている(例えば、特開平10−249694号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来のレンズ研削装置は、単純にレンズ軸により挟持された眼鏡レンズを上から押さえつけるようにして研削砥石の加工圧を調整していたため、高精度なレンズ加工が実現できなかった。
【0004】
すなわち、従来では、一定の圧力で研削砥石に眼鏡レンズを押し付けながら研削加工しているが、この際の眼鏡レンズに対する研削砥石の接触状態を見ると、加圧方向からのずれ、眼鏡レンズ形状の変化による接触面積の違い、レンズ度数によるコバ幅違い等、加工条件は異なり、単位面積当たりの接触力を考えると、大きな差が出てしまう。これらの中で、レンズのコバ厚の変化による差は大きく、各部分で研削結果に大きな影響を及ぼしている。
【0005】
また、従来のレンズ研削加工装置では、キャリッジ回動支点を中心にしてレンズ回転軸とは反対側から研削加工に係る圧力の調整を行っているため、バランスがとりにくく、制御し難かった。その結果、レンズのコバ厚の微妙な変化に追従できず、精密で高精度なレンズ加工ができなかった。
【0006】
従って、より高精度な研削加工を求める時、レンズ素材は一品一葉で変化することと相俟って、上述した各状態(接触状態)に合わせて制御することが望ましい。
【0007】
そこで、本発明は、研削砥石に対する眼鏡レンズの接触圧をより細かく厳密に制御することができるレンズ研削加工方法及びレンズ研削加工装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、請求項1の発明は、一端部側が上方に傾斜した状態で一端部が上下回動するように他端部がキャリッジ旋回軸を介してベースに支持されたキャリッジと、前記キャリッジの一端部に設けられて眼鏡レンズを回転駆動可能に保持する一対のレンズ軸と、前記レンズ軸より下方に配設されていると共に回転駆動されて前記眼鏡レンズを研削加工させる研削砥石と、前記レンズ軸と前記研削砥石との軸間距離を調整する軸間距離調整手段と、前記眼鏡レンズのレンズ形状情報(θi,ρi)に対応するコバ厚を測定するコバ厚測定系と、前記コバ厚測定系の測定により得られるコバ厚情報及び前記眼鏡レンズの素材情報に基づいて前記眼鏡レンズの前記研削砥石への接触圧力を調整させる圧力調整手段と、前記軸間距離調整手段を前記レンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて制御して前記軸間距離を調整すると共に前記圧力調整手段を制御して前記眼鏡レンズの前記研削砥石への接触圧力を調整する制御回路と、を備えるレンズ研削加工装置において、
前記圧力調整手段は、前記キャリッジ旋回軸との距離が変化可能に前記キャリッジに保持された移動子と、前記キャリッジに軸線周りに回転可能に保持され且つ軸線周りの回転により前記移動子を軸線方向に進退させて前記移動子と前記キャリッジ旋回軸との距離を可変させるネジ軸と、前記ネジ軸に結合されて前記ネジ軸を軸線周りに回転駆動させる移動子変位用モータと、前記移動子と前記ベースとの間に介装されたスプリングと、を備えると共に、前記制御回路は前記移動子変位用モータを作動制御することにより、前記移動子とキャリッジ旋回軸との距離が可変するように前記移動子を移動させて前記眼鏡レンズの前記研削砥石への接触圧力を調整させることを特徴とするレンズ研削加工装置。
【0010】
請求項2に記載のレンズ研削加工装置は、請求項1に記載のレンズ研削加工装置において、前記圧力調整手段は前記キャリッジ旋回軸側から前記レンズ軸側に向けて前記キャリッジに固定されたガイドレールを備え、前記移動子は前記ガイドレール上を進退動して前記キャリッジ旋回軸側からの距離が変化するように前記ガイドレールに保持されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載のレンズ研削加工装置は、請求項1又は2に記載のレンズ研削加工装置において、前記圧力調整手段は、前記スプリングを前記移動子に接続する引っ張り紐と、前記スプリングの引張り力の作用方向の方向転換をするように前記引っ張り紐を支持する複数のプーリを備えることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
[構成]
図1において、1は眼鏡フレームFのレンズ枠形状やその型板或いは玉型モデル等から玉型形状データであるレンズ形状情報(θi,ρi)を読み取るフレーム形状測定装置(玉型形状データ測定装置)、2はフレーム形状測定装置から送信等によって入力された眼鏡フレームの玉型形状データ即ちレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて生地レンズ等から眼鏡レンズMLを研削加工するレンズ研削加工装置(玉摺機)である。尚、フレーム形状測定装置1には周知のものを用いることができるので、その詳細な構成やデータ測定方法等の説明は省略する。
【0016】
<レンズ研削加工装置2>
レンズ研削加工装置2は、図2〜図5に示すように、装置本体3の前面寄りに設けられた加工室4を開閉するカバー5を有する。また、レンズ研削加工装置2内には、図8に示すように、研削加工部10が設けられており、研削加工部10に固定の周壁11によって加工室4が形成されている。さらに、レンズ研削加工装置2は、研削加工部10の駆動系の制御操作やデータ設定操作を行う際に用いる第1及び第2の操作パネル6,7と、操作パネル6,7による操作状態等その他を表示する液晶表示器8とを備えている。
【0017】
(カバー5)
カバー5は、無色透明又は有色透明(例えば、グレー等の有色透明)の一枚のガラスや樹脂製のパネルから構成され、装置本体3の前後にスライドする。
【0018】
(操作パネル6)
操作パネル6は、図6(A)に示すように、眼鏡レンズMLを後述する一対のレンズ軸23,24によりクランプするための『クランプ』スイッチ6aと、眼鏡レンズMLの右眼用・左眼用の加工の指定や表示の切換え等を行う『左』スイッチ6b,『右』スイッチ6cと、砥石を左右方向に移動させる『砥石移動』スイッチ6d,6eと、眼鏡レンズMLの仕上加工が不十分である場合や試し摺りする場合の再仕上又は試し摺り加工するための『再仕上/試』スイッチ6fと、レンズ回転モード用の『レンズ回転』スイッチ6gと、ストップモード用の『ストップ』スイッチ6hとを備えている。
【0019】
これは、実際のレンズ加工に必要なスイッチ群を加工室4に近い位置に配置することで作業者の動作の負担を軽減するためである。
【0020】
(操作パネル7)
操作パネル7は、図6(B)に示すように、液晶表示器8の表示状態を切り換える『画面』スイッチ7aと、液晶表示器8に表示された加工に関する設定等を記憶する『メモリー』スイッチ7bと、レンズ形状情報(θi,ρi)を取り込むための『データ要求』スイッチ7cと、数値補正等に使用されるシーソー式の『−+』スイッチ7d(『−』スイッチと『+』スイッチとを別々に設けても良い)と、カーソル式ポインタ移動用の『▽』スイッチ7eとを液晶表示器8の側方に配置している。また、ファンクションキーF1〜F6が液晶表示器8の下方に配列されている。
【0021】
このファンクションキーF1〜F6は、眼鏡レンズMLの加工に関する設定時に使用されるほか、加工工程で液晶表示器8に表示されたメッセージに対する応答・選択用として用いられる。
【0022】
各ファンクションキーF1〜F6は、加工に関する設定時(レイアウト画面)においては、ファンクションキーF1はレンズ種類入力用、ファンクションキーF2は加工コース入力用、ファンクションキーF3はレンズ素材入力用、ファンクションキーF4はフレーム種類入力用、ファンクションキーF5は面取り加工種類入力用、ファンクションキーF6は鏡面加工入力用として用いられる。
【0023】
ファンクションキーF1で入力されるレンズ種類としては、『単焦点』、『眼科処方』、『累進』、『バイフォーカル』、『キャタラクト』、『ツボクリ』等がある。尚、『キャタラクト』とは、眼鏡業界では一般にプラスレンズで屈折度数が大きいものをいい、『ツボクリ』とは、マイナスレンズで屈折度数が大きいものをいう。
【0024】
ファンクションキーF2で入力される加工コースとしては、『オート』、『試し』、『モニター』、『枠替え』等がある。
【0025】
ファンクションキーF3で入力される被加工レンズの素材としては、『プラスチック』、『ハイインデックス』、『ガラス』、『ポリカーボネイト』、『アクリル』等がある。
【0026】
ファンクションキーF4で入力される眼鏡フレームFの種類としては、『メタル』、『セル』、『オプチル』、『平』、『溝掘り(細)』、『溝掘り(中)』、『溝掘り(太)』等がある。なお、この各『溝掘り』とは、ヤゲン加工の一種であるヤゲン溝を示す。
【0027】
ファンクションキーF5で入力される面取り加工種類としては、『なし』、『小』、『中』、『大』、『特殊』等がある。
【0028】
ファンクションキーF6で入力される鏡面加工としては、『なし』、『あり』、『面取部鏡面』等がある。
【0029】
尚、上述したファンクションキーF1〜F6のモードや種別或いは順序は特に限定されるものではない。また、後述する各タブTB1〜TB4の選択として、『レイアウト』、『加工中』、『加工済』、『メニュー』等を選択するためのファンクションキーを設けるなど、キー数も限定されるものではない。
【0030】
(液晶表示器8)
液晶表示器8は、『レイアウト』タブTB1、『加工中』タブTB2、『加工済』タブTB3、『メニュー』タブTB4によって切り替えられ、下方にはファンクションキーF1〜F6に対応したファンクション表示部H1〜H6を有する。尚、各タブTB1〜TB4の色は独立しており、後述する各エリアE1〜E4を除いた周囲の背景も各タブTB1〜TB4の選択切換と同時に各タブTB1〜TB4と同一の背景色に切り替わる。
【0031】
例えば、『レイアウト』タブTB1とそのタブTB1が付された表示画面全体(背景)は青色、『加工中』タブTB2とそのタブTB2が付された表示画面全体(背景)は緑色、『加工済』タブTB3とそのタブTB3が付された表示画面全体(背景)は赤色、『メニュー』タブTB4とそのタブTB4が付された表示画面全体(背景)は黄色で表示されている。
【0032】
このように、作業毎に色分けした各タブTB1〜TB4と周囲の背景とが同一色で表示されるので、作業者は現在どの作業中であるのかを容易に認識又は確認することができる。
【0033】
ファンクション表示部H1〜H6は、必要に応じたものが適宜表示され、非表示状態の時にはファンクションキーF1〜F6の機能に対応したものとは異なった図柄や数値、或いは、状態等を表示することができる。また、ファンクションキーF1〜F6を操作している際、例えば、ファンクションキーF1を操作している際には、そのファンクションキーF1をクリックする毎にモード等の表示が切り替わっても良い。例えば、ファンクションキーF1に対応する各モードの一覧を表示して(ポップアップ表示)選択操作を向上させることも可能である。また、ポップアップ表示中の一覧は、文字、図形又はアイコン等で表わされる。
【0034】
『レイアウト』タブTB1、『加工中』タブTB2、『加工済』タブTB3を選択した状態の時には、アイコン表示エリアE1、メッセージ表示エリアE2、数値表示エリアE3、状態表示エリアE4に区画した状態で表示される。また、『メニュー』タブTB4を選択した状態の時には、全体的に一つのメニュー表示エリアとして表示される。尚、『レイアウト』タブTB1を選択している状態の時には、『加工中』タブTB2と『加工済』タブTB3とを表示せず、レイアウト設定が終了した時点で表示しても良い。
【0035】
尚、上述したような液晶表示器8を用いてのレイアウト設定は、特願2000−287040号又は特願2000−290864号と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0036】
アイコン表示エリアE1に表示されるアイコンとしては、図7(A)に示すように、玉型形状データであるレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて眼鏡レンズMLのコバ厚形状を測定している状態を表わすアイコンA1と、眼鏡レンズMLのコバ端面に形成されるヤゲン形状をシミュレーションしている状態を表わすアイコンA2と、コバ端面を粗加工する状態を表わすアイコンA3と、コバ端面を仕上加工する状態を表わすアイコンA4と、コバ端面を鏡面加工する状態を表わすアイコンA5と、コバ端面をヤゲン溝掘り加工する状態を表わすアイコンA6と、コバ端面をヤゲン溝掘り・面取加工する状態を表わすアイコンA7と、コバ端面をヤゲン溝掘り・面取・鏡面加工する状態を表わすアイコンA8と、コバ端面をヤゲン加工する状態を表わすアイコンA9と、コバ端面をヤゲン・面取加工する状態を表わすアイコンA10と、コバ端面をヤゲン・面取・鏡面加工する状態を表わすアイコンA11と、眼鏡レンズMLの研削加工が終了したことを表わすアイコンA12とを備えている。なお、アイコンA3〜A11は、コバ端面を加工する状態を表わすアイコンの群となっており、装置本体3の機能等(例えば、鏡面加工手段の無い装置など)によって適宜のものが使用され得る。また、アイコンA1〜A12の図柄は、加工種類等の作業内容をオペレータが容易に認識し得る図柄であれば特に限定されるものではない。同様に、作業内容を文字化した表示としても良いし、図柄表示の各アイコンA1〜A12に添えて作業内容文字を表示しても良い。
【0037】
ところで、これらのアイコンA1〜A12は、レンズ研削作業毎に設けられており、その一連の進行状況をオペレータが識別できるように、各アイコンA1〜A12に1対1で対応すると共に一連の進行状況に応じて点灯表示していく複数カーソル(インジケータ)C1〜C12が『加工中』タブTB2に設けられている。
【0038】
カーソルC1〜C12は、右眼レンズ進行状況表示用と左眼レンズ進行状況表示用とで上下2段にして別々に設けられているが、1段のみとして、右眼レンズ加工中か左眼レンズ加工中かの識別をするための表示を別途行うようにしても良い。
【0039】
尚、これらアイコンA1〜A12及びカーソル(インジケータ)C1〜C12は、作業者が設定していない加工については、その加工を視覚的象徴的に表現するアイコン及びそのアイコンA1〜A12に併設されたカーソル(インジケータ)C1〜C12を表示させないようにすることもできる。
【0040】
例えば、図7(B)に示すように、眼鏡レンズMLのコバ端面の加工をヤゲン溝掘り・面取加工とし、鏡面加工は行わない設定とした場合、鏡面加工用のアイコンA5並びにヤゲン(山)加工に関するアイコンA8〜A11の表示色を灰色や白抜き等の比較的認識し難い色や太さとし(図面上では細線で表示)、実際に加工を行う他のアイコンA1〜A4、並びにアイコンA6,A7,A12の表示色をレイアウト背景色と同色若しくは他の明るい比較的認識し易い色や太さとする(図面上では太線で表示)ことによって設定状況の確認を容易としている。同様に、加工を行わないアイコンA8〜A11に対応するカーソルC5並びにカーソルC8〜C11は表示させないことでより認識性を向上させている。尚、アイコン表示と同様に、カーソルC5,C8〜C11の枠の太さを他のカーソルC1〜C4、並びにカーソルC6,C7,C12の枠の太さよりも細く表示することも可能である。尚、これらアイコンA1〜A12とカーソル(インジケータ)C1〜C12の設定環境並びに使用環境におけるより詳細な表示例は特願2000−290864号と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0041】
メッセージ表示エリアE2には、各種エラーメッセージや警告メッセージなどが状態に応じて表示される。尚、装置内部品等の破損や被加工レンズの破損等の虞がある場合の警告メッセージなどの場合には、オペレータが認識し易いようにメッセージ表示エリアE2以外のエリアにはみ出して表示上で重畳させることも可能である。
【0042】
数値表示エリアE3には、レイアウトデータの入力時には、眼鏡フレームの左右レンズ枠の幾何学中心間距離(FPD値)、眼鏡装用者眼の瞳孔間距離(PD値)、FPD値とPD値との差である寄せ量の鉛直方向成分UP値(又はHlp値)、加工サイズ調整の各項目等が表示される。また、初期設定時には、上述したFPD,PD,UP,サイズの他に加工レンズの吸着中心が表示される。さらに、モニターデータ入力時には、眼鏡レンズMLの二次加工的な面取り加工や鏡面加工に関わる寸法関係の数値が表示される。
【0043】
状態表示エリアE4には、右眼用及び左眼用の眼鏡レンズMLのレイアウト画像や眼鏡レンズMLの最大、最小、最大及び最小以外の中間(任意)コバ周縁に形成されるヤゲン形状、コバ周縁を側面から見たレンズ側面形状等や、現実の加工状態に即した模式図等が表示される。
【0044】
尚、以下、レイアウト時の液晶表示器8の表示状態としての、システム起動直後・データ要求直後・レイアウト設定終了・各コース選択等、或いは、加工時の液晶表示器8の表示状態としての、コバ厚確認・右眼レンズ加工中及び終了・左眼レンズ加工中等、更に、加工済み後の液晶表示器8の表示状態としての確認・データ保存、研削加工中におけるエラー・アイコンとカーソル・溝掘り加工及び面取加工・試し摺り・加工追加再仕上げ等の表示や操作等においても、特願2000−287040号又は特願2000−290864号と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
<研削加工部10>
研削加工部10は、図8,図9に示すように、装置本体3に固定のトレイ12と、このトレイ12上に配置された略L字形状のベース13と、トレイ12に固定されたベース駆動モータ14と、トレイ12から立ち上げられた支持部12aに先端が回転可能に支持されたベース駆動モータ14のネジ軸15とを備えている。また、研削加工部10は、眼鏡レンズMLの回転駆動系16と、眼鏡レンズMLの研削系17と、眼鏡レンズMLのコバ厚測定系18を駆動系として備えている。
【0046】
(ベース13)
ベース13は、各両端が装置本体3に固定された一対の平行ガイドバー19,20にその軸線方向に沿って進退動可能に軸支されている。また、図9に示したようにベース13上にはキャリッジ22が配設されている。このキャリッジ22は、図9から明らかなように、分岐するアーム部22a,22bから一端側(又は一端部側)が二股形状に形成されていると共に、他端側の連設部(符号省略)に突部22cが他端部として設けられている。しかも、このキャリッジ22の他端部側の突部22cは、後述するようにしてキャリッジ旋回軸21を介してベース13に回動可能に支持されている。このキャリッジ22は、眼鏡レンズMLを同軸上で挟持する一対のレンズ軸23,24を備えている。このレンズ軸23,24は、軸線周りに回動可能にアーム部22a,22bの一端部に取り付けられている。また、ベース13には、ネジ軸15と係合するガイド部13aが一体に形成され、ベース駆動モータ14の回転によってネジ軸15に係合されるガイド部13aが進退動することによって一対の平行ガイドバー19,20に案内されつつその軸線方向に沿って変位する。
【0047】
(回転駆動系16)
回転駆動系16は、レンズ軸駆動用モータ25と、このレンズ軸駆動用モータ25の出力軸25aの先端に設けられて一方のレンズ軸23に形成された従動ギヤ(図示せず)と噛み合うことによってこのレンズ軸23を回転させる駆動ギヤ26と、一方のレンズ軸23の基部に固定されたプーリ27と、プーリ27の回転が伝達される伝達軸部28と、他方のレンズ軸24の基部に固定されたプーリ29とを備えている。
【0048】
伝達軸部28は、両端に伝達プーリ28a,28bを固定すると共にレンズ軸23,24と平行な伝達軸28cと、プーリ27と伝達プーリ28aとの間に設けられた駆動側ベルト28dと、プーリ29と伝達プーリ28bとの間に設けられた従動側ベルト28eとを備えている。
【0049】
レンズ軸駆動用モータ25の駆動によって駆動ギヤ26が回転すると、この回転によってレンズ軸23がプーリ27と一体に回転され、この回転が駆動側ベルト28dを介して伝達プーリ28aに伝達されると同時に伝達軸28cと伝達プーリ28bとが一体に回転され、伝達プーリ28bの回転が従動側ベルト28eを介してレンズ軸24に伝達されてレンズ軸23と同期して一体回転する。
【0050】
(研削系17)
研削系17は、トレイ12に固定された砥石駆動モータ30と、砥石駆動モータ30の駆動がベルト31を介して伝達される伝達軸32と、伝達軸32の回転が伝達される砥石軸部33と、図10から明らかなようにレンズ軸23,24より下方に眼鏡レンズ研削のために配設され且つ砥石軸部33に固定された研削砥石35と、装置本体3に固定された回動アーム駆動モータ36と、この出力軸に固定されたウォームギヤ36aにより回転駆動されるウォームホイールを備えたアーム回転軸37と、アーム回転軸部37に一体的に固着された回動アーム38と、回動アーム38から突出された回転軸39に固定された溝掘砥石40とを備えている。
【0051】
回転軸39は、回動アーム38に配設されたプーリ・ベルト駆動に回転される。アーム回転軸部37には、その内部に図示されていない駆動モータを含む回転駆動系がアーム回動軸軸と同軸上に配設され、その駆動軸は回動アーム部まで延伸し、回転軸39を駆動するためのプーリ・ベルト駆動系のプーリを備えている。研削砥石35は、粗研削砥石、ヤゲン砥石、仕上砥石等を有する。
【0052】
(コバ厚測定系18)
コバ厚測定系18は、互いに対向状態で離間するフィーラ41a,41bを有する測定子41と、この測定子41を移動させると共にその移動量を測定する測定部42とを備え、一方のフィーラ41aが眼鏡レンズMLの表面又は裏面に当接した位置と、他方のフィーラ41bが眼鏡レンズMLの裏面又は表面に当接した位置とに基づいて眼鏡レンズMLのコバ厚を演算する。
【0053】
具体的には、一対のレンズ軸23,24をレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて角度θi毎に回転制御し、且つレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて軸間距離調整手段43を作動制御することにより、フィーラ41a,41bの眼鏡レンズMLへの当接位置を眼鏡レンズMLの動径ρiの位置に移動させて、一対のフィーラ41a,41b間の間隔を求めてレンズ形状情報(θi,ρi)におけるコバ厚Wiとしている。
【0054】
なお、フィーラ41は、支持軸41cに固着されている。41cは測定部42内部に、支持軸41c方向に進退動可能に軸支され、この移動量は測定部42に内蔵された読み取りセンサー(図示せず)により、読み取られる。
【0055】
フィーラ41a,41bに眼鏡レンズMLを接触させ、フィーラ41に連結された移動量読み取りセンサー(測定部42に内蔵)にて接触させるためには、ベース13をガイドバー19,20に沿って進退動させる駆動モータ14の制御により、本体13に固定されたコバ厚測定部18に対して眼鏡レンズMLを移動させ、フィーラ41a又はフィーラ41bが眼鏡レンズMLの前側屈折面又は後側屈折面にそれぞれ当接し、レンズが回転制御されている間、眼鏡レンズMLとフィーラ41が接触を保つ位置で固定した状態で測定を開始する。
【0056】
(その他の駆動系)
ところで、図10に示すように、一方のレンズ軸23にはキャリッジ22の一端が固定されている。また、一方のレンズ軸23と砥石軸部33との間隔(軸間距離)はレンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて軸間距離調整手段43によって調整される。
【0057】
[キャリッジ22]
また、図8に示したように、加工室4を形成する周壁11の対向する側壁11s、11s′には円弧状のガイド溝11a,11a′がそれぞれ形成されている。この周壁11とベース13との間には、上述したキャリッジ22が配設されている。このキャリッジ22は、図9に示したように、二股状の一端部22a,22bと、この一端部22a,22bの他端側を連設している連設部に設けられた他端部22cを有する。そして、キャリッジ22の一端部22a,22bには上述した同軸のレンズ軸23,24がそれぞれ保持され、キャリッジ22の他端部22cにはキャリッジ旋回軸21が回動自在に貫通している。このレンズ軸23,24は、周壁11に形成された円弧状のガイド溝11a,11a′に挿通されている。このような構成により、キャリッジ22は、図10から明らかなように、一端(図9の一端部22a,22b)側が上方に傾斜させられていると共に、この傾斜した状態で一端(図9の一端部22a,22b)がキャリッジ旋回軸21を中心に上下に回動するようになっている。しかも、キャリッジ22がキャリッジ旋回軸21を中心に回動すると、キャリッジ22の図9の一端部22a,22b及びレンズ軸23,24がキャリッジ旋回軸21を中心に上下に円弧回動して、このレンズ軸23,24が図8の円弧状のガイド溝11a,11a′に沿って上下に円弧回動するように案内されるようになっている。このレンズ軸23,24が円弧状の上下への円弧回動により、レンズ軸23,24間に保持された眼鏡レンズMLが研削砥石35に対して接近・離反するようになっている。尚、キャリッジ22は、眼鏡レンズMLの生地レンズ等のレンズ軸23,24への装着時並びに研削加工終了後の離脱時にはガイド溝11aの中間位置にあり、研削加工時には眼鏡レンズMLの研削加工量に応じて傾斜され、コバ厚測定動作時にはレンズ軸23,24側がガイド溝11aの上側方向に回動制御される。また、キャリッジ22のキャリッジ旋回軸21の近傍には、眼鏡レンズMLの研削砥石35への圧接量を調整する圧力調整部材45が設けられている。
【0058】
[圧力調整手段45]
圧力調整手段45は、図11に示すように、ネジ46によってキャリッジ22に固定されるブラケット47と、ブラケット47に固定された移動子変位用モータ48と、移動子変位用モータ48の出力軸に結合されたネジ軸48aを有する。これにより、ネジ軸48aは、移動子変位用モータ48により軸線周りに回転駆動されるようになっている。
しかも、ネジ軸48aは、ブラケット47に回転自在に係合(保持)されている。これにより、図11のネジ軸48aは、ブラケット47をキャリッジ22に固定することにより、図10に示したようにキャリッジ22に取り付けられ(保持され)ている。
また、圧力調整部材45は、ネジ軸48aと平行にブラケット47に保持されたガイドレール49と、このガイドレール49に軸線方向に案内移動可能に保持された移動子50を有する。
尚、ネジ軸48aは、図10から明らかなように、キャリッジ旋回軸21側の端部(図10では、下端部)からレンズ軸23,24側の端部(図10では上端部)側に向けて延びている。従って、キャリッジ旋回軸21やレンズ軸23,24とガイドレール49との配置関係の図示は省略したが、図11のガイドレール49もネジ軸48aと同様にキャリッジ旋回軸21側の端部(図10では、下端部)からレンズ軸23,24側の端部(図10では上端部)側に向けて延びることになる。
しかも、移動子変位用モータ48によりネジ軸48aを軸線周りに回転させると、ガイドレール49に案内される移動子50がネジ軸48aの回転によりネジ軸48a及びガイドレール49の軸線方向に進退動して、移動子50の位置が変化し、この移動子50とキャリッジ旋回軸21との距離が変化するようになっている。
更に、圧力調整部材45は、ベース13に回転可能に保持された3つのプーリ51,52,53と、一端が移動子50に固定された引張り紐55と、この引張り紐55の他端に一端が保持され且つ他端がベース13に固定されたスプリング54を備えている。尚、プーリ51,52,53は、スプリング54の引張り力によって移動子50をガイドレール49と略直交する方向から引っ張るように、スプリング54の引張り力の作用方向を方向転換するようになっている。
【0059】
圧力調整手段45は、移動子50のガイドレール49上の位置によってキャリッジ旋回軸21からの距離が可変し、その位置に応じてスプリング54の引っ張り力によるキャリッジ22の先端側における付勢力、即ち、レンズ軸23,24に挟持された眼鏡レンズMLの研削砥石35への付勢圧力が変化することを利用したものである。尚、ネジ軸48aとガイドレール49とはレンズ軸23とキャリッジ旋回軸21とに略直交する。
【0060】
従って、眼鏡レンズMLの研削砥石35への接触状態を、その加圧方向からのずれ、眼鏡レンズMLの形状の変化による接触面積の違い、レンズ度数よるコバ幅違い等の加工条件の変化に応じて移動子50のガイドレール49上の位置を変位させることで、スプリング54の引っ張り力が略同一であるにもかかわらず、単位面積当たりの接触力を調整することができる。
【0061】
尚、上述したように、キャリッジ22が眼鏡レンズMLの研削加工量に応じて中間位置から傾斜していることから、その傾斜側に圧力調整手段45が位置することは勿論である。また、キャリッジ22が傾斜している状態にあることから、移動子50を単なる重りとし、プーリ51,52,53、スプリング54、引っ張り紐55を廃止しても、キャリッジ22の先端側での付勢力に相当する作用力を変化させることが可能であることから、移動子50のガイドレール49上の位置に応じて眼鏡レンズMLの研削砥石35への当接圧力を調整することも可能である。
【0062】
[軸間距離調整手段43]
軸間距離調整手段43は、砥石軸部33と一直線上に位置する回転軸34に回動自在に設けたベース盤56と、ベース盤56に取り付けられてその上面から上方に延び且つその上面に対して直交した一対のガイドレール57と、ガイドレール57と平行且つ回動可能にベース盤56に設けられたスクリュー軸58と、ベース盤56の下面に設けられてスクリュー軸58を回転させるパルスモータ59と、スクリュー軸58の回転によりガイドレール57に沿って上下動する受台60(図8では便宜上図示省略)とを備えている。
【0063】
受台60は回転軸34の中心とレンズ軸23の中心とを結ぶ直線上に沿って上下動する。また、受台60はレンズ軸23を保持したレンズ軸ホルダー61を受けており、受台60がガイドレール57に沿って上下動(進退)することによりレンズ軸ホルダー61を介してキャリッジ22がキャリッジ旋回軸21を中心にして回動する。また、ガイドレール57の上端部には補強部材62が固定され、この補強部材62はスクリュー軸58の上端部を回動自在に保持している。
【0064】
(制御回路)
レンズ研削加工装置2は、図12に示すように、制御回路70を有する。この制御回路70は、第1のCPU(CPU−1)を備える第1の演算制御回路71を有すると共に、第2のCPU(CPU−2)を備え且つ第1の演算制御回路71に接続された第2の演算制御回路72を有する。
【0065】
この第1の演算制御回路71及び第2の演算制御回路72は、レンズ研削加工装置2のメイン電源をオンさせることによって作動制御が開始される。
【0066】
第1の演算制御回路71は、レンズコバ厚の測定中及びレンズ研削加工中にメモリからデータを読み出したり、レンズの加工のためのレイアウトの設定等を制御するために用いられる。また、第2の演算制御回路72は、コバ厚を測定した後に、レイアウト情報(加工条件)に基づいて被加工レンズの粗加工,ヤゲン加工,仕上加工のレンズ研削加工の流れを制御するのに用いられる。
【0067】
第1の演算制御回路71には、フレーム形状測定装置1、操作パネル6の各スイッチ6a〜6n、ファンクションキーF1〜F6で設定したデータを記憶する設定データメモリ73、液晶表示器8が接続されている。
【0068】
第2の演算制御回路72には、加工中のデータを記憶するための加工データメモリ74と、研削加工部10の各駆動モータを駆動制御させる制御回路75と、コバ厚測定手段における間隔測定手段76が接続されている。
【0069】
ファンクションキーF1〜F6の操作信号は、第1の演算制御回路71に入力される。液晶表示器8のファンクション表示部H1〜H6の表示に対応するファンクションキーF1〜F6を選択して押すことで、第1の演算制御回路71は選択されたファンクションキーF1〜F6に対応する表示内容に従って液晶表示器8の表示の一部又は全部の変更、モードの変更、作業の実行等を行う。また、第1の演算制御回路71は、液晶表示器8の状態表示エリアE4の表示状態を加工状態に応じて制御する。
【0070】
[制御回路の実施例2]
図13は、レンズ研削加工装置2の他の演算制御回路80を示す。
【0071】
CPUを有する演算制御回路80には、操作パネル6,記憶手段としてのROM81、記憶手段としてのデータメモリ82、RAM83が接続されていると共に、補正値メモリ84が接続されている。また、演算制御回路80には、表示用ドライバ85を介して液晶表示器8が接続され、パルスモータドライブ86を介して研削加工部10の各種駆動モータ(パルスモータ)87a…87nが接続されていると共に、通信ポート88を介して図1のフレーム形状測定装置1が接続されている。
【0072】
演算制御回路80は、加工制御開始後に、フレーム形状測定装置1からのデータ読み込みや、データメモリ82の記憶領域m1〜m8に記憶されたデータの読み込みがある場合には、図14に示すように、時分割による加工制御とデータの読み込みやレイアウト設定の制御を行う。
【0073】
即ち、時間t1,t2間の期間をT1、時間t2,t3間の期間をT2、時間t3,t4間の期間をT3、・・・、時間tn−1,tn間の期間をTnとすると、期間T1,T3…Tnの間で囲う制御が行われ、データの読み込みやレイアウト設定の制御を期間T2,T4…Tn−1の間に行う。従って、被加工レンズの研削加工中に、次の複数の玉型形状データの読み込み記憶や、データの読み出しとレイアウト設定(調整)等を行うことができ、データ処理の作業効率を格段に向上させることができる。
【0074】
ROM81にはレンズ研削加工装置2の動作制御のための種々のプログラムが記憶され、データメモリ82には複数のデータ記憶領域が設けられている。また、RAM83には、現在加工中の加工データを記憶する加工データ記憶領域82a、新たなデータを記憶する新データ記憶領域83b、フレームデータや加工済みデータ等を記憶するデータ記憶領域83cが設けられている。
【0075】
尚、データメモリ82には、読み書き可能なFEEPROM(フラッシュEEPROM)を用いることもできるし、メインの電源がオフされても内容が消えないようにしたバックアップ電源使用のRAMを用いることもできる。
【0076】
次に、この様な構成の演算制御回路80を有するレンズ研削加工装置の作用を説明する。
【0077】
スタート待機状態からメイン電源がオンされると、演算制御回路80はフレーム形状測定装置1からデータ読み込みがあるか否かを判断する。
【0078】
即ち、演算制御回路80は、操作パネル6の『データ要求』スイッチ7cが押されたか否かが判断される。そして、『データ要求』スイッチ7cが押されてデータ要求があれば、フレーム形状測定装置1からレンズ形状情報(θi,ρi)のデータをRAM83のデータ読み込み領域83bに読み込む。この読み込まれたデータは、データメモリ82の記憶領域m1〜m8のいずれかに記憶(記録)されると共に、レイアウト画面が液晶表示器8に表示される。
【0079】
また、『右』スイッチ6c又は『左』スイッチ6bが押されて加工開始命令があった場合には、パルスモータドライバ86を介して駆動モータ87a〜87nを作動制御して、加工制御を開始すると同時に演算制御回路80がコバ厚測定、ヤゲン設定、粗加工(ヤゲン加工を含む)、仕上加工を順次行なう。
【0080】
(加工圧制御)
加工圧制御(接触圧力制御)は、レンズ形状情報(θi,ρi)データの基づき、コバ厚測定により得られたコバ厚Wiと、操作者により入力されるレンズ素材情報とにより決定される。
【0081】
実際の加工では、レンズ素材により、最低限必要とされる加工力(加工圧力すなわち眼鏡レンズの研削砥石への接触圧力)があり。この加工力を素材別に、ρminG(ガラス用)、ρminC(CR−39用)、ρminH(ハイインデックスプラ用)、ρminP(ポリカーボネイト用)などの最低限必要な加工力を定める。また、これら素材の通常あり得るコバ厚さの最小をWminG(ガラス用)、WminC(CR−39用)、WminH(ハイインデックスプラ用)、WminP(ポリカーボネイト用)等と定める。
【0082】
これに対して、砥石駆動力の限界及び研削砥石の能力から、最大かけることのできる加工力が定まり、この加工力を素材別にρmaxG(ガラス用)、ρmaxC(CR−39用)、ρmaxH(ハイインデックスプラ用)、ρmaxP(ポリカーボネイト用)などと定める。
【0083】
例えば、CR−39素材について考えると、コバ厚はWminCよりは大きくWmaxCよりは小さい範囲で変化しており、この間で加工力をρminCからρmaxCの範囲で変化させることで、最大限に加工力をそれぞれのコバ厚に対応させることができる。
【0084】
Wiのポイントでの加工力をρiとすると、
ρi=[(ρmaxC−ρminC)/(WmaxC−WminC)]×(Wi−WminC)+ρminC
で求める値に変化させればよい。
【0085】
その他の動径に対しても、同様にWi+1はρi+1と対応させて、各動径に対応したコバ厚に応じて、加工力を求めて、その加工力となるように制御を実施する。
【0086】
次に、機械構成上は、圧力調整手段43におけるスプリング54の引っ張り力がキャリッジ22に作用する引っ張り力の作用点は移動子50であり、この作用点である移動子50はキャリッジ旋回軸21側からレンズ軸23,24に対して進退移動できる形になる。
【0087】
ここで、加工圧制御の原理についいて、図15を参照しつつ説明する。
L2=A2+C2−2・ACcosθ
cosθ=(A2+C2−L2)/2・AC
θ=arccos((A2+C2−L2)/2・AC) …(式1)
E=sqr(B2+(B−D)2・(tanξ)2) …(式2)
G2=F2+E2−2・FEcos(θ−arctan((B−D)tanξ/B)−β)
G=sqr(F2+E2−2・FEcos(θ−arctan((B−D)tanξ/B)−β)) …(式3)
(式2)を代入
G=sqr(F2+(B2+(B−D)2・(tanξ)2)−2・F・sqr(B2+(B−D)2・(tanξ)2)・cos(θ−atan((B−D)tanξ/B)−β))
G=sqr(F2+B2+(B−D)2・(tanξ)2−2・F・sqr(B2+(B−D)2・(tanξ)2)・cos(θ−arctan((B−D)tanξ/B)−β)) …(式3’)
F2=E2+G2−2・GEcosα
cosα=(E2+G2−F2)/2・GE …(式4)
(式2),(式3’)を代入
cosα=((B2+(B−D)2・(tanξ)2)+(F2+B2+(B−D)2・(tanξ)2−2・F・sqr(B2+(B−D)2・(tanξ)2)・cos(θ−arctan((B−D)tanξ/B)−β))−F2)/(2・sqr(F2+B2+(B−D)2・(tanξ)2−2・F・sqr(B2+(B−D)2・(tanξ)2)・cos(θ−arctan((B−D)tanξ/B)−β))・sqr(B2+(B−D)2・(tanξ)2))
α=arccos(((B2+(B−D)2・(tanξ)2)+(F2+B2+(B−D)2・(tanξ)2−2・F・sqr(B2+(B−D)2・(tanξ)2)・cos(θ−arctan((B−D)tanξ/B)−β))−F2)/(2・sqr(F2+B2+(B−D)2・(tanξ)2−2・F・sqr(B2+(B−D)2・(tanξ)2)・cos(θ−arctan((B−D)tanξ/B)−β))・sqr(B2+(B−D)2・(tanξ)2))) …(式4’)
キャリッジ42の重心にかかる重力に関するモーメントは、キャリッジ42の質量をW、重心の揺動半径をmとすると、Wcos(θ+η)・mとなる。スプリング54による引っ張り力から生じるモーメントは、スプリング54による引っ張り力をPとして求めると、
P=k・(G−G0)+P0
また揺動半径をBとすると、
Psin(α)・B
トータルのモーメントは
T=Wcos(θ+η)・m+Psin(α)・B
T=Wcos(θ+η)・m+k・(G−G0)+P0sin(α)・B
レンズ軸23,24上での等価力量は
H=T/C
H=(Wcos(θ+η)・m+(k・(G−G0)+P0)sin(α)・B)/C …(式5)
Hに数値を入れた時に、Bの値が求まるようにする。なお、W,mは定数であり、θはLの制御値により決定される。G0,P0は定数、kはばね定数、Gは(式3)から、Bの式に出来る。この時に、(式2)を使いEをBの式に変換する。
【0088】
αは、(式4)からBの式にする。この時に、(式2)、(式3)を使い、EとGをBの式に変換する。関係式から、変数は、B、L、Hであり、これをBに付いての式に変換できれば、L、Hを入力することで直接求める式となる。尚、式中のその他の記号は、すべて幾何学的又は機械的な固定値となるものである。まとめると、以下のようになる。
H・C=Wcos[arccos{(A2+C2−L2)/2・AC}+η]・m+[k・{sqr(F2+{B2+(B−D)2・(tanξ)2}−2・F・sqr{B2+(B−D)2・(tanξ)2}・cos[θ−arctan{(B−D)tanξ/B}−β])−G0}+P0]sin(arccos[{{B2+(B−D)2・(tanξ)2}+(F2+B2+(B−D)2・(tanξ)2−2・F・sqr{B2+(B−D)2・(tanξ)2}・cos[θ−arctan{(B−D)tanξ/B}−β])−F2}/{2・sqr(F2+B2+(B−D)2・(tanξ)2−2・F・sqr{B2+(B−D)2・(tanξ)2}・cos[θ−arctan{(B−D)tanξ/B}−β])・sqr{B2+(B−D)2・(tanξ)2}}])・B
このように、上記の各幾何学的な関係式と、重量、バネによるトルク関係式の合成により、軸間距離L、レンズ軸上の力量H(H=T/C)を入力することで加工圧制御機構の移動子50の揺動軸中心からの距離Bを直接求めることも考えられるが、関係式が複雑であり、また加工圧の制御として求められる精度が高くないと判断され、近似的な関係式を求め、B−H、L−Hの関係を求め、グラフ化することで、近時直線、又は曲線を定義し、加工圧制御の関係を定める。
【0089】
また、一次或いは二次程度の近似式に置き換えて利用することも可能である。コバ厚Wiと素材情報とにより定まるρiと、このρ1を基に機械的力学関係により定まる作用点位置への関係により、Siを定め、各動径位置に対して、加工圧制御がSiになるように制御する。
【0090】
動径変化に伴うコバ厚Wiの変化は、数倍の変化があるため、これに対応できるだけの機械制御系が必要であり、キャリッジ旋回軸21とレンズ軸23,24との間作用点を変化させるばね方式は、慣性も小さく、また、実際のばね力そのものに対抗する方向への制御とならないなどの利点がある。
【0091】
この中で説明される動径に対応したコバ厚Wiとは、その動径部分が研削砥石35と接触加工される部分のコバ厚を示しているのであって、レンズ回転制御により砥石中心とを結ぶ軸線に対応した位置のコバ厚を示すものではない。
【0092】
【発明の効果】
請求項1の発明は、以上説明したように構成したので、研削砥石に対する眼鏡レンズの接触圧力をより細かく厳密に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るレイアウト表示装置を備えるレンズ研削加工装置とフレーム形状測定装置との関係を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置のカバーを開けた状態の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るレンズ研削加工装置のカバーを開けた状態の平面図である。
【図6】(A)は第1の操作パネルの拡大説明図、(B)は液晶表示器の正面図である。
【図7】(A)はアイコンとカーソルとの関係を示す拡大説明図、(B)は加工状況に応じたアイコンとカーソルとの関係を示す拡大説明図である。
【図8】研削加工部の概略の斜視図である。
【図9】眼鏡レンズの回転駆動系並びにベースとの関係を示す斜視図である。
【図10】キャリッジと軸間距離調整手段との関係を示す側面図である。
【図11】圧力調整部材の平面図である。
【図12】レンズ研削加工装置の制御回路の一例の説明図である。
【図13】レンズ研削加工装置の制御回路の他例を示す説明図である。
【図14】制御回路の制御を説明するためのタイムチャートである。
【図15】加工圧制御の原理を説明するための説明図である。
【符号の説明】
ML…眼鏡レンズ
2…レンズ研削加工装置
35…研削砥石
23…レンズ軸
24…レンズ軸
44…キャリッジ旋回軸(他端回動支点)
42…キャリッジ
45…圧力調整部材
Claims (3)
- 一端部側が上方に傾斜した状態で一端部が上下回動するように他端部がキャリッジ旋回軸を介してベースに支持されたキャリッジと、前記キャリッジの一端部に設けられて眼鏡レンズを回転駆動可能に保持する一対のレンズ軸と、前記レンズ軸より下方に配設されていると共に回転駆動されて前記眼鏡レンズを研削加工させる研削砥石と、前記レンズ軸と前記研削砥石との軸間距離を調整する軸間距離調整手段と、前記眼鏡レンズのレンズ形状情報(θi,ρi)に対応するコバ厚を測定するコバ厚測定系と、前記コバ厚測定系の測定により得られるコバ厚情報及び前記眼鏡レンズの素材情報に基づいて前記眼鏡レンズの前記研削砥石への接触圧力を調整させる圧力調整手段と、前記軸間距離調整手段を前記レンズ形状情報(θi,ρi)に基づいて制御して前記軸間距離を調整すると共に前記圧力調整手段を制御して前記眼鏡レンズの前記研削砥石への接触圧力を調整する制御回路と、を備えるレンズ研削加工装置において、
前記圧力調整手段は、前記キャリッジ旋回軸との距離が変化可能に前記キャリッジに保持された移動子と、前記キャリッジに軸線周りに回転可能に保持され且つ軸線周りの回転により前記移動子を軸線方向に進退させて前記移動子と前記キャリッジ旋回軸との距離を可変させるネジ軸と、前記ネジ軸に結合されて前記ネジ軸を軸線周りに回転駆動させる移動子変位用モータと、前記移動子と前記ベースとの間に介装されたスプリングと、を備えると共に、前記制御回路は前記移動子変位用モータを作動制御することにより、前記移動子とキャリッジ旋回軸との距離が可変するように前記移動子を移動させて前記眼鏡レンズの前記研削砥石への接触圧力を調整させることを特徴とするレンズ研削加工装置。 - 請求項1に記載のレンズ研削加工装置において、前記圧力調整手段は前記キャリッジ旋回軸側から前記レンズ軸側に向けて前記キャリッジに固定されたガイドレールを備え、前記移動子は前記ガイドレール上を進退動して前記キャリッジ旋回軸側からの距離が変化するように前記ガイドレールに保持されていることを特徴とするレンズ研削加工装置。
- 請求項1又は2に記載のレンズ研削加工装置において、前記圧力調整手段は、前記スプリングを前記移動子に接続する引っ張り紐と、前記スプリングの引張り力の作用方向の方向転換をするように前記引っ張り紐を支持する複数のプーリを備えることを特徴とするレンズ研削加工装置。
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