JP4293778B2 - メカニカルシール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転する軸部のメカニカルシールに関し、特に混練装置などに用いられるメカニカルシールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のケーシング側壁を貫通してケーシング外に突出する軸部のメカニカルシールを用いる混練装置50は、図8乃至図9に示すとおり、混練材料を収納する混練槽(以下、「チャンバー51」という)と該チャンバー51の側壁52を貫通して対となるロータ駆動軸54を両端に備え、ロータ駆動軸54に連接され、チャンバー51内で混練材料を混練せしめるロータR、Rと、加圧蓋55よりなり、混練材料の混練に際しては、加圧蓋55を上部に開放した状態で混練材料を適宜手段でチャンバー51内に投入し、加圧蓋55を下方に下ろし、ロータ駆動軸54に連結したモータ等の駆動手段によりロータRを回転駆動することにより混練材料の混練を行うものである。
なお、対となるロータ駆動軸54はギヤ等の連結手段を用いることにより他方を従動軸としてもよい。
【0003】
メカニカルシール60は、側壁52のロータ駆動軸54の貫通孔近傍に設けた受け部材53に取り付けたパッキンガイド66に対し、先端全周にメカシールパッキン61を配設したパッキン押さえ62をボルト63を介して固定する。
【0004】
そして、ナット64を締め付けて、スプリング65のバネ力によって押圧し、メカシールパッキン61の外周面をパッキンガイド66の内周面に摺接させながら、メカシールパッキン61の端面を、ロータRの鍔部sに取り付けたウェアリングプレートw(以下、「パッキン受け部w」という)に押し当てることにより、チャンバー51内で混練される混練材料が外部に漏出することを防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、メカニカルシール60は、混練材料を変更する時、メカシールパッキン61やパッキン受け部w付近に付着する混練材料が変更する混練材料に混ざることを防止するため、また、ロータR、メカシールパッキン61、パッキン受け部wのメンテナンスや摩耗などによる交換作業時等に取り外す必要がある。
係る交換作業は、ナット64を緩め、スプリング65、パッキン押さえ62及び、パッキンガイド66の全てを取り外し、清掃あるいは交換後に再び組み付けるという多大な時間と手間を伴う作業である等の問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑み、メカシールパッキンの交換や混練材料変更時の清掃作業に要する時間と手間を大幅に低減することのできるメカニカルシールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のメカニカルシールは、ケーシング側壁を貫通してケーシング外に突出する軸部のメカニカルシールにおいて、軸に配設したリング状のパッキン受け部と、該パッキン受け部に摺接するリング状のパッキン押さえに固定したリング状のメカシールパッキンとよりなり、前記パッキン押さえを、軸と平行な方向に伸長作動する油圧シリンダのピストンロッドの先端に装着し、油圧シリンダの伸長作動に伴ってメカシールパッキンをパッキン受け部に対して離れた状態から、押し当て、その状態で軸を駆動手段によって回転するように構成するとともに、ケーシング側壁に軸と平行に突出形成した複数の係止部材と、前記パッキン押さえに開口した前記係止部材が挿入される位置決め孔とからなる係止手段を配設し、前記油圧シリンダの押し側回路にアキュームレーターを組み込んだこと特徴とする。
【0008】
上記の構成からなる本発明は、メカニカルシールのリング状のパッキン押さえに固定したリング状のメカシールパッキンを、軸と平行な方向に伸長作動する油圧シリンダのピストンロッドの先端にパッキン押さえを装着して軸と平行な方向に移動可能に配設したから、メカシールパッキンの交換や清掃作業を簡単に行うことができる。
また、係止手段によって、メカシールパッキンの共回りを防止し、メカシールパッキンがパッキン受け部に固着して油圧シリンダに無理な回転力が伝わることを防止することができるとともに、位置決めガイドとして、パッキン押さえを軸に対し常に直角を保ちつつ軸方向に移行させ、メカシールパッキンをパッキン受け部に均一かつ確実に当接させるようにすることができる。
【0009】
そして、特に、油圧シリンダのピストンロッドの先端にパッキン押さえを介してメカシールパッキンを固定することにより、パッキン受け部にメカシールパッキンを十分な押圧力をもって押し当てることができ、混練槽内部で混練される、混練材料の漏出を確実に防止できることができる。
【0010】
また、油圧シリンダの押し側回路にアキュームレーターを組み込むことにより、油圧シリンダが押し戻されることによって生じる異常な高圧を逃がすクッション的役割を果たすことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のメカニカルシールの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明のメカニカルシールの要部を示す一部断面図で、従来例と同様の構成については同様の符号を付し説明を省略する。
【0013】
本発明のメカニカルシール1は、混練装置10のケーシング側壁52を貫通してケーシング外に突出するロータ駆動軸54の周上で、油圧シリンダ11からなる押圧手段4の先端にリング状のパッキン押さえ3にボルト等の固定手段で固定したリング状のメカシールパッキン2と、ロータ駆動軸54の鍔部に配設したリング状のパッキン受け部wからなる。
図1では、メカニカルシール1の上半分がロータR端面から引き離された状態を示し、メカニカルシール1の下半分がロータ軸R端面に押付けられた状態を示している。
【0014】
5は、ケーシング側壁52のロータ駆動軸54の貫入孔近傍に設けたパッキンガイド6から直径方向2箇所においてロータ駆動軸54と平行に突出させた係止部材を示し、押圧手段4によって、メカシールパッキン2をロータRの鍔部sに取り付けたリング状のパッキン受け部wに圧接する際に、パッキン押さえ3に形成した位置決め孔7に挿入され、ロータRの回転に伴いメカシールパッキン2が共回りすることを防止する。
パッキン受け部wは、図示例の如く、ロータRの鍔部sに形成した凹状の環状溝にリング状のプレート材を嵌入するように構成する他、鍔部sの表面を磨いた状態で直接メカシールパッキン2の圧接を受けるように構成してもよい。
係止部材5は、位置決め孔7への挿入を容易ならしめるように、先端を尖頭状に形成することが好ましい。
また、係止部材5は油圧シリンダ11のストローク範囲においてパッキン押さえ3と常時係合するようにされたものでもよい。
更にまた、図3に示すように押圧手段4、位置決め孔7は円周上に対向して2箇所配備した例を示したが、これに限られず、3箇所以上配備するように構成しても構わない。
【0015】
次に、本発明のメカニカルシール1の作動を図4に示す油圧回路図に基づき説明する。
本発明のメカニカルシール1は、混練装置10の運転に先立ち、電動機Mを駆動し、油圧ポンプPからの圧油を油路P1、電磁切替弁V、押し側回路12を経て油圧シリンダ11の反ロッド側室に供給して、ピストンロッドを伸長作動し、先端にメカシールパッキン2を取り付けたパッキン押さえ3を押して、メカシールパッキン2を、その外周面をパッキンガイド6に摺接させながらロータRの端面のパッキン受け部wに押し当てるものである。
油圧回路中ACはアキュームレーターを示している。このアキュームレーターACは、混練時のロータ軸Rのたわみ、パッキン受け部wの加工不良、軸受のガタなどによるパッキン受け部wの振れにより油圧シリンダが押し戻されることによって生じる異常な高圧を逃がすクッション的役割を果たす。
【0016】
上記構成において、メカニカルシール1は、混練装置10に混練材料を投入する前に、油圧シリンダ11からなる押圧手段によって、メカシールパッキン2をロータRの鍔部sに取り付けたパッキン受け部wに圧接し(図1における下側の状態)、ロータ駆動軸54を駆動手段(図示しない)によって回転せしめ、ロータ駆動軸54に連接されるロータRの回転によって混練材料を混練する。
【0017】
混練作業終了後、混練材料の変更が必要なときは、メカシールパッキン2とパッキン受け部w近辺に付着した混練材料が、変更後の混練材料のコンタミとして変更後の混練材料の製品品質に悪影響を及ぼすことを防ぐための清掃や、メカシールパッキン2がの摩耗等により劣化が生じた場合にはメカシールパッキン2を交換する必要がある。
【0018】
このような時、電磁切替弁Vを切り換え、ポンプPからの圧油をシリンダロッド側室に供給し、油圧シリンダ11を復行させる(図1における上側の状態)。
【0019】
これにより、パッキン押さえ3及びメカシールパッキン2がロータRの端面から大きく引き離されるのでメカシールパッキン2の先端部やパッキン受け部w近辺に付着した混練材料の拭き取りやメカシールパッキン2の交換が簡便、かつ短時間で行うことができる。
【0020】
次に、図5乃至図7に示す、メカニカルシールの参考例について説明する。
【0021】
このメカニカルシール1では押圧手段として、パッキン押さえ3の周側面適所(図例では対向位置2箇所)に周方向に長孔14’を開口形成し、該長孔14’にパッキン押さえ3の半周を囲うように構成した略コ字状の押圧プレート13の先端に取り付けた押圧ピン14を嵌入して構成する。
【0022】
15は、パッキン押さえ3の適所(図例では直径方向2箇所)に開口した位置決め孔(ガイド孔)16に摺動可能に挿入される係止部材(ガイドポール)を示し、この係止部材(ガイドポール)15によって、パッキン押さえ3は、ロータ駆動軸54に対し常に直角を保ちつつ、ロータ駆動軸54の軸方向に移行する。これにより、メカシールパッキン2はパッキン受け部wに均一に当接させることができるとともに、メカシールパッキンをロータRの鍔部sに取り付けたパッキン受け部wに圧接する際に、ロータRの回転に伴いメカシールパッキン2が共回りすることを防止することができる。
【0023】
17は、シリンダ11の先端を押圧プレート13に連結するシリンダ接合部を示している。
押圧プレート13がプレート支持部18を中心に回動可能となるように、シリンダ接合部17はピンを用いて連結する。
【0024】
上記構成において、押圧手段4であるシリンダ11の押圧力は、シリンダ接合部17を介し、押圧プレート13に伝わり、押圧プレート13はプレート支持部18を軸として振り子状に動き、押圧ピン14によってパッキン押さえ3がロータ駆動軸54の軸方向に移行し、メカシールパッキン2がパッキン受け部wに接離可能に移動する。
【0025】
以上、本発明のメカニカルシールについて、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0026】
【発明の効果】
以上の如く本発明によるときは、メカニカルシールのリング状のパッキン押さえに固定したリング状のメカシールパッキンを、軸と平行な方向に伸長作動する油圧シリンダのピストンロッドの先端にパッキン押さえを装着して軸と平行な方向に移動可能に配設したから、メカシールパッキンの交換や清掃作業の手間や時間を大幅に削減することができる。
また、係止手段によって、メカシールパッキンの共回りを防止し、メカシールパッキンがパッキン受け部に固着して油圧シリンダに無理な回転力が伝わることを防止することができるとともに、位置決めガイドとして、パッキン押さえを軸に対し常に直角を保ちつつ軸方向に移行させ、メカシールパッキンをパッキン受け部に均一かつ確実に当接させるようにすることができる。
【0027】
そして、特に、油圧シリンダのピストンロッドの先端にパッキン押さえを介してメカシールパッキンを固定することにより、パッキン受け部にメカシールパッキンを十分な押圧力をもって押し当てることができ、混練槽内部で混練される、混練材料の漏出を確実に防止できることができる。
【0028】
また、押し側回路にアキュームレーターを組み込むことにより、混練槽内部で発生した異常な高圧を逃がすクッション的役割を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のメカニカルシールの要部を示す一部断面図である。
【図2】 本発明のメカニカルシールの部分拡大断面図である。
【図3】 本発明のメカニカルシールの正面図である。
【図4】 本発明のメカニカルシールを作動させる油圧回路図である。
【図5】 メカニカルシールの参考例の要部を示す一部断面図である。
【図6】 図5におけるX−X線に沿う一部切り欠き断面図である。
【図7】 参考例のメカニカルシールを作動させる油圧回路図である。
【図8】 従来のメカニカルシールの要部を示す一部断面図である。
【図9】 混練装置の正面断面図である。
【符号の説明】
1 メカニカルシール
2 メカシールパッキン
4 押圧手段
5 係止部材(係止手段)
7 位置決め孔(係止手段)
11 油圧シリンダ
12 押し側回路
AC アキュームレーター
w パッキン受け部
Claims (1)
- ケーシング側壁を貫通してケーシング外に突出する軸部のメカニカルシールにおいて、軸に配設したリング状のパッキン受け部と、該パッキン受け部に摺接するリング状のパッキン押さえに固定したリング状のメカシールパッキンとよりなり、前記パッキン押さえを、軸と平行な方向に伸長作動する油圧シリンダのピストンロッドの先端に装着し、油圧シリンダの伸長作動に伴ってメカシールパッキンをパッキン受け部に対して離れた状態から、押し当て、その状態で軸を駆動手段によって回転するように構成するとともに、ケーシング側壁に軸と平行に突出形成した複数の係止部材と、前記パッキン押さえに開口した前記係止部材が挿入される位置決め孔とからなる係止手段を配設し、前記油圧シリンダの押し側回路にアキュームレーターを組み込んだこと特徴とするメカニカルシール。
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