JP4277374B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関から排出される排気ガスを浄化する排気浄化装置に関し、特に、触媒による酸化作用あるいは還元作用を利用して排気を浄化する排気浄化装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関から排出される排気ガス中の有害成分の大気への排出量を低減するための一手段として、触媒の酸化作用あるいは還元作用を利用して有害成分を浄化するシステムがある。
【0003】
近年の触媒に関する研究開発により触媒の性能向上は目覚ましいものがあり、小型でも浄化性能が高い触媒装置の実現が可能になった。その結果、近年、車両用内燃機関の排気ガスを浄化する排気浄化システムとして、触媒を組み込んだ排気浄化装置が多用されるに至っている。
【0004】
現在、実用に供されている排気ガス浄化用の触媒には、酸化触媒、三元触媒、NOx触媒などがあり、これら触媒を、内燃機関の燃焼形態や空燃比、あるいは浄化すべき有害物質の種類などに応じて使い分けている。
【0005】
これら触媒のうち、NOx触媒には、選択還元型NOx触媒と吸蔵還元型NOx触媒がある。選択還元型NOx触媒とは、酸素過剰の雰囲気で炭化水素(HC)の存在下でNOxを還元または分解する触媒をいい、一方、吸蔵還元型NOx触媒とは、流入排気ガスの空燃比がリーンのときはNOxを吸収し、流入排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出しN2に還元する触媒をいう。これらNOx触媒は、排気ガス中のHCを酸化して浄化する酸化作用と、排気ガス中のNOxを還元して浄化する還元作用を備えている。
【0006】
一般に、触媒を長期に亘って使用していると、その触媒が有する酸化作用や還元作用が衰えていくという現象がある。上記NOx触媒も例に漏れず、長期に亘って使用していると、酸化作用の衰えによりHC浄化能力が低下したり、還元作用の衰えによりNOx浄化能力が低下したりする。このようにHC浄化能力の低下(以下、これをHC劣化ということもある)やNOx浄化能力の低下(以下、これをNOx劣化ということもある)を生じたNOx触媒を使用し続けると、排気ガス中の有害物質を浄化しきれなくなり、有害物質を含む排気ガスを大気中に排出する虞れがある。したがって、このような浄化能力の低下したNOx触媒に対しては交換等の措置が必要であり、そのためには触媒の浄化能力の管理(換言すれば、触媒の劣化判定)が極めて重要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
触媒の劣化判定技術に関しては、例えば特開平9−144531号公報に開示されているものがある。この公報に記載された技術では、内燃機関の排気通路に排気ガス中の有害成分を酸化または還元して浄化する触媒(NOx触媒や三元触媒など)を設け、この触媒の下流に、排気ガス中のNOx濃度を測定するNOxセンサと、排気ガス中のNOx以外の有害物質(HCやCO)の濃度を測定するガスセンサ(HCセンサやCOセンサ)を設置し、NOxセンサの出力値が所定の値を越えたときに触媒の還元作用が劣化したものと判定し、前記ガスセンサの出力値が所定の値を超えたときに触媒の酸化作用が劣化したものと判定している。
【0008】
このように、酸化作用と還元作用を併有する触媒の劣化を判定するためには従来は二種類のセンサ、即ち、酸化作用の劣化を判定するために必要なデータを得るためのセンサと、還元作用の劣化を判定するために必要なデータを得るためのセンサが必要であった。その理由は、触媒における酸化作用の劣化と還元作用の劣化は必ずしも同じ進度で進むとは限らないからである。
【0009】
このようにセンサの数が多くなると、コストアップになるだけでなく、メンテナンスの対象も多くなるという不具合もあった。
本発明はこのような従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、簡単な構造ながら、触媒の浄化能力を知ることができ、これから触媒の劣化程度を知ることができる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明が解決しようとする別の課題は、酸素ポンプ式のNOx濃度検出手段の出力特性を利用することにより、NOx濃度検出手段にHC濃度検出機能を付与し、排気浄化装置の簡略化を図ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本出願に係る発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
(1)本出願に係る第1の発明の内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気ガスのHC濃度を増大せしめるHC濃度増大手段と、酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有し内燃機関の排気通路に設置されて排気ガスのNOx濃度を検出するNOx濃度検出手段と、前記HC濃度増大手段が排気ガスのHC濃度を、該HC濃度の増大前に比べて前記NO x 濃度検出手段の検出値が一時的に低下するほど急速に増大せしめた時における該NOx濃度検出手段の検出値の低下量に基づいて排気ガスのHC濃度増大量を推定するHC濃度増大量推定手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有するNOx濃度検出手段は、流入する排気ガスのHC濃度(炭化水素濃度)が急速に増大したときに、HC濃度増大量に応じた干渉影響を受け、流入する排気ガスのNOx濃度が変化していないにも拘わらず該NOx濃度検出手段の検出値が一瞬低下する。第1の発明を初めとする本出願に係る総ての発明はNOx濃度検出手段のこの出力特性を利用している。
【0013】
内燃機関の排気浄化装置においては、例えばNOxに対する還元剤として作用させるためや、触媒上で酸化させて排気ガス温度を上昇させるためなど、種々の目的から排気ガスのHC濃度を一時的にあるいは継続的に増大させる操作を行うことがある。この場合、HC濃度の管理が非常に重要である。
【0014】
この第1の発明に係る内燃機関の排気浄化装置では、前記HC濃度増大手段により排気ガスのHC濃度を急速に増大せしめた時に、HC濃度増大量推定手段が、前記NOx濃度検出手段の検出値の低下量に基づいて、排気ガスのHC濃度増大量を推定する。
【0015】
この第1の発明において、HC濃度増大手段によりHC濃度を増大する前における排気ガスのHC濃度は低い方が好ましい。HC濃度増大前の排気ガスのHC濃度がHC濃度増大後の排気ガスのHC濃度に比べて極めて低い場合には、HC濃度増大量推定手段により推定されたHC濃度増大量は、HC濃度増大後における排気ガスのHC濃度にほぼ等しくなるので、したがって、推定されたHC濃度増大量は、HC濃度増大後における排気ガスのHC濃度とみなすこともできる。
【0016】
また、HC濃度に排気ガス流量と流通時間を乗ずればHC供給量になることから、この第1の発明においては、排気ガス流量と流通時間が予めわかっているか若しくは検出できるようにしておくことにより、HC濃度増大量推定手段により推定されるHC濃度増大量はHC供給量と等価であるということができる。
【0017】
したがって、前記第1の発明は、(イ)内燃機関の排気通路にHCを間欠的に供給するHC供給手段と、(ロ)酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有し内燃機関の排気通路に設置されて排気ガスのNOx濃度を検出するNOx濃度検出手段と、(ハ)前記HC供給手段によるHC供給時における前記NOx濃度検出手段の検出値に基づいてHC供給量を推定するHC供給量推定手段と、を備える内燃機関の排気浄化装置と等価であるということができる。
【0018】
(2)本出願に係る第2の発明の内燃機関の排気浄化装置は、前記第1の発明を前提として、さらに、前記HC濃度増大量推定手段により推定された推定HC濃度増大量と前記HC濃度増大手段により増大すべき目標HC濃度増大量との比較値が所定の許容範囲から外れたときにHC濃度増大手段が故障であると判定する故障判定手段、を備えることを特徴とする。
【0019】
第2の発明において、推定HC濃度増大量と目標HC濃度増大量との比較値とは、前者と後者の差であってもよいし、前者と後者の比(商)であってもよい。要するに、推定HC濃度増大量と目標HC濃度増大量の誤差に基づく数値であってHC濃度増大手段の故障判定の指標となり得るものであればよい。
【0020】
(3)本出願に係る第3の発明の内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気通路に設
けられた触媒と、前記触媒に流入する前記内燃機関の排気ガスのHC濃度を増大せしめるHC濃度増大手段と、酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有し前記触媒の下流に設置されて排気ガスのNOx濃度を検出する触媒下流NOx濃度検出手段と、前記HC濃度増大手段がHC濃度を、該HC濃度の増大前に比べて前記触媒下流NO x 濃度検出手段の検出値が一時的に低下するほど急速に増大せしめた時における該触媒下流NOx濃度検出手段の検出値の低下量に基づいて前記触媒のHC浄化能力を推定するHC浄化能力推定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0021】
前記触媒がHC浄化能力を有している場合、触媒上流の排気ガスのHC濃度が同一であるときには、触媒下流の排気ガスのHC濃度は触媒のHC浄化能力が高ければ高いほど低くなる。
【0022】
第3の発明においては、HC濃度増大手段により触媒上流の排気ガスのHC濃度を急速に増大せしめ、その時に触媒下流NOx濃度検出手段で検出した検出値から触媒下流の排気ガスのHC濃度を推定する。これから、HC浄化能力推定手段が触媒のHC浄化能力を推定する。
【0023】
(4)本出願に係る第4の発明の内燃機関の排気浄化装置は、前記第3の発明を前提として、さらに、酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有し前記触媒の上流に設置されて排気ガスのNOx濃度を検出する触媒上流NOx濃度検出手段を備え、前記HC浄化能力推定手段は、前記HC濃度増大手段がHC濃度を、該HC濃度の増大前に比べて前記触媒上流NO x 濃度検出手段及び前記触媒下流NO x 濃度検出手段の検出値が一時的に低下するほど急速に増大せしめた時における該触媒上流NOx濃度検出手段の検出値の低下量該触媒下流NOx濃度検出手段の検出値の低下量とを比較し、その比較値に基づいて前記触媒のHC浄化能力を推定することを特徴とする。
【0024】
触媒のHC浄化能力が同等である場合、触媒下流のHC濃度は、触媒上流のHC濃度の大きさによって異なる。したがって、触媒のHC浄化能力をより正確に判定するためには、触媒上流のHC濃度を知る必要がある。
【0025】
第4の発明においては、触媒上流の排気ガスのHC濃度を、HC濃度増大手段によりHC濃度を急速に増大せしめた時における触媒上流NOx濃度検出手段の検出値から推定する。そして、HC浄化能力推定手段は、触媒上流の排気ガスのHC濃度に対応する触媒上流NOx濃度検出手段の検出値と、触媒下流の排気ガスのHC濃度に対応する触媒下流NOx濃度検出手段の検出値とを比較した比較値の大きさから、触媒のHC浄化能力を推定する。
【0026】
前記比較値は、触媒上流NOx濃度検出手段の検出値(前者)と触媒下流NOx濃度検出手段の検出値(後者)の差であってもよいし、両者の比(商)であってもよい。比較値を差(前者−後者)で表した場合には、比較値が大きいほどHC浄化能力が高く、比較値を後者と前者の比(後者/前者)で表した場合には、比較値が小さいほどHC浄化能力が高いこととなる。
【0027】
(5)本出願に係る第5の発明の内燃機関の排気浄化装置は、前記第3の発明を前提として、さらに、前記HC濃度増大手段によって増大せしめられるHC濃度増大量は内燃機関の運転状態に応じて予め設定されていることを特徴とする。
【0028】
HC濃度増大手段によって増大せしめられるHC濃度増大量が内燃機関の運転状態に応じて予め設定されている場合には、触媒上流にNOx濃度検出手段を設けなくても触媒上流の排気ガスのHC濃度を推定することができるし、また、HC濃度増大手段によりHC濃度を急速に増大せしめた時における触媒上流NOx濃度検出手段の検出値を予め推定することもできるので、触媒上流NOx濃度検出手段を省くことができる。
【0029】
(6)本出願に係る第6の発明の内燃機関の排気浄化装置は、前記第3の発明、または第4の発明、または第5の発明を前提として、さらに、前記HC浄化能力推定手段によって推定した前記触媒のHC浄化能力が所定の能力以下のときに前記触媒はHC劣化したと判定するHC劣化判定手段を備えることを特徴とする。
【0030】
(7)本出願に係る第7の発明の内燃機関の排気浄化装置は、前記第3の発明、または第4の発明、または第5の発明を前提として、さらに、前記HC濃度増大手段によるHC濃度増大が行われていない時における前記触媒下流NOx濃度検出手段の検出値から前記触媒のNOx浄化能力を求め、NOx浄化能力が所定の能力以下のときに前記触媒がNOx劣化したと判定するNOx劣化判定手段を備えることを特徴とする。
【0031】
本出願の前記第1から第7の発明において、「HC濃度増大手段によりHC濃度を急速に増大せしめた時」には、次の▲1▼または▲2▼が含まれる。
▲1▼排気ガス中にHCを間欠的に供給する場合のHC間欠供給時
▲2▼排気ガス中にHCを連続供給している場合であって瞬時にHC供給量を急増させた時
【0032】
本出願の前記第1から第7の発明において、HC濃度増大手段は、排気通路にHCを間欠的に供給するHC供給装置で構成することができる。HC濃度増大手段により排気ガスのHC濃度を増大せしめるHC成分としては、ガソリンや軽油など内燃機関の燃料を採用することができる。内燃機関の燃料をHC成分とする場合には、HC濃度増大手段は、内燃機関の膨張行程や排気行程において内燃機関の燃焼室に燃料を副噴射する副噴射装置で構成することができる。内燃機関としては、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン(希薄燃焼可能なガソリンエンジン、所謂リーンバーンガソリンエンジンを含む)を例示することができる。
【0033】
本出願の前記第1から第7の発明において、NOx濃度検出手段における「酸素ポンプ」とは、酸素をイオン化して酸素イオン伝導体を介して汲み上げる機能をいう。
【0034】
本出願に係る前記第3から第7の発明において、触媒としては、吸蔵還元型NOx触媒や選択還元型NOx触媒を例示することができる。
吸蔵還元型NOx触媒は、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにNOxを吸収し、流入する排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出し、N2に還元する触媒である。この吸蔵還元型NOx触媒は、例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Ptのような貴金属とが担持されてなる。
【0035】
選択還元型NOx触媒は、酸素過剰の雰囲気で炭化水素の存在下でNOxを還元または分解する触媒をいい、ゼオライトにCu等の遷移金属をイオン交換して担持した触媒、ゼオライトまたはアルミナに貴金属を担持した触媒、等が含まれる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の一実施の形態を図1から図11の図面に基いて説明する。尚、以下に記載する実施の形態は、本発明に係る排気浄化装置を内燃機関としての車両用ディーゼルエンジンに適用した態様である。
【0037】
図1は内燃機関の排気浄化装置の一実施の形態における全体構成を示す図である。エンジン1は6気筒ディーゼルエンジンであり、1番気筒(#1)から6番気筒(#6)の各気筒11,12,13,14,15,16の燃焼室には吸気管2、吸気マニホールド3を介して新気が導入される。吸気管2の途中には、エアフロメータ7と、ターボチャージャ4のコンプレッサ4aと、インタークーラ5と、吸気絞り弁6が設けられている。吸気絞り弁6は、エンジン1の運転状態に応じてエンジンコントロール用電子制御ユニット(ECU)100によって制御される。
【0038】
また、エンジン1には、各気筒11〜16に燃料を噴射する燃料噴射弁21,22,23,24,25,26が設けられている。燃料噴射弁21〜26の開弁時期及び開弁時間は、エンジン1の運転状態に応じてECU100により制御される。
【0039】
各気筒11〜16の燃焼室で生じた排気ガスは、排気マニホールド30を介して排気管31に排出され、図示しないマフラーを介して大気に排出される。排気マニホールド30に流入した排気ガスの一部は、排気還流管32を介して吸気マニホールド3に再循環可能になっている。排気還流管32の途中には、EGRクーラ33とEGR弁34が設けられている。EGR弁34は、エンジン1の運転状態に応じてECU100によって開度制御され、排気還流量を制御する。
【0040】
排気管31の途中には、ターボチャージャ4のタービン4bと、排気絞り弁35と、吸蔵還元型NOx触媒36を内蔵したケーシング37が設けられている。吸蔵還元型NOx触媒36については後で詳述する。
【0041】
排気ガスはタービン4bを駆動し、タービン4bに連結されたコンプレッサ4aを駆動して、吸気を過給する。排気絞り弁35は、エンジン1の運転状態に応じてエンジンコントロール用電子制御ユニット(ECU)100によって制御される。
【0042】
排気管31において排気絞り弁35とケーシング37の間には、このエンジン1の燃料である軽油を排気管31内に供給するHC供給装置(HC濃度増大手段)40が設置されている。HC供給装置40は、図示しない燃料タンクの軽油を昇圧して圧送する供給ポンプ41と、供給ポンプ41で昇圧された軽油を排気管31内に導入する導入管42と、導入管42の途中に設けられた制御弁43を備えている。
【0043】
排気管31においてHC供給装置40よりも下流であってケーシング37よりも上流には、ケーシング37に流入する排気ガス(以下、入ガスという)の温度に対応した出力信号をECU100に出力する入ガス温センサ51と、入ガスのNOx濃度に対応した出力信号をECU100に出力する入ガスNOxセンサ(触媒上流NOx濃度検出手段)52が取り付けられている。
【0044】
また、排気管31においてケーシング37よりも下流には、ケーシング37から流出する排気ガス(以下、出ガスという)の温度に対応した出力信号をECU100に出力する出ガス温センサ53と、出ガスのNOx濃度に対応した出力信号をECU100に出力する出ガスNOxセンサ(触媒下流NOx濃度検出手段)54が取り付けられている。
【0045】
入ガス温センサ51と出ガス温センサ53の出力信号に基づいて、ECU100は吸蔵還元型NOx触媒36の触媒温度を演算する。入ガスNOxセンサ52と出ガスNOxセンサ54については後で詳述する。
【0046】
ECU100はデジタルコンピュータからなり、双方向バスによって相互に接続されたROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、CPU(セントラルプロセッサユニット)、入力ポート、出力ポートを具備し、エンジン1の燃料噴射量制御等の基本制御を行うほか、この実施の形態では、HC供給装置40のHC供給制御等を行っている。
【0047】
これら制御のために、ECU100の入力ポートには、アクセル開度センサ61からの入力信号と、クランク角センサ62からの入力信号が入力される。アクセル開度センサ61はアクセル開度に比例した出力電圧をECU100に出力し、ECU100はアクセル開度センサ61の出力信号に基づいてエンジン負荷を演算する。クランク角センサ62はクランクシャフトが一定角度回転する毎に出力パルスをECU100に出力し、ECU100はこの出力パルスに基づいてエンジン回転数を演算する。これらエンジン負荷とエンジン回転数によってエンジン運転状態が判別される。
【0048】
次に、ケーシング37に内蔵された吸蔵還元型NOx触媒(以下、単にNOx触媒ということもある)36について説明する。
吸蔵還元型NOx触媒36は、例えばアルミナ(Al23)を担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Ptのような貴金属とが担持されてなる。
【0049】
このNOx触媒36は、流入排気ガスの空燃比(以下、排気空燃比と称す)がリーンのときはNOxを吸収し、流入排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出するNOxの吸放出作用を行う。尚、排気空燃比とは、ここではNOx触媒36の上流側の排気通路やエンジン燃焼室、吸気通路等にそれぞれ供給された空気量の合計と燃料(炭化水素)の合計の比を意味するものとする。したがって、NOx触媒36よりも上流の排気通路内に燃料、還元剤あるいは空気が供給されない場合には、排気空燃比はエンジン燃焼室内に供給される混合気の空燃比に一致する。
【0050】
NOx触媒36の吸放出作用は、図2に示すようなメカニズムで行われているものと考えられる。以下、このメカニズムについて担体上に白金PtおよびバリウムBaを担持させた場合を例にとって説明するが、他の貴金属,アルカリ金属,アルカリ土類,希土類を用いても同様なメカニズムとなる。
【0051】
まず、流入排気ガスの空燃比がかなりリーンになると流入排気ガス中の酸素濃度が大巾に増大し、図2(A)に示されるように酸素O2 がO2 -又はO2-の形で白金Ptの表面に付着する。一方、流入排気ガスに含まれるNOは、白金Ptの表面上でO2 -又はO2-と反応し、NO2 となる(2NO+O2 →2NO2 )。
【0052】
次いで、生成されたNO2は、白金Pt上で酸化されつつNOx触媒36内に吸収されて酸化バリウムBaOと結合しながら、図2(A)に示されるように硝酸イオンNO3 -の形でNOx触媒36内に拡散する。このようにしてNOxがNOx触媒36内に吸収される。
【0053】
流入排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金Ptの表面でNO2が生成され、NOx触媒36のNOx 吸収能力が飽和しない限り、NO2がNOx触媒36内に吸収されて硝酸イオンNO3 -が生成される。
【0054】
これに対して、排気空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比になると流入排気ガス中の酸素濃度が低下するため、NO2の生成量が低下し、反応が逆方向(NO3 -→NO2)に進み、NOx触媒36内の硝酸イオンNO3 -がNO2またはNOの形でNOx触媒36から放出される。即ち、流入排気ガス中の酸素濃度が低下すると、NOx触媒36からNOxが放出されることになる。
【0055】
一方、このとき、排気ガス中のHC,COは、白金Pt上の酸素O2 -又はO2-と反応して酸化せしめられる。また、流入排気ガス中の酸素濃度の低下によりNOx触媒36から放出されたNO2またはNOは、図2(B)に示されるように未燃HC、COと反応して還元せしめられてN2となる。
【0056】
即ち、流入排気ガス中のHC,COは、まず白金Pt上の酸素O2 -又はO2-とただちに反応して酸化せしめられ、次いで白金Pt上の酸素O2 -又はO2-が消費されてもまだHC,COが残っていれば、このHC,COによってNOx触媒から放出されたNOxおよびエンジンから排出されたNOxがN2に還元せしめられる。
【0057】
このようにして白金Ptの表面上にNO2またはNOが存在しなくなると、NOx触媒36から次から次へとNO2またはNOが放出され、さらにN2に還元せしめられる。したがって、排気空燃比を理論空燃比またはリッチ空燃比にすると短時間のうちにNOx触媒36からNOxが放出され、N2に還元される。
【0058】
このように、排気空燃比がリーンになるとNOxがNOx触媒36に吸収され、排気空燃比を理論空燃比あるいはリッチ空燃比にするとNOxがNOx触媒36から短時間のうちに放出され、N2に還元される。したがって、大気中へのNOxの排出を阻止することができる。
【0059】
ところで、ディーゼルエンジンの場合は、ストイキ(理論空燃比、A/F=13〜14)よりもはるかにリーン域で燃焼が行われるので、通常の機関運転状態ではNOx触媒36に流入する排気ガスの空燃比は非常にリーンであり、排気ガス中のNOxはNOx触媒36に吸収され、NOx触媒36から放出されるNOx量は極めて少ない。
【0060】
また、ガソリンエンジンの場合には、燃焼室に供給する混合気をストイキまたはリッチ空燃比にすることにより排気ガスの空燃比を理論空燃比またはリッチ空燃比にし、排気ガス中の酸素濃度を低下させて、NOx触媒36に吸収されているNOxを放出させることができるが、ディーゼルエンジンの場合には、燃焼室に供給する混合気をストイキまたはリッチ空燃比にすると燃焼の際に煤が発生するなどの問題があり採用することはできない。
【0061】
したがって、ディーゼルエンジンでは、NOx触媒36のNOx吸収能力が飽和する前に所定のタイミングで、排気ガス中に還元剤を供給して排気ガス中の酸素濃度を低下せしめ、NOx触媒36に吸収されたNOxを放出し還元する必要がある。尚、前記還元剤としては、一般に、ディーゼルエンジンの燃料である軽油を使用する場合が多い。
【0062】
そのため、この実施の形態では、ECU100によりエンジン1の運転状態の履歴からNOx触媒36に吸収されたNOx量を推定し、その推定NOx量が予め設定した所定値に達したときに、所定時間だけ制御弁43を開弁して所定量の燃料を排気管31内に供給し、NOx触媒36に流入する排気ガス中の酸素濃度を低下させ、NOx触媒36に吸収されたNOxを放出させ、N2に還元するようにしている。つまり、この実施の形態では、HC供給装置40によって排気管31に炭化水素(軽油)を間欠的に供給する。尚、供給ポンプ41は基本的には常時運転される。
【0063】
したがって、この実施の形態では、制御弁43が閉弁していて排気管31に燃料が供給されていないときには、排気ガス中のNOxはNOx触媒36に吸収され、制御弁43が開弁して排気管31に燃料が供給されているときには、NOx触媒36に吸収されたNOxが放出され、N2に還元されることになる。
【0064】
次に、入ガスNOxセンサ52及び出ガスNOxセンサ54について説明する。入ガスNOxセンサ52及び出ガスNOxセンサ54に用いられるNOxセンサは酸素ポンプ(O2ポンプ)を応用したものであり、SAE(Society of Aoutomotive Engineers)980170号等にも開示されているように既に公知である。このNOxセンサのNOx濃度測定原理について図3を参照して説明する。
【0065】
まず、NOxセンサの基本構造について説明すると、NOxセンサは、ジルコニア等の酸素イオン伝導体からなる一対の隔壁201,202に挟まれて形成されるガス通路203を有している。このガス通路203において図3の紙面と平行をなす両側面は絶縁材からなる図示しない側壁によって閉塞されており、ガスはガス通路203を図3において左側から右側に向かって流れるようになっている。尚、隔壁201,202は互いに電気的に絶縁されている。
【0066】
ガス通路203の両端部と中央部には多孔質素材からなる絞り部材204,205,206が設けられており、これら絞り部材204,205,206の間に第1反応室211と第2反応室212が形成されている。絞り部材204,205,206は、ガス通路203を流通するガス流量を、NOx濃度の測定に適する流量に制限する絞りとして機能する。
【0067】
このNOxセンサを、絞り部材204が設けられた側をガス流の上流側に位置せしめてガス流内に配置したとき、ガスは絞り部材204、第1反応室211、絞り部材205、第2反応室212、絞り部材206の順に通過して下流へと流れる。
【0068】
隔壁201において第1反応室211に対応する部位には、第1反応室211側を陰極、隔壁201の外面側を陽極として所定の大きさの電圧を印加する第1閉回路220が設けられている。
【0069】
また、隔壁202において第2反応室212に対応する部位には、第2反応室212側を陰極、隔壁202の外面側を陽極として所定の大きさの電圧を印加する第2閉回路230が設けられている。
【0070】
次に、このNOxセンサのNOx濃度測定原理を説明する。このNOxセンサではNOx濃度を直接的に測定するわけではなく、NOxをN2とO2に分解し、NOxを分解して得たO2の濃度を測定し、これから化学量論的にNOx濃度を求めるのであるが、この原理により排気ガスのNOx濃度を測定する場合、排気ガス中にはもともと酸素が存在するため、排気ガス中のNOxをN2とO2に分解する前に排気ガス中の酸素を取り除いておかないと、NOx濃度を求めることができない。
【0071】
そのために、このNOxセンサでは、初めに第1反応室211において排気ガス中の酸素を除去し、次に第2反応室212において排気ガス中のNOxをN2とO2に分解しNOx濃度を測定する。
【0072】
即ち、第1閉回路220によって隔壁201には電圧が印加されているので、第1反応室211内の排気ガス中の酸素のみが選択的にイオン化されて酸素イオンとなる。尚、この段階ではNOxがN2とO2に分解されることはない。そして、隔壁201が酸素イオン伝導体で構成されていることから、この酸素イオンが隔壁201を第1閉回路220の陰極側から陽極側へ流れ、その結果、第1閉回路220に電流が流れる。このように、空間内の酸素をイオン化して酸素イオン伝導体を介して取り出す一連の機能を一般に「酸素ポンプ」と称している。
【0073】
ここで、絞り部材204による流量絞り性能を所定に設定し、第1閉回路220に印加する電圧の大きさを所定に設定すれば、酸素ポンプによって第1反応室211内の酸素を外部に汲み出す速度を、絞り部材204を通り第1反応室211内に新たに流入してくる酸素の流入速度よりも大きくすることが可能であり、そのように設定すれば第1反応室211内の酸素を殆どなくすことができ、したがって、第1反応室211内の排気ガスの酸素濃度をほぼ零にすることができる。
【0074】
そして、第1反応室211において酸素濃度を零にされた排気ガスは、絞り部材205を通って第2反応室212内に流入する。第2反応室212にはNOxの還元を促進させるための触媒(図示せず)が設けられており、この触媒作用によって第2反応室212内の排気ガス中のNOxはN2とO2に分解せしめられる。
【0075】
ここで、第2閉回路230によって隔壁202には電圧が印加されているので、NOxの分解によって生じた酸素はイオン化して酸素イオンとなり、この酸素イオンが酸素イオン伝導体で構成されている隔壁202を第2閉回路230の陰極側から陽極側へ流れ、その結果、第2閉回路230に電流が流れる。この第2閉回路230に流れる電流を電流計231で測定し、この電流値から酸素濃度を求め、さらにこの酸素濃度に基づいて化学量論的にNOx濃度を求める。
【0076】
以上がNOxセンサの基本原理であるが、本出願人は、このNOxセンサをある条件下で使用したときに該NOxセンサの出力が特異な挙動を示すことに着目した。
まず、入ガスNOxセンサ52のように、吸蔵還元型NOx触媒の上流に設置されてNOx触媒に流入する排気ガスのNOx濃度を検出するNOxセンサの場合を、図4を参照して説明する。
【0077】
説明を簡単にするために、今、NOx濃度およびHC濃度が共に一定の定常な排気ガスの流れの中にNOxセンサを設置しているものとする。このときのNOxセンサの出力は当然のことながらほぼ一定値n1(この例では約100ppm)となる。
【0078】
次に、このNOx濃度一定の排気ガスのHC濃度だけを一時的に(間欠的に)急速に増大させると、排気ガスのNOx濃度は一定であるにも拘わらず、NOxセンサの出力(即ち、NOx濃度検出値)はHC濃度に応じた干渉影響を受け、図4に示すように、一度低下した後、再びHC濃度増大前の定常値(n1)に戻るという挙動を示す。
【0079】
NOxセンサの出力がこのような挙動を示す理由は次のように推察される。排気ガスのHC濃度を急激に増大させると、NOxセンサの第1反応室211において増大したHCとNOxの一部が反応し、NOxが還元されてN2となり、その結果、第1反応室211内の排気ガスのNOx濃度が低下する。このNOx濃度を低下せしめられた排気ガスが第2反応室212に流入することとなるので、排気ガスのHC濃度を増大させたときにはNOxセンサの出力が一瞬低下すると推察される。
【0080】
そして、本出願人はこの現象に再現性があることを実験により確認している。図5はこの実験結果の一例を示しており、この場合の実験条件としては、NOx濃度及びHC濃度が一定の定常な排気ガスが流れる排気管内にNOxセンサを配置し、このNOxセンサよりも上流の排気管内にHCを瞬時に供給することによって排気ガスのHC濃度を急速増大せしめた。この実験結果から、HC濃度増大量(HC供給量)が大きいほどNOxセンサの出力低下が大きくなり、また、HC濃度増大量(HC供給量)を同一にした場合には、排気ガスのNOx濃度が大きいほどNOxセンサの出力低下が大きくなることがわかる。
【0081】
したがって、このNOxセンサによって、HC供給前の排気ガスのNOx濃度と、HC供給後のNOxセンサ出力の低下量(以下、これを「落ち込み量」という)を検出することにより、HC供給量を求めることができる。そこで、この実施の形態では、HC供給装置40から排気管31に実際に供給されたHCの供給量を入ガスNOxセンサ52の出力に基づいて推定演算することができるように、予め実験により、排気ガスのNOx濃度と、HC供給量と、HC供給後のNOxセンサ出力の落ち込み量との関係(即ち、図5に相当する関係)を求め、これをHC供給量マップとしてECU100のROMに記憶させておく。
【0082】
次に、出ガスNOxセンサ54のように、吸蔵還元型NOx触媒の下流に設置されて、NOx触媒によってNOxを浄化された排気ガスのNOx濃度を検出するNOxセンサの場合を、図6を参照して説明する。
【0083】
説明を簡単にするために、NOx触媒にはNOx濃度およびHC濃度が共に一定の定常な排気ガスが流入するものとする。この場合には、NOx触媒のNOx浄化率が変わらなければNOx触媒によりNOxを浄化された排気ガスのNOx濃度はほぼ一定になるはずであるから、NOx触媒下流のNOxセンサの出力は当然のことながらほぼ一定値n2(この例では約100ppm)となる。
【0084】
ここで、NOx触媒に流入するNOx濃度一定の排気ガスのHC濃度だけを一時的に(間欠的に)急速に増大させると、NOxセンサの出力(即ち、NOx濃度検出値)が図6に示すように、一度低下した後、今度は一転してHC濃度増大前よりも大きくなり、その後再び、HC濃度増大前の定常値(n2)に戻るという挙動を示す。
【0085】
NOxセンサの出力がこのような挙動を示す理由は次のように推察される。まず、NOxセンサの出力が一瞬低下する理由について推察する。HC濃度の高い排気ガスがNOx触媒に流入すると、排気ガス中の一部のHCはNOx触媒に付着している酸素と反応して酸化し、また、他の一部のHCはNOx触媒から放出されたNOxを還元するための還元剤として消費される。そして、NOx触媒において酸素やNOxと反応し得なかった残りのHCはNOx触媒を素通りしNOx触媒の下流へと流れることとなる。ここで、NOx濃度を急激に増大させた排気ガスをNOx触媒に供給した場合には、NOx触媒下流の排気ガスのHC濃度も急激に高くなるので、この排気ガスがNOx触媒下流のNOxセンサに流入すると、前述したNOx触媒上流に設置したNOxセンサの場合と同様にHC濃度に応じた干渉影響を受け、NOx触媒下流のNOxセンサの出力が一瞬低下すると推察される。
【0086】
ところで、NOx触媒のHC浄化能力(酸化作用)が低下すると(即ち、HC劣化が進行すると)NOx触媒を通過するHC量が増えるので、NOx触媒に流入する排気ガスのHC濃度を急激に増大させたときにおけるNOx触媒下流のHC濃度の増大は、HC劣化後の方がHC劣化前よりも大きくなる。したがって、NOx触媒上流のHC濃度の増大条件が同じ場合であっても、NOx触媒のHC劣化後の方がHC劣化前よりも、NOx触媒下流のNOxセンサ出力の低下量(落ち込み量)は大きくなる。
【0087】
このことから、NOx触媒上流の排気ガスのHC濃度を急激に増大したときにおけるNOx触媒下流のNOxセンサの出力低下の状態から、NOx触媒のHC浄化能力に対する劣化(即ち、HC劣化)の程度を判定することができる。
【0088】
そこで、この実施の形態では、NOx触媒上流の排気ガスのHC濃度を急激に増大したときにおけるNOx触媒上流のNOxセンサ出力の落ち込み量とNOx触媒下流のNOxセンサ出力の落ち込み量を演算し、これら落ち込み量の比較値を求め、この比較値に基づいてNOx触媒がHC劣化したか否か判定することにした。
【0089】
尚、NOxセンサの出力が増大する理由は次のように推察される。吸蔵還元型NOx触媒は、排気ガスのHC濃度を増大することにより吸収されていたNOxを放出した場合、排気ガスのHC濃度を増大前の濃度に戻しても、即座にNOxの放出が停止するわけではなく、若干の間、NOxの放出が続く(以下、これを「NOxのしみ出し」という)という特性を有している。つまり、NOxに対して還元剤として作用するHCの供給がなくなったにもかかわらず、NOx触媒からNOxのしみ出しがあるためNOx触媒下流のNOx濃度が上昇する。したがって、NOx触媒からNOxのしみ出しが生じている間は、NOx触媒下流のNOxセンサの出力が、HC濃度増大前の出力よりも大きくなると推察される。
尚、本出願人は、NOx触媒下流に配置されたNOxセンサの図6に示すような出力特性についても、再現性があることを実験により確認している。
【0090】
次に、この実施の形態における内燃機関の排気浄化装置の作用を説明する。
前述したように、この実施の形態では、ECU100によりエンジン1の運転状態の履歴からNOx触媒36に吸収されたNOx量を推定し、その推定NOx量が予め設定した所定値に達したときに、HC供給装置40によって所定量の炭化水素(軽油)をNOx触媒36の上流の排気管31に間欠的に供給し、これによって、NOx触媒36に吸収されたNOxを放出し、N2に還元する。
【0091】
HC供給装置40によるHCの間欠供給は、NOx触媒36に流入する入ガスのHC濃度を一時的に急速に増大せしめることになるので、このときに入ガスNOxセンサ52と出ガスNOxセンサ54は前述した出力変化を示す。そこで、この実施の形態では、ECU100は、これら二つのNOxセンサ52,54の出力に基づいて、
(1)NOx触媒36のNOx浄化率の演算及びNOx劣化判定
(2)実HC供給量の推定及びHC供給装置の故障判定
(3)NOx触媒36のHC浄化指数の演算及びHC劣化判定
を行う。以下、それぞれの処理について説明する。
【0092】
(1)NOx触媒36のNOx浄化率の演算及びNOx劣化判定
この排気浄化装置において、ECU100は、HC供給装置40から排気管31にHC供給がされていない時(HC非供給時)における入ガスNOxセンサ52と出ガスNOxセンサ54の出力値から、NOx触媒36のNOx浄化能力(還元作用)の大きさを表すNOx浄化率を演算し、さらにこれに基づいてNOx触媒36がNOx劣化したか否か判定する。
【0093】
即ち、NOx触媒36のNOx浄化率は、HC非供給時における出ガスNOxセンサ54の出力値(検出値)を入ガスNOxセンサ52の出力値(検出値)で除した商を求め、この商を1から引いた値として求められる。例えば、入ガスNOxセンサ52により検出されたNOx濃度が100ppmで、出ガスNOxセンサ54により検出されたNOx濃度が30ppmであれば、この時のNOx触媒36のNOx浄化率は70%ということになる。
【0094】
NOx触媒36がNOx劣化していない場合には、HC供給装置40によるHCの間欠供給により、NOx触媒36のNOx浄化率を初期の状態に回復することができる。ところが、NOx触媒36のNOx劣化が進行すると、HC供給装置40によるHCの間欠供給を行っても、NOx浄化率を初期の状態に回復させることができなくなる。
【0095】
そこで、この実施の形態では、ECU100は、常時、HC非供給時における出ガスNOxセンサ54の出力値(検出値)と入ガスNOxセンサ52の出力値(検出値)に基づいてNOx触媒36のNOx浄化率を演算し、NOx触媒36の初期のNOx浄化率(以下、初期NOx浄化率という)と比較してNOx劣化の程度を求め、そのNOx劣化の程度が所定以上に大きくなったとき(例えば、NOx浄化率が50%以下になったとき)にNOx触媒36がNOx劣化したと判定する。
【0096】
尚、この実施の形態では、NOx劣化程度を求める際の基準となる初期NOx浄化率は次のようにして求めた(図7参照)。
まだ全くNOxの浄化に供されていない新品のNOx触媒36に、NOx濃度一定(例えば、100ppm)の排気ガスを流し続け、NOx触媒36を一旦、NOxで飽和させる。この時、入ガスNOxセンサ52と出ガスNOxセンサ54の出力は同じになる。
【0097】
次に、所定の一定時間(例えば、6〜7秒)間隔で、通常のHC間欠供給と同じ条件でNOx触媒36の上流にHCを供給する。尚、図7においてA点は、HC間欠供給開始点を示している。すると、HC非供給時において出ガスNOxセンサ54で検出されるNOx濃度が徐々に低下していき、HC間欠供給を開始してから所定時間経過後(例えば、100〜120秒後)に収束してほぼ一定値を示す(図7においてB点)。このように収束した直後に、出ガスNOxセンサ54の出力値と入ガスNOxセンサ52の出力値から演算して得られたNOx浄化率を、NOx触媒36の初期NOx浄化率とした。
【0098】
次に、この実施の形態におけるNOx触媒36のNOx劣化判定処理ルーチンを図8を参照して説明する。このルーチンを構成する各ステップからなるフローチャートはECU100のROMに記憶してあり、フローチャートの各ステップにおける処理は総てECU100のCPUによって実行される。
【0099】
<ステップ101>
まず、ECU100は、ステップ101において、HC供給装置40から排気管31にHCが供給されていないとき(HC非供給時)に入ガスNOxセンサ52で検出された入ガスNOx濃度と、出ガスNOxセンサ54で検出された出ガスNOx濃度を読み込む。
【0100】
<ステップ102>
次に、ECU100は、ステップ102に進み、ステップ101で読み込んだ入ガスNOx濃度と出ガスNOx濃度から現時点におけるNOx触媒36のNOx浄化率(以下、現NOx浄化率という)を演算する。
【0101】
<ステップ103>
次に、ECU100は、ステップ103に進み、予め求めておいた初期NOx浄化率とステップ101で求めた現NOx浄化率の差を算出し、この差が予め設定した判定値αよりも大きいか否か判定する。
【0102】
<ステップ104>
ステップ103で肯定判定した場合には、ECU100は、ステップ104に進んで、NOx触媒36がNOx劣化したと判定し、本ルーチンを終了する。
【0103】
<ステップ105>
ステップ103で否定判定した場合には、ECU100は、ステップ105に進んで、NOx触媒36はまだNOx劣化していないと判定し、本ルーチンを終了する。
【0104】
尚、NOx触媒36の上流の排気ガスのNOx濃度は、エンジン1の運転状態(運転条件)から推定することが可能であるので、エンジン1の運転状態とNOx触媒36の入ガスのNOx濃度とを対応させたマップを予めECU100のROMに記憶させておき、このマップを参照して入ガスのNOx濃度を推定するようにすれば、上述した「NOx浄化率の演算とNOx劣化判定」に関する限りは、入ガスNOxセンサ52を省略することも可能である。
【0105】
この実施の形態では、ECU100がこのNOx劣化判定処理ルーチンを実行することにより、本発明に係るNOx劣化判定手段が実現される。
【0106】
(2)実HC供給量の推定及びHC供給装置の故障判定
次に、この排気浄化装置において、ECU100は、HC供給装置40により排気管31にHCが間欠供給されたときにおける入ガスNOxセンサ52の出力変化に基づいて、排気管31内に実際に供給されたHC供給量(以下、実HC供給量という)を演算して推定し、この実HC供給量に基づいてHC供給装置40が故障しているか否かを判定する。
【0107】
即ち、ECU100は、HC供給装置40が排気管31内にHCを供給する直前に入ガスNOxセンサ52で検出した入ガスNOx濃度と、HC供給直後に入ガスNOxセンサ52に生じる出力変化における落ち込み量に基づき、前述した図示しないHC供給量マップを参照して排気管31に供給された実HC供給量を演算する。
【0108】
次に、ECU100は、HC供給装置40により排気管31に供給すべき目標HC供給量(ECU100の指令によりHC供給装置40から供給すべきとされたHC供給量)と、前記実HC供給量とを比較し、その比較値(両者の差または商など)に基づいて両者の誤差が予め設定した許容誤差範囲に入っているか否か判定する。そして、両者の誤差が許容誤差範囲内であればHC供給装置40は正常に稼働していると判定し、許容誤差範囲から外れた場合にはHC供給装置40が異常であると判定する。
【0109】
次に、この実施の形態におけるHC供給装置の故障判定処理ルーチンを図9を参照して説明する。このルーチンを構成する各ステップからなるフローチャートはECU100のROMに記憶してあり、フローチャートの各ステップにおける処理は総てECU100のCPUによって実行される。
【0110】
<ステップ201>
まず、ECU100は、ステップ201において、HC供給装置40によってHCを供給する前に入ガスNOxセンサ52で検出した入ガスNOx濃度を読み込む。
【0111】
<ステップ202>
次に、ECU100は、ステップ202に進み、HC供給直後の入ガスNOxセンサ52の出力変化に基づいて、その落ち込み量を演算する。
【0112】
<ステップ203>
次に、ECU100は、ステップ203に進み、ステップ201で読み込んだ入ガスNOx濃度と、ステップ202で演算した落ち込み量に基づき、HC供給量マップを参照して、実HC供給量を演算する。
【0113】
<ステップ204>
次に、ECU100は、ステップ204に進み、目標HC供給量とステップ203で演算した実HC供給量との差を算出し、その差(絶対値)が予め設定した許容範囲βよりも小さいか否か判定する。
【0114】
<ステップ205>
ステップ204で肯定判定した場合には、ECU100は、ステップ205に進み、HC供給装置40が正常に作動していると判定し、本ルーチンを終了する。
【0115】
<ステップ206>
ステップ204で否定判定した場合には、ECU100は、ステップ206に進み、HC供給装置40が故障していると判定し、本ルーチンを終了する。尚、ステップ206で故障判定された場合には、ECU100は、図示しないメーターパネルの警告灯を点灯するなどの処理をすることも可能である。
【0116】
尚、この実施の形態では、このHC供給装置の故障判定処理ルーチンのうちステップ201からステップ203をECU100が実行することにより、本発明に係るHC濃度増大量推定手段が実現され、ステップ204からステップ206をECU100が実行することにより、本発明に係る故障判定手段が実現される。
【0117】
(3)NOx触媒36のHC浄化指数の演算及びHC劣化判定
次に、この排気浄化装置において、ECU100は、HC供給装置40により排気管31にHCが間欠供給されたときにおける入ガスNOxセンサ52と出ガスNOxセンサ54の出力変化に基づいて、NOx触媒36のHC浄化能力(酸化作用)の大きさを表すHC浄化指数(比較値)を演算し、さらにこれに基づいてNOx触媒36がHC劣化したか否か判定する。
【0118】
HC浄化指数は、HC供給装置40から排気管31内にHCが供給された直後に生じる出ガスNOxセンサ54の出力変化における落ち込み量(b)を入ガスNOxセンサ52の出力変化における落ち込み量(a)で除した商(b/a)として求める。
【0119】
図10は、HC間欠供給時における入ガスNOxセンサ52及び出ガスNOxセンサ54の出力変化の一例を示したものであり、図10(A)はNOx触媒36がHC劣化していないときの出力波形を示し、図10(B)はNOx触媒36のHC劣化が相当に進んだときの出力波形を示す。前述したように、HC劣化が進むとNOx触媒36を通過するHCが多くなるので、HC浄化指数(b/a)が大きくなり、完全に劣化してHC浄化能力がなくなるとHC浄化指数(b/a)は「1」になる。
【0120】
そこで、この実施の形態では、ECU100は、常時、HC間欠供給直後における出ガスNOxセンサ54の出力の落ち込み量(b)と入ガスNOxセンサ52の出力の落ち込み量(a)を演算し、これらからNOx触媒36のHC浄化指数(b/a)を演算し、このHC浄化指数(b/a)が予め設定した判定値γよりも大きくなったときにNOx触媒36がHC劣化したと判定する。尚、判定値γは、この排気浄化装置において出ガスに許容されるHC濃度(許容出ガスHC濃度)から決定される値であり、例えばγ=0.5と設定することことができる。
【0121】
次に、この実施の形態におけるHC劣化判定処理ルーチンを図11を参照して説明する。このルーチンを構成する各ステップからなるフローチャートはECU100のROMに記憶してあり、フローチャートの各ステップにおける処理は総てECU100のCPUによって実行される。
【0122】
<ステップ301>
まず、ECU100は、ステップ301において、HC供給直後の入ガスNOxセンサ52の出力変化に基づいてその落ち込み量(a)を演算し、HC供給直後の出ガスNOxセンサ54の出力変化に基づいてその落ち込み量(b)を演算する。
【0123】
<ステップ302>
次に、ECU100は、ステップ302に進み、ステップ301で演算して求めた両NOxセンサ52,54の出力の落ち込み量(a,b)に基づいて、現時点のHC浄化指数(b/a)を算出する。
【0124】
<ステップ303>
次に、ECU100は、ステップ303に進み、ステップ302で求めた現時点のHC浄化指数(b/a)が予め設定した判定値γよりも大きいか否か判定する。
【0125】
<ステップ304>
ステップ303で肯定判定した場合には、ECU100は、ステップ304に進んで、NOx触媒36がHC劣化したと判定し、本ルーチンを終了する。
【0126】
<ステップ305>
ステップ303で否定判定した場合には、ECU100は、ステップ305に進んで、NOx触媒36はまだHC劣化していないと判定し、本ルーチンを終了する。
【0127】
この実施の形態では、このHC劣化判定処理ルーチンのうちステップ301からステップ302をECU100が実行することにより、本発明に係るHC浄化能力推定手段が実現され、ステップ303からステップ305をECU100が実行することにより、本発明に係るHC劣化判定手段が実現される。
【0128】
尚、HC間欠供給直後における入ガスNOxセンサ52の出力変化は再現性があり、HCの間欠供給量に対応してほぼ一定に変化するので、HC間欠供給直後における入ガスNOxセンサ52の出力の落ち込み量(a)はHCの間欠供給量がわかっていれば推定することができる。
【0129】
したがって、HC供給装置40によるHCの間欠供給量がエンジンの運転状態に応じて予め設定されている場合には、予め実験により、HC間欠供給量と入ガスNOxセンサ52の出力の落ち込み量(a)との関係を求め、これをECU100のROMに記憶させておき、このマップを参照して入ガスNOxセンサ52の出力の落ち込み量(a)を推定するようにすれば、上述した「NOx触媒36のHC浄化指数の演算及びHC劣化判定」に関する限りは、入ガスNOxセンサ52を省略することが可能である。
【0130】
このように、この実施の形態の内燃機関の排気浄化装置では、NOx触媒36の上流と下流に一つずつNOxセンサ52,54を設けただけであるが、これらNOxセンサ52,54の出力を前述の如く所定に処理することによって、NOx触媒36のNOx浄化能力(NOx浄化率)を求めて、NOx劣化判定を行うことができ、また、実HC供給量を推定して、HC供給装置40の故障判定を行うことができ、さらにNOx触媒36のHC浄化能力(HC浄化指数)を求めて、HC劣化判定をすることができる。
【0131】
〔他の実施の形態〕
前述した実施の形態では、排気ガスのHC濃度を急速に増大せしめるのに、HC供給装置40による排気管31へのHCの間欠供給を採用しているが、これに代えて、例えばエンジンの膨張行程や排気行程において燃焼室に燃料を副噴射することにより、排気ガスのHC濃度を急速増大させるようにしてもよい。
【0132】
前述した実施の形態では本発明をディーゼルエンジンに適用した例で説明したが、本発明を希薄燃焼可能なガソリンエンジンに適用することもできる。ガソリンエンジンの場合には、燃焼室に供給する混合気をストイキあるいはリッチ空燃比にすることにより排気空燃比を理論空燃比あるいはリッチ空燃比にし、排気ガス中の酸素濃度を低下させて、NOx触媒36に吸収されているNOxを放出・還元させることができる。
【0133】
前述した実施の形態では、ケーシング37に内蔵する触媒を吸蔵還元型NOx触媒としたが、この触媒を選択還元型NOx触媒とすることもできる。触媒を選択還元型NOx触媒とした場合にも、吸蔵還元型NOx触媒の場合と同様の作用・効果が奏される。
【0134】
【発明の効果】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、内燃機関の排気ガスのHC濃度を増大せしめるHC濃度増大手段と、酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有し内燃機関の排気通路に設置されて排気ガスのNOx濃度を検出するNOx濃度検出手段と、前記HC濃度増大手段により排気ガスのHC濃度を急速に増大せしめた時における前記NOx濃度検出手段の検出値に基づいて排気ガスのHC濃度増大量を推定するHC濃度増大量推定手段と、を備えることにより、HC濃度検出手段がなくても、NOx濃度検出手段の検出値から排気ガスのHC濃度増大量(HC供給量)を推定することができる。
【0135】
また、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置において、故障判定手段を備えた場合には、HC濃度増大手段が故障か否かを判定することができ、故障時の早期対応が可能になる。
【0136】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置によれば、内燃機関の排気通路に設けられた触媒と、前記触媒に流入する前記内燃機関の排気ガスのHC濃度を増大せしめるHC濃度増大手段と、酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有し前記触媒の下流に設置されて排気ガスのNOx濃度を検出する触媒下流NOx濃度検出手段と、前記HC濃度増大手段によりHC濃度を急速に増大せしめた時における前記触媒下流NOx濃度検出手段の検出値に基づいて前記触媒のHC浄化能力を推定するHC浄化能力推定手段と、を備えることにより、触媒のNOx浄化能力を知ることができるだけでなく、触媒のHC浄化能力を推定することができる。
【0137】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置において、前記触媒の上流に触媒上流NOx濃度検出手段を備えた場合には、触媒のHC浄化能力をより正確に推定することができる。
【0138】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置において、HC劣化判定手段を備えた場合には、触媒がHC劣化したか否か判定することができ、劣化後の早期対応が可能になる。
【0139】
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置において、NOx劣化判定手段を備えた場合には、触媒がNOx劣化したか否かを判定することができ、劣化後の早期対応が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の一実施の形態の概略構成図である。
【図2】 吸蔵還元型NOx触媒のNOx吸放出作用を説明するための図である。
【図3】 前記実施の形態におけるNOxセンサの概略構成を示す図である。
【図4】 HC間欠供給時における入ガスNOxセンサの出力変化の一例を示す図である。
【図5】 HC間欠供給量とNOxセンサ出力の落ち込み量との関係を示す図である。
【図6】 HC間欠供給時における出ガスNOxセンサの出力変化の一例を示す図である。
【図7】 出ガスNOxセンサの出力が収束する様子を説明するための図である。
【図8】 前記実施の形態におけるNOx劣化判定処理ルーチンである。
【図9】 前記実施の形態におけるHC供給装置故障判定処理ルーチンである。
【図10】 前記実施の形態においてHC劣化前と劣化後の入ガスNOxセンサと出ガスNOxセンサの出力変化の一例を示す図である。
【図11】 前記実施の形態におけるHC劣化判定処理ルーチンである。
【符号の説明】
1 ディーゼルエンジン
21〜26 燃料噴射弁
31 排気管(排気通路)
36 吸蔵還元型NOx触媒
40 HC供給装置(HC濃度増大手段)
52 入ガスNOxセンサ(触媒上流NOx濃度検出手段)
54 出ガスNOxセンサ(触媒下流NOx濃度検出手段)
100 ECU(HC濃度増大量推定手段、故障判定手段、HC浄化能力推定手段、HC劣化判定手段、NOx劣化判定手段)

Claims (9)

  1. 内燃機関の排気ガスのHC濃度を増大せしめるHC濃度増大手段と、
    酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有し内燃機関の排気通路に設置されて排気ガスのNOx濃度を検出するNOx濃度検出手段と、
    前記HC濃度増大手段が排気ガスのHC濃度を、該HC濃度の増大前に比べて前記NO x 濃度検出手段の検出値が一時的に低下するほど急速に増大せしめた時における該NOx濃度検出手段の検出値の低下量に基づいて排気ガスのHC濃度増大量を推定するHC濃度増大量推定手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記HC濃度増大量推定手段は、前記NO x 濃度検出手段の検出値の低下量が大きいほど前記HC濃度増大量を大きな値として推定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記HC濃度増大量推定手段は、前記検出値の低下量が同一の条件下においては、HC濃度の増大前における前記NO x 濃度検出手段の検出値が大きいほど前記HC濃度増大量を大きな値として推定することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記HC濃度増大量推定手段により推定された推定HC濃度増大量と前記HC濃度増大手段により増大すべき目標HC濃度増大量との比較値が所定の許容範囲から外れたときにHC濃度増大手段が故障であると判定する故障判定手段、を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 内燃機関の排気通路に設けられた触媒と、
    前記触媒に流入する前記内燃機関の排気ガスのHC濃度を増大せしめるHC濃度増大手段と、
    酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有し前記触媒の下流に設置されて排気ガスのNOx濃度を検出する触媒下流NOx濃度検出手段と、
    前記HC濃度増大手段がHC濃度を、該HC濃度の増大前に比べて前記触媒下流NO x
    濃度検出手段の検出値が一時的に低下するほど急速に増大せしめた時における該触媒下流NOx濃度検出手段の検出値の低下量に基づいて前記触媒のHC浄化能力を推定するHC浄化能力推定手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  6. 酸素イオン伝導体を用いた酸素ポンプを有し前記触媒の上流に設置されて排気ガスのNOx濃度を検出する触媒上流NOx濃度検出手段を備え、
    前記HC浄化能力推定手段は、前記HC濃度増大手段がHC濃度を、該HC濃度の増大前に比べて前記触媒上流NO x 濃度検出手段及び前記触媒下流NO x 濃度検出手段の検出値が一時的に低下するほど急速に増大せしめた時における該触媒上流NOx濃度検出手段の検出値の低下量該触媒下流NOx濃度検出手段の検出値の低下量とを比較し、その比較値に基づいて前記触媒のHC浄化能力を推定することを特徴とする請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 前記HC濃度増大手段によって増大せしめられるHC濃度増大量は内燃機関の運転状態に応じて予め設定されていることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  8. 前記HC浄化能力推定手段によって推定した前記触媒のHC浄化能力が所定の能力以下のときに前記触媒はHC劣化したと判定するHC劣化判定手段を備えることを特徴とする請求項からのいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  9. 前記HC濃度増大手段によるHC濃度増大が行われていない時における前記触媒下流NOx濃度検出手段の検出値から前記触媒のNOx浄化能力を求め、このNOx浄化能力が所定の能力以下のときに前記触媒がNOx劣化したと判定するNOx劣化判定手段を備えることを特徴とする請求項からのいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
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