JP4252321B2 - エアバッグドア部付車両用内装品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアバッグドア部付車両用内装品に関し、特に、ドア部の補強対策に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エアバッグドア付車両用内装品として、例えば特許文献1に開示されているように、インストルメントパネルを構成するパネル本体に破断予定部とドアヒンジ部とを設け、この破断予定部及びドアヒンジ部により、エアバッグモジュールの作動時に開放するドア部を形成したものが一般に知られている。この種の車両用内装品では、破断予定部がエアバッグの膨張により破断し、これにより、ドア部がドアヒンジ部を支軸として回動しながら開放してエアバッグを車室に膨出させるようになっている。
【0003】
上記文献に開示された車両用内装品の基材には、ドア部に対応して配置される開口部と、この開口部の車両前後両側に配置され、ネジ孔が形成された一対のボス部とが設けられている。また、開口部に対応するように金属板からなるドア部材が配置されるとともに、このドア部材を支持するための補強ガイドが設けられている。ドア部材は、車両前側のボス部に締結固定するためのネジ取付面と、このネジ取付面にヒンジ部を介して接続されるとともに上記開口部を塞ぐドア本体とを備えている。一方、補強ガイドは、前側が開放する平面視でコ字状に形成されるとともに、前端部においてドア部材のネジ取付面及び前側のボス部と締結される一方、後端部において後側のボス部と締結されている。そして、この補強ガイドは、ドア本体の前側一辺となるヒンジ部を除くフリーサイドの3辺のちょうど下側に位置するように配置されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−127883号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記開示された従来のものでは、パネル本体の基材に開口部を設け、この開口部に対応してドア部材を配置する構成であるために、このドア部材によってパネル本体を十分に補強できるとは言い難く、例えば乗員によるパネル本体表側からの押圧によってもパネル本体が撓んだり、破損したりしてしまうことが起こり得るという問題がある。また、ドア部材のドア本体を支持する補強ガイドが必要となり、部品点数が増加してしまうという問題がある。さらに、開口部を閉塞するために発泡層が設けられ、この発泡層を成形する際に基材とドア本体との間の隙間を塞ぐシールテープも必要となり、製法が複雑となるとともに、コストが増大する原因ともなる。
【0006】
そこで、本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エアバッグドア部付車両用内装品のドア部近傍における強度を増大しつつ、エアバッグモジュールの作動時にドア部を安定して開放させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明では、基材ドア部の裏側に筒状体とバックアップ部材とを配置し、このバックアップ部材におけるドアヒンジ部側のバックアップフランジ部をドア部外側の基材に結合するとともに、ドアヒンジ部両側に位置する外端部を、筒状体のフランジ部とドア部の基材との間の隙間にドア部と一体となって展開可能に保持するようにしたものである。
【0008】
具体的に、請求項1の発明は、厚みが均等で表裏面が平坦な基材に破断予定部とドアヒンジ部とが形成され、上記破断予定部及びドアヒンジ部によりドア部が構成されており、上記ドア部の裏側に位置するエアバッグモジュールの作動により上記破断予定部が破断して、ドア部が上記ドアヒンジ部を支軸として回動しながら開き、該破断によって形成された開口部からエアバッグが車室内へ膨出するようにしたエアバッグドア部付車両用内装品を前提とする。
【0009】
そして、上記基材の裏側には、上記ドア部に対応するように筒状体が配置され、上記筒状体は、上記エアバッグモジュールを収容する矩形筒状の本体部と、上記ドアヒンジ部の長さ方向両側でドア部の端末と重なる位置よりドア部の外側に延びて基材裏面に取り付られたフランジ部とが一体に形成されてなり、上記フランジ部は、上記ドアヒンジ部の長さ方向両側に位置する本体部側壁における基材側の縁部から上記基材裏面との間に所定範囲に亘って隙間を有した状態で外側に延び、所定部位で基材側に段差状に折れ曲がり、上記所定部位より先端部が上記ドア部外側の基材裏面に結合され、上記ドア部の裏面には板状のバックアップ部材が結合され、上記バックアップ部材には、上記本体部側に凹んだバックアップヒンジ部が上記ドアヒンジ部に対応して一体に形成され、上記バックアップ部材におけるバックアップヒンジ部のドア部外側のバックアップフランジ部は、上記基材の裏面におけるドア部外側に結合され、上記バックアップヒンジ部の長さ方向両側に位置するバックアップ部材の外端部は、上記筒状体のフランジ部とドア部の基材裏面との間の上記隙間に配置され、ドア部と一体となって展開可能にフランジ部で保持され、上記破断予定部のうち上記ドアヒンジ部の長さ方向両側から反ドアヒンジ部側に延びる破断予定部は、上記隙間においてバックアップ部材より外側に位置している。
【0010】
この請求項1の発明では、バックアップヒンジ部のドア部外側に位置するバックアップ部材のバックアップフランジ部を基材に結合し、バックアップヒンジ部の長さ方向両側に位置するバックアップ部材の外端部を、ドア部の基材と筒状体のフランジ部との間の隙間に保持している。これにより、バックアップヒンジ部の長さ方向両側に位置するバックアップ部材の外端部を基材裏面に結合される筒状体で支持することができ、これにより、ドア部の剛性を増大することができる。したがって、ドア部が基材の表側から押圧されても変形しない強度を容易に確保することができる。
【0011】
そして、エアバッグモジュールが作動したときには、エアバッグの膨出により破断予定部が破断し、ドア部は、ドアヒンジ部を支軸として回動して開放する。このとき、バックアップ部材は、そのバックアップヒンジ部の長さ方向両側の外端部が筒状体のフランジ部から離間し、バックアップヒンジ部を支軸としてドア部と一体となって展開する。したがって、ドア部の開放時には、バックアップ部材の外端部を筒状体から支障なく離間させることができ、ドア部を安定して開放させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、参考例及び本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
(参考例)
図1及び図2は、参考例に係るエアバッグドア部付車両用内装品としてのインストルメントパネル1を示している。このインストルメントパネル1は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等からなる基材3と、この基材3の表側に配置されたポリプロピレン(PP)等からなる表皮材5と、これら基材3と表皮材5との間に発泡ウレタン樹脂原料等を注入後、発泡硬化させて一体成形したウレタンフォーム等からなる発泡層4とで構成されている。
【0014】
上記インストルメントパネル1の助手席前方部分には、ドア部7が形成されている。このドア部7は、エアバッグの膨張圧力で破断する薄肉の破断予定部9と、上記ドア部7の開作動支点となるドアヒンジ部11a,11bとで囲まれた矩形領域により構成されている。上記ドアヒンジ部11a,11bは、破断予定部9より若干厚肉に設定されている。すなわち、基材3の裏面には、断面略V字状の第1凹溝3aと、この第1凹溝3aよりも浅い断面略V字状の第2凹溝3bとの2種類の凹部が形成されており、この第1凹溝3aの表側が他の部位よりも薄肉の破断予定部9とされ、また、第2凹溝3bの表側が破断予定部9よりも僅かに厚肉のドアヒンジ部11a,11bとされている。
【0015】
上記破断予定部9は、図1に示すように、車幅方向に延びる横破断予定部9aと、該横破断予定部9aの両端から車両前後方向に延びる左右2つの縦破断予定部9bとで略H字状に形成されている。上記ドアヒンジ部11a,11bは、上記横破断予定部9aと平行に延びるように車両前後方向に並設されている。そして、前側のドアヒンジ部11aは両縦破断予定部9bの車両前端同士を、また後側のドアヒンジ部11bは両縦破断予定部9bの車両後端同士をそれぞれ連結している。
【0016】
すなわち、本参考例では、ドア部7は、横破断予定部9aの車両前側に配置される前側ドア部7aと、横破断予定部9aの車両後側に配置される後側ドア部7bとを備え、これら前側ドア部7a及び後側ドア部7bが車両前後方向に、いわゆる観音開きに開放するように構成されている。
【0017】
尚、本参考例では、破断予定部9に対応する位置の表皮材3の裏側には、表皮材破断用の断面V字状の凹溝が設けられる一方、ドアヒンジ部11a,11bに対応する位置の表皮材の裏側には、このような凹溝は設けられていない。
【0018】
上記ドア部7及びその周囲のインストルメントパネル1の裏面には、略矩形状の金属製板状部材であるバックアップ部材13,14と、金属製部材である筒状体21とが設けられている。上記バックアップ部材13,14は、上記前後2つのドア部7a,7bに対応するように車両前後方向に2つ並設されている。これら前側及び後側の両バックアップ部材13,14には多数の取付孔13a,14aが貫通形成されている。
【0019】
上記前側バックアップ部材13は、前側ドア部7aに対応して配置されるドア補強部13bと、該ドア補強部13bの車両前側に位置し、車両前側のドアヒンジ部11aに対応して配置される車幅方向に延びるバックアップヒンジ部13cと、該バックアップヒンジ部13cの前側、即ち前側ドア部7aの外側(前側)に配置されるバックアップフランジ部13dとが一体に形成されて構成されている。
【0020】
上記ドア補強部13bは、略矩形の板状に形成されるとともに、基材3の裏面に一体に突設された突起部15を熱溶着して前側ドア部7aに固定されている。具体的に、この突起部15をドア補強部13bの取付孔13aに挿通させるとともに、突起部15の先端部が溶融して大径となることで、ドア補強部13bが、基材3と各突起部15の先端部との間に挟まれて固定されている。
【0021】
上記バックアップヒンジ部13cは、車両前側のドアヒンジ部11aのちょうど裏側に位置してこのドアヒンジ部11aに沿うように、前側バックアップ部材13の車幅方向の全体に亘って設けられている。バックアップヒンジ部13cは、中間部が基材3から離れる方向に突出するように湾曲する断面湾曲状に構成されている。
【0022】
一方、上記後側バックアップ部材14は、前側バックアップ部材13と同様に形成されるとともに、この前側バックアップ部材13とは前後方向が逆になるように配置されている。すなわち、後側バックアップ部材14は、後側ドア部7bに対応して配置されるドア補強部14bと、該ドア補強部14bの車両後側に位置し、車両後側のドアヒンジ部11bに対応して配置される車幅方向に延びるバックアップヒンジ部14cと、該バックアップヒンジ部14cの後側、即ち後側ドア部7aの外側(後側)に配置されるバックアップフランジ部14dとが一体に形成されて構成されている。そして、ドア補強部14bは、取付孔14aに突起部15が挿通され、前側バックアップ部材13と同様に後側ドア部7bに結合されている。
【0023】
上記筒状体21は、図2及び図3に示すように、矩形筒状の本体部23を備えている。この本体部23は、上記基材3から離れる方向に延びかつドア部7に対応した矩形状のシューティング口を構成する開口部27を上端に有する筒状に形成されている。
【0024】
本体部23には、車両前後方向両側に位置する側壁の上端部(基材3側の縁部)からそれぞれ前側又は後側に基材3に沿って延びる延設部23aが一体に設けられている。この延設部23aには、上記バックアップ部材13,14のバックアップフランジ部13d,14dにおける取付孔13a,14aに対応して配置される取付孔23c,23cが設けられている。この取付孔23c,23cには、上記基材3裏面に一体に突設されて上記バックアップ部材13,14の取付孔13a,14aを貫通する突起部15,15が挿入されている。延設部23a,23aは、バックアップ部材13,14のバックアップフランジ部13d,14dを挟持するように、上記基材3に取付固定されている。つまり、延設部23a,23aは、バックアップ部材13,14のバックアップフランジ部13d,14dの下側に重合された状態で、上記ドア補強部13b,14bと同様に上記各突起部15,15によって基材3に固定されている。
【0025】
本体部23内にはエアバッグモジュール28が収容されている。このエアバッグモジュール28は、折り畳んだ状態のエアバッグ29と、このエアバッグ29にガスを充満させてエアバッグ29を膨張させるインフレータ(図示省略)とが収納されたエアバッグケース30を備えている。このエアバッグケース30の下端部にはネジ部材31が下向きに突設される一方、側部には釣り針状の取付具32が固定されている。ネジ部材31は、金属製ブラケット33の一端側に形成した貫通孔33aに挿通され、その状態でナット35を上記ネジ部材31に螺合させることにより上記ブラケット33がエアバッグケース30下端に締結されている。そして、このブラケット33の他端側は、インストルメントパネル1を支持する金属製インパネレインフォースメント37に溶接固定されている。このインパネレインフォースメント37は車幅方向に延びるものであり、その両端部において車体(図示省略)に固定されている。すなわち、上記エアバッグケース30下端がインパネレインフォースメント37にブラケット33を介して連結されている。
【0026】
上記エアバッグケース30の取付具32の先端部は、上記筒状体21の本体部23に形成した長孔23dに挿入されている。このように取付具32が本体部23の長孔23dに挿入されることで、エアバッグ29の展開時に取付具32が長孔23dに引っ掛かって筒状体21が車室側に飛び出すのを防止できるようになっている。
【0027】
筒状体21は、図3に示すように、本体部23の側壁の上端部から基材3に沿って延びるフランジ部25を一体に備えている。上記本体部23の側壁のうち車幅方向両側、即ちドアヒンジ部11a,11bの長さ方向両側に位置する側壁は、ドア部7内側、即ち破断予定部9の破断後、ドア部7の車幅方向の両縁部となる両縦破断予定部9bの内側に配置されており、この側壁は上記ドア補強部13bの外端部よりも内側を車両前後方向に延びている。そして、フランジ部25は、基材3との間に略一定高さの隙間Sを有した状態で上記側壁から所定範囲に亘って車幅方向に延びている。つまり、フランジ部25は、側壁からドア補強部13bの外端部を越え、縦破断予定部9bの近傍まで延び、縦破断予定部9bのちょうど下側で基材3側(上側)に段差状に折れ曲がっている。この折れ曲がった部位よりも先端部25aは、さらに基材3に沿って車幅方向に延びている。この縦破断予定部9よりも外側に位置する先端部25aには取付孔25bが貫通形成されており、この先端部25aは、上記延設部23aと同様に、基材3の裏面に突設した突起部15で基材3に溶着固定されている。
【0028】
上記ドア部7aの基材3とフランジ部25との間の隙間Sには、上記ドア補強部13b(バックアップ部材13)における車幅方向両側の外端部が挟み込まれており、よって、このドア補強部13bの外端部はドア部7aの基材3とフランジ部25との間の隙間Sに保持されている。すなわち、ドア補強部13bが前側ドア部7aにおける基材3の下側に固定された上で、筒状体21のフランジ部25がドア補強部13bの外端部の下側に位置するように配置され、その状態でドア補強部13bよりも外側に位置するフランジ部25の先端部25aが基材3の下側に固定されている。これにより、バックアップ部材13のドア補強部13bは、前側ドア部7aと一体に展開可能に上記隙間Sに保持されている。この隙間Sは、前側バックアップ部材13から後側バックアップ部材14に亘り、横破断予定部9aを跨いで設けられている。尚、フランジ部25は、その車両前後方向の両端部において上記本体部23の延設部23aにおける車幅方向の両端部と連続するように一体に形成されている。また、図3では、前側バックアップ部材13の車幅方向の一端部について示しているが、他端部においても同様の構成となっている。また、図示省略するが、後側バックアップ部材14における車幅方向の両端部の構成もこれと同様である。
【0029】
以上の如き構成を持つ本参考例では、両バックアップ部材13,14のバックアップフランジ部13d,14dがそれぞれ基材3に固定され、ドア補強部13b,14bの車幅方向両側の外端部が、基材3及びフランジ部25間の隙間Sに保持されており、これにより、ドア補強部13b,14bにおける車幅方向両側の外端部を基材3裏面に固定された筒状体21で支持することができ、ドア部7の剛性を増大することができる。この結果、基材3の表側から押圧されても変形し難い強度を容易に確保することができる。
【0030】
すなわち、ドア部7a,7bの開放時に、バックアップ部材13,14のドア補強部13b,14bをこのドア部7a,7bと一体に展開させるためには、ドア補強部13b,14bがドア部7外側の基材3と干渉しないように、ドアヒンジ部11a,11bの長さ方向両側に位置するドア補強部13b,14bの外端部は、ドア部7内側に位置することが必要となる。このため、破断予定部9を跨ぐようにドア補強部13b、14bを設けることはできないが、筒状体21の本体部23を、その側壁がドア部7の内側に位置するように構成することで、筒状体21によってドア補強部13b,14bの上記外端部を支持することが可能となる。そして、筒状体21のフランジ部25を、上記本体部23の側壁からドア部7外側に向かって所定範囲に亘り、基材3との間に隙間Sを有した状態に形成することで、このフランジ部25で上記ドア補強部13b,14bを支持しつつ、フランジ部25の先端部25aをドア部7外側における基材3の裏面に固定することができる。これにより、基材3の表側から押圧されても変形し難い強度を確保できる。
【0031】
一方、自動車の衝突が検出されてエアバッグモジュール28が作動すると、インフレータが作動してエアバッグ29が膨張する。このエアバッグ29の膨張により、両バックアップ部材13,14を押圧し、その膨張圧力によって、破断予定部9が破断する。この破断予定部9の破断に伴い、ドア部7a,7bがドアヒンジ部11a,11bを支軸として回動しながら観音開きの状態に開放する。このとき、両バックアップ部材13,14のドア補強部13b,14bは、このバックアップ部材13,14を下側から支持するフランジ部25から離間し、バックアップヒンジ部13c,14cを支軸としてドア部7a,7bと一体となって展開する。したがって、筒状体21が何ら支障となることなくドア部7a,7bを安定して開放させることができる。
【0032】
(実施形態)
図4及び図5は本発明の実施形態を示し、本実施形態は、バックアップ部材13,14及び筒状体21をそれぞれ樹脂製部材により構成したものである。尚、上記参考例と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0033】
本実施形態では、インストルメントパネル1は、基材3と表皮材5とからなり、この表皮材5は基材3に直接接合一体化されている。
【0034】
前側バックアップ部材13の上面には溶着用の突起13eが突設されており、この突起13eにおいてバックアップ部材13は基材3の裏面に振動溶着されている。一方、図示省略するが、後側バックアップ部材14にも同様に溶着用の突起が突設されており、この突起において基材3の裏面に振動溶着されている。
【0035】
図4に示すように、前側バックアップ部材13のバックアップフランジ部13dには、上方に開口した箱状の複数個の嵌入部41が所定間隔をあけて一体に設けられ、この嵌入部41の底部には貫通孔41aが形成されている。一方、図示省略するが、後側バックアップ部材14のバックアップフランジ部14dにも同様の嵌入部が形成されている。
【0036】
筒状体21の本体部23には、車両前後方向の側壁における上端部に、上記バックアップ部材13,14の嵌入部41を嵌合する嵌合部43が一体に設けられている。この嵌合部43は、上記側壁の外面から車両前後方向に突出した後に、先端部が上方に折れ曲がっていて、断面鉤状に形成されている。この嵌合部43の底部には上記嵌入部41の貫通孔41aに対応するように貫通孔43aが形成されている。そして、嵌合部43に嵌入部41を嵌め込み、その状態で嵌入部41の貫通孔41aと嵌合部43の貫通孔43aとに亘りボルト45を嵌入部41側から該ボルト45の頭部が嵌入部41内に回り止めされて没入状態に嵌合されるように挿通し、貫通孔43aからバックアップ部材13,14裏側(下側)に突出したボルト45のネジ部にナット46を螺合させることにより、嵌合部43は、嵌入部41に締結されている。
【0037】
図5に示すように、筒状体21のフランジ部25は、上記参考例と同様に、車幅方向両側の本体部23の側壁から縦破断予定部9bの近傍まで基材3との間に隙間Sを有した状態で所定範囲に亘って車幅方向に延び、縦破断予定部9bのちょうど下側で基材3側に段差状に折れ曲がった後、この折れ曲がった部位から更に基材3に沿って車幅方向に延びている。この折れ曲がった部位よりも先端部25aの上面には、溶着用の突起25cが突設されており、フランジ部25は、この先端部25aでドア部7外側の基材3の裏面に振動溶着されている。尚、図5では、車幅方向の一端側のフランジ部25のみを示しているが、他端側でもフランジ部25は同様の構成となっている。
【0038】
したがって、本実施形態においても、上記参考例と同様に、両バックアップ部材13,14は、バックアップフランジ部13d,14dにおいてそれぞれ基材3に固定されるとともに、ドア補強部13b,14bにおける車幅方向の両外端部において基材3及びフランジ部25間の隙間Sに保持されているために、ドア部7の剛性を有効に増大することができる。この結果、基材3の表側から押圧されても変形し難い強度を容易に確保することができる。さらに、エアバッグモジュール28の作動時において、何ら支障なくドア部7を安定して開放させることができる。
【0039】
その他の構成、作用及び効果は上記参考例と同様である。
【0040】
【発明のその他の実施の形態】
上記実施形態では、ドア部7を前後一対のドア部7a,7bからなる観音開きタイプに構成したが、これに代え、ドア部7を片側開きタイプに構成してもよい。この場合には、バックアップ部材13(14)は、ドア部7に対応して前側又は後側の何れか一方のみを設ければ足りる。この場合において、筒状体21の本体部23には、車幅方向両側の側壁に加え、バックアップヒンジ部13c(14c)と反対側に位置する側壁にもフランジ部を一体に形成する構成としてもよい。具体的に、このフランジ部は、バックアップヒンジ部13c(14c)と反対側に位置するドア補強部13b(14b)の先端部に対応する上記本体部23の側壁に設けられるとともに、この側壁からドア補強部13b(14b)の先端部を越えて横破断予定部9aの近傍まで基材3との間に略一定高さの隙間Sを有した状態でドア部7外側に向かって車両前後方向に延び、横破断予定部9aの下側で基材3側に段差状に折れ曲がり、この折れ曲がった部位よりも先端部において、ドア部7外側の基材3に結合される。そして、このドア補強部13b(14b)の先端部が上記隙間Sに保持される。こうすることで、バックアップ部材13(14)による補強機能を更に向上させることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明のエアバッグドア部付車両用内装品によれば、バックアップヒンジ部のドア部外側に位置するバックアップ部材のバックアップフランジ部を基材に結合するとともに、バックアップヒンジ部の長さ方向両側に位置する外端部をドア部の基材と筒状体のフランジ部との間の隙間に保持するようにしたので、ドア部の剛性を増大できる。これにより、基材の表側から押圧されても変形しない強度を容易に確保することができる。そして、ドア部の開放時には、バックアップ部材を、ドアヒンジ部の長さ方向両側の外端部において上記フランジ部から容易に離間させることができ、ドア部と一体となって展開可能にできるので、ドア部を安定して開放させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例に係るインストルメントパネルの主要部を示す斜視図である。
【図2】 図1のII−II線における拡大断面図である。
【図3】 図1のIII−III線における拡大断面図である。
【図4】 実施形態における要部の部分断面図である。
【図5】 実施形態における図3相当図である。
【符号の説明】
3 基材
7 ドア部
9 破断予定部
11a ドアヒンジ部
11b ドアヒンジ部
13 前側バックアップ部材
13c バックアップヒンジ部
13d バックアップフランジ部
14 後側バックアップ部材
14c バックアップヒンジ部
14d バックアップフランジ部
21 筒状体
23 本体部
25 フランジ部
25a 先端部
28 エアバッグモジュール
29 エアバッグ
S 隙間
Claims (1)
- 厚みが均等で表裏面が平坦な基材(3)に破断予定部(9)とドアヒンジ部(11a,11b)とが形成され、
上記破断予定部(9)及びドアヒンジ部(11a,11b)によりドア部(7)が構成されており、
上記ドア部(7)の裏側に位置するエアバッグモジュール(28)の作動により上記破断予定部(9)が破断して、ドア部(7)が上記ドアヒンジ部(11a,11b)を支軸として回動しながら開き、該破断によって形成された開口部からエアバッグ(29)が車室内へ膨出するようにしたエアバッグドア部付車両用内装品であって、
上記基材(3)の裏側には、上記ドア部(7)に対応するように筒状体(21)が配置され、
上記筒状体(21)は、上記エアバッグモジュール(28)を収容する矩形筒状の本体部(23)と、上記ドアヒンジ部(11a,11b)の長さ方向両側でドア部(7)の端末と重なる位置よりドア部(7)の外側に延びて基材(3)裏面に取り付けられたフランジ部(25)とが一体に形成されてなり、
上記フランジ部(25)は、上記ドアヒンジ部(11a,11b)の長さ方向両側に位置する本体部(23)側壁における基材(3)側の縁部から上記基材(3)裏面との間に所定範囲に亘って隙間(S)を有した状態で外側に延び、所定部位で基材(3)側に段差状に折れ曲がり、上記所定部位より先端部(25a)が上記ドア部(7)外側の基材(3)裏面に結合され、
上記ドア部(7)の裏面には板状のバックアップ部材(13,14)が結合され、
上記バックアップ部材(13,14)には、上記本体部側に凹んだバックアップヒンジ部(13c,14c)が上記ドアヒンジ部(11a,11b)に対応して一体に形成され、
上記バックアップ部材(13,14)におけるバックアップヒンジ部(13c,14c)のドア部(7)外側のバックアップフランジ部(13d,14d)は、上記基材(3)の裏面におけるドア部(7)外側に結合され、
上記バックアップヒンジ部(13c,14c)の長さ方向両側に位置するバックアップ部材(13,14)の外端部は、上記筒状体(21)のフランジ部(25)とドア部(7)の基材(3)裏面との間の上記隙間(S)に配置され、ドア部(7)と一体となって展開可能にフランジ部(25)で保持され、
上記破断予定部(9)のうち上記ドアヒンジ部(11a,11b)の長さ方向両側から反ドアヒンジ部(11a,11b)側に延びる破断予定部(9b)は、上記隙間(S)においてバックアップ部材(13,14)より外側に位置していることを特徴とするエアバッグドア部付車両用内装品。
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