以下に添付図面を参照して、本発明に係る好適な一実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係る通信システムの一例を示す構成図であり、同図に示した通信システムは、例えば、ページャー1、外部無線装置2、端末装置3、TELダイアラー装置4、公衆回線網5…、通信センター装置6、及び送信局7…より構成されている。図1には、説明上、端末装置3、TELダイアラー装置4、ページャー1、及び外部無線装置2がそれぞれ一機のみ図示されてるが、実際には複数存在するものとする。
以上の通信システムにおいて、ページャー1は、POCSAG方式を採用した選択呼出受信機のひとつであり、自己に固有の呼出番号が与えられている。このページャー1は、送信局7から送信された無線データ信号に基づいてメッセージ表示等の処理を実行する。外部無線装置2は、ページャー1より発信された無線信号を受信して報知等の処理を実行する機能を有している。この外部無線装置2は、この実施の形態において、ページャー1と同様に自己に固有の呼出番号が与えられ、送信局7から送信された無線データ信号に基づいてメッセージ表示等の処理を実行する。端末装置3は、公衆回線網5に接続されたパーソナルコンピュータ等の端末機器であり、TELダイヤラー装置4は、公衆回線網5に接続されたプッシュホン等の装置であり、これらの装置3,4はページャー1に対するメッセージ送信の依頼を通信センター装置6に要求することができる。公衆回線網5は、通信センター装置6に接続されており、端末装置3やTELダイアラー装置4からの呼出し要求を通信センター装置6に送出する。
通信センター装置6は、公衆回線網5…と送信局7…とに接続された中央基地局であり、各公衆回線網5から受け取った呼出し要求に応じて送信局7…に呼出し対象であるページャーの呼出しを指示する。各送信局7は、アンテナを具備しており、通信センター装置6からの指示に従ってページャー1に対し無線データ信号を送信する。
次に、ページャー1について詳述する。図2はページャー1の外観形状を示す正面図である。図2に示したページャー1において、正面には、受信メッセージ等の画像を表示するLCD等の表示部18と、LED等の発光素子により点滅(又は点灯)発光する青ランプ20a,黄ランプ20b,赤ランプ20cよりなる色別ランプ部20と、この青ランプ20a,黄ランプ20b,赤ランプ20cをそれぞれ具備した青スイッチ21a,黄スイッチ21b,赤スイッチ21cよりなる色別スイッチ部21とが設けられ、右側部には、選択呼出しの着信に応じて音声、鳴音又は音楽を報知するスピーカ部19が設けられ、左側部には、電源スイッチ23が設けられている。
図3はページャー1の内部構成を示すブロック図である。図3に示したページャー1は、例えば、アンテナ11、RF受信部12、デコーダ部13、ID−ROM14、制御部15、ROM16、RAM17、表示部18、スピーカ部19、色別ランプ部20、色別スイッチ部21、電源22、電源スイッチ23、送信部24、及びアンテナ25より構成されている。
アンテナ11は、送信局7…(図1参照)からの無線データ信号(アドレスデータ、メッセージデータ等)を受信してRF受信部12に出力する受信装置であり、RF受信部12は、デコーダ部13の制御に従って、ID−ROM14のIDデータの内のフレームデータで設定された自己フレームのタイムスロットで間欠駆動し、アンテナ11で受信された信号を検波、復調して、デコーダ部13に出力する機能を有している。ID−ROM14は、ページャー1に設定されたアドレスデータ、間欠受信タイミングを示すフレームデータ等のデータを登録するメモリである。デコーダ部13は、RF受信部12より入力された呼出番号データ(アドレスデータ)と、ID−ROM14に登録されたアドレスデータとを照合して、一致の際には、制御部15に一致信号を出力して、その受信動作をRF受信部12に対して継続させるように制御する機能を有している。
制御部15は、ROM16に格納された各種プログラムに従ってページャー1全体の動作を制御するCPU等の制御装置であり、図3に示した如く結合された各ユニットを制御信号で制御したり、データのリード/ライトを制御する。この制御部15では、図7に示したフローチャートに従うプログラムに従って、受信されたメッセージ情報に含まれるコマンドに応じて色別ランプ部20(青ランプ20a,黄ランプ20b,赤ランプ20c)の点滅色(発光色)を制御すると共に、発光制御中の青ランプ20a、黄ランプ20b、又は赤ランプ20cを具備したスイッチ(青スイッチ21a、黄スイッチ21b、又は赤スイッチ21c)の押下に応じて音声、音楽、表示等の報知処理や自機に対応する外部無線装置2に対する応答信号の発信処理を制御する。
ROM16は、制御部15が動作するための各種プログラム(図7のフローチャートに従うプログラム等)を格納していると共に、キャラクタコードに基づいて表示データ(キャラクタイメージ)を生成するためのキャラクタジェネレータROM部や選択呼出しにより受信された無線データ信号に含まれたコマンドに従って音声もしくは音楽を放音するための音声及び音楽データ(PCM等)ROM部を具備している。ここで、音声及び音楽データは、例えば、自機の所有者が子供の場合にその子供が迷子である旨の音声を出力したり、迷子をなだめる音楽を出力するためのデータを含む。RAM17は、受信メッセージデータ等を格納するメッセージメモリエリア、制御部15が動作する際のワークメモリエリア等のエリアを有している。
表示部18は、図示せぬ表示バッファから表示データを受け取って文字や図形等の画像を表示するものであり、スピーカ部19は、図示せぬスピーカードライバで作成された信号に基づいて上述の鳴音、音声、音楽を発生するものである。
色別ランプ部20の青ランプ20a、黄ランプ20b、赤ランプ20cは、それぞれ制御部15の制御で駆動する図示せぬLEDドライバにより発光(点滅もしくは点灯)するものであり、色別スイッチ部21の青スイッチ21a、黄スイッチ21b、赤スイッチ21cは、それぞれ対応する青ランプ20a、黄ランプ20b、赤ランプ20cが点灯された際の操作で制御部15に有効な信号として取得されるものである。
電源スイッチ23は、スイッチオンで電源22を制御部15を含む各ユニットに供給するものである。
送信部24は、制御部15で形成されたデータを受け取り変調してアンテナ25に出力する送信機能を有している。この送信部24に供給されるデータは、黄ランプ20bの発光時において黄スイッチ21bの有効なスイッチオンがあるか、もしくは黄ランプ20bが一定時間の発光を行った後に形成されるものである。
アンテナ25は、送信部24より受け取った変調信号を無線信号として外部無線装置2に発信するものである。
次に、外部無線装置2について詳述する。図4は外部無線装置2の外観形状を示す正面図である。図4に示した外部無線装置2において、正面には、受信メッセージ等の画像を表示するLCD等の表示部43及びキー入力部42が設けられ、右側部には、選択呼出しの着信に応じて音声を報知するスピーカ部44と、LED等の発光素子により発光(点灯もしくは点滅)する発光部45とが設けられ、左側部には、電源スイッチ47が設けられている。
図5は外部無線装置2の内部構成を示すブロック図である。図5に示した外部無線装置2は、例えば、アンテナ31、RF受信部32、デコーダ部33、ID−ROM34、アンテナ35、RF受信部36、受信レベル検出部37、デコーダ部38、制御部39、ROM40、RAM41、キー入力部42、表示部43、スピーカ部44、発光部45、電源46、及び、電源スイッチ47より構成されている。なお、アンテナ31、RF受信部32、デコーダ部33、及びID−ROM34は、送信局7…の選択呼出しにより無線データ信号を受信するための第1受信部を構成し、アンテナ35、RF受信部36、受信レベル検出部37、及びデコーダ部38は、ページャー1より受信された無線信号を受信するための第2受信部を構成している。
アンテナ31は、送信局7…(図1参照)からの無線データ信号(アドレスデータ、メッセージデータ等)を受信してRF受信部32に出力する受信装置であり、RF受信部32は、デコーダ部33の制御に従って、ID−ROM34のIDデータの内のフレームデータで設定された自己フレームのタイムスロットで間欠駆動し、アンテナ31で受信された信号を検波、復調して、デコーダ部33に出力する機能を有している。ID−ROM34は、外部無線装置2に設定されたアドレスデータ、間欠受信タイミングを示すフレームデータ等のデータを登録するメモリである。デコーダ部33は、RF受信部32より入力された呼出番号データ(アドレスデータ)と、ID−ROM34に登録されたアドレスデータとを照合して、一致の際には、制御部39に一致信号を出力して、その受信動作をRF受信部32に対して継続させるように制御する機能を有している。
制御部39は、ROM40に格納された各種プログラムに従って外部無線装置2全体の動作を制御するCPU等の制御装置であり、図5に示した如く結合された各ユニットを制御信号で制御したり、データのリード/ライトを制御する。この制御部15では、図8に示したフローチャートに従うプログラムに従って、通常のページャー機能、及び本機を親機役とした子機(ページャー1)サーチモードによる着信処理を実行する。
ROM40は、制御部39が動作するための各種プログラム(図8のフローチャートに従うプログラム等)を格納していると共に、キャラクタコードに基づいて表示データ(キャラクタイメージ)を生成するためのキャラクタジェネレータROM部を具備している。RAM41は、受信メッセージデータ等を格納するメッセージメモリエリア、制御部39が動作する際のワークメモリエリア等のエリアを有している。
表示部43は、図示せぬ表示バッファから表示データを受け取って文字や図形等の画像を表示すると共に、制御部39の制御により上記子機サーチモードの際のページャー1からの受信レベルを図形表示するものであり、スピーカ部44は、図示せぬスピーカードライバで作成された信号に基づいて選択呼出しの着信を報知すると共に、制御部39の制御により上記子機サーチモードの際のページャー1からの受信レベルを放音出力するものである。
電源スイッチ47は、スイッチオンで電源46を制御部39及び制御部39に結合された各ユニットに供給するものである。
次に、ページャー1の動作について詳述する。図6はページャー1の無線呼出し方法を説明する図である。
この実施の形態において、ページャー1を通常の選択呼出受信機として用いる場合には、図6(a)に示した如く、ページャー1の呼出番号データ(ID)とメッセージ情報とを対応させた無線データ信号100が送信局7よりページャー1に対して送信される。この場合、コード無しのため、メッセージ情報の受信時に、青ランプ20aの発光及びメッセージ表示が制御される。
また、ページャー1を発信機として用いる場合には、図6(b)に示した如く、上記呼出番号データと迷子コードを含むメッセージ情報とを対応させた無線データ信号101が送信局7よりページャー1に対して送信される。ページャー1において、この迷子コードが受信されると、黄ランプ20bの発光や放音が制御され、更に、無線信号の発信も制御される。外部無線装置2において、子機サーチモードがセットされている場合には、外部無線装置2でページャー1から受信した信号のレベルを報知することから、外部無線装置2とページャー1とは探知機(親機)とその発信機(子機)との関係になる。
また、ページャー1を緊急報知機として用いる場合には、図6(c)に示した如く、上記呼出番号データと緊急コードを含むメッセージ情報とを対応させた無線データ信号102が送信局7よりページャー1に対して送信される。この緊急コードがページャー1に受信されると、赤ランプ20cの発光や放音が制御される。その音声の放音時に、図6(d)に示した如く、上記呼出番号データと停止コードを含むメッセージ情報とを対応させた無線データ信号103が送信局7よりページャー1に対して送信されると、音声の放音は強制的に停止される。
次に、この通信システムの動作について説明する。図7はページャー1の動作を説明するフローチャート、図8は外部無線装置2の動作を説明するフローチャート、図9は図8に示した着信処理を具体的に説明するフローチャート、そして、図10はページャー1及び外部無線装置2の報知例を説明する図である。
以下の説明では、外部無線装置2の所有者(以下に発信者と称する)が、端末装置3もしくはTELダイアラー装置4よりコマンドを入力して、ページャー1を無線呼出しする例を挙げて説明する。
この発信者においては、ページャー1に対してすなわちページャー1の所有者(以下に受信者と称する)に対して「通常」の無線呼出しを行う場合には、図6(a)に示した如く、例えば端末装置3より所望のメッセージ情報を作成入力して、通信センター装置6及び送信局7により所望のメッセージ情報を送信することができる。
また、受信者に対して「迷子」の無線呼出しを行う場合には、図6(b)に示した如く、例えば端末装置3より迷子コード、もしくはその迷子コードを含むメッセージ情報を作成入力して、通信センター装置6及び送信局7により迷子コード(メッセージ情報に相当する)、もしくは迷子コードを含むメッセージ情報を送信することができる。
また、受信者に対して「緊急」の無線呼出しを行う場合には、図6(c)に示した如く、例えば端末装置3より緊急コード、もしくはその緊急コードを含むメッセージ情報を作成入力して、通信センター装置6及び送信局7により緊急コード(メッセージ情報に相当する)、もしくは緊急コードを含むメッセージ情報を送信することができる。
また、受信者に対して「緊急」の無線呼出しに応じて送信先ページャー1の緊急状態を停止させる「停止」の無線呼出しを行う場合には、図6(d)に示した如く、例えば端末装置3より停止コード、もしくはその停止コードを含むメッセージ情報を作成入力して、通信センター装置6及び送信局7により停止コード(メッセージ情報に相当する)、もしくは停止コードを含むメッセージ情報を送信することができる。
そこで、ページャー1においては、電源スイッチ23の操作で自機に電源が供給されると、表示部2に初期画面を形成したりRAM17のワークエリアをクリアする等の初期化処理が実行される(ステップS1)。この後、ステップS2及びS3において、送信局7…からの無線呼出しによる着信受け状態が設定される。このステップS2及びS3の着信受け状態では、図6(a)〜(d)までの4種類の内のいずれかの無線データ信号が受信されることになる。
ステップS3において、無線呼出しの着信が検出されると、自機のID−ROM14に格納されたアドレスデータと無線データ信号に含まれる呼出番号データとの照合がデコーダ部13により実施される。その結果、一致が得られると、制御部15の制御で無線データ信号からメッセージ情報が取り出されてRAM17に格納される(ステップS4)。制御部15においては、この無線呼出しが「通常」、「迷子」、「緊急」、及び「停止」のいずれのタイプであるか判別される(ステップS5)。このステップS5では、メッセージ情報から迷子コード、緊急コード、停止コードの存在が判別される。その判別の結果、メッセージ情報にはどのコードも存在しなかった場合には、この無線呼出しが「通常」のタイプであると判定され、処理はステップS6に移行される。また、上記メッセージ情報からコードが確認されてそのコードが迷子コードであると判別された場合には、この無縁呼出しが「迷子」のタイプであると判定され、処理はステップS11に移行する。同様に、メッセージ情報から確認されたコードが緊急コードであると判別された場合には、この無線呼出しが「緊急」のタイプであると判定され、処理はステップS23に移行する。同様に、メッセージ情報から確認されたコードが停止コードであると判別された場合には、この無線呼出しが「停止」のタイプであると判定され、処理はステップS28に移行する。
このように、ステップS5により無線呼出しが「通常」、「迷子」、「緊急」、「停止」のいずれのタイプであるか判定された後には、以下に続く処理が実行される。
「通常」のタイプでは、ステップS6において、その着信を報知するため、スピーカ部19による鳴音が放音処理される。この鳴音の開始に伴って続くステップS7では、青ランプ20aが、点滅(発光)制御される(図10(a)の斜線部分参照)。この青ランプ20aの点滅中は、この青ランプ20aに対応する青スイッチ21aのスイッチ操作が検出され(ステップS8)、そのスイッチオンの検出によりRAM17に格納されたメッセージ情報に基づくメッセージが、例えば“カエッテキナサイ”(図10(a)参照)のように表示部18上に表示制御される(ステップS9)。このように、ステップS9においてメッセージ表示が行われると、次のステップS10では、スピーカ部19による鳴音が停止制御され、表示部18でのメッセージ表示が停止制御されて、処理はステップS2に戻り再び着信受け状態となる。
また、「迷子」のタイプでは、ステップS11において、その着信を報知するため、スピーカ部19による鳴音が放音処理される。この鳴音の開始に伴って続くステップS12では、黄ランプ20bが点滅(発光)制御される(図10(b)の斜線部分参照)。この黄ランプ20bの点滅制御に伴って、ステップS13では一定時間の計測が開始される。この第1の実施の形態では、上記一定時間は、ステップS11により開始された鳴音と、ステップS12により開始された黄ランプ20bの点滅制御とを継続させる期間であり、迷子が動揺して黄スイッチ21bを押せない場合を想定して計測されるものである。
この一定時間内に、黄ランプ20bに対応する黄スイッチ21bのスイッチ操作が検出されると(ステップS14)、次のステップS15では、スピーカ部19による鳴音と黄ランプ20bの点滅とが停止制御され、続くステップS16において、予めROM16に格納された絵データに基づいて迷子をなぐさめるための絵イメージ(図10(b)参照)が表示部2上に表示される。これと同時に、予めROM16に格納された音楽データに基づいて迷子をなぐさめるための音楽がスピーカ部19より一定時間分放音される。この絵表示と音楽開始に伴い、制御部15では、探知機(親機)に相当する外部無線装置2に対して送信するデータを形成し、このデータを無線信号として送信部24及びアンテナ25より発信させる処理が開始される。
なお、この無線信号には、自機(ページャー1)識別用のコードが含まれており、この発信には、例えば間欠送信が採用される。このステップS17による発信動作は、図示せぬリセットスイッチを操作することにより、停止することができる。したがって、発信機(子機)となったページャー1の所有者、もしくはページャー1の所有者である迷子の親等が停止操作を行うと、その操作を制御部15が検知して(ステップS21)、ステップS16による絵表示及び音楽と、ステップS17による発信とが停止制御される(ステップS22)。
また、ステップS18において、一定時間の計測が終了してタイムアップが確認されると、ステップS11による鳴音とステップS12による黄ランプ20bの点滅とは動作終了となり、続くステップS19において、予めROM16に格納された絵データに基づいて迷子をなぐさめるための絵イメージ(図10(b)参照)が表示部18上に表示されると同時に、予めROM16に格納された音楽データに基づいてこれも迷子をなぐさめるための音楽がスピーカ部19より一定時間分放音される。この絵表示と音楽開始に伴い、制御部15では、探知機(親機)に相当する外部無線装置2に対して送信するデータを形成し、このデータを無線信号として送信部24及びアンテナ25より発信させる処理が開始される。この後、上述したステップS21及びS22のように、停止操作を制御部15が検知すると、絵表示及び音楽と、発信とが停止制御される。
このように、ステップS22において停止制御が行われた後に、処理はステップS2に戻り再び着信受け状態となる。
ここで、この「迷子」のタイプの無線呼出し時における外部無線装置2の対応動作について図8を参照して説明する。
外部無線装置2においても電源スイッチ47の操作で電源が投入されると、ステップS31においてページャー1と同様に初期化処理が実行され、続くステップS32において、アンテナ31、RF受信部32、デコーダ部33、及びID−ROM34よりなる第1受信部の(間欠)受信モードが設定される。この設定により外部無線装置2は、通常のページャーとして機能することになる。
この時点において、キー入力部42における所定のスイッチ操作で子機サーチモードに設定されていた場合には(ステップS33)、ステップS34において、アンテナ35、RF受信部36、受信レベル検出部37、及びデコーダ部38よりなる第2受信部の(間欠)受信モードが設定される。この子機サーチモードは、本機にとり付加的な受信モードであり、ステップS33において子機サーチモードではないと判定した場合、及び、ステップS34において第2受信部の受信モード設定が行われた場合のいずれであっても、処理はステップS35に移行し、着信受け状態が設定される。
この着信受け状態において着信の有無がステップS36により判定され、その判定対象となる着信は、第1受信部で受信される送信局7…からの無線データ信号と、子機サーチモード設定時において第2受信部で受信されるページャー1からの無線信号との2種類である。子機サーチモードが設定されていない場合には、ページャー機能だけとなるので、第1受信部での無線データ信号の着信判定のみとなる。この着信判定は、後述するステップS37の着信処理によって行われる。
また、このステップS36において着信無しの判定があると、処理はステップS38に移行して、キー入力部42の操作によるキー入力判定が行われる。その際、ステップS38においてキー入力が検出されると、次のステップS39において、このキー入力がモードを切替えるためのモード切替キーか、それともメッセージ表示等を行うための他のキーか判別される。その結果、他のキー入力であると判別された場合には、処理はステップS43に移行して、そのキー入力に応じた処理が実行される。一方、ステップS39において、モード切替キーの入力であると判別された場合には、ステップS40において子機サーチモード時にモード切替キーの入力があったか否か、すなわち、子機サーチモードをオンする切替えか、それともオフする切替えかの判別が行われる。その結果、オフする切替えであると判別された場合には、処理はステップS41に移行して、子機サーチモードがオフ(リセット)され、これに伴って第2受信部の機能はオフされる。一方、オンする切替えであると判別された場合には、処理はステップS42に移行して、子機サーチモードがオン(セット)され、これに伴って第2受信部の機能がオンされる。このように、ステップS41による子機サーチモードのオフ、ステップS42による子機サーチモードのオン、及びステップS43による他のキー処理の実行の後、処理はステップS35に戻り、着信受け状態となる。
そこで、子機サーチモードがオン、オフいずれの状態であっても、第1受信部により無線呼出しの着信が検出された場合には(ステップS36)、ステップS37において通常のメッセージ受信が行われる。また、子機サーチモードがオン状態の際に、第2受信部によりページャー1からの着信が検出された場合には(ステップS36)、ステップS37においてその着信により受信される無線信号に基づく着信処理が実行される。
ここで、ステップS37の着信処理について図9を参照して詳述する。ステップS36(図8参照)において着信が確認されると、処理はステップS51(図9参照)に移行して、ステップS33あるいはステップS40の判定結果に基づいて子機サーチモードの設定状態が判定される。その結果、設定状態がオフであると判定された場合には、その着信は第1受信部からのものとなり、処理はステップS56に移行して、ID−ROM34に格納されたアドレスデータと受信された無線データ信号中の呼出番号データとの照合が行われる。その照合で一致が得られると、ステップS57において、通常のメッセージ受信と同様に、受信データ信号記憶、着信報知、メッセージ表示等の報知処理が実行され、不一致が得られると、図8に示したフローチャートに戻り、ステップS35の着信受け状態が設定される。
また、ステップS51において、子機サーチモードの設定状態がオンであると判定された場合には、処理はステップS52に移行し、その着信は、第1受信部からのものか、それとも第2受信部からのものか判定される。その結果、着信が第1受信部のものであると判定された場合には、上述のステップS56に移行して、自己ID一致のチェックの後、ステップS57により、受信された無線データ信号の記憶、着信報知、メッセージ表示等の報知処理が実行される。
一方、着信が第2受信部のものであると判定された場合には、処理はステップS53に移行して、まずコード照合が行われる。この場合、着信された無線信号から発信元であるページャー1を識別するためのコードが取り出され、このコードと予めデコーダ部38に格納された発信機(子機)識別用のコードとの比較照合が行われる。その結果、一致が得られると、処理はステップS54に移行して、受信レベル検出部37により検出された無線信号の受信レベルから受信強度が判別され、その判別された受信強度が、続くステップS55において、表示部43上に図10(c)に示した絵表示によって報知される。この報知では、ページャー1が発信機となり、この外部無線装置2が探知機となることから、迷子が近くにいるのか、それとも遠くにいるのかその状況を受信強度に基づいて絵を変化させることにより表現することができる。また、ステップS55では、この絵表示の変化に同期して、受信強度から迷子が近くにいる程鳴音が大きくなるようにスピーカ部44からの出力が制御される。
ページャー1においては、図7のステップS17もしくはステップS20において停止操作があるまで無線信号が継続して発信されるので、この外部無線装置2においてもステップS35、S36、S37により継続して絵表示と鳴音出力とが行われる。なお、受信強度はその継続中に毎回判別されるので、その判別結果に伴い絵や鳴音も変化する。したがって、絵が近くを表す絵から遠くを表す絵に変化し、鳴音も徐々に小さくなっていくと、迷子が例えば親(外部無線装置2)から遠のくことを示すが、その逆の変化があると、迷子が親に近づいてくることを示す。親はこの変化をみて迷子の居場所を特定することが容易になる。もちろん、図10(c)の絵表示は一例であって、受信レベルに応じた絵で迷子との距離を表示するようにしてもよい。
さて、ページャー1の動作説明に戻り、「緊急」のタイプでは、ステップS23において、その着信を緊急として報知するため、スピーカ部19により一例である第1音声“この子は迷子です! 迷子センターへ連れていってください!”を放音する処理が実行され、同時に赤ランプ20cが点灯制御される(図10(d)の斜線部分参照)。この音声出力及び赤ランプ20cの点滅制御に伴って、ステップS24では一定時間の計測が開始される。この一定時間は、上記第1音声の放音を所定回数繰り返して行う時間であると共に、ページャー1の所有者が赤スイッチ21cを操作しなくても次の一例である第2音声“助けて!”を放音できるようにサポートするための目安である。したがって、ステップS24により計測が開始されると、ステップS25では赤スイッチ21cの操作が検出され、ステップS26ではタイムアップが確認される。その後、赤スイッチ21cの操作があるか、それともタイプアップになると、処理はステップS27に移行し、上述の第2音声が放音処理される。この第2音声の放音後は、処理がステップS2に戻り、着信受け状態が設定される。その際もステップS27で放音を開始した第2音声は、繰り返し出力される。
この第2音声を停止させるには、発信元から停止コードを含むメッセージ情報を受信する方法、通信センター装置6より強制的に停止コードを受け取る方法等がある。
そこで、停止コードが受信されると、これは「停止」のタイプとして、処理はステップS28に移行し、ステップS27により放音を開始した第2音声を停止制御する。そして、処理はステップS2に戻り、着信受け状態が設定される。
以上説明したようにこの第1の実施の形態によれば、色別スイッチ部21の内、発光するスイッチを操作するだけで受信されたメッセージを表示するようにしたので、選択呼出しによって無線データ信号を受信した際の操作性を向上することが可能である。
また、発信側の端末装置3もしくはTELダイアラー装置4によって受信側ページャー1での報知とその報知の停止とを制御するようにしたので、選択呼出しによって無線データ信号を受信した際の操作を簡略化することで操作性を向上することが可能である。
また、「迷子」のタイプにおいて、外部無線装置2では、ページャー1での選択呼出しの応答内容を報知するようにしたので、ページャー1に対して選択呼出しされたことを確実に確認することが可能であり、一方、ページャー1では、色別スイッチ部21で発光するスイッチを操作するだけで外部無線装置2に対して選択呼出しに応じた発信を行うようにしたので、選択呼出しに対して簡単な操作で返答することができる。なお、この第1の実施の形態では、デパート、遊園地等で子供が親からはぐれる状況の「迷子」を想定していたが、ページャー1は発信機であることから、身障者の方、お年寄りの方等にも携帯してもらうことで、外部無線装置2について探知機としての利用を図った通信システムを実現できる。
また、「迷子」のタイプにおいて、ページャー1では無線呼出しの発光後に一定時間の経過をみて自動的に外部無線装置2に発信を行うようにしたので、選択呼出しの際にページャー1でスイッチ操作がなくても外部無線装置2に対して確実に返答が行われ、選択呼出しに応じた返答の操作の簡略化を図ることが可能である。
また、ページャー1において選択呼出しに応じた表示や音声出力で報知するようにしたので、選択呼出しに対する報知にバリエーションを与えることができる。
また、外部無線装置2では、子機サーチモードにおいて、ページャー1から受信される無線信号をその受信レベルの強弱で報知するようにしたので、その報知から互いの位置関係を容易に確認することが可能である。
また、外部無線装置2では、自機に対応する応答か否かをページャー1固有のコードから判別して、一致した場合に報知するようにしたので、特定のページャー1からの返答を容易に判別することが可能である。
(第2の実施の形態)
さて、上述した第1の実施の形態では、外部無線装置2が子機サーチモードでページャー1から無線信号を受け取った際に、特定のコードがあればその無線信号の受信レベルの強弱で報知を行うようにしていたが、以下に説明する第2の実施の形態は、複数のページャーから無線信号を受信して各ページャーからの無線信号をコードで判別し、各無線信号の受信レベルをその強弱で判別可能に一括表示するものである。
なお、この第2の実施の形態でも、図2に示したページャー1を採用するため、構成上及びその動作上の説明を省略し、以下に外部無線装置2に代わる構成とその動作について説明する。
図11は本発明に係る通信システムの第2の実施の形態を示す構成図であり、同図において、50は本通信システムの受信装置を示している。この受信装置50は、例えば、装置全体を制御する制御装置51と、この制御装置51に結合される表示装置52と、この制御装置5に結合される複数の受信局53とにより構成される。
制御装置51は、図示せぬCPU、ROM、及びRAMを具備しており、CPUはROMに格納された図12に示したフローチャートに従うプログラム等により動作するものであり、その際にRAMがワークエリアとして用いられる。この制御装置51は、各受信局53…により受信された各ページャー1からの無線信号を取り込むと、各無線信号中のコードから各ページャー1…の所在地を判別して、その分布状態を表示装置52によって表示制御する。表示装置52は、制御装置51の表示制御に従って所定のエリアの地図イメージ上に各ページャー1…の所在地を識別可能なマーク等の情報を合成表示する。各受信局53は、所定のエリアに異なった位置に離間して配置され、各ページャー1…より発信される無線信号を受信して制御装置51に供給する。
次に、動作について説明する。なお、ページャー1は第1の実施の形態で説明した如く図7のフローチャートに従って動作するので、説明を省略する。
図12は受信装置50の動作を説明するフローチャートであり、図13は表示装置52の表示例を示す図である。図11に示した受信装置50では、ステップS61において、所定のエリアの地図イメージが表示装置52に表示され、この地図イメージ上に各受信局53…の配置に合せて各受信局53…を示すマークが合成表示される。図13には、動物園を所定のエリアとした場合の一例が示されている。表示装置52には、動物園を示す動物園イメージAR(地図イメージ)上に、受信局53…の配置に合せた受信局イメージRI1〜RI8と、動物園内の動物小屋の配置に合せた動物小屋イメージAS…と、制御装置51と表示装置52とを具備した迷子センターを示す迷子センターイメージMCとが合成表示される。
続くステップS62では、各受信局53を介してページャーからの着信があるか否かを検出するため、着信受け状態が設定される。この着信受け状態の際に着信が検出されると、処理はステップS63に移行して、どの受信局から受け取ったものであるか判別され、さらに次のステップS64においてコードの判別が行われる。
このように、ステップS63とS64とにより、受信した受信局とページャーを特定するコードとが判明すると、ステップS65において、その判明した受信局の位置と受信レベルとに基づいてページャーの所在地(位置)が算出され、その所在地にその判明したコードに対応するページャー番号(予め各ページャーに番号を対応させておく)が表示される。このように、表示装置52において、動物園イメージARに各ページャーのページャー番号を合成表示させることにより、各ページャーが現在通過もしくは滞在中の場所を知ることができる。
例えば、ページャー番号「1番」、「2番」の番号を付けられたページャー1,1より無線信号の受信があり、各ページャー1,1が2つの受信局53,53の中間位置にあった場合には、各受信局53,53で受信される受信レベルは半々となる。このような場合には、図13(b)に示した如く、ページャー番号「1番」のマークMK1、ページャー番号「2番」のマークMK2は、それぞれ受信局イメージRI6とRI7間、受信局イメージRI5とRI7間に合成表示される。
このように、第2の実施の形態によれば、所定のエリア(例えば動物園イメージAR)内で各ページャー1…から返答を判別して受け取り、その判別された返答に応じた表示を行うようにしたので、複数のページャー1…の分布状況を一括して区別して把握することが可能である。この場合、親機に相当する受信装置50をひとつ用意すればよいので、どの親も子供を探し回ることなく一ヶ所で子供の居場所を容易に見つけだすことができる。
また、この第2の実施の形態では、「迷子」のタイプを例に挙げていたが、各ページャー1…に迷子コードを送信して返答させるような他のタイプを設けても、そのタイプの無線呼出しに対応した表示を受信装置50において行うことも可能であることから、「迷子」のタイプに限定せず、応答内容に応じた表示が可能となり、その表示を識別できるようにすればどのようなタイプを採用しても表示装置52の表示をみることでタイプに応じたページャーの分布状況を一括して区別して把握することが可能である。
(第3の実施の形態)
さて、前述の第1の実施の形態では、ページャー1と外部無線装置2とは図3、図5に示した如く異なる構成を採用していたが、第3の実施の形態は、ページャー1と外部無線装置2との構成を共通化して必要に応じて所望のモード(ページャー1の発信機(子機)モードと外部無線装置2の探知機(親機)モードとのいずれか一方)に切り換え可能にするものであり、ここではそのモード切換えを中心に説明する。
図14は本発明に係る通信システムの第3の実施の形態に採用されるページャーの構成を示すブロック図であり、同図において、60は探知機(親機)モードと発信機(子機)モードとの切り換えが可能なモード切換式ページャーを示している。このモード切換式ページャー60は、外部無線装置2(図5参照)のブロック構成にページャー1(図3参照)の送信機能を付加したものであり、外部無線装置2及びページャー1と同様の構成及び動作をするものには同様の番号を付している。大きく相違する構成としてROM61とキー入力部62とがある。ROM61は、図15のフローチャートに従うプログラム、前述の図7のフローチャートに従うプログラム(発信機(子機)モード)、前述の図8及び図9のフローチャートに従うプログラム(探知機(親機)モード)等のプログラムを格納している。キー入力部62は、前述のキー入力部42の構成に前述の色別スイッチ21及び探知機モードと発信機モードとのいずれかに切換えるためのモード切換キーを付加したものである。
次に、動作について説明する。図15は第3の実施の形態によるキー入力処理を説明するフローチャートである。図14に示したモード切換式ページャー60では、探知機モードにおいても発信機モードにおいてもキー入力処理が行われ、この処理の中でモード切換えを行うことができる。このキー入力処理は、キー入力に従って実行されるものであり、キー入力部62によって操作される。
そこで、ステップS71において、キー入力部62よりモード切換キーの操作が検出されると、次のステップS72において、その切換えが探知機モードであるか否か判別される。その結果、探知機モードであった場合には、処理はステップS73に移行して、探知機モード処理(親機モード処理)が実行される。この探知機モード処理に入ると、動作は、図8及び図9に示した如く、前述の外部無線装置2の動作となる。一方、発信機モードであった場合には、処理はステップS74に移行して、発信機モード処理(子機モード処理)が実行される。この発信機モード処理に入ると、動作は、図7に示した如く、前述のページャー1の動作となる。なお、ステップS71において、モード切換キーの入力ではないと判別された場合には、処理はステップS75に移行して、そのキー入力に応じた他のキー処理が実行される。このステップS75による他のキー処理が終了すると、処理は現時点でのモード処理に戻る。
このように、第3の実施の形態によれば、発信機(子機)モードに切り換えられた場合には、選択呼出しに応じて相手機への信号発信を行い、一方、探知機(親機)モードに切り換えられた場合には、発信機モードで動作する相手機より信号を受信することで報知を行うようにしたので、適宜所望のモードに切り換えることができ、発信機モードによって選択呼出し時の操作性の向上を図ることが可能である。特に、誰が発信機モードを採用しても、あるいは探知機モードを採用してもよいことから、例えば、災害等の緊急事態の際には、全体からはぐれた者が発信機モードに切り換えることで早期発見に役立つものである。