JP4239347B2 - 磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスクドライブ用の磁気ヘッドを搭載し、加工、洗浄、移送、保管等を行うトレイに係り、特に、磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)を搬送するに好適なポリカーボネート樹脂成形体よりなるトレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気ヘッドは、一般に、アーム部品と、該アーム部品の先端に取り付けられたヘッドチップと、該ヘッドチップに結線されたリード線とを有する。MRヘッドは、このヘッドチップとしてMR素子(磁気抵抗素子)を用いたものである。
【0003】
ハードディスクの高密度化、高容量化のために磁気抵抗型ヘッドが用いられるようになってきた。従来の薄膜ヘッドが信号磁界がコイルに接近する際に発生する電流によって信号を検知するのに対して、このMRヘッドは、MR素子に微弱なセンス電流を流し、信号磁界を電流の抵抗値によって検出するものであり、その機構により、検出感度が飛躍的に向上し、メディアの狭トラック化で大容量化が可能とされる。最近ではさらに大容量化を狙ったGMRヘッドも用いられている。
【0004】
このMRヘッドやGMRヘッドは、微量の腐食性ガスや、微少のノイズ電流などのコンタミネーションに対して極めてデリケートである。このため、これらのヘッドを搬送するためのトレイをはじめとして、各種の取り扱い用部品や治具についても、ヘッドを汚染させないための要求性能が厳しくなってきている。
【0005】
従来の磁気ヘッド搬送用トレイは、ポリカーボネート樹脂に炭素繊維を配合してなる樹脂組成物を成形することにより製造されている。
【0006】
ここで使用されるポリカーボネート樹脂は、通常、二価フェノールのアルカリ水溶液と、ホスゲンとを有機溶媒の存在下にて反応させる溶液法により製造されており、かかる方法によれば、ポリカーボネート樹脂はその有機溶媒溶液として得られる。この有機溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素化脂肪族炭化水素、クロロベンゼン、クロロトルエンなどの塩素化芳香族炭化水素が使用されており、中でも塩化メチレンが最も一般的に使用されている。
【0007】
ポリカーボネート樹脂は、得られたポリカーボネート樹脂溶液から、溶媒相を蒸発除去して分離精製することにより得られるが、この際、塩化メチレンに代表される有機溶媒がポリカーボネートとの親和力に優れるため、微量ではあるが樹脂中に残留することとなる。そして、樹脂中に残留した塩化メチレンは、成形加工を経て最終成形品である磁気ヘッド搬送用トレイとしての使用時に揮発成分として発生する。
【0008】
従来の磁気ヘッド搬送用トレイにおいて腐食性揮発成分として懸念されていた物質は、主に塩酸やクロルイオンなどのイオン性物質であったが、MR素子、GMR素子など腐食に対して極めて敏感な素子を有した磁気ヘッドの搬送用トレイにおいては、塩化メチレンのようなクロルイオンの前駆体であっても問題が生じるようになってきている。
【0009】
また、アルコール、ケトン類などのその他の揮発性成分に関しても磁気ヘッドチップに対する安全性は必ずしも確認されておらず、このため磁気ヘッド搬送用トレイに対しては、総アウトガス量そのものも少ないことが要求されてきている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、腐食による磁気ヘッドの損傷の危険性の少ない磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイは、アーム部品と、該アーム部品の先端に取り付けられたヘッドチップと、該ヘッドチップに結線されたリード線とを有する磁気ディスク用磁気ヘッドを搬送するためのトレイにおいて、該トレイは、導電性充填材0.25〜50重量%を含有するポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるものであり、該トレイのヘッドスペースガスクロマトグラムによる測定における、加熱温度85℃、平衡時間16時間の条件で測定した表面積12.6cm2からの塩素化炭化水素発生量が0.1μg/g以下であることを特徴とする。
【0012】
ヘッドスペースガスクロマトグラムによる測定における、加熱温度85℃、平衡時間16時間の条件で測定した表面積12.6cm2からの塩素化炭化水素発生量(以下単に「塩素化炭化水素発生量」と記す。)が0.1μg/g以下であるような、揮発成分の発生量の少ないトレイであれば、磁気ヘッドの腐食による損傷の問題を排除することができる。
【0013】
本発明のトレイは、特に、ヘッドスペースガスクロマトグラムによる測定における、加熱温度85℃、平衡時間16時間の条件で測定した表面積12.6cm2からの総アウトガス量(以下単に「総アウトガス量」と記す。)が1μg/g以下で、塩化メチレン発生量(以下単に「塩化メチレン発生量」と記す。)が0.1μg/g以下でかつ炭化水素発生量(以下単に「炭化水素発生量」と記す。)が0.5μg/g以下であることが好ましい。
【0014】
また、本発明において用いる導電性充填材は、DBP吸油量100cc/100g以上の炭素系導電性物質、特に直径100nm以下で、長さ/径比が5以上の炭素フィブリルであることが好ましい。
【0015】
本発明のトレイはまた、表面抵抗値が103〜1012Ωであることが好ましい。
【0016】
このような本発明のトレイは、次の(A)〜(D)の手法を採用することにより容易に実現することができる。
(A) ポリカーボネート樹脂として、温水滴下精製されたポリカーボネート樹脂を用いる。
(B) ポリカーボネート樹脂として、無溶媒重合法により得られたポリカーボネート樹脂を用いる。
(C) ポリカーボネート樹脂組成物の溶融混練時又は溶融成形時に、真空脱気を行う。
(D) 成形後に80〜140℃の温度で30分〜20時間アニールする。
【0017】
このような本発明のトレイは、とりわけMRヘッド又はGMRヘッドの搬送用トレイとして好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
本発明のトレイは、ヘッドスペースガスクロマトグラムにより、例えば、下記測定方法で測定した塩素化炭化水素発生量が0.1μg/g以下のものである。
<発生ガス量測定方法>
トレイより切り出した分析サンプル(22mm(長さ)×10mm(幅)×3mm(厚さ))2ピース(総表面積12.6cm2)を、容量22mLのバイヤル中で、内標としてn−オクタンを10μL添加して、加熱温度85℃、平衡時間16時間の条件でガスを抽出した後、ガスクロマトグラム(GC)にて測定し、イオンクロマトグラムにおけるn−オクタンとの面積比より発生量を算出する。ただし、分析サンプルの形状は上記長さ、幅、厚さに何ら制限されず、また、分析サンプルの総表面積が異なる場合には、12.6cm2に換算すれば良い。
【0020】
この塩素化炭化水素発生量が0.1μg/g以下であればヘッドへの悪影響は極めて少ない。塩素化炭化水素発生量は、望ましくは0.02μg/g以下である。
【0021】
また、ヘッドへの悪影響を考慮した場合、総アウトガス量は1μg/g以下、特に0.5μg/g以下、塩化メチレン発生量は0.1μg/g以下、炭化水素発生量は0.5μg/g以下、特に0.2μg/g以下であることが望ましい。なお、この炭化水素とは、後述のポリカーボネート樹脂の製造において使用されるn−へプタンや、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等である。
【0022】
本発明において、導電性充填材を含有するポリカーボネート樹脂組成物を成形することにより、このようなガス発生量のトレイを得る方法について、以下に説明する。
【0023】
本発明において、ポリカーボネート樹脂としては、例えば界面重合法、ピリジン法、クロロホーメート法などの溶液法により、二価フェノール系化合物をホスゲンと反応させることによって製造される一般的なものを使用できる。この場合、トレイからの揮発成分となる、重合溶媒として用いた塩化メチレンなどの塩素化炭化水素等を、得られるトレイに残留させない方法としては、例えば以下の(A),(C),(D)の方法が挙げられる。また、下記(B)の如く、溶媒を用いない方法で製造されたポリカーボネート樹脂を用いる方法も有効である。
(A) 塩素化炭化水素溶液として得られたポリカーボネート樹脂を精製するに当り、ポリカーボネート樹脂の水懸濁液を得、これを濾過や遠心分離等により湿潤粉末を得る。例えば、ポリカーボネートの塩化メチレン溶液に、n−へプタンなどのポリカーボネート樹脂の貧溶媒(ポリカーボネートが溶解しないか、溶解しても僅かな溶媒)を沈殿が生じない程度添加してなる樹脂液を、温水中に滴下し、適宜湿式粉砕を行いながら貧溶媒を留去する(以下、この方法を「温水滴下精製」と記す。)。このとき、80〜100℃に加熱しながら貧溶媒を留去する際、腐食性の揮発性ガスの原因となる塩化メチレン等の塩素化炭化水素が効率よく除去される。
(B) 重合溶媒を使用しない重合方法により得られたポリカーボネート樹脂(例えば、特開平4−103626号公報等に開示されたポリカーボネート樹脂)を使用する。
(C) 溶融混練又は溶融成形に当り、真空脱気する。例えば、通常の精製方法、或いは上記(A)法又は(B)法により得られたポリカーボネート樹脂をベント付き押し出し機に供給して、ベントより真空脱気することにより、溶媒を除去する。この際、特開平9−29738号公報に記載されるように、原料粉末或いは溶融状態の樹脂に水を添加すると、残存溶媒の除去の点で好適である。
(D) 通常の精製方法或いは、上記(A)〜(C)の方法より得られたポリカーボネート樹脂を使用した樹脂組成物を用いて成形したトレイを、アニールすることによって揮発成分を除去する。この場合、アニール処理は、80℃以上の温度で30分以上行うのが好ましい。このアニール処理温度が140℃を超えるとトレイの寸法変化や変形を引き起こす可能性があり、また、アニール処理時間が20時間を超えても揮発成分の除去効果の向上は望めないことから、アニール処理は80〜140℃で30分〜20時間とするのが好ましい。
【0024】
なお、上記(A)〜(D)の方法のうち、(A)法では、塩素化炭化水素は低減できるものの、n−ヘプタンなどの貧溶媒成分が残留する可能性が高い。n−ヘプタンはヘッドを腐食することはないものの、最近のより高密度化されたMR素子においては、ヘッド素子表面への微少なデポジットの危険性が問題とされることから、前述の如く、n−ヘプタン等の炭化水素発生量についても、極力抑えることが望まれる。
【0025】
このようなn−ヘプタンや、オリゴマー、その他の低分子量揮発成分も効率的に除去する点からは、特に、(C)法の真空脱気による溶媒除去法が望ましい。この(C)法の押し出し機での真空脱気は、導電性充填材を溶融混練により複合化する際に行っても良いし、この混練前又は混練後に行っても良い。
【0026】
本発明において、導電性充填材としては、導電性を有する、粒子状、フレーク状、短繊維状などの各種のフィラーを使用することができる。
【0027】
具体的には、アルミニウム、銀、銅、亜鉛、ニッケル、ステンレス、真鍮、チタンなどの金属系フィラー、各種カーボンブラック、黒鉛(人工黒鉛、天然黒鉛)、ガラス状カーボン粒子、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、グラファイトウィスカー、炭素フィブリル等の炭素系充填材、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物系充填材などの導電性充填材が挙げられる。なお、金属酸化物系フィラーのなかでも格子欠陥の存在により余剰電子が生成して導電性を示すものの場合には、ドーパントを添加して導電性を増加させたものを用いても良い。この場合、例えば、酸化亜鉛にはアルミニウム、酸化スズにはアンチモン、酸化インジウムにはスズ等がそれぞれドーパントとして用いられる。また、炭素繊維などに金属をコーティングしたり、チタン酸カリウムウィスカーやホウ酸アルミニウムウィスカーの表面に導電性酸化スズを形成した複合系導電性フィラーを使用することもできる。
【0028】
上述の導電性繊維の中でも、繊維径5μm以下の導電性繊維を用いると、成形体表面への充填材の露出が少なく、また露出したとしても、磁気ヘッド用への損傷が少なく、更には表面抵抗値を適正な範囲内にコントロールし易い点で望ましい。
【0029】
繊維径5μm以下の導電性繊維としては、酸化亜鉛ウィスカ、酸化チタンウィスカなどの導電性ウィスカやチタン酸カリウムウィスカやホウ酸アルミニウムウィスカの表面に導電性酸化スズを形成した複合系導電性繊維が挙げられる。これらの繊維充填材は、アスペクト比(繊維長/繊維径比)が5以上、望ましくは10以上のものが望ましい。なお、ここでいう繊維径、繊維長は、顕微鏡観察して5点測定した平均値である。
【0030】
上記導電性充填材の中でも、以下の理由から、DBP吸油量が100cc/100g以上のもの、好ましくは250cc/100g以上のもの、より好ましくは400cc/100g以上のものが望ましい。
【0031】
即ち、DBP吸油量が大きいほど充填材の表面積が大きいことを表しており、従って、一般にDBP吸油量の数値が大きいものほど微細な形状なものとなる。一方、導電性充填材の配合による樹脂の導電性の発現は、導電性充填材同士の連続的な接触による導電経路の形成により、導電性充填材間の距離が10〜30Å程度離れた不完全な接触状態においては、充填材間に電子のホッピングによる電気伝導が生じる。このホッピングによる導電性は導電性充填材の内部での導電性に比較して低い。ところで、トレイには、後述の如く、表面抵抗値(或いは導電性)が中位に安定していることが望まれる。従って、樹脂内部に導電性充填材の不完全な接触状態を多数形成することにより、樹脂組成物の導電性を中位(例えば106Ω)に安定して得ることが望ましい。DBP吸油量が大きく微細な形状の充填材ほど、このような不完全な接触状態が形成される確率が高いため、本発明では、上述のようなDBP吸油量の大きい導電性充填材を用いるのが好ましい。
【0032】
ところで、前述の導電性充填材としての金属フィラーや、炭素繊維などは、ポリカーボネート樹脂との親和性を補うために、通常はシランカップリング剤などの有機性の表面処理剤によって処理される。しかし、この表面処理剤は低分子量化合物が多く、そのため、得られたトレイから発生するアウトガスの増加に寄与する場合がある。これに対して、DBP吸油量が100cc/100g以上のカーボンブラック等の炭素系導電性充填材の表面は、一般に極めて活性に富み、表面処理なしでポリカーボネート樹脂とよく親和して良好な分散性を示す。従って、表面処理剤に由来するアウトガスが発生することがない点においても、DBP吸油量の大きい導電性充填材が好適である。
【0033】
このようなDBP吸油量を満足する導電性充填材としては、具体的にはファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックや、炭素フィブリルなどの炭素系導電性物質が挙げられる。
【0034】
本発明においては、このような炭素系導電性物質のなかでも、トレイからの導電性充填材の脱落が少ない点で特に炭素フィブリル、とりわけ繊維径が100nm以下の炭素フィブリルが好ましく、例えば特表平8−508534号公報に記載されているものを使用することができる。
【0035】
即ち、炭素フィブリルは、当該フィブリルの円柱状軸に実質的に同心的に沿って沈着されているグラファイト外層を有し、その繊維中心軸は直線状でなく、うねうねと曲がりくねった管状の形態を有するため、トレイからの脱落が少ない。
【0036】
また、前述の導電性充填材のうち、例えば、一部のカーボンブラックは、イオウなどの原料由来の不純物を微量含んでいる場合があり、これが揮発成分としてトレイのアウトガス量を増加させる。これに対して、炭素フィブリルは、高純度のエチレンガス等を原料として気相にて生成するために、充填材そのものに含まれる揮発成分も極めて少なく、アウトガスを全く発生しない点で、最も望ましい。
【0037】
なお、炭素フィブリルの繊維径は製法に依存し、分布のあるものであるが、ここで言う繊維径とは顕微鏡観察して5点測定した平均値を指す。炭素フィブリルの繊維径が100nmより大きいと、樹脂中でのフィブリル同士の接触が不十分となり、安定した抵抗値が得られにくい。従って、炭素フィブリルとしては繊維径100nm以下のものが好ましい。
【0038】
特に、炭素フィブリルの繊維径が20nm以下であると、万が一炭素フィブリルがトレイの表面から脱落し、ヘッド等に付着した場合であっても、作動時のヘッドとハードディスクとのクリアランスは繊維径より比較的大きい(50μm程度)ため、ディスククラッシュの危険性が低下するので好ましい。
【0039】
一方、炭素フィブリルの繊維径は、0.1nm以上、特に0.5nm以上であることが好ましい。繊維径がこれより小さいと、製造が著しく困難である。
【0040】
また、炭素フィブリルは、長さと径の比(長さ/径比、即ちアスペクト比)が5以上のものが好ましく、特に100以上、とりわけ1000以上の長さ/径比を有するものが好ましい。なお、この炭素フィブリルの長さ/径比は、透過型電子顕微鏡での観察において、5点の実測値の平均値によって得られる。
【0041】
また、微細な管状の形態を有する炭素フィブリルの壁厚み(管状体の壁厚)は、通常3.5〜75nm程度である。これは、通常、炭素フィブリルの外径の約0.1〜0.4倍に相当する。
【0042】
炭素フィブリルはその少なくとも一部分が凝集体の形態である場合、原料となる樹脂組成物中に、面積ベースで測定して約50μmより大きい径を有するフィブリル凝集体、望ましくは10μmよりも大きい径を有するフィブリル凝集体を含有していないことが望ましい。
【0043】
このような炭素フィブリルは、市販品を使用することができ、例えば、ハイペリオンカタリシスインターナショナル社の「BN」が使用可能である。
【0044】
本発明において、導電性充填材の添加量はポリカーボネート樹脂組成物中0.25〜50重量%とする。導電性充填材の添加量が0.25重量%未満では十分な導電性が得られず、50重量%を超えると、ポリカーボネート樹脂組成物の成形性が著しく低下する。
【0045】
特に、導電性充填材が炭素フィブリル等の炭素系導電性充填材の場合、その添加量はポリカーボネート樹脂組成物中1〜8重量%とするのが好ましい。添加量がこれよりも少ないと導電性が発現しにくく、一方これより多く添加しても増量に見合う効果の向上は認められず、むしろトレイからの粉塵の発生が見られると共に成形性も低下することとなる。
【0046】
本発明では、導電性充填材として、高分子型の帯電防止剤を使用することもできる。この場合、例えば、ポリエーテル、4級アンモニウム塩、スルホン酸塩等の導電性単位をブロックもしくはランダムに組み込んだ高分子や、特開平1−259051号公報に記載されているような、ホウ素原子を分子中に有する高分子電荷移動型結合体などが使用できる。
【0047】
特に、高分子型帯電防止剤のなかでも、ポリエーテル系高分子帯電防止剤が耐熱性の点で望ましい。具体的には、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドイミド、エチレンオキシド−エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート共重合体等、好ましくは、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドイミド、より好ましくはポリエーテルエステルアミドが挙げられる。
【0048】
このような高分子型帯電防止剤の添加量は、ポリカーボネート樹脂組成物中に1〜50重量%、特に5〜30重量%とするのが好ましい。
【0049】
上述の各種導電性充填材は、1種類を単独で使用しても、2種以上のものを組み合わせて使用しても良い。
【0050】
本発明に係るトレイを成形するためのポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で各種の添加成分を配合することができる。例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、ほう酸アルミニウム繊維等の無機繊維状強化材、アラミド繊維、ポリイミド繊維、フッ素樹脂繊維等の有機繊維状強化材、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン等の無機充填材、フッ素樹脂パウダー、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤、パラフィンオイル等の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、相溶化剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、防菌剤、蛍光増白剤等といった各種添加剤を配合することができる。
【0051】
また、このポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で各種の樹脂をブレンドして用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等の脂肪族ポリオレフィンや脂環族ポリオレフィン、芳香族ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、各種ポリアミド(ナイロン6、66、ナイロン610、ナイロンMXD6等)、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、液晶性ポリエステル等の非オレフィン系樹脂をブレンドすることができる。更に、スチレン系エラストマー(スチレン−ブタジエン共重合体等)、オレフィン系エラストマー(エチレン−プロピレン共重合体等)、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマーなどの各種の熱可塑性エラストマーを併用添加しても良い。
【0052】
本発明のトレイの製造方法には、特に制限はなく、通常の熱可塑性樹脂の加工方法で製造できる。例えば、ポリカーボネート樹脂に導電性充填材を予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押し出し機、二軸混練押し出し機、ニーダーなどで溶融混練することによってポリカーボネート樹脂組成物を製造することができ、その後、各種の溶融成形法により、この樹脂組成物を所定形状に成形してトレイを得ることができる。この成形法としては、具体的には、プレス成形、押し出し成形、真空成形、ブロー成形、射出成形などを挙げることができる。これらの成形法の中でも、特に射出成形法、真空成形法が望ましい。
【0053】
射出成形法としては、一般的な射出成形法の他に、インサート射出成形法による金属部品その他の部品との一体成形や、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法、インジェクションプレス成形法等の各種成形法を用いることができる。射出成形においては、樹脂温度、金型温度、成形圧力によって得られるトレイの表面抵抗値が変化するので、目的に応じて適切な条件を設定する必要がある。
【0054】
ところで、MRヘッドはMR素子の微少電流(センス電流)の抵抗変化により磁気を感知するという機構によるため、微弱なノイズ電流でもMR素子を損傷させてしまう危険性が大きい。このため、磁気ヘッドのトレーとの電位差に起因する静電気放電や、ヘッドとトレーとの接触により生じる接触電流に対して、従来の集積型磁気ヘッドやICに比べて遙かにデリケートである。
【0055】
即ち、MRヘッドの組み付け工程においては、ヘッドチップにリード線が結線され、このヘッドチップがジンバルを介してアーム部品に組み付けられる。このリード線(金属線)にはポリイミドが被覆されているが、ポリイミドと金属線との接触電位差に起因して接触部は常に電荷分離した、電気的に不安定な状態にある。この結果、リード線先端が磁気ヘッドのトレー等に接触した際、接触部における電荷のやりとりがより生じ易くなり、損傷の危険性が高くなる。
【0056】
従来の磁気ヘッド搬送用トレイの表面抵抗値は101〜102Ω/□程度であり、静電気放電によるヘッドチップの損傷の危険性はないものの、トレイの表面抵抗が低すぎることによる、ヘッドチップとトレイ間、または周辺部品とトレイ間の過度な接触電流による損傷が深刻な問題となっている。
【0057】
このような問題を回避するために、本発明のトレイは、その表面抵抗値が2探針プローブを用いた測定において、103〜1012Ω、特に104〜1011Ω、とりわけ105〜1010Ωであることが好ましい。表面抵抗値がこの範囲であると、帯電防止性に優れるだけでなく、トレイとの接触における過大な接触電流が防止できるため、電子部品への損傷が少ない。
【0058】
なお、一般に表面抵抗値とは、測定サンプルの厚みや幅方向への電流の回り込みを考慮して、抵抗値を形状要因で換算することにより(Ω/□)の単位で得られるが、本発明のトレイのように複雑な形状の場合、この換算が極めて困難である。一方、実用においては、形状を含んだ上での見かけの抵抗値が重要であり、必ずしも形状で換算された単位(Ω/□)を用いる必要はない。従って、本発明においては、上記表面抵抗値(Ω)で評価する。
【0059】
また、本発明の磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイは、表面粗さが、カットオフ波長2.5mmの測定において、下記▲1▼又は▲2▼を満足するものが好適である。
【0060】
▲1▼ 十点平均粗さ(Rz)が5μm以下
▲2▼ カッティングレベル10%負荷長さ率(tp)が1%以上で、中心線より±0.1μm以上のピークカウント(Pc)が測定長1cm当たり100以下
ここで、十点平均粗さ(Rz)とは、粗さ曲線の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和より算出して求める。従って、Rzの数値は、小さいほど平滑な表面であることを示す。
【0061】
なお、極めて平滑な表面の場合、山及び谷が測定範囲内に5個以上存在しないと算出が不可能である。そのような場合には、本発明では最大山と最大谷の和、すなわちRmaxで置き換えることが出来る。
【0062】
一方、カッティングレベル10%の負荷長さ率(tp)とは、粗さ曲線から基準長さだけ抜き取り、最も高い山頂から10%低いレベルで、平均線と平行に切断したときに得られる切断長さの和(負荷長さ)の基準長さに対する比を百分率で表したものをいう(JIS B0601)。
【0063】
また、±0.1μm以上のピークカウント(Pc)とは粗さ曲線の平均線から±0.1μmの高さ及び深さに平均線と平行に線を引き、その線を縦方向に横切る凹凸が、基準長さ内にいくつあるかをカウントしたものである。
【0064】
十点平均粗さ(Rz)が5μm以下の平滑度の高い表面粗さであれば、ポリイミド被覆材などの磁気ヘッドへの傷付き性は少ない。
【0065】
また、十点平均粗さ(Rz)が5μmを超えても、カッティングレベル10%の負荷長さ率(tp)が1%以上で、かつ前記ピークカウント(Pc)が1cmあたり100以下、望ましくは80以下であると、磁気ヘッドへの傷付きが少なく良好となる。
【0066】
逆に、十点平均粗さ(Rz)が5μmを超え、カッティングレベル10%の負荷長さ率(tp)が1%より小さいと、突起の先端が鋭利になり、磁気ヘッドへの損傷が大きくなる。また、十点平均粗さ(Rz)が5μmを超え、カッティングレベル10%の負荷長さ率(tp)が1%以上でピークカウント(Pc)値が100を超える表面粗さであると、磁気ヘッドへの損傷が大きくなる。
【0067】
ところで、本発明のトレイのように、非結晶性で比較的溶融粘度の高いポリカーボネート樹脂に導電性充填材を配合した樹脂組成物の射出成形品の表面は、金型表面を転写し難く、流動性、充填材の形状、収縮及び成形条件等に起因する表面付近での流れムラや充填材の露出によって表面粗さが形成される。
【0068】
かかる状態での表面粗さは、Pc値で表される凹凸の数が本発明の範囲以下であれば山と谷の傾斜がなだらかになり、山の頂点が緩やかになる。このことによって磁気ヘッドとの摩擦において”引っ掻き”の効果が減少する。逆にPc値が100を超えると個々の山が鋭利な突起となり、磁気ヘッドへの損傷を引き起こす。ピークカウント(Pc)は10以上80以下において特に磁気ヘッドの損傷性が少なくなる。
【0069】
上記の表面粗さは、金型表面の転写性を改良したポリカーボネート樹脂組成物を用いて、金型表面を放電加工、エッチング、サンドブラストなどによる処理によって意識的に粗らして、それを転写した場合においても同様である。
【0070】
特に、磁気ヘッドをトレイに搭載した状態にて水中洗浄及びその後の乾燥工程を行う場合、磁気ヘッドと接触する部位のトレイ表面の十点平均粗さ(Rz)が小さいと、その間に浸透した洗浄水の乾燥性が低下し、乾燥効率を低下させるという問題が生じることがある。更に、磁気ヘッド用トレイの場合、磁気ヘッドの目視検査において、トレイの表面の平滑性が良すぎると、光の反射率が大きくなり、検査に支障をきたす。
【0071】
かかる観点から、磁気ヘッド用トレイの磁気ヘッドの搭載される部位の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)が5μm以上50μm以下でカッティングレベル10%の負荷長さ率(tp)が1%以上、かつピークカウント(Pc)が100以下、好ましくは10以上80以下であることが好ましい。
【0072】
本発明のトレイは、純水500ml中に、表面積100〜1000cm2のトレイを浸漬し、40KHzの超音波を60秒間印加したときに、該トレイの表面から脱落する粒径1μm以上のパーティクルの数(以下、この値を「パーティクル発生量」と称す。)が5000pcs/cm2以下であるような、表面の均一性、安定性に優れたものが好ましい。かかるトレイであれば、ひっかきや摩耗、洗浄により脱落するパーティクルによる磁気ヘッドの物理的ないし化学的な汚染や損傷を防止することができる。
【0073】
このパーティクル発生量が5000pcs/cm2を超えると、ひっかきや摩擦、洗浄時に脱落したパーティクルによる汚染や損傷の問題がある。本発明では、特に、パーティクル発生量は1000pcs/cm2以下であることが好ましい。
【0074】
また、本発明の磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイは、純水50ml中に表面積100cm2のトレイを浸漬して60℃で60分間攪拌したときに、トレイから溶出するクロルイオン量(以下、この値を「クロルイオン溶出量」と称す。)が0.01μg/cm2以下であることが、クロルイオンによる腐食等の問題を防止する上で好ましい。
【0075】
このクロルイオン溶出量が0.01μg/cm2を超えると、洗浄時に溶出したクロルイオンによる腐食や使用時の異物発生の問題がある。クロルイオン溶出量は特に0.005μg/cm2以下であることが好ましい。
【0076】
ところで、導電性充填材として炭素繊維を用いたトレイにあっては、炭素繊維の表面処理剤である有機性成分が磁気ヘッドに付着してヘッドを汚染、損傷させたり、ヘッドとディスク間の異物となる問題が懸念される。この問題を防止するために、本発明では、次に述べる不揮発性有機物溶出量の測定方法で測定したときのトレイからの不揮発性有機物の溶出量がトレイの単位表面積当り0.5μg/cm2以下であることが好ましい。
【0077】
<不揮発性有機物溶出量の測定方法>
旭ガラス社製フロン系洗浄剤「アサヒクリンAK−225」500mlにトレイを浸漬し、超音波(40KHz、0.5W/cm2)を60秒間印加する。抽出液を100℃にて揮発させて、残留分の重量を測定する。
【0078】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0079】
なお、以下の実施例及び比較例において、二軸混練押し出し機としては、池貝鉄鋼社製「PCM45」L/D=32(L;スクリュー長、D;スクリュー径)を用い、バレルは、先端より4.4Dから5.8Dの部分にベント開口部を有する形状とした。
【0080】
また、ポリカーボネート樹脂組成物から成形したトレイの形状及び寸法は、図1(斜視図)及び図2(a)(平面図)、(b)(図2(a)のB−B線に沿う断面図)に示す通りである。図中、1はトレイ本体、2は位置決めリブ、3は位置決めボス、4は磁気ヘッドをそれぞれ示す。
【0081】
実施例1
ビスフェノールAより製造したポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を精製し、樹脂濃度20重量%の溶液とした。この樹脂溶液200リットルに、n−ヘプタン40リットルを加え均一に混合した後、温水中に滴下しつつ湿式粉砕器で粉砕した。この温水滴下精製における滴下中の容器内の液温度は40℃、内圧は0.1Kg/cm2に調整した。
【0082】
滴下終了後、容器内温度を100℃まで昇温し、約15分間で溶媒を蒸発除去し、得られたポリカーボネート樹脂の水スラリー液を取り出し、濾過、水切りをした後、140℃にて乾燥を行い、ポリカーボネート樹脂の粉末を得た。
【0083】
得られたポリカーボネート樹脂に、平均繊維径7μm、平均繊維長6mmのエポキシ表面処理されたPAN系炭素繊維を組成物中に10重量%配合して、二軸混練押し出し機によりベント開放状態にて300℃の温度でスクリュー回転数100RPM、吐出量30Kg/hの条件で混練して樹脂組成物ペレットを得た。
【0084】
得られたペレットを射出成型機にて、300℃の成形温度にて成形して図示の磁気ヘッド搬送用トレイ(総表面積420.8cm2)を得た(金型温度90℃)。
【0085】
得られたトレイの表面抵抗値を下記の方法で測定し、結果を表1に示した。なお、表面抵抗値は、図2(a)の斜線を付した範囲の任意の5ヶ所で測定し、平均値を算出した。
<表面抵抗値測定方法>
2探針プローブで、プローブ先端:2mmφ、プローブ中心間距離:20mmにて下記プローブ間印可電圧にて測定した。
表面抵抗値が103Ω以上109Ω未満の場合: 10V
表面抵抗値が109Ω以上の場合 :100V
ただし、表面抵抗値108Ω以上の測定には、プローブ先端を5mmφとして、さらに厚み2mmt、直径5mmφ、10Ωcm以下の導電性シリコンゴムをアセンブリして、サンプル表面との密着が安定するようにして測定した。
【0086】
また、測定機としては次のものを用いた。
表面抵抗値102Ω以上、104Ω未満の場合:アドバンテスト社製「高抵抗計R8340」
表面抵抗値104Ω以上の場合 :ダイヤインスツルメント社製「ハイレスタAP」
(なお、比較例1の表面抵抗値101Ωの測定には、ダイヤインスツルメント社製「ロレスタIP(4探針プローブ)」を用いた。)
<磁気ヘッドの腐食試験>
このトレイにMRヘッドを12個搭載して、ガラス製の容器(容量201.5mL)中で、80℃、90%、95時間放置した。その後、MRヘッドをトレイから取り出し、100倍の顕微鏡にてMR素子部の腐食の有無を観察し、下記基準で評価を行い、結果を表1に示した。
○…磁気ヘッド(素子)に、腐食は見られなかった。
×…全ての磁気ヘッド(素子)のパーマロイにより構成されている部位に腐食が発生した。
<ガス発生量の測定方法>
別に、トレイより分析サンプルとして22mm(長さ)×10mm(幅)×3mm(厚さ)のサンプルを2ピース(総表面積12.6cm2)切り出して、内標としてn−オクタンを10μL添加した容量22mLのバイヤル中で、加熱温度85℃、平衡時間16時間の条件でガスを抽出した。
【0087】
バイヤル中に発生したガスをガスクロマトグラム(GC/MS)にて測定した。このときの測定条件は以下に示す通りである。
【0088】
装 置 :島津製作所社製「GC/MS QP5050」
カ ラ ム :CHROMPAK PORAPLOT Q 0.32mm×25m
カラム温度 :35〜240℃(10℃/min)
注入口温度 :230℃
インターフェース温度:280℃
トレイガス :ヘリウム
注入口圧力 :100K Pas
全 流 量 :60mL/min
注 入 量 :2mL
発生ガスの定性分析の結果、主成分はn−ヘプタン、アセトン、1−プロペン、2−プロパノール、及びその他の微量成分であった。
【0089】
総アウトガス量、塩化メチレン発生量、n−ヘプタン発生量をそれぞれ以下の式により算出し、結果を表1に示した。
総アウトガス量(μg/g) =(サンプル総ピーク面積−ブランク総ピーク面積) /(n−オクタンのピーク面積/n−オクタンの重量(g))×1 /(サンプル重量(g))
塩化メチレン発生量(μg/g) =(塩化メチレンピーク面積) /(n−オクタンのピーク面積/n−オクタンの重量(g))×1 /(サンプル重量(g))
ヘプタン発生量(μg/g) =(ヘプタンピーク面積) /(n−オクタンのピーク面積/n−オクタンの重量(g))×1 /(サンプル重量(g))
<表面粗さ>
東京精密社製 表面粗さ計「サーフコム」を使用して、測定条件:カットオフ波長2.5mm、測定長5mm、測定スピード0.3mm/Sにて測定した。
測定は、磁気ヘッドが接触する図2(a)の斜線を付した範囲の任意の5ヶ所について行い、各パラメータの平均値を算出した。また、Pc値は2倍して1cm当たりの数値に換算した。
【0090】
なお、図2(a)に示す、斜線部に対応する金型面の表面粗さは、Rmax1.5μmであった。
<損傷性試験>
磁気ヘッドへの損傷性評価として、図3に示す方法にて、磁気ヘッドが接触する図2(a)の斜線を付した範囲から採取したトレイ材(サンプル)11に対して、磁気ヘッドのリード線として使用される、基材にポリイミドを使用したフレキシブルプリント配線基板(FPC)(幅10mm)12を、ゴムシート13を取り付けた荷重(100g,直径40mm)14で押し付け、スパン80mmで10往復摺動させて、試験後の配線基板12の表面を光学顕微鏡にて50〜100倍で観察し、以下の基準で判定した。
なお、損傷試験用サンプル11は事前に全て純水洗浄を行い、表面に付着したゴミを取り除いた。また、事前洗浄及び損傷性試験は全てクリーンルーム内で行った。
◎: 傷が全く観察されない。
○: 傷が6本未満で、傷深さが銅配線へ達していない。
×: 傷が6本以上で、傷深さが銅配線へ達している。
<パーティクル発生量>
純水500mlに図1,2の形状に形成したトレイ(総表面積420.8cm2)1枚を浸漬し、超音波(40KHz、0.5W/cm2)を60秒間印加した。その後、抽出した純水を液中パーティクルカウンターにて吸引し、粉塵粒子径1μm以上の数量を測定した。なお、測定に際しては、前処理として、トレイを純水により8分間超音波洗浄した後に、100℃のオーブン中にて30分乾燥を行った。作業は全てクリーンルーム内で行った。また、サンプル浸漬の際には全てガラス製容器を用いた。
<クロルイオン溶出量>
純水480mlに図1,2の形状に成形したトレイ(総表面積420.cm2)2枚をポリプロピレン容器中で浸漬し、60℃のウォーターバス中で60分攪拌した。その後、イオンを抽出した純水中のクロルイオンをイオンクロマトグラフ法にて分析した。
<不揮発性有機物溶出量>
旭ガラス社製フロン系洗浄剤「アサヒクリンAK−225」500mlに、図1,2の形状のトレイサンプル(総表面積420.8cm2)を浸漬し、超音波(40KHz、0.5W/cm2)を60秒間印加した。抽出液をアルミパン上で100℃にて揮発させて、残留分の重量を測定した。
【0091】
実施例2
実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂粉末を調製し、これを二軸混練押し出し機にてベントを20Torrに減圧しながら、300℃の温度でスクリュー回転数200RPM、吐出量20Kg/hの条件で混練して、ペレットを得た。このペレットにアセチレンブラック(電気化学(株)製「デンカブラック」DBP吸油量300cc/100g)18重量%を二軸混練押し出し機にてベント開放状態にて280℃の温度でスクリュー回転数200RPM、吐出量30Kg/hの条件で混練して、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
【0092】
このペレットを用いて実施例1と同様にしてトレイを成形し、評価を行い、表面抵抗値、腐食試験及び発生ガス分析の結果を表1に示した。
【0093】
実施例3
実施例1と同様にして調製したポリカーボネート樹脂粉末100重量部に対して1重量部の純水を添加し、二軸混練押し出し機にてベントを20Torrに減圧しながら、300℃の温度でスクリュー回転数200RPM、吐出量20Kg/hの条件で混練して、ペレットを得た。このペレットに炭素フィブリル(ハイペリオンカタリシスインターナショナル社製「タイプBN」DBP吸油量700cc/100g)4.3重量%を配合し、二軸混練押し出し機にてベントを20Torrに減圧しながら、280℃の温度でスクリュー回転数200RPM、吐出量20Kg/hの条件で混練して、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。なお炭素フィブリルの配合混練は、予め15重量%の添加量で分散させた炭素フィブリルマスターバッチを使用して、所定の含有量となるように添加した。
【0094】
このペレットを用いて実施例1と同様にしてトレイを成形し、評価を行い、表面抵抗値、腐食試験及び発生ガス分析の結果を表1に示した。
【0095】
実施例4
実施例3において、ポリカーボネート樹脂ペレットを、重合溶媒を使用しない製造方法によるポリカーボネートとして、GEプラスチック社製「MHL−1110−111」に変えたこと以外は、実施例3と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物のペレットを製造し、同様にトレイを成形し、評価を行って、表面抵抗値、腐食試験及び発生ガス分析の結果を表1に示した。
【0096】
実施例5
ビスフェノールAより製造したポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を精製し、樹脂濃度20重量%の溶液とした。この樹脂溶液を100℃の水蒸気中に噴霧して溶媒を除去し、直接ポリカーボネートの湿潤粉末を得、これを140℃で乾燥してポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0097】
得られたポリカーボネート粉末に実施例3で使用したと同様の炭素フィブリルを4.3重量%配合し、二軸混練押し出し機でベントを20Torrに減圧しながら、280℃の温度でスクリュー回転数200RPM、吐出量20Kg/hの条件で混練して、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
【0098】
得られたペレットを用い、射出成型機にて、300℃の成形温度にてトレイを成形した後、オーブン中で130℃にて10時間アニールした。
【0099】
得られたトレイについて実施例1と同様にして評価を行い、表面抵抗値、腐食試験及び発生ガス分析の結果を表1に示した。
【0100】
比較例1
実施例5で得られたポリカーボネート樹脂粉末に、実施例1で使用した炭素繊維を組成物中に20重量%配合して、ベント開放状態にて300℃の温度でスクリュー回転数100RPM、吐出量30Kg/hの条件で混練してポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
【0101】
このペレットを用いて、実施例1と同様にしてトレイの成形及び評価を行い、表面抵抗値、腐食試験及び発生ガス分析の結果を表1に示した。
【0102】
比較例2
比較例1において、炭素繊維を実施例3で使用したと同様の炭素フィブリルに変えて4.3重量%添加したこと以外は比較例1と同様にしてペレットの製造、トレイの成形及び評価を行い、表面抵抗値、腐食試験及び発生ガス分析の結果を表1に示した。
【0103】
【表1】
【0104】
表1より、本発明のトレイは、塩化メチレン等の発生量が極めて少なく、ヘッドチップの腐食の危険性が少ない上に、表面抵抗値が中位に安定しており、ヘッドチップへの電気的な損傷も少ないことがわかる。
【0105】
また、表1より本発明の磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイは、ヘッドの汚染及びそれによる損傷の問題が殆どなく、また、摩擦によるヘッドの損傷の問題が殆どないことがわかる。
【0106】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、腐食による磁気ヘッドのヘッドチップの損傷の問題のない磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例において製造した磁気ヘッド搬送用のトレイを示す斜視図である。
【図2】図2(a)は図1に示すトレイの平面図、図2(b)は図2(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図3】実施例及び比較例における損傷性試験方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1 トレイ本体
2 位置決めリブ
3 位置決めボス
4 磁気ヘッド
11 トレイ材
12 配線基板
13 ゴムシート
14 荷重
Claims (9)
- アーム部品と、該アーム部品の先端に取り付けられたヘッドチップと、該ヘッドチップに結線されたリード線とを有する磁気ディスク用磁気ヘッドを搬送するためのトレイにおいて、
該トレイは、導電性充填材0.25〜50重量%を含有するポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるものであり、
該トレイのヘッドスペースガスクロマトグラムによる測定における、加熱温度85℃、平衡時間16時間の条件で測定した表面積12.6cm2からの塩素化炭化水素発生量が0.1μg/g以下であることを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイ。 - 請求項1において、該トレイのヘッドスペースガスクロマトグラムによる測定における、加熱温度85℃、平衡時間16時間の条件で測定した表面積12.6cm2からの総アウトガス量が1μg/g以下で、塩化メチレン発生量が0.1μg/g以下でかつ炭化水素発生量が0.5μg/g以下であることを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイ。
- 請求項1又は2において、該導電性充填材が、DBP吸油量100cc/100g以上の炭素系導電性物質であることを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイ。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、該導電性充填材が、直径100nm以下で、長さ/径比が5以上の炭素フィブリルであることを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイ。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、該トレイの表面抵抗値が103〜1012Ωであることを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイ。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、ポリカーボネート樹脂として、温水滴下精製されたポリカーボネート樹脂を用いたことを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイ。
- 請求項1ないし6のいずれか1項において、ポリカーボネート樹脂として、無溶媒重合法により得られたポリカーボネート樹脂を用いたことを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイ。
- 請求項1ないし7のいずれか1項において、ポリカーボネート樹脂組成物の溶融混練時又は溶融成形時に、真空脱気を行ったことを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイ。
- 請求項1ないし8のいずれか1項において、成形後に80〜140℃の温度で30分〜20時間アニールしたことを特徴とする磁気ディスク用磁気ヘッドの搬送用トレイ。
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