JP4229619B2 - テレフタル酸分解酵素組成物およびそれを用いた3,4−ジヒドロキシ−1,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸の製造方法 - Google Patents

テレフタル酸分解酵素組成物およびそれを用いた3,4−ジヒドロキシ−1,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレフタル酸分解酵素組成物およびそれを用いたテレフタル酸の分解方法に関する。より詳しくは新規なアミノ酸配列を有するテレフタル酸分解酵素およびそれを用いてテレフタル酸を分解する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テレフタル酸はポリエチレンテレフタレート(PET)に代表される芳香族ポリエステルの原料として工業的に大量に生産され、ポリマー製造などに主に利用されている。テレフタル酸より製造されるPETは繊維、フィルムやボトルなどに成型、加工され大量に消費されている。
【0003】
使用されたPETボトルなどは分別回収などにより再利用するシステムが構築されつつあるが、中には海洋に漂うPETボトルのように、野原や森林、海洋など自然界に廃棄されてしまうものも少なくない。この場合、PETの光分解や微生物分解の過程でテレフタル酸を生成することが十分考えられるが、テレフタル酸は自然界においてはやや難分解性である事が知られている。
【0004】
テレフタル酸を分解する微生物あるいはテレフタル酸を微生物により分解する方法は従来から検討されている。具体的には特開平10−42864号公報に記載のシュードモナス属細菌により分解する方法や、特開平10−327848号公報に記載のアルカリゲネス属細菌、ロドコッカス細菌により分解する方法が開示されている。これらの菌はとりわけ水酸化ナトリウムによるポリエステル繊維の減量加工工程より排出される廃液中のテレフタル酸を分解・浄化するのに有効であると開示されている。また、米国特許第5124479号記載のシュードモナス属細菌の変異株を用いてテレフタル酸より3,4−ジヒドロキシ−1,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸を製造する方法が開示されている。しかしながら、本発明に示すようなテレフタル酸分解酵素に関しては記載がなく検討もされていない。
【0005】
酵素によるテレフタル酸の分解経路については、Comamonas testosteroni菌より単離されたテレフタル酸1,2−ジオキシゲナーゼシステムに関して報告(Schlaefli, Hans R. らJ. Bacteriol. (1994), 176(21), 6644−52)がされている。この中ではテレフタル酸分解活性を有する酵素(テレフタル酸1,2−ジオキシゲナーゼ)はテレフタル酸を補酵素ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)と酸素の存在下、テレフタル酸から1,2−ジヒドロキシ−3,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸(DCD)に変換され、生成したDCDはDCDデヒドロゲナーゼによりプロトカテク酸に変換される経路が開示されている。また、上記テレフタル酸1,2−ジオキシゲナーゼは2つのサブユニット構造を有し、そのN末端側のアミノ酸配列についても記載がなされている。
【0006】
しかしながら、種々の工業廃液中に含まれるテレフタル酸を分解・浄化するという観点からすると、上記文献で開示されている酵素システムではプロトカテク酸という芳香族化合物が生成するため廃液処理工程への負荷を低減せしめるには不十分であり、紫外吸収を持たない脂肪族系の化合物に変換するのが好ましいと思われるが、このような酵素は見つかっていない。
【0007】
本発明の主な目的は、新規なテレフタル酸分解酵素を提供することにある。また本発明の他の目的は、酵素を用いたテレフタル酸の分解により3,4−ジヒドロキシ−1,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記テレフタル酸を分解する酵素について、テレフタル酸を資化しうる菌およびそれより得られる分解酵素について鋭意検討した結果、既知の分解酵素テレフタル酸1,2−ジオキシゲナーゼとは、アミノ酸配列に関して相同性が無く、またこれまで報告されている反応様式とは異なる新規酵素であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、次のとおりのものである。
1. Burkholderia gladioli 4−7−1(FERM P−18427)株により産生されるテレフタル酸分解酵素組成物から単離された、下記特性を有するテレフタル酸分解酵素A。
A.分子量およびサブユニット構造:
SDS−PAGEから求めた分子量は136KDaであり、2つのサブユニット構造を有する。1つは52KDaの分子量を有するユニット(α鎖)で、もう1つは16KDaの分子量を有するユニット(β鎖)である。質量分析から求められた分子量はそれぞれ128kDa、47kDa、17kDaである。
B.補酵素:
NADHを必要とする。
C.N末端側アミノ酸配列:
α: Asn−Val−Ile−Pro−Ile−Lys−Leu−Ala−Arg−Arg−Ala−Ser−Val−Ala−Trp−Pro−Glu−Glu−Gly−Leu−Thr−Arg−Val−Pro
β: Ala−Ala−Leu−Asp−Ile−His−Gln−Ala−Ile−Ala−Arg−Ala−(Gln)−(Ala)−Glu−Tyr−Val−Arg−(Arg/Ser)−Ile
(アミノ酸配列表中にカッコで囲まれたアミノ酸は、アミノ酸配列解析の結果ほぼ記載のアミノ酸に同定できるものと思われるが、不純物などの影響で確実に同定できない部分を示す。)
D.部分アミノ酸配列:
α1: (Lys)−Asp−Ser−Tyr−His−Ala−Ser−Ile−Leu−His−Leu−Phe−Phe−Thr−Thr−Phe−Gln−Leu−Asn−Arg
α2: (Lys)−Leu−Arg−Val−Ala−Thr−Leu−His−Gly−Leu−Val−Phe−Gly−Ser−Phe―Ser―Asp−Asp−Val−Ala
(アミノ酸配列表中にカッコで囲まれたアミノ酸は、アミノ酸配列解析の結果ほぼ記載のアミノ酸に同定できるものと思われるが、不純物などの影響で確実に同定できない部分を示す。)
E.等電点:
等電点は5.3である。
F.至適pH、至適温度:
至適pHは7.4から8、至適温度は20〜30℃である。
G.基質特異性:
テレフタル酸二ナトリウム、2,5−ジカルボキシピリジンを分解する。
H.金属イオン、キレート試薬による影響:
0.5mM塩化鉄(II)を添加することにより活性は上昇し、2価鉄イオン以外の各種金属イオンにより強く阻害される。また、各種キレート剤により阻害される。
2. (1)テレフタル酸を炭素源として含む培地においてBurkholderia gladioli 4−7−1株を培養し、(2)該菌株を破砕して得られた破砕液(粗酵素液)を、(3)ジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するイオン交換樹脂に緩衝液中で吸着させ(緩衝液としては10%グリセリンおよび1mMのジチオスレイトール(DTT)を含む50mMの3−モルフォリノプロパンスルホン酸(MOPS)−水酸化カリウム緩衝液、pH=7.5を使用)、(4)該緩衝液の塩濃度を塩化ナトリウムにより高め、その塩化ナトリウム濃度が0.25〜0.33Mの緩衝液でイオン交換樹脂より脱離することにより得られるフラクションから得る、上記1に記載のテレフタル酸分解酵素Aの単離方法。
3. (1)テレフタル酸を炭素源として含む培地においてBurkholderia gladioli 4−7−1株を培養し、(2)該菌株を破砕して得られた破砕液(粗酵素液)を、(3)ジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するイオン交換樹脂に緩衝液中で吸着させ緩衝液としては10%グリセリンおよび1mMのジチオスレイトール(DTT)を含む50mMの3−モルフォリノプロパンスルホン酸(MOPS)−水酸化カリウム緩衝液、pH=7.5を使用)、(4)該緩衝液の塩濃度を塩化ナトリウムにより高め、その塩化ナトリウム濃度が0.10以上0.25M未満の範囲でイオン交換樹脂より脱離することにより得られるフラクションから得る、テレフタル酸分解酵素分画物Bの製造方法。
4. 上記1に記載の分解酵素Aを用いてテレフタル酸を分解する3,4−ジヒドロキシ−1,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸の製造方法。
5. 上記3に記載の方法によって得られた分解酵素分画物Bを併用する、上記4記載の3,4−ジヒドロキシ−1,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸の製造方法。
6. 上記1に記載の分解酵素Aと上記3に記載の方法によって得られた分解酵素分画物Bとを含む、テレフタル酸分解酵素組成物。
【0010】
本発明の分解酵素による反応生成物は、3,4−ジヒドロキシ−1,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸であり、これをもとにヒドロキシテレフタル酸を容易に合成することが可能である。また、従来公知の酵素による反応とは異なり、副生成物としてプロトカテク酸を含まないため、反応生成物の精製が容易である。また、本発明の分解酵素を利用することにより、廃テレフタル酸を利用して生成物の化合物を製造することや、上記酵素を固定化したバイオリアクターなどへの利用が可能となり得る。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のテレフタル酸分解酵素は、好気性細菌であるBurkholderia属の中のBurkholderia gladioli 4−7−1株により生産することができる。この菌は、通常自然界に広く存在するものと考えられる。
【0012】
本発明によれば、この菌はテレフタル酸を炭素源として生育、増殖することが可能であることが見いだされた。また、テレフタル酸ジメチルなどのエステル類も資化することが可能である。上記菌によって分解あるいは資化されるテレフタル酸は、液体培地や寒天培地などの培地中に溶解しているほうが菌による資化にとって好ましいため、ナトリウム塩などの金属塩やアンモニウム塩などのオニウム塩の形態であることが好ましい。
【0013】
この菌Burkholderia gladioli 4−7−1株を増殖せしめる方法としては、培地として通常の微生物実験に用いられる培地であればいかなるものを用いても構わないが、好ましくはテレフタル酸を培地組成に含んでおり、必要に応じて無機塩などのミネラルを含む培地で生育させることが酵素の生産にとって好ましい。より好ましくは無機塩として硫酸アンモニウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸亜鉛などの金属塩を含むものが良い。炭素源としてはテレフタル酸以外にも必要に応じてグルコースやペプトン、麦芽汁、酵母エキス、肉汁などを用いてもかまわない。培地のpHを一定に保つため、緩衝液を利用することが好ましい。緩衝液としてはリン酸緩衝液や3−モルフォリノプロパンスルホン酸(MOPS)−水酸化カリウム緩衝液などを利用できるがこれらに限定されない。また、生育温度としては20〜35℃の範囲で生育させるのが好ましく、培地のpHとしては6〜7の範囲が好ましい。
【0014】
この菌により生産されるテレフタル酸分解酵素は、菌体のいずれの部位にあってもかまわないが、好ましくは菌の内部にあるものを精製の対象とする。テレフタル酸分解酵素を抽出する過程においては好ましくは培養により増殖した菌体を破砕し得られた液全体より単離することが好ましい。このような方法で得られる菌体の破砕液や培養後の液は不純物として様々なタンパク質や老廃物を含むため、精製することが好ましい。
【0015】
テレフタル酸分解酵素を精製する方法としては特に制限されないが、好ましくは以下の方法により単離される。具体的にはジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するイオン交換樹脂、とりわけセルロースやデキストランなどの多糖誘導体が好ましいが、たとえばファルマシア社製のDEAEセファデックスを充填したカラムを用いて、イオン交換クロマトグラフィーによりその酵素の比活性が高められた酵素画分を得ることが出来る。このとき用いる緩衝液としてはリン酸緩衝液や3−モルフォリノプロパンスルホン酸(MOPS)−水酸化カリウム緩衝液が好ましいがこれらに限定されない。緩衝液の濃度としては、0.01Mから0.2Mが好ましく、より好ましくは0.02〜0.1Mである。
【0016】
操作は低温で行うことが好ましく、具体的には4℃前後で行うことが好ましい。また酵素の安定性を維持する目的でグリセリンやジチオスレイトール(DTT)などの添加剤を利用してもかまわない。イオン交換樹脂に吸着した酵素は、緩衝液中の塩濃度を高めることにより脱離し、回収することができる。このとき用いる塩としては、塩化ナトリウムや硫酸アンモニウムなどが好ましく利用される。塩濃度を高める方法はステップワイズ式でもグラジエント式でもよいが、酵素の純度、比活性を高める目的としてはグラジエント式が好ましい。
【0017】
精製操作を行うにあたって、テレフタル酸分解酵素の活性はテレフタル酸の減少を追跡することにより測定し得る。テレフタル酸の定量は、高速液体クロマトグラフィーなどの方法により分析することが出来る。
【0018】
テレフタル酸分解酵素を抽出する具体的な好ましい態様は次のとおりである。テレフタル酸及びBurkholderia gladioli 4−7−1株を含む培地において、培養により増殖した上記菌体を遠心分離操作により採集しこれを破砕する。得られた破砕液(粗酵素液)を、ジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するイオン交換樹脂に緩衝液中で吸着させる。このとき緩衝液として、10%グリセリンおよび1mMのジチオスレイトール(DTT)を含む50mMの3−モルフォリノプロパンスルホン酸(MOPS)−水酸化カリウム緩衝液(pH=7.5)を用いることができる。ついで、4℃前後において、グラジエント式によって、塩化ナトリウムを含む緩衝液を用いてイオン交換樹脂に吸着した酵素を脱離させ、テレフタル酸分解酵素群を得る。
【0019】
このような方法により得られるテレフタル酸分解酵素群は、下記に示す2つの酵素活性を有するものを含むものである。1つは補酵素NADHと酵素分画物Bの存在下、テレフタル酸を分解する活性を有するもの(酵素A)と、もう1つはNADHの存在下でチトクロームCを還元する活性を有するもの(酵素分画物B)である。前者は酵素反応の性質からオキシゲナーゼと思われ、後者は酵素活性の性質からレダクターゼと思われる。本発明で開示しているこれらの酵素は、上記酵素Aと酵素分画物Bが共存するときにテレフタル酸分解活性が最も発現されやすく、どちらか一方でもその活性を欠いた場合はテレフタル酸分解能力が有意に低下する特徴を有する。共存する好ましい割合としては、酵素Aが1モルに対し、酵素分画物Bは0.1〜10モルである。なお、酵素A、酵素分画物Bはそれぞれ、上記条件においてその塩化ナトリウム濃度が0.10以上0.25M未満(酵素B)及び0.25〜0.33M(酵素A)の範囲で分画された成分中に主に含まれる。
【0020】
本発明によれば、テレフタル酸を酵素Aと酵素分画物Bの共存下で反応させた生成物は、3,4−ジヒドロキシ−1,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸であり、紫外可視吸収波長を持たないものが得られる。これまで公知のテレフタル酸1,2−ジオキシゲナーゼとDCDレダクターゼの組み合わせではテレフタル酸からプロトカテク酸が得られるものと記載されているが、本酵素群の生成物はプロトカテク酸とは異なるものであり、酵素反応の反応機構として新規な酵素であるといえる。
【0021】
また本発明における酵素群はプロトカテク酸を分解する活性は認められないため、公知のテレフタル酸1,2−ジオキシゲナーゼとDCDレダクターゼの組み合わせにプロトカテク酸を分解する何らしかの不純物が混入したものとは考えられず、新規な反応機構を有する酵素群であることがいえる。
【0022】
本発明の酵素の精製を進めるに従って、上記方法によれば上記酵素Aは赤い色を有する画分として得られ、酵素分画物Bは黄色を呈する画分として得られる。酵素溶液が着色している理由としては、この酵素は金属あるいはポルフィリンなどの補欠因子族を含む酵素であるものと推定される。
【0023】
酵素Aは精製を進めることにより、単一な酵素として単離することができる。この単一な酵素Aは以下の性状を有する。
A.分子量およびサブユニット構造
SDS−PAGEから求めた分子量は136KDaであり、2つのサブユニット構造を有する。1つは52KDaの分子量を有するユニット(α鎖)で、もう1つは16KDaの分子量を有するユニット(β鎖)である。質量分析から求められた分子量はそれぞれ128kDa、47kDa、17kDaである。
B.補酵素
NADHを必要とする。
C.アミノ酸配列
α鎖とβ鎖のN末端側のアミノ酸配列およびα鎖の2つの部分配列を後掲の表3に示す。アミノ酸配列的には既報の配列と相同性は無く、新規酵素であることがわかった。
【0024】
アミノ酸配列表中にカッコで囲まれたアミノ酸は、アミノ酸配列解析の結果ほぼ記載のアミノ酸に同定できるものと思われるが、不純物などの影響で確実に同定できない部分を示す。
D.等電点
等電点は5.3である。
E.至適pH、至適温度
至適pHは7.4から8、至適温度は20〜30℃である。
F.基質特異性
テレフタル酸二ナトリウム、2,5−ジカルボキシピリジンを分解する。
G.金属イオン、キレート試薬による影響
0.5mM 塩化鉄(II)を添加することにより活性は上昇し、2価鉄イオン以外の各種金属イオンにより強く阻害される。また、各種キレート剤により阻害される。
【0025】
本発明におけるテレフタル酸分解酵素群、及びそれに含まれる新規酵素A及びBは、テレフタル酸を含む排水の分解・浄化に利用し得る。またテレフタル酸を原料として酵素反応により生成する化合物を製造することや、本酵素を固定化したバイオリアクターなどへの利用が可能となり得る。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の目的を損なわない範囲において、これらに限定されない。
テレフタル酸分解活性の測定
テレフタル酸の分解酵素の分解活性は、その反応液のテレフタル酸の減少量を高速液体クロマトグラフィーで追跡した(定量し、算出された)。酵素反応の条件は以下の通りである。
【0027】
酵素溶液50μl、下記化合物を含むバッファー溶液200μlを混合し、30℃で15分間反応させた。反応溶液中の各化合物の最終濃度は以下の通りである。
【0028】
0.1mM NADH
0.1mM テレフタル酸二ナトリウム
0.02mM FeCl
バッファーには50mM MOPS−水酸化カリウム(KOH)緩衝液(50mM、pH=7.5)を用いた。
【0029】
反応後、250μlのメタノールと100mMリン酸の混合溶媒(80/20の混合比)を加え、失活させたのち、遠心分離で得られた上清を高速液体クロマトグラフィーでテレフタル酸残存量を測定した。高速液体クロマトグラフィーは日立製作所製のL−7000シリーズ型装置を用い、カラムには資生堂CAPCELL PAK C18(UG120, 5μm サイズφ4.6mm×250mmを、溶媒にはメタノール/20mMリン酸水溶液=40/60を用いた。検出は紫外吸収(240nm)で行った。
全タンパク質量の測定
牛アルブミンタンパクを標準タンパクとし、BCA法を用いた測定結果より重量を算出した。
酵素の比活性
酵素の比活性は酵素活性を蛋白質量で割った値を用いた。全酵素活性は1molのテレフタル酸を30℃、1分で分解する活性を1katとして計算した。
【0030】
酵素の比活性は以下の計算式で算出した。
【0031】
【数1】
酵素の比活性=(全酵素活性;kat)/(全蛋白質量;重量)
全菌体数の測定
日立製のU−1100型紫外可視吸光光度計で測定した。測定波長は660nmで行った。
【0032】
[実施例1(テレフタル酸分解菌の単離)]
テレフタル酸を炭素源として生育可能な選択培地を用いて、産業排水などの90サンプルから集積培養を行った。単離に用いた培地の成分を以下に示す。水はイオン交換水を用いた。
【0033】
0.2% (NHSO
0.1% テレフタル酸ニナトリウム塩
0.01% 酵母エキス
0.001% FeSO・7H
0.0001% CuSO・5H
0.0001% MgSO・5H
0.0001% MnSO・5H
0.0001% ZnSO・5H
50mM リン酸カリウムバッファー pH=6.0
その中で分解活性の高い菌を単離しスクリーニングを行った。その結果、もっとも分解活性の高い菌を単離した。その結果、本菌は、生理学的特性からBurkholderia gladioliであると同定された。この菌の特徴を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004229619
[実施例2(テレフタル酸分解酵素の単離)]
単離されたBurkholderia gladioli 4−7−1株の菌体を得るため、丸菱バイオエンジ(株)社製30L容のジャーファーメンターで培養を実施した。培地には実施例1で用いた培地のテレフタル酸濃度を0.2%に高めたものを用いた。培養液は20L用い30℃で通気攪拌培養を行った。培養後の菌体数は(A660)は0.7であった。培養液はすべて遠心分離を行い、菌体を採集した。その結果、菌体が濃縮された液(菌体数(A660)=40)350mlを得た。
【0035】
この菌体が濃縮された液150mlに、以下の化合物を添加した。
【0036】
ジチオスレイトール(DTT、最終濃度が1mM)
DNA分解酵素(最終濃度0.1mM)
4−アミジノフェニルメタンスルホン酸フルオリド(最終濃度0.01mM)
α−microbial alkaline protease inhibitor(最終濃度0.01mM)
pepstatin(最終濃度0.01mM)
これを氷冷下HEAT SYSTEM社製astorason ULTRA SONIC PROCESSORホモジェナイザーで破砕し、破砕液を得た。これを遠心分離で不溶部を除去し、粗酵素液(120ml)を得た。
【0037】
次に粗酵素液をイオン交換クロマトで精製した。DEAEセファロース(ファルマシア社製DEAE Sepharose FF)を緩衝液(10%グリセリンおよび1mMのDTTを含むMOPS−水酸化カリウム(KOH)緩衝液(50mM、pH=7.5))中で減圧下脱気、平衡化処理を行った。これに粗酵素液を添加し、4℃で1時間保持し、セファロース樹脂に酵素を吸着させた。これの全量をカラムに充填した(φ2.0cm×20cm)。このカラムに300mlの上記緩衝液を添加、洗浄し(4℃、流速31ml/hr)、不要なタンパク質を除去した。ついで塩濃度を高めることにより、吸着した酵素を脱離させた。塩濃度上昇には0.5M塩化ナトリウムを含む上記緩衝液150mlをグラジエントさせることで高めた。操作はすべて4℃で行い、カラムより出た画分はフラクションコレクターにより7.1mlずつ分画した。分画されたフラクションについて、全タンパク質量およびテレフタル酸分解活性を測定した結果、塩濃度0.25Mから0.33Mの画分にテレフタル酸分解活性を有する赤色の画分を得た。また赤色の画分よりも塩濃度が低い領域(0.1以上0.25M未満)で黄色い色を有するフラクションを得ることが出来た。
【0038】
このとき得られた赤色のフラクションをさらに疎水クロマトにより精製した。フェニルセファロース(ファルマシア社製Phenyl Sepharose CL−4B)を緩衝液(MOPS−KOH緩衝液(50mM、pH=7.5、10%グリセリン、1mMのDTTおよび1Mの硫酸アンモニウムを含むもの)中で脱気、平衡化し、上記赤色フラクション(70mL)を0.88Mの硫酸アンモニウムの存在下吸着させた。これをカラムに充填し(φ0.9cm×16cm)、150mlの硫酸アンモニウムを含む上記緩衝液で洗浄し、硫酸アンモニウム濃度を0.4M、0.2M、0Mと下げていくことにより(各50ml添加)酵素を脱離、フラクション(各3.5mL)を回収した。流速は68mL/hrであった。酵素活性を調べて分解活性の高かったフラクションを集め、ゲルろ過による精製を行った。
【0039】
ファルマシア社製Superdex200HR10/30をカラム(φ1.0cm×30cm)として用い、上記フラクション0.9mlを添加しゲルろ過クロマトを実施した。緩衝液には0.1Mの塩化ナトリウムを含むMOPS−KOH緩衝液(50mM、pH=7.5、10%グリセリンおよび1mMのDTTを含むもの)を用いた。その結果、比活性が340にまで高められた酵素Aを得た。
【0040】
酵素の精製段階と、その比活性についてまとめたデータを表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 0004229619
各クロマトグラフィーで得られた酵素についてその純度を調べるため、ドデシル硫酸ナトリウムの存在下アクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を行った。結果を図1に示す。
【0042】
ゲルろ過クロマトを行うことにより、ゲルろ過後の酵素Aは不純物のバンドが消失し、サブユニット構造による2つの分子鎖のバンドが確認された。
【0043】
[実施例3(テレフタル酸分解酵素(オキシゲナーゼ様画分)の諸性質)]
実施例2によりBurkholderia gladioli 4−7−1菌体より精製された酵素Aの諸性質を調べた。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
Figure 0004229619
以上の結果から、今回精製された酵素AのN末端側のアミノ酸配列は公知のテレフタレート1,2−ジオキシゲナーゼと相同性はなく、新規酵素であると判断された。
【0045】
なお、至適pHの測定には、MOPS−KOH緩衝液のほかに、リン酸緩衝液、トリス(ジヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液を用いた。
【0046】
N末端側のアミノ酸配列は、アプライドバイオシステムズジャパン(株)マイクロシーケンスアナリシスシステム:ABI Model 476A で分析をし、Applied Biosystems 610A Data Analysis System Ver. 1.2で解析を行った。また、部分アミノ酸配列はlysyl endpeptidaseで消化した後、Tricine−SDS−PAGEにより精製されたペプチド断片について、N末端側のアミノ酸配列と同様に分析、解析を行った。
【0047】
[実施例4(酵素Aと黄色いフラクションの共反応)]
実施例2により単離された酵素Aについて、下記の実施条件により1)〜3)について調べた。結果を表4に示す。
(実施条件)
1)実施例2のDEAEセファロースカラムによる精製で得られた黄色いフラクションの存在下で反応させた場合の酵素活性
酵素A12.5μl、黄色画分12.5μl、50mM MOPS−KOH buffer pH=7.5 25μl、基質のバッファー溶液200μlを混合し、30℃で15分間反応させた。基質のバッファー溶液の最終組成は以下の通りである。
【0048】
0.1mM NADH
0.1mM テレフタル酸ナトリウム
0.02mM FeCl
50mM MOPS−KOH buffer pH=7.5
反応後、250μlのメタノールと100mMリン酸の混合溶媒(80/20の混合比)を加え、失活させたのち、遠心分離で得られた上清を高速液体クロマトグラフィーでテレフタル酸残存量を測定した。
2)熱により失活させた黄色いフラクションの存在下での酵素活性
黄色いフラクションを100℃で10分間加熱処理し、失活したものを用いた以外は上記1)の方法と同様に行った。
3)熱により失活させた酵素Aと、失活してない黄色いフラクションが共存する場合の酵素活性
酵素Aを100℃で10分間加熱処理し、失活したものを用いた以外は上記1)の方法と同様に行った。
【0049】
【表4】
Figure 0004229619
以上より、実施例2で単離された酵素Aは黄色いフラクション(酵素分画物B)の共存下でテレフタル酸を最も高く分解することから、テレフタル酸の分解には両方の活性がそろうことにより最大の効果が得られることがわかった。
【0050】
また、上記1)(酵素A+黄色いフラクション)の反応前と反応後の紫外可視吸収スペクトルを測定した。結果を図2に示す。
【0051】
反応前の紫外可視吸収スペクトルは基質であるテレフタル酸の吸収(240nm付近)、酵素タンパク質の吸収(220および280nm付近)、補酵素NADHの吸収(220nm付近)が重なって見られた。
【0052】
酵素反応と共にテレフタル酸が分解するにつれて240nmの吸収の減少、補酵素NADHが消費されること(すなわちNADHが酸化型のNAD+に変化すること)による340nmの減少が確認された。しかしその他の吸収スペクトルの変化は見られなかった。公知文献に記載のごとく、プロトカテク酸が生成する場合は、258nm付近に吸収極大の増加が観察されるが、本発明の酵素ではそのような変化は見られなかった。
【0053】
[実施例5(酵素の反応における各種化合物の影響)]
実施例2により単離された酵素A、酵素Bを用いて、下記の実施条件により、各金属イオン、キレート試薬の影響を調べた。結果を表5に示す。
(実施条件)
1) テレフタル酸分解酵素活性
酵素A12.5μl、黄色画分12.5μl、50mM MOPS−KOH buffer pH=7.5 25μl、基質のバッファー溶液200μlを混合し、30℃で15分間反応させた。基質のバッファー溶液の最終組成は以下の通りである。
【0054】
0.1mM NADH
0.1mM テレフタル酸ナトリウム
50mM MOPS−KOH buffer pH=7.5
0.5mM〜1mM 各キレート試薬、金属イオン
【0055】
【表5】
Figure 0004229619
テレフタル酸分解活性はFeClにより約2.7倍に増加したが、FeCl以外の金属イオンでは強く阻害される。また、NaN以外の各種キレート剤によっても阻害される。
【0056】
[実施例6(反応生成物)]
実施例2と同様の操作を実施することにより得られた粗酵素液をイオン交換クロマトで精製した。DEAEセファロース(ファルマシア社製DEAE Sepharose FF)を緩衝液(1mMのDTTを含むMOPS−水酸化カリウム(KOH)緩衝液(50mM、pH=7.5))中で減圧下脱気、平衡化処理を行った。これの全量をカラムに充填した(φ2.0cm×20cm)。4℃下で、これに粗酵素液40mlを添加し、セファロース樹脂に酵素を吸着させた。このカラムに200mlの上記緩衝液を添加、洗浄し(4℃、流速60ml/hr)、不要なタンパク質を除去した。ついで塩濃度を高めることにより、吸着した酵素を脱離させた。塩濃度上昇には0.5M塩化ナトリウムを含む上記緩衝液420mlをグラジエントさせることで高めた。操作はすべて4℃で行い、カラムより出た画分はフラクションコレクターにより4mlずつ分画した。分画されたフラクションについて、全タンパク質量およびテレフタル酸分解活性を測定した結果、塩濃度0.25Mから0.33Mの画分にテレフタル酸分解活性を有する赤色の画分を得た。また赤色の画分よりも塩濃度が低い領域(0.1以上0.25M未満)で黄色い色を有するフラクションを得ることが出来た。
【0057】
得られた赤色画分1ml、黄色画分1ml、基質溶液8mlを混合し、30℃で2時間反応させた。基質の溶液の最終組成は以下の通りである。
【0058】
1mM NADH
1mM テレフタル酸ナトリウム
0.02mM FeCl
これより生成物として3,4−ジヒドロキシ−1,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸を得た。この生成物のH−核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)と13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)は次の通りであった。また、プロトカテク酸はH−NMRで6.82,7.33,7.38(ppm)にピークを持つが、反応溶液中からはこれらのピークは検出されなかった。
【0059】
H−NMR(DO)δ(ppm):4.99(1H),5.87(1H),6.46(1H),6.51(1H)
13C−NMR(DO)δ(ppm):73.01,75.56,126.61,128.51,133.00,136.98,174.37,181.42
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、新規テレフタル酸分解酵素を提供することができる。本発明の酵素を用いることにより、テレフタル酸を紫外吸収の低い化合物に変化させることや、本発明の酵素を固定化したバイオリアクターなどへの応用が期待される。
【0061】
【配列表】
<110> 国立大学法人 京都工芸繊維大学
<110> 帝人株式会社

<120> テレフタル酸分解酵素組成物およびそれを用いた3,4-ジヒドロキシ-1,5-シクロヘキサジエン-1,4-ジカルボン酸の製造方法

<130> P35682
<150> JP2001-84663
<151> 2001-3-23

<160> 6

<210> 1
<211> 24
<212> PRT
<213> Burkholderia gladioli

<400> 1
Asn Val Ile Pro Ile Lys LeuAla Arg Arg Ala Ser Val Ala Trp Pro
1 5 10 15
Glu Glu Gly LeuThr Arg Val Pro
20

<210> 2
<211> 20
<212> PRT
<213> Burkholderia gladioli

<220>
<221> UNSURE
<222> 13, 14, 19

<400> 2
Ala Ala Leu Asp IleHis Gln Ala Ile Ala Arg Ala Xaa XaaGlu Tyr
1 5 10 15
Val Arg Xaa Ile
20

<210> 3
<211> 20
<212> PRT
<213> Burkholderia gladioli

<220>
<221> UNSURE
<222> 1

<400> 3
Xaa Asp Ser Tyr His Ala Ser Ile Leu His Leu PhePhe Thr ThrPhe
1 5 10 15
Gln Leu Asn Arg
20

<210> 4
<211> 20
<212> PRT
<213> Burkholderia gladioli

<220>
<221> UNSURE
<222> 1

<400> 4
Xaa Leu Arg Val Ala Thr Leu His GlyLeu Val Phe Gly Ser Phe
1 5 10 15
Ser Asp Asp Val Ala
20

<210> 5
<211> 17
<212> PRT
<213> Comamonas testosteroni

<220>
<221> UNSURE
<222> 9

<400> 5
Met Gln Glu Ser IleIle Gln TrpXaa Gly Ala Thr Asn ThrArg Val
1 5 10 15
Pro

<210> 6
<211> 24
<212> PRT
<213> Comamonas testosteroni

<400> 6
Met Ile Asn GluIle Gln IleAla Phe Asn Ala Ala Tyr Ala LysThr
1 5 10 15
Ile Asp Ser Asp Ala Met GluGln
20
【図面の簡単な説明】
【図1】 アクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)による測定結果。
【図2】 実施例4の1)における酵素反応前と反応後の紫外可視吸収スペクトル。

Claims (6)

  1. Burkholderia gladioli 4−7−1(FERM P−18427)株により産生されるテレフタル酸分解酵素組成物から単離された、下記特性を有するテレフタル酸分解酵素A。
    A.分子量およびサブユニット構造:
    SDS−PAGEから求めた分子量は136KDaであり、2つのサブユニット構造を有する。1つは52KDaの分子量を有するユニット(α鎖)で、もう1つは16KDaの分子量を有するユニット(β鎖)である。質量分析から求められた分子量はそれぞれ128kDa、47kDa、17kDaである。
    B.補酵素:
    NADHを必要とする。
    C.N末端側アミノ酸配列:
    α: Asn−Val−Ile−Pro−Ile−Lys−Leu−Ala−Arg−Arg−Ala−Ser−Val−Ala−Trp−Pro−Glu−Glu−Gly−Leu−Thr−Arg−Val−Pro
    β: Ala−Ala−Leu−Asp−Ile−His−Gln−Ala−Ile−Ala−Arg−Ala−(Gln)−(Ala)−Glu−Tyr−Val−Arg−(Arg/Ser)−Ile
    (アミノ酸配列表中にカッコで囲まれたアミノ酸は、アミノ酸配列解析の結果ほぼ記載のアミノ酸に同定できるものと思われるが、不純物などの影響で確実に同定できない部分を示す。)
    D.部分アミノ酸配列:
    α1: (Lys)−Asp−Ser−Tyr−His−Ala−Ser−Ile−Leu−His−Leu−Phe−Phe−Thr−Thr−Phe−Gln−Leu−Asn−Arg
    α2: (Lys)−Leu−Arg−Val−Ala−Thr−Leu−His−Gly−Leu−Val−Phe−Gly−Ser−Phe―Ser―Asp−Asp−Val−Ala
    (アミノ酸配列表中にカッコで囲まれたアミノ酸は、アミノ酸配列解析の結果ほぼ記載のアミノ酸に同定できるものと思われるが、不純物などの影響で確実に同定できない部分を示す。)
    E.等電点:
    等電点は5.3である。
    F.至適pH、至適温度:
    至適pHは7.4から8、至適温度は20〜30℃である。
    G.基質特異性:
    テレフタル酸二ナトリウム、2,5−ジカルボキシピリジンを分解する。
    H.金属イオン、キレート試薬による影響:
    0.5mM塩化鉄(II)を添加することにより活性は上昇し、2価鉄イオン以外の各種金属イオンにより強く阻害される。また、各種キレート剤により阻害される。
  2. (1)テレフタル酸を炭素源として含む培地においてBurkholderia gladioli 4−7−1株を培養し、(2)該菌株を破砕して得られた破砕液(粗酵素液)を、(3)ジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するイオン交換樹脂に緩衝液中で吸着させ(緩衝液としては10%グリセリンおよび1mMのジチオスレイトール(DTT)を含む50mMの3−モルフォリノプロパンスルホン酸(MOPS)−水酸化カリウム緩衝液、pH=7.5を使用)、(4)該緩衝液の塩濃度を塩化ナトリウムにより高め、その塩化ナトリウム濃度が0.25〜0.33Mの緩衝液でイオン交換樹脂より脱離することにより得られるフラクションから得る、請求項1に記載のテレフタル酸分解酵素Aの単離方法。
  3. (1)テレフタル酸を炭素源として含む培地においてBurkholderia gladioli 4−7−1株を培養し、(2)該菌株を破砕して得られた破砕液(粗酵素液)を、(3)ジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するイオン交換樹脂に緩衝液中で吸着させ緩衝液としては10%グリセリンおよび1mMのジチオスレイトール(DTT)を含む50mMの3−モルフォリノプロパンスルホン酸(MOPS)−水酸化カリウム緩衝液、pH=7.5を使用)、(4)該緩衝液の塩濃度を塩化ナトリウムにより高め、その塩化ナトリウム濃度が0.10以上0.25M未満の範囲でイオン交換樹脂より脱離することにより得られるフラクションから得る、テレフタル酸分解酵素分画物Bの製造方法。
  4. 請求項1に記載の分解酵素Aを用いてテレフタル酸を分解する3,4−ジヒドロキシ−1,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸の製造方法。
  5. 請求項3に記載の方法によって得られた分解酵素分画物Bを併用する、請求項4記載の3,4−ジヒドロキシ−1,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジカルボン酸の製造方法。
  6. 請求項1に記載の分解酵素Aと請求項3に記載の方法によって得られた分解酵素分画物Bとを含む、テレフタル酸分解酵素組成物。
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