JP4221541B2 - 燃料ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1つのアウタギヤの内周側に2つのインナギヤを偏心配置して構成したトロコイドギヤ式の燃料ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両に搭載する燃料ポンプの燃料吐出性能を高めるために、トロコイドギヤ式の燃料ポンプを採用することが検討されている。このトロコイドギヤ式の燃料ポンプは、図9に示すように、円筒型のポンプケーシング1内に回転自在に収容した内歯付きのアウタギヤ2の内周側に外歯付きのインナギヤ3を偏心配置すると共に、両ギヤ2,3を噛み合わせて両ギヤ2,3の歯間にポンプ室4を形成し、駆動モータ(図示せず)によりインナギヤ3を回転駆動してアウタギヤ2を回転させることで、両ギヤ2,3の歯間のポンプ室4を回転方向に移動させながら、該ポンプ室4の容積を連続的に増加・減少させて燃料を吸入・吐出するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなトロコイドギヤ式の燃料ポンプは、両ギヤ2,3の回転によりポンプ室4の容積が増加する領域でポンプ室4内に燃料を吸入した後、該ポンプ室4の容積が減少する領域でポンプ室4内の燃料を昇圧して吐出するようになっている。この際、ポンプ室4の容積が減少する吐出領域では、ポンプ室4内の燃料が加圧されて燃料圧力(燃圧)が上昇するため、その燃圧上昇によってアウタギヤ2に外径方向の荷重がかかる。このような燃圧上昇による外径方向の荷重は、ポンプ室4内の燃圧が低下する吸入領域(吸入ポート側)では発生しないため、アウタギヤ2に対する外径方向の荷重は、ポンプ室4の燃圧が上昇する吐出領域(吐出ポート側)のみに働き、これが偏荷重となって、アウタギヤ2の吐出ポート側の一部分がポンプケーシング1の内周面に強く押しつけられた状態となる。このため、ポンプケーシング1に対するアウタギヤ2の摺動抵抗(摩擦損失)が大きくなり、その分、駆動モータの負荷が大きくなって、消費電力が増加したり、燃料吐出性能の低下(ポンプ回転速度の低下)を招くという欠点がある。
【0004】
また、トロコイドギヤ式の燃料ポンプは、ポンプ室4の容積変化を繰り返すため、アウタギヤ2の歯数に応じた周波数の吐出圧力脈動が発生し、その圧力脈動により燃料タンク、燃料配管、車両のフロアパネル等を振動させて、騒音・振動が大きくなる欠点もある。このため、トロコイドギヤ式の燃料ポンプを用いる場合は、低騒音化・低振動化のために、燃料ポンプの外部に圧力脈動低減装置を取り付けたり、車体に遮音材を張り付ける等の騒音対策を施す必要があり、コスト高になるという欠点もある。
【0005】
本発明はこれらの事情を考慮してなされたものであり、従って、その目的は、ポンプケーシングに対するアウタギヤの摺動抵抗(摩擦損失)を低減して、駆動モータの消費電力低減、燃料吐出性能向上を実現できると共に、吐出圧力の脈動によるポンプ騒音・振動を低コストで低減できる燃料ポンプを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1のトロコイドギヤ式の燃料ポンプは、1つのアウタギヤの内周側に2つのインナギヤを仕切壁を挟んで重ね合わせた状態で偏心配置すると共に、前記アウタギヤに対する両インナギヤの偏心方向を互いに180°反対側にずらした構成としたことを第1の特徴とし、更に、アウタギヤの歯数を奇数の歯数の最小値である“5”とし、インナギヤの歯数を偶数の歯数の最小値である“4”としたことを第2の特徴とし、更に、前記1つのアウタギヤの内歯形状及び外周形状は、それぞれ軸方向で一定の形状に形成されていることを第3の特徴とするものである。
【0007】
この構成では、アウタギヤの内周側に配置された2つのインナギヤは、各々の偏心方向が互いに180°反対側にずれているため、2つのインナギヤは、燃圧上昇側(吐出ポート)が互いに180°反対側にずれる。これにより、1つのアウタギヤに対して2つのインナギヤから燃圧上昇による外径方向の荷重が互いに180°反対側に作用するため、アウタギヤに作用する外径方向の荷重がバランスして、アウタギヤにほとんど偏荷重が作用しなくなる。このため、燃圧によってアウタギヤがポンプケーシングの内周面に強く押しつけられた状態とならず、ポンプケーシングに対するアウタギヤの摺動抵抗(摩擦損失)が従来より小さくなり、その分、駆動モータの負荷が小さくなって、消費電力が少なくなる。しかも、アウタギヤ内の2つのインナギヤで燃料を吸入・吐出するため、上述した摺動抵抗低減効果と相俟って、燃料吐出性能を効果的に高めることができる。
【0008】
一般に、トロコイドギヤ式の燃料ポンプは、インナギヤの歯数をアウタギヤの歯数より1つ少なくすれば良いが、アウタギヤの歯数が偶数(インナギヤの歯数が奇数)であると、2つのインナギヤの回転位相が一致してしまう。この状態では、2つのインナギヤの吐出圧力の脈動波の位相が一致して、一方のインナギヤの圧力脈動波が山(谷)の時に他方も山(谷)となるため、2つのインナギヤの圧力脈動が互いに増幅し合い、圧力脈動によるポンプ騒音・振動が大きくなってしまう。
【0009】
この対策として、アウタギヤの歯数を奇数とし、インナギヤの歯数をアウタギヤの歯数より1つ少ない偶数とすることが考えられる。このようにすれば、2つのインナギヤの回転位相が半ピッチずれ、2つのインナギヤの吐出圧力の脈動波の位相が該脈動波の半周期分ずれる。その結果、一方のインナギヤの圧力脈動波が山の時に他方が谷となり、2つのインナギヤの圧力脈動が互いに干渉して打ち消し合うようになる。これにより、圧力脈動が低減されて、圧力脈動によるポンプ騒音・振動が低減されるが、それでも、まだ少しポンプ騒音が残る。
【0010】
この原因は、2つのインナギヤの圧力脈動が干渉するまでの燃料吐出流路の長さの差(主としてアウタギヤの厚み分)に相当する圧力脈動の位相ずれが発生するためと考えられる。この位相ずれで発生するポンプ騒音は、エンジン音と比較して音圧レベルが低いが、エンジン音よりも高い周波数域で発生するため、エンジン音が比較的静かなアイドル運転時には、このポンプ騒音がエンジン音とは異質の騒音として運転者の耳に届いてしまう。
【0011】
このポンプ騒音を低減するために、アウタギヤの厚みを薄くして圧力脈動の位相ずれを少なくすることが考えられるが、アウタギヤの厚みを薄くすると、ポンプ室の容積が減少して燃料吐出量が少なくなるため、要求吐出量を確保するには、ポンプ回転速度を上げる必要がある。しかし、ポンプ回転速度を上げると、吐出圧力脈動の周波数が高くなり、圧力脈動波長が短くなるため、仮に、アウタギヤの厚みを薄くして2つの燃料吐出流路の長さの差を短くしても、圧力脈動の位相ずれを少なくすることができず、圧力脈動の位相ずれによるポンプ騒音が発生する。
【0012】
そこで、請求項1では、アウタギヤの歯数を奇数の歯数の最小値である“5”とし、インナギヤの歯数を偶数の歯数の最小値である“4”としている。前述したように、ポンプ騒音(吐出圧力脈動)の発生周波数域は、アウタギヤの歯数に関係し、アウタギヤの歯数が少なくなるほど、ポンプ騒音(吐出圧力脈動)の発生周波数域が低くなる。従って、両ギヤの歯数を最小値に設定すれば、ポンプ騒音(吐出圧力脈動)の発生周波数域を最も低くすることができ、圧力脈動波長を最も長くすることができる。これにより、圧力脈動の位相ずれを最も少なくすることができて、圧力脈動の位相ずれによるポンプ騒音を低減できる。しかも、ポンプ騒音の発生周波数域をアイドル運転時のエンジン音の発生周波数域まで低下させることができ、ポンプ騒音をアイドル運転時のエンジン音とほぼ同じ周波数域の音とすることができる。これにより、エンジン音が比較的静かなアイドル運転時でも、ポンプ騒音が運転者の聞き慣れたエンジン音でマスキングされて運転者がほとんど気付かないレベルとなり、ポンプ騒音の問題を解消することができる。この結果、従来の騒音対策(圧力脈動低減装置や遮音材等)が不要となり、低コストで低騒音・低振動を実現することができる。
【0013】
また、両ギヤの歯数が少なくなるほど、両ギヤの歯間の隙間容積(ポンプ室の容積)が大きくなり、ポンプ1回転当たりの燃料吐出量が多くなる。従って、請求項1のように、両ギヤの歯数を最小値に設定すれば、両ギヤの歯間のポンプ室の容積を最大にすることができ、ポンプ1回転当たりの燃料吐出量を最大にすることができる。その結果、ポンプ回転速度を低下させても、要求吐出量を確保することが可能となり、ポンプ吐出能力に余裕ができると共に、ポンプ回転速度を低下させることで、ポンプ騒音(吐出圧力脈動)の発生周波数域を更に低くすることができ、圧力脈動波長を更に長くすることができるため、圧力脈動の位相ずれを更に少なくすることができ、ポンプ騒音の低減効果を更に高めることができる。
【0014】
但し、両ギヤの歯数が少なくなるほど、両ギヤの偏心量が大きくなって、メカニカルロス(摩擦損失)が大きくなり、その分、駆動モータの負荷が大きくなって、効率が低下する。
【0015】
そこで、請求項2のように、アウタギヤの歯数を奇数の歯数で2番目に小さい数“7”とし、インナギヤの歯数を偶数の歯数で2番目に小さい数“6”としても良い。このようにすれば、両ギヤの歯数を最小値とする場合よりも、両ギヤの偏心量を小さくできるため、メカニカルロス(摩擦損失)を低減できて効率を向上できる。しかも、圧力脈動の位相ずれ低減、ポンプ騒音の低周波数化も実現でき、実質的に問題のないレベルまでポンプ騒音を低減することができる。尚、請求項2の構成では、ポンプ1回転当たりの燃料吐出量が両ギヤの歯数を最小値とする場合よりも少なくなるが、ポンプ回転速度を従来と同程度とすれば、要求吐出量を十分に確保することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
[実施形態(1)]
以下、本発明の実施形態(1)を図1乃至図7に基づいて説明する。ここで、図1は燃料ポンプのポンプ部12を破断して示す縦断面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図4のD−D断面図、図4は燃料ポンプの下面図、図5は図3のB−B断面図、図6は図3のC−C断面図、図7は図3のE−E断面図である。
【0017】
まず、図1に基づいてトロコイドギヤ式の燃料ポンプ全体の構成を概略的に説明する。燃料ポンプの円筒状のハウジング11内にトロコイドギヤ式のポンプ部12とモータ部13とが組み付けられている。ハウジング11の一端(下端)には、ポンプ部12の下面をカバーするポンプカバー14がかしめ等により固定され、このポンプカバー14に形成された燃料吸入口15から燃料タンク(図示せず)内の燃料がポンプ部12内に吸入される。ハウジング11の他端(上端)には、モータ部13をカバーするモータカバー16がかしめ等により固定され、このモータカバー16には、モータ部13に通電するためのコネクタ17と燃料吐出口18とが設けられている。ポンプ部12から吐出された燃料は、モータ部13のアーマチャ33とマグネット38との間の隙間を通って燃料吐出口18から吐出される。
【0018】
次に、図1乃至図7に基づいてトロコイドギヤ式のポンプ部12の構成を説明する。ポンプ部12のケーシングは、円筒ケーシング21の上下両側の開口部をケーシングカバー22と内部サイドカバー23で閉鎖して構成され、これら各部品がポンプカバー14と共にハウジング11内にねじ止め等により固定され、該ポンプカバー14と円筒ケーシング21との間に内部カバー23が挟み込まれている。このポンプ部12のケーシング内には、1つのアウタギヤ24と2つのインナギヤ25,26とが収納されている。
【0019】
尚、アウタギヤ24、インナギヤ25,26、内部サイドカバー23、円筒ケーシング21は、例えば鉄系の焼結金属等、耐摩耗性のある材料で形成され、また、ケーシングカバー22の内面(下面)と内部サイドカバー23の内面(上面)等の摺動面には、各ギヤ24〜26に対する摺動抵抗を低減するためにフッ素樹脂コーティング等の表面処理を施しても良い。
【0020】
図2に示すように、アウタギヤ24の内周側とインナギヤ25,26の外周側には、それぞれ内歯24aと外歯25a,26aが形成され、アウタギヤ24の歯数が奇数で、インナギヤ25,26の歯数がアウタギヤ24の歯数よりも1つ少ない偶数に形成されている。更に、本実施形態(1)では、アウタギヤ24の歯数は、奇数の歯数の最小値である“5”に設定され、インナギヤ25,26の歯数は、偶数の歯数の最小値である“4”に設定されている。また、インナギヤ25,26の歯厚はアウタギヤ24の歯厚と同一に形成されている。
【0021】
アウタギヤ24は、円筒ケーシング21に形成された円形穴27内に回転自在に嵌合されている。アウタギヤ24の厚み寸法(軸方向寸法)は、円筒ケーシング21の厚み寸法よりもサイドクリアランス分だけ小さくなっている。アウタギヤ24の内周側には、該アウタギヤ24内のスペースを2等分する仕切壁28(図1及び図3参照)が形成されている。この仕切壁28は、アウタギヤ24に一体に形成したり、或は、別部品として形成した仕切壁28をアウタギヤ24の内周中央部に接合等により固定したり、或は、2分割された2つの分割アウタギヤ間に別部品の仕切壁を挟み込み、これら3部品を接合等により一体化してアウタギヤ24を形成するようにしても良い。図2及び図3に示すように、アウタギヤ24の内歯形状及び外周形状は、それぞれ軸方向で一定の形状に形成されている。
【0022】
アウタギヤ24の内周側には、2つのインナギヤ25,26が仕切壁28を挟んで重ね合わされて偏心配置され、アウタギヤ24に対する両インナギヤ25,26の偏心方向が互いに180°反対側にずらされている。そして、各ギヤ24,25,26の歯24a,25a,26aの噛合い又は接触によって、それらの歯間にポンプ室29,30(図2参照)が5個ずつ形成されている。この場合、アウタギヤ24に対してインナギヤ25,26が偏心しているため、回転時に各ギヤ24,25,26の歯24a,25a,26aの噛合い量が連続的に増加・減少して、各ポンプ室29,30の容積が連続的に増加・減少する動作を1回転を周期として繰り返す。
【0023】
図1及び図3に示すように、インナギヤ25,26は、ケーシングカバー22とポンプカバー14のほぼ中央部に互いに180°反対側に偏心して圧入された円筒軸受31,32に回転自在に嵌合支持され、該円筒軸受31,32の内側にモータ部13のアーマチャ33の回転軸34が挿通されている。図7に示すように、この回転軸34のDカット部に歯車形状のカップリング60のD形連結穴が挿入嵌合され、このカップリング60がアウタギヤ24の仕切壁28の中心部に形成したカップリング形状の連結穴61に挿入嵌合され、これによって、回転軸34とアウタギヤ24とが回転伝達可能に連結されている。
【0024】
尚、モータ部13の回転軸34とアウタギヤ24との連結構造は、上記の構成に限定されず、アウタギヤ24の仕切壁28の中心部に形成したD形連結穴を、回転軸34のDカット部に挿入嵌合することで、モータ部13の回転軸34とアウタギヤ24とを回転伝達可能に連結するようにしても良い。
【0025】
この場合、モータ部13によってアウタギヤ24が回転駆動されると、このアウタギヤ24と噛み合うインナギヤ25,26が互いに180°反対側に偏心した円筒軸受31,32を中心にして回転する。尚、モータ部13のアーマチャ33のラジアル方向の荷重は、回転軸34をケーシングカバー22の中心部に圧入されたラジアル軸受36に挿通することで支持され、該アーマチャ33のスラスト方向の荷重は、ポンプカバー14の中心部内側に圧入されたスラスト軸受37によって支持される。
【0026】
ポンプカバー14の燃料吸入口15から吸入した燃料は、2方向に分流して上下両側のインナギヤ25,26のポンプ室29,30に吸入される。つまり、燃料吸入口15から吸入した燃料の半分は、内部サイドカバー23に形成した吸入ポート39(図3参照)から下側のインナギヤ26のポンプ室30に吸入される。また、燃料吸入口15から吸入した残り半分の燃料は、ポンプカバー14の内面の燃料導入溝40(図3〜図5参照)→内部サイドカバー23の貫通穴41(図3参照)→円筒ケーシング21の貫通流路42(図3参照)→ケーシングカバー22内面の燃料導入溝43(図3及び図6参照)の経路で、上側のインナギヤ25のポンプ室29に吸入される。
【0027】
また、下側のインナギヤ26のポンプ室30から吐出される燃料は、内部サイドカバー23の吐出ポート45(図1参照)→ポンプカバー14の内面の吐出溝47(図1及び図5参照)→吐出流路48(図1参照)の経路でモータ部13側に吐出される。尚、吐出流路48は、内部サイドカバー23、円筒ケーシング21及びケーシングカバー22を上下方向に貫通するように形成されている。
【0028】
一方、上側のインナギヤ25のポンプ室29から吐出される燃料は、ケーシングカバー22の吐出ポート44(図1及び図6参照)からモータ部13側に吐出される。
【0029】
以上のように構成したトロコイドギヤ式の燃料ポンプでは、モータ部13が回転して、アウタギヤ24とインナギヤ25,26が回転すると、各ギヤ24,25,26の歯24a,25a,26aの噛み合い量が連続的に増加・減少し、各歯24a,25a,26a間に形成された各ポンプ室29,30の容積が連続的に増加・減少する動作を1回転を周期として繰り返す。これにより、容積が拡大するポンプ室29,30では、燃料を吸い込みながら燃料を移送し、容積が縮小するポンプ室29,30では、移送した燃料を吐出ポート44,45から吐出する。
【0030】
この際、ポンプ室29,30の容積が減少する吐出領域では、ポンプ室29,30内の燃料が加圧されて燃料圧力(燃圧)が上昇するため、その燃圧上昇によってアウタギヤ24に外径方向の荷重がかかる。このような燃圧上昇による外径方向の荷重は、ポンプ室29,30の燃圧が低下する吸入領域では発生しないため、アウタギヤ24に対する外径方向の荷重は、ポンプ室29,30の燃圧が上昇する吐出領域(吐出ポート44,45側)のみに働く。
【0031】
本実施形態(1)では、アウタギヤ24の内周側に配置された2つのインナギヤ25,26は、各々の偏心方向が互いに180°反対側にずれているため、2つのインナギヤ25,26は、燃圧上昇側(吐出ポート44,45)が互いに180°反対側にずれる。これにより、1つのアウタギヤ24に対して、2つのインナギヤ25,26から燃圧上昇による外径方向の荷重F1,F2(図2参照)が互いに180°反対側に作用するため、アウタギヤ24に作用する外径方向の荷重F1,F2がバランスして、アウタギヤ24にほとんど偏荷重が作用しなくなる。このため、燃圧によってアウタギヤ24が円筒ケーシング21の内周面に強く押しつけられた状態とならず、円筒ケーシング21に対するアウタギヤ24の摺動抵抗(摩擦損失)が従来より小さくなり、その分、モータ部13の負荷が小さくなって、消費電力が少なくなる。しかも、アウタギヤ24内の2つのインナギヤ25,26で燃料を吸入・吐出するため、上述した摺動抵抗低減効果と相俟って、燃料吐出性能を効果的に高めることができる。
【0032】
一般に、トロコイドギヤ式の燃料ポンプは、インナギヤ25,26の歯数をアウタギヤ24の歯数より1つ少なくすれば良いが、アウタギヤ24の歯数が偶数(インナギヤ25,26の歯数が奇数)であると、2つのインナギヤ25,26の回転位相が一致する。この状態では、2つのインナギヤ25,26の吐出圧力の脈動波の位相が一致して、一方のインナギヤの圧力脈動波が山(谷)の時に他方も山(谷)となるため、2つのインナギヤ25,26の圧力脈動が互いに増幅し合い、圧力脈動による騒音・振動が大きくなってしまう。
【0033】
この対策として、アウタギヤ24の歯数を奇数とし、インナギヤ25,26の歯数をアウタギヤ24の歯数より1つ少ない偶数とすることが考えられる。このようにすれば、2つのインナギヤ25,26の回転位相が半ピッチずれ、2つのインナギヤ25,26の吐出圧力の脈動波の位相が該脈動波の半周期分ずれる。その結果、一方のインナギヤの圧力脈動波が山の時に他方が谷となり、2つのインナギヤ25,26の圧力脈動が互いに干渉して打ち消し合うようになり、それによって、圧力脈動が大幅に低減されて、圧力脈動によるポンプ騒音・振動が大幅に減されるが、それでも、まだ少しポンプ騒音が残る。
【0034】
この原因は、2つのインナギヤ25,26の圧力脈動が干渉するまでの燃料吐出流路の長さの差(主としてアウタギヤ24の厚み分)に相当する圧力脈動の位相ずれが発生するためと考えられる。この位相ずれで発生するポンプ騒音は、エンジン音と比較して音圧レベルが低いが、エンジン音よりも高い周波数域で発生するため、エンジン音が比較的静かなアイドル運転時には、このポンプ騒音がエンジン音とは異質の騒音として運転者の耳に届いてしまう。
【0035】
このポンプ騒音を低減するために、アウタギヤ24の厚みを薄くして圧力脈動の位相ずれを少なくすることが考えられるが、アウタギヤ24の厚みを薄くすると、ポンプ室29,30の容積が減少して燃料吐出量が少なくなるため、要求吐出量を確保するには、ポンプ回転速度を上げる必要がある。しかし、ポンプ回転速度を上げると、下記式から明らかなように、1次吐出圧力脈動の周波数が高くなり、1次吐出圧力脈動波長が短くなるため、仮に、アウタギヤ24の厚みを薄くして2つの燃料吐出流路の長さの差を短くしても、圧力脈動の位相ずれを少なくすることができず、圧力脈動の位相ずれによるポンプ騒音が発生する。
1次吐出圧力脈動周波数=ポンプ回転速度(r/min) /60×アウタギヤ歯数
1次吐出圧力脈動波長=音速(m/s) /1次吐出圧力脈動周波数
【0036】
そこで、本実施形態(1)では、圧力脈動の位相ずれによるポンプ騒音を低減するために、アウタギヤ24の歯数を奇数の歯数の最小値である“5”とし、インナギヤ25,26の歯数を偶数の歯数の最小値である“4”としている。上記式から明らかなように、ポンプ騒音(1次吐出圧力脈動)の発生周波数域は、アウタギヤ24の歯数に関係し、アウタギヤ24の歯数が少なくなるほど、ポンプ騒音(1次吐出圧力脈動)の発生周波数域が低くなる。従って、両ギヤ24,25,26の歯数を最小値に設定すれば、ポンプ騒音(1次吐出圧力脈動)の発生周波数域を最も低くすることができ、1次吐出圧力脈動波長を最も長くすることができる。これにより、1次吐出圧力脈動の位相ずれを最も少なくすることができて、圧力脈動の位相ずれによるポンプ騒音を低減できる。
【0037】
しかも、ポンプ騒音の発生周波数域をアイドル運転時のエンジン音の発生周波数域まで低下させることができ、ポンプ騒音をアイドル運転時のエンジン音とほぼ同じ周波数域の音とすることができる。これにより、エンジン音が比較的静かなアイドル運転時でも、ポンプ騒音が運転者の聞き慣れたエンジン音でマスキングされて運転者がほとんど気付かないレベルとなり、ポンプ騒音の問題を解消することができる。この結果、従来の騒音対策(圧力脈動低減装置や遮音材等)が不要となり、低コストで低騒音・低振動を実現することができる。
【0038】
また、両ギヤ24,25(26)の歯数が少なくなるほど、両ギヤ24,25(26)の歯間の隙間容積(ポンプ室29,30の容積)が大きくなり、ポンプ1回転当たりの燃料吐出量が多くなる。従って、本実施形態(1)のように、両ギヤ24,25(26)の歯数を最小値に設定すれば、ポンプ室29,30の容積を最大にすることができ、ポンプ1回転当たりの燃料吐出量を最大にすることができる。その結果、ポンプ回転速度を低下させても、要求吐出量を確保することが可能となり、ポンプ吐出能力に余裕ができると共に、ポンプ回転速度を低下させることで、ポンプ騒音(吐出圧力脈動)の発生周波数域を更に低くすることができ、圧力脈動波長を更に長くすることができるため、圧力脈動の位相ずれを更に少なくすることができ、ポンプ騒音の低減効果を更に高めることができる。
【0039】
[実施形態(2)]
ところで、両ギヤ24,25(26)の歯数が少なくなるほど、両ギヤ24,25(26)の偏心量が大きくなって、メカニカルロス(摩擦損失)が大きくなり、その分、モータ部13の負荷が大きくなって、効率が低下する。
【0040】
そこで、本発明の実施形態(2)では、図8に示すように、アウタギヤ24の歯数を奇数の歯数で2番目に小さい数“7”とし、インナギヤ25,26の歯数を偶数の歯数で2番目に小さい数“6”としている。このようにすれば、両ギヤ24,25(26)の歯数を最小値とする前記実施形態(1)よりも、両ギヤ24,25(26)の偏心量を小さくできるため、メカニカルロス(摩擦損失)を低減できて効率を向上できる。しかも、両ギヤ24,25(26)の歯数を2番目に小さい数とするため、圧力脈動の位相ずれ低減、ポンプ騒音の低周波数化も実現でき、実質的に問題のないレベルまでポンプ騒音を低減することができる。尚、本実施形態(2)の構成では、ポンプ1回転当たりの燃料吐出量が両ギヤ24,25(26)の歯数を最小値とする前記実施形態(1)よりも少なくなるが、ポンプ回転速度を従来と同程度とすれば、要求吐出量を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)における燃料ポンプのポンプ部を破断して示す縦断面図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図4のD−D断面図
【図4】燃料ポンプの下面図
【図5】図3のB−B断面図
【図6】図3のC−C断面図
【図7】図3のE−E断面図
【図8】本発明の実施形態(2)における図2相当図
【図9】従来のトロコイドギヤ式の燃料ポンプの構造を説明する図
【符号の説明】
11…ハウジング、12…ポンプ部、13…モータ部、14…ポンプカバー、15…燃料吸入口、18…燃料吐出口、21…円筒ケーシング、22…ケーシングカバー、23…内部サイドカバー、24…アウタギヤ、24a…内歯、25,26…インナギヤ、25a,26a…外歯、28…仕切壁、29,30…ポンプ室、31,32…円筒軸受、34…回転軸、39…吸入ポート、40…燃料導入溝,42…貫通流路、43…燃料導入溝、44,45…吐出ポート、47…吐出溝、48…吐出流路、60…カップリング、61…連結穴。

Claims (2)

  1. 内歯付きのアウタギヤの内周側に外歯付きのインナギヤを偏心配置すると共に、両ギヤを噛み合わせて両ギヤの歯間に形成したポンプ室を、両ギヤの回転により回転方向に移動させながら、該ポンプ室の容積を連続的に増加・減少させて燃料を吸入・吐出する燃料ポンプにおいて、
    1つのアウタギヤの内周側に2つのインナギヤを仕切壁を挟んで重ね合わせた状態で偏心配置すると共に、前記アウタギヤに対する両インナギヤの偏心方向を互いに180°反対側にずらした構成とし、且つ、前記アウタギヤの歯数を5とし、前記インナギヤの歯数を4とし、更に、前記1つのアウタギヤの内歯形状及び外周形状は、それぞれ軸方向で一定の形状に形成されていることを特徴とする燃料ポンプ。
  2. 内歯付きのアウタギヤの内周側に外歯付きのインナギヤを偏心配置すると共に、両ギヤを噛み合わせて両ギヤの歯間に形成したポンプ室を、両ギヤの回転により回転方向に移動させながら、該ポンプ室の容積を連続的に増加・減少させて燃料を吸入・吐出する燃料ポンプにおいて、
    1つのアウタギヤの内周側に2つのインナギヤを仕切壁を挟んで重ね合わせた状態で偏心配置すると共に、前記アウタギヤに対する両インナギヤの偏心方向を互いに180°反対側にずらした構成とし、且つ、前記アウタギヤの歯数を7とし、前記インナギヤの歯数を6とし、更に、前記1つのアウタギヤの内歯形状及び外周形状は、それぞれ軸方向で一定の形状に形成されていることを特徴とする燃料ポンプ。
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