JP4215856B2 - 電動ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に用いて好適な電動ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動ブレーキ装置として、例えば、特開平3−45462号公報に開示されたもの等がある。この種の電動ブレーキ装置は、モータと、該モータの回転運動をピストンの直線運動に変換する変換機構部と、モータの回転位置等からピストンのストローク位置を検出する位置検出手段と、該位置検出手段の検出結果に基づいてモータを制御する制御手段とを有するもので、ピストンによる直線運動でパッドをディスクに押圧させて制動力を発生させるようになっており、このような電動ブレーキ装置が車両の各車輪それぞれに配置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、液圧作動式のブレーキ装置においては、パッドの摩耗量を検出するために、パッドが摩耗するとディスクに接触して音を発生させる摩耗センサをパッドに取り付けることが行われており、上述のような電動ブレーキ装置においても、このような機械式の摩耗センサを設けることを考えた。
しかしながら、このような機械式の摩耗センサではパッドが斜めに減るいわゆる偏摩耗の量までは検出することができないという問題があった。
【0004】
したがって、本発明の目的は、パッドの偏摩耗量の検出を可能な電動ブレーキ装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の電動ブレーキ装置は、モータと、該モータの回転運動をピストンの直線運動に変換する変換機構部と、前記ピストンのストローク位置を検出する位置検出手段と、該位置検出手段の検出結果に基づいて前記モータを制御する制御手段とを有し、前記ピストンによる直線運動でパッドをディスクに押圧させて制動力を発生させる電動ブレーキ装置において、前記制御手段は、パッドがディスクへ接触を開始する接触開始位置からパッドがディスクに全面的に接触する全面接触位置までの間に前記位置検出手段で検出されるピストンのストローク値からパッドの偏摩耗量を検出することを特徴としている。
このように、パッドをディスクに押圧させるピストンのストローク位置を位置検出手段で、直接または間接的に検出することにより、パッドの偏摩耗量を検出することが可能となる。
すなわち、パッドがディスクへ接触を開始する接触開始位置からパッドがディスクに全面的に接触する全面接触位置までの間のピストンのストローク値が大きくなるほどパッドの偏摩耗の量が大きくなるため、制御手段は、これらの間のピストンのストローク値を位置検出手段で検出することでパッドの偏摩耗量を検出する。
【0008】
本発明の請求項2記載の電動ブレーキ装置は、請求項1記載のものに関して、前記制御手段は、パッドのディスクへの接触状態を前記モータへの駆動電流値から割り出すことを特徴としている。
すなわち、パッドがディスクに接触することでピストンを駆動するモータへの駆動電流値が変化することになるため、制御手段は、この駆動電流値からパッドのディスクへの接触状態を割り出すことになる。
本発明の請求項3記載の電動ブレーキ装置は、請求項2記載のものに関して、前記制御手段は、パッドがディスクへ接触を開始する時点と、パッドがディスクに最大限に接触する時点とを前記モータへの駆動電流値から割り出すことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
参考技術の電動ブレーキ装置を図1〜図4を参照して以下に説明する。
参考技術の電動ブレーキ装置11は、車両の非回転部に固定されるキャリア12と、このキャリア12にディスク13の軸線方向両側に配設された状態で摺動自在に支持される一対のインナパッド14およびアウタパッド15と、二カ所の図示せぬ摺動案内部においてキャリア12にディスク13の軸線方向に摺動自在となるよう支持された、パッド14,15を両側から挾持可能なキャリパ17とで主に構成されている。
【0010】
キャリア12は、互いにほぼ平行をなして配置される第1連結部22aおよび第2連結部22bと、第1連結部22aおよび第2連結部22bの各端部同士を連結させる二カ所の図示せぬ支持部とを有している。
そして、キャリア12は、支持部がディスク13の周方向における両端位置となるようにディスク13に対し配置された状態で車体側に固定される。なお、各支持部に摺動案内部が設けられる。
【0011】
キャリア12の各支持部の内側位置には相互に対向するように一対の図示せぬパッドガイドが設けられており、これらパッドガイドにより、インナパッド14およびアウタパッド15はディスク13の軸線方向に沿って摺動自在となるようにそれぞれの両端位置において支持されることになる。なお、この支持状態でインナパッド14およびアウタパッド15は、ディスク13の軸線に平行な軸線回りの回転が規制されている。
【0012】
キャリパ17は、略円筒状の筒状部材25と、該筒状部材25の一側に固定されこれを閉塞させる底部材26と、筒状部材25の他側に固定される先端部材27とを有するハウジング28を具備している。
【0013】
このハウジング28には、モータ33と、このモータ33の回転運動を直線運動に変換するボールネジ(変換機構部)34とが設けられている。
モータ33は、ハウジング28と、筒状部材25の内周部に取り付けられたコイル35と、筒状部材25の底部材26に対し反対側の端面に当接した状態で先端部材27に取り付けられたベアリング36と、このベアリング36を介して回転自在に支持されたボールネジ34のナット部材37と、コイル35の内側に位置するようにナット部材37の外周部に固定されたマグネット38とを有している。
【0014】
ボールネジ34は、内周部にメネジ部37aが形成された上記ナット部材37と、このナット部材37の内側に配置されるとともに外周部にオネジ部40aが形成されたピストンとしてのネジ部材40と、ナット部材37のメネジ部37aとネジ部材40のオネジ部40aとの間に介在されたボール41とを有している。
【0015】
ここで、ネジ部材40およびインナパッド14には、これらをディスク13の軸線方向に沿って所定量離間可能としつつこれらの相対回転を規制する回止部43が設けられており、これにより、ネジ部材40は、ディスク13の軸線に平行な軸線回りにおける回転が規制されている。
なお、この回止部43は、ネジ部材40に形成された溝部44と、この溝部44に摺動自在に嵌合するようインナパッド14に突出形成された突起部45とで構成されている。
【0016】
底部材26には、モータ33の軸線と同軸をなしてシリンダ穴46が形成されており、このシリンダ穴46には、ネジ部材40に当接可能な液圧ピストン47が摺動自在に嵌合されている。そして、底部材26には、この液圧ピストン47とシリンダ穴46とで形成される室48を外部に連通させるポート49が形成されている。なお、液圧ピストン47の外周部にはシリンダ穴46の内周部との隙間をシールするシール部材50が設けられている。
【0017】
筒状部材25の底部材26に対し反対側の端部には、先端部材27が固定されている。この先端部材27は、筒状部材25に略同軸をなして固定される略円筒状の筒部51と、該筒部51の径方向における一側から筒状部材25に対し反対側に延出するディスクパス部52と、該ディスクパス部52の先端側から筒部51と対向するように延出する爪部53とを有している。
【0018】
先端部材27の筒部51の内周部には、上述したベアリング36が嵌合されており、ベアリング36に近接して、該ベアリング36を筒状部材25の端面との間に挟持する取付部材55が固定されている。この取付部材55には、ナット部材37に固定された回転円板56の回転位置を検出することによりナット部材37の回転位置を検出し、その結果ネジ部材40のストローク位置を検出する位置検出器57が固定されている。
【0019】
ここで、キャリパ17をキャリア12に支持させた状態で、モータ33およびボールネジ34はそれぞれの軸線をディスク13の軸線に平行させることになり、ボールネジ34はそのネジ部材40がインナパッド14のディスク13に対し反対側に当接可能に対向配置され、先端部材27は、ディスクパス部52がディスク13の外周部を跨ぐように延出し爪部53がアウタパッド15のディスク13に対し反対側に当接可能に対向配置されることになる。
【0020】
また、取付部材55の内周部とボールネジ34のネジ部材40の外周部との間には、ボールネジ34の螺合部分等にほこり等が入るのを防止するダストブーツ59が設けられている。
【0021】
そして、図2に示すように、上記構成の電動ブレーキ装置11が、車両の前後左右の各車輪に対しそれぞれ設けられており、すべての電動ブレーキ装置11のモータ33および位置検出器57がコントローラ(制御手段)60に接続されている。ここで、各モータ33はそれぞれを駆動するためにコントローラ60に設けられた図示せぬモータドライバに接続されている。
【0022】
ここで、図2において符号63は運転者により操作入力がなされるブレーキペダルを、符号64はブレーキペダル63の操作量を検出する操作量検出センサを、符号65はブレーキペダル63への入力でブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダを、符号66は運転者に対し表示で報知を行う警報ランプを、それぞれ示しており、すべての電動ブレーキ装置11のうち、前二輪に配置されるものには、マスタシリンダ65からのブレーキ液圧がポート49を介して室48に導入されている。なお、後二輪に配置される電動ブレーキ装置11には、マスタシリンダ65からのブレーキ液圧が導入されないため、室48、ポート49および液圧ピストン47をなくした構成とすることができる。
【0023】
コントローラ60は、操作量検出センサ64で検出されたブレーキペダル63の操作量に応じて各車輪にブレーキ力を発生させるように、各電動ブレーキ装置11のそれぞれについて、モータ33を位置検出器57の回転位置データに基づいてフィードバック制御する。
【0024】
すなわち、コントローラ60は、後二輪の電動ブレーキ装置11においては電動ブレーキ装置11のみで必要なブレーキ力を発生させるように各モータ33を制御する一方、前二輪の電動ブレーキ装置11においては必要なブレーキ力に対しマスタシリンダ65で発生するブレーキ液圧によるブレーキ力を補充するブレーキ力を電動ブレーキ装置11で発生させるように各モータ33を制御する。
【0025】
コントローラ60は、ブレーキ力を発生させる際に、モータ33でボールネジ34のナット部材37を正方向に回転させる。すると、回止部43で回転が規制されたネジ部材40が、ディスク13方向に移動しインナパッド14をディスク13に接触させる一方、その反力でキャリパ17がキャリア12に対し移動して爪部53をディスク13の方向に移動させることになり、このようにして最終的に、ネジ部材40と爪部53とでインナパッド14およびアウタパッド15がディスク13の方向に押圧され、これらパッド14,15がディスク13に接触してブレーキ力を発生させる。
【0026】
なお、マスタシリンダ65からのブレーキ液圧が室48に導入されている電動ブレーキ装置11においては、上記に加えて、このブレーキ液圧による推進力が液圧ピストン47を介してネジ部材40に伝達される。すると、ボールネジ34は回転運動と直線運動との可逆性を有するため、この推進力でネジ部材40が回転しつつモータ33による推進力と合わせてパッド14,15をディスク13に押圧してブレーキ力を発生させる。
【0027】
他方、コントローラ60は、この状態からブレーキ力を緩める際に、モータ33でナット部材37を上記正方向に対し逆の戻し方向に回転させる。すると、回転が規制されたネジ部材40がディスク13から離間する方向に移動し、その結果、インナパッド14およびアウタパッド15がディスク13から離間してブレーキ力を解除させる。なお、マスタシリンダ65からのブレーキ液圧が室48に導入されている電動ブレーキ装置11においては、このブレーキ液圧の低下も合わせてブレーキ力を解除させる。
【0028】
そして、コントローラ60は、イグニッションがONされるタイミングで常に一度、図3に示すパッド摩耗量検出処理を行うようになっている。このパッド摩耗量検出処理について以下に説明する。
【0029】
まず、コントローラ60は、モータ33でボールネジ34のナット部材37を戻し方向に回転させ、液圧ピストン47が底部材26の底に当接することにより変位が不可となる初期位置までネジ部材40を移動させる(ステップSA1)。ここで、このようにネジ部材40を移動させている間、位置検出器57で検出されるナット部材37の回転位置に対応するネジ部材40の変位とモータ33のトルクに対応する駆動電流値との関係は、図4にAで示すようにモータ33への駆動電流値が立ち上がった後、B→Cに示すようにほぼ無負荷電流値(−In)のままネジ部材40が移動する状態が維持される。
【0030】
そして、液圧ピストン47が底部材26の底に当接するまでネジ部材40が移動すると、図4にC→Dで示すようにネジ部材40は変位せずにモータ33への駆動電流値の絶対値が増大する。よって、コントローラ60は、モータ33への駆動電流値がマイナスの一定値からその絶対値が予め定められたしきい値を越えると、ネジ部材40が初期位置に位置したと判定してモータ33を停止させるとともに、このときのネジ部材40のストローク位置を、位置検出器57で検出されるナット部材37の回転位置に対応させて初期位置X1として記憶する。
【0031】
次に、コントローラ60は、モータ33でボールネジ34のナット部材37を正方向に回転させ、ネジ部材40で押圧されるパッド14,15がディスク13に接触する作動位置までネジ部材40を移動させる(ステップSA2)。ここで、このようにネジ部材40を移動させている間、ネジ部材40の変位とモータ33への駆動電流値との関係は、図4にE→Fに示すように、モータ33への駆動電流値が、ほぼ無負荷電流値(In)のままネジ部材40が移動する状態が維持される。
【0032】
そして、パッド14,15がディスク13に接触するまでネジ部材40が移動すると、図4にF→Gで示すようにネジ部材40の単位変位量に要するモータ33への駆動電流値の絶対値が増大する。よって、コントローラ60はモータ33への駆動電流値がプラスの一定値からその絶対値が予め定められたしきい値を越えると同時に、ネジ部材40が作動位置に位置したと判定してモータ33を停止させるとともに、このときのネジ部材40のストローク位置を、位置検出器57で検出されるナット部材37の回転位置から割り出して作動位置X2として記憶する。
【0033】
次に、コントローラ60は、ネジ部材40の初期位置X1から作動位置X2までのストローク値(X2−X1)を割り出し、このストローク値とパッド14,15の新品の厚さにおけるストローク値(Xi:車種およびブレーキ型式から既定)とからパッド14,15の摩耗量Xmを次式に従い算出する(ステップSA3)。
Xm=(X2−X1)−Xi
【0034】
そして、コントローラ60は、パッド14,15の摩耗量Xmを予め設定されている限界摩耗の規定量Xgと比較し(ステップSA4)、Xm>Xgである場合、パッド14,15の摩耗量が限界量を越えていると判定して警報ランプ66を点灯させる(ステップSA5)。
【0035】
このステップSA5の実行後および上記ステップSA4でXm≦Xgと判定された場合には、コントローラ60は、図4にF→Hで示すように、作動位置X2で停止されているネジ部材40を予め定められた所定値Xs分だけ戻した制動準備位置X4に位置させたことが位置検出器57で検出されるナット部材37の回転位置から割り出されるまでモータ33でナット部材37を戻し方向に回転させた後、モータ33を停止させる(ステップSA6)。ここで、Xsは制動を待機するために必要なパッド14,15とディスク13とのクリアランスの最適値である。
【0036】
以上のように、参考技術によれば、パッド14,15をディスク13に押圧させるネジ部材40のストローク位置を位置検出器57でナット部材37の回転位置から検出することにより、パッド14,15の摩耗量を検出することができる。すなわち、パッド14,15がディスク13に接触するまでの間のネジ部材40の初期位置からのストローク値が大きくなるほどパッド14,15の摩耗量が比例的に大きくなるため、コントローラ60は、位置検出器57で検出されるネジ部材40のストローク値からパッド14,15の摩耗量を検出する。
したがって、ディスク13に傷をつけたり耳障りな騒音を発生させたりコストを増大させたりすることなくパッド14,15の摩耗量を検出することができる。
【0037】
また、パッド14,15がディスク13に接触することでネジ部材40を駆動するモータ33への駆動電流値が変化することから、コントローラ60は、この駆動電流値から上述のようにパッド14,15のディスク13への接触位置を割り出すことになる。
したがって、パッド14,15のディスク13への接触状態を容易に割り出すことができる。
【0038】
なお、以上においては、モータ33のナット部材37の回転位置からネジ部材40のストローク値を検出する場合を例にとり説明したが、ネジ部材40のストローク値を直接検出してもよい。
【0039】
本発明の電動ブレーキ装置の第1の実施の形態を図5および図6を参照して以下に参考技術との相違部分を中心に説明する。なお、参考技術と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
第1の実施の形態では、コントローラ60が、イグニッションがONされるタイミングで一度、図5に示すパッド偏摩耗量検出処理を、参考技術のパッド摩耗量検出処理に先行して行うようになっている。このパッド偏摩耗量検出処理について以下に説明する。
【0040】
まず、コントローラ60は、モータ33でボールネジ34のナット部材37を正方向に回転させるとともに、その一方で、ネジ部材40がパッド14,15のディスク13への接触を開始させたか否かを判定する(ステップSB1)。
【0041】
ここで、ネジ部材40がパッド14,15のディスク13への接触を開始させるまで移動する際には、まず図6にJ→Kで示すように、モータ33への駆動電流値が、ほぼ無負荷電流値のままネジ部材40が移動する状態が維持される。そして、パッド14,15が偏摩耗の状態にあって、ディスク13への接触を開始すると、図6にK→Lで示すように、モータ33への駆動電流値がやや増大する。よって、コントローラ60はステップSB1において、モータ33への駆動電流値がプラスの一定値から上昇しかつその単位時間当りの上昇勾配が予め定められた上下二つのしきい値(下側のしきい値>0)の範囲内にあると、ネジ部材40がパッド14,15のディスク13への接触を開始させる接触開始位置に位置したと判定して、このときのネジ部材40のストローク位置を位置検出器57で検出されるナット部材37の回転位置に対応させて接触開始位置として記憶する(ステップSB2)。
【0042】
なお、上昇勾配のしきい値は、図6に破線で示す偏摩耗のない正常状態のパッド14,15における上昇勾配の設計値を基準値として設定することになるが、実際の測定値を基準値として設定してもよい。また、左右輪の上昇勾配を比較しその偏差に応じて左右輪のしきい値を補正してもよい。
【0043】
次に、このステップSB2の後およびステップSB1でパッド14,15がディスク13への接触を開始していないと判定していない場合に、パッド14,15がディスク13に全面的に接触したか否かを判定する(ステップSB3)。
【0044】
ここで、ネジ部材40がパッド14,15をディスク13へ全面的に接触させるまで移動すると、図6のL以降に示すように、モータ33への駆動電流値が偏摩耗しているパッド14,15の接触開始時点の駆動電流値の上昇勾配より大きい勾配(正常時の勾配と等しい)で増大する。よって、コントローラ60はステップSB3において、モータ33への駆動電流値が上昇しかつその単位時間当りの上昇勾配が予め定められたしきい値(上述した接触開始を判定したときの上側のしきい値より大)を越えていると、ネジ部材40がパッド14,15をディスク13へ全面的に接触させる全面接触位置に位置したと判定して、このときのネジ部材40のストローク位置を、位置検出器57で検出されるナット部材37の回転位置から割り出して全面接触位置として記憶する(ステップSB4)。
【0045】
そして、コントローラ60は、ネジ部材40の接触開始位置から全面接触位置までのストローク値を(全面接触位置−接触開始位置)で割り出し、このストローク値を偏摩耗量とする(ステップSB4)。
【0046】
ここで、パッド14,15に偏摩耗がない場合は、図6に破線で示すようになり、ステップSB1の判定がYESにはならずにステップSB3の判定がYESになる。よって、コントローラ60では、接触開始位置が記憶されることなく全面接触位置のみが記憶されることになり、このような状況下ではステップSB4において、全面接触位置=接触開始位置とする。その結果、パッド14,15の偏摩耗量は0となる。
【0047】
そして、このようにしてパッド偏摩耗量検出処理を行った後に、参考技術のパッド摩耗量検出処理を行うことになるが、コントローラ60は、その際に偏摩耗量に応じた補正を行うことになる。具体的には、ステップSA4で使用される限界摩耗の規定量Xgを、偏摩耗がない正常時の規定量から偏摩耗量を減算した値にする。
【0048】
以上のように、第1の実施の形態では、パッド14,15がディスク13へ接触を開始する時点からパッド14,15がディスク13に最大限に接触する時点までの間のネジ部材40のストローク値が大きくなるほどパッド14,15の偏摩耗の量が比例的に大きくなることから、コントローラ60が、これらの時点をモータ33への駆動電流値から割り出すとともにこれらの時点間のネジ部材40のストローク値を位置検出器57で検出することでパッド14,15の偏摩耗量を検出する。そして、この偏摩耗量を考慮してパッド摩耗量検出処理で摩耗量を検出するため、摩耗量の検出精度を向上させることができ、偏摩耗発生時においてもディスク13とパッド14,15の裏金との干渉を回避することができる。
【0049】
ここで、第1の実施の形態のパッド偏摩耗量検出処理で求めた偏摩耗量を用いてコントローラ60により以下の制御を行うことも可能である。
左右輪の電動ブレーキ装置11,11で偏摩耗量が異なる場合に、偏摩耗量の大きい方がパッドクリアランスが大きくなってしまうため、制動時に、偏摩耗量の大きい車輪側の電動ブレーキ装置11のネジ部材40を偏摩耗量の差に応じた分早く送ることで、左右輪の電動ブレーキ装置11,11のブレーキ力発生のタイミングを合わせて、左右輪の応答性のバラツキをなくし、車両におけるヨーモーメントの発生を防止することができる。
なお、第1および第2の実施の形態においては、モータ33の回転運動をピストンとしてのネジ部材40の直線運動に変換する変換機構部としてボールネジ34を用いる場合を例にとり説明したが、ローラネジ等の他の種々のものを適用できる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載の電動ブレーキ装置によれば、パッドをディスクに押圧させるピストンのストローク位置を位置検出手段で、直接または間接的に検出することにより、パッドの偏摩耗量を検出することが可能となる。
つまり、パッドがディスクへ接触を開始する接触開始位置からパッドがディスクに全面的に接触する全面接触位置までの間のピストンのストローク値が大きくなるほどパッドの偏摩耗の量が大きくなるため、制御手段は、これらの間のピストンのストローク値を位置検出手段で検出することでパッドの偏摩耗量を検出する。
したがって、パッドの偏摩耗量を検出することができる。
【0053】
本発明の請求項2記載の電動ブレーキ装置によれば、パッドがディスクに接触することでピストンを駆動するモータへの駆動電流値が変化することになるため、制御手段は、この駆動電流値からパッドのディスクへの接触状態を割り出すことになる。
したがって、パッドのディスクへの接触状態を割り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考技術の電動ブレーキ装置を示す側断面図である。
【図2】 参考技術の電動ブレーキ装置が適用されたブレーキシステムを示す概略構成図である。
【図3】 参考技術の電動ブレーキ装置のパッド摩耗量検出処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図4】 参考技術の電動ブレーキ装置のモータへの制御電流値とネジ部材の位置との関係を示す特性線図である。
【図5】 本発明の電動ブレーキ装置の第1の実施の形態のパッド偏摩耗量検出処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図6】 本発明の電動ブレーキ装置の第1の実施の形態のモータへの制御電流値(a)とネジ部材の位置(b)とを関係を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
33 モータ
34 ボールネジ(変換機構部)
57 位置検出器(位置検出手段)
60 コントローラ(制御手段)
Claims (3)
- モータと、該モータの回転運動をピストンの直線運動に変換する変換機構部と、前記ピストンのストローク位置を検出する位置検出手段と、該位置検出手段の検出結果に基づいて前記モータを制御する制御手段とを有し、前記ピストンによる直線運動でパッドをディスクに押圧させて制動力を発生させる電動ブレーキ装置において、
前記制御手段は、パッドがディスクへ接触を開始する接触開始位置からパッドがディスクに全面的に接触する全面接触位置までの間に前記位置検出手段で検出されるピストンのストローク値からパッドの偏摩耗量を検出することを特徴とする電動ブレーキ装置。 - 前記制御手段は、パッドのディスクへの接触状態を前記モータへの駆動電流値から割り出すことを特徴とする請求項1記載の電動ブレーキ装置。
- 前記制御手段は、パッドがディスクへ接触を開始する時点と、パッドがディスクに最大限に接触する時点とを前記モータへの駆動電流値から割り出すことを特徴とする請求項2記載の電動ブレーキ装置。
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