JP4209533B2 - パイプの固定方法及び自動二輪車のメインスタンド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイプの固定方法及び自動二輪車のメインスタンドの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
パイプの固定方法として、例えば特開平8−158865号公報「車両用排気マフラー」が知られている。
上記技術は、同公報の図1によれば、インナーパイプ20の周囲にビード加工で外周方向に突出させた位置決め凸部24を形成し、セパレータ14の平面部33にパイプ穴31を形成し、このパイプ穴31にインナーパイプ20の一端を差し込み、平面部33に位置決め凸部24を溶接して、セパレータ14にインナーパイプ20を取付けたものである。
次に、このようなパイプの固定方法を利用した自動二輪車のメインスタンドの一例を図6に示す。
【0003】
図6は従来の自動二輪車のメインスタンドの背面図である。
従来の自動二輪車のメインスタンド100は、左・右の脚101,102と、左・右の脚101,102を繋ぐ連結部材103と、左右の脚101,102の上部に対向させて取付けた2枚の板部材104,105と、これらの板部材104,105にそれぞれ設けた貫通孔104a,105aと、これらの貫通孔104a,105aに貫通させたパイプ106とからなり、パイプ106の両端を2枚の板部材104,105に溶接したものである。なお、104b,104b,105b,105bは溶接ビードである。ここで、107は左脚下部に取付けた足掛け部、101a,102aは左右脚下端に取付けた接地プレート、108は左脚101と足掛け部107とを補強するガゼット板である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、パイプ106を2枚の板部材104,105に取付けるために、先ず、2枚の板部材104,105にパイプ106を位置決めし、次に、パイプ106の両端を溶接するのでは製造コストが嵩む。
また、2枚の板部材104,105にパイプ106を溶接すると溶接歪が発生し、板部材104,105又はパイプ106に「そり」や「曲り」が生ずる。そこで、プレス工具などで矯正することで寸法精度を確保するようにしているが、この矯正工程は製造コストの高騰の要因となる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、製造コストを低減することができができるパイプの固定方法、及び製造コストを低減し得る自動二輪車のメインスタンドを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1のパイプの固定方法は、貫通孔を有する2枚の板部材を一定の距離で対向配置し、2つの貫通孔に直線状のパイプを貫通させる工程と、パイプの内に貫通させてパイプの左右端より突出させる内側押え型、及び前記2枚の板部材の内側同士を繋ぐように且つ前記2枚の板部材の外側に所定の間隔を離すように前記パイプの外側を覆う外側押え型を取付ける工程と、パイプに軸圧縮力を掛けるためにパイプの両端を軸方向に押す左・右パンチをセットする工程と、左・右パンチを押すことでパイプの外径を塑性変形させカシメ部を形成する工程とからなる。
【0007】
パイプの内に貫通させてパイプの左右端より突出させる内側押え型、及び前記2枚の板部材の内側同士を繋ぐように且つ前記2枚の板部材の外側に所定の間隔を離すように前記パイプの外側を覆う外側押え型をセットし、左・右パンチを押すことで2枚の板部材にパイプを固定するようにした。従来のパイプを2枚の板部材に溶接で固定する場合に比べ、パイプ内径を変形させることはない。すなわち、パイプを寸法精度よく板部材に固定することができる。
また、パイプを2枚の板部材にカシメ固定するようにして、製造コストの低減を図るようにした。
【0008】
請求項2のパイプの固定方法は、ピボット軸を介して車体フレーム側に回転自在に取付けた自動二輪車のメインスタンドの製造に用いられ、メインスタンドが、左・右の脚と、左・右の脚を繋ぐ連結部材と、左・右の脚の上部に対向させて取付ける2枚の板部材と、これらの板部材にそれぞれ設けた貫通孔と、これらの貫通孔に貫通させピボット軸を貫通させるパイプと構成され、このパイプの両端をカシメ固定することを特徴とする。
【0009】
2枚の板部材にパイプをカシメ固定するようにし、メインスタンドの寸法精度の向上を図ると共に製造コストの低減を図る。例えば、パイプを2枚の板部材に溶接などで固定する場合に比べ、パイプ内径を変形させることはない。また、メインスタンドを安価に製作することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0011】
図1は本発明に係るメインスタンドを採用した自動二輪車の側面図である。
自動二輪車10は、車体フレーム12と、この車体フレーム12のヘッドパイプ13に取付けたフロントフォーク14,14(奥側の14は不図示)と、これらのフロントフォーク14,14に取付けた前輪15と、フロントフォーク14,14に連結したハンドル16と、車体フレーム12の上部前部に跨ぐように取付けた燃料タンク17と、車体フレーム12の上部後部に取付けたシート18と、車体フレーム12の下部前部に取付けたパワーユニット19(前部のエンジン21と後部の変速機22の組合せ構造)と、車体フレーム12の下部後部に取付けたスイングアーム23と、このスイングアーム23の途中を車体フレーム12に懸架したリヤサスペンション24と、スイングアーム23の後端部に取付けた後輪25とからなる。
【0012】
エンジン21の吸気系統26は、吸気ダクト27、エアクリーナ28並びにキャブレタ29等からなる。
エンジン21の排気系統31は、エンジン21の排気口21aに接続した4本の排気管31・・・(・・・は複数個を示す。以下同じ。また、本図では1本のみを示す)、各排気管31・・・の排気を集合する集合管32並びにマフラ33等からなる。
【0013】
また、上記自動二輪車10は、車体フレーム12の前部上部を覆うアッパカウル34と、このアッパカウル34の上部に取付けるウインドスクリーン35と、車体フレーム12の側部を覆うサイドカウル36と、吸気ダクト27の側部後部を覆うダクトカバー37と、車体フレーム12の後部におけるシート18の下方を覆うシートカウル38と、前輪15の上部を覆うフロントフェンダ39と、後輪25の後部上部を覆うリヤフェンダ41とを備えた、フルカウリング形式の二輪車である。
【0014】
図中、21bはエンジン21のクランクケース、43はヘッドランプ、44はミラー、45はラジエータ、46はシートレール、47は運転者用ステップ、48は乗員用ステップ、49は駆動用チェーン、60は自動二輪車のメインスタンド(以下、「メインスタンド60」と略記する)である。
【0015】
図2は本発明に係る自動二輪車のメインスタンドの具体的な取付構造の分解斜視図である。
メインスタンド60の取付構造は、エンジン21のクランクケース21aの後端にボルト51,51及びナット52,52を介して左・右ブラケット53,54を取付け、これらのブラケット53,54に左・右ブッシュ55,56及びピボット軸57を介して回転自在にメインスタンド60取付けるものである。ここで、58はリヤサスペンションを懸架するリンクである。
【0016】
左ブラケット53は、ブラケット本体53aにボルト51,51を貫通させる貫通用ボス53b,53bを形成し、ブラケット本体53aにピボット軸57を貫通させるピボット貫通用ボス53cを形成し、ブラケット本体53aにピボット軸57を固定するためのめねじ部53dを形成したものであり、ここで、53eはリンク58を回転自在に支持する支持ボス、53fは図示せぬサイドスタンドを取付ける取付ボスである。
右ブラケット54は、左ブラケット53に略同一構成の部品であり、54aはブラケット本体、54b,54bは貫通用ボス、54cはピボット貫通用ボス、54eは支持ボスである。
【0017】
左ブッシュ55は、円筒状の本体部55aにフランジ部55bを形成したものであり、右ブッシュ56は左ブッシュ55と同一部品である。
ピボット軸57は、ピボット軸本体57aに固定用ブラケット57bを取付けたものであり、ここで、57cは図1に示すサイドカウル36の下部を止める止めボス、57dはサイドカウル36の下部を止める止めネジ、57eはピボット軸57の取付けねじである。
【0018】
図3は本発明に係る自動二輪車のメインスタンドの背面図である。
メインスタンド60は、メインパイプ61の上部にパイプブラケット62を取付け、このパイプブラケット62にパイプとしてのピボットパイプ63を取付け、パイプブラケット62にスタンドをロックするためのロック用プレート64を取付け、メインパイプ61の左端に足掛け用パイプ65を取付け、メインパイプ61の右端にばね掛け部66を取付け、メインパイプ61、パイプブラケット62及びピボットパイプ63にスタンドの移動範囲を規制するストッパプレート67を渡し、メインパイプ61と足掛け用パイプ65との間をガゼット板68で補強したものである。
【0019】
メインパイプ61は、略U字形のパイプであって、左・右の脚としての左・右脚部71,72を連結部材としての連結部73で繋いだものである。
左脚部71は、地面に直接当たる接地プレート71aを備え、右脚部72は同様に接地プレート72aを備える。
パイプブラケット62は、メインパイプ61の連結部73から左・右脚部71,72にかけてメインパイプ61を包むように接合部74を形成し、この接合部74から上方に2枚の板部材としての左・右支持プレート75,76を対向させて立上げたものであり、左・右支持プレート75,76にそれぞれピボットパイプ63を貫通させる貫通孔75a,76aを形成したものである。
ピボットパイプ63は、左・右支持プレート75,76の貫通孔75a,76aに貫通させ、両端にカシメ部63a,63bを形成することで、左・右支持プレート75,76に取付けたものである。
【0020】
すなわち、メインスタンド60は、左・右脚部71,72と、左・右脚部71,72を繋ぐ連結部73と、左・右脚部71,72の上部に対向させて2枚の左・右支持プレート75,76と、これらの支持プレート75,76にそれぞれ設けた貫通孔75a,76aと、これらの貫通孔75a,76aに貫通させピボット軸57(図2参照)を貫通させるピボットパイプ63とから構成し、ピボットパイプ63の両端をカシメ固定したものである。
【0021】
左・右支持プレート75,76にピボットパイプ63をカシメ固定するようにしたので、例えば、ピボットパイプ63を左・右支持プレート75,76に溶接などで固定する場合に比べ、メインスタンド60の寸法精度の向上を図ることができる。また、ピボットパイプ63を左・右支持プレート75,76に溶接などで固定する場合に比べ、メインスタンド60を安価に製作することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0022】
以上に述べたメインスタンド60の作用を次に説明する。
図4は本発明に係る自動二輪車のメインスタンドの作用説明図であり、パイプの固定方法のフローチャートを示す。なお、ST01〜ST05はそれぞれのステップ番号を示す。また、本図の説明では、ピボットパイプ63を「パイプ63」、左・右支持プレート75,76を「板部材75,76」と記載する。
【0023】
ST01;貫通孔75a,75bを有する2枚の板部材75,76を一定の距離で対向配置し、2つの貫通孔75a,75bに直線状のパイプ63を貫通させる。
ST02;パイプ63の内・外に各々に内側押え型77・外側押え型78を取付ける。
ST03;パイプ63に軸圧縮力を掛けるためにパイプ63の両端を軸方向に押す左・右パンチ79L,79Rをセットする。
ST04;左・右パンチ79L,79Rでパイプ63の両端を矢印▲1▼,▲1▼の如く軸方向に押す。
ST05;左・右パンチ79L,79Rを押すことでパイプ63の外径を塑性変形させ矢印▲2▼・・・の如くカシメ部63a,63bを形成する。
【0024】
上記説明したパイプの固定方法によれば、パイプ63の内・外に各々に内側押え型・外側押え型77,78をセットし、左・右パンチ79L,79Rを押すことで2枚の板部材75,76にパイプ63を固定するので、例えば、パイプ63を2枚の板部材75,76に溶接などで固定する場合に比べ、パイプ63内径を変形させることはない。従って、パイプ63の寸法精度の向上を図ることができる。
また、パイプ63を2枚の板部材75,76にカシメ固定するようにしたので、製造コストの低減を図ることができる。
【0025】
図5は本発明に係るパイプの固定方法を利用したマフラの正面断面図であり、マフラ80は、インナパイプ81内に入口側から板部材としての第1〜第3セパレータ82〜84をこの順で取付け、第1セパレータ82の貫通孔82aと第2セパレータ83の貫通孔83aとの間をパイプとしての前接続管85で連結し、第2セパレータ83の貫通孔83bと第3セパレータ84の貫通孔84aとの間をパイプとしての後接続管86で連結し、インナパイプ81をアウタパイプ87で覆い、インナパイプ81の入口側に接続パイプ88を取付け、インナパイプ81の出口側にテールパイプ89を取付けたものである。
【0026】
前接続管85は、第1セパレータ82側にカシメ部85a,85aを形成し、第2セパレータ83側にカシメ部85bを形成することで、第1・第2セパレータ82,83にカシメ固定したものであり、後接続管86は、第2セパレータ83側にカシメ部86aを形成し、第3セパレータ84側にカシメ部84b,84bを形成することで、第1・第2セパレータ83,84にカシメ固定したものである。
【0027】
尚、図4で説明したパイプの固定方法については、図3に示すメインスタンド60又は図5に示すマフラ80に限るものではなく、一般的に、対向配置した複数の板部材にパイプをカシメ固定するものであればよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、パイプの内に貫通させてパイプの左右端より突出させる内側押え型、及び前記2枚の板部材の内側同士を繋ぐように且つ前記2枚の板部材の外側に所定の間隔を離すように前記パイプの外側を覆う外側押え型をセットし、左・右パンチを押すことで2枚の板部材にパイプを固定するようにしたので、例えば、パイプを2枚の板部材に溶接で固定する場合に比べ、パイプ内径を変形させることはない。すなわち、パイプの寸法精度の向上を図ることができる。
また、パイプを2枚の板部材にカシメ固定するようにしたので、製造コストの低減を図ることができる。
【0029】
請求項2は、2枚の板部材にパイプをカシメ固定するようにしたので、メインスタンドの寸法精度の向上を図ると共に製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメインスタンドを採用した自動二輪車の側面図
【図2】本発明に係る自動二輪車のメインスタンドの具体的な取付構造の分解斜視図
【図3】本発明に係る自動二輪車のメインスタンドの背面図
【図4】本発明に係る自動二輪車のメインスタンドの作用説明図
【図5】本発明に係るパイプの固定方法を利用したマフラの正面断面図
【図6】従来の自動二輪車のメインスタンドの背面図
【符号の説明】
57…ピボット軸、60…メインスタンド、63…パイプ(ピボットパイプ)、63a,63b…カシメ部、71,72…左・右の脚(左・右脚部)、73…連結部材(連結部)、75,76…板部材(左・右支持プレート)、75a,76a…貫通孔、77,78…内側・外側押え型、79L,79R…左・右パンチ。
Claims (2)
- 貫通孔を有する2枚の板部材を一定の距離で対向配置し、前記2つの貫通孔に直線状のパイプを貫通させる工程と、
前記パイプの内に貫通させてパイプの左右端より突出させる内側押え型、及び前記2枚の板部材の内側同士を繋ぐように且つ前記2枚の板部材の外側に所定の間隔を離すように前記パイプの外側を覆う外側押え型を取付ける工程と、
前記パイプに軸圧縮力を掛けるためにパイプの両端を軸方向に押す左・右パンチをセットする工程と、
左・右パンチを押すことでパイプの外径を塑性変形させカシメ部を形成する工程と、からなるパイプの固定方法。 - ピボット軸を介して車体フレーム側に回転自在に取付けた自動二輪車のメインスタンドの製造に用いられ、
前記メインスタンドは、左・右の脚と、左・右の脚を繋ぐ連結部材と、左・右の脚の上部に対向させて取付ける前記2枚の板部材と、これらの板部材にそれぞれ設けた貫通孔と、これらの貫通孔に貫通させ前記ピボット軸を貫通させる前記パイプとからなり、
このパイプの両端をカシメ固定することを特徴とする請求項1記載のパイプの固定方法。
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