JP4204464B2 - ポリカーボネート樹脂成形材料および光ディスク基板 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂成形材料および光ディスク基板 Download PDF

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Description

【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、良好な離型性を保ちつつ、成形耐熱性が向上したポリカーボネート樹脂組成物およびそれから形成された成形品に関する。さらに詳しくは、本発明は良好な離型性を保ちつつ、高温での成形性、熱安定性、および耐加水分解性に優れ長期信頼性の高い光学用、特に光ディスク基板用に適したポリカーボネート樹脂成形材料および光ディスク基板に関するものである。
【0002】
従来の技術
ポリカーボネート樹脂は高分子材料の中では比較的耐熱性に優れる材料である。材料の高機能化、高性能化の要求が高まる中で、多種の添加剤が用いられるようになってきたが、一般的には添加剤を増やすほど 樹脂の耐熱性は低下する傾向にある。
ポリカーボネート樹脂は、その優れた耐熱性および透明性を利用して、光ディスクの基板に広く使用されている。従来レーザ光の照射により情報の記録・再生をおこなう光ディスクとしては、デジタルオーディオディスク(いわゆるコンパクトディスク)、光学式ビデオディスク(いわゆるレーザディスク)、各種追記型ディスク、光磁気ディスク、相変化ディスク等が実用化されている。
このうち、コンパクトディスクやレーザディスクは、再生専用(Read Only Memory:ROM)型の光ディスクである。これらの光ディスクは、透明基板上に、情報信号に対応したピットが凹凸形状で形成され、この上にAl(アルミニウム)反射層が40nm以上の厚さで製膜されている。このような光ディスクでは、ピットで生じる光干渉による反射率変化を検出することにより情報信号が再生される。
【0002】
一方、追記型光ディスクは、ユーザによって任意情報の書き込みが可能なR(Recordable)型の光ディスクであり、光磁気ディスクおよび相変化型ディスクは、繰り返し任意情報の書き込みが可能なRAM(Random Acceess Memory)型の光ディスクである。
すなわち、R型光ディスクは、透明基板上に、レーザ光の照射によって不可逆的に光学特性が変化したり凹凸形状が形成される追記型の記録層にて構成される。この記録層としては、例えばレーザ光の照射による加熱で分解し、その光学定数が変化するとともに、体積変化によって基板の変形を生じさせるシアニン系、フタロシアニン系、アゾ系の有機色素等が用いられる。
光磁気ディスクは、ユーザによって情報の書き込みおよび消去を繰り返しおこなうことができる、書き換え可能型の光ディスクであり、透明基板上に、Tb−Fe−Co非晶質合金薄膜などの磁気光学効果(例えばカー効果)を有する垂直磁化膜が形成されて構成される。この光磁気ディスクでは、情報信号に対応して垂直磁化膜の微小領域を上向きあるいは下向きに磁化することにより記録ピットが形成される。そして、反射光での直線偏光の回転角θk(カー回転角)が垂直磁化膜の磁化の向きによって異なることを利用して情報信号が再生される。
相変化ディスクは、光磁気ディスク同様に書き換え可能型のディスクであり、例えば初期状態で結晶状態を呈し、レーザ光が照射されることでアモルファス状態に相変化する、Ge−Sb−Te相変化材料等が用いられる。この記録層では、情報信号に対応して微小領域を相変化させることにより記録ピットが形成され、ピットに相当するアモルファス部分とそれ以外の結晶領域との反射率変化を検出することにより情報信号が再生される。
このような光磁気ディスクや相変化ディスクでは、記録層の酸化防止や多重干渉による信号変調度の増大を目的として、記録層の両側を透明な誘電体層で挟み込み、さらにその上にAl反射層を積層した4層構造がとられる場合が多い。なお、誘電体層としては、窒化シリコン膜、Zn−SiO混成膜などが用いられる。
【0004】
ところで、最近、このような光ディスクをデジタル映像記録用として用いるための検討が盛んにおこなわれており、そのような光ディスクとしてデジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)が開発されるに至っている。
このDVDは、CDと同じ120mm径としながら、映画一本分に相当する映像情報を記録し、現行テレビ並みの画質で再生できるようになされたものである。
ここで、このような映像情報を光ディスクに記録するには、例えばCDの6〜8倍の記録容量が必要になる。このため、DVDでは、レーザ波長をCDでの780nmに対して635〜650nmと短波長化するとともに対物レンズの開口数NAをCDでの0.45に対して、0.52または0.6に増大させることによりトラックピッチやピットの最短記録マーク長を縮め、記録密度を上げるようにしている。
このうち対物レンズの開口数NAの増大は、ディスク基板のそりに対する許容量を小さくすることになる。このため、DVDでは、基板の厚さをCDの1.2mmに対して、0.6mmと薄くすることにより、レーザ光がディスク基板を通過する距離を短くし、反りに対する許容量を補償する様にしている(日経エレクトロニクス 1995年2月27日号 No.630)。そして、さらに基板を薄くすることによるディスク強度の低下を補うため、特開平6−274940号公報で記載されるように、基板上に形成された記録層の上に、さらに基板を貼り合わせる、いわゆる貼り合わせ構造が採られている。なお、貼り合わせ光ディスクの記録層としては、上述の単板構成で用いられるROM型の記録層、R型の記録層、RAM型の記録層のいずれもが採用できる。
さらに、貼り合わせ光ディスクには、その片側の面のみを利用する片面型貼り合わせ光ディスクと、両側の面を利用する両面型貼り合わせ光ディスクとがある。
以上のような光学用ディスク基板には、成形性、強度、光線透過率および耐湿性等に優れているポリカーボネート樹脂が多く使用されている。
【0005】
発明が解決しようとする課題
かかる光学用途においては特に光学的歪みの少ないことやピットの転写性の良いことが重要な要求特性である。このような低い複屈折や転写性の良い成形品を得るには、成形時に良好な流動性や離型性が要求される。
成形時の流動性をよくするために、光学用途では粘度平均分子量が約22,000以下のポリカーボネート樹脂を使用している。しかしながら、それでも成形時の樹脂温度は310〜400℃という高温を必要とし、解重合による分子量低下や熱劣化による着色が生じ易い。そのため、ポリカーボネート樹脂に対して優れた耐熱性が要求される。
一方、ポリカーボネート樹脂の離型性向上のためには樹脂にあらかじめ離型剤を配合して樹脂の離型性を改善することが行われている。この目的で利用される離型剤としては、アルコールと脂肪酸のエステルが良く知られている。しかし、このような離型剤を樹脂に配合して樹脂の離型性を改善する場合、離型性の改善からは離型剤を多量に配合することが好ましいが、反面、離型剤を多量に配合すると樹脂の熱安定性を悪化して成形品の着色をもたらす等の問題が生じる。
従来、ポリカーボネート樹脂の熱安定性を改良する方法として種々の化合物を配合する試みがなされている。これらの化合物としてリン含有熱安定剤、特に亜リン酸トリフェニルや亜リン酸トリクレジルの如き亜リン酸エステルが一般的である。かかる亜リン酸エステルはポリカーボネート樹脂の加工温度ではかなり高い蒸気圧を有するため、充分な熱安定性を付与し得る量使用すると、得られる成形品に気泡やいわゆる銀条が入り易いという問題が発生する。その改良技術としてポリカーボネート樹脂に多価アルコール脂肪酸部分エステルおよび亜リン酸エステルを配合した、樹脂組成物が提案されている(特公平1−23498号公報)。
一方でポリカーボネート樹脂は、高温、高湿下において加水分解しやすく、分子量の低下、衝撃強度の低下などをきたしやすいという欠点がある。また、長期間にわたり高温、高湿下に放置すると基板に微小な白点が発生し、長期信頼性が損なわれるという欠点があった。さらに、ポリカーボネート樹脂内含有不純物により、上記光ディスクや磁気ディスクなどのディスク基板上に形成された記録膜が腐食されることによっても、長期信頼性が損なわれるという欠点があった。そこで、亜リン酸を加え加水分解性を改良した光学用組成物が提案されている(特開平10−60247号公報)。
前述したように、最近光ディスクの記録容量の大容量化に伴いさらに高転写性・低複屈折に加え長期信頼性の高い基板が要求されるようになってきており、前記提案された組成物では良好な離型性を保ったまま高温成形に対する熱安定性と長期信頼性の両面を満足するには至らなくなっている。
【0006】
課題を解決するための手段
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、該問題点について鋭意研究を重ねた結果、内部離型剤として脂肪酸エステルを使用し、さらにリン含有熱安定剤を使用する場合において、リン含有熱安定剤を予め溶融した脂肪酸エステルに添加し、かくして得られた離型剤をポリカーボネート樹脂に添加することによって、各々別々にポリカーボネート樹脂に添加する場合に比べ、良好な離型性を保ちつつも、成形耐熱性に優れたポリカーネート樹脂組成物が得られ、且つ該ポリカーボネート樹脂からなる成形品が長期に渡って高い信頼性を維持できることを見出した。これは、理由は定かではないが、リン含有熱安定剤が離型剤製造時のエステル化に用いられた残留アルカリ成分を中和してポリカーボネート樹脂の熱分解および加水分解を抑制する、もしくは安定剤そのものが離型剤の熱分解および加水分解を抑制しており、両者を予め混合することにより離型剤と安定剤がポリカーボネート樹脂中において近接して存在する為その安定効果が増大しているものと推定される。
【0007】
すなわち、本発明によれば、下記(1)〜(12)のポリカーボネート樹脂成形材料およびそれからの成形品が提供される。
(1)(A)ポリカーボネート樹脂100重量部および(B)脂肪酸エステル(b1)およびリン含有熱安定剤(b2)を少なくとも一方の成分が溶融する条件下に混合して構成された離型剤であって脂肪酸エステル(b1)100重量部当たりリン含有熱安定剤(b2)が0.0001〜50重量部含有されている離型剤(B)0.001〜1.0重量部を含有するポリカーボネート樹脂成形材料。
(2)該ポリカーボネート樹脂が粘度平均分子量が10,000〜50,000のポリカーボネート樹脂である前記(1)記載の光学用ポリカーボネート樹脂組成物材料。
(3)該脂肪酸エステル(b1)が、下記式(1)で表される一価アルコールおよび/または多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルである前記(1)記載の光学用ポリカーボネート樹脂成形材料。
【0008】
【化3】
Figure 0004204464
【0009】
[前記式(1)中、R1は炭素数1〜22の(t+u)価の脂肪族炭化水素基を示し、R2は炭素数12〜22のアルキル基を示す。tは0または正の整数を示し、uは正の整数を示すが、(t+u)は1〜6、好ましくは1〜4の整数を示す。]
(4)該リン含有熱安定剤(b2)がリン酸、亜リン酸、それらのエステルおよびそれらの縮合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記(1)記載の光学用ポリカーボネート樹脂成形材料。
(5)該リン含有熱安定剤(b2)が下記式(2)〜(6)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である前記(1)記載の光学用ポリカーボネート樹脂成形材料。
【0010】
【化4】
Figure 0004204464
【0011】
[A〜Aは、それぞれ独立に、複数のものが互いに同一もしくは異なっていてもよく、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、フェニルアルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜9)およびアルキルフェニル基(アルキル部分の炭素数は1〜9)からなる群から選ばれる基を表す。またAおよびAは独立に水素原子であることができる。前記式(4)において、qは2〜6の整数を示す。また前記式(6)において、mおよびnは、それぞれ独立して0〜2の整数を示すが、(m+n)は1または2を示す。]
【0012】
(6)該離型剤(B)は、脂肪酸エステル(b1)を形成している一価アルコールおよび/または多価アルコールを100モル%としたとき、遊離の一価アルコール/または多価アルコールが0.5〜10モル%含有している前記(1)記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
(7)脂肪酸エステル(b1)は、炭素数3〜5の3価または4価の多価アルコールと炭素数14〜20の脂肪族モノカルボン酸とのエステルである前記(1)記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
(8)脂肪族エステル(b1)は、グリセリンとステアリン酸またはパルミチン酸とのモノもしくはジエステルあるいはペンタエリスリトールとステアリン酸またはパルミチン酸との全エステルである前記(1)記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
(9)脂肪族エステル(b1)は、グリセリンとステアリン酸またはパルミチン酸とのエステルであって、該エステルはモノエステルとジエステルとの混合物であり、モノエステルとジエステルの割合はモルで99:1〜90:10である前記(1)記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
(10)リン含有熱安定剤(b2)は、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,3’−ビフェニレン−ジ−フォスホナイトおよびテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)3,3’−ビフェニレン−ジ−フォスホナイトの混合物、リン酸、亜リン酸、トリメチルホスフェート、(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトおよびトリスノニルフェニルホスファイトからなる群から少なくとも一種である前記(1)記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
(11)離型剤(B)は、ポリカーボネート樹脂100重量部当り、0.01〜0.6重量部を含有する前記(1)記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
(12)離型剤(B)は、脂肪族エステル(b1)100重量部当り、リン含有熱安定剤(b2)0.005〜3重量部より構成される前記(1)記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
【0013】
以下、本発明のポリカーボネート樹脂成形材料およびその調製法についてさらに詳しく説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂成形材料においては、脂肪酸エステル(b1)とリン含有熱安定剤(b2)とはポリカーボネート樹脂に添加される前に、予め混合して構成されていることを特徴とするものである。
さらにこの手法はポリカーネート樹脂成形材料を製造する段階において、脂肪酸エステルに対しリン含有熱安定剤を一定の割合で、さらにポリカーボネート樹脂に対しては極少量で添加することができ、且つ工程を簡素化することもできるという利点も持ち合わしている。
【0014】
本発明における離型剤を構成する脂肪酸エステル(b1)は、溶融成形時において光ディスク基板の金型からの離型性を向上させるために、樹脂成形材料中に配合されるものである。かかる脂肪酸エステル(b1)としては、90重量%以上が一価アルコールおよび/または多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルである離型剤が挙げられる。これは下記式(1)で表すことができる。
【0015】
【化5】
Figure 0004204464
【0016】
式(1)において、R1は炭素数1〜22の(t+u)価の脂肪族炭化水素基を示し、R2は炭素数12〜22のアルキル基を示す。tは0または正の整数を示し、uは正の整数を示すが、(t+u)は1〜6好ましくは1〜4の整数を示す。
【0017】
脂肪族エステル(b1)が一価アルコールと飽和脂肪酸とのエステルである場合、その例としては、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート等があげられ、ステアリルステアレートが好ましい。
また脂肪族エステル(b1)が多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルである場合、その例としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリントリパルミテート、ステアリン酸モノソルビテート、グリセリンモノベヘネート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、ジペンタエリスルトールヘキサステアレート等のジペンタエリスルトール全エステルまたは部分エステル等が挙げられる。
【0018】
脂肪族エステル(b1)として、炭素数3〜5の3価または4価のアルコールと炭素数14〜20の脂肪族モノカルボン酸のエステルが好ましく、グリセリンとステアリン酸またはパルミチン酸のモノ−および/またはジ−エステルが特に好ましい。特に好ましい脂肪酸エステル(b1)の1つは、グリセリンとステアリン酸またはパルミチン酸のモノエステルおよびジエステルの混合物である。その混合物は、モノエステルとジエステルの割合がモルで99:1〜90:10の割合であるのが望ましい。
また好ましい脂肪酸エステル(b)の他の1つは、(i)グリセリンとステアリン酸とのモノまたはジエステルおよびグリセリンとパルミチン酸とのモノまたはジエステルの混合物あるいは(ii)ペンタエリスリトールとステアリン酸との全エステルおよびペンタエリスリトールとパルミチン酸との全エステルの混合物である。この混合物は、ステアリン酸エステル:パルミチン酸エステルとの割合が重量で75:25〜50:50の割合であるのが好ましい。
上記脂肪酸エステル(b1)の酸価は、3以下が好ましく、2以下がより好ましい。ステアリン酸モノグリセリドの場合は、酸価1.5以下、純度95重量%以上がさらに好ましく、酸価が1.2以下、純度が98重量%以上が最も好ましい。脂肪酸エステルの酸価の測定は、それ自体公知の方法を用いることができる。
かかる一価および/または多価アルコールの脂肪酸の部分エステルまたは全エステル(b1)とリン含有熱安定剤(b2)からなる離型剤(B)の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜1.0重量部が好ましく、0.01〜0.6重量部がより好ましい。
【0019】
本発明で使用するリン含有熱安定剤(b2)は、具体例としてリン酸、リン酸エステル、亜リン酸または亜リン酸エステルおよびこれらの縮合体からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい例として挙げられる。
より好ましいリン含有熱安定剤として下記(2)〜(6)式で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0020】
【化6】
Figure 0004204464
【0021】
[A〜Aは、それぞれ独立に、複数のものが互いに同一もしくは異なっていてもよく、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、フェニルアルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜9)およびアルキルフェニル基(アルキル部分の炭素数は1〜9)からなる群から選ばれる基を表す。またAおよびAは独立に水素原子であることもできる。前記式(4)において、qは2〜6の整数を示す。また前記式(6)において、mおよびnは、それぞれ独立して0〜2の整数を示すが、(m+n)は1または2を示す。]
【0022】
これら式(2)〜(6)で示されるリン含有熱安定剤(b2)の具体例としては、例えば、亜リン酸、リン酸、およびこれらのエステル等並びにそれらの縮合体が挙げられ、さらに具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、三リン酸等が挙げられる。なかでも、リン酸、亜リン酸、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’ビフェニレン−ジ−フォスホナイト、トリスノニルフェニルホスファイトが好ましく使用される。これらは、1種もしくは2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のリン含有熱安定剤(b2)の量は、脂肪酸エステル(b1)100重量部に対して、0.0001〜10重量部の範囲であり、0.001〜5重量部の範囲がより好ましく、0.005〜3重量部の範囲が最も好ましい。
【0023】
本発明のリン含有熱安定剤(b2)を添加した脂肪酸エステル(b1)よりなる離型剤(B)の調製は、溶融した脂肪酸エステル(b1)にリン含有熱安定剤(b2)を混合する方法が最も好ましい方法である。いずれにせよ、ポリカーボネート樹脂に添加する前に溶融した脂肪酸エステル(b1)にリン含有熱安定剤(b2)を予め混合させ均一にすることが本効果を得る為にもっとも好適で重要な点である。
【0024】
本発明で(A)成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、その製造方法は限定する必要はないが、例えば二価フェノールおよび、または脂肪族ジオールとカーボネート前駆体とを界面重合法(溶液重合法)また溶融重合法で反応させて得られるものであることが出来る。ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられ、脂肪族ジオールの代表的な例としてはエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、トリシクロ[5,2,1,0 , ]デカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、デカリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール等があげられる。好ましいものは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでもビスフェノールAが特に好ましい。
【0025】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価フェノール(および、または脂肪族ジオール)とカーボネート前駆体を例えば界面重合法または溶融重合法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、二価フェノールおよび、または脂肪族ジオール単独または2種以上を使用することができ、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。また、2種以上のポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
【0026】
界面重合法による反応は、通常二価フェノールおよび、または脂肪族ジオールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間程度である。
【0027】
溶融重合法による反応は、通常二価フェノール(および、または脂肪族ジオール)とジアリールカーボネートとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールおよび、または脂肪族ジオールとジアリールカーボネートを混合し、減圧下通常120〜350℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には1mmHg以下にして生成したフェノール類を系外に除去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
また、重合反応において、末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。とくにカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。
【0028】
かかる単官能フェノール類としては、下記一般式(7)〜(9)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0029】
【化7】
Figure 0004204464
【0030】
[式中、Bは水素原子または炭素数1〜9のアルキル基もしくはフェニルアルキル基(アルキル部分の炭素数1〜9)であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である]。
【0031】
【化8】
Figure 0004204464
【0032】
[これら式中、Xは、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、pは10〜50の整数を示す]。
【0033】
上記一般式(7)で表される単官能フェノール類の具体例としては、例えばイソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クレゾール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールなどが挙げられる。
また、上記一般式(8)〜(9)で表される単官能フェノール類は、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類であり、これらを用いてポリカーボネート樹脂の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、基板としての物性、特に樹脂の吸水率を低くする効果があり、また、基板の複屈折が低減される効果もあり好ましく使用される。
【0034】
上記一般式(8)の置換フェノール類としてはpが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。
また、上記一般式(9)の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、pが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
【0035】
これら単官能フェノール類の内、上記一般式(7)で表される単官能フェノール類が好ましく、より好ましくはアルキル置換もしくはフェニルアルキル置換のフェノール類であり、特に好ましくはp−tert−ブチルフェノールまたはp−クミルフェノールである。
これらの単官能フェノール類の末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0036】
本発明におけるポリカーボネート樹脂(A成分)の分子量は特に限定されないが、一般的に粘度平均分子量(M)で10,000〜50,000が適当である。好ましい粘度平均分子量(M)は、ポリカーボネート樹脂の用途によって異なる。光ディスク基板に適したポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜22,000が好ましく、12,000〜20,000がより好ましく、13,000〜18,000が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、光学用材料として十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。
【0037】
一方、光ディスク基板以外の一般の成形品に適したポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)が14,000〜35,000が好ましい。
本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4 . 83
c=0.7
【0038】
本発明のポリカーボネート樹脂成形材料には、成形時における分子量の低下や色相の悪化をさらに高度に防止するために、本発明の前記リン含有熱安定剤を内部離型剤に用いるのとは異なる配合方法で追加併用することができる。これらは、1種もしくは2種以上を混合して用いてもよい。
かかる熱安定剤の配合量は、該ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0001〜0.15重量部が好ましく、0.0005〜0.10重量部がより好ましく、0.001〜0.05重量部がさらに好ましい。
【0039】
本発明のポリカーボネート樹脂成形材料には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することができる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量は、該ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜0.05重量部が好ましい。
【0040】
本発明のポリカーボネート樹脂成形材料には、紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線吸収剤化合物は、具体的に、ベンゾフェノン系では、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられ、ベンゾトリアゾール系では、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ルが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上の混合物で用いることができる。
【0041】
本発明のポリカーボネート樹脂成形材料には、帯電防止剤を配合することができる。かかる帯電防止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無水マレイン酸ジグリセライド、カーボン、グラファイト、金属粉末等が挙げられる。かかる帯電防止剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂成形材料100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0042】
本発明の樹脂成形材料には、発明の目的を損なわない範囲でブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤は、樹脂成形材料の黄色味を消すために有効である。とくに耐候性を付与した成形材料の場合は、一定量の紫外線吸収剤が配合されているため「紫外線吸収剤の作用や色」によって樹脂製品が黄色味を帯びやすい現実があり、とくにシート製品やレンズ製品に自然な透明感を付与するためにはブルーイング剤の配合は非常に有効である。
本発明におけるブルーイング剤の配合量は、樹脂成形材料全体の0.05〜1.5ppmであり、好ましくは、0.1〜1.2ppmである。配合量多すぎると樹脂製品の青みが強くなって視感透明度が低下する。
ブルーイング剤としては代表例として、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社のマクロレックスバイオレットやトリアゾ−ルブル−RLS等があげられるが、特に制限されるものではない。
【0043】
本発明のポリカーボネート樹脂成形材料には、本発明の目的が損なわれない量の難燃剤を配合することができる。難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、有機塩系難燃剤、芳香族リン酸エステル系難剤、あるいは、ハロゲン化芳香族リン酸エステル型難燃剤等があげられ、それらを一種以上配合することができる。具体的にハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤は、テトラブロモビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネート型難燃剤等である。具体的に有機塩系難燃剤は、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ビス(2,6−ジブロモ−4−クミルフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−クミルフェニル)リン酸ナトリウム、ビス(p−トルエンスルホン)イミドカリウム、ビス(ジフェニルリン酸)イミドカリウム、ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(2,4−ジブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−ブロモフェニル)リン酸カリウム、ジフェニルリン酸カリウム、ジフェニルリン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウムあるいはカリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウムあるいはカリウム等である。具体的にハロゲン化芳香族リン酸エステル型難燃剤は、トリス(2,4,6−トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(2,4−ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(4−ブロモフェニル)ホスフェート等である。具体的に芳香族リン酸エステル系難燃剤は、トリフェニルホスフェート、トリス(2,6−キシリル)ホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)レゾルシンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)ヒドロキノンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)−4,4’−ビフェノールジホスフェート、テトラフェニルレゾルシンジホスフェート、テトラフェニルヒドロキノンジホスフェート、テトラフェニル−4,4’−ビフェノールジホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンとフェノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、同様のフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、(以下に示す「芳香族ポリホスフェート」は、フェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェートと含まない芳香族ポリホスフェートの両方を意味するものとする)芳香環ソースがビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート等である。
【0044】
本発明のポリカーボネート樹脂成形材料には、さらに他の樹脂やエラストマーを本発明の目的が損なわれない範囲で少割合配合することもできる。
かかる他の樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
また、エラストマーとしては、例えばイソブチレン/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム、アクリル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、コアシェル型のエラストマーであるMBS(メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン)ゴム、MAS(メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/スチレン)ゴム等が挙げられる。
【0045】
本発明のポリカーボネート樹脂成形材料においてポリカーボネート樹脂脂肪酸エステルとリン含有熱安定剤とから構成された離型剤(B)、その他の配合添加剤をブレンドするには、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜用いられる。こうして得られたポリカーボネート樹脂成形材料パウダーやペレットのブレンド品は、そのまままたは溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、シート押出し法等の通常知られている方法で成形品やシートにすることができる。
脂肪酸エステルとリン含有熱安定剤とから構成された離型剤、その他の添加剤の配合にあたっては、添加剤を押出機に直接添加、注入、あるいは加熱融解後注入する方法をとることもできる。
【0046】
かくして本発明によれば、(1)脂肪酸エステル(b1)100重量部およびリン含有熱安定剤(b2)0.0001〜50重量部を少なくとも一方の成分が溶融する条件下に混合して離型剤(B)を調製する工程および
(2)ポリカーボネート樹脂(A)100重量部および前工程(1)で得られた離型剤(B)0.001〜1.0重量部を混合してポリカーボネート樹脂成形材料を調製する工程を含んでなることを特徴とするポリカーボネート樹脂成形材料の製造方法が提供される。
【0047】
本発明の樹脂成形材料を使用して光ディスク基板を製造する場合の好ましい実施態様について説明する。
原料としてのポリカーボネート樹脂は、不純物や異物を除去したものが使用される。すなわち、原料ポリカーボネート樹脂は、従来公知の方法(界面重合法、溶融重合法など)により製造した後、溶液状態においてアルカリ抽出や濾過処理をしたり、造粒(脱溶媒)後の粒状原料を例えばアセトンなどのケトン類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、キシレンなどの芳香族炭化水素などのポリカーボネート貧溶媒および非溶媒で洗浄して低分子量成分や未反応成分等の不純物や異物を除去することが好ましい。さらに射出成形に供するためのペレット状ポリカーボネート樹脂を得る押出工程(ペレット化工程)では溶融状態の時に濾過精度10μmの焼結金属フィルターを通すなどして異物を除去したりすることが好ましい。いずれにしても射出成形前の原料樹脂は異物、不純物、溶媒などの含有量を極力低くしておくことが必要である。
【0048】
上記ポリカーボネート樹脂成形材料より光ディスク基板を製造する場合には射出成形機(射出圧縮成形機を含む)を用いる。この射出成形機としては一般的に使用されているものでよいが、炭化物の発生を抑制しディスク基板の信頼性を高める観点からシリンダーやスクリューとして樹脂との付着性が低く、かつ耐食性、耐摩耗性を示す材料を使用したものを用いるのが好ましい。射出成形の条件としてはシリンダー温度300〜400℃、金型温度50〜140℃が好ましく、これらにより光学的に優れた光ディスク基板を得ることができる。成形工程での環境は、本発明の目的から考えて、可能な限りクリーンであることが好ましい。また、成形に供する材料を十分乾燥して水分を除去することや、溶融樹脂の分解を招くような滞留を起こさないように配慮することも重要となる。さらに、複屈折、機械特性などに異常が発生した基板は、製品あるいは試験用基板として採用しないように配慮することも重要である。
本発明によるポリカーボネート樹脂成形材料より形成された光ディスク基板は、高温・高湿条件下長時間保持しても微小な白点の発生は極めて少なく、CD−R、CD−RW、MO、デジタルビデオディスク、DVD−ROM、DVD−audio、DVD−R、DVD−RAM等で代表されるデジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)の光ディスクの基板、特にDVDの基板として優れている。この高温・高湿条件下の特性は、ディスクを温度80℃、相対湿度85%に制御した恒温恒湿槽に1000時間放置した後の大きさ20μm以上の白点発生数を調べることによって確認される。本発明によるポリカーボネート樹脂成形材料から得られたディスク基板の白点発生数は直径120mmの基板あたり2個以下であり、好適なものは1個以下である。
【0049】
本発明者らは、前記した本発明のポリカーボネート樹脂成形材料についてさらに研究を進めたところ、ポリカーボネート樹脂、脂肪酸エステル(離型剤)およびリン含有熱安定剤よりなる組成物にさらに遊離のアルコールが特定量存在することが好ましいことが見出された。
かくして本発明によれば、(A)ポリカーボネート樹脂100重量部、(B)脂肪酸エステルからなる離型剤0.001〜1.0重量部、(C)リン含有熱安定剤(C)が該脂肪酸エステル100重量部当り0.0001〜50重量部および(D)該脂肪酸エステルを形成しているアルコール成分に相当する遊離のアルコールが該脂肪酸エステル100モル%としたとき0.5〜10モル%、好ましくは1〜8モル%よりなるポリカーボネート樹脂成形材料が提供される。
【0050】
本発明者らは、さらに研究を重ねたところ、離型剤としての脂肪酸エステルは、特定の2種類のタイプのエステルの混合物が少量の使用で離型性に優れていることが見出された。
かくして本発明によれば、(A)ポリカーボネート樹脂100重量部、(B)脂肪酸エステルからなる離型剤(B)0.001〜1.0重量部および(C)リン含有熱安定剤(C)が該脂肪酸エステル100重量部当り0.0001〜50重量部からなり、該脂肪酸エステルは(i)グリセリンとステアリン酸とのモノまたはジエステルおよびグリセリンとパルミチン酸とのモノまたはジエステルの混合物あるいは(ii)ペンタエリスリトールとステアリン酸との全エステルおよびペンタエリスリトールとパルミチン酸との全エステルの混合物であるポリカーボネート樹脂成形材料が提供される。
前記混合物は、ステアリン酸エステル:パルミチン酸エステルとの割合が重量で75:25〜50:50の割合であるのが望ましい。
【0051】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜4および比較例1〜4
(1)離型剤の調製(予備混合)
窒素雰囲気下、脂肪酸エステルとしてグリセリンモノステアートを110℃に加熱溶融し、目視にて融解を確認した後、リン含有熱安定剤としてリン酸(和光純薬/試薬特級85%リン酸)を規定量添加、約10分間攪拌する。自然放冷にて凝固させた後、ミキサーで粉砕し、パウダー状の離型剤を得た。
(2)ペレット化
ビスフェノールA、p−tert−ブチルフェノール(末端停止剤)とホスゲンから界面重合法により得られた粉粒状ポリカーボネート樹脂(“PC”;粘度平均分子量15,300)100重量部に対し、表1に記載した量の前記(1)により調製したリン酸添加グリセリンモノステアレートを添加し、240〜270℃の温度範囲で30mm単軸押出し機によりスレッドを押出しカッターでペレット化した。
なお、比較例1〜4では表1に記載した量の離型剤およびリン酸を個別にポリカーボネート樹脂に添加し、240〜270℃の温度範囲で30mm単軸押出し機によりスレッドを押出しカッターでペレット化した。
【0052】
(3)平板の成形およびその耐熱性の評価
前記(2)で得られた種々のペレットを使用し、それぞれ射出成形機により成形温度380℃、1分サイクルで「滞留前の色相測定用平板」(70mm×50mm×2mm)に成形した。別に、シリンダー中に樹脂を10分間滞留させた後、上記と同じ条件で成形し、「滞留後の色相測定用平板」を得た。滞留有無の平板のL値、a値、b値を日本電色色差計Z−10001DPにより測定し、下記式により色相変化(ΔE)を求めた。ΔEが大きい程色が悪くなり、熱安定性に劣ることを示す。その結果を表1に示した。
ΔE=[(L−L+(a−a+(b−b]1/2
[式中L、a、bは滞留前のL値、a値、b値であり、L、a、bは滞留後のL値、a値、b値である。]
(4)コップ型成形片の成形および離型荷重の評価
前記(2)で得られた種々のペレットを使用して、それぞれ住友SS75射出成形機により、コップ型の成形片を成形し、離型時の突出し荷重をメモライザーにより測定した。その結果を表1に示した。
(5)光りディスク用基板の成形およびその長期信頼性試験
前記(2)で得られた種々のペレットを使用して、それぞれディスク用成形機[住友重機(株)製DISK 3M III]により光ディスク用基板(直径120mm、厚さ1.2mm)を成形した。得られた基板を、温度80℃、相対湿度85%に制御した恒温恒湿槽に1000時間放置した後、基板中の大きさ20μm以上の白点発生数を数えた。これを各ペレット当り25枚の光学用ディスク基板についておこない、その平均値を求め、これを白点個数とした。その結果を表1に示した。
【0053】
実施例5
実施例3において粘度平均分子量が25,000の粉粒状ポリカーボネート樹脂を使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果を表1に示した。
【0054】
実施例6
実施例3において脂肪酸エステルとしてグリセリンモノステアレートの代わりにグリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンモノパルミテートおよびグリセリンジパルミテートの混合物を使用した以外は実施例3と同様の操作を行った。その結果を表1に示した。
【0055】
実施例7
実施例5において脂肪酸エステルとしてモノエステルとジエステルの割合がモル比で95:5であるグリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンモノパルミテートおよびグリセリンジパルミテートの混合物を使用した以外は実施例5と同様の操作を行った。その結果を表1に示した。
【0056】
実施例8
ビスフェノールA、p−tert−ブチルフェノール(末端停止剤)とホスゲンから界面重合法により粉粒状ポリカーボネート樹脂(“PC”;粘度平均分子量15,300)を得た。別途、グリセリンモノステアレートとグリセリンモノステアレート100重量部当り0.1重量部のリン酸を実施例3と同様の方法で予備混合してグリセリンモノステアレート100モル%に対し6モル%のグリセリンを含む離型剤を得た。そして、このポリカーボネート樹脂100重量部に作成した離型剤0.05重量部を実施例3と同様の方法で添加し、240〜270℃の温度範囲で30mm単軸押出し機によりスレッドを押出しカッターでペレット化した。このペレットを使用して実施例3と同様の評価を実施した。その結果を表1に示した。
【0057】
実施例9
実施例3において脂肪酸エステルとしてグリセリンモノステアレートの代わりにペンタエリスリトールテトラステアレート(ヘンケルジャパン製 ロキシオール VPG861)を使用した以外は実施例3と同様の操作を行った。その結果を表1に示した。
【0058】
実施例10
実施例3の組成にさらにトリ(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバスペシャリティケミカルズ製Irgafos−168)を50ppm別途添加し、成形耐熱性を評価したところ実施例3と同様の効果を得ることができた。
【0059】
実施例11
実施例3の組成にさらにトリ(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバスペシャリティケミカルズ製Irgafos−168)を50ppm、およびリン酸トリメチル(大八化学工業製 TMP)100ppmを別途添加しペレット化し、成形耐熱性を評価したところ実施例3と同様の効果を得ることができた。
【0060】
実施例12
実施例4の組成にさらにテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’ビフェニレン−ジ−フォスホナイト(クラリアントジャパン製P−EPQ)を30ppm別途添加しペレット化し、成形耐熱性を評価したところ実施例4と同様の効果を得ることができた。
【0061】
実施例13
実施例4の組成にさらにテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’ビフェニレン−ジ−フォスホナイト(クラリアントジャパン製P−EPQ)を30ppm、およびリン酸トリメチル(大八化学工業製 TMP)100ppmを別途添加しペレット化し、成形耐熱性を評価したところ実施例4と同様の効果を得ることができた。
【0062】
実施例14
実施例3において脂肪酸エステルとしてグリセリンモノステアレートの代わりにグリセリントリステアレートとステアリルステアレートとの混合物(理研ビタミン製リケマールSL−900)を使用した以外は実施例3と同様にして成形耐熱性を評価したところ実施例3と同様の効果を得ることができた。
【0063】
実施例15
ビスフェノールA、p−tert−ブチルフェノール(末端停止剤)とホスゲンから界面重合法により得られた粉粒状ポリカーボネート樹脂(“PC”;粘度平均分子量15,300)100重量部にグリセリンモノステアレート0.05重量部とグリセリンモノステアレート100重量部当り0.1重量部のリン酸を130℃で予備混合して作成した離型剤を実施例1と同様の方法で添加し、240〜270℃の温度範囲で30mm単軸押出し機によりスレッドを押出しカッターでペレット化した。このペレット中にはグリセリンモノステアレート100モル%に対し2モル%のグリセリンが存在した。このペレットを使用して実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表2に示した。
【0064】
実施例16
ビスフェノールA、p−tert−ブチルフェノール(末端停止剤)とホスゲンから界面重合法により得られた粉粒状ポリカーボネート樹脂(“PC”;粘度平均分子量15,300)100重量部にステアリン酸エステルとパルミチン酸エステルの混合比が重量比で70:30であるグリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンモノパルミテートおよびグリセリンジパルミテートの混合物0.05重量部と該脂肪酸エステル100重量部当り0.1重量部のリン酸を予備混合した離型剤を実施例1と同様の方法で添加し、240〜270℃の温度範囲で30mm単軸押出し機によりスレッドを押出しカッターでペレット化した。このペレットを使用して実施例1と同様の評価を実施した。その結果を表2に示した。
【0065】
【表1】
Figure 0004204464
【0066】
【表2】
Figure 0004204464

Claims (15)

  1. (A)ポリカーボネート樹脂100重量部および(B)脂肪酸エステル(b1)およびリン含有熱安定剤(b2)を少なくとも一方の成分が溶融する条件下に混合して構成された離型剤であって脂肪酸エステル(b1)100重量部当たりリン含有熱安定剤(b2)が0.0001〜50重量部含有されている離型剤(B)0.001〜1.0重量部を含有するポリカーボネート樹脂成形材料。
  2. 該ポリカーボネート樹脂は粘度平均分子量が10,000〜50,000のポリカーボネート樹脂である請求項1記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
  3. 該脂肪酸エステル(b1)が下記式(1)で表される、一価アルコールおよび/または多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルである請求項1記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
    Figure 0004204464
    [式(1)中、Rは炭素数1〜22の(t+u)価の脂肪族炭化水素基を表し、Rは炭素数12〜22のアルキル基を表す。tは0または正の整数を表し、uは正の整数を表すが、(t+u)は1〜6の整数を表す。]
  4. 該リン含有熱安定剤(b2)がリン酸、亜リン酸、それらのエステルおよびそれらの縮合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
  5. 該リン含有熱安定剤(b2)が下記式(2)〜(6)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
    Figure 0004204464
    [A〜Aは、それぞれ独立に、複数のものが互いに同一もしくは異なっていてもよく、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、フェニルアルキル基(アルキル部分の炭素数は1〜9)およびアルキルフェニル基(アルキル部分の炭素数は1〜9)からなる群から選ばれる基を表す。またAおよびAは独立に水素原子であることもできる。前記式(4)において、qは2〜6を示す。また前記式(6)において、mおよびnは、それぞれ独立して0〜2の整数を示すが、(m+n)は1または2を示す。]
  6. 該離型剤(B)は、脂肪酸エステル(b1)を形成している一価アルコールおよび/または多価アルコールを100モル%としたとき、遊離の一価アルコール/または多価アルコールが0.5〜10モル%含有している請求項1記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
  7. 脂肪酸エステル(b1)は、炭素数3〜5の3価または4価の多価アルコールと炭素数14〜20の脂肪族モノカルボン酸とのエステルである請求項1記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
  8. 脂肪族エステル(b1)は、グリセリンとステアリン酸またはパルミチン酸とのモノもしくはジエステルあるいはペンタエリスリトールとステアリン酸またはパルミチン酸との全エステルである請求項1記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
  9. 脂肪族エステル(b1)は、グリセリンとステアリン酸またはパルミチン酸とのエステルであって、該エステルはモノエステルとジエステルとの混合物であり、モノエステルとジエステルの割合はモルで99:1〜90:10である請求項1記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
  10. リン含有熱安定剤(b2)は、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,3’−ビフェニレン−ジ−フォスホナイトおよびテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)3,3’−ビフェニレン−ジ−フォスホナイトの混合物、リン酸、亜リン酸、トリメチルホスフェート、(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトおよびトリスノニルフェニルホスファイトからなる群から少なくとも一種である請求項1記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
  11. 離型剤(B)は、ポリカーボネート樹脂100重量部当り、0.01〜0.6重量部を含有する請求項1記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
  12. 離型剤(B)は、脂肪族エステル(b1)100重量部当り、リン含有熱安定剤(b2)0.005〜3重量部より構成される請求項1記載のポリカーボネート樹脂成形材料。
  13. (1)脂肪酸エステル(b1)100重量部およびリン含有熱安定剤(b2)0.0001〜50重量部を少なくとも一方の成分が溶融する条件下に混合して離型剤(B)を調製する工程および
    (2)ポリカーボネート樹脂(A)100重量部および前工程(1)で得られた離型剤(B)0.001〜1.0重量部を混合してポリカーボネート樹脂成形材料を調製する工程を含んでなることを特徴とするポリカーボネート樹脂成形材料の製造方法。
  14. 請求項1記載のポリカーボネート樹脂成形材料から形成されたポリカーボネート樹脂成形品。
  15. 請求項1記載のポリカーボネート樹脂成形材料から形成された光ディスク基板。
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