JP3440708B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成
物及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、特に、
亜リン酸エステルと脂肪酸エステルとを添加した熱可塑
性樹脂組成物を製造する際に、抗酸化剤と離型剤との添
加効率を向上させた成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を原料とし、射出成形法、
押出成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法などによっ
て加熱溶融させて、目的の成形品を能率良く製造する際
には、一般に、高い温度が採用される。しかし、加熱溶
融温度を高くすると、樹脂は熱分解や熱酸化などによっ
て、黄色や褐色に着色することがあるので、このような
着色を防止する目的で、抗酸化剤などの各種の安定剤が
配合される。
【0003】また、原料熱可塑性樹脂を加熱溶融させて
目的の成形品を製造する際、溶融時の樹脂の流動性を良
くし、成形時に金型やロールから離型し易くし、金型や
ロールの汚れや成形品外観不良をなくするために、ある
種の化合物が離型剤として配合される。抗酸化剤として
は、亜リン酸エステル化合物等が使用され、また、離型
剤としては、グリセリンの脂肪酸部分エステルや蜜蝋、
鯨油等が使用されることが多い。
【0004】熱可塑性樹脂に、抗酸化剤や離型剤などの
樹脂添加剤を配合する際には、樹脂添加剤の量は、一般
に、原料樹脂に対して微量であることが多い。微量の添
加剤をブレンダー、タンブラーなどで樹脂に混合しよう
とすると、添加剤がブレンダー、タンブラーなどの内壁
面に付着し、秤量した量がそのまま樹脂に配合されず、
製品の品質にバラツキが生じるという欠点があった。こ
の様な欠点を排除するために、あらかじめ、原料の熱可
塑性樹脂、原料の熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性
樹脂、又は他の不活性な粉末状化合物を基体として、添
加剤含有量の高いマスターバッチを調製しておき、この
マスターバッチを、原料の熱可塑性樹脂に分散させ、溶
融混練する方法が採用されている。原料の熱可塑性樹脂
には、成形品の用途、採用される成形条件などに応じ
て、複数の樹脂添加剤が配合されるのが普通である。原
料樹脂に、複数種の樹脂添加剤を配合する場合は、作業
の簡素化の目的で、複数種の樹脂添加剤を同時に配合し
たマスターバッチとする手法が採用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、本発明者ら
の実験によると、亜リン酸エステルと脂肪酸エステルと
を共存させたマスターバッチ(以下共存マスターバッチ
と言うことがある。)は、共存マスターバッチを調製
し、その直後に直ちに使用する際には、予測した通りの
添加剤添加効果が達成されるが、調製してから長期間放
置したマスターバッチを使用する際には、予測したより
も低い添加効果しか達成されないことが分かった。特に
抗酸化剤の効果は、共存マスターバッチにおいては経時
的に大幅に減少するのである。換言すれば、原料の熱可
塑性樹脂に、マスターバッチを添加したことによる効果
は、共存マスターバッチの放置期間に対応して大幅に低
下することが分かった。本発明の目的は、原料熱可塑性
樹脂に、亜リン酸エステルと脂肪酸エステルとを混合す
る際、特に溶融混練して成形品を製造する際に、これら
添加剤の添加効率を向上させる方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らの検討によっ
て、上記の抗酸化剤の効果の減少は、使用する亜リン酸
エステルと脂肪酸エステルの共存によって生じやすいこ
と、また、それは通常脂肪酸エステル中に含有される脂
肪酸の存在による亜リン酸エステルの加水分解によるも
のであること、さらには、この加水分解は単なる亜リン
酸エステルと共存下で進行するのではなく、脂肪酸エス
テルの存在が分解を促進することが判明した。
【0007】即ち、本発明の要旨は、亜リン酸エステル
と脂肪酸エステルと熱可塑性樹脂とを混合するに当た
り、該混合を、実質的に脂肪酸の不存在下にて行う熱可
塑性樹脂組成物の製造方法に存する。また、本発明の他
の要旨は、亜リン酸エステルと脂肪酸エステルと熱可塑
性樹脂とを混合するに当たり、脂肪酸エステルとして、
実質的に脂肪酸を含有しないものを使用する熱可塑性樹
脂組成物の製造方法に存する。さらに、本発明の他の要
旨は、亜リン酸エステルと脂肪酸エステルと熱可塑性樹
脂とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、脂肪酸が脂肪
酸エステルに対して10μmol/g以下である熱可塑
性樹脂組成物に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において熱可塑性樹脂とは、射出成形法、押出成
形法、圧縮成形法、カレンダー成形法などによって、目
的の成形品を製造することができる樹脂を言う。具体的
には、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポ
リフェニレンオキサイド、ポリエステル樹脂、一般用ポ
リスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、AS樹脂、ABS
樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル
樹脂、ポリアセタール、アクリル樹脂、フッ素樹脂など
が挙げられる。これらの樹脂は、単独でも2種以上の混
合物であってもよい。
【0009】上記熱可塑性樹脂の中では、ポリカーボネ
ート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂におい
て、効果が特に顕著に発揮される。ポリカーボネート樹
脂は、(1)種々のジヒドロキシジアリール化合物とホ
スゲンとを反応させるホスゲン法、(2)ジヒドロキシ
ジアリール化合物とジフェニルカーボネートを反応させ
るエステル交換法、等によって製造される重合体又は共
重合体が挙げられる。ジヒドロキシジアリール化合物の
代表的な例として、ビスフェノールAが挙げられる。
【0010】ポリエステル樹脂としては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプ
ロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサ
ジメチレンテレフタレート、ポリ(エチレンテレフタレ
ート/エチレンイソフタレート)共重合体などが挙げら
れる。
【0011】ポリエステル樹脂の中で代表的なポリエチ
レンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートは、
テレフタル酸と、エチレングリコール又はブチレングリ
コールを原料として、縮合反応によって製造することが
できる。ポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタ
ム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸とジアミンなど
の重縮合反応によって得られるポリアミドが挙げられ
る。具体的には、ナイロン−4、ナイロン−6、ナイロ
ン−7、ナイロン−8、ナイロン−11、ナイロン−1
2、ナイロン−6・6、ナイロン−6・9、ナイロン−
6・10、ナイロン−6・12、ナイロン−6・6Tな
どの脂肪族ポリアミドが挙げられる。本発明においては
抗酸化剤等として、亜リン酸エステルを用いる。亜リン
酸エステルとしては、通常下記一般式(I)で表される
化合物を挙げることができる。
【0012】
【化1】
【0013】{式(I)において、R1 、R2 及びR3
は、それぞれ水素原子、アルキル基又はアリール基を表
し、全てが同時に水素原子を表すことはない。} 式(I)によって表される亜リン酸エステルは、亜リン
酸とアルコール類又はフェノール類とのモノエステル
類、ジエステル類、又はトリエステル類である。式
(I)におけるR1 、R2 及びR3 としてのアルキル基
としては、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−
エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、
オクタデシル基、ペンタエリスリチル基、シクロヘキシ
ル基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル
基、トルイル基、ノニルフェニル基などが挙げられる。
【0014】式(I)によって表される亜リン酸エステ
ルの具体例としては、トリブチルホスファイト、トリス
(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホス
ファイト、トリステアリルホスファイト、トリフェニル
ホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(ノ
ニルフェニル)ホスファイト、2−エチルヘキシルジフ
ェニルホスファイト、デシルジフェニルホスファイト、
フェニルジー2−エチルヘキシルホスファイト、フェニ
ルジドデシルホスファイト、トリシクロヘキシルホスフ
ァイト、ジステアリルペンタエリスリチルジホスファイ
ト、ジフェニルペンタエリスリチルジホスファイトなど
が挙げられる。中でも、少なくとも1つのアルキル基を
有する亜リン酸エステルが好適である。このような亜リ
ン酸エステルは、単独でも2種以上の混合物であっても
よい。
【0015】本発明においては離型剤等として脂肪酸エ
ステルを用いる。離型剤とは、溶融時の樹脂の流動性を
良くし、成形時に金型やロールから離型し易くし、金型
やロールの汚れや成形品外観不良をなくする機能を発揮
する化合物を言う。脂肪酸エステルとしては、(1)多
価脂肪族アルコールと炭素数10〜22の脂肪酸のエス
テル化合物、(2)鯨油、(3)蜜蝋が好ましく用いら
れる。脂肪酸エステルは、2種以上用いられていてもよ
い。
【0016】上記(1)の化合物の原料として用いられ
る多価脂肪族アルコールとしては、3〜6価の脂肪族ア
ルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、メソエリスリトール、ペン
チトース、ヘキシトール、ソルビトールなどが挙げられ
る。炭素数10〜22の脂肪酸としては、例えば、ウン
デシル酸、ラウリン酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、ペ
ンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステア
リン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸などが挙
げられる。これら脂肪酸の炭素骨格には、水酸基などの
置換基があってもよい。
【0017】上記多価脂肪族アルコールと上記脂肪酸と
のエステル化合物は、実質的に部分エステル化合物が好
ましい。中でも好ましいのは、多価アルコール中の水酸
基全体の30%以上が、エステル化されず残っているも
のが用いられる。具体的には、グリセリンモノステアレ
ート、グリセリンジステアレート、グリセリンモノベヘ
ネート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペン
タエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトー
ルモノベヘネートなどが挙げられる。このような部分エ
ステル化合物は、単独でも2種以上の混合物であっても
よい。
【0018】本発明の特徴の1つは、これらの熱可塑性
樹脂と亜リン酸エステルと脂肪酸エステルとを混合する
に当たり、該混合を、実質的に脂肪酸の不存在下にて行
うことにある。従来の方法においては、脂肪酸エステル
中に遊離の脂肪酸が含まれており、その結果上記の混合
は脂肪酸の存在下で行われていた。本発明では、脂肪酸
エステルとして実質的に脂肪酸を含有しないものを用い
ること等によって、混合を脂肪酸の不存在下にて行う。
ここでいう脂肪酸としては、特に制限はないが、炭素数
が10〜22の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸、または
両者の混合物であり、例えば、ウンデシル酸、ラウリン
酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パル
ミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン
酸、アラキン酸、ベヘン酸などが挙げられる。これら脂
肪酸の炭素骨格には、水酸基などの置換基があってもよ
い。一般的には、脂肪酸としては、使用する脂肪酸エス
テルの加水分解によって生じ得る脂肪酸を含むが、それ
以外の脂肪酸を含有していることもある。例えば、ステ
アリン酸モノグリセリドに対しては、通常ステアリン酸
と共にパルミチン酸も含まれている。脂肪酸の量として
は、脂肪酸エステルに対して、10μmol/g以下、
好ましくは7μmol/g以下である。脂肪酸が多すぎ
ると、亜リン酸の分解が進行しやすい。脂肪酸エステル
中の脂肪酸を減少せしめるためには、例えば、アルカリ
性水溶液による抽出、またはイオン交換樹脂による分離
等の方法を採用することができる。
【0019】上記の混合の目的は如何なるものであって
もよいが、好ましくは、共存マスターバッチの製造の際
や、亜リン酸エステルのマスターバッチと脂肪酸エステ
ルのマスターバッチとを混合する際に使用する。亜リン
酸エステルや脂肪酸エステルのマスターバッチは、次の
ような手順で製造することができる。亜リン酸エステル
または脂肪酸エステルの所定量を、(A)原料の熱可塑
性樹脂、原料の熱可塑性樹脂と相溶性のある熱可塑性樹
脂、又は、(B)他の不活性な粉末状化合物を基体と
し、これに配合すればよい。
【0020】上記(A)の場合には、亜リン酸エステル
または脂肪酸エステルと熱可塑性樹脂との割合は、樹脂
の種類等によって異なるが、マスターバッチの重量比
で、1/99〜40/60の範囲で選ぶことができる。
原料(成形用)樹脂に上記2種類のマスターバッチを混
合する方法は、原料樹脂の外観形態(粉末、ペレットな
ど)、2種類のマスターバッチの外観形態、目的の成形
品の製造方法などにより、ドライブレンド法、ドライブ
レンドしたものを溶融混練する方法、などのいずれかに
よることができる。
【0021】例えば、原料(成形用)樹脂が粉末で、成
形品を製造する成形方法が溶融混練型(押出成形、射出
成形、カレンダー成形など)の場合には、ドライブレン
ド法による混合が好適であるが溶融混練法によって混合
することもできる。溶融混練法によって混合する場合
は、一軸押出機、二軸押出機、ローター式混練機、バン
バリーミキサーなどの混練機を使用するのがよい。一軸
押出機の場合はダルメージ型スクリューのものが好まし
く、二軸押出機の場合は同方向二軸型、異方向二軸型が
好ましい。
【0022】原料(成形用)樹脂に対する亜リン酸エス
テルの配合量は、樹脂の種類、成形方法、成形条件、成
形品の種類、用途などにより異なるが、原料樹脂に対し
て0.005〜0.5重量%の範囲で選ぶのがよい。こ
の量が少なすぎると、樹脂の分解による着色や、透明性
の劣化を抑制することが困難になることがあり、逆に多
すぎると抗酸化剤自体の分解が目立つようになり、成形
品表面にシルバーストリークが発生しやすくなる。亜リ
ン酸エステルは、上記範囲の中では、0.01〜0.2
重量%が好ましい。
【0023】原料樹脂に対する脂肪酸エステルの配合量
もまた、樹脂の種類、成形方法、成形条件、成形品の種
類、用途などにより異なるが、原料樹脂に対して0.0
05〜1重量%の範囲で選ぶのがよい。この量が少なす
ぎると、成形品の離型性や外観改良効果が認められない
ことがあり、逆に多すぎると成形時のガス発生が多くな
り、成形安定性が低下することがある。脂肪酸エステル
は、上記範囲の中では、0.01〜0.5重量%が好ま
しい。
【0024】原料樹脂には、上記2成分のほか、成形品
の用途により、各種の樹脂添加剤を1種又は2種以上組
合わせて配合することができる。樹脂添加剤としては、
可塑剤、滑剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、耐候性改良
剤、熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、ガラス繊維、炭素
繊維、チタン酸カリウムホイスカーなどの繊維状補強
材、炭酸カルシウム、石膏、粘土鉱物類などの充填剤が
挙げられる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を参考例、実施例及び比較例に
基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を越えな
い限り、以下の記載例に限定されるものではない。な
お、以下の記載例において、亜リン酸エステル、及び遊
離した脂肪酸の分析は、以下に記載した方法に従って測
定した。
【0026】(1)亜リン酸エステルの分析 亜リン酸エステルを含む組成物を塩化メチレンに溶解
し、この溶液を直接ガスクロマトグラフ(島津製作所社
製、GC−14A型、FPD検出器)によって測定する
方法によった。 (2)遊離した脂肪酸の分析 遊離した脂肪酸を含む部分エステル化合物を塩化メチレ
ンに溶解し、この溶液に、ピリジン、クロロフォルム及
びシリル化剤を加え、50℃の温度で、30分トリメチ
ルシリル化して、常温に冷却し、得られた溶液を、ガス
クロマトグラフ(島津製作所社製、GC−7A型、FI
D検出器)によって測定した。
【0027】[比較例1] (抗酸化剤及び離型剤を添加したマスターバッチの調製
及び経時変化の測定)ポリカーボネート(三菱化学社
製、TMノバレックス7022PJ)20kgと、抗酸
化剤トリス(ノニルフェニル)ホスファイト(旭電化工
業社製、TMアデカアーガス329K)875gと、離
型剤ステアリン酸モノグリセリド(理研ビタミン社製、
リケマールS−100A)700gとを秤量し、両者を
ブレンダーによってドライブレンドし、抗酸化剤と離型
剤の共存マスターバッチを得た。
【0028】得られた共存マスターバッチを、室温に所
定時間(3時間、7時間、24時間又は48時間)放置
し、前述の分析方法に従い、トリス(ノニルフェニル)
ホスファイトの残存量を分析した。またこの時のステア
リン酸モノグリセリド中の遊離の脂肪酸量(ステアリン
酸、パルミチン酸)は20μmol/gであった。測定
結果を、表1に示す。
【0029】
【表1】 [注] 表1の値は抗酸化剤の添加量に対する残存率を意味する。
【0030】表1より、亜リン酸エステルのマスターバ
ッチと脂肪酸エステルのマスターバッチとを共存させた
マスターバッチは、時間の経過とともに亜リン酸エステ
ルの残存率が大幅に低下することが分かる。 [比較例2] (抗酸化剤と離型剤との混合)抗酸化剤トリス(ノニル
フェニル)ホスファイト(比較例1と同じ329K)1
gと離型剤ステアリン酸モノグリセリド(比較例1と同
じリケマールS−100A)1.7gを乳鉢で十分混合
し、両添加剤の混合物を得た。調製した混合試料を、室
温に所定時間(24時間、48時間)放置し、前述の方
法に従い、トリス(ノニルフェニル)ホスファイトの残
存率を測定した。
【0031】その結果、24時間後においては95%の
残存率であったが、48時間後には76%にまで残存率
は低下していた。比較例1及び2より、亜リン酸エステ
ルと脂肪酸エステルの両者を混合した場合、亜リン酸エ
ステルの残存率の低下が明らかである。比較例1の残存
率が本実験より値が低いのは、樹脂が表面積を増大さ
せ、空気中の水分の取り込みに貢献したためと思われ
る。尚、比較例2に使用した離型剤ステアリン酸モノグ
リセリド中に含まれる遊離脂肪酸(ステアリン酸、パル
チミン酸)を前述の分析方法に従い測定した結果、20
μmol/gであった。
【0032】[実施例1] (離型剤中の遊離脂肪酸の抽出)離型剤ステアリン酸モ
ノグリセリド(比較例1と同種のリケマールS−100
A)2gをクロロホルム320ml、メタノール160
mlの混合溶液に溶解し、さらに0.01N NaOH
水溶液を120ml添加して十分混合した。静置して2
層に分離した後、下層の溶媒を留去し、目的物を得た。
上述の分析方法に従い分析した結果、ステアリン酸モノ
グリセリド中の遊離脂肪酸(ステアリン酸、パルミチン
酸)の量は6.5μmol/gであった。
【0033】(抗酸化剤とアルカリ抽出を行った離型剤
との混合)抗酸化剤トリス(ノニルフェニル)ホスファ
イト(比較例1と同種の329K)1gと上述の実験で
得た離型剤ステアリン酸モノグリセリド1.7gを乳鉢
で十分混合し、両添加剤の混合物を調製した。調製した
混合試料を、室温に所定時間(24時間、48時間)放
置し、前述の分析方法に従い、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイトの残存率を測定した。その結果、24
時間後においては100%の残存率であり、48時間後
においても100%の残存率を保っていた。比較例2及
び実施例1の結果から、遊離脂肪酸の低減が、亜リン酸
エステルの減少抑制に効果があることが分かる。
【0034】[比較例3] (ステアリン酸を添加した離型剤と抗酸化剤の混合)抗
酸化剤トリス(ノニルフェニル)ホスファイト(比較例
1と同じ329K)1gと、ステアリン酸(石津製薬特
級)を240μmol添加した離型剤ステアリン酸モノ
グリセリド1.7g(比較例1と同種のリケマールS−
100A)を乳鉢で十分混合した後、80℃2時間加熱
し、トリス(ノニルフェニル)ホスファイトの残存率を
前述の分析方法に従い測定した。その結果、残存率は6
6%であった。
【0035】[比較例4] (離型剤及び抗酸化剤との混合)抗酸化剤トリス(ノニ
ルフェニル)ホスファイト(比較例1と同じ329K)
1gと離型剤ステアリン酸モノグリセリド1.7g(比
較例1と同じリケマールS−100A)を乳鉢で十分混
合した後、80℃2時間加熱し、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイトの残存率を前述の分析方法に従い測定
した。その結果、残存率は85%であった。比較例3及
び4より、ステアリン酸の添加により、亜リン酸エステ
ルの分解を促進していることが分かる。
【0036】[参考例1] (抗酸化剤とステアリン酸との混合)抗酸化剤トリス
(ノニルフェニル)ホスファイト(比較例1と同じ32
9K)1gと脂肪酸(比較例3と同じステアリン酸)2
40μmolを乳鉢でよく混合した後、80℃2時間加
熱し、トリス(ノニルフェニル)ホスファイトの残存率
を前述の分析方法に従い測定した。その結果、残存率は
98%であった。参考例1より亜リン酸エステルと脂肪
酸の混合のみでは、抗酸化剤の減少は起こらないことが
分かる。これは両試料の相溶性が悪いためと考えられ、
分解が起こる条件としてステアリン酸モノグリセリドの
ような相溶性を高める物質が必要である。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、亜リン酸エステルの分
解の少ない、即ち熱安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物
を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−127661(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 3/20 - 3/215 C08L 1/00 - 101/16

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜リン酸エステルと脂肪酸エステルと熱
    可塑性樹脂とを混合するに当たり、該混合を、実質的に
    脂肪酸の不存在下にて行う熱可塑性樹脂組成物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 混合を、脂肪酸エステルに対して脂肪酸
    が10μmol/g以下の系内で行う請求項1に記載の
    熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 亜リン酸エステルと脂肪酸エステルと熱
    可塑性樹脂とを混合するに当たり、脂肪酸エステルとし
    て、実質的に脂肪酸を含有しないものを使用する熱可塑
    性樹脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 脂肪酸エステルとして、脂肪酸エステル
    に対して脂肪酸が10μmol/g以下のものを用いる
    請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 脂肪酸が、炭素数1〜22の脂肪酸であ
    る請求項1ないし4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹
    脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 脂肪酸エステルが、(1)多価脂肪族ア
    ルコールと炭素数10〜22の脂肪酸のエステル化合
    物、(2)鯨油及び(3)蜜蝋、から選ばれる少なくと
    も1種である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の
    熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹
    脂、ポリエステル樹脂及びポリアミド樹脂から選ばれる
    少くとも一種である請求項1ないし6のいずれか1項に
    記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 亜リン酸エステルと脂肪酸エステルと熱
    可塑性樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、脂肪
    酸が脂肪酸エステルに対して10μmol/g以下であ
    る熱可塑性樹脂組成物。
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