JP4902057B2 - 光ディスク基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、意匠性に優れ、且つその種類、用途などが瞬時に判断しうると共に、光ディスク基板を成形した際に退色現象、色ムラ、色スジ等が少なく、また高温高湿環境下にあっても偏光性欠陥(白色欠点)を生ずることがなく、エラーが少なく、極めて信頼性の高い光ディスク基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は耐熱性や低吸水性に優れ、特に透明性に優れているがゆえに光学成形品用途、特にコンパクトディスク、光磁気ディスク等の光ディスクの基板材料として使用されている。光ディスクは基板上に形成されたミクロンサイズの凹凸を利用してレーザー光による情報の記録や再生を行う為に、基板には光学的な均一性が要求される。ところで基板の光学的均一性に影響を及ぼす因子としては、原料からポリカーボネート樹脂を製造し、更に光ディスク基板を成形するまでのあらゆる工程において種々の経路から混入する外的要因による異物(塵埃や炭化物など)や、高温高湿環境下において起こる基板の局所的加水分解が挙げられる。
【0003】
特開平2000−80261号公報にはポリカーボネート樹脂と、離型剤、熱安定剤からなる成形材料が、色相、耐熱性、耐沸水性および離型性に優れているいて、光ディスク基板を成形した時、高温高湿下で長時間放置しても球状白色欠点の発生がないことを開示している。
【0004】
一方、光記録媒体に着色を行う方法としては、全着ペレットを用いた特開平1−102505号公報には、特定染料からなるオレンジ色の光記録媒体が、特開平2−33742号公報および特開平8−124212号公報には黒色の光記録媒体が提案されている。また、特開平7−262606号公報には、極低濃度の着色マスターペレットを用いた着色光ディスクが提案されている。
【0005】
しかしながら、光学用成形品の着色濃度が比較的高い着色マスターペレットでは、光ディスク等の光学用成形品を成形した時、透明ペレット、全着ペレットや極低濃度の着色マスターペレットより、着色ペレット中の熱安定剤が高温高湿下で長時間放置した時の白色欠点の発生に大きく影響し、長期信頼性が低下することが判明した。更に色ムラ、色スジの発生等が起こる新たな課題が発生した。
【0006】
一方、上記公報記載の透明ペレット、全着ペレットや極低濃度の着色マスターペレットでは、着色マスター化による上記課題を解決するには十分なものではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、意匠性に優れ、且つその種類、用途などが瞬時に判断しうると共に、光ディスク基板を成形した際に退色現象、色ムラ、色スジ等が少なく、また高温高湿環境下にあっても偏光性欠陥(白色欠点)を生ずることがなく、エラーが少なく、極めて信頼性の高い光ディスク基板の製造方法に関する。特にレーザー光によって光学的に情報信号の読み取りを行う着色された光ディスク基板の製造方法を提供することを目的とするものである。本発明者等はかかる目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の条件を満足する着色マスターペレットが本発明の目的を達成できるものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)粘度平均分子量が10,000〜22,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部、(B)下記リン系安定剤(B成分)0.0001〜0.15重量部および(C)着色剤(C成分)0.005〜10重量部からなる樹脂組成物から形成された光学成形品用着色マスターペレット[I]と、粘度平均分子量が10,000〜22,000の芳香族ポリカーボネート樹脂[II]とを混合し、得られた樹脂混合物を射出成形して光ディスク基板を製造する方法であって、着色マスターペレット[I]と芳香族ポリカーボネート樹脂[II]との混合割合は、([I]+[II])/[I](重量比)で2〜30の範囲である、光ディスク基板の製造方法にかかるものである。
【0009】
本発明でいう光ディスクとは、いわゆるレーザ光の照射により情報の記録・再生をおこなう光ディスクである。具体的な例としては、デジタルオーディオディスク(いわゆるコンパクトディスク:CD)、CD−ROM、光学式ビデオディスク(いわゆるレーザディスク)やDVD−ROM、デジタルビデオディスク(DVD−video)、DVD−R、CD−R、MO、MD−MO、PD、DVD−RAM等の各種再生専用型ディスク、追記型ディスク、光磁気ディスク、相変化ディスク等が実用化されている。本発明の着色マスターペレトは、特にDVD−ROM、DVD−video、DVD−R、DVD−RAM等で代表される高密度光ディスクであるデジタルバーサタイルディスクの製造に有用である。
【0010】
本発明のA成分である熱可塑性樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。尚、芳香族ポリカーボネート樹脂の詳細については後述する。
【0011】
本発明のB成分のリン系安定剤の量は、A成分100重量部あたり、0.0001〜0.15重量部で含まれることが好ましく、より好ましくは0.0001〜0.1重量部、更に好ましくは0.0005〜0.05重量部である。
【0012】
本発明のB成分のリン系安定剤は、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシル−モノフェニルホスファイト、ジオクチル−モノフェニルホスファイト、ジイソプロピル−モノフェニルホスファイト、モノブチル−ジフェニルホスファイト、モノデシル−ジフェニルホスファイト、モノオクチル−ジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイト等の亜リン酸のトリエステル、又はエステル部をアルキル基、フェニル基、アルキルアリール基等で置換したジエステル、モノエステルであり、またトリメチルホスフェート等の燐酸エステル、亜燐酸等があげられる。これらは単独で使用しても又は二種以上併用してもよい。なかでも、亜燐酸、塩素原子量が1〜11000ppmであり、且つ上記一般式(1)で表される化合物(B−1成分)、上記一般式(2)で表される化合物(B−2成分)、上記一般式(3)で表される化合物(B−3成分)、上記一般式(4)で表される化合物(B−4成分)、上記一般式(5)で表される化合物(B−5成分)および上記一般式(6)で表される化合物(B−6成分)から選ばれた少なくとも1種のリン系安定剤が好ましく、最も好ましくは塩素原子量が1〜11000ppmであり、且つ上記一般式(1)で表される化合物(B−1成分)、上記一般式(2)で表される化合物(B−2成分)、上記一般式(3)で表される化合物(B−3成分)および上記一般式(4)で表される化合物(B−4成分)から選ばれた少なくとも1種のリン系安定剤が挙げられる。
【0013】
本発明のB−1成分の具体的例としては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトがより好ましい。このテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(B−1−1成分)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト(B−1−2成分)および、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト(B−1−3成分)の3種の混合物がより好ましい。また、この混合物の混合比は、B−1−1成分、B−1−2成分およびB−1−3成分を重量比で100:37〜64:4〜14の範囲が好ましく、100:40〜60:5〜11の範囲がより好ましい。
【0014】
本発明のB−2成分の具体的例としては、ビス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトビス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。このビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト(B−2−1成分)および、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト(B−2−2成分)の混合物がより好ましい。また、この混合物の混合比は、B−2−1成分および、B−2−2成分を重量比で5:1〜4の範囲が好ましく、5:2〜3の範囲がより好ましい。
【0015】
本発明のB−3成分の具体的例としては、トリス(ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等があげられ、トリス(ジアルキル置換フェニル)ホスファイトが好ましく、トリス(ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトがより好ましく、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。かかるB−3成分の化合物は1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0016】
本発明のB−4成分の具体的例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジル・ジフェニルホスフェート等があげられ、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェートが好ましく、トリメチルホスフェートが最も好ましい。
【0017】
本発明のB−5成分の具体的例としては、R2がフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、4−メチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、オクタデシル基、ノニルフェニル基のリン系安定剤があげられ、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、オクタデシル基が好ましく、ジオクタデシルペンタエリスリトールジホスファイトが最も好ましい。
【0018】
本発明のB−6成分の具体的例としては、Ar4がフェニル基、トルイル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル等であり、また、R3はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等である。最も好ましい例としては、ジメチルフェニルホスホネートがあげられる。
【0019】
本発明のリン系安定剤は、B−1成分、B−2成分およびB−3成分からなるリン系安定剤組成物、または亜燐酸およびB−3成分からなるリン系安定剤組成物、またはB−3成分、またはB−5成分、またはB−6成分が好ましい。
【0020】
本発明のB−1成分、B−2成分およびB−3成分からなるリン系安定剤組成物は、その合計を100重量%とした時、B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が0〜25重量%およびB−3成分が5〜50重量%であるリン系安定剤組成物が好ましい。より好ましくは、B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が5〜25重量%およびB−3成分が5〜50重量%であり、最も好ましくは、B−1成分が55〜80重量%、B−2成分が5〜25重量%およびB−3成分が5〜45重量%である。
【0021】
亜燐酸およびB−3成分からなるリン系安定剤組成物は、その合計を100重量%とした時、亜燐酸が1〜80重量%およびB−3成分が20〜99重量%であるリン系安定剤組成物が好ましい。より好ましくは、亜燐酸が10〜60重量%およびB−3成分が40〜90重量%であり、最も好ましくは、亜燐酸が20〜45重量%およびB−3成分が55〜80重量%である。
【0022】
本発明のリン系安定剤またはその組成物の量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.0001〜0.15重量部の範囲であり、0.002〜0.15重量部の範囲がより好ましく、0.02〜0.1重量部の範囲が最も好ましい。
【0023】
亜燐酸およびB−3成分からなるリン系安定剤組成物の含有量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、亜燐酸が0.0001〜0.0020(好ましくは、0.0001〜0.0015、より好ましくは、0.0001〜0.0010)重量部およびB−3成分が0.0005〜0.0300(好ましくは、0.0005〜0.0300、より好ましくは、0.0010〜0.0200)重量部の範囲が好ましい。
【0024】
本発明でいう「B−1成分〜B−6成分のリン系安定剤または、その組成物(以下、リン系安定剤組成物と総称する)中に含まれる塩素原子量(塩素原子および塩素イオン)」とは、本発明のリン系安定剤または、その組成物に含有した塩素化合物に由来するものである。その塩素化合物は、例えば、製造過程において該安定剤中に生じたり、原料の段階から存在していたものであって、かつ、精製時に除去しきれないものである。これらの塩素化合物は、具体的に、製造(反応、精製など)時に使用した塩素系溶媒、塩素系触媒、未反応塩素、副生したハロゲン化水素、副生したハロゲン化水素のアンモニウムやアミン塩などを挙げることができる。
【0025】
該リン系安定剤組成物に含有する塩素化合物を低減する方法には、安定剤の製造において、精製を強化する方法がある。例えば、溶媒を使用した洗浄による精製の場合、洗浄用溶媒を増やしたり、洗浄回数を多くしたり、塩素化合物を選択的に溶解しやすい溶媒を用いること等を挙げることができる。蒸留、あるいは、昇華による精製の場合は、精留塔部を長くして蒸留段数を増やして、分離能を上げる方法等がある。
【0026】
また、該リン系安定剤組成物に含有する塩素化合物を低減するために、製造における合成反応終了直後でかつ精製前の時点において、塩素化合物を少なくしておくことも有効である。例えば、使用する塩素系触媒の量を減らすこと、塩素を含まない触媒を用いること、反応溶媒として使用する塩素系溶媒の量を減らすこと、塩素系溶媒を使用しないこと、反応をより完全に完結させること等をあげることができる。反応をより完全に終結させるためには、反応時間を長くしたり、反応温度を上げたり、より活性な触媒を使用したり、原料の仕込みにおいて「塩素化合物に対するフェノール化合物のモル比」を大きくしたり、製造工程に脱塩化水素反応がある場合は、塩化水素の補足効率をあげる方法等を挙げることができる。
【0027】
また、該リン系安定剤組成物に「塩化水素と塩化水素補足剤との反応生成物」を含有する場合、これを低減するために、これまで述べた方法以外に、精製段階で除去しやすい「塩化水素と塩化水素補足剤との反応生成物」となるような塩化水素補足剤を使用すること等が挙げられる。
【0028】
該リン系安定剤の製造において、触媒として塩素系触媒を使用し、該安定剤中にこの塩素系触媒やそれに由来する塩素系化合物が残存する場合、それらを低減する方法として、これまで述べた方法以外に、精製段階で除去しやすいものを塩素系触媒として選択する方法を挙げることができる。
【0029】
該リン系安定剤の製造において、溶媒として塩素系溶媒を使用する場合、該安定剤中の塩素系溶媒を低減するには、これまで述べた方法以外に、精製段階で非塩素系の溶媒で洗浄したり、乾燥時間を延長する方法等があげられる。
【0030】
該リン系安定剤に含有する塩素化合物を低減する方法として、これまで述べた方法を安定剤の生産効率や収率を犠牲にすることなく実施するのが好ましい。しかしながら、本発明の目的を達成するためには、安定剤の生産効率や収率を低下させても、これまで述べた方法を実施してもよい。
【0031】
本発明における「塩素原子量」は、任意の方法で測定することができる。例えば、化学分析法、蛍光X線法、燃焼クロル法、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー法、パージアンドトラップガスクロマトグラフィー法をあげることができる。その中でも、特に好ましいのは、蛍光X線法であり、塩素原子と塩素イオンを同時に測定できる。
【0032】
かかる塩素原子量は1〜11000ppmであり、好ましくは1〜8000ppmであり、より好ましくは1〜3000ppmである。
【0033】
B−1成分に含有する塩素原子量を完全に取除くことは工業的に困難な面があり、経済的な観点からその濃度は1〜20000ppmであり、好ましくは1〜14500ppmであり、より好ましくは1〜5500ppmである。
【0034】
B−2成分に含有する塩素原子量を完全に取除くことは工業的に困難な面があり、経済的な観点からその濃度は1〜20000ppmであり、好ましくは1〜14500ppmであり、より好ましくは1〜5500ppmである。
【0035】
B−3成分に含有する塩素原子量を完全に取除くことは工業的に困難な面があり、経済的な観点からその濃度は0.1〜50ppmであり、好ましくは0.1〜40ppmであり、より好ましくは10〜40ppmである。
【0036】
また、芳香族ポリカーボネート樹脂には必要に応じて例えば離型剤、トリアゾール系、アセトフェノン系、サリチル酸エステル系等の紫外線吸収剤、ブルーイング剤、クマリン、ナフタルイミド、オキサゾール化合物等の蛍光増白剤(0.01〜0.1重量%)、帯電防止剤等を配合してもよい。
【0037】
本発明のC成分として使用される着色剤としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、フタロシアニン系染料等の有機系色剤やカーボンブラックが挙げられ、これらの中でも透明性の有機系色剤が好ましい。更に好ましくは、アンスラキノン系染料、ペリノン系染料、キノリン系染料、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料をあげることができる。
【0038】
C成分の染料の具体例としては、CI Solvent Red 52、CISolvent Red 149、CI Solvent Red 150、CI Solvent Red 191、CI Solvent Red 151、CI Solvent Blue 94、CI Solvent 97、CI Solvent Violet 13、CI Solvent Violet 14、CI Solvent Green 3、CI Solvent Green 28として知られるアンスラキノン系染料、CI Vat Orange 9、CI Vat Orange 2、CI Vat Orange 4として知られるピランスロン類アンスラキノン系染料、イソジベンザンスロン類アンスラキノン系染料、CI Vat Orange 1、CI Vat Yellow 4として知られるジベンズピレンキノン類アンスラキノン系染料などを挙げることができる。チオインジゴ系染料としてはCI Vat Red 2、CI Vat Red 41、CI Vat Red 47などを挙げることができる。ペリレン系染料としては、CI Vat Red 15、CI Vat Orange 7、およびBASF社製LUMOGENシリーズとして FOrange240、F Red300、F Red305、F Yellow083、F Red339などを挙げることができる。クマリン系染料としては、バイエル社製MACROLEX Fluoresent Yellow 10GN(Solvent Yellow160:1)、MACROLEX Fluorescent Red G、キノリン系染料としては、CI Solvent Yellow 33、CI Solvent Yellow 157、CI Solvent Yellow 54、CI Disperse Yellow 160などを挙げることができる。ペリノン系染料といては、CI Solvent Red 135、CI Solvent Red 179、CI Solvent Orange 60、フタロシアニン系染料としてはCI Pigment Blue 15:3、CI Pigment Green 7、CI Pigment Green 36などを挙げることができる。これらは1種または2種以上を併用でき、目的に応じた着色を行うことが可能である。
【0039】
尚、着色剤は十分に均一な分散を達成するため粒径の細かいものが好ましく、より好ましくは50μm以下の粒径を有するものであり、かかる着色剤は各種フィルターによる選別により得ることができる。
【0040】
本発明のA成分およびC成分の割合としては、好ましくはA成分100重量部に対して、C成分が0.005〜10重量部である。かかる範囲においては、光記録媒体にした場合に十分な彩度を有し、意匠性に富んだ着色が可能であると共に、光ディスク基板等の光学成形品を成形した際に高温高湿環境下にあっても偏光性欠陥(白色欠点)を生ずることがなく、エラーが少なく、極めて信頼性の高い光学成形品が得られる。C成分の割合としてより好ましくはA成分100重量部に対して0.01〜10重量部であり、特に好ましく0.05〜5重量部である。
【0041】
本発明の着色マスターペレットはその製造については各種の方法を取ることができる。例えば着色剤同士を予め混合しておき、(1)熱可塑性樹脂に均一に混合した後溶融混練する方法、(2)単独または複数の着色剤を樹脂に高濃度に添加し、ヘンシェルミキサーなどの混合機を使用してドライブレンドしたマスター剤を得たのち、残りの熱可塑性樹脂などに更に予備混合して溶融混練する方法、(3)着色剤を独立して押出機などの溶融混練機に供給し溶融混練する方法、(4)着色剤を有機溶媒に溶解した後、溶融混練機に直接供給する方法(着色剤溶液はフィルター濾過するのが好ましい)、(5)前記(4)の着色剤溶液を高濃度に樹脂に添加してヘンシェルミキサーなどの混合機によりマスター剤を作成後、残りの成分と溶融混練する方法、(6)前記(5)のマスター剤を独立して押出機などの溶融混練機に供給し溶融混練する方法、(7)着色剤溶液と熱可塑性樹脂溶液を混合して(溶液はフィルター濾過するのが好ましい)、スプレードライヤーなどで溶媒を除去した粉末を溶融押出しする方法、(8)かかる着色剤溶液と熱可塑性樹脂溶液の混合溶液を直接押出機などの溶融混練機に供給する方法などを挙げることができる。かかる溶融混練でペレットを得た後透明ペレットで所望の濃度に希釈して光学成形品を成形する。希釈倍率は2〜30倍が好ましく、3〜20倍がより好ましく、最も好ましくは3〜10倍である。
【0042】
尚、上記光学成形品用着色マスターペレットの製造は、かかる着色マスターペレットが通常高度な光学的特性を要求されるため、かかる光学特性を阻害する異物の存在を極力少なくすることが好ましい。かかる好ましい着色マスターペレットを得るためには、原料として異物量の少ないものを使用するとともに、押出機やペレタイザー等の製造装置をフィルターなどを通して得られた清浄な空気の雰囲気内に設置すると共に、冷却バス用の冷却水についてもイオン交換樹脂などを通して得られた金属イオンなどの異物量の少ないものを使用し、更に原料の供給ホッパー、供給流路や、得られたペレットの貯蔵タンク等についてもより清浄な空気等で満たすことが好ましい。
【0043】
また溶融混練に使用する装置としては、単軸押出機、2軸押出機、加圧ニーダーなど一般に使用されているものが使用可能であり、特に好ましくはベント付きの2軸押出機であり、ベントから真空排気できるものが好ましい。使用する原料は、タンブラー、ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロールなどで予め混合する方法、計量器を用いて独立に供給する方法のいずれも使用可能であり、組合わせて使用することも可能である。
【0044】
本発明の着色マスターペレットから成形品を得る方法としては従来公知の種々の方法が使用でき、例えば射出成形、押出成形、圧縮成形などの方法で所望の形状に成形することができる。本発明の光学成形品用着色マスターペレットはDVDに代表されるディスク形状の光記録媒体の他、光カードなどの板状成形体にも好適なものであり、その他光記録媒体機能を有する貼り合わせ型記録媒体各種の態様において好適なものである。すなわち、本発明の光学成形品用着色マスターペレットは、流動性、耐熱性、特定の光線透過性に優れ、更に意匠性や識別性に優れるため、特に各種ビデオソフト用、コンピューターソフト用、ゲーム機ソフト用の光記録媒体基板用として好適なものである。
【0045】
以下に本発明のA成分として好適な芳香族ポリカーボネート樹脂の詳細について説明する。本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂とは、通常二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。
【0046】
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0047】
なかでもビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種のビスフェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンまたはα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましく使用され、特にビスフェノールAの単独重合体、または1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンとの共重合体が好ましい。
【0048】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0049】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融エステル交換法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0050】
三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0051】
かかる分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる多官能性化合物を含む場合、かかる割合は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.5モル%、特に好ましくは0.01〜0.3モル%であるものが好ましい。尚、かかる割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
【0052】
界面重縮合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0053】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類の内、低級アルキル置換フェノールとしては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノール等が挙げられる。
【0054】
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類としては、例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
【0055】
末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少くとも10モル%末端に導入されることが望ましい。より好ましくは全末端に対して末端停止剤が80モル%以上導入されること、すなわち二価フェノールに由来する末端の水酸基(OH基)が20モル%以下であることがより好ましく、特に好ましくは全末端に対して末端停止剤が90モル%以上導入されること、すなわちOH基が10モル%以下の場合である。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0056】
溶融エステル交換法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1.33×103〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0057】
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0058】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0059】
また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることが好ましい。なかでも2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
【0060】
さらにかかる重合反応において触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。この失活剤の具体例としては、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどのスルホン酸エステル;さらに、トリフルオロメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、スルホン化ポリスチレン、アクリル酸メチル‐スルホン化スチレン共重合体、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−プロピル、ドデシルベンゼンスルホン酸−2−フェニル−2−ブチル、オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルアンモニウムブチルサルフェート、デシルアンモニウムデシルサルフェート、ドデシルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルアンモニウムエチルサルフェート、ドデシルメチルアンモニウムメチルサルフェート、ドデシルジメチルアンモニウムテトラデシルサルフェート、テトラデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラメチルアンモニウムヘキシルサルフェート、デシルトリメチルアンモニウムヘキサデシルサルフェート、テトラブチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート、テトラメチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等の化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの化合物を二種以上併用することもできる。
【0061】
失活剤の中でもホスホニウム塩もしくはアンモニウム塩型のものが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましく、また重合後のポリカーボネート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。
【0062】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜22,000が好ましく、12,000〜20,000がより好ましく、13,000〜18,000が更に好ましく、13,500〜16,500が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は光学用材料として十分な強度が得られ、また成形時の溶融流動が良好であり、成形歪みが発生せず好ましい。また、芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合しても差し支えない。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηSP)を次式に挿入して求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0063】
本発明の光学成形品用着色マスターペレットには、本発明の目的を損なわない範囲で各種の離型剤、帯電防止剤、光安定剤などを更に配合することが可能である。
【0064】
離型剤としては、ポリカーボネート樹脂に使用される各種の離型剤が使用可能であるが、好ましくは高級脂肪酸エステルである。かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素数10〜34の脂肪族飽和一価カルボン酸と一価または二価以上の多価アルコールとのエステルを挙げることができる。かかる脂肪族飽和一価カルボン酸としては、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキシン酸、ベヘン酸、およびモンタン酸などが挙げられる。
【0065】
更に、好ましくは、炭素数10〜24、更に好ましくは炭素数16〜22の脂肪族飽和一価カルボン酸と二価以上の多価アルコールとの部分エステルを挙げることができる。DVDでは極めて高温での成形が必要とされるが、かかる部分エステルは高温時の成形における蛍光染料の特性の低下を抑制することが可能となる。二価以上の多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。特に好ましくはステアリン酸とグリセリンの部分エステルであり、これらは例えば理研ビタミン(株)よりリケマールS−100Aという商品名で市販されており、市場から容易に入手できる。かかる離型剤の組成割合としては、A成分100重量部に対して、0.005〜0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜0.2重量部である。
【0066】
本発明においては以下の方法により着色マスターペレットの微粉末量の測定を実施する。着色マスターペレット5kgを秤量した後、ペレットを円形振動篩機(特寿工作所製・TM−70−2S)にかけ、1.0および0.5mm以下の微粉末を分離する。
【0067】
かかる1.0mm以下の微粉末の含有量は、本発明では250ppm以下である。この範囲であると光ディスク基板等の光学成形品を成形した際に色ムラ、色スジ等が少なく、また高温高湿環境下にあっても偏光性欠陥(白色欠点)を生ずることがなく、エラーが少なく、極めて信頼性の高い光学成形品が得られる。好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。本発明の着色マスターペレットでは着色剤を含有しているために更に微粉末の影響が大きく、0.5mm以下の微粉末の含有量が200ppm以下が好ましく、より好ましくは100ppm以下、最も好ましくは50ppm以下である。
【0068】
本発明の微粉末含有量の少ない着色マスターペレットを製造するには、ストランドのカッティング条件を調整して微粉末の発生量を極力抑える。例えば樹脂を押出機で押し出してストランドとし、これをカッターで切断してペレットを得る場合に、ペレットの断面形状は円形で凹凸が少ないものであることが望まれる。この断面形状の凹凸を減少させるためにストランドの冷却はストランドの周囲をできる限り均一な温度で冷却するのが望ましく、その際カッター切断時のストランドの温度が好ましくは110〜140℃、より好ましくは120〜130℃となるように冷却することが望ましい。かくしてストランドのねじれを僅少化することができ、表面の凹凸を少なくすることが可能となる。
【0069】
また、一旦発生した微粉末を篩いを用いて分離除去したり、矩形の導管中を落下するペレットに対して、イオン化空気を向流に流してペレットに付着している微粉末を分離除去する。
【0070】
本発明における着色マスターペレットの形状は、成形用の着色マスターペレット、特に光学用成形材料用の着色マスターペレットとして使用されているものであればよく、大きさや形は特に制限されない。一般的には内径が2.0〜3.3mmで長さが2.5〜3.5mmのものが適当である。また、着色マスターペレットと透明ペレットの形状はほぼ同一が好ましく、着色マスターペレットと透明ペレットのブレンドペレットの中で着色マスターペレットが分級しないためにも、ペレット1個当たりの平均重量比で0.96〜1.1が好ましい。
【0071】
本発明において「異物」とは原料から芳香族ポリカーボネート樹脂を製造し、更に光ディスク基板を成形するまでのあらゆる工程において種々の経由から混入する汚染物質のことであり、例えば使用原料(モノマー、溶剤など)に含まれる不純物やダスト、製造設備に付着しているダストまたは成形過程で発生する炭化物など塩化メチレンに不溶な全ての成分を示す。
【0072】
本発明によればデジタルバーサタイルディスク等の高密度光ディスクに用いるディスク基板として十分な信頼性を得るためには、該基板を成形するために供する成形材料(芳香族ポリカーボネート樹脂)の中に含まれる異物の量に関して、粒径0.5μm以上の異物が10000個/g以下で、かつ粒径20μm以上の異物が200個/kg以下であることが必要である。粒径0.5μm以上の異物が10000個/g以下であっても、粒径20μm以上の異物が200個/kgを越える材料から成形された高密度光ディスク基板では、異物が確実にエラーを引き起こし、十分な信頼性が得られない。同様に、粒径20μm以上の異物が200個/kg以下であっても、粒径0.5μm以上の異物が10000個/gを越える材料から成形された高密度光ディスク基板では、異物が確実にエラーを引き起こし、十分な信頼性が得られない。なお、粒径0.5μm以上の異物を10000個/g以下とした上で、かつ粒径20μm以上の異物を100個/kg以下とすることがより信頼性の高い基板を得る上で好ましく、更には粒径20μm以上の異物を20個/kg以下とすれば皆無の場合と実質的に同等の確実なる信頼性を得ることができる。また、粒径20μm以上の異物を200個/kg以下とした上で、かつ粒径0.5μm以上の異物を6000個/g以下とすることがより信頼性の高い基板を得る上で好ましく、更には粒径0.5μm以上の異物を2000個/g以下とすれば皆無の場合と実質的に同等の確実なる信頼性を得ることができる。
【0073】
ポリカーボネート樹脂は、前述した従来公知の常法(溶液重合法、溶融重合法など)により製造した後、溶液状態において濾過処理をしたり、造粒(脱溶媒)後の粒状原料を例えば加熱条件下でアセトンなどの貧溶媒で洗浄したりして低分子量成分や未反応成分等の不純物や異物を除去することが好ましい。更に射出成形に供するためのペレット状ポリカーボネート樹脂を得る押出工程(ペレット化工程)では溶融状態の時に濾過精度10μmの焼結金属フィルターを通すなどして異物を除去したりすることが好ましい。必要により、例えばリン系等の酸化防止剤などの添加剤を加えることも好ましい。いずれにしても射出成形前の原料樹脂は異物、不純物、溶媒などの含有量を極力低くしておくことが必要である。
【0074】
上記ポリカーボネート樹脂より光ディスク基板を製造する場合には射出成形機(射出圧縮成形機を含む)を用いる。この射出成形機としては一般的に使用されているものでよいが、炭化物の発生を抑制しディスク基板の信頼性を高める観点からシリンダーやスクリューとして樹脂との付着性が低く、かつ耐食性、耐摩耗性を示す材料を使用してなるものを用いるのが好ましい。射出成形の条件としてはシリンダー温度300〜400℃、金型温度50〜140℃が好ましく、これらにより光学的に優れた光ディスク基板を得ることができる。成形工程での環境は、本発明の目的から考えて、可能な限りクリーンであることが好ましい。また、成形に供する材料を十分乾燥して水分を除去することや、溶融樹脂の分解を招くような滞留を起こさないように配慮することも重要となる。
【0075】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。また、実施例中の「部」は特に断りのない限り重量部を意味する。光ディスク共通の評価項目および方法は以下の通りである。
(1)安定剤の塩素原子量(Cl含有量)
蛍光X線法により、安定剤中の塩素原子量を測定した。
(2)長期信頼性試験
ディスク用成形機[住友重機械工業(株)製DISK 3M III]により成形された光ディスク用基板(直径120mm、厚さ1.2mm)を、温度80℃、相対湿度85%に制御した恒温恒湿槽に1000時間放置した後、基板中の大きさ20μm以上の白色欠点数(偏光性欠陥)を数えた。これを25枚の光学式ディスク基板についておこない、その平均値を求め、これを白点個数とした。
(3)BLERの測定
下記のブレンドペレットを用い射出成形機(住友重機(株)製DISK3MIII)で厚み1.2mm、120mmφのAl付基板に成形し、この基板のBLERをBLER測定機(SONY製・CDplayer cotrol unit CDS−3000)により測定した。なお、表4のC1AVEとはC1エラー(C1コードで訂正出来るランダムエラー)の1秒間あたりの平均値である。
(4)色ムラの測定
表2記載のブレンドペレットを用い射出成形機[住友重機(株)S480/150]でシリンダー温度350℃、金型温度120℃で長さ50mm×幅90mm×厚さ0.6mmの色ムラ評価成形板を連続成形で100枚作成した。
【0076】
この100枚の成形板を分光光度計(datacolor社 SF500)を用いて、D65光源(相関色温度6504K)下での、L*(明度)、a*(赤味から緑味にかけての色度)、b*(黄味から青味にかけての色度)を測定し、その最大値と最小値より求められた値を(i)式に挿入して、その色差(△E*)を求め、3段階評価した。△E*(色差)の値が0に近いほど色相が安定していることになる。
○:△E*≦0.5
△:0.5<△E*<1.0
×:△E*≧1.0
【0077】
【数1】
Figure 0004902057
【0078】
(5)色スジの測定
色ムラ評価成形板100枚の中から成形1ショット目〜10ショット目までの10枚について、その外観を目視にて観察し、3段階評価した。
○:色スジが全くないもの
△:色スジが1個所あるもの
×:色スジが2個所以上あるもの
(6)光ディスクの外観観察
上記で得られた光ディスクについて、その外観観察を目視にて行った。
(7)光線透過特性
光線透過率測定用試験片は、得られたペレットを射出成形機[住友重機械工業S480/150]でシリンダー温度350℃、金型温度120℃で長さ50mm×幅90mm×厚さ0.6mmの透過率評価用成形板を作成した。
【0079】
この成形板を日立製作所(株)製自記分光光度計U−3200型を用いて、光線透過特性を測定し、▲1▼350nm〜400nmの各波長における最大光線透過率、▲2▼400nm〜650nmにおける最小光線透過率、▲3▼650nmにおける光線透過率を求めた。
(8)基板貼合せ試験
紫外線硬化型接着剤をスピンコート塗布、紫外線照射により硬化させ、データ基板2枚を貼合せてたDVDディスクを得た。次いでその接着性を以下の手法により評価した。
○:手ではがすことはできず、十分な接着力を有する
×:手ではがすことができる
【0080】
[実施例A〜T、1〜27および比較例A、B、1〜3]
<着色剤マスター組成物および添加剤マスター組成物の製造>
まず表1記載の着色剤成分、添加剤成分を10重量%の割合となるよう、A成分の熱可塑性樹脂組成物で希釈し、ヘンシェルミキサーで均一に混合し着色剤マスター組成物および添加剤マスター組成物を得た。この着色剤マスター組成物および添加剤マスター組成物を表1記載組成になる様にブレンドした。
【0081】
【表1】
Figure 0004902057
【0082】
<着色剤マスターペレットおよび透明ペレットの製造>
これらのマスター組成物を表1の組成割合となるよう残りの成分と混合し、タンブラーで均一に混合した。その後、径30mmφのベント付き2軸押出機[(株)神戸製鋼所KTX−30]でベントから真空排気させながらシリンダー温度280℃で溶融混練し、押出しペレット化(ペレット形状:径2.7mm×長さ3.0mm)した。押出機のダイス部分には、フィルターを設置し、5μm以上の異物が1gあたり20個以下となるようにした。また上記の機器はすべてフィルターを通した清浄な空気が循環する101.8kPa(1.005気圧)の雰囲気下に置き、冷却用の水はイオン交換水を使用した。
【0083】
尚、着色剤マスターペレットA〜Tは、冷却方法としてストランドを冷却水を流した波板の上に通して冷却する方法(波板冷却方法)を用い、カッターで切断した直後のペレット温度は132℃とした。このペレットを矩形の導管中に落下させながらイオン化空気を向流に流してペレットに付着している微粉末を分離除去した。一方、着色剤マスターペレットXは、表1記載の着色剤成分、添加剤成分、A成分の熱可塑成樹脂を表1の組成割合となるよう直接タンブラーのみで混合した。また、冷却方法としてストランドを27℃の水浴に5秒間通して冷却する方法を用い、カッターで切断した直後のペレット温度は83℃とし、イオン化空気による微粉末除去を行わなかった。
【0084】
また、別に希釈用の着色剤成分を含まない透明ペレット(ペレット形状:径2.7mm×長さ3.0mm)を上記着色剤マスターペレットA〜Tと同様な条件で製造した。
【0085】
【表2】
Figure 0004902057
【0086】
<CDディスクの製造>
表2記載の着色マスターペレットと透明ペレットを用いて射出成形機、住友重機械工業製DISK3 M IIIにCD専用の金型を取り付け、この金型にピットの入ったニッケル製のCD用スタンパーを装着し、成形材料を自動搬送にて成形機のホッパーに投入し、シリンダー温度340℃、金型温度75℃、射出速度100mm/sec、保持圧力3920kPaの条件で直径120mm、肉厚1.2mmの基板を成形し、この基板を用いてCDディスクを得た。これらのCDディスクの評価結果を表3に示す。
【0087】
【表3】
Figure 0004902057
【0088】
<CD−Rディスクの製造>
表2記載の着色マスターペレットと透明ペレットを用いてディスク基板を成形し、これに色素系記録層を形成してCD−Rディスクを作成した。これらのCD−Rディスクの評価結果を表4に示す。
【0089】
【表4】
Figure 0004902057
【0090】
更に、CD−Rディスクの記録面にガラスを通して日光が当たる様にし、書込み・読出しに異常が起る日数を調べる耐候性試験を行った結果、比較例に対して実施例は倍以上の耐候性を有していた。
【0091】
<DVDディスクの製造>
表2記載の着色マスターペレットと透明ペレットを用いて、射出成形機、住友重機械工業製DISK3 M IIIにDVD専用の金型を取り付け、この金型にアドレス信号などの情報の入ったニッケル製のDVD用スタンパーを装着し、成形材料を自動搬送にて成形機のホッパーに投入し、シリンダー温度380℃、金型温度115℃、射出速度300mm/sec、保持圧力3920kPaの条件で直径120mm、肉厚0.6mmのDVD基板を成形し、この基板を用いてDVDディスクを得た。これらのDVDディスクの評価結果を表5に示す。
【0092】
【表5】
Figure 0004902057
【0093】
なお表1記載の各成分を示す記号および項目は下記の通りである。
(A成分)
PC−1
粘度平均分子量が15,200のアミン触媒を用いないホスゲン法により得られたビスフェノールAポリカーボネート樹脂パウダー(末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノールを使用)
PC−2
粘度平均分子量が14,800のアミン触媒を用いてホスゲン法により得られた、全芳香族ジヒドロキシ成分のうち、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン[ビスフェノールTMC]が45モル%、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール[ビスフェノールM]が55モル%である芳香族ポリカーボネート共重合体パウダー(末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノールを使用)
PC−3
末端水酸基濃度34モル%、粘度平均分子量が15,300のエステル交換触媒として原料ビスフェノールA1モルに対してビスフェノールAの2ナトリウム塩を2×10-7モルを用いた溶融エステル交換法により得られたビスフェノールAポリカーボネート樹脂ペレット
【0094】
(B成分)
B−1
テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイトおよび、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイトの100:50:10(重量比)混合物
B−2
ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトの5:3(重量比)混合物
B−3
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(安定剤中のCl含有量52ppm)
B−4
トリメチルホスフェート(安定剤中のCl含有量6400ppm)
TNP
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト
【0095】
(C成分)
赤染料−1:ペリノン系赤染料、有本化学(株)製 Plast Red 8370
赤染料−2:ペリレン系蛍光赤染料、BASF社製 Lumogen F Red 305
赤染料−3:クマリン系蛍光赤染料、バイエル社製 Macrolex Fluorescent Red G
赤染料−4:チオインジゴ系蛍光赤染料、有本化学(株)製 Plast Red D54
赤染料−5:ペリノン系赤染料、紀和化学(株)製 Kp Plast RedHG
赤染料−6:ペリノン系赤染料、紀和化学(株)製 Kp Plast RedH2G
黄染料−1:キノリン系黄染料、有本化学(株)製 Plast Yellow8010
黄染料−2:クマリン系蛍光黄染料、バイエル社製 Macrolex Fluorescent Yellow 10GN
黄染料−3:キノリン系黄染料、有本化学(株)製 Plast Yellow8050
緑染料:アンスラキノン系緑染料、有本化学(株)製 Oil Green 5602
青染料:アンスラキノン系青染料、バイエル社製 Macrolex BlueRR
【0096】
(その他添加剤成分)
L1:グリセリンモノステアレート、理研ビタミン(株)製リケマールS−100A
【0097】
【発明の効果】
意匠性に優れ、且つその種類、用途などが瞬時に判断しうると共に、光ディスク基板を成形した際に退色現象、色ムラ、色スジ等が少なく、また高温高湿環境下にあっても偏光性欠陥(白色欠点)を生ずることがなく、エラーが少なく、極めて信頼性の高い光学成形品用着色マスターペレットであり、本発明の奏する工業的効果は格別なものである。

Claims (4)

  1. (A)粘度平均分子量が10,000〜22,000の芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部、(B)下記リン系安定剤(B成分)0.0001〜0.15重量部および(C)着色剤(C成分)0.005〜10重量部からなる樹脂組成物から形成された光学成形品用着色マスターペレット[I]と、粘度平均分子量が10,000〜22,000の芳香族ポリカーボネート樹脂[II]とを混合し、得られた樹脂混合物を射出成形して光ディスク基板を製造する方法であって、着色マスターペレット[I]と芳香族ポリカーボネート樹脂[II]との混合割合は、([I]+[II])/[I](重量比)で2〜30の範囲である、光ディスク基板の製造方法
    リン系安定剤(B成分)は、塩素原子量が1〜11000ppmであり、且つ下記一般式(1)で表される化合物(B−1成分)、下記一般式(2)で表される化合物(B−2成分)、下記一般式(3)で表される化合物(B−3成分)、下記一般式(4)で表される化合物(B−4成分)、下記一般式(5)で表される化合物(B−5成分)および下記一般式(6)で表される化合物(B−6成分)から選ばれた少なくとも1種のリン系安定剤
    Figure 0004902057
    Figure 0004902057
    Figure 0004902057
    Figure 0004902057
    Figure 0004902057
    Figure 0004902057
    [式中、Ar 、Ar 、Ar はアルキル置換基があってもよい芳香族基であって、同一でも異なっていてもよい。またAr はジアルキル置換芳香族基であって、同一でも異なっていてもよい。さらにR 、R 、R はアルキル基またはアルキル置換基があってもよい芳香族基であって、同一でも異なっていてもよい。]
  2. 該ペレットが、その長さの平均値は2.0〜3.3mm、断面楕円の長径の平均値は2.5〜3.5mmの範囲である請求項1記載の光ディスク基板の製造方法
  3. 射出成形の条件は、シリンダー温度300〜400℃、金型温度50〜140℃の範囲である請求項1または2記載の光ディスク基板の製造方法
  4. C成分がアンスラキノン系染料、ペリノン系染料、キノリン系染料、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料である請求項1〜のいずれか1項に記載の光ディスク基板の製造方法
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