JP4201755B2 - 自動車のデフマウント構造 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のデフマウント構造に関し、特に、上下方向の振動と左右方向の振動とを同時に抑制することができる自動車のデフマウント構造に関するものである。
自動車のデファレンシャル装置は、プロペラシャフトの後端部に連結される入力軸と、左右のドライブシャフトにそれぞれ連結される左右の出力軸と、それら入出力軸を連結するギヤ機構とを備え、エンジンから入力される駆動力がギヤ機構を介して左右の車輪にスムーズに伝達されるように構成されている。
このデファレンシャル装置は、プロペラシャフトからの回転トルクやドライブシャフトの回転トルク反力等で加振され、ピッチ動きやロール動きが発生する。そのため、一般には、複数の防振装置を介してデファレンシャル装置を車体に支持するデフマウント構造が採用され、車体への振動の入力が防止されている。
例えば、特開2003−175737号公報には、リヤデファレンシャル(デファレンシャル装置)を前方左右側の2つのデフマウント(防振装置)と後方左右側の2つのデフマウント(防振装置)とで支持する場合に、前方及び後方のデフマウントの上下ばね定数と、リヤデファレンシャルのファイナルギヤ比とに基づいて、前方及び後方のデフマウントとデフセンタとの作用点間距離を設定する技術が開示されている。この技術によれば、デフマウントのばね定数を必要以上に上げることなくリヤデファレンシャルのロール動きを抑制することができるとされている。
また、例えば、特開2000−94977号公報には、プロペラシャフトの中心線を挟む前位置2カ所と、前記中心線より左右一方にずれる後位置1カ所とでデフケースをインシュレータ(防振装置)で支持する場合に、ギヤ機構の最終ギヤ比等の値に基づいて、前位置2カ所のインシュレータの上下方向剛性(ばね定数)を異なる値とする技術が開示されている。この技術によれば、デフロール剛性を十分に大きな値に確保しつつデフマウントの低剛性化を図ることができるとされている。
特開2003−175737号(例えば、段落[0006,0027]、図1など) 特許第2875723号(例えば、段落[0010,0013]、図1など)
しかしながら、上述した従来のデフマウント構造では、一の方向(上下方向)の振動が車体へ入力されることを抑制する技術であり、例えば、ペラアンバランス振動のような左右方向の振動が車体へ入力されることを抑制することができない、即ち、上下方向振動の抑制と他方向振動の抑制とを並立させることができないという問題点があった。
また、上述した従来のデフマウント構造では、例えば、防振装置の静的なばね定数をデフセンタとの作用点間距離やギヤ比などの静的なパラメータに基づいて設定するものであるため、周波数領域で現れる特定の振動モードに対して振動を抑制するということが困難であるという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、上下方向の振動と左右方向の振動とを同時に抑制することができる自動車のデフマウント構造を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の自動車のデフマウント構造は、自動車のデファレンシャル装置の前半部側を2の前側防振装置を介して車体に支持させると共に、前記デファレンシャル装置の後端部を1の後側防振装置を介して前記車体に支持させてあるものであり、前記後側防振装置は、軸芯が前記車体の前後方向に沿う姿勢に前記デファレンシャル装置の後端部に連結される内筒と、その内筒の外周側に同軸状に配置されると共に前記車体側の取付け穴に圧入される外筒と、その外筒と前記内筒との間に介在し前記内筒を左右方向から挟んで位置する一対の第1ゴム状弾性体と、前記外筒と内筒との間に介在し前記内筒を上下方向から挟んで位置する一対の第2ゴム状弾性体と、前記外筒と内筒との周方向で前記第1ゴム状弾性体の一方と前記第2ゴム状弾性体の一方との間にそれらを室壁として形成される第1液室と、前記周方向で前記第2ゴム状弾性体の一方と前記第1ゴム状弾性体の他方との間にそれらを室壁として形成される第2液室と、前記周方向で前記第1ゴム状弾性体の他方と前記第2ゴム状弾性体の他方との間にそれらを室壁として形成される第3液室と、前記周方向で前記第2ゴム状弾性体の他方と前記第1ゴム状弾性体の一方との間にそれらを室壁として形成される第4液室と、前記一対の第2ゴム状弾性体の前記周方向における各側壁がそれぞれ前記第1から第4液室の薄肉の室壁を形成するように前記一対の第2ゴム状弾性体のそれぞれに形成されるすぐり穴と、そのすぐり穴の内周部に突設され前記上下方向における前記内筒と外筒との相対変位を所定の範囲内に抑えるストッパ部と、前記第1液室と第2液室とを連通する第1オリフィスと、前記第3液室と第4液室とを連通する第2オリフィスと、前記第4液室と第1液室とを連通する第3オリフィスとを備えると共に、前記左右方向の振動が入力されると、前記第1オリフィス及び第2オリフィスのそれぞれを介して液体が流動し、その流体流動効果により前記振動を減衰し得ると共に、前記上下方向の振動が入力されると、前記第3オリフィスを介して液体が流動し、その流体流動効果により前記振動を減衰し得る液封入式防振装置として構成され、前記後側防振装置のロスファクタは、前記左右方向の振動に対するロスファクタのピーク周波数が、前記デファレンシャル装置の左右方向振動に基づく共振ピーク周波数faに対して、0.8fa以上かつ1.2fa以下の範囲に設定され、かつ、前記上下方向の振動に対するロスファクタのピーク周波数が、前記デファレンシャル装置の上下方向振動に基づく共振ピーク周波数fbに対して、0.8fb以上かつ1.2fb以下の範囲に設定され、前記デファレンシャル装置の左右及び上下方向振動に基づく共振ピーク周波数fa,fbの測定は、前記後側防振装置を非液封入式の防振装置として構成し、その非液封入式の防振装置と前記前側防振装置とによって前記デファレンシャル装置を支持した状態で行われるものである
請求項2記載の自動車のデフマウント構造は、請求項1記載の自動車のデフマウント構造において、前記後側防振装置は、前記第2液室と第3液室とを連通する第4オリフィスを備え、前記上下方向の振動が入力されると、前記第3オリフィス及び第4オリフィスのそれぞれを介して液体が流動し、その流体流動効果により前記振動を減衰し得る液封入式防振装置として構成されている。
請求項記載の自動車のデフマウント構造は、請求項1又は2に記載の自動車のデフマウント構造において、前記デファレンシャル装置の左右方向振動に基づく共振ピーク周波数faは、そのデファレンシャル装置のヨーイング共振により周波数応答曲線に現れる応答極大値の周波数であり、前記デファレンシャル装置の上下方向振動に基づく共振ピーク周波数fbは、そのデファレンシャル装置のピッチング共振によりに周波数応答曲線に現れる応答極大値の周波数である。
請求項1記載の自動車のデフマウント構造によれば、デファレンシャル装置を前半部側の2の前側防振装置と後端部の1の後側防振装置とを介して車体に支持させる3点支持構造であるので、後端部を2の防振装置で支持する従来の4点支持構造と比較して、防振装置の配設個数や組み付け作業工数などを低減することができ、その結果、部品コストや作業コストの大幅な削減を図ることができるという効果がある。
ところで、上述のように、デフマウント構造を3点支持構造とした場合には、4点支持構造とした場合と比較して、デファレンシャル装置の後端側が動きやすくなるため、後側防振装置への入力が増大するところ、本発明では、後側防振装置を液封入式防振装置として構成したので、3点支持構造であっても、振動をより効率的に減衰させて、車体への振動の入力をより確実に抑制することができるという効果がある。
また、本発明では、後側防止装置が第1から第3オリフィスを備えると共に、左右方向の振動に対しては、第1及び第2オリフィスを介して液体が流動する一方、上下方向の振動に対しては、第3オリフィスを介して液体が流動するように構成されているので、それら各流体流動効果によって、左右方向及び上下方向の振動の両者を共に減衰させることができるという効果がある。その結果、車体への振動の入力をより確実に抑制することができるという効果がある。
なお、上述のように、デフマウント構造を3点支持構造とすることは、従来の防振装置では達成が不可能(複数方向の振動を一の防振装置で十分に減衰させることが困難であったため)なものであり、本発明のように上下方向のみならず左右方向の振動も同時に十分に減衰可能な液封入式防振装置を使用することで初めて達成可能となったものであり、これにより防振装置の配設個数の減少によるコスト削減効果と、上下及び左右の振動を同時に減衰させることによる車体への振動入力の抑制(乗り心地の向上)効果とを同時に達成することができる。
ここで、後側防振装置は、一対の第2ゴム状弾性体にすぐり穴が形成され、その一対の第2ゴム状弾性体の周方向における各側壁がそれぞれ第1から第4液室の薄肉の室壁を形成するように構成されているので、振動が入力された場合に第1から第4液室の各容積を変化させやすくすることができると共に、上下方向のばね定数を小さくすることができ、その結果、後述するストッパ部材が作用しない比較的小振幅の振動を高効率に減衰させることができるという効果がある。
更に、上述したすぐり穴の内周部には、上下方向における内筒と外筒との相対変位を所定の範囲内に抑えるストッパ部が突設されているので、内外筒が所定の相対変位が発生した場合には、それを越える相対変位をストッパ部が阻止するので、内外筒の過剰な変位を回避することができるという効果がある。
一方、すぐり穴は第2ゴム状弾性体にのみ形成され、第1ゴム状弾性体にはすぐり穴が形成されていないので、左右方向のばね定数を上下方向のばね定数よりも大きくすることができるという効果があり、その結果、操縦安定性の向上を図ることができるという効果がある。
また、本発明では、後側防振装置の左右方向の振動に対するロスファクタのピーク周波数を、デファレンシャル装置の左右方向振動に基づく共振ピーク周波数faに対して、0.8fa以上かつ1.2fa以下の範囲に設定し、かつ、上下方向の振動に対するロスファクタのピーク周波数を、デファレンシャル装置の上下方向振動に基づく共振ピーク周波数fbに対して、0.8fb以上かつ1.2fb以下の範囲に設定している。
これにより、周波数領域で現れる特定の振動モードに対する振動の抑制を確実に行うことができるという効果がある。即ち、周波数領域で現れる特定の振動モードの共振ピーク周波数に基づいて後側防振装置の各方向のロスファクタのピーク周波数をチューニングすることにより、各振動モードのそれぞれに個別に対応して、その振動を減衰させることができる。
なお、本発明の後側防振装置は、上述の通り、第1から第3オリフィスを備え、上下方向と左右方向の振動の両者を共に減衰させることができるので、上下方向と左右方向の2方向の振動における振動モードのそれぞれに個別に対応することができる。その結果、車体への振動の入力を高効率に抑制して、大幅な乗り心地の向上を図ることができるという効果がある。
また、ロスファクタのピーク周波数は、デファレンシャル装置の共振ピーク周波数に対して、2割増又は2割減の範囲内に設定されるものであるので、特定の振動モードに対する振動の抑制効果を確実に得ることができるという効果がある。
一方、このように、ロスファクタのピーク周波数は、デファレンシャル装置の共振ピーク周波数に対して所定の許容範囲を有するものであるので、そのチューニングを容易として、後側防振装置の設計コストの削減を図ることができると共に、寸法公差などに起因する特性のばらつきも許容することができるので、各部品寸法などの管理コストの削減を図ることもできるという効果がある。
また、デファレンシャル装置の左右及び上下方向振動に基づく共振ピーク周波数fa,fbの測定は、後側防振装置を非液封入式の防振装置として構成し、その非液封入式の防振装置と前側防振装置とによってデファレンシャル装置を支持した状態で行われるものであるので、特定の振動モードに対する振動の減衰を高効率に行うことができるという効果がある。
即ち、上述した状態で特定の振動モードの共振ピーク周波数fa,fbを取得することで、その特定の振動モードの共振ピーク周波数fa,fbを正確に得られると共に、そのようにして取得された共振ピーク周波数fa,fbを後側防振装置のロスファクタの各方向のピーク周波数をチューニングする際の基準とすることで、前記特定の振動モードの振動を最も効率的に減衰させることができる
請求項2記載の自動車のマウント構造によれば、請求項1記載の自動車のマウント構造の奏する効果に加え、後側防振装置には、第2液室と第3液室とを連通する第4オリフィスが設けられ、上下方向の振動が入力されると、第3オリフィス及び第4オリフィスのそれぞれを介して液体が流動し、その流体流動効果により前記振動を減衰し得るように構成されているので、その分、流体流動効果の向上を図り、車体への振動の入力をより確実に抑制することができるという効果がある。
また、このように、第3オリフィスに加えて、第4オリフィスをも備える構成であれば、第3オリフィスと第4オリフィスとの2種類のオリフィスにそれぞれ異なる流体流動効果を発揮させることもできるので、第3オリフィスだけを備える構成とは異なる周波数の振動をも減衰させることができるという効果がある。なお、第1オリフィスと第2オリフィスに関しても、同様の効果を奏する。
請求項記載の自動車のマウント構造によれば、請求項1又は2に記載の自動車のマウント構造の奏する効果に加え、デファレンシャル装置の左右方向振動に基づく共振ピーク周波数faは、そのデファレンシャル装置のヨーイング共振により周波数応答曲線に現れる応答極大値の周波数であり、デファレンシャル装置の上下方向振動に基づく共振ピーク周波数fbは、そのデファレンシャル装置のピッチング共振によりに周波数応答曲線に現れる応答極大値のピーク周波数であるので、これら共振ピーク周波数fa,fbに基づいて後側防振装置のロスファクタのピーク周波数を設定することで、デファレンシャル装置の前記各共振を高効率に抑制して、車体への振動の入力を確実に抑制することができるという効果がある。
即ち、前記各共振(ヨーイング共振、ピッチング共振)は、デファレンシャル装置の後端部を支持する後側防振装置による影響が支配的である一方、前記各共振よりも低周波側に現れる共振(上下方向及び左右方向共振)はデファレンシャル装置の前半部を支持する前側防振装置による影響が支配的であるため、後側防振装置のロスファクタのピーク周波数を前記各共振(ヨーイング共振、ピッチング共振)の共振ピーク周波数fa,fbを基準とすることで、各共振を効率的に減衰させて、車体への振動の入力を確実に抑制することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態における自動車のデフマウント構造を示す斜視図である。なお、図1中の矢印Xf−Xb、矢印Yl−Yr、及び、矢印Zu−Zdは、それぞれ車体前後方向、車体左右方向、及び、車体上下方向に対応する。
デファレンシャル装置1は、図1に示すように、プロペラシャフト(図示せず)の後端部に連結される入力軸11と、左右のドライブシャフト(図示せず)に連結される左右の出力軸12と、それら入出力軸11,12を連結すると共にデフケース13内に収容されるギヤ機構(図示せず)とを備え、エンジンから入力される駆動力がギヤ機構を介して左右の車輪にスムーズに伝達されるように構成されている。
本実施の形態では、図1に示すように、デファレンシャル装置1の前半部側(図1左側)が2個の前側防振装置2を介して、デファレンシャル装置1の後端部(図1右側)が1個の後側液封入式防振装置3を介して、それぞれサブフレーム4に支持されることで、自動車のデフマウント構造が構成されている。
なお、デファレンシャル装置1の前半部側には、図1に示すように、取り付けブラケット5がボルト固定され、その取り付けブラケット5の左右方向(矢印Yl−Yr方向)両端側に、2個の前側防振装置2の外筒22がそれぞれ圧入保持されると共に、内筒21がサブフレーム4のブラケット4aにボルト固定される。前側防振装置2の内外筒21,22は、その軸芯Oが車体の前後方向(矢印Xf−Xb方向)に沿う姿勢となる。
また、後側防振装置3は、図1に示すように、その外筒32がサブフレーム4の取付け穴4b内に圧入保持されると共に、内筒31がデファレンシャル装置1の後端部にボルト固定される(図4参照)。後側防振装置3の内外筒31,32は、その軸芯Oが車体の前後方向(矢印Xf−Xb方向)に沿う姿勢となる。
なお、サブフレーム4は、図1に示すように、その四隅部に装着された4個のサブフレームブッシュ41を介して車体に支持されている。
また、本実施の形態では、図1の矢印Zd方向視において、2個の前側防振装置2がプロペラシャフトの中心線を挟んで位置すると共に、後側防振装置3が前記中心線よりも車体左側(矢印Yl方向)にずれて位置し、図1の矢印Yl−Yr方向視においては、2個の前側防振装置2の軸芯Oがプロペラシャフトの中心線よりも車体下方(矢印Zd方向)に位置すると共に、後側防振装置3の軸芯Oが前記中心線よりも車体上方(矢印Zu方向)に位置している。
次いで、図2から図7を参照して、後側防振装置3の詳細構成について説明する。図2(a)は、後側防振装置3を軸芯O方向から見た正面図であり、図2(b)は、後側防振装置3を軸芯O方向に直交する方向から見た側面図である。また、図3は、図2(b)のIII−III線における後側防振装置3の断面図である。
また、図4は、図3のIV−IV線における後側防振装置3の断面図であり、図5は、図3のV−V線における後側防振装置3の断面図である。図6は、図3のVI−VI線における後側防振装置3の断面図であり、図7は、図3のVII−VII線における後側防振装置3の断面図である。
内筒31は、図2から図6に示すように、やや肉厚の金属材料から軸芯Oを有する円筒状体に構成されている。内筒31の一端側(図4から図6の左側)には、フランジ部が内周側に張り出し形成されると共に、そのフランジ部がデファレンシャル装置1の後端部にボルト連結されている(図4参照)。
即ち、内筒31のフランジ部の軸孔31aには、図4に示すように、デファレンシャル装置1の後端部から車体後方(図4右側)に突出する取付けボルト58が挿通されると共に、その取付けボルト58にはナット59が螺合締結され、これにより、後側防振装置3は、デファレンシャル装置1の後端部に固定されると共に、その軸芯Oが車体の前後方向(図1矢印Xf−Xb方向)に沿う姿勢に配置される。
外筒32は、図2から図6に示すように、内筒31よりも薄肉の金属材料から軸芯Oを有する円筒状体に構成され、内筒31の外周側に同心状に配設されている。外筒32は、上述したように、サブフレーム4の取付け孔4b内に圧入保持される(図1参照)。
外筒32と内筒31との間には、図2及び図3に示すように、第1及び第2ゴム状弾性体3A〜3Dが介在されている。一対の第1ゴム状弾性体3A,3Bは、内筒31を左右方向(図3左右方向)から挟んで位置する一方、一対の第2ゴム状弾性体3C,3Dは、内筒31を上下方向(図3上下方向)から挟んで位置する。
なお、一対の第1ゴム状弾性体3A,3Bが配設される左右方向(図3左右方向)は、車体の左右方向(図1の矢印Yl−Yr方向)に対応し、一対の第2ゴム状弾性体3C,3Dが配設される上下方向(図3上下方向)は、車体の上下方向(図1の矢印Zu−Zd方向)に対応する。
図3に示すように、一方の第1ゴム状弾性体3Aと一方の第2ゴム状弾性体3Cとの間には、それらを室壁とする第1液室34が、一方の第2ゴム状弾性体3Cと他方の第1ゴム状弾性体3Bの間には、それらを室壁とする第2液室35が、他方の第1ゴム状弾性体3Bと他方の第2ゴム状弾性体3Dの間には、それらを室壁とする第3液室36が、他方の第2ゴム状弾性体3Dと一方の第1ゴム状弾性体3Aの間には、それらを室壁とする第4液室37が、内外筒31,32の周方向でそれぞれ形成されている。
これら第1から第4液室34〜37には、エチレングリコール等の不凍性の液体が封入されている。なお、かかる液体は例示であり、他の液体を封入することは当然可能である。他の液体としては、例えば、シリコンオイルが例示される。
外筒32と内筒31との間には、図3から図6に示すように、金属材料から筒状体に構成される中間筒10が挿通されている。
中間筒10は、軸芯O方向の両端部が外筒32の内周側に内嵌され、それら両端部の間に位置する中間部分には、図4又は図5に示すように、縮径部が縮径形成され、オリフィス流路が確保されると共に、第1から第4液室34〜37に対応する部分には、図6に示すように、開口部が形成され、オリフィス流路と各液室34〜37との連通が確保されている。
中間筒10の縮径部は、図3から図5に示すように、一対の第1周壁10a,10bと、一対の第2周壁10c,10dとを備えて構成されている。図3に示すように、一対の第1周壁10a,10bは、内筒31を左右方向(図3左右方向)で挟むように位置する一方、一対の第2周壁10c,10dは、内筒31を上下方向(図3上下方向)で挟むように位置する。
第1周壁10a,10bと第2周壁10c,10dとの間には、上述した開口部が形成されているので、図3に示すように、第1周壁10a,10bと第2周壁10c,10dは、周方向で間隔を空けて位置する。なお、第2周壁10c,10dは、第1周壁10a,10bよりも周方向の長さが長くされ、その分、後述するオリフィス流路が長くされている。
また、図3に示すように、第1ゴム状弾性体3A,3Bは、第1周壁10a,10bの内周部とこれに対向する内筒31の外周部との間にそれぞれ加硫接着され、第2ゴム状弾性体3C,3Dは、第2周壁10c,10dの内周部とこれに対向する内筒31の外周部との間にそれぞれ加硫接着されている。
一対の第2ゴム状弾性体3C,3Dには、図2から図4に示すように、軸芯O方向に伸びるすぐり穴61が貫通形成されている。これにより、図3又は図7に示すように、一対の第2ゴム状弾性体3C,3Dの前記周方向における各側壁62がそれぞれ第1から第4液室34〜37の薄肉の室壁に形成されている。
図3に示すように、第1から第4液室34〜37の室壁を構成する一対の第1ゴム状弾性体3A,3Bの各側壁63は、軸芯Oに直交する断面視で、左右方向(図3左右方向)に沿って配設されており、第1から第4液室34〜37の前記薄肉の室壁を構成する一対の第2ゴム状弾性体3C,3Dの各側壁62は、軸芯Oに直交する断面視で、軸芯Oに対して放射状直線状に並んで配設されている。
第1から第4液室34〜37の端部壁(内外筒31,32の軸芯O方向両端における壁)は、図2又は図6に示すように、中間筒10の両端部と内筒31とにわたって加硫成形したゴム膜64から構成されている。
また、すぐり穴61の内周部には、図2から図4に示すように、中間筒10の第2周壁10c、10d側から内筒31側へ向けて膨出するストッパ部65が形成されており、上下方向(図3上下方向)における内筒31と外筒32との相対変位を所定の範囲内に抑えるように構成されている。
図3から図5に示すように、一方の第2周壁10cと外筒32との間には、第1液室34と第2液室35とを連通する第1オリフィス91が、他方の第2周壁10dと外筒32の間には、第3液室36と第4液室37とを連通する第2オリフィス92が、一方の第1周壁10aと外筒32との間には、第4液室37と第1液室34とを連通する第3オリフィス93が、他方の第1周壁10bと外筒32との間には、第2液室35と第3液室36とを連通する第4オリフィス94が、それぞれ形成されている。
これら第1から第4オリフィス91〜94の流路高さ(図4又は図5上下方向寸法)は、それぞれ略同一に設定される一方、第1及び第2オリフィス91,92の流路幅(図4左右方向寸法)は、第3及び第4オリフィス93,94よりも幅広(本実施の形態では略3.5倍)に形成されている。
なお、第1オリフィス91は第2オリフィス92と、第3オリフィス93は第4オリフィス94と、それぞれ略同一の流路幅(即ち、流路断面積)に設定されている。但し、これら各オリフィス91〜94の流路断面積や流路長さが各オリフィス毎にそれぞれ異なるように構成することは当然可能である。これにより、各オリフィスにそれぞれ異なる流体流動効果を発揮させることもできるので、異なる周波数の振動をも減衰させることができる。
後側防振装置3の製造は、まず、第1及び第2ゴム状弾性体3A,3B,3C,3Dを内筒31と中間筒10との間に加硫成形した後、その成形体(中間筒10)を外筒32に液中で内嵌圧入する。次いで、外筒32に縮径加工を施すと共に、その外筒32の軸芯O方向両端部を内周側に折り返すことにより行われる。これにより、後側防振装置3は、液封入式の防振装置として構成される。
以上のように構成された後側防振装置3によれば、内外筒31,32が上下方向(図3上下方向)に相対変位すると、その相対変位に伴って、第1液室34と第4液室37との間、及び、第2液室35と第3液室36との間に容積変化が生じる。その結果、液体が第3及び第4オリフィス93,94を介して流動し、その流体流動効果(液体の共振現象)により上下方向の振動が減衰される。
同様に、内外筒31,32が左右方向(図3左右方向)に相対変位すると、その相対変位に伴って、第1液室34と第2液室35との間、及び、第4液室37と第3液室36との間に容積変化が生じる。その結果、液体が第1及び第2オリフィス91,92を介して流動し、その流体流動効果(液体の共振現象)により左右方向の振動が減衰される。
なお、内外筒31,32が上下方向の相対変位が所定の長さに達すると、ストッパ部65の頂部が内筒31の外周部に突き当たり、それを越える上下方向の相対変位が阻止される。
次いで、図8を参照して、前側防振装置2の詳細構成について説明する。図8(a)は、前側防振装置2を軸芯O方向から見た正面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線における前側防振装置2の断面図である。
前側防振装置2は、図8に示すように、内筒21と、その内筒21の外周側に同心状に配設される外筒22と、それら内外筒21,22とを連結するゴム状弾性体23とを備えて構成される。内筒21は、その軸芯O方向略中央部に拡径加工が施されている。
また、ゴム状弾性体23には、図8に示すように、内筒21を上下方向(図8(a)上下方向)から挟んで位置する一対の第1すぐり穴24と、内筒21を左右方向(図8(a)左右方向)から挟んで位置する一対の第2すぐり穴25とが軸芯O方向に沿って貫通形成されている。
なお、第1すぐり穴24と第2すぐり穴25とは、図8(a)に示すように、周方向で間隔を空けて位置すると共に、第1すぐり穴24は、第2すぐり穴25よりも周方向の長さが長くされている。
前側防振装置2は、上述したように、その軸芯Oが車体の前後方向(図1の矢印Xf−Xb方向)に沿う姿勢で取り付けブラケット5に圧入保持される(図1参照)。即ち、図8(b)の左右方向が車体の前後方向に対応する。
また、前側防振装置2の車体(取り付けブラケット5)への取り付け姿勢は、図8(a)の上下方向(一対の第1すぐり穴24が内筒21を挟む方向)が車体の上下方向(図1の矢印Zu−Zd方向)に、図8(a)の左右方向が車体の左右方向(図1の矢印Yl−Yr方向)に、それぞれ対応している。
次いで、図9を参照して、加振試験用防振装置103の詳細構成について説明する。図9(a)は、加振試験用防振装置103を軸芯O方向から見た正面図であり、図9(b)は、図9(a)のIXb−IXb線における加振試験用防振装置103の断面図である。
加振試験用防振装置103は、後述するように、後側防振装置3のロスファクタピーク周波数をチューニングする際、その基準となるデファレンシャル装置1の共振ピーク周波数を検出するために使用される防振装置であり、非液封入式の防振装置として構成されている。
即ち、加振試験用防振装置103は、図9に示すように、内筒131と、その内筒131の外周側に同心状に配設される外筒132と、それら内外筒131,132とを連結するゴム状弾性体133とを備えて構成されている。
内筒131の一端側(図9(b)左側)には、フランジ部が内周側に張り出し形成されており、このフランジ部が、上述した後側防振装置3と同様に、デファレンシャル装置1の後端部にボルト連結される(図4参照)。
また、ゴム状弾性体133には、図9に示すように、内筒131を上下方向(図9(a)上下方向)から挟んで位置する一対のすぐり穴134が軸芯O方向に沿って貫通形成されている。すぐり穴134の内周部には、外筒132側から内筒131側へ向けて膨出するストッパ部135が形成されており、上下方向(図9(a)上下方向)における内外筒131,132の相対変位を所定の範囲内に抑えるように構成されている。
なお、加振試験用防振装置103は、その軸芯Oが車体の前後方向(図1の矢印Xf−Xb方向)に沿う姿勢でサブフレーム4の取付け穴4bに圧入保持される(図1参照)。即ち、図9(b)の左右方向が車体の前後方向に対応する。
また、加振試験用防振装置103の車体(サブフレーム4)への取り付け姿勢は、図9(a)の上下方向(一対のすぐり穴134が内筒131を挟む方向)が車体の上下方向(図1の矢印Zu−Zd方向)に、図9(a)の左右方向が車体の左右方向(図1の矢印Yl−Yr方向)に、それぞれ対応している。
次いで、図10を参照して、本発明における自動車のデフマント構造の設定方法について説明する。図10(a)は、上段がデファレンシャル装置1の周波数応答曲線を示す図であり、下段が後側防振装置3の動的特性を示す図である。なお、上段では、上下方向の振動レベルと周波数との関係が図示され、下段では、上下方向振動入力時のロスファクタと周波数との関係が図示されている。
同様に、図10(b)は、上段がデファレンシャル装置1の周波数応答曲線を示す図であり、下段が後側防振装置3の動的特性を示す図である。なお、上段では、左右方向の振動レベルと周波数との関係が図示され、下段では、左右方向振動入力時のロスファクタと周波数との関係が図示されている。
まず、自動車のデフマウント構造を設定するに際しては、デファレンシャル装置1を上述した構造により車体(サブフレーム4)に支持し(図1参照)、所定の加振条件にて加振実験を行い、振動レベルを測定する。但し、この振動レベルの測定は、後側防振装置3に代えて、非液封式の防振装置として構成した加振試験用防振装置103を使用して行われる。
即ち、デファレンシャル装置1の前半部側(図1左側)は、上述した通り、前側防振装置2を介して、サブフレーム4に支持されるが、デファレンシャル装置1の後端部(図1右側)は、後側防振装置3ではなく、加振試験用防振装置103を介して、サブフレーム4に支持される。
なお、サブフレーム4は、サブフレームブッシュ41を介して、固定点上に支持されている(図1参照)。また、デファレンシャル装置1の左右の出力軸12には、ドライブシャフトが連結されている。
ここで、加振実験は、上下方向振動と左右方向振動の振動現象について振動レベルを測定する。上下方向振動は、加速時のプロペラシャフト及びドライブシャフトが伝達するトルク変動に起因する振動(いわゆるトップスロー)であり、左右方向振動は、プロペラシャフトのオフセットに起因する振動(いわゆるペラアンバランス振動)である。
上下方向振動では、プロペラシャフト(入力軸11)を加振点とし、その入力軸11に所定のトルク変動を加振機から入力した。この入力トルク(プロペラシャフトトルク)は、ドライブシャフトトルクをギヤ比で除算した値に対応するものであり、略15Hzから略80Hzまでの範囲において、略300Nmから略4Nmまでの範囲で変動させた。
左右方向振動では、デファレンシャル装置1の入力軸11(プロペラシャフト連結部)を加振点とし、車体の左右方向(図1矢印Yl−Yr方向)に変動する力振幅(±30N)を加振機から入力した。なお、左右振動では、ドライブシャフトの先端(車輪側)は、フリー状態で固定点上に載置されている(即ち、図1の矢印Zd方向変位のみが拘束されている)。
振動レベルは、後側防振装置3の真上となるサブフレーム4上に加速度計を設置し、その設置位置(応答点)における加速度に基づいて評価した。但し、この応答点は一例であり、他の応答点で評価することは当然可能である。例えば、各サブフレームブッシュ41(図1参照)上に4つの加速度計を設置し、これらの平均値で評価しても良い。また、加速度に限らず、例えば、力センサーにより反力を測定して評価しても良い。
その結果、上述の加振試験により、上下方向振動に関しては、図10(a)の上段に示すような周波数応答曲線110が得られ、左右方向振動に関しは、図10(b)の上段に示すような周波数応答曲線120が得られる。
なお、図10(a)及び(b)では、理解を容易とするために、周波数応答曲線110,120(加振試験用防振装置103を使用した加振試験により得られた曲線)が、後述する周波数応答曲線210,220(本発明の自動車のデフマウント構造により得られた曲線)よりも細い実線で図示されている。
次いで、加振実験により周波数応答曲線110,120を得た後は、特定の振動モードに対し、その共振ピーク周波数f1,f3を上下方向及び左右方向振動からそれぞれ読み取る。なお、共振ピーク周波数f1,f3とは、図10(a)及び(b)に示すように、周波数応答曲線110,120に現れる応答極大値P1,P3の周波数である。
周波数応答曲線110,120から共振ピーク周波数f1,f3を読み取った後は、次いで、後側防振装置3の動的特性のチューニングを行い、その上下方向及び左右方向のロスファクタのピーク周波数f2,f4を上述した共振ピーク周波数f1,f3にそれぞれ一致させる(f2=f1,f4=f4)。
ピーク周波数f2,f4は、ロスファクタの最大位置P2,P4における周波数であり、本実施の形態では、後側防振装置3への入力振幅を、上下方向及び左右方向ともに、±0.2mmとした。この入力振幅を採用した場合に、車体への振動の入力を最も効率的に抑制できるからである。但し、この入力振幅値は一例であり、デファレンシャル装置1等の寸法や各防振装置2,3の配設位置、加振条件、振動モードなどに応じて、入力振幅を適宜変更することは当然可能である。
なお、後側防振装置3の動的特性のチューニングは、上述した第1から第4オリフィス91〜94の断面積(流路幅、流路高さ)や流路長さ、第1及び第2ゴム状弾性体3A〜3Dの寸法やゴム硬度、或いは、液体の粘度などを適宜調整することにより行うことができる。
ここで、ピーク周波数f2,f4は、共振ピーク周波数f1,f3に一致させることが最も好ましいが、必ずしもこれに限られるものではなく、共振ピーク周波数f1,f3の±20%の範囲内であれば足りる(0.8f1<f2<1.2f1,0.8f3<f4<1.2f3)。かかる範囲内であれば、後述するように、後側防振装置3による振動減衰効果を十分に得ることができるからである。
以上のように、後側防振装置3のピーク周波数f2,f4を共振ピーク周波数f1,f3に基づいてチューニングすることで、本発明における自動車のデフマウント構造の設定は完了する。かかる後側防振装置3を使用して上述の加振試験を行った結果が図10(a)及び(b)の上段に示す周波数応答曲線210,220である。
この周波数応答曲線210,220が示すように、本発明の自動車のデフマウント構造、即ち、デファレンシャル装置1の前半部側を前側防振装置2でサブフレーム4に支持すると共に、デファレンシャル装置1の後端部を上述の設定が完了した後側防振装置3で支持する構造とすることで、特定の振動モードにおける振動(応答極大値P1,P3)を大幅に減衰させることができる。
次いで、図11から図14を参照して、本発明のデフマウント構造について行った性能試験について説明する。図11は、デファレンシャル装置1の周波数応答曲線を示す図であり、上下方向の振動レベルと周波数との関係が図示されている。また、図12は、後側防振装置3の動的特性を示す図であり、上下方向振動入力時のロスファクタと周波数との関係が図示されている。
同様に、図13は、デファレンシャル装置1の周波数応答曲線を示す図であり、左右方向の振動レベルと周波数との関係が図示されている。また、図14は、後側防振装置3の動的特性を示す図であり、左右方向振動入力時のロスファクタと周波数との関係が図示されている。
なお、前側防振装置2の特性値は、上下方向静ばね定数:184N/mm、上下方向動ばね定数(100Hz):333N/mm、上下方向ロスファクタ(15Hz):0.14、左右方向静ばね定数:530N/mm、左右方向動ばね定数(100Hz):946N/mm、左右方向ロスファクタ(15Hz):0.14、前後方向静ばね定数:95N/mm、前後方向動ばね定数(100Hz):191N/mm、前後方向ロスファクタ(15Hz):0.14である。
また、加振試験用防振装置103の特性値は、上下方向静ばね定数:241N/mm、上下方向動ばね定数(100Hz):423N/mm、上下方向ロスファクタ(15Hz):0.09、左右方向静ばね定数:757N/mm、左右方向動ばね定数(100Hz):1231N/mm、左右方向ロスファクタ(15Hz):0.31、前後方向静ばね定数:127N/mm、前後方向動ばね定数(100Hz):229N/mm、前後方向ロスファクタ(15Hz):0.10である。
このような前側防振装置2及び加振試験用防振装置103を介してデファレンシャル装置1をサブフレーム4に支持し、上述した加振試験を行った。その結果、上下方向振動に関しては、図11に示す周波数応答曲線130が得られ、左右方向振動に関しては、図13に示す周波数応答曲線140が得られた。なお、図11及び図13では、周波数応答曲線130,140が太い実線で図示されている。
上下方向振動(周波数応答曲線130)では、図11に示すように、主に、2種類の振動モードにより2つの応答極大値が現れた。略30Hzを共振ピーク周波数とする振動モードは、デファレンシャル装置1全体が上下方向に変位する上下方向共振であり、略44Hzを共振ピーク周波数とする振動モードは、デファレンシャル装置1の前端側と後端側とが交互に上下方向に変位するピッチング共振である。
一方、左右方向振動(周波数応答曲線140)では、図13に示すように、略73Hzを共振ピーク周波数とする応答極大値が現れた。これはデファレンシャル装置1の前端部と後端部とが交互に左右変位するヨーイング共振である。なお、本実施の形態における条件では明確に現れていないが、通常、このヨーイング共振よりも低周波側にデファレンシャル装置1全体が左右方向に変位する左右方向共振が現れる。
上述した低周波側の上下方向共振及び左右方向共振は、前側防振装置2による影響が支配的である一方、高周波側のピッチング共振及びヨーイング共振は、後側防振装置3による影響が支配的である。そこで、後側防振装置3の上下方向ロスファクタについては、そのピーク周波数を略44Hzに設定する一方(図12参照)、左右方向ロスファクタについては、そのピーク周波数を略73Hzに設定した(図14参照)。
なお、後側防振装置3の特性値は、上下方向静ばね定数:233N/mm、左右方向静ばね定数:1081N/mm、前後方向静ばね定数:219N/mmである。
かかる後側防振装置3を使用して上述の加振試験を行った結果が図11及び図13に示す周波数応答曲線230,240である。このように、本発明の自動車のデフマウント構造、即ち、デファレンシャル装置1の前半部側を前側防振装置2でサブフレーム4に支持すると共に、デファレンシャル装置1の後端部を上述のようにロスファクタのピーク周波数を設定した後側防振装置3で支持する構造とすることで、ピッチング共振及びヨーイング共振を高効率に減衰させることのできることが確認された。
ここで、ロスファクタのピーク周波数は、上述したように、振動モードの共振ピーク周波数に一致させることが最も好ましいが、かかるロスファクタのピーク周波数を共振ピーク周波数に対して変化させた場合の試験結果について説明する。
図11に示す周波数応答曲線250は、ピッチング共振の共振ピーク周波数(略44Hz)に対して、上下方向ロスファクタのピーク周波数を略35%小さい値(即ち、略29Hz)に設定した場合である。一方、図11に示す周波数応答曲線260は、上下方向ロスファクタのピーク周波数を略35%大きな値(即ち、略60Hz)に設定した場合である。
図11に示すように、上下方向ロスファクタのピーク周波数を、ピッチング共振の共振ピーク周波数(略44Hz)に対し、プラス方向に変化させた場合(周波数応答曲線260)には、マイナス方向へ変化させた場合(周波数応答曲線250)と比較して、振動減衰効果は小さくなった。
但し、共振ピーク周波数に対して±略35%程度の範囲内にロスファクタのピーク周波数が存在すれば、図11に示すように、振動減衰効果の悪化を招くことはなく、略20%程度の範囲内であれば、図示は省略するが、ピッチング共振を十分に減衰させ得ることが確認された。
一方、図13に示す周波数応答曲線270は、ヨーイング共振の共振ピーク周波数(略73Hz)に対して、左右方向ロスファクタのピーク周波数を略20%小さい値(即ち、略58Hz)に設定した場合である。一方、図13に示す周波数応答曲線280は、左右方向ロスファクタのピーク周波数を略20%大きな値(即ち、略88Hz)に設定した場合である。
図13に示すように、略90Hz以下の周波数領域では、ロスファクタのピーク周波数を、ヨーイング共振の共振ピーク周波数(略73Hz)に対し、プラス方向(周波数応答曲線280)及びマイナス方向(周波数応答曲線270)のいずれに変化させた場合でも、ヨーイング共振を十分に減衰させ得ることが確認された。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施の形態では、前側防振装置2を非液封入式の防振装置として構成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、前側防振装置2を液封入式の防振装置として構成することは当然可能である。即ち、内筒21と外筒22とをゴム状弾性体23で連結すると共に、それら内外筒21,22間に液室を形成し、その液室内に液体を封入して構成するのである。
なお、液室を複数形成すると共に、それら複数の液室を連通するオリフィス流路を設けても良い。これにより、所定の周波数領域で高減衰特性を得ることができる。或いは、オリフィス流路を設けずに、液室のみを設けても良い。この場合、液室内に封入する液体としては、例えば、シリコングリスなどの粘性の高いものとすることが好ましい。これにより、前側防振装置2の高減衰特性を、所定の周波数領域に限定されることなく、広い周波数領域で得ることができる。
また、上記実施の形態では、後側防振装置3に第1から第4オリフィス91〜94の4本のオリフィス流路を設ける場合を説明したが、必ずしもこれに限られるわけではなく、少なくとも上下方向及び左右方向の振動を減衰するためのオリフィス流路をそれぞれ1本ずつ備える構成であれば、合計本数が3本であっても良く、或いは、5本以上であっても良い。
また、上記実施の形態では説明を省略したが、加振試験用防振装置103は、左右、上下及び前後方向の静ばね定数が後側防振装置3と略同一に設定されていることが最も好ましく、次いで、上下方向静ばね定数が略同一に設定されていることが好ましい。上下方向静ばね定数が略同一であれば、デファレンシャル装置1の初期位置を略一致させ振動モードの変化を抑制することができるからである。
本発明の一実施の形態における自動車のデフマウント構造を示す斜視図である。 (a)は、後側防振装置を軸芯方向から見た正面図であり、(b)は、後側防振装置を軸芯方向に直交する方向から見た側面図である。 図2(b)のIII−III線における後側防振装置の断面図である。 図3のIV−IV線における後側防振装置の断面図である。 図3のV−V線における後側防振装置の断面図である。 図3のVI−VI線における後側防振装置の断面図である。 図3のVII−VII線における後側防振装置の断面図である。 (a)は、前側防振装置を軸芯方向から見た正面図であり、(b)は、図8(a)のVIIIb−VIIIb線における前側防振装置の断面図である。 (a)は、加振試験用防振装置を軸芯方向から見た正面図であり、(b)は、図9(a)のIXb−IXb線における加振試験用防振装置の断面図である。 上段がデファレンシャル装置の上下及び左右方向振動に対する周波数応答曲線を示す図であり、下段が後側防振装置の上下及び左右方向振動入力時の動的特性を示す図である。 デファレンシャル装置の上下方向振動に対する周波数応答曲線を示す図である。 後側防振装置の上下方向振動入力時の動的特性を示す図である。 デファレンシャル装置の左右方向振動に対する周波数応答曲線を示す図である。 後側防振装置の左右方向振動入力時の動的特性を示す図である。
符号の説明
1 デファレンシャル装置
2 前側防振装置
3 後側防振装置
31 内筒
32 外筒
3A 第1ゴム状弾性体(第1ゴム状弾性体の一方)
3B 第1ゴム状弾性体(第1ゴム状弾性体の他方)
3C 第2ゴム状弾性体(第2ゴム状弾性体の一方)
3D 第2ゴム状弾性体(第2ゴム状弾性体の他方)
61 すぐり穴
62 側壁(薄肉の室壁)
65 ストッパ部
34 第1液室
35 第2液室
36 第3液室
37 第4液室
91 第1オリフィス
92 第2オリフィス
93 第3オリフィス
94 第4オリフィス
4 サブフレーム(車体の一部)
4b 取付け穴(車体側の取付け穴)
P1,P3 応答極大値
f1 共振ピーク周波数(Fb)
f3 共振ピーク周波数(Fa)
103 加振試験用防振装置(非液封入式の防振装置)
Xf−Xb 前後方向
Yl−Yr 左右方向
Zu−Zd 上下方向
O 軸芯

Claims (3)

  1. 自動車のデファレンシャル装置の前半部側を2の前側防振装置を介して車体に支持させると共に、前記デファレンシャル装置の後端部を1の後側防振装置を介して前記車体に支持させてある自動車のデフマウント構造であって、
    前記後側防振装置は、
    軸芯が前記車体の前後方向に沿う姿勢に前記デファレンシャル装置の後端部に連結される内筒と、その内筒の外周側に同軸状に配置されると共に前記車体側の取付け穴に圧入される外筒と、その外筒と前記内筒との間に介在し前記内筒を左右方向から挟んで位置する一対の第1ゴム状弾性体と、前記外筒と内筒との間に介在し前記内筒を上下方向から挟んで位置する一対の第2ゴム状弾性体と、
    前記外筒と内筒との周方向で前記第1ゴム状弾性体の一方と前記第2ゴム状弾性体の一方との間にそれらを室壁として形成される第1液室と、前記周方向で前記第2ゴム状弾性体の一方と前記第1ゴム状弾性体の他方との間にそれらを室壁として形成される第2液室と、前記周方向で前記第1ゴム状弾性体の他方と前記第2ゴム状弾性体の他方との間にそれらを室壁として形成される第3液室と、前記周方向で前記第2ゴム状弾性体の他方と前記第1ゴム状弾性体の一方との間にそれらを室壁として形成される第4液室と、
    前記一対の第2ゴム状弾性体の前記周方向における各側壁がそれぞれ前記第1から第4液室の薄肉の室壁を形成するように前記一対の第2ゴム状弾性体のそれぞれに形成されるすぐり穴と、そのすぐり穴の内周部に突設され前記上下方向における前記内筒と外筒との相対変位を所定の範囲内に抑えるストッパ部と、前記第1液室と第2液室とを連通する第1オリフィスと、前記第3液室と第4液室とを連通する第2オリフィスと、前記第4液室と第1液室とを連通する第3オリフィスとを備えると共に、
    前記左右方向の振動が入力されると、前記第1オリフィス及び第2オリフィスのそれぞれを介して液体が流動し、その流体流動効果により前記振動を減衰し得ると共に、前記上下方向の振動が入力されると、前記第3オリフィスを介して液体が流動し、その流体流動効果により前記振動を減衰し得る液封入式防振装置として構成され、
    前記後側防振装置のロスファクタは、
    前記左右方向の振動に対するロスファクタのピーク周波数が、前記デファレンシャル装置の左右方向振動に基づく共振ピーク周波数faに対して、0.8fa以上かつ1.2fa以下の範囲に設定され、かつ、前記上下方向の振動に対するロスファクタのピーク周波数が、前記デファレンシャル装置の上下方向振動に基づく共振ピーク周波数fbに対して、0.8fb以上かつ1.2fb以下の範囲に設定され
    前記デファレンシャル装置の左右及び上下方向振動に基づく共振ピーク周波数fa,fbの測定は、前記後側防振装置を非液封入式の防振装置として構成し、その非液封入式の防振装置と前記前側防振装置とによって前記デファレンシャル装置を支持した状態で行われるものであることを特徴とする自動車のデフマウント構造。
  2. 前記後側防振装置は、
    前記第2液室と第3液室とを連通する第4オリフィスを備え、
    前記上下方向の振動が入力されると、前記第3オリフィス及び第4オリフィスのそれぞれを介して液体が流動し、その流体流動効果により前記振動を減衰し得る液封入式防振装置として構成されていることを特徴とする請求項1記載の自動車のデフマウント構造。
  3. 前記デファレンシャル装置の左右方向振動に基づく共振ピーク周波数faは、そのデファレンシャル装置のヨーイング共振により周波数応答曲線に現れる応答極大値の周波数であり、前記デファレンシャル装置の上下方向振動に基づく共振ピーク周波数fbは、そのデファレンシャル装置のピッチング共振によりに周波数応答曲線に現れる応答極大値の周波数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車のデフマウント構造。
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