JP4199572B2 - 乳酸系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乳酸系樹脂組成物、それからなる成形加工品、及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、安全性に優れ、更には使用後、分解性の優れた乳酸系樹脂組成物、それよりなる紙積層体、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術分野】
【特許文献1】
特開平04−334448号公報
【特許文献2】
特開平08−290526号公報
【特許文献3】
特表平10−501560号公報
【特許文献4】
特開2001−12305号公報
【0003】
一般的に、紙積層体に用いられる樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂が挙げられる。しかしながら、これらの樹脂は使用後廃棄する際、ゴミの量を増すうえに、自然環境下で殆ど分解されないために、埋設処理しても、半永久的に地中に残留する。また投棄されたプラスチック類により、景観が損なわれ、海洋生物の生活環境が破壊されるなどの問題が起こっている。
これに対し、近年、熱可塑性樹脂で生分解性を有するポリマーとして、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、及び脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸から誘導される脂肪族ポリエステル等が開発されている。
これらのポリマーは、動物の体内で数カ月から1年以内に100%生分解し、又は、土壌や海水中に置かれた場合、湿った環境下では数週間で分解を始め、約1年から数年で消滅する。さらに、分解生成物は、人体に無害な乳酸や二酸化炭素と水になるという特性を有している。
特に、ポリ乳酸は、近年、原料のL−乳酸が発酵法により大量且つ安価に製造されるようになってきたことや、堆肥中での分解速度が速く、カビに対する抵抗性、食品に対する耐着臭性や耐着色性等、優れた特徴を有することより、その利用分野の拡大が期待されている。
【0004】
特開平04−334448号公報(特許文献1)には、生分解性複合材料およびその製造法に関する技術が開示されている。
すなわち、植物性繊維を含有する基材の表面にポリ乳酸またはその誘導体を被覆することにより、耐水性、耐油性等の物性が高く、且つ生分解性に優れている、食品包装紙、医療用包装材料等に好適な複合材料に関する技術が開示されている。
生分解性及び生体適合性を有し、使用後破棄されると土中、水中の微性物の働きにより自然に生分解され環境を汚染することのないこの複合材料は、植物性繊維を含有する基材の表面にポリ乳酸またはその誘導体を被覆することにより形成されている。基材としては、各種の植物性繊維を主成分として含有する材料、例えば上質紙、障子紙等の紙、綿、マニラ麻等の糸、ロ−プ、またはこれらから製造される容器、網等が用いられている。
ポリ乳酸は、ポリD−乳酸、ポリL−乳酸、ポリD,L−乳酸等が用いられ、ポリ乳酸の誘導体として、ポリ乳酸−グリコ−ル酸共重合体、ポリ乳酸−グリセリン共重合体等が用いられている。
【0005】
特開平08−290526号公報(特許文献2)には、アルミニウム−生分解性プラスチック積層体に関する技術が開示されている。この積層体は、土中に埋設すると容易に分解する。このアルミニウム−生分解性プラスチック積層体は、アルミニウム材と、分解時に酸が発生する生分解性プラスチックとが積層されてなるものである。アルミニウム材としては、アルミニウム箔やアルミニウム蒸着層等が採用される。生分解性プラスチックは、フィルム形態、接着剤形態、インキ形態等が採用される。分解時に酸が発生する生分解性プラスチックとしては、3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシ吉草酸との共重合体、脂肪族ジオ−ルと脂肪族ジカルボン酸との縮合物、乳酸を重合したポリ乳酸等が採用される。このような生分解性プラスチックは、分解時に、原料となつた脂肪族ジカルボン酸や乳酸等の酸が発生する。この酸によって、アルミニウム材は酸化アルミニウムに変換され、アルミニウム材が分解・消失する。
【0006】
しかしながら、ポリ乳酸は溶融時の張力が低く、押出しラミネーション等の成形方法ではダイス孔からでた樹脂はネックインが大きく,その結果耳ブレが大くなり、巻取りが困難となったり、さらには、薄膜積層体を製造する場合は膜切れし成形できなくなる場合があった。
また、得られる紙積層体は樹脂層の厚薄ムラが大きく、幅方向に実質上均一な幅は、通常の成形機や成形条件では約80〜85%程度であった。
【0007】
一般に、樹脂の溶融張力を向上する方法として、ポリ乳酸に過酸化物を添加し、例えば押出しペレット化時や押出し成形時に架橋反応させる方法が既に知られている(特許文献3等)。
しかし、この方法は確かに溶融張力を高くできるものの、
▲1▼ 過剰に架橋反応しゲルが発生する為、フィルム化した場合にフィッシュアイが多く商品価値がない、
▲2▼ 反応制御が困難で再現性良く目的の張力を有する架橋体が得られ難い、
▲3▼ 過酸化物を安全に取扱う為に過剰な付帯設備が必要、
等の幾つもの工業的な問題があった。
【0008】
一方、微生物崩壊性熱可塑性樹脂、あるいはポリ乳酸と、ポリエチレンやポリプロピレンなどの通常押出しラミネーションに用いられるポリオレフィンなどとの混合組成物が開示されている(特許文献4等)。
しかしながらこれらの混合物は、見かけ上の溶融張力は向上するものの、
▲1▼均一な成型が不可能である、
▲2▼フィルムにした場合、層状剥離によりヒートシール強度が著しく低下する、
▲3▼成形品にした場合、層状剥離により衝撃強度が著しく低下する、
等の問題があった。
このように、ポリ乳酸から押出しラミネーションによって紙積層体を得るには、従来の技術によったのでは実質上なし得ないのが実情であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、ポリ乳酸の有する特徴である抗菌性や生分解性を損なうことなく、
▲1▼ 押出しラミネーションにおいて収率良く成形できる乳酸系樹脂組成物、
▲2▼ 乳酸系樹脂組成物より得られる紙積層体、
▲3▼ 該紙積層体の製造技術
の開発を課題とした。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、乳酸系樹脂との相溶性が良く、加熱溶融した時の溶融張力を大きくさせ得る特殊なポリマーを鋭意検討した結果、ある特定のポリマーが上記課題を満足し得ることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[7]に記載した事項により特定される。
【0011】
[1] 乳酸系樹脂(成分(A))1〜99重量%及び2価金属イオンで中和したエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(成分(C))99〜1重量%を含んでなる乳酸系樹脂組成物。
[2] [1]に記載した乳酸系樹脂組成物を含んでなる成形体。
[3] [1]に記載した乳酸系樹脂組成物を含んでなる単層フィルム。
[4] [1]に記載した乳酸系樹脂組成物を含んでなる層を含んで構成される積層体。
[5] [1]に記載した乳酸系樹脂組成物を含んでなる層と紙層を含んで構成される紙積層体。
[6] 乳酸系樹脂(成分(A))及び2価金属イオンで中和したエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(成分(C))を混合し、溶融押出ラミネーションによって乳酸系樹脂組成物層と紙層を含んで構成される紙積層体を製造することを特徴とする、紙積層体の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
[乳酸系樹脂]
本発明においてポリ乳酸系樹脂とは、重合に供するモノマーの重量に換算して、乳酸成分を50重量%以上含むポリマーを包含する。その具体例としては、例えば、
▲1▼ ポリ乳酸
▲2▼ 乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー
▲3▼ 乳酸、脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸とのコポリマー
▲4▼ ▲1▼〜▲3▼のいずれかの組み合わせによる混合物、
▲5▼ 上記▲1▼〜▲4▼と生分解性を有するポリエステル類との混合物
が挙げられる。
【0014】
本発明で用いられる乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸又はそれらの混合物、又は、乳酸の環状2量体であるラクタイドを挙げることができる。特に、得られたポリ乳酸は、L−乳酸とD−乳酸を混合して用いる場合、L−乳酸又はD−乳酸何れかが75重量%以上であることが好ましい。
【0015】
[乳酸系樹脂の製造方法]
本発明において使用される乳酸系樹脂の製造方法の具体例としては、例えば、
▲1▼ 乳酸又は乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の混合物を原料として、直接脱水重縮合する方法(例えば、米国特許第5,310,865号に示されている製造方法)、
▲2▼ 乳酸の環状二量体(ラクタイド)を溶融重合する開環重合法(例えば、米国特許2,758, 987号に開示されている製造方法)、
▲3▼ 乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の環状2量体、例えば、ラクタイドやグリコライドとε一カプロラクトンを、触媒の存在下、溶融重合する開環重合法(例えば、米国特許4,057,537号に開示されている製造方法)、
▲4▼ 乳酸、脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸の混合物を、直接脱水重縮合する方法(例えば、米国特許5,428,126号に開示されている製造方法)、
▲5▼ ポリ乳酸と脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸とのポリマーを、有機溶媒存在下に縮合する方法(例えば、欧州特許公報0712880A2号に開示されている製造方法)、
▲6▼ 乳酸を触媒の存在下、脱水重縮合反応を行う事によりポリエステル重合体を製造するに際し、少なくとも一部の工程で、固相重合を行う方法、
等を挙げることができるが、その製造方法には、特に限定されない。
【0016】
また、少量のトリメチロールプロパン、グリセリンのような脂肪族多価アルコール、ブタンテトラカルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような多価アルコール類を共存させて、共重合させても良く、又ジイソシアネート化合物等のような結合剤(高分子鎖延長剤)を用いて分子量を上げてもよい。
[ポリエステル類]
本発明で示すポリエステル類とは、後述する脂肪族ヒドロキシカルボン酸、脂肪族二価アルコール及び脂肪族二塩基酸、芳香族二塩基酸を種々組み合わせて製造できる生分解性を有する脂肪族ポリエステル類や芳香族ポリエステルに脂肪族多価カルボン酸や脂肪族多価アルコールなどの成分を共重合させ生分解性を付与した芳香族ポリエステル類を包含する。
脂肪族ポリエステル類としては、例えばポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、及びβ−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸とのコポリマー、ポリカプロラクトン等が挙げられる。生分解性を有する芳香族ポリエステル類としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンブチレート(PBT)などをベースとした変性PETや変性PBTが挙げられる。
【0017】
特に、ポリブチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネートアジペート(ビオノーレ、商品名、昭和高分子社製)、ポリカプロラクトン(プラクセル、商品名、ダイセル社製)、変性PET(バイオマックス、商品名、デュポン社製)、変性PBT(エコフレックス、商品名、BASF社製)は、既に容易且つ安価に入手可能で好ましい。
また、これらのポリエステル類は、ジイソシアネート等の結合剤によってポリマー鎖が延長されたものであってもよく、また、少量のトリメチロールプロパン、グリセリンのような脂肪族多価アルコール、ブタンテトラカルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような多価アルコール類を共存させて、共重合されたものでもよい。
また、本発明においては、発明の目的を損なわない範囲で生分解性を有するポリエステル類を軟質化材としてもといてもよい。
ポリエステル類の製造方法としては、PETやPBTの製造方法やポリ乳酸の製造方法と同様な方法を用いることができ、その方法は限定されない。
【0018】
[脂肪族ヒドロキシカルボン酸]
本発明で示す脂肪族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等を挙げることができ、さらに、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の環状エステル、例えば、グリコール酸の2量体であるグリコライドや6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンを挙げることができる。これらは、単独で又は二種以上組合せて使用することができる。
【0019】
[脂肪族二価アルコール]
本発明で示す脂肪族二価アルコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ一ル、1,4−ベンゼンジメタノール等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上の組合せて使用することができる。
【0020】
[脂肪族二塩基酸]
本発明で示す脂肪族二塩基酸の具体例としては、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、フェニルコハク酸、1,4−フェニレンジ酢酸等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上の組合せて使用することができる。
【0021】
[乳酸系樹脂及びポリエステル類の分子量]
乳酸系樹脂及びポリエステル類の重量平均分子量(Mw)や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば特に制限されない。また本発明で使用する乳酸系樹脂及びポリエステル類の重量平均分子量は、実質的に充分な機械物性を示すものであれば特に制限されない。一般的には、重量平均分子量(Mw)で、3〜100万が好ましく、5〜75万が更に好ましく、8〜50万が最も好ましい。重量平均分子量(Mw)が3万より小さい場合、樹脂組成物を成形加工して得られた成形体の機械物性が充分でなかったり、逆に分子量が100万を越える場合、成形加工時の溶融粘度が極端に高くなり取扱い困難となったり製造上不経済となったりする場合がある。
【0022】
[乳酸系樹脂の好ましい形態]
乳酸系樹脂の好ましい形態の一つとしては、ポリ乳酸樹脂が挙げられる。
ポリ乳酸樹脂の好ましい形態としては、三井化学社により製造されるポリ乳酸樹脂『レイシア』(商品名)が挙げられる。
『レイシア』の銘柄としては、例えば、H−100、H−400、H−440、H−360、H−280、100J、H−100E、M−151S Q04、M151S Q52等が挙げられる。
【0023】
[エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマー]
本発明に用いるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマー中の不飽和カルボン酸単位含有量としては、2〜25重量%、特に5〜20重量%の範囲にあることが好ましい。酸単位含有量が上記範囲より少ない共重合体又はアイオノマーを使用すると乳酸系樹脂との相溶性が不足し、上記範囲を越えるとエチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマーの製造が極めて困難になるという欠点が顕著になる。
【0024】
この共重合体又はアイオノマーの不飽和カルボン酸成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸などが例示され、特にアクリル酸或いはメタクリル酸が好ましい。
【0025】
また、乳酸系樹脂との相溶性を失わない範囲において、エチレンと不飽和カルボン酸以外にその他の不飽和モノマー成分を共重合させてもよいが、他の不飽和モノマー成分の含有量は20重量%以下であることが好ましい。
他の不飽和モノマー成分としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、 (メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸nブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどを例示することができる。尚、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸或いはメタクリル酸を意味する。
【0026】
本発明で用いるエチレン・不飽和カルボン酸アイオノマーとしては、上記共重合体のカルボキシル基の1〜90モル%、好ましくは20〜80モル%を金属イオンで中和したものが使用される。ここに、金属イオンとしては、亜鉛、マグネシウム、カルシウムなどのような2価金属が好ましく、特に亜鉛が好ましい。
【0027】
[エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の好ましい形態]
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の好ましい形態としては、三井・デュポン・ポリケミカル社により製造されるエチレン−メタクリル酸共重合体『ニュクレル』(商品名)が挙げられる。
『ニュクレル』の銘柄としては、例えば、AN4214C、N0903HC、N0908C、N410、N1035、N1050H、N1108C、N1110H、N1207C、N1214、N1525、N1560、N0200H、AN4311、AN4213C、N035C等が挙げられる。
[エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーの好ましい形態]
エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーの好ましい形態としては、三井・デュポン・ポリケミカル社により製造されるアイオノマーレジン『ハイミラン』(商品名)が挙げられる。
『ハイミラン』の銘柄としては、例えば、1554、1554W、1555、1557、1601、1605、1650、1652、1652 SR、1652 SB、1702、1705、1706、1707、1855、1856等が挙げられる。
[エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマーの製造方法]
本発明に用いるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、エチレン、不飽和カルボン酸或いは更に他の不飽和モノマーを高圧ラジカル重合法で共重合させることにより得られる。また、そのアイオノマーは、常法に従ってエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の中和反応により得られる。
【0028】
[乳酸系樹脂組成物]
乳酸系樹脂とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマーの混合比は、制限はないが、好ましくは、乳酸系樹脂1〜99重量%、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマー99〜1重量%であり、特に、乳酸系樹脂の特徴である抗菌性、生分解性、或いは、低燃焼熱の利点を生かした用途に使用する場合は、乳酸系樹脂を50〜99重量%、好ましくは60〜98重量%、より好ましくは75〜95重量%、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマーを1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは5〜25重量%の割合で配合してなるものである。エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマーの配合量が50重量%より大きいと、乳酸系樹脂の特徴である抗菌性、生分解性、或いは、低燃焼熱の利点が損なわれる場合がある。
本発明で示すエチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマーの添加効果は、後述する加熱溶融時の張力を高め、成形加工時の成形安定性や生産性を向上することの他に,得られた成形体の水蒸気バリヤー性を高めることも挙げられる。
【0029】
[乳酸系樹脂組成物の調製方法]
本発明の乳酸系樹脂組成物を調製する方法は、公知、公用の機器や方法、例えば、混練機、1軸或いは多軸の押出し機、タンブラーやヘンシェルミキサー等のミキサーなどを用いることができる。特に1軸或いは2軸押出機などの混錬装置を用いて溶融混錬することが適している。事前に原料を充分に乾燥することは、樹脂組成物の良好な成形加工性を発揮させるためには重要である。
また、本発明に係る乳酸系樹脂組成物の形状は、粉末状、ペレット状、棒状など種々の形状,大きさでも良く、その形状に何ら制限はない。
【0030】
[添加剤]
本発明に係る乳酸系樹脂組成物には、目的(例えば成形性、二次加工性、分解性、引張強度、耐熱性、保存安定性、耐候性等の向上)に応じて各種添加剤(可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、無機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、天然物)等を添加することができる。これらの添加剤の添加量は、その種類や目的によっても異なるが、一般的に、0.05〜5重量%の範囲が好ましい。
例えば、インフレーション成形、Tダイ押出成形では、フィルム、シートのブロッキング防止性やすべり性を改良するために、無機添加剤や滑剤(脂肪族カルボン酸アミド類)を添加することもできる。
【0031】
無機添加剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、カオリナイト、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられ、特にシリカや炭酸カルシウムが好適である。これ等は一種又は二種以上の混合物として用いる事もできる。
また、有機添加剤としては、デンプン及びその誘導体、セルロース及びその誘導体、パルプ及びその誘導体、紙及びその誘導体、小麦粉、おから、ふすま、ヤシ殻、コーヒー糟、タンパク等が挙げられる。これ等は一種又は二種以上の混合物として用いることもできる。
【0032】
[成形体及びその製造法]
本発明に係る乳酸系樹脂組成物は、公知公用の成形法に適用できる好適な材料であり、得られる成形体は、特に制限はないが、例えばフィルム、シート、モノフィラメント、繊維や不織布等のマルチフィラメント、射出成形体、ブロー成形体、積層体、発泡体、真空成形体などの熱成形体が挙げられる。なお、本発明により得られた成形体は、衝撃強度に優れた特徴を有している。
本発明に係る乳酸系樹脂組成物から得られる成形体は、例えば、公知・公用の成形法で得られる成形体を包含し、その形状、大きさ、厚み、意匠等に関しては何ら制限はない。
【0033】
本発明に係る乳酸系樹脂組成物から得られる成形体の成形方法としては、射出成形法、ブロー成形法(射出延伸ブロー、押出し延伸ブロー、ダイレクトブロー)、バルーン法、インフレーション成形、共押出法、カレンダー法、ホットプレス法、溶媒キャスティング法、(延伸)押出し成形,紙やアルミとの押出しラミネーション法、異形押出し成形、真空(圧空)成形などの熱成形、溶融紡糸(モノフィラメント、マルチフィラメント、スパンボンド法、メルトブローン法など)、解繊糸法、押出し発泡や型発泡等の発泡成形法、圧縮成形法等が挙げられ、何れの方法にも適応できる。
特に、本発明に係る乳酸系樹脂組成物は加熱溶融時の溶融張力が比較的大きく、ブロー成形法(押出し延伸ブロー、ダイレクトブロー)、バルーン法、インフレーション成形、共押出法、カレンダー法、押出し成形,押出しラミネーション法、異形押出し成形、押出し発泡成形法等に好ましく用いられる。
【0034】
[紙積層体の製造方法]
本発明の乳酸系樹脂組成物からなる積層体、例えば、紙積層体の製造に用いられる押出ラミネーション装置は、大まかにいって、樹脂を溶融混錬する押出機とそれに接続された溶融樹脂膜を押出すためのTダイ、ダイから押出された溶融樹脂膜を紙基体に積層するためのラミネートロール、及び、形成される積層体を巻き取るための巻き取り機からなる。
本発明の樹脂組成物は、ポリエチレンなどの汎用樹脂を、例えば紙上に押出ラミネーションする場合の一般的な樹脂温度に比較して、比較的低温度でも紙との良好な接着強度が得られるという特徴があるために、その樹脂温度は、180℃乃至300℃の範囲にあることが好ましい。また、本発明の樹脂組成物層の厚みは、用途によって種々変更できるが、一般的に行って、5乃至200μm、特に10乃至100μmの範囲にあることが好適である。
本発明の樹脂組成物は、成形加工性が良好であり、後述の実施例でも明らかなように、少なくとも、10μm厚みまで安定した成形が可能である。
【0035】
[紙基体]
紙積層体の場合、本発明に用いる紙基体は、従来包装分野で使用されている任意の紙が用いられ、具体的には、クラフト紙、模造紙、ロール紙、中質紙、ボード、グラシン紙、パーチメント、アート紙、板目紙、ダンボール原紙などの板紙を挙げることができる。これらの紙基体の坪量(日本工業規格 JIS P8124)は、紙質によっても異なるが、一般に10乃至1000g/m2、特に30乃至700g/m2の範囲にあることが好ましい。
【0036】
[紙基体の表面処理]
本発明に用いる紙基体には、それ自体公知の接着性向上のための表面処理を行うことができる。例えば、溶融樹脂膜を施す表面を予めコロナ放電処理しておくことができる。また、それ自体公知のアンカーコート剤で処理しておくこともできる。
【0037】
[用途の具体例]
本発明に係る乳酸系樹脂組成物からなる成形体は、ボトル、フィルム又はシート、中空管、積層体、真空(圧空)成形容器、(モノ、マルチ)フィラメント、不織布、発泡体を、更に加工して,包装容器資材、農業・土木・水産用資材などに用いられる。
包装容器資材としては、例えば、ショッピングバッグ、紙袋、シュリンクフィルム、ビデオやオーディオ等の磁気テープカセット製品包装用フィルム、フレキシブルディスク包装用フィルム、製版用フィルム、包装用バンド、粘着テープ、テープ、ヤーン、弁当箱、惣菜用容器、食品・菓子包装用フィルム、食品用ラップフィルム、化粧品・香粧品用ラップフィルム、おむつ、生理用ナプキン、医薬品用ラップフィルム、製薬用ラップフィルム,肩こりや捻挫等に適用される外科用貼付薬用ラップフィルムなど食品、電子、医療、薬品、化粧品等の各種包装用フィルムが挙げられる。
農業・土木・水産用資材としては、例えば、農業用・園芸用フィルム、農薬品用ラップフィルム、温室用フィルム、肥料用袋、育苗ポット、防水シート、土嚢用袋、建築用フィルム、雑草防止シート、テープやヤーンからなる植生ネットなどの農業・土木・水産分野で用いられる資材が挙げられる。その他、ゴミ袋、コンポストバッグとしても用途も挙げられ、広範囲における材料として好適に使用し得る。
【0038】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明の技術範囲を超えない限り、これに限定されるものではない。
製造例1
L−ラクタイド400kgおよびオクタン酸第一スズ0.04kgと、ラウリルアルコール0.12kgを、攪拌機を備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ封入し、真空で2時間脱気した。窒素ガスで置換した後、200℃/10mmHgで2時間加熱攪拌した。
反応終了後、下部取り出し口からポリ乳酸の溶融物を抜き出し、空冷し、ペレタイザーにてカットした。得られたポリ乳酸は、収量340kg(収率85%)、重量平均分子量(Mw)13.8万であった。
【0039】
製造例2
Dien−Starkトラップを設置した反応器に、90%L−乳酸100kg、錫末450gを装入し、150℃/50mmHgで3時間攪拌しながら水を留出させた後、150℃/30mmHgでさらに2時間攪拌してオリゴマー化した。このオリゴマーにジフェニルエーテル210kgを加え、150℃/35mmHg共沸脱水反応を行い、留出した水と溶媒を水分離器で分離して溶媒のみを反応機に戻した。2時間後、反応機に戻す有機溶媒を46kgのモレキュラーシーブ3Aを充填したカラムに通してから反応機に戻るようにして、130℃/17mmHgで20時間反応を行い、重量平均分子量(Mw)15.0万のポリ乳酸溶液を得た。この溶液に脱水したジフェニルエーテル440kgを加え希釈した後、40℃まで冷却して、析出した結晶を瀘過した。この結晶に0.5N−HCl120kgとエタノ一ル120kgを加え、35℃で1時間撹拌した後瀘過し、60℃/50mmHgで乾燥して、ポリ乳酸粉末6lkg(収率85%)を得た。
この粉末を押出機で溶融しペレット化し、ポリ乳酸のペレットを得た。このポリマーの重量平均分子量(Mw)は14.7万であった。
【0040】
製造例3〈ポリブチレンサクシネートの製造法〉
1,4−ブタンジオール50.5kgとコハク酸66.5kgにジフェニルエーテル293.0kg、金属錫2.02kgを加え、130℃/140mmHgで7時間系外に水を留出しながら加熱撹拌し、オリゴマー化した。これに、Dien−Stark trapを取り付け、140℃/30mmHgで8時間共沸脱水を行いその後、モレキュラーシーブ3Aを40kg充填した管を取り付け、留出した溶媒がモレキュラーシーブ管中を通って反応器に戻るようにし、130℃/17mmHgで49時間撹拌した。その反応マスを600lのクロロホルムに溶かし、4klのアセトンに加え再沈した後、HClのイソプロピルアルコール(以下IPAと略す)溶液(HCl濃度0.7重量%)で0.5時間スラッジング、濾過した。得られたケーキをIPAで洗浄した後、減圧下60℃で6時間乾燥し、ポリブチレンサクシネート(以下PSBと略す)を得た。このポリマーの重量平均分子量(Mw)は14万で、収率92%であった。
【0041】
製造例4〈ポリヒドロキシカプロン酸の製造〉
乳酸のかわりに、6−ヒドロキシカプロン酸を用いた他は製造例2と同様な方法で反応を行った結果、ポリヒドロキシカプロン酸(重量平均分子量Mwは15.0万、収率90%)を得た。
【0042】
実施例、比較例で示す重量平均分子量(Mw)や物性等は、以下に示す方法により測定した。
<1> 重量平均分子量(Mw)
ポリスチレンを標準としてゲルバーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)により、カラム温度40℃、クロロホルム溶媒で測定した。
<2> 機械強度(積層体の強度、弾性率(柔軟性)、伸び率)
日本工業規格 JIS K6732に準じて求めた。
<3> 耐折強度
日本工業規格 JIS P8115に準じて求めた。
<4> 光沢度
日本工業規格 JIS P−8142に従い、スガ試験機株式会社製デジタル変角光沢計を使用して測定した。
<5> 透湿度
日本工業規格 JIS Z−0208に準じて測定した。
<6> 層間接着強度
樹脂層と紙基材間の接着強度は、剥離角度90°(Tピール)、剥離速度300mm/min、試験片幅15mmで剥離したときの強度で示した。
【0043】
<7> ヒートシール(HS)強度
ヒートシール圧0.2MPa、シール時間1秒、片側加熱により樹脂層面を合わせて所定の温度で接着し、剥離角度90°(Tピール)、剥離速度300mm/min、試験片幅15mmで剥離したときの強度で示した。なお、測定試験片は、紙積層体の中央部より採取した。
<8> ホットタック(HT)強度
ヒートシール圧0.28MPa、シール時間1秒、両面加熱により樹脂層面を合わせて所定の温度で接着し、直ちに剥離角度90°(Tピール)、剥離速度1000mm/min、試験片幅25mmで剥離を行なった際の、シール完了0.187秒後の強度で示した。
尚、測定試験片は、紙積層体の中央部より採取した。
<9> 平滑度
日本工業規格 JIS P−8119に準じ、樹脂面の平滑度を測定した。
<10> Izod衝撃強度
米国材料試験協会規格ASTM−D256に準じ、乳酸系樹脂組成物を射出成型して得られたASTM試験片のIzod衝撃強度を測定した。
【0044】
実施例1
製造例1で得られたポリ乳酸80重量部と、エチレン・メタアクリル酸共重合体アイオノマー(メタクリル酸含有量10重量%、亜鉛カチオンによる中和度73%、190℃ メルトインデックス 1.0g/10分)20重量部とを予めホットエアーで乾燥し混合した後、30mm径2軸押出機を用い、シリンダー設定温度180℃の条件で溶融混錬することにより乳酸系樹脂組成物ペレットを得た。得られた乳酸系樹脂組成物の190℃におけるメルトテンションは18mN、エロンゲーションは540倍、メルトインデックスは7.7g/10分であった。また、Izod衝撃強度は32J/mであった。このペレットを更に80℃で10時間乾燥した後、幅460mm、リップ開度0.8mmのTダイ(コートハンガータイプ)を装着した40mm径押出機を用い、樹脂温度210℃、引き取り速度27m/minでOPET基材上に押出すことにより単層キャストフィルムを作成した。このときの加工状況は、耳ゆれが少なく、成膜性は良好であった。得られた単層キャストフィルムの平均厚みは37μmであり、厚み精度±2μmの範囲における製品有効幅は98%であった。
【0045】
実施例2、3
引き取り速度を55m/min、及び、90m/minに変えた以外は実施例1と同様にして乳酸系樹脂組成物からなる単層キャストフィルムを作成した。各々の平均厚みは21、13μmであり、厚み精度±1μmの範囲における製品有効幅は各々97%、93%であった。
【0046】
比較例1〜3
樹脂として製造例1で得られたポリ乳酸のみを用いた以外は実施例1〜3と同様にして、引き取り速度27、55、及び、90m/minの条件でポリ乳酸の単層キャストフィルム成形を行った。この時の加工状況は、耳ゆれが激しく、両サイドに耳立ちが発生した。
特に、引き取り速度90m/minの条件では耳ゆれがひどいために成膜ができなかった。引き取り速度27と55m/minの条件におけるポリ乳酸の単層キャストフィルムの平均厚みは各々30、20μm、厚み精度±5μmの範囲における製品有効幅は各々65、82%であり、厚みの均一性に劣るものであった。なお、製造例1で得られたポリ乳酸の190℃におけるメルトインデックスは7.7g/10分であったが、メルトテンション及びエロンゲーションは溶融張力不足のために測定ができなかった。また、Izod衝撃強度は26J/mであった。
【0047】
実施例4
実施例1の乳酸系樹脂組成物を、OPETに変えてコロナ処理したクラフト紙(目付け50g/m2)上に溶融押出する以外は、実施例1と同様にして、樹脂層の厚みが37±2μmである紙積層体を作成した。この時の成膜性は、実施例1と同様に良好であり、厚み精度±2μmの範囲における製品有効幅は97%であった。得られた紙積層体の層間接着強度、ヒートシール強度、ホットタック強度、機械強度、耐折強度、ヘイズ、光沢度、並びに、透湿度の測定結果を表1(表1)に示す。
【0048】
実施例5
引き取り速度を55m/minに変えた以外は実施例4と同様にして、樹脂層の厚みが21±1μmである紙積層体を作成した。この時の成膜性は、実施例2と同様に良好であり、厚み精度±1μmの範囲における製品有効幅は95%であった。得られた紙積層体の層間接着強度、ヒートシール強度、ホットタック強度、機械強度、耐折強度、平滑度、光沢度、並びに、透湿度の測定結果を表1(表1)に示す。
【0049】
比較例4、5
樹脂として製造例1で得られたポリ乳酸のみを用いた以外は実施例4、5と同様にして、樹脂層の厚みが各々30±5μm、20±5μmである紙積層体を作成した。このときの加工状況は、耳ゆれが激しく、両サイドの耳立ちのために、後述するように中央部は殆ど接着ができてなく、厚み精度±5μmの範囲における製品有効幅は各々66%、81%であった。
得られた紙積層体の層間接着強度、ヒートシール強度(HS強度)、ホットタック強度(HT強度)、機械強度、耐折強度、平滑度、光沢度、並びに、透湿度の測定結果を表1(表1)に示す。
【0050】
実施例6
製造例1のポリ乳酸60部と製造例3のポリブチレンサクシネート40部を樹脂温度190〜210℃にて二軸の押出し機にて押出しペレット化し、得られたペレットを80℃で4時間乾燥し、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートからなる乳酸系樹脂を得た。この乳酸系樹脂ペレット85重量%と、エチレン・メタアクリル酸共重合体アイオノマー(メタクリル酸含有量10重量%、亜鉛カチオンによる中和度73%、190℃メルトインデックス 1.0g/10分)15重量%とを予めホットエアーで乾燥し混合した後、30mm径2軸押出機を用い、シリンダー設定温度180℃の条件で溶融混錬することにより乳酸系樹脂組成物ペレットを得た。得られた乳酸系樹脂組成物の190℃におけるメルトテンションは19mN、エロンゲーションは500倍、メルトインデックスは7.3g/10分であった。このペレットを更に80℃で10時間乾燥した後、幅460mm、リップ開度0.8mmのTダイ(コートハンガータイプ)を装着した40mm径押出機を用い、樹脂温度210℃、引き取り速度90m/minでOPET基材上に押出すことにより単層キャストフィルムを作成した。この時の加工状況は、耳ゆれが少なく、成膜性は良好であった。得られた単層キャストフィルムの平均厚みは35μmであり、厚み精度±2μmの範囲における製品有効幅は97%であった。
【0051】
実施例7
ポリブチレンサクシネートの変わりにビオノーレ#3001(商品名、ポリブチレンサクシネートアジペート、昭和高分子社製)に代えた他は、実施例6と同様に行った。得られた乳酸系樹脂組成物の190℃におけるメルトテンションは22mN、エロンゲーションは570倍、メルトインデックスは5.5g/10分であった。
また、単層キャストフィルムの加工状況は、耳ゆれが少なく、成膜性は良好であり、得られた単層キャストフィルムの平均厚みは35μmで、厚み精度±2μmの範囲における製品有効幅は99%であった。
【0052】
実施例8
ポリブチレンサクシネートの変わりに製造例4のポリヒドロキシカプロン酸に代えた他は、実施例6と同様に行った。得られた乳酸系樹脂組成物の190℃におけるメルトテンションは18mN、エロンゲーションは500倍、メルトインデックスは6.5g/10分であった。
また、単層キャストフィルムの加工状況は、耳ゆれが少なく、成膜性は良好であり、得られた単層キャストフィルムの平均厚みは33μmで、厚み精度±2μmの範囲における製品有効幅は96%であった。
【0053】
実施例9
ポリブチレンサクシネートの変わりにセルグリーンPH−7(商品名、ポリカプロラクトン、ダイセル株式会社製)に代えた他は、実施例6と同様に行った。得られた乳酸系樹脂組成物の190℃におけるメルトテンションは22mN、エロンゲーションは570倍、メルトインデックスは5.5g/10分であった。また、単層キャストフィルムの加工状況は、耳ゆれが少なく、成膜性は良好であり、得られた単層キャストフィルムの平均厚みは33μmで、厚み精度±2μmの範囲における製品有効幅は95%であった。
【0054】
実施例10
ポリブチレンサクシネートの変わりにエコフレックス(商品名、変性PBT、BASF社製)に変えた他は、実施例6と同様に行った。得られた単層キャストフィルムの加工状況は、耳ゆれが少なく、成膜性は良好であり、得られた単層キャストフィルムの平均厚みは33μmで、厚み精度±2μmの範囲における製品有効幅は99%であった。
【0055】
【表1】
Figure 0004199572
【0056】
実施例11
製造例2で得られたポリ乳酸80重量部と、エチレン・メタクリル酸共重合アイオノマー(メタクリル酸含有量10重量%、亜鉛カチオンによる中和度73%、190℃メルトインデックス1.0g/10分)20重量部とを予めホットエアーで乾燥し混合した後、30mm径2軸押出機を用い、シリンダー設定温度180℃の条件で溶融混錬することにより乳酸系樹脂組成物ペレットを得た。
このペレットを更に80℃で10時間乾燥した後、幅500mm、リップ開度0.8mmのTダイ(ストレートマニホールドタイプ)を装着した65mm径押出機を用い、樹脂温度230℃、引き取り速度80m/minでコロナ処理したクラフト紙(目付け50g/m)上に樹脂層の厚みが30μm及び20μmである紙積層体を作成した。得られた紙積層体の層間接着強度、ヒートシール強度(HS強度)、ホットタック強度(HT強度)の測定結果を表2(表2)に示す。
【0057】
比較例6
製造例2で得られたポリ乳酸80重量部と、エチレン・アクリレート共重合体(エチルアクリレート含有量34重量%、190℃メルトインデックス 25g/10分)20重量部とを予めホットエアーで乾燥し混合した後、30mm径2軸押出機を用い、シリンダー設定温度180℃の条件で溶融混錬することにより樹脂組成物ペレットを得た。得られた樹脂組成物の190℃における溶融物性を測定したところ、相溶性の不良に起因するバラつきが発生し、メルトテンションは6〜22mN、エロンゲーションは7000倍以上と、信頼できるデータが採取できなかった。なお、メルトインデックスは14g/10分であった。また、Izod衝撃試験においても、試験片に層間剥離が発生し、信頼できるデータが採取できなかった。
【0058】
比較例7
樹脂として低密度ポリエチレン(密度923kg/m、190℃メルトインデックス 3.7g/10分)を用い、樹脂温度320℃、引き取り速度80m/minで実施例11と同様にして、樹脂層の厚みが30μm及び20μmである紙積層体を作成した。得られた紙積層体の層間接着強度、ヒートシール強度(HS強度)、ホットタック強度(HT強度)の測定結果を表2(表2)に示す。
【0059】
【表2】
Figure 0004199572
【0060】
【発明の効果】
本発明に係わる乳酸系樹脂組成物は、キャストフィルム成形や押出ラミネーション成形において、収率良く成形できる溶融物性を有する組成物であり、押出ラミネーション成形によって得られる紙積層体は、水蒸気バリヤー性を有し、生分解性や低燃焼熱の利点を有する積層体となる。また、本発明の乳酸系樹脂組成物から得られる成形品は、衝撃強度に優れた特徴を有している。更に、本発明の乳酸系樹脂組成物から得られるフィルムやシートは、低温ヒートシール性やホットタック性など、シーラントとしても優れた性能を有する。そのため、食品、電子、薬品、化粧品等の各種包装用資材、農業用、土木・建築用の資材、コンポスト資材等の広範囲における資材として好適に使用し得る。

Claims (6)

  1. 乳酸系樹脂(成分(A))1〜99重量%及び2価金属イオンで中和したエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(成分(C))99〜1重量%を含んでなる乳酸系樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載した乳酸系樹脂組成物を含んでなる成形体。
  3. 請求項1に記載した乳酸系樹脂組成物を含んでなる単層フィルム。
  4. 請求項1に記載した乳酸系樹脂組成物を含んでなる層を含んで構成される積層体。
  5. 請求項1に記載した乳酸系樹脂組成物を含んでなる層と紙層を含んで構成される紙積層体。
  6. 乳酸系樹脂(成分(A))及び2価金属イオンで中和したエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のアイオノマー(成分(C))を混合し、溶融押出ラミネーションによって乳酸系樹脂組成物層と紙層を含んで構成される紙積層体を製造することを特徴とする、紙積層体の製造方法。
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