JP4197809B2 - 内視鏡装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内視鏡装置、詳しくは高圧高温水蒸気滅菌処理を行うことが可能で、かつ光学系に焦点調整機能を有する内視鏡装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
体腔内等に挿入することによって体腔内の深部等を観察したり、必要に応じて処置具を用いることにより治療処置等を行なうことのできる内視鏡が医療分野において広く用いられている。
【0003】
医療用内視鏡の場合、使用した内視鏡を確実に消毒減菌することが感染症等を防止するために必要不可欠になる。
【0004】
従来では、この消毒滅菌処理はエチレンオキサイドガス(EOG)等のガスや、消毒液に頼っていたが、周知のように滅菌ガス類は猛毒であり、滅菌作業の安全確保の為に滅菌作業は煩雑である。また、滅菌後に機器に付着したガスを取り除く為のエアレーションに時間がかかる為、滅菌後すぐに使用できないという問題点がある。さらに、ランニングコストが高いという問題点がある。
【0005】
また、消毒液の場合は消毒液の管理が煩雑であり、消毒液の廃棄処理に多大な費用が必要となる欠点がある。
【0006】
そこで、最近では、煩雑な作業を伴わず、滅菌後にすぐに使用でき、しかもランニングコストの安い高圧高温水蒸気滅菌(以下オートクレーブ滅菌)が内視鏡機器では主流になりつつある。
【0007】
このオートクレーブ滅菌の代表的な条件としては、米国規格協会承認、医療機器開発協会発行の米国規格ANSI/AAMI ST37−1992があり、この条件はプレバキュームタイプでは滅菌工程132℃、4分、またグラビティタイプでは滅菌工程132℃、10分となっている。条件は各国によって異なるが、一般的には、オートクレーブ滅菌の温度としては、115℃〜140℃の間で設定され、また、滅菌工程時の圧力としては、大気圧に対して+0.2MPa程度に設定されている。
【0008】
しかし、前述した条件における高圧高温蒸気は、高分子材料で形成された部材を透過する性質を有している。特に、ゴム、エラストマー等の柔軟な材質は、高圧高温水蒸気を透過しやすい。従って、オートクレーブ滅菌を行った際、ゴム部材によってシールされていた空間内に高圧高温水蒸気が浸入してしまう。
【0009】
一般的に、電子内視鏡、ファイバースコープ等の内視鏡装置では内視鏡内部に水などが侵入することを防止するため、Oリング等のゴムシール部材によって防水構造としていた。このため、オートクレーブ滅菌を行うと、このゴムシール部材を通過して内視鏡内部に高圧高温水蒸気が浸入し、レンズ表面に曇りが発生し、視野不良が生じる問題が発生する。
【0010】
また、一般の、レンズ硝材である加工性の良い多成分ガラスは、オートクレーブ滅菌時の高圧高温水蒸気によって劣化する為、内視鏡内部に浸入した高圧高温水蒸気によって硝材自体が劣化し、視野不良を引き起こすという問題もある。この対策として、レンズユニットを気密構造にして高圧高温水蒸気がレンズユニット内に侵入しない構造が一般的に使用されている。しかし、光学系によっては焦点調整機構が必要であり、この場合には気密構造を採用することが難しかった。
【0011】
焦点調整のために光学系を移動調整する従来技術として、特開平9-127398号公報がある。該公報では、光軸方向に沿って移動するレンズが前後にばね部材で支持され、少なくとも一方が形状記憶合金で形成される。
【0012】
また、光学系を移動調整する手段を有しかつレンズユニットを気密構造にするものとして、特開平5-281454号公報,実開昭53-121845号公報がある。特開平5-281454号公報では、密閉されたパッケージ内外の磁力結合により光学系を移動する。実開昭53-121845号公報では、内視鏡対物レンズとイメージガイドとの空間を筒状弾性体で覆ったものである。
【0013】
また、特願昭62-114580号に示すように、レンズユニット内を透明液体で満たし、レンズ面に水蒸気が付着して曇りが発生するのを防ぐ構造が提案されている。
【0014】
一方、イメージガイドファイバーやライトガイドファイバーを用いた軟性内視鏡をオートクレーブ滅菌すると、従来のファイバーの外装チューブは水蒸気をよく透過するシリコンであったため、オートクレーブの水蒸気によりファイバーが著しく劣化し折れてしまうという問題があった。
【0015】
また、内視鏡をオートクレーブやエチレンオキサイドガスで滅菌する際、減菌装置のチャンバー内が陰圧になる行程があり、この際、相対的に内視鏡内部の圧力が高くなり湾曲ゴムが破裂してしまう。従って、内視鏡に通気口金を設けて滅菌時に内外を連通させるが、湾曲ゴムは破裂しないものの、前記シリコン製の外装チューブが破裂するという問題があった。
【0016】
これらの問題に対応するものとして、実開昭58-1905号公報、特開昭59-87408号公報がある。
【0017】
実開昭58-1905号公報では、高温環境で使用するリジッドタイプのイメージガイドファイバーに関するものであり、イメージガイドファイバーの外部に金属保護管を設けたものが記載されている。
【0018】
また、特開昭59-87408号公報では、イメージガイドファイバー等の耐久性を向上させるために、外装チューブにブチル系合成ゴムや弗素系合成樹脂等の低蒸気透過性材料を使用したものが記載されている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した従来技術以外に光学系の移動調整機構は各種の公知な技術がある。特に内視鏡で要求される防水構造の光学系の移動調整機構も多々公知である。しかし、これらのものは水密、気密と謳われていてもオートクレーブ滅菌を施した際に高圧高温水蒸気の浸入を防ぐことができないものであった(特開平5-281454号公報に記載されている)。
【0020】
特開平9-127398号公報については、(1)気密、水密等の記述はなく、また下記する手段を用いた際の気密パッケージの構成は非常に難しい。(2)形状記憶合金に加熱・冷却を行う手段、または電気的な制御手段が必要であり、高コスト、装置の複雑化は避けられない(同様なことが気密空間内にモータ、アクチュエータを内蔵したものに言える)。(3)位置の制御が必要(センサの設置、フィードバック制御)であり、高コスト、装置の複雑化は避けられない。
【0021】
特開平5-281454号公報については、気密パッケージが形成される記述があるが、しかし磁力結合を使うため次の問題点がある。(1)磁石による部品点数の増加、コストアップ。(2)磁石を置くスペースの分、装置が大きくなる。(3)磁石自体の温度変化に対する減磁の問題。(4)磁力が周囲に及ぼす影響。(5)調整する光学系により磁石大きさ等、常に新たな設計、実験を強いられる(汎用性が無い)。(6)振動、衝撃で結合がずれる可能性がある。
【0022】
実開昭53-121845号公報については、目的は防塵だが、気密、密閉パッケージの記述とその構成が述べられている。しかし、次の問題点がある。(1)ゴムは気体透過性があり気密にはできない。樹脂でも若干の透過は避けられない。特に軟材質は透過しやすい。(2)ゴム、樹脂の弾性体では滅菌工程での圧力変化、特に真空引きの陰圧時、内部空気の急激な膨張で弾性体が破壊される。(3)固定構造が環状部材で枠に弾性体を押し付けているだけなので気体の透過は防げず、材質自体よりこの部分からの高圧高温水蒸気の透過量の方が大きい。(4)対物の観察窓#10は先端部本体#2に対し、たとえ気密に接合できたとしても、湾曲構造である図示しない部分からの高圧高温水蒸気の侵入は避けられない。この時、保持枠#11とレンズ枠#12の間の摺動面から観察窓#l0と対物レンズ#9の間に高圧高温水蒸気が侵入し、結露によって曇り発生は避けられない。さらに、対物レンズとイメージガイドの問の空間を弾性筒状部材で密閉しているだけなので、次の問題がある。(5)弾性筒状部材の光軸方向への長さが短く、十分なストロークを確保できない。また、ストロークを確保しようとすれば対物レンズ−イメージガイド間の距離が長くなり、全長が長くなる。(6)カバーガラスと対物レンズの間に浸入する高圧高温水蒸気に対し、何ら気密手段がとられていない。
【0023】
特願昭62-114580号については、視度調整が不可能な構造であり、接眼ユニットには使用できない構成であった。
【0024】
実開昭58-1905号公報については、可撓性がなく軟性内視鏡に適用することはできないという問題があった。
【0025】
特開昭59-87408号公報では、軟性内視鏡にオートクレーブで滅菌を施す場合は、外装チューブに用いるブチル系合成ゴムや弗素系合成樹脂等の低蒸気透過性材料では不十分であり、高圧高温水蒸気の透過により、ファイバーの固体潤滑剤の機能低下やファイバー自体の劣化が生じファイバーの折れが生じてしまう問題があった。
【0026】
そこで、本発明の第1の目的は、外部環境の圧力変化に対し、強度を保つと共に、確実に高圧高温水蒸気侵入を防ぐ気密に構成された移動調整可能な光学系を電源、磁石等の外力を必要とせずに簡単かつ確実に得ることができる内視鏡装置を提供することである。
【0027】
本発明の第2の目的は、内視鏡対物レンズとイメージガイドとの空間を覆う管状弾性部材の光軸方向へのストロークを確保し、かつ、光学系の全長を短く押さえることが可能な内視鏡装置を提供することである。
【0028】
本発明の第3の目的は、オートクレーブ滅菌を行なって内視鏡内部に高圧高温水蒸気が浸入してもレンズには水分が付着せず、視野曇りの生じない構造で、更に接眼の視度調整が可能で、簡単な構造でしかもコスト的に有利な内視鏡装置を提供するである。
【0029】
本発明の第4の目的は、オートクレーブ滅菌を行なってもイメージガイドファイバーやライトガイドファイバーの劣化が無い内視鏡装置を提供することである。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明の内視鏡装置は、光軸方向に移動可能な移動光学系を有する内視鏡装置において、前記移動光学系を含んで構成される光学ユニットと、前記光学ユニットにおいて形成される気密空間と、前記光学ユニットにおける前記気密空間の隔壁を構成する、少なくとも表面を金属で形成した弾性部材であって、前記移動光学系の移動に応じて光軸方向に伸縮可能な管状弾性部材と、前記気密空間に対して前記管状弾性部材とは別に連通して形成された体積変位部材であって、当該管状弾性部材の伸縮により変位する前記気密空間の体積に応じて自らの体積を変位することにより当該気密空間の圧力変化を吸収する体積変化吸収部材と、を具備したことを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、管状弾性部材を光軸方向に伸縮させることによって、光学系の焦点調整を行える。また、オートクレーブ滅菌時、気密に構成された光学系と外部環境の相対的な圧力変化が起きても管状弾性部材は自身の表面が蒸気透過性の無い金属であるので高圧高温水蒸気の侵入を完全に遮断する。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1〜第6の実施の形態)
第1〜第6の実施の形態は、視度調整可能な内視鏡装置において、移動する光学系の周囲に、管状弾性部材を用いて、気密空間を形成するように構成した実施の形態を示している。
【0033】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態の内視鏡装置を示す。図1は光ファイバーを像伝送に用いたファイバースコープの接眼部の構造を示す断面図である。
【0034】
(構成)
図1に示すように、内視鏡接眼部1には図示しない内視鏡挿入部先端の対物レンズから入射された内視鏡像を伝送する光ファイバーを束ねて形成した、つまり、光学繊維束で形成されたイメージガイド2がこれを覆う外装チューブ3と共に内視鏡先端部より伸びている。外装チューブ3は圧力、温度変化に対応するフッ素樹脂、ゴアテックス、金属ブレードといった材質で構成される。挿入部の外装は、ゴム、エラストマー等の柔軟な材質により構成されている。該イメージガイド2は内視鏡接眼部1内でイメージガイド(以下、IG)枠4に収められ、IG枠4にはイメージガイド2の接眼側の端部を覆いイメージガイド2の端部で結像した像を覆う位置に耐熱、耐蒸気性を有するサファイア等で出来たIGカバー窓5がろう付け(半田付け)、レーザー溶接、エポキシ樹脂系接着剤のいずれかにて気密に接合される。
【0035】
IGカバー窓5を通った内視鏡像を図示しない観察者のアイポイントに結像するように接眼光学系6が配される。接眼光学系6は、固定筒16内に内蔵されて視度調整を可能とする、移動する光学系を構成している。接眼光学系6にはIG枠4を覆うように伸びた可動枠7が接続され、可動枠7の外周側に設けられた第1のカムピン8が光軸に平行して直進する第1のカム溝9の切られた支持枠l0を介して連動枠11に円周方向に斜めの第2のカム溝12に沿って係合される。連動枠11の外周面にはこれに係合する第2のカムピン13が焦点調整リング14にも係合するように設けられる。
【0036】
支持枠10には接眼側に固定筒16が可動枠7との間に光軸方向に付勢力を働かせる弾性部材17を介し第1のビス18にて固定される。固定筒16にはアイピース19がネジ係合され緩み止めビス20が締め込まれている。アイピース19と焦点調整リング14との間には第1の環状弾性水密部材15が配され、焦点調整リング14がアイピース19に対し摺動自在に構成される。支持枠10及び固定筒16は、カバー窓固定枠30と共に、固定枠を構成している。また、図示しない部位にて支持枠10に支持されているIG枠4も固定枠である。つまり、固定枠とは内視鏡本体に対して固定的な枠を指す。
【0037】
アイピース19の接眼側の内周にはカバー窓固定枠30が第2の環状弾性水密部材21を挟んでネジ結合にてアイピース19に固定される。カバー窓固定枠30には接眼光学系6の光線高より径の大きいカバー窓22がカバー窓固定枠30とカバー窓押え23に挟まれ、カバー窓22はカバー窓固定枠30との間のカバー窓接合面24にてろう付け(半田付け),レーザー溶接,エポキシ樹脂系接着剤のいずれかにて気密に接合される。
【0038】
IG枠4と可動枠7のそれぞれの外周面には金属または金属コーティングされた第1の管状弾性部材25がその両端部を第1の弾性体気密接合面26として、接合手段であるろう付け(半田付け),レーザー溶接,エポキシ樹脂系接着剤のいずれかにて気密に接合される。同様に可動枠7とカバー窓固定枠30のそれぞれの段差の無い均一な面上には第2の管状弾性部材27がその両端を第2の弾性体気密接合面28にて気密に接合される。
【0039】
前記第1、第2の管状弾性部材25,27は、光軸方向に伸縮可能で、かつ気密を保持できる管状部材であり、例えば真空配管用に用いられる金属製の真空用フレキシブルベローズ等を使用することが可能である。この真空用フレキシブルベローズは、複数の金属製の円盤状部材を溶接して蛇腹状に形成したものや、金属製の薄板を一体成形して蛇腹状に形成したもの等、金属製の蛇腹構造部材である。
【0040】
なお、一般的な真空配管用のフレキシブルベローズは、全長に亘り径がほぼ一定であるのに対し、本実施形態の管状弾性部材は全長に亘り径が一定ではない構成であるが、前記真空配管用のフレキシブルベローズと同様、円盤状部材を溶接したり、一体成形することによって構成が可能である。
【0041】
また、前記第1、第2管状弾性部材25,27は、上述した構成の他に例えば、金属薄膜又は金属コーティングを外表面に施したゴム又は樹脂部材であってもよく、この構成によっても光軸方向に伸縮可能で、かつ高圧高温水蒸気の内部への浸入を阻止することが可能である。本実施形態においては前記第1、第2の管状弾性部材25,27の端部に、気密接合用の円筒面又はフランジ面26,28が設けられている。
【0042】
以上により、IGカバー窓5、IG枠4、第1の管状弾性部材25、可動枠7、第2の管状弾性部材27、カバー窓固定枠30、カバー窓24に囲まれ、光軸方向に移動する光学系を有する光学ユニットが完全に気密に密封され、気密密閉部、つまり気密空間29を構成する。なお、IG枠4とこれに接続される外装チューブ3を金属で構成し、両者を気密に接合すれば気密な空間は内視鏡先端部まで構成され、この場合は支持枠4とIGカバー窓5は必ずしも気密に接合される必要はない。
【0043】
特に材質は記していないが本実施の形態で使用される各部品、接合材料の材質は少なくとも滅菌温度である135℃以上の温度に耐え、耐蒸気性のある物であるのは言うまでもない。また、IG枠4、IGカバー窓5、第1,第2の管状弾性部材25、27、可動枠7、カバー窓固定枠30、カバー窓22といった気密空間29を囲むそれぞれの部品、つまり、気密密閉部を構成する気密隔壁部材は金属や、樹脂、セラミックス、ガラス、サファイア等の結晶性材料といった気体透過性のない、又はほとんど無い材質より選択される。さらに好ましくは、確実に高圧高温水蒸気の透過を遮断する金属、セラミックス、ガラス、結晶性材料によって気密隔壁部材を構成する。
【0044】
樹脂及び一部のセラミックスについては極僅かではあるが高圧高温水蒸気を透過する。このため、これらを気密隔壁部材として使用する際には、念のため気密空間内部にシリカゲル等の吸水性部材31を配置することが好ましく、僅かに高圧高温水蒸気が浸入してしまった場合にはこの吸水性部材31により水分が吸水される。
【0045】
一方、気密隔壁部材間を接合する気密接合手段としては、本実施形態でも一部示しているが、金属溶接、溶融ガラス、接着の中から選択される。前記金属溶接の種類としては、ろう付け、半田付け等のろう接、レーザー溶接、電子ビーム溶接に代表される融接、抵抗溶接に代表される圧接等がある。そして、気密接合手段についても好ましくは、接合部を介して高圧高温水蒸気の浸入を確実に阻止する金属溶接、溶融ガラスを選択する。
【0046】
また、管状弾性部材及び、この管状弾性部材と気密に接合される固定枠が金属製の場合、若しくはこれらの部材同士の接合部分の表面に金属の表面処理を施した場合、接合方法に関しても、ろう付け、半田付け等のろう接、レーザー溶接等の金属溶接が最も信頼性が高い。
【0047】
なお、樹脂系の接着剤については極僅かではあるが高圧高温水蒸気を透過するため、接着剤を使用する場合はセラミックス系接着剤を使用するか、若しくはエポキシ樹脂系接着剤等、接合後硬化することによりほとんど高圧高温水蒸気を透過しない性質を有する接着剤を使用する。また、この場合でも気密空間内部にシリカゲル等の吸水性部材31を配置することが好ましい。
【0048】
(作用)
1)オートクレーブ滅菌時
オートクレーブ滅菌時には滅菌装置缶体内は予備滅菌工程、または乾燥工程で真空状態(陰圧)になり、滅菌時は逆に陽圧になる。ここで、内視鏡接眼部1にかかる圧力変化のうち、少なくとも気体透過性のある各環状弾性水密部材の内部空間の圧力変化に対し、気密空間29は自身強度の確保された第1,第2の管状弾性部材25、27と略剛体であるIG枠4、IGカバー窓5、可動枠7、カバー窓固定枠30、カバー窓24で覆われるため、圧力変化で破壊されることが無く、元の構成を維持する。また、各構成要素、とその接合部26、28は気密に接合されるためオートクレーブ滅菌時に陽圧がかかっても、気密空間29内への高圧高温水蒸気の浸入はない。
【0049】
2)使用時
画像伝達手段として光学繊維束より形成されたイメージガイドを使用した内視鏡の場合、イメージガイドの画像出射端部に正確に接眼レンズの焦点を合わせる必要がある。このため、観察者のそれぞれの視度によって焦点視度調整を行う必要がある。
【0050】
そこで、術者が内視鏡接眼部1のカバー窓22より覗いたり、ビデオカメラを接続して映像を出す際、結像のため焦点調整リング14を回転する。すると第2のカムピン13に連動し連動枠11が回転する。連動枠11の回転は連動枠11の第2のカム溝12、支持枠10の直進する第1のカム溝9及び両者にかかる第1のカムピン8により、可動枠7の光軸方向への直進移動となる。可動枠7が光軸方向に移動すると可動枠7とIG枠4との空間及び第1の管状弾性部材25、可動枠7とカバー窓固定枠30との空間及び第2の管状弾性部材27はどちらかが伸びればもう一方が縮む。しかし、第1,第2の管状弾性部材25、27はそれぞれ両端部を気密に接続しており、全体として気密空間29を壊すこと無く接眼光学系6が移動される。
【0051】
弾性部材17は固定筒16に対し可動枠7を対物側に押すことで接眼光学系6のガタを防止する。ただし、嵌合ガタ等が寸法的に押さえられていれば弾性部材17は必ずしも必要なものではない。
【0052】
(効果)
以上のように本実施の形態では、以下の効果を有する。
【0053】
(1)外部環境の圧力変化に対し、強度を保つと共に、確実に高圧高温水蒸気の侵入を防いで、気密空間に移動調整可能な光学系を電源、磁石等の外力を必要とせず、簡単かつ確実に得ることが可能な内視鏡装置を実現できる。
【0054】
(2)画像伝送手段として光学繊維束より形成されるイメージガイドを使用した内視鏡装置であっても、観察者毎に視度調整が可能で、かつオートクレーブ滅菌を行っても視野不良が発生しない。
【0055】
(3)現行の内視鏡の接眼部の構造を大きく変えずに実現可能である。
【0056】
(4)撮像素子をカバー窓固定枠内部に一体的に設ければ気密焦点調整機構付きの内視鏡一体型のビデオスコープが可能となる。
【0057】
(5)接眼光学系を固定焦点のズーム光学系とすれば変倍機構の気密調整ユニットが可能となる。
【0058】
なお、上述した実施形態においは、オートクレーブ滅菌を行う医療用内視鏡に関して記載したが、その他にもオートクレーブ滅菌を行う内視鏡、液中に長時間浸漬させたり、水分が内視鏡内部に侵入する可能性がある内視鏡、高湿環境下で使用される例えば工業用内視鏡等に本発明の構成を用いると効果的である。
【0059】
図2及び図3は前記第1実施形態の応用例に係り、図2は全長に亘り径がほぼ一定な管状弾性部材を用いた接眼部の構成例を説明する図、図3は接眼ユニットに設けた体積変化吸収部材を説明する図であり、図3(a)は細径管状弾性部材の通常状態を示す図、図3(b)は細径管状弾性部材によって体積変化を吸収している状態を示す図である。
【0060】
図2に示すように本実施形態においては例えば接眼部32を、前記操作部を構成する本体部33に一体的に固定されるアイピース34と、このアイピース34内に設けられる少なくとも1枚以上の光学部材で構成した接眼レンズ35を備えた接眼レンズユニット36と、前記接眼レンズ35の焦点位置の位置調整を行う視度調整操作部となる視度調整リング37とによって主に構成されている。
【0061】
前記接眼レンズユニット36の先端側には内視鏡先端部より伸びるイメージガイド2の基端部が配置されている。
【0062】
前記接眼レンズユニット36は、気密隔壁部材である金属製の先端側カバーガラス枠38と、この先端側カバーガラス枠38に気密に接合される気密隔壁部材であるサファイア製の先端側カバーガラス39と、気密隔壁部材である金属製の接眼レンズ枠40と、この接眼レンズ枠40及び先端側カバーガラス枠38に両端部を気密に接合されて光軸方向に伸縮自在な管状弾性部材41と、前記接眼レンズ枠40に気密に接合される高圧高温水蒸気耐性を有するガラス製の前記接眼レンズ35とによって構成されており、気密に密閉されている。
【0063】
本実施形態においては管状弾性部材41として、真空配管用に用いられる金属製の真空用フレキシブルベローズ等を使用している。この真空用フレキシブルベローズは、複数の金属製円盤状部材を溶接して蛇腹状に形成したもの、或いは、金属で一体的に蛇腹状に成形したもの等である。
【0064】
前記アイピース34の内周面には前記接眼レンズユニット36の回転を規制する回転規制溝34aが形成されている。この回転規制溝34aには前記接眼レンズ枠40に取り付けられる回転止めピン42が係入配置される。
【0065】
また、前記アイピース34の側周部には周方向貫通孔34bが形成されている。この周方向貫通孔34bには前記視度調整リング37を固定する固定ピン43が挿通配置されるようになっており、この固定ピン43を連動枠44に固定することによって、視度調整リング37と連動枠44とが一体的になる。
【0066】
このことにより、前記視度調整リング37を回転操作することによって、前記固定ピン43によって一体的に連結固定された連動枠44が同時に回転する。そして、この連動枠44が回転することにより、この連動枠44の円周方向に斜めに切られたカム孔44aに係合している前記カムカムピン45が移動して、前記接眼レンズ枠40が光軸方向の例えば先端方向に移動して管状弾性部材41が伸縮する。このとき、接眼レンズユニット36内の気密は保持される。
【0067】
前記接眼レンズ枠40の側周面には体積変化吸収部材46が設けられている。この体積変化吸収部材46は、接眼レンズユニット36内の体積変化を吸収する部材である。つまり、前記視度調整時に前記管状弾性部材41の変形量が大きく、気密に密閉された接眼レンズユニット36内の体積変化が大きいことによって内部の気体が圧縮されて視度調整リング37の回転力量が大きくなることや、回転が元に戻されてしまうことを防止するために設けたものである。本実施形態では例えば細径管状弾性部材47を気密に取り付けている。
【0068】
つまり、本実施形態の接眼レンズユニット36の内部空間は、先端側カバーガラス39と、先端側カバーガラス枠38と、管状弾性部材41と、接眼レンズ枠40と、接眼レンズ35と、細径管状弾性部材47とによって気密に密閉されて構成されている。
【0069】
この体積変化吸収部材46である細径管状弾性部材47は、前記管状弾性部材41が伸びた状態であるとき図3(a)に示すように縮んだ形状である。そして、前記管状弾性部材41が縮んだ状態のとき図2及び図3(b)に示すように伸びた形状に変化する。つまり、視度調整時の気密空間内の体積変化を細径管状弾性部材47が伸縮して吸収している。
【0070】
なお、前記アイピース34の回転規制溝34aに回転止めピン42を係入しているので、前記接眼レンズ枠40が回転することはない。また、前記本体部33と前記アイピース34、及び前記アイピース34と前記接眼レンズユニット36、及び前記アイピース34と前記視度調整リング37、及び前記視度調整リング37と前記固定ピン43とのそれぞれ部品同士の間には、水密を保持するOリング48a、48b、48c、48d、48eが配置されている。このことにより、洗滌時或いは薬液浸漬時等に液体が接眼部32内に侵入することを防止している。
【0071】
本構成であれば、管状弾性部材が全長に亘り径が略一定のシンプルな形状であっても気密に密閉された接眼レンズユニットを構成できる。
【0072】
その他の構成及び作用・効果は前記第1実施形態と同様であり、同部材には同符合を付して説明を省略する。
【0073】
なお、図4に示すように接眼部32を構成する接眼レンズユニット36Aの接眼レンズ枠40の先端側及び基端側の2箇所に管状弾性部材41を設けるようにしても同様の作用及び効果を得られる。
【0074】
具体的には、前記管状弾性部材41の他に前記接眼レンズ枠40の基端側に基端側管状弾性部材41aを配置する。そして、この基端側管状弾性部材41aを、接眼レンズ枠40と基端カバーガラス枠49とに対して気密に接合する。このことにより、接眼レンズユニット36Aの内部空間は、先端側カバーガラス39と、先端側カバーガラス枠38と、管状弾性部材41と、接眼レンズ枠40と、基端側管状弾性部材41aと、基端カバーガラス枠49と、基端カバーガラス86とによって気密に密閉された構造になる。
【0075】
そして、本実施形態においては前記アイピース34と基端カバーガラス枠49とを接着剤で固定している。また、視度調整時は、接眼レンズ枠40のみが光軸方向に移動する。そのとき、管状弾性部材41と基端側管状弾性部材41aとは一方が縮むと他方が伸びるといったように相互に伸縮する。さらに、接眼レンズ枠40の接眼レンズ接合面の一部には接眼レンズ35を挟んで構成される接眼レンズ先端側空間87と接眼レンズ基端側空間88とを連通する通気孔89が形成されている。
【0076】
このことにより、視度調整時、一方の気密空間内部の気体が圧縮された場合には、他方の気密空間部内に圧縮された気体を送り込んで視度調整リング37の回転力量が大きくなることや、回転が元に戻されてしまうといった不具合を解消することができるようになっている。
【0077】
また、本構成では視度調整時、前記図2に示したOリング48bを配置しない構成にしているため、視度調整リング37の回転力量をさらに軽減して視度調整時の操作性を向上させるとともに、Oリングの劣化による不具合がなくなる。
【0078】
(第2の実施の形態)
図5は第2の実施の形態の内視鏡装置を示す。図5は内視鏡の接眼部と内視鏡用のカメラヘッドとの間で使用されるビデオアダプターの部分的な断面図である。上断面は内部の光学系が内視鏡寄りの状態を、下断面は内部の光学系がカメラヘッド寄りの状態を示す。
【0079】
(構成)
図5に示すように、ビデオアダプター51は2点鎮線で示す内視鏡52の接眼部に、全体を図示しないアイピースマウント54によって接続される。同じく内視鏡用のカメラヘッド53に図示しないネジマウントにより第1の環状弾性水密部材55を介して接続される。
【0080】
ビデオアダプター51の本体56の内視鏡52側にはアイピースマウント54がナット57にてアイピースマウント54の突き当て面それぞれにワッシャ58を介して光軸に対し回動可能に固定される。本体56外周面には調整リング59が第2の環状弾性水密部材61を本体56との間に介してリングストッパ62をビス63にて固定することで本体56に対し回動可能に配される。本体56は、カバー窓枠49と共に、固定枠を構成している。
【0081】
調整リング59の内周面には光軸に対し斜めに形成された第1のカム溝64が切られており、この第1のカム溝64にカムカムピン45が係合し、カムカムピン45は本体56に切られた光軸に平行な直進カム溝66とも係合し、可動枠であるレンズ枠67に接続される。
【0082】
レンズ枠67の外周面は少なくとも一部を本体56の内周面と嵌合している。また、レンズ枠67には撮像光学系68が内蔵される。撮像光学系68は、固定枠内に内蔵されて視度調整を可能とする、移動する光学系を構成している。
【0083】
本体56の内視鏡側端部の内周面には第1のカバー窓枠69が接合面70にて、少なくとも水密に接合される。第1のカバー窓枠69の内周面には第1のカバー窓71が該カバー窓71の外周面との間を接合面72として第1の実施の形態と同様に気密に接合される。
【0084】
同様に本体56の前記する内視鏡側端部に対向するもう一方の端部の内周面には第2のカバー窓枠49が接合面74にて、少なくとも水密に接合される。第2のカバー窓枠49の内周面には第2のカバー窓75が該カバー窓75の外周面との間を接合面76として、第1の実施の形態と同様に、接合手段であるろう付け(半田付け),レーザー溶接,エポキシ樹脂系接着剤のいずれかにて気密に接合される。
【0085】
第1のカバー窓枠69には内部に向かって光軸方向に薄肉の第1の凸部77が設けられており、レンズ枠67の内視鏡側の第1の端部84との間を金属または金属コーティングされた第1の管状弾性部材78がその両端部をそれぞれ第1の凸部77、第1の端部84との間で上記第1の実施の形態と同様にして、接合面79にて気密に接合される。
【0086】
同様に第2のカバー窓枠49には内部に向かって光軸方向に薄肉の第2の凸部80が設けられており、レンズ枠67のカメラヘッド側の第2の端部85との間を金属製または金属コーティングされた弾性体である第2の管状弾性部材81がその両端部をそれぞれ第2の凸部80、第2の端部85との間で第1の実施の形態に示す方法で接合面82にて気密に接合される。
【0087】
なお、前記する第1,第2の両凸部77、80と第1,第2の端部84、85は気密に接合可能であれば特に設けず直接第1,第2のカバー窓枠69、73とレンズ枠67を第1、第2の管状弾性部材78、81を介して気密に接合しても良い。
【0088】
この結果、第1,第2のカバー窓71、75と、第1,第2のカバー窓枠69、73と、第1,第2の管状弾性部材78、81と、レンズ枠67とで囲まれ、光軸方向に移動する光学系を有する光学ユニットが気密に密封され、気密密閉部、つまり気密空間83として構成される。また、光学系68はこの気密空間83内を光軸に沿って所定の範囲で移動可能に構成される。
【0089】
(作用)
1)オートクレーブ滅菌時
第1の実施の形態と同様に、ビデオアダプター51にかかる圧力変化のうち、少なくとも気体透過性のある各環状弾性水密部材及び水密接合面内部の空間の圧力変化に対し、気密空間83は自身強度の確保された第1,第2の管状弾性部材78、81と略剛体である第1,第2のカバー窓71、75と、第1,第2のカバー窓枠69、73と、レンズ枠67で覆われるため、圧力変化で破壊されることが無く、元の構成を維持する。また、各構成要素とその接合部は気密に接合されるため陽圧がかかっても気密空間83内への高圧高温水蒸気の浸入はない。
【0090】
2)使用時
術者が内視鏡像をカメラヘッド53内部の撮像素子に結像させるため、調整リング59を回転する。すると、カムカムピン45が光軸に対し斜めに切られた第1のカム溝64、及び本体56の直進カム溝66に沿って光軸方向に移動する。すると、カムカムピン45に接続されたレンズ枠67が撮像光学系68共々光軸に沿って移動する。この時、第1,第2の管状弾性部材78、81は一方が伸びれば一方が縮む動作を行う。また、移動時、第2の環状弾性水密部材61によって与えられる摩擦抵抗が働くため、調整リング59は任意の位置で止まる。この結果、撮像光学系68は図示しない撮像素子との間隔が調整される。
【0091】
また、気密な接合面はもとより、水密接合面、及び各環状弾性水密部材により内部空間全体は水密に保たれ、洗浄、薬液浸漬の際や、術中の内部への液体の浸入はない。
【0092】
(効果)
以上のように本実施の形態では、以下の効果を有する。
【0093】
(1)第1の実施の形態同様に外部環境の圧力変化に対し、強度を保つと共に、確実に高圧高温水蒸気の侵入を防いで、気密空間に移動調整可能な光学系を電源、磁石等の外力を必要とせず、簡単かつ確実に得ることが可能な内視鏡装置を実現できる。
【0094】
(2)ビデオアダプターと内視鏡側、カメラヘッド側の各々の空間の大きさが光学系の移動時変わらない。このため、水密である前記空間の圧力が変わらず操作性に優れる。
【0095】
(3)同様に光学系の移動に伴い面が露出したり覆われて隠れたりする問題が無いため、液体が溜まったりすること無く、洗浄性が向上する。
【0096】
(4)先に製作した気密空間をなすユニットを本体内に入れて水密接合することが出来、ゴミ等の浸入も防げるなど組立て性が向上する。
【0097】
(第3の実施の形態)
図6は第3の実施の形態の内視鏡装置を示す。図6はCCD等の固体撮像素子である撮像素子を内蔵したビデオ内視鏡の先端部の断面図を示す。
【0098】
(構成)
図6に示すように、挿入部101の先端には先端枠102が取り付けられている。先端枠102にはライトガイドl03がその先端側に照明用レンズ104を設けて配される。ライトガイド103は後方で図示しない光源装置に接続される。
【0099】
先端枠102にはまた、可動枠である対物レンズ枠105が環状弾性水密部材106により先端枠102に水密にかつ、光軸方向に摺動可能に配され、先端側に対物カバーレンズ107が第1の実施の形態で述べた方法で気密に接合され、その内側に光軸に沿って対物レンズ系108が配される。対物レンズ枠105の後端にはフィルター枠109が嵌合し、フィルター枠109内部には赤外カットフィルター、水晶フィルターといった光学フィルター110が内蔵される。先端枠102及びフィルター枠109は、撮像素子枠111と共に、固定枠を構成している。対物レンズ系108は、固定枠内に内蔵されて視度調整を可能とする、移動する光学系を構成している。
【0100】
フィルター枠109の後端側内周面には撮像素子枠111が第2の実施の形態で示す方法でフィルター枠109に気密に接合される。撮像素子枠111には撮像素子112が固定され、撮像素子の接点ピン113、これに電気的に接続される撮像素子コネクタ114を介し、撮像素子112の駆動回路115を実装した撮像素子基板116が固定されている。撮像素子基板116にはフレキシブルプリント配線(FPC)板117が一体的、かつ電気的接続を保って接続され、撮像素子枠111後端部に撮像素子枠111に気密に接合されるハーメチックコネクタ118にハーメチックコネクタピン119が電気的に接続される。
【0101】
ハーメチックコネクタピン119はハーメチックコネクタ118に焼結ガラスを介して絶縁に固定され、電気結合された信号ハーネス120を介して図示しないカメラコントロールユニットに接続される。フィルター枠109と信号ハ一ネス120の外側にかぶるケーブル外被122との間では撮像素子水密カバー123がカバー接続部124にて水密に接合される。
【0102】
フィルター枠109と撮像素子枠111は先端枠102に対し相対位置を固定に先端枠102または挿入部101の先端外装部材121に固定される。先端枠102と先端外装部材121は突き当て面か嵌合面にて水密接合される。
【0103】
対物レンズ枠105とフィルター枠109との間には金属または金属コーティングされた管状弾性部材126が対物レンズ枠105とフィルター枠109との嵌合面を覆うように両者の外周面を気密接合面127として、第1の実施の形態と同様に、接合手段であるろう付け(半田付け),レーザー溶接,エポキシ樹脂系接着剤のいずれかにて気密に接合される。この結果、対物カバーレンズl07,対物レンズ枠105,管状弾性部材l26,フィルター枠109,撮像素子枠111,及びハーメチックコネクタ118に囲まれ、光軸方向に移動する光学系を有する光学ユニットが高圧高温水蒸気に対して気密な気密空間128として構成される。
【0104】
対物レンズ枠105の水密空間内には、この外表面(ここでは気密接合面127)に気密を確保しつつ突片129が設けられ、突片129には図示しない内視鏡操作部まで延伸された操作ワイヤ130が設けられている。
【0105】
対物レンズ枠105と先端枠l02または先端外装部材121との間にはコイル状弾性部材131が配され、対物レンズ枠105を先端側に常に−定の力量で付勢するように設けられている。
【0106】
なお、本構成では対物レンズ枠105が移動可能に構成されるが、突片129、コイル状弾性部材131の配置を換えてフィルター枠109、撮像素子枠111を移動可能としても良い。
【0107】
(作用)
1)オートクレーブ滅菌時
第1の実施の形態と同様に、挿入部101にかかる圧力変化のうち、少なくとも気体透過性のある環状弾性水密部材106及び水密接合部の内部の空間の圧力変化に対し、気密空間128は自身強度の確保された管状弾性部材126と略剛体である対物カバーレンズ107と、対物レンズ枠105、フィルター枠109、撮像素子枠111、ハーメチックコネクタ118で覆われるため、圧力変化で破壊されることが無く、元の構成を維持する。また、各構成要素とその接合部は気密に接合されるため陽圧がかかっても気密空間128内への高圧高温水蒸気の浸入はない。
【0108】
2)使用時
ライトガイド103を通って図示しない光源装置からの照射光が照明用レンズ104により、一定の拡散光となって被写体を照明する。この被写体像は照明光の反射像として対物カバーレンズ107、対物レンズ系108にて像として撮像素子112に結像される。また、この結像される光線は光学フィルター110にて撮像素子112に適切な画像データとなるよう特性を変化させる。ここで、術者が被写体像である内視鏡像の撮像素子112への焦点を合せるため、図示しない操作部の焦点調整リングを駆動する。すると、焦点調整リングに結合された操作ワイヤ130に張力がかかり、対物レンズ枠105に固定された突片129を引張る。対物レンズ枠105は先端枠102との嵌合面に沿って光軸方向に移動する。この結果、先端枠102または先端外装部材121に他の枠体を通して固定された撮像素子112と対物光学系108との相対距離が変化し、焦点の調整が可能になる。このとき、操作ワイヤ130を緩める方向に焦点調整リングを調整すれば対物レンズ枠105はコイル状弾性部材131にて先端側に付勢されているため、光軸方向にがたつくこと無く位置調整される。焦点調整リングまたは操作ワイヤ130が任意に固定(ロック)可能であれば術者は任意の位置で焦点を調整後に固定できる。また、この時の移動量は微少であるため、気密空間内の圧力変化は十分に吸収される,
(効果)
以上のように本実施の形態では、以下の効果を有する。
【0109】
(1)第1の実施の形態同様に外部環境の圧力変化に対し、強度を保つと共に、確実に高圧高温水蒸気の侵入を防いで、気密空間に移動調整可能な光学系を電源、磁石等の外力を必要とせず、簡単かつ確実に得ることが可能な内視鏡装置を実現できる。
【0110】
(2)従来、組立時に調整していた対物レンズ系と撮像素子(イメージガイド)の位置(焦点)調整が不要になる。また、これに付随する調整後の固定方法(接着等)の問題もなくなる。
【0111】
(3)対物レンズ系を動かす場合、撮像素子を動かすのに比べ、ケーブル等の付加物が少なく操作性がよい。これに対し撮像素子を動かす場合、対物レンズ枠が内視鏡先端より突出したり潜ったりせず、先端枠と対物レンズ枠の間を隙間なく接合できる。
【0112】
(第4の実施の形態)
本実施の形態は、第1の実施の形態の接眼光学系6をズーム光学系(図示せず)としたものである。作用、効果はズームに関するもの以外全て第1の実施の形態に同じである。
【0113】
(第5の実施の形態)
図7ないし図9は本発明の第5の実施の形態の内視鏡装置に係り、図7は挿入部が硬性のビデオスコープの構成を示す図、図8は図7の先端部付近の断面を示す説明図、図9は図7の操作把持部付近の断面を示す説明図である。
【0114】
(構成)
図7に示すように、本実施の形態の内視鏡150は、硬性の挿入部151と、この挿入部151の基端側に設けられた操作把持部152と、この操作把持部152より延出するユニバーサルコード153と、このユニバーサルコード153の基端部に設けられたライトガイドコネクタ154とで主に構成されており、このライトガイドコネクタ154からはカメラケーブル155が延出している。
【0115】
なお、前記カメラケーブル155の端部にはカメラコネクタ156が設けられている。また、前記ライトガイドコネクタ154は光源装置(不図示)に接続され、前記カメラコネクタ156はカメラコントロールユニット(不図示)に接続される。
【0116】
図8に示すように挿入部151の外装を構成する金属製の外管157内の先端側には、ライトガイドファイバ158の出射端が配設されており、さらにその内側には観察光学系159が配設されている。
【0117】
前記観察光学系159は、金属製の内管160の内孔に配置された複数のリレーレンズ161と、内管160の先端側に配置されたサファイア製のカバーガラス162とで構成され、前記カバーガラス162は前記内管160の内周面に気密に接合されている。なお、前記リレーレンズ161は複数の間隔環163によって光学的に最適な位置に配置されている。また、前記リレーレンズ161は内管160とは固定されておらず、この内管160の内孔に落とし込んだ状態である。つまり、前記リレーレンズ161は内管160に対してスライド可能になっている。
【0118】
図9に示すように前記内管160は、操作把持部152の内部まで延出しており、内筒保持部材164に気密に接合されている。前記内筒保持部材164は、外管157が水密的に固定される外筒保持部材165の内部に固定される固定枠である。
【0119】
前記内管160内部に配置されたリレーレンズ161の最後端レンズは、内管160の基端面から突出しており、内筒保持部材164内部に配置されたリレーレンズ保持部材166に固定されている。そして、このリレーレンズ161の端部にはリレーレンズ保持部材166に保持された結像レンズ167が配置されている。なお、前記リレーレンズ保持部材166は内筒保持部材164の内面に配置された弾性部材であるバネ168と、前記内筒保持部材164に取り付けられたバネ押さえ169とによって付勢されている。
【0120】
この構成により、熱膨張の違う金属製の内管160とリレーレンズ161とがオートクレーブ滅菌時の温度変化によって長さ方向にそれぞれ異なる寸法変化をした場合でも、リレーレンズ161が内管160内をスライドし、そのスライド分をバネ168に付勢されたリレーレンズ保持部材166が移動して吸収する。このことにより、リレーレンズ161が破損することがない。つまり、本構成は、熱膨張の異なる長手部品を使った組立構造体において有効な構造である。
【0121】
前記内筒保持部材164は、管状弾性部材170と気密に接合されている。この管状弾性部材170の他端部には可動枠171が気密に接合されている。この可動枠171の内部には撮像光学系の一部である撮像素子172を保持した撮像素子固定枠173が配置固定されている。そして、前記可動枠171の後端部にはハーメチックコネクタ174が気密に接合されている。本実施形態における気密接合部は、ろう接、溶接、接着等の気密接合手段にて接合されている。
【0122】
このことにより、カバーガラス162、内管160、内筒保持部材164、管状弾性部材170、可動枠171、ハーメチックコネクタ174によって囲まれ、内部に観察光学系を有する光学ユニットは、気密に密封され、気密密閉部、つまり気密空間175を構成する。
【0123】
なお、前記撮像素子172からは基板176を介して導線177が延出しており、この導線177はハーメチックコネクタ174に設けられた接点ピン178に電気的に接続されている。この接点ピン178は、金属製のハーメチックコネクタ本体179に設けられた透孔179aに配置されており、この透孔179aと接点ピン178との間の隙間にはガラス封止部材180が封入されて、気密かつ絶縁状態に封止している。前記接点ピン178にはケーブル181が電気的に接続されている。このケーブル181の他端は前記カメラコネクタ156に電気的に接続されている。
【0124】
また、前記可動枠171の外周には、円周方向に斜めのカム溝182の形成された連動枠183が配置されており、前記可動枠171に取り付けられた係合部材であるカムピン184と前記連動枠183のカム溝182とが係合している。
【0125】
さらに、前記外筒保持部材165には、ビス185によって操作把持部外装部材186が固定されている。この操作把持部外装部材186の内周面には光軸方向の回転規制溝187が設けられており、前記可動枠171にはその回転規制溝187に係入する回転止めピン188が取り付けられている。このことにより、可動枠171の回転防止機構が構成されている。
【0126】
又、前記操作把持部外装部材186には円周方向に切られた貫通孔189が設けられており、この貫通孔189を介して焦点調整リング190と前記連動枠183とが固定ピン191によって一体的に固定される。
【0127】
このように、焦点調整リング190と連動する連動枠183に形成した円周方向斜めのカム溝182と、可動枠171に形成したカム溝182とに係合するカムピン184と、回転防止機構とにより、焦点調整リング190の回転運動を光軸方向の直線運動に変換する運動方向変換機構を構成している。そして、環状弾性水密部材であるOリング192によって内視鏡150の外装は水密に密閉されている。
【0128】
(作用)
1)オートクレーブ滅菌時
上述した第1の実施の形態と同様に、気密空間175の外壁を構成する各構成要素とその接合部はオートクレーブ滅菌の圧力変化によって破壊されることはない。また、気密空間175の外壁を構成する各構成要素とその接合部は気密に接合されているので、陽圧がかかっても気密空間175内への高圧高温水蒸気の浸入は無い。
【0129】
2)使用時
使用時の温度環境により、長手部品である金属製の内管160とリレーレンズ161とが熱膨張率が異なることにより、それぞれ異なった寸法変化を起こす。これにより、リレーレンズ保持部材166が光軸方向に移動し、リレーレンズ161の基端部に配置された結像レンズ167と、撮像素子172との相対距離が変化する。すると、この相対距離の変化により、撮像素子172の撮像面と、リレーレンズ161及び結像レンズ167によって伝送された被写体像のピントが合わなくなる。つまり、正確な画像が得られなくなる。
【0130】
ピントの合った画像が得られなくなった場合には、術者は焦点調整リング190を回転させる。この焦点調整リング190を回転させると、固定ピン191によって連結された連動枠183も一緒に回転する。そして、連動枠183が回転すると、連動枠183のカム溝182に係合している可動枠171に設けられたカムピン184が光軸方向に移動する。これにより、可動枠171及び可動枠内部の撮像素子枠173に保持された撮像素子172が光軸方向に移動する。
【0131】
その際、管状弾性部材170が伸縮することにより、気密空間175の気密を保った状態で、固体撮像素子172の光軸方向への移動が可能になっている。
【0132】
このとき、操作把持部外装部材186における内周面の光軸方向の回転規制溝187と可動枠171に設けられた回転止めピン188とが係入していることにより、前記可動枠171が回転することは無い。
【0133】
この操作により、リレーレンズ161の基端部に配置された結像レンズ167と、撮像素子172との間隔が調整される。つまり、どのような温度環境下での使用であっても、ピントの合った正確な画像を得られる。
【0134】
なお、本実施形態におけるリレーレンズ161は、光ファイバ製のイメージガイドに置き換えてもよい。また、結像レンズ167を、ズーム光学系にしてもよい。さらに、結像レンズが撮像素子枠173側に設けられていてもよい。
【0135】
本実施の形態では撮像素子172を光軸方向に移動可能に構成しているが、この構成に限らず、撮像素子172を固定枠、例えば操作把持部外装部材186に対して固定的に設け、リレーレンズ161と撮像素子172との間に配置する結像レンズ167を、外部からの操作によって光軸方向に移動に構成してもよい。この場合、結像レンズ167を保持する枠を可動枠とし、この可動枠の前方側と後方側のそれぞれに管状弾性部材を気密に接合し、それぞれの管状弾性部材の他端部を固定枠に対して気密に接合する。つまり、この構成は、前記図1に示した第1の実施の形態のカバー窓固定枠30内部に撮像素子を設けた構成にも類似する。
【0136】
(効果)
以上のように本実施の形態では、以下の効果を有する。
【0137】
(1)第1の実施の形態と同様に外部環境の圧力変化に対し、強度を保つと共に、確実に高圧高温水蒸気の浸入を防いで、気密空間に移動調整可能な光学系を電源、磁石等の外力を必要とすることなく、簡単かつ確実に得ることが可能な内視鏡装置を実現できる。
【0138】
(2)挿入部が細く、挿入部先端に撮像素子を配置できない内視鏡であっても、オートクレーブ滅菌時の高圧高温水蒸気による光学部材の結露や、オートクレーブ滅菌の温度変化によるリレーレンズの破壊といった観察画像不良が発生せず、かつどのような温度環境下でもピントの合った正確な画像を得ることが可能な、挿入部が細径のビデオスコープを実現できる。
【0139】
(3)さらに、光学系の焦点調整操作性の良い、かつ構成が簡単な、上記に記載するような挿入部が細径のビデオスコープを実現できる。
【0140】
(4)組立時に、結像レンズと撮像素子との位置調整が不要である。
【0141】
(第6の実施の形態)
第3の実施の形態では、内視鏡挿入部101側を示しているが、本実施の形態では、第3の実施の形態における図示されていない内視鏡接眼部の接眼光学系(図1における符号6に相当する)をズーム光学系とした構成とするものである。本実施の形態の作用・効果は、ズームに関するもの以外全て第3の実施の形態の場合に同じである。
【0142】
以上述べた第1〜第6の実施の形態によれば、確実に気密を確保した光学系を持ち、オートクレーブ滅菌が可能でかつ、光学系の視度調整が可能な内視鏡装置を、光学系の調整に何ら特別な調整手段、駆動機構を用いることなく、従来製品に対する簡単な改造だけで実現可能である。
【0143】
(第7,第8の実施の形態)
第7,第8の実施の形態は、視度調整可能な内視鏡装置において、移動する光学系の周囲に、管状弾性部材及び液状部材を用いて、水密空間を形成するように構成した実施の形態を示している。
【0144】
(第7の実施の形態)
図10は本発明の第7の実施の形態の内視鏡装置の内視鏡接眼部の半断面図を示している。
【0145】
(構成)
図10に示すように、接眼部201は図示しない操作部の上方に接眼土台202がビス止めされて組み付けられている。接眼土台202に内枠203がビス止めされており、内枠203にアイピースとなる外枠204がビス止めされている。接眼土台202,内枠203,及び外枠204は、カバーガラス押え205と共に、固定枠を構成している。
【0146】
外枠204にカバーガラス押え205がOリングを介して水密に組み付けられており、カバーガラス押え205にはカバーガラス206が水密に接着固定されている。
【0147】
外枠204の操作部側には回転リング207がOリングを介して水密に組み付けられており、回転リング207には係止ピン209が螺合され、Oリングを介して水密に組み付けられている。
【0148】
回転リング207の操作部側にはリング208がOリングを介して水密に組み付けられている。また、リング208は操作部に対して固定されている。従って、回転リング207は、リング208と外枠204に対して回転自在に組み付けられている。
【0149】
リング208と回転リング207と係止ピン209と外枠204とカパーガラス押え205とカバーガラス206と各種Oリングによって接眼部201の水密が保たれている。
【0150】
回転自在な回転リング207に組み付けられた係止ピン209は、カム面210を有するカム211に係止されている。カム211は接眼土台202やリング208に対して回転自在に組み付けられている。
【0151】
接眼土台202の内側にはレンズ枠212が軸方向に移動可能に組み付けられており、レンズ枠212のA面213と内枠203のB面214の間にばね215が組み付けられている。ばね215によってレンズ枠212は操作部側に付勢されているが、レンズ枠212に組み付けられたピン216がカム211のカム面210に付勢されている。
【0152】
図示しない内視鏡挿入部の先端より、観察部位を結像した像を伝送する光学繊維束217が、光学繊維束受け218にビス止め、または接着によって組み付けられている。光学繊維束217の接眼側端面219にはカバーガラス220が透明な接着剤によって接着固定されており、カバーガラス220の操作部側の面にはマスク形状の酸化クロム蒸着221が施されている。
【0153】
光学繊維束受け218の外周面には第1の蛇腹222の一端が、リング223によって水密に固定されている。また、第1の蛇腹222の他端はレンズ枠212の内面にリング224によって水密に固定されている。第1の蛇腹222は金属で蛇腹形状を有しているか、弾性部材(例えばゴムや、エラストマー等の軟性の樹脂)によって蛇腹形状を有しているのが望ましいが、弾性部材であれば、略円筒形状を有していても良い。リング223及び224は、第1の蛇腹222を水密に接合する接合手段を構成している。
【0154】
レンズ枠212には、カバーガラス225とカバーガラス226が気密に組み付けられている。気密に接合する方法として、カバーガラス225,226の周面にニッケル・銀を蒸着して、レンズ枠212にろう付けする方法が一般的である。また、カバーガラス225,226はレンズ形状を有していても良い。カバーガラス225とカバーガラス226の間には複数のレンズ227が組み付けられている。複数のレンズ227は、固定枠内に内蔵されて視度調整を可能とする、移動する光学系を構成している。
【0155】
カバーガラス220と第1の蛇腹222とカバーガラス225等に囲まれた空間には透明な液状部材228が充填されている。液状部材228には気泡が入らない様に組み付ける必要がある。液状部材228には、シリコーンを用いるのが望ましいが、約135℃耐熱性があり、経時変化が少なく、透明度が高いことが要求される。
【0156】
第2の蛇腹229の一端が外枠204とカバーガラス押え205に挟まれて水密に固定されており、他端はレンズ枠212の外周面にリング230によって水密に固定されている。カバーガラス押え205とリング230は、第2の蛇腹229を水密に接合する接合手段を構成している。
【0157】
また、カバーガラス206と第2の蛇腹229とカバーガラス226等に囲まれた空間には透明な液状部材231が充填されている。液状部材231については前記液状部材228と同様な材質を用いる。
【0158】
また、液状部材228,231として水蒸気透過率が極めて低いフッ素系などの材質を用いることができる場合は、カバーガラス225とカバーガラス226がそれぞれ水密に接着固定されていてもよい。
【0159】
(作用)
図11は、レンズ枠212、及びレンズ227,カバーガラス225,226が移動したときの半断面図を示す。回転リング207を回すことでカム211が回転し、カム面210に付勢されているピン216が軸方向に移動する。ピン216はレンズ枠212に固定されているため、レンズ227及びカバーガラス225,226もこれにしたがって移動する。
【0160】
この時、液状部材228,231は変形(流動)を強いられるが、第1の蛇腹222と第2の蛇腹229の変形によって体積を同じに保つことができるため、レンズ枠212等の移動を妨げることはない。
【0161】
従って、レンズ227及びカバーガラス225,226は光学繊維束217の接眼側端面219に対して軸方向に意図的に移動させることができる。
【0162】
また、内視鏡本体等の医療製品をオートクレーブ滅菌するときには、内視鏡本体を高圧高温水蒸気にさらすことで滅菌することができる。
【0163】
(効果)
以上のように本実施の形態では、以下の効果を有する。
【0164】
(1)オートクレーブ滅菌によって高圧高温水蒸気が水密構造内部にも侵入してくるが、レンズ群の外表面であるカバーガラス表面は接着剤で覆われているか、液状部材で覆われているため、曇りが発生することが無い。
【0165】
(2)簡単な構造で視度調整を行うことができる。
【0166】
(3)殆どコストを上げることなく、曇り防止構造でかつ視度調整可能構造を有することができる。
【0167】
(4)殆ど重量増加することなく、曇り防止構造でかつ視度調整可能構造を有することができる。
【0168】
(第8の実施の形態)
図12は本発明の第8の実施の形態の内視鏡装置の接眼部の半断面図を示す。第7の実施の形態と同一部分には同じ符号を付してある。
【0169】
(構成)
図12に示すように、回転自在な回転リング207に組み付けられた係止ピン209は、カム面210を有するカム211に係止されている。カム211は接眼土台202やリング208に対して回転自在に組み付けられている。回転リング207を回すことでカム211が回転し、カム面210に付勢されているピン216が軸方向に移動する。側面にピン216が螺合したレンズ枠232には、レンズ227とカバーガラス225,226が固定されている。また、光学繊維束受け233の側面にはOリング234が組み込まれており、レンズ枠232は光学繊維束受け233の外側面に対して移動可能で水密に組み付けられている。
【0170】
カパーガラス押え236の内側面にはOリング235が組み付けられ、レンズ枠232はカバーガラス押え236に対して移動可能で水密に組み付けられている。
【0171】
カバーガラス220とレンズ枠232とカバーガラス225等に囲まれた空間には透明な液状部材228が充填されている。
【0172】
カバーガラス226とレンズ枠232とカバーガラス押さえ236とカバーガラス206等に囲まれた空間には透明な液状部材231が充填されている。
【0173】
レンズ枠232には液状部材228と液状部材231を連通する連通口237が設けられている。
【0174】
液状部材228及び231の構成、並びにその他の構成は第7の実施の形態と同じである。
【0175】
(作用)
回転リング207を回すことでカム211が回転し、カム面210に付勢されているピン216が軸方向に移動する。ピン216はレンズ枠212に固定されているため、レンズ227及びカバーガラス225,226もこれに従って移動する。
【0176】
この時、液状部材228または231に圧力が加わり、連通口237を通って移動する。よって、レンズ枠232等の移動を妨げることはない。
【0177】
従って、レンズ227及びカパーガラス225,226を光学繊維束217の接眼側端面219に対して意図的に移動させることができる。
【0178】
また、内視鏡本体等の医療製品をオートクレーブ減菌するときには、内視鏡本体を高圧高温水蒸気にさらすことで滅菌することができる。
【0179】
(効果)
以上のように本実施の形態では、以下の効果を有する。
【0180】
軽い操作力量で視度調整を行うことができる。その他の効果は第7の実施の形態と同じである。
【0181】
以上述べた第7,第8の実施の形態によれば、(1)オートクレーブ滅菌によって高圧高温水蒸気が水密構造内部にも侵入してくるが、レンズ群の外表面であるカバーガラス表面は接着剤で覆われているか、液状部材で覆われているため、曇りが発生することが無い。(2)簡単な構造で視度調整を行うことができる。(3)殆どコストを上げることなく、曇り防止構造でかつ視度調整可能構造を有することができる。(4)殆ど重量増加することなく、曇り防止構造でかつ視度調整可能構造を有することができる。
【0182】
(第9〜第11の実施の形態)
第9〜第11の実施の形態は、オートクレーブ滅菌時等に、イメージガイドファイバーやライトガイドファイバーに高圧高温水蒸気が触れてファイバーを劣化させることのないように構成した内視鏡装置の実施の形態を示している。
【0183】
(第9の実施の形態)
図13は本発明の第9の実施の形態の内視鏡装置を示す断面図を示す。図13は内視鏡挿入部301を示している。
【0184】
(構成)
図13に示すように、内視鏡の先端硬性部302には対物レンズ303と、その後方にはイメージガイドファイバー304が設けてある。
【0185】
対物レンズ303の外周はメタライズ処理が施されており、先端硬性部302に対して半田付け、ろう付け等により固定してあり、その接合部よりオートクレーブ滅菌時に高圧高温水蒸気がレンズ内部に侵入しないようになっている。
【0186】
また、先端硬性部302には、照明レンズ305とその後方にライトガイドファイバー306が設けてある。照明レンズ305も対物レンズ303と同様な方法で先端硬性部302に固定してある。
【0187】
図14はイメージガイドファイバー304である。ライトガイドファイバー306も基本的な構造は同じである。イメージガイドファイバー304の両端には金属製の口金307,307が接着固定されている。両口金307には薄肉で可撓性を有するステンレス,アルミニウム等の金属チューブ308が、半田付け,ろう付け,あるいはレーザー溶接等で固定され、ファイバー全長にわたり被覆している。また、先端側の口金307も先端硬性部302に対し半田付け,ろう付け,あるいはレーザー溶接等で固定されている。従って、これら接合部から高圧高温水蒸気が侵入してファイバーを劣化させることはない。なお、この接合部から高圧高温水蒸気が侵入しないことが望ましいが、少なくとも接着剤等により水密になっていれば、ファイバーの大きな劣化はない。
【0188】
(作用)
内視鏡をオートクレーブ滅菌する際、オートクレーブ装置のチャンバー内が陰圧になる行程があり、この際、相対的に内視鏡内部の圧力が高くなり湾曲ゴムが破裂してしまう。従って、この問題を解決するために、(1)内視鏡に通気口金を設けて滅菌時に内外を連通させたり、(2)湾曲ゴムの外側に破裂防止のパイプを装着したりする。前者(1)の場合は、通気口金から多量の高圧高温水蒸気が内視鏡内部に侵入し、後者(2)の場合も可撓管の樹脂等から高圧高温水蒸気が侵入する。しかし、イメージガイドファイバー304、ライトガイドファイバー306は金属製のチューブ308で外装されているため、ファイバーに多量の高圧高温水蒸気が直接接触することはない。
【0189】
(効果)
以上のように本実施の形態では、以下の効果を有する。
【0190】
(1)ファイバーに高圧高温水蒸気が触れないのでファイバーが劣化して折れることがない。
【0191】
(2)ファイバーの外装チューブが金属なので、オートクレーブやエチレンオキサイドガス滅菌の陰圧行程でも外装チューブが破裂することがない。
【0192】
(第10の実施の形態)
図15は上記金属チューブ308の他の実施の形態を示している。
【0193】
(構成)
図15に示すように、第9の実施の形態と異なるのは、金属チューブ308の形状である。金属チューブ308において、内視鏡の湾曲部に相当する部分が蛇腹形状309になっている。蛇腹309はイメージガイドファイバー304あるいはライトガイドファイバー306の全長に亘ってあってもよい。
【0194】
(作用)
第9の実施の形態と同じである。
【0195】
(効果)
第9の実施の形態の効果に加え、より柔軟に曲がるという効果がある。
【0196】
以上述べた第9,第10の実施の形態によれば、ファイバーに高圧高温水蒸気が触れないのでファイバーが劣化して折れることがないという利点がある。
【0197】
(第11の実施の形態)
図16は図13におけるイメージガイドファイバー304或いはライトガイドファイバー306の他の実施の形態を示している。ここでは、イメージガイドファイバー304として説明する。
【0198】
(構成)
図16に示すように、複数のファイバー304を束ね、両端を口金307,307に挿入し接着等で固定している。更にシリコン等の柔軟なチューブ310でファイバー304の全長を覆い、チューブ310の両端を口金307に対し接着及び糸311で強固に固定している。その際、チューブ310内には液体状潤滑剤が空気層が無い状態で充填されている。液体状潤滑剤としては、グリース状コンパウンドであるオレフィン,パラフィン,シリコン等がある。
【0199】
(作用)
オートクレーブ滅菌やエチレンオキサイドガス滅菌での陰圧行程で、イメージガイドファイバー304もしくはライトガイドファイバー306の外装チューブ310内部の圧力が外部に対し相対的に高くなるが、外装チューブ310内は空気層が無い状態で液体潤滑剤が充填されているため、外装チューブ310が膨らんで破裂することはない。
【0200】
また、オートクレーブ滅菌時、スコープ内部に高圧高温水蒸気が侵入するが、液体潤滑剤によりファイバーに直接高圧高温水蒸気が触れることが無いのでファイバーが劣化することはない。
【0201】
(効果)
以上のように本実施の形態では、以下の効果を有する。
【0202】
(1)オートクレーブ滅菌やエチレンオキサイドガス滅菌を施してもイメージガイドファイバーやライトガイドファイバーの外装チューブが破裂することはない。
【0203】
(2)イメージガイドファイバーやライトガイドファイバーの劣化がない。
【0204】
[付記]
(付記項1)光軸方向に移動可能な移動光学系を有する内視鏡装置において、
前記移動光学系を含んで構成される光学ユニットを密封して構成するとき、
この光学ユニットの隔壁を構成する部材の少なくとも1つを、光軸方向に伸縮可能で、少なくとも表面が金属である管状弾性部材で構成した内視鏡装置。
【0205】
(付記項2)被写体像を伝達するための観察光学系を有した内視鏡装置において、
前記観察光学系の少なくとも一部の光学部材により構成される光軸方向に移動可能な移動光学系と、
この移動光学系を保持する可動枠と、
この可動枠と気密接合手段により接合された光軸方向に伸縮可能な、少なくとも表面が金属からなる管状弾性部材と、
この管状弾性部材を隔壁の一部とする気密密閉部とを有する内視鏡装置。
【0206】
(付記項3)光学系全体を支持する固定枠と、前記固定枠に内蔵されて移動する光学系と、前記固定枠と移動する前記光学系の光軸方向の移動する空間を覆う光軸方向に伸縮可能な管状弾性部材と、前記固定枠と前記管状弾性部材を気密に接合する接合手段とを具備する内視鏡装置。
【0207】
(付記項4)光学系全体を支持する固定枠と、固定枠に内蔵される移動する光学系と、固定枠と移動する光学系の光軸方向の移動する空間を覆う光軸方向に伸縮可能な金属製の管状弾性部材と、固定枠と管状弾性部材をろう接、溶接、接着の気密接合手段で接合した内視鏡装置。
【0208】
(付記項5)相対的に光軸方向に移動する光学系と撮像素子とが、光学系と撮像素子または撮像素子を支持する枠体の嵌合部を光軸方向に伸縮可能な管状弾性部材で気密に接合した内視鏡装置。
【0209】
(付記項6)前記管状弾性部材は、金属製薄板の蛇腹構造である付記項1ないし付記項4の少なくとも1つに記載の内視鏡装置。
【0210】
(付記項7)管状弾性部材は金属薄膜または金属コーティングを施したゴムまたは樹脂であり、金属薄膜または金属コーティング面で枠体と気密に接合した付記項1ないし付記項4の少なくとも1つに記載の内視鏡装置。
【0211】
(付記項8)前記気密接合手段は、融接、圧接、ろう接等の金属溶接、溶融ガラス、接着である付記項1又は付記項4の少なくとも1つに記載の内視鏡装置。
【0212】
(付記項9)前記管状弾性部材は、融接金属製薄板の蛇腹構造部材であり、前記気密接合手段は、金属溶接である付記6記載の内視鏡装置。
【0213】
(付記項10)前記気密密閉部を構成する隔壁は、金属、樹脂、セラミックス、ガラス、結晶性材料である付記項2記載の内視鏡装置。
【0214】
(付記項11)前記気密密閉部を構成する隔壁は、金属、セラミックス、ガラス、結晶性材料であり、前記気密接合手段は金属溶接、溶融ガラスである付記項8又は付記10記載の内視鏡装置。
【0215】
(付記項12)前記移動光学系は、前記気密密閉部の内部部品または隔壁の一部である請求項2記載の内視鏡装置。
【0216】
(付記項13)移動する光学系の光軸方向の前後のそれぞれの空間に管状弾性部材を枠体に気密に設けた付記項1ないし付記項4の少なくとも1つに記載の内視鏡装置。
【0217】
(付記項14)前記管状弾性部材は、前記可動枠の前方と後方にそれぞれに設けられており、前記可動枠に保持された移動光学系を形成する光学部材によって仕切られた前記気密密閉部内の前方の空間と、後方の空間は、連通している付記13に記載の内視鏡。
【0218】
(付記項15)移動する光学系は、撮像レンズまたは撮像素子である付記項1ないし付記項4の少なくとも1つに記載の内視鏡装置。
【0219】
(付記項16)移動する光学系は、内視鏡の対物光学系、または内視鏡に接続される撮影装置である付記項1ないし付記項4の少なくとも1つに記載の内視鏡装置。
【0220】
(付記項17)移動する光学系は、内視鏡の接眼光学系、または内視鏡に接続される撮影用アダプターの撮像光学系である付記項1ないし付記項4の少なくとも1つに記載の内視鏡装置。
【0221】
(付記項18)挿入部と、前記挿入部内に配設された被写体像を伝送する光ファイバ製のイメージガイドと、前記イメージガイドによって伝達された画像を観察者のアイポイントに結像する為の接眼レンズ光学系とを有する内視鏡装置において、
前記接眼レンズ光学系の少なくとも一部の光学部材により構成される光軸方向に移動可能な移動光学系と、前記移動光学系を保持する可動枠と、前記可動枠と気密に接合された光軸方向に伸縮可能な、少なくとも表面が金属からなる管状弾性部材と、前記管状弾性部材を隔壁の一部とする気密密閉部とを有し、前記移動光学系は、前記気密密閉部の内部部品及び又は隔壁の一部である付記項1記載の内視鏡装置。
【0222】
(付記項19)硬性の挿入部と、前記硬性の挿入部に配置された細長の筒状部材と、前記筒状部材内に非固定的に挿入されて配置された被写体像を伝送する為のリレーレンズと、前記挿入部より基端側に配置された、前記リレーレンズによって伝達された画像を撮像する為の撮像レンズ及び固体撮像素子を含んで構成された撮像光学系とを有する内視鏡装置において、
前記撮像レンズ及び固体撮像素子の少なくとも一方を含んで構成された光軸方向に移動可能な移動光学系と、前記移動光学系を保持する可動枠と、前記可動枠と気密に接合された光軸方向に伸縮可能な、少なくとも表面が金属からなる管状弾性部材と、前記管状弾性部材を隔壁の一部とする気密密閉部とを有する内視鏡装置。
【0223】
(付記項20)外装に設けられ、外部から回転操作可能な調整環と、前記調整環の回転運動を前記可動枠の光軸方向の直線運動に変換する運動方向変換機構とを有する付記項19記載の内視鏡装置。
【0224】
(付記項21)前記運動方向変換機構は、調整環もしくは該調整環と連動して回転する連動枠か、または可動枠のどちらか一方の部材に設けられた、円周方向に斜めに切られたカム溝と、前記カム溝と係合する、前記カム溝の設けられた部材の他方の部材に固定的に設けられた係合部材と、前記可動枠に設けられた、可動枠が回転するのを防止する回転防止機構とによって構成された付記項20記載の内視鏡装置。
【0225】
(付記項22)前記密閉に構成されたレンズユニットに、前記管状弾性部材が伸縮したときに変化するレンズユニット内部空間内の気体の体積変化を吸収する体積変化吸収部材を設けた付記項1記載の内視鏡装置。
【0226】
以上述べた付記項1〜21について作用を説明する。
付記項1,2,3,4,6,7,8,9,10,11,12,15,16,17,18,19においては、オートクレーブ滅菌時、気密に構成された光学系と外部環境の相対的な圧力変化が起きても管状弾性部材は自身の蒸気透過性がなく、完全に高圧高温水蒸気を遮断し、かつ、膨らんだり、縮んだりすることなく形状を保つ。また、管状弾性部材と固定枠、移動光学系とのそれぞれの接合部は機械的な隙間が無く、高圧高温水蒸気を透過することが無い。さらに使用時には移動する光学系の気密ユニットの外側に設けられたピン等を直接またはカム構造等で間接的に動かすことで、光学系は光軸に沿って移動する。
【0227】
付記項5においては、光学系を支持する光学系支持枠と撮像面を内蔵する撮像面支持枠との嵌合部を覆う管状弾性部材により、光学系支持枠と撮像面支持枠とを嵌合部に沿って相対的に移動させると、管状弾性部材が十分な伸縮を示し、相対距離が調整される。
【0228】
付記項13においては、付記項2及び付記項4に追加し、固定された一対の固定された光学系に対し、相対的に移動可能な光学系の気密空間外部に設けられたピン等を直接またはカム構造等で間接的に動かすことで、光軸方向に光学系が移動し、光軸方向の両端部の固定された光学系との間で管状弾性部材は伸縮と圧縮を相対的に行う。
【0229】
付記項14においては、接眼レンズ枠に形成される接眼レンズ先端側空間と接眼レンズ基端側空間とを連通する通気孔を形成することにより、一方の空間内の気体が圧縮された場合には、他方の空間内に圧縮された気体を送り込んで視度調整リングの回転力量が大きくなることや、回転が元に戻されてしまうといった不具合を解消する。
【0230】
付記項20,21,22においては、ピントの合った画像が得られなくなった場合には、焦点調整リングを回転させることにより、固定ピンによって連結された連動枠を一緒に回転する。そして、この連動枠が回転すると、連動枠のカム溝に係合している可動枠に設けられたカムピンが光軸方向に移動していく。これにより、可動枠及び可動枠内部の撮像素子枠に保持された撮像素子が光軸方向に移動する。このとき、レンズユニット空間内の気体の体積変化は体積変化吸収部材によって吸収される。
【0231】
(付記項23)気密構造のレンズユニットと、前記レンズユニットが移動可能に組み付けられ、更に水密構造を有する枠部材と、を有する内視鏡装置においてレンズユニットの少なくともレンズ面を含む外周面に囲まれた空間に、流動性を有する透明部材を配した内視鏡装置。
【0232】
(付記項24)前記枠部材と前記レンズユニットは、変形可能な接続部材によって接続されている、付記項23に記載の内視鏡装置。
【0233】
(付記項25)前記変形可能な接続部材は、蛇腹構造を有している付記項24に記載の内視鏡装置。
【0234】
(付記項26)前記変形可能な接続部材は、弾性部材により構成されている付記項24に記載の内視鏡装置。
【0235】
(付記項27)前記レンズ面を含む外周面に囲まれた複数の空間を有し、レンズ枠には複数の空間を連通する連通口を有した付記項23に記載の内視鏡装置。
【0236】
(付記項28)前記透明部材は耐熱性を有する部材である付記項23又は項24に記載の内視鏡装置。
【0237】
以上述べた付記項23〜項28について作用を説明する。
付記項23においては、操作者が視度調整操作をすることで、レンズユニットが光学繊維束の接眼側端面に対して移動し、視度調整することができる。
【0238】
付記項24においては、レンズユニットが移動したとき、接続部材が変形することで、レンズユニット外周面の光学部材の表面を覆っている透明部材が流動することができる。その他の作用は付記項23と同じ。
【0239】
付記項25においては、レンズユニットが移動したとき、蛇腹の接続部材が伸び縮みして変形することで、レンズユニット外周面の光学部材の表面を覆っている透明部材が流動することができる。その他の作用は付記項23と同じ。
【0240】
付記項26においては、レンズユニットが移動したとき、弾性部材によって設けられた接続部材が変形することで、レンズユニット外周面の光学部材の表面を覆っている透明部材が流動することができる。その他の作用は付記項23と同じ。
【0241】
付記項27においては、レンズユニットが移動したとき、透明部材がレンズ枠の連通口を通って移動することで、レンズユニット外周面の光学部材の表面を覆っている透明部材が流動することができる。その他の作用は付記項23と同じ。
【0242】
付記項28においては、オートクレーブ減菌を行ったとき、内視鏡全体が約135℃まで加熱される。しかし、透明部材が耐熱性を有するため、着色・変性が発生しない。
【0243】
(付記項29)多数の光学繊維を束ねて構成した光学繊維束を有する内視鏡装置において、前記光学繊維束の両端を口金に固定するとともに、前記口金間を可撓性を有する金属材料からなるチューブで覆い、かつ前記口金に対し水密に接合した内視鏡装置。
【0244】
(付記項30)前記チューブは少なくとも一部に蛇腹部を有する付記項29に記載の内視鏡装置。
【0245】
以上述べた付記項29,30について作用を説明する。
付記項の構成により、可撓性を持ちつつ、オートクレーブによる高圧高温水蒸気がファイバーに触れないという作用を持つ。
【0246】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、移動する光学系に対しても、外部環境の圧力変化に対し強度を保つと共に、高圧高温水蒸気の侵入に対し確実に気密を確保できるので、内視鏡装置に対してオートクレーブ滅菌のような高圧高温水蒸気による滅菌を行うことが可能となる。しかも、電源,磁石等の特別な調整手段,駆動機構を用いることなく、従来の装置に対して簡単な改造を行うのみで、光学系の視度調整が可能でかつオートクレーブ滅菌に対して気密構造を有する内視鏡装置を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の内視鏡装置を示す断面図。
【図2】図2及び図3は第1実施形態の応用例に係り、図2は全長に亘り径がほぼ一定な管状弾性部材を用いた接眼部の構成例を説明する図
【図3】接眼ユニットに設けた体積変化吸収部材を説明する図
【図4】接眼ユニットに他の構成を説明する図
【図5】本発明の第2の実施の形態の内視鏡装置を示す断面図。
【図6】本発明の第3の実施の形態の内視鏡装置を示す断面図。
【図7】図7ないし図9は本発明の第5の実施の形態の内視鏡装置に係り、図7は挿入部が硬性のビデオスコープの構成を示す図
【図8】図7の先端部付近の断面を示す説明図
【図9】図7の操作把持部付近の断面を示す説明図
【図10】本発明の第7の実施の形態の内視鏡装置を示す断面図。
【図11】図示の装置の動作を示す断面図。
【図12】本発明の第8の実施の形態の内視鏡装置を示す断面図。
【図13】本発明の第9の実施の形態の内視鏡装置を示す断面図。
【図14】図13におけるイメージガイドファイバーを示す断面図。
【図15】本発明の第10の実施の形態の内視鏡装置を示す断面図。
【図16】本発明の第11の実施の形態の内視鏡装置を示す断面図。
【符号の説明】
1…内視鏡接眼部
2…イメージガイド
3…外装チューブ
4…IG枠
5…IGカバー窓
6…接眼光学系
7…可動枠
8…第1のカムピン
9…第1のカム溝
10…支持枠l0
11…連動枠11
12…第2のカム溝
13…第2のカムピン
14…焦点調整リング
15…第1の環状弾性水密部材
16…固定筒
17…弾性部材
18…第1のビス
19…アイピース
20…緩み止めビス
21…第2の環状弾性水密部材
22…カバー窓
23…カバー窓押え
24…カバー窓接合面
25…第1の管状弾性部材
26…第1の弾性体気密接合面
27…第2の管状弾性部材
28…第2の弾性体気密接合面
29…気密空間
30…カバー窓固定枠
51…ビデオアダプター
52…内視鏡
53…カメラヘッド
54…アイピースマウント
55…第1の環状弾性水密部材
56…本体
57…ナット
58…ワッシャ
59…調整リング
61…第2の環状弾性水密部材
62…リングストッパ
63…ビス
64…第1のカム溝
65…カムピン
66…直進カム溝
67…レンズ枠
68… 撮像光学系
69…第1のカバー窓枠
70…接合面
71…第1のカバー窓
72…接合面
73…第2のカバー窓枠
74…接合面
75…第2のカバー窓
76…接合面
77…第1の凸部
78…第1の管状弾性部材
79…接合面
80…第2の凸部
81…第2の管状弾性部材
82…接合面
83…気密空間
84…第1の端部
85…第2の端部
101…挿入部
102…先端枠
103…ライトガイド
104…照明用レンズ
105…対物レンズ枠
106…環状弾性水密部材
107…対物カバーレンズ
108…対物レンズ系
109…フィルター枠
110…光学フィルター
111…撮像素子枠
112…撮像素子
113…接点ピン
114…撮像素子コネクタ
115…駆動回路
116…撮像素子基板
117…FPC板
118…ハーメチックコネクタ
119…ハーメチックコネクタピン
120…信号ハーネス
121…先端外装部材
122…ケーブル外被
123…撮像素子水密カバー
124…カバー接続部
126…管状弾性部材
127…気密接合面
128…気密空間
129…突片
130…操作ワイヤ
131…コイル状弾性部材
201…接眼部
202…接眼土台
203…内枠
204…外枠
205…カバーガラス押え
206…カバーガラス
207…回転リング
208…リング
209…係止ピン
210…カム面
211…カム
212…レンズ枠
213,214…端面
215…バネ
216…ピン
217…光学繊維束
218…光学繊維束受け
219…接眼側端面
220…カバーガラス
221…酸化クロム蒸着
222…第1の蛇腹
223,224…リング
225,226…カバーガラス
227…レンズ
228…液状部材
229…第2の蛇腹
230…リング
231…液状部材
232…レンズ枠
233…光学繊維束受け
234,235…Oリング
236…カバーガラス押え
237…連通口
301…挿入部
302…先端硬性部
303…対物レンズ
304…イメージガイドファイバー
305…照明レンズ
306…ライトガイドファイバー
307…口金
308…金属チューブ
309…蛇腹
310…軟性チューブ

Claims (2)

  1. 光軸方向に移動可能な移動光学系を有する内視鏡装置において、
    前記移動光学系を含んで構成される光学ユニットと、
    前記光学ユニットにおいて形成される気密空間と、
    前記光学ユニットにおける前記気密空間の隔壁を構成する、少なくとも表面を金属で形成した弾性部材であって、前記移動光学系の移動に応じて光軸方向に伸縮可能な管状弾性部材と、
    前記気密空間に対して前記管状弾性部材とは別に連通して形成された体積変位部材であって、当該管状弾性部材の伸縮により変位する前記気密空間の体積に応じて自らの体積を変位することにより当該気密空間の圧力変化を吸収する体積変化吸収部材と、
    を具備したことを特徴とする内視鏡装置。
  2. 前記体積吸収部材は、管状を呈する弾性部材により構成されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
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