JP4178239B2 - 高密着性酸化物皮膜及びその製造方法 - Google Patents

高密着性酸化物皮膜及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非酸化物セラミックス上にコーティングする耐酸化、耐環境性皮膜に関するものであり、更に詳しくは、緻密で、基材との密着性が良い酸化物皮膜を、安価で、且つ簡単な方法で基材上に成膜することにより、非酸化物セラミックス基材の高温酸化、高温腐食を抑制する高密着性酸化物皮膜及びその製造方法に関するものである。
本発明は、従来、例えば、ガスタービン等の構造部材として応用されている、窒化ケイ素や炭化ケイ素セラミックス材料について、それらの高温における酸化、及び水蒸気腐食を防止するための耐腐食性皮膜に関する技術分野において、緻密で、基材との密着性が良く、高温に長時間晒されても構造変化を起こさず、優れた高温耐腐食性を有する新規酸化物皮膜からなる新素材、その製造方法、及び該酸化物皮膜を形成した耐高温腐食性非酸化物セラミックス構造体を提供するものとして有用である。
窒化ケイ素や炭化ケイ素セラミックスは、1600℃までの高温で酸化して表面にシリカを生成し、更に、高温では蒸気相のSiOを生成し、このSiOが昇華するため、減肉しながら損耗する。これらの非酸化物セラミックスは、高温で水蒸気が存在する環境下では、酸化に加えて水蒸気による腐食が生じ、損耗が加速され、更に、ガスタービン燃焼場のような高速気流中では、エロージョン効果も加わり、減肉が加速される。したがって、例えば、非酸化物セラミックスをガスタービン部材として応用する際には、その表面に、高温における酸化、水蒸気腐食を防止する耐腐食層を形成させる必要がある。
上記非酸化物セラミックスが酸化して形成されるシリカ層は、非酸化物セラミックスと密着性が良いものの、シリカ層と非酸化物セラミックスの熱膨張係数が大きく異なるため、シリカ層及び非酸化物セラミックスの表層に大きなクラックが生じ、セラミックス構造体の強度が低下することが知られている。したがって、高温における非酸化物セラミックスの酸化、水蒸気腐食を防止する耐腐食層は、酸素分子、或いは水蒸気分子を通さない緻密な皮膜であることが必要であり、高温に長時間晒されても構造変化を起こさず、高温耐腐食性に優れる相を選択する必要がある。
また、このような耐環境性皮膜を形成した非酸化物セラミックスのガスタービン部材としての応用を考慮した場合、繰り返しの熱衝撃や高速気流に晒されても、皮膜が基材から剥離しないように、基材と皮膜の密着強度が大きくなければならない。更に、非酸化物セラミックスは、熱膨張係数が3〜4.5×10-6/℃と小さいので、皮膜となる複酸化物の熱膨張係数も同程度に小さくなる相を選択することが、密着強度を考慮すると必然的に要求される。シリカの熱膨張係数は、窒化ケイ素や炭化ケイ素の熱膨張係数よりも大きいため、非酸化物セラミックス基材と耐環境性皮膜との間にシリカ層が生成すると、繰り返しの熱衝撃で皮膜が破損する。したがって、非酸化物セラミックスを高温で応用する際の耐環境性皮膜は、その下層にシリカ層を生成させないことが要求される。
希土類シリケートやムライト、チタン酸アルミニウム、ジルコンは、高温耐酸化、高温耐食性皮膜材料として有望視されており、その成膜と応用が検討され始めているのは、公知である。しかし、高温耐酸化、高温耐環境性皮膜として、これらの層を成膜させるには、(1)緻密であること、(2)密着性を高める必要性があること、及び、(3)下層にシリカ層を生成させてはいけないこと、などの必要条件が厳しいため、CVDやPVD法、或いはゾルゲル法、更には、プラズマ溶射法などの気相法、液相法、溶融法、イオン注入法が種々検討され、広く研究されている。
高密着性のセラミックス皮膜を成膜する手法としては、先行技術文献(例えば、特許文献1、2、3、4、5、6参照)に記載されているように、イオン注入法、熱プラズマ溶射法、プラズマ溶射法、スパッタ法、レーザーイオンプレーティング法により、チタニア、ガラス、金属間化合物、ジルコニア、を金属基材やC/Cコンポジット基材にコーティングする技術が提案されている。
CVDやPVD法は緻密で、且つ複雑形状の基材へも成膜が可能となるため、有用であるが、このプロセスは、高価で、且つ多くの時間を費やす工程となる、という問題がある。ゾルゲル法は、より簡便な手法であるが、原料となるゾルが高価なため、この工程も高価な工程となる、という問題がある。プラズマ溶射法は、減圧下で成膜しても酸素や水蒸気分子の侵入を許すほどのポロシティを有する皮膜しか作製することができないため、最下層には、緻密な皮膜が要求されることがよく知られている。
したがって、高温耐酸化皮膜、高温耐環境性皮膜の作製においては、(1)緻密であること、(2)密着性を高める必要性があること、及び、(3)下層にシリカ層を生成させてはいけないこと、に付け加えて、(4)簡便であること、及び、(5)安価であること、を満たす新しい成膜プロセスの開発が望まれているのが現状である。
すなわち、簡便な皮膜の作製法としては、基材に酸化物スラリーを含浸させ、反応焼結させる方法があるが、この方法を採用すると、多くの場合、皮膜と基材との間にシリカ層が生成する。基材と皮膜との間に生成するシリカ層の熱膨張係数は、基材及び皮膜層の熱膨張係数と大きく異なるため、皮膜が破損するのみならず、基材の強度を低下させることが問題となる。したがって、基材と目的とする耐環境皮膜との間にシリカ層を全く生成させない簡便な成膜手法が求められる。
更に、基材に酸化物スラリーを含浸させディップコートを行なった後に、酸化物のつめ粉に埋めて反応焼結法で皮膜を作製する場合、反応焼結により、目的とする皮膜の作製は可能となるが、基材と皮膜との間にシリカ層が生成する場合が多く、また、基材の表面にシリカ層を形成させた後に、酸化物のつめ粉に埋めて常圧下で反応焼結法で皮膜を作製する場合、基材との密着性が悪く、つめで引っ掻いただけで皮膜が剥離するような脆弱な皮膜となる場合が多い。したがって、基材と皮膜の密着性に優れ、緻密な酸化物皮膜を簡便に作製する新しい手法の開発が要求される。
特開平7−54149号公報 特開平9−228070号公報 特開平8−253876号公報 特開平8−253874号公報 特開平6−10112号公報 特開平5−171426号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術における諸問題であるプロセスの簡略化及び低コスト化に関する問題を抜本的に解決することを可能とする新しい高密着性、高密度の高耐環境性皮及びその成膜手法を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、反応焼結法を応用して、不活性雰囲気の下、高圧条件下で成膜することにより、簡便で、且つ安価なプロセスで緻密で基材との密着性に優れた皮膜を成膜することが可能であることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
本発明は、非酸化物セラミックスを高温材料として応用する際に要求される耐酸化・耐環境皮膜の作製を簡便に行なわせることができる新しい成膜方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、基材との密着強度に優れ、緻密で、基材と皮膜の間にシリカ層が全く存在しない皮膜の作製を、高圧下における反応焼結法を応用することで、簡便で、低コストのプロセスで行なう方法を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、皮膜内部が緻密で、表面がウィスカーライクの結晶相で覆われた、高温耐環境皮膜材料の、ムライト、ジルコン、ハフノン、チタン酸アルミニウム、希土類シリケート、希土類アルミネート、希土類ジルコネート、希土類ハフネート皮膜を有する、非酸化物セラミックス構造体及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)非酸化物セラミックス基材上に形成させる耐腐食性酸化物皮膜の製造方法であって、
1)窒化ケイ素、炭化ケイ素、或いはそれらの複合材を基材として、それらを大気中で加熱処理して該非酸化物セラミックスの基材表面にシリカスケールを形成させる、
2)上記非酸化物セラミックスを、つめ粉の酸化物粉末に埋め、常圧より高圧の圧力下、不活性雰囲気下で反応焼結させ、つめ粉の酸化物と基材表面のシリカ層を反応させることにより、皮膜内部が緻密で表面がウィスカーライクの結晶相で覆われ、基材と皮膜の間にシリカ層が存在しない酸化物層の皮膜を基材表面に形成させる、
3)上記1)〜2)により、基材に酸化物層からなる耐腐食性酸化物皮膜を形成する、
ことを特徴とする酸化物皮膜の製造方法。
(2)Al、Ln(Ln=Y,Yb,Lu)、TiO、ZrO、HfOの酸化物のうちの少なくとも1種、又は該酸化物とSiO の複酸化物を、つめ粉の酸化物粉末として用いる、前記(1)記載の方法。
(3)高圧下で、反応焼結法を利用して、高密着性のAl、Ln(Ln=Y,Yb,Lu)、TiO、ZrO、HfOの酸化物のうちの少なくとも1種、又は該酸化物とSiO の複酸化物の皮膜を有する耐腐食性酸化物皮膜を形成する、前記(1)記載の方法。
(4)大気中での加熱処理を、800〜1600℃の温度範囲で行ない、基材表面に1〜10ミクロンのシリカスケールを析出させる、前記(1)記載の方法。
(5)非酸化物セラミックスを、つめ粉の酸化物粉末に埋め、1200〜1600℃の温度範囲で3〜8気圧の高圧下、窒素又はアルゴンの不活性雰囲気下で反応焼結させる、前記(1)記載の方法。
(6)前記(1)から(5)のいずれかに記載の方法で作製した、窒化ケイ素、炭化ケイ素、或いはそれらの複合材の非酸化物セラミックス基材に耐腐食性複酸化物皮膜を形成した高温耐腐食性非酸化物セラミックス材料であって、
皮膜内部が緻密で表面がウィスカーライクの結晶相で覆われ、皮膜と基材との間にシリカ層の生成がなく、基材と高密着性の酸化物皮膜を有することを特徴とする高温耐腐食性非酸化物セラミックス材料。
)皮膜の酸化物が、ムライト、ジルコン、ハフノン、又は希土類シリケートを含む、前記(6)記載の非酸化物セラミックス材料。
)前記(6)又は(7)のいずれかに記載の非酸化物セラミックス材料を構成要素として含むことを特徴とする高温耐腐食性非酸化物セラミックス構造部材。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、一旦、基材となる非酸化物セラミックスを大気中で加熱処理を行ない、数ミクロン厚のシリカ層を基材表面に形成させる、処理を施した基材を、つめ粉の酸化物粉末に埋めて、窒素又はアルゴンの不活性雰囲気中、3〜8気圧の高圧下で、つめ粉の酸化物と基材表面のシリカ層を完全に反応させることにより、目的とする緻密な酸化物層を基材表面に形成させることにより、耐酸化・耐環境性皮膜を製造することを特徴とするものである。この方法で作製される皮膜は、内部が緻密になり、表面がウィスカーライクの結晶相で覆われるのが特徴である。
本発明では、窒化ケイ素、炭化ケイ素、或いはそれらの複合体を基材として使用し、これらを800〜1600℃の温度範囲で大気中で加熱処理を行ない、1〜10ミクロン厚のシリカスケールを生成させる。窒化ケイ素及び炭化ケイ素の高温における酸化挙動及びスケール生成速度は既知であるので、文献を参照し、時間の調節は容易に行なうことができる。上記非酸化物セラミックスの酸化物スケールは、800℃から生成し始めるが、1600℃を超える高温になると、スケールの生成速度が大きくなり、1〜10ミクロン厚の均一なシリカスケール生成の制御が困難となる。したがって、この工程における加熱処理は、800〜1600℃の温度範囲で行なうことが好ましい。ここで得られるシリカスケールは、窒化ケイ素、或いは炭化ケイ素とシリカの熱膨張係数が大きく異なるため、スケール表面にはクラックが生じている。10ミクロンを超える厚膜スケールを形成させると、その後の反応焼結により作製される酸化物皮膜にもクラックが生じるようになるため、最初の工程として行なう基材の加熱処理によるシリカスケールの厚さは、1〜10ミクロンが好適である。
上記工程で得られたシリカスケールを表面に形成させた非酸化物セラミックスを、つめ粉の酸化物粉末に埋め、1200〜1600℃の温度範囲で3〜8気圧の高圧下、窒素又はアルゴンの不活性雰囲気下で反応焼結させる。雰囲気が不活性ガスであるため、基材の更なる酸化を抑制され、つめ粉の酸化物とシリカスケールが反応し、目的の酸化物層が得られる。
焼結温度は、目的とする皮膜の種類により種々選択する。また、基材表面に形成させたシリカスケールの厚さと焼結温度及び焼結時間は互いに関連があり、焼結温度を低くすると、焼結時間を長くする必要が生じる。本発明は、簡便で、低コストの成膜手法を提供することが目的であるため、焼結時間が1日以内に行なえるように、目的の酸化物層の形成に対して、基材のシリカスケールの厚みに対応した焼結温度及び焼結時間を調整する。
得られた焼結体の表面に付着した、つめ粉に用いた酸化物粉末を、ブロアーで吹き飛ばした後、超音波洗浄して、完全に付着物を除去する。基材表面に形成されたシリカ層とつめ粉との反応は、表面からのX線回折法により確認し、その回折パターンにおいて、シリカのピークが完全に消滅し、基材と目的の酸化物層のピークが確認された時点で反応が完結したものと判断する。
本発明により、(1)本発明の工程で得られる耐酸化・耐環境性皮膜は、基材と皮膜の密着性が良好であり、基材と皮膜の間のシリカ層を完全に除去することができる、(2)本発明の工程は、気相法や特別な成膜法とは異なり、簡便で、低コストの工程となり得る、(3)本発明の工程で作製される皮膜表面は、ウィスカーライクの結晶相で覆われることが特徴となる、(4)基材の酸化処理前に基材表面を研磨或いは粗すことにより、成膜される被膜の表面状態を任意に変化させることが可能となることから、更にその被膜の上に成膜を施す場合、成膜が容易になる、という効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。本発明の実施例を図1〜図9に基づいて説明する。
(1)成膜方法
本発明の工程は、(1)基材の酸化処理、(2)高圧下における反応焼結、の2段階で構成され、基材表面に形成させるシリカ層の厚さ、目的とする酸化物皮膜の種類により、温度、圧力の条件は好適なものを選択するが、ここでは、一例として、ムライト層を成膜した手法、及びジルコン及びハフノン層を成膜した例をもって、皮膜の性状を説明する。ここで示される条件は、本発明の一例であり、基材表面にシリカスケールを形成させる温度やスケールの厚さ、反応焼結時の温度及び圧力は、本発明の範囲内で、目的の化合物により任意に選択されるものである。したがって、ここで説明する例は、温度や圧力などの条件に制約を加えるものではない。また、密着性の比較のため、常圧下で反応焼結させた例も示し、比較した結果を説明する。
図1に、本発明の工程の概念図を示す。非酸化物セラミックス基材を大気中で加熱処理することにより、厚さが1〜10ミクロンのシリカスケールを基材表面に形成させる。次いで、シリカスケールを有する基材を、酸化物粉末のつめ粉に埋めて、高温で、シリカスケールとつめ粉として使用する酸化物粉末を反応焼結させて、目的の酸化物皮膜を成膜する。
一例として、窒化セラミックスの上にムライト皮膜を成膜した手順を説明する。基材の窒化セラミックスとしては、市販の窒化ケイ素(京セラ製、SN−282)を用いた。窒化セラミックスを大気中、1200℃で24時間熱処理することにより、図2に示すように、窒化ケイ素の表面にシリカスケールを形成した。シリカと窒化ケイ素セラミックスの熱膨張係数が大きく異なるために、シリカスケール表面にはクラックが発生したが、シリカスケールは、窒化セラミックスが酸化して生じるため、シリカ層と窒化セラミックスの密着性は良好であり、また、シリカスケールは、クラックはあるものの、緻密な層となった。この場合は、およそ5ミクロンのシリカスケールとなった。
このようにして得られたシリカスケールを全表面に有する窒化ケイ素試料を、アルミナ粉(純度99.99%、中心粒径が4ミクロン、高純度化学社製)に埋め、窒素雰囲気中、1550℃、6気圧の圧力下で3時間反応焼結させた。炉冷した後、試料をつめ粉から取り出し、ブロアーで付着紛を吹き飛ばした後、水中で超音波洗浄した。
(2)結果
得られた試料の外観(図3)は、均一で薄い皮膜が形成されていることが判る。この試料の断面写真を図4に示す。およそ5ミクロン厚のムライト皮膜が形成されており、窒化ケイ素基材との密着性が非常に優れ、且つ非常に緻密な層を形成していることが判る。この試料の表面を写真を図5に示す。皮膜内部は、非常に緻密になっているにもかかわらず、その表面は、ウィスカーライクの結晶相で覆われている。表面には、クラックは観察されない。
(1)成膜方法
上記窒化ケイ素試料を、つめ粉として、ジルコニア粉末(純度99.9%、平均粒径が4ミクロン、高純度化学社製)を用いて、窒素雰囲気中、1550℃、6気圧の圧力下で3時間反応焼結させ、窒化ケイ素上にジルコン層が形成させた。また、上記窒化ケイ素試料を、つめ粉として、ハフニア粉末(純度99.9%、平均粒径が4ミクロン、高純度化学社製)を用いて、窒素雰囲気中、1550℃、6気圧の圧力下で3時間反応焼結させ、窒化ケイ素上にハフノン層が形成させた。
(2)結果
図6に、ジルコン層を成膜させた時とハフノン層を成膜させた時の外観写真を示す。均一で薄い皮膜が形成されていることが判る。図7に、ジルコン層表面のSEM写真を示す。図5のムライトのときと同様に、表面はウィスカーライクの結晶層で覆われている。本発明の工程で作製される皮膜表面は、図5、或いは図7に示すような、ウィスカーライクの結晶相で覆われるのが特徴である。
図8に、ジルコンを成膜した試料の表面から得られたX線回折図形を示す。この試料は、基材として用いた窒化ケイ素のピーク、目的の酸化物皮膜であるジルコンのピーク、及び若干のジルコニアピークからなり、本発明の最初の工程で形成させたシリカのピークは、完全に消滅している。
窒化ケイ素基材と酸化物皮膜との密着性は、図4の断面写真を見ても、その良好性は認められる。また、比較例として、窒化ケイ素にハフニアを塗布し、1400℃で仮焼結した試料をハフニア粉末に埋め、常圧下、1550℃で反応焼結させた試料を図9に示す。このようにして得られる試料は、手で擦る程度で、図に示すように、皮膜が剥離し、表面のX線回折図形ではシリカ相が確認される場合が多い。シリカ層が基材と目的の皮膜の間に形成されるため、基材と皮膜との密着性が劣化する。一方、本発明の工程で作製された皮膜は、鉛筆で引っ掻く程度では皮膜の剥離は起こらない。
本発明により、非酸化物セラミックス上にコーティングした耐酸化、耐環境性皮膜を簡便で、低コストで製造することができる。基材との密着性に優れ、緻密で、基材と皮膜の間にシリカ層が全く存在しない皮膜を作製できる。ガスタービン部材等に利用し得る耐高温腐食性非酸化物セラミックス構造体を製造し、提供することができる。
本発明は、非酸化物セラミックスを高温材料として応用する際に要求される耐酸化・耐環境皮膜の作製を簡便に行なうことを可能とするものであり、基材との密着強度に優れ、緻密で、基材と皮膜の間にシリカ層が全く存在しない皮膜の作製が、高圧下における反応焼結法を応用することで、簡便で、低コストのプロセスで行なえる。本発明により、皮膜内部が緻密で表面がウィスカーライクの結晶相で覆われた高温耐環境皮膜材料の、ムライト、ジルコン、ハフノン、チタン酸アルミニウム、希土類シリケート、希土類アルミネート、希土類ジルコネート、希土類ハフネート皮膜を有する非酸化物セラミックス構造体とその製造方法を提供することができる。
本発明の工程の概念図を示す。 大気中での熱処理で得られるシリカスケールを示す。 ムライト皮膜を成膜した例の外観を示す。 ムライト皮膜を成膜した例の断面写真を示す。 ムライト皮膜を成膜した例の表面写真を示す。 ジルコンとハフノン皮膜を成膜した例の外観を示す。 ジルコン皮膜を成膜した例の表面写真を示す。 ジルコン皮膜を成膜した例の表面からのX線回折図形を示す。 常圧下で反応焼結させた場合の剥離性を示す。

Claims (8)

  1. 非酸化物セラミックス基材上に形成させる耐腐食性酸化物皮膜の製造方法であって、
    (1)窒化ケイ素、炭化ケイ素、或いはそれらの複合材を基材として、それらを大気中で加熱処理して該非酸化物セラミックスの基材表面にシリカスケールを形成させる、
    (2)上記非酸化物セラミックスを、つめ粉の酸化物粉末に埋め、常圧より高圧の圧力下、不活性雰囲気下で反応焼結させ、つめ粉の酸化物と基材表面のシリカ層を反応させることにより、皮膜内部が緻密で表面がウィスカーライクの結晶相で覆われ、基材と皮膜の間にシリカ層が存在しない酸化物層の皮膜を基材表面に形成させる、
    (3)上記(1)〜(2)により、基材に酸化物層からなる耐腐食性酸化物皮膜を形成する、
    ことを特徴とする酸化物皮膜の製造方法。
  2. Al、Ln(Ln=Y,Yb,Lu)、TiO、ZrO、HfOの酸化物のうちの少なくとも1種、又は該酸化物とSiO の複酸化物を、つめ粉の酸化物粉末として用いる、請求項1記載の方法。
  3. 高圧下で、反応焼結法を利用して、高密着性のAl、Ln(Ln=Y,Yb,Lu)、TiO、ZrO、HfOの酸化物のうちの少なくとも1種、又は該酸化物とSiO の複酸化物の皮膜を有する耐腐食性酸化物皮膜を形成する、請求項1記載の方法。
  4. 大気中での加熱処理を、800〜1600℃の温度範囲で行ない、基材表面に1〜10ミクロンのシリカスケールを析出させる、請求項1記載の方法。
  5. 非酸化物セラミックスを、つめ粉の酸化物粉末に埋め、1200〜1600℃の温度範囲で3〜8気圧の高圧下、窒素又はアルゴンの不活性雰囲気下で反応焼結させる、請求項1記載の方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の方法で作製した、窒化ケイ素、炭化ケイ素、或いはそれらの複合材の非酸化物セラミックス基材に耐腐食性複酸化物皮膜を形成した高温耐腐食性非酸化物セラミックス材料であって、
    皮膜内部が緻密で表面がウィスカーライクの結晶相で覆われ、皮膜と基材との間にシリカ層の生成がなく、基材と高密着性の酸化物皮膜を有することを特徴とする高温耐腐食性非酸化物セラミックス材料。
  7. 皮膜の酸化物が、ムライト、ジルコン、ハフノン、又は希土類シリケートを含む、請求項6記載の非酸化物セラミックス材料。
  8. 請求項6又は7のいずれかに記載の非酸化物セラミックス材料を構成要素として含むことを特徴とする高温耐腐食性非酸化物セラミックス構造部材。
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