JP4172889B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明に係るトロイダル型無段変速機は、自動車用の自動変速機として利用する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用変速機として、図5〜6に略示する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力軸1と同心に配置された出力軸3の端部に出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシング5(後述する図8参照)の内側には、上記入力軸1並びに出力軸3に対して捻れの位置にある枢軸6、6を中心として揺動するトラニオン7、7を設けている。
【0003】
これら各トラニオン7、7は、両端部外側面に上記枢軸6、6を、各トラニオン7、7毎に互いに同心に、各トラニオン7、7毎に1対ずつ設けている。これら各枢軸6、6の中心軸は、上記各ディスク2、4の中心軸と交差する事はないが、これら各ディスク2、4の中心軸の方向に対して直角方向である、捩れの位置に存在する。又、上記各トラニオン7、7の中心部には変位軸8、8の基半部を支持し、上記枢軸6、6を中心として各トラニオン7、7を揺動させる事により、各変位軸8、8の傾斜角度の調節を自在としている。各トラニオン7、7に支持された変位軸8、8の先半部周囲には、それぞれパワーローラ9、9を回転自在に支持している。そして、各パワーローラ9、9を、上記入力側、出力側両ディスク2、4の内側面2a、4a同士の間に挟持している。
【0004】
上記入力側、出力側両ディスク2、4の互いに対向する内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸6を中心とする円弧若しくはこの様な円弧に近い曲線を回転させて得られる、断面円弧状の凹面をなしている。そして、球状凸面に形成された各パワーローラ9、9の周面9a、9aを、上記内側面2a、4aに当接させている。又、上記入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム装置10を設け、このローディングカム装置10によって上記入力側ディスク2を、出力側ディスク4に向け弾性的に押圧しつつ、回転駆動自在としている。
【0005】
上述の様に構成されるトロイダル型無段変速機の使用時、入力軸1の回転に伴って上記ローディングカム装置10が上記入力側ディスク2を、上記複数のパワーローラ9、9に押圧しつつ回転させる。そして、この入力側ディスク2の回転が、上記複数のパワーローラ9、9を介して出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。
【0006】
入力軸1と出力軸3との回転速度を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、枢軸6、6を中心として前記各トラニオン7、7を揺動させ、各パワーローラ9、9の周面9a、9aが図5に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、各変位軸8、8を傾斜させる。
【0007】
反対に、増速を行なう場合には、上記各トラニオン7、7を揺動させ、各パワーローラ9、9の周面9a、9aが図6に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、各変位軸8、8を傾斜させる。各変位軸8、8の傾斜角度を図5と図6との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得られる。
【0008】
更に、図7〜8は、実願昭63−69293号(実開平1−173552号)のマイクロフィルムに記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速機を示している。入力側ディスク2と出力側ディスク4とは円管状の入力軸11の周囲に、それぞれ回転自在に支持している。又、この入力軸11の端部と上記入力側ディスク2との間に、ローディングカム装置10を設けている。一方、上記出力側ディスク4には、出力歯車12を結合し、これら出力側ディスク4と出力歯車12とが同期して回転する様にしている。
【0009】
1対のトラニオン7、7の両端部に互いに同心に設けた枢軸6、6は1対の支持板13、13に、揺動並びに軸方向(図7の表裏方向、図8の左右方向)に亙る変位自在に支持している。そして、上記各トラニオン7、7の中間部に、変位軸8、8の基半部を支持している。これら各変位軸8、8は、基半部と先半部とを互いに偏心させている。そして、このうちの基半部を上記各トラニオン7、7の中間部に回転自在に支持し、それぞれの先半部に上記各パワーローラ9、9を回転自在に支持している。
【0010】
尚、上記1対の変位軸8、8は、上記入力軸11に対して180度反対側位置に設けている。又、これら各変位軸8、8の基半部と先半部とが偏心している方向は、上記入力側、出力側両ディスク2、4の回転方向に関して同方向(図8で左右逆方向)としている。又、偏心方向は、上記入力軸11の配設方向に対してほぼ直交する方向としている。従って上記各パワーローラ9、9は、上記入力軸11の配設方向に亙る若干の変位自在に支持される。
【0011】
又、上記各パワーローラ9、9の外側面と上記各トラニオン7、7の中間部内側面との間には、これら各パワーローラ9、9の外側面の側から順に、スラスト玉軸受14、14とスラストニードル軸受15、15とを設けている。このうちのスラスト玉軸受14、14は、上記各パワーローラ9、9に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ9、9の回転を許容する。又、上記各スラストニードル軸受15、15は、上記各パワーローラ9、9から上記各スラスト玉軸受14、14を構成する外輪16、16に加わるスラスト荷重を支承しつつ、上記各変位軸8、8の先半部及び上記外輪16、16が、これら各変位軸8、8の基半部を中心として揺動する事を許容する。更に、上記各トラニオン7、7は、油圧式のアクチュエータ17、17により、前記各枢軸6、6の軸方向に亙る変位自在としている。
【0012】
上述の様に構成されるトロイダル型無段変速機の場合、入力軸11の回転はローディングカム装置10を介して入力側ディスク2に伝えられる。そして、この入力側ディスク2の回転が、1対のパワーローラ9、9を介して出力側ディスク4に伝えられ、更にこの出力側ディスク4の回転が、出力歯車12より取り出される。
【0013】
入力軸11と出力歯車12との間の回転速度比を変える場合には、上記各アクチュエータ17、17により上記1対のトラニオン7、7を、それぞれ逆方向に、例えば、図8の下側のパワーローラ9を同図の右側に、同図の上側のパワーローラ9を同図の左側に、それぞれ変位させる。この結果、これら各パワーローラ9、9の周面9a、9aと上記入力側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン7、7が、支持板13、13に枢支された枢軸6、6を中心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の図5〜6に示した様に、上記各パワーローラ9、9の周面9a、9aと上記各内側面2a、4aとの当接位置が変化し、上記入力軸11と出力歯車12との間の回転速度比が変化する。
【0014】
トロイダル型無段変速機による動力伝達時には、構成各部の弾性変形に基づいて、上記各パワーローラ9、9が上記入力軸11の軸方向に変位する。そして、これら各パワーローラ9、9を支持した前記各変位軸8、8が、それぞれの基半部を中心として僅かに回動する。この回動の結果、上記各スラスト玉軸受14、14の外輪16、16の外側面と上記各トラニオン7、7の内側面とが相対変位する。これら外側面と内側面との間には、前記各スラストニードル軸受15、15が存在する為、この相対変位に要する力は小さい。
【0015】
上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機の場合には、上記入力軸11と出力歯車12との間での動力伝達を2個のパワーローラ9、9により行なっている。従って、各パワーローラ9、9の周面9a、9aと入力側、出力側両ディスク2、4の内側面2a、4aとの間で伝達される単位面積当たりの力が大きくなり、伝達可能な動力に限界が生じる。この様な事情に鑑みて、トロイダル型無段変速機により伝達可能な動力を大きくすべく、パワーローラ9、9の数を増やす事も、従来から考えられている。
【0016】
この様な目的でパワーローラ9、9の数を増やす為の構造の第1例として従来から、1組の入力側ディスク2と出力側ディスク4との間に3個のパワーローラ9、9を配置し、この3個のパワーローラ9、9によって動力の伝達を行なう事が、例えば特開平3−74667号公報に記載されている様に、従来から知られている。この公報に記載された構造の場合には、図9に示す様に、固定のフレーム18の円周方向等間隔の3個所位置に、それぞれが120度に折れ曲がった支持片19、19の中間部を枢支している。そして、隣り合う支持片19、19同士の間にそれぞれトラニオン7、7を、揺動並びに軸方向に亙る変位自在に支持している。
【0017】
上記各トラニオン7、7は、それぞれ油圧式のアクチュエータ17、17により、それぞれの両端部に互いに同心に設けた枢軸6の軸方向に亙る変位自在としている。上記各アクチュエータ17、17を構成する各油圧シリンダ20、20は、制御弁21を介して、油圧源であるポンプ22の吐出口に通じている。この制御弁21は、それぞれが軸方向(図9の左右方向)に亙って変位自在なスリーブ23とスプール24とを備える。
【0018】
それぞれが上記各トラニオン7、7に、変位軸8、8により枢支されたパワーローラ9、9の傾斜角度を変える場合には、制御モータ25により上記スリーブ23を軸方向(図9の左右方向)に変位させる。この結果、上記ポンプ22から吐出された圧油が、油圧配管を通じて上記各油圧シリンダ20、20に送り込まれる。そして、これら各油圧シリンダ20、20に嵌装された、上記各トラニオン7、7を枢軸の軸方向に亙り変位させる為の駆動ピストン26、26が、入力側ディスク2及び出力側ディスク4(図5〜7参照)の回転方向に関して同方向に変位する。又、上記各駆動ピストン26、26の変位に伴って上記各油圧シリンダ20、20から押し出された作動油は、やはり上記制御弁21を含む油圧配管(一部図示せず)を通じて、油溜27に戻される。
【0019】
一方、上記圧油の送り込みに伴う駆動ピストン26の変位は、カム28、リンク29を介して上記スプール24に伝達され、このスプール24を軸方向に変位させる。この結果、上記駆動ピストン26が所定量変位した状態で、上記制御弁21の流路が閉じられ、上記各油圧シリンダ20、20への圧油の給排が停止される。従って、上記各トラニオン7、7の軸方向に亙る変位量は、上記制御モータ25によるスリーブ23の変位量に応じただけのものとなる。
【0020】
又、特開平4−69439号公報には、トロイダル型無段変速機により伝達可能な動力を大きくすべく、パワーローラ9、9の数を増やす為の構造の第2例として、入力側ディスクと出力側ディスクとを2対設けた構造が記載されている。この第2例の構造では、図10に示す様に、ケーシング5aの内側に入力軸11を、回転のみ自在に支持している。この入力軸11は、クラッチの出力軸等に結合される前半部11aと、この前半部11aに対し若干の回転を自在とされた後半部11bとから成る。このうちの前半部11aは、トロイダル型無段変速機の前段部に設ける、トルクコンバータ等の発進クラッチの出力軸として機能する。又、後半部11bが、トロイダル型無段変速機自身の入力軸として機能する。そして、このうちの後半部11bの軸方向(図10の左右方向)両端部に1対の入力側ディスク2、2を、それぞれの内側面2a、2a同士を互いに対向させた状態で、ボールスプライン30、30を介して支持している。
【0021】
上記後半部11bの中間部周囲に回転自在に支承したスリーブ31の両端部には1対の出力側ディスク4、4を、それぞれの内側面4a、4aと上記各入力側ディスク2、2の内側面2a、2aとを対向させた状態で支持している。又、複数のトラニオンに変位軸を介して回転自在に支持された複数のパワーローラ9、9を、上記各内側面2a、4a同士の間に挟持している。又、上記ケーシング5aの内側で上記前半部11aと反対側部分には出力軸32を、上記入力軸11の後半部11bと同心に、且つこの後半部11bとは独立して回転自在に支持している。そして、上記両出力側ディスク4、4の回転を、上記出力軸32に伝達自在としている。
【0022】
上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の運転時には、上記前半部11aの回転を、この前半部11aの後端部に固設した駆動腕33、33とローディングカム装置10を構成するカム板35の背面に設けた係合突起34、34とを介して、このカム板35に伝達し、このローディングカム装置10を介して、上記後半部11bを回転駆動する。そして、この後半部11bの回転に伴って、上記1対の入力側ディスク2、2が同時に回転する。そして、この回転が1対の出力側ディスク4、4に同時に伝達されて、上記出力軸32により取り出される。この際、回転力の伝達が互いに並列な2系統に分けて、合計4個のパワーローラ9、9により行なわれるので、大きな動力(トルク)を伝達自在となる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上述した様な従来構造の場合、トロイダル型無段変速機の入力部の構造に起因して、小型化並びに動力の伝達ロスの低減が難しい。即ち、発進クラッチ等、トロイダル型無段変速機の前段に設ける動力伝達ユニットの出力部材とトロイダル型無段変速機の入力部とを、図10に示す様に、出力部材である前半部11a側に設けた駆動腕33、33と入力部側に設けた係合突起34、34との係合により結合していた。この為、この結合部の軸方向寸法(図10の左右方向寸法)が嵩み、小型化を図りにくくなる。
【0024】
又、入力部をローディングカム装置10のカム板35としている為、上記前半部11aの回転が入力側ディスク2に伝わる過程で、この入力側ディスク2が、入力軸11の後半部11bに対し軸方向に変位する。この様な変位に伴う摩擦力が、上記ローディングカム装置10が発生する押し付け力を消費し、その分、各出力側ディスク4、4に対する上記各入力側ディスク2、2の押圧力が小さくなる。そして、この押圧力が過度に小さくなると、これら各ディスク2、4の内側面2a、4aと各パワーローラ9、9の周面9a、9aとの当接部(トラクション部)で滑りが発生して動力の伝達効率が低下する。更に著しい場合には、このトラクション部で著しい滑りが発生して動力の伝達を行なえない、所謂グロススリップの状態となる可能性もある。著しい滑りの発生は、上記ローディングカム装置10を構成するカム板35のカム面の傾斜角度を工夫する事で或る程度解決はできるが、動力の伝達効率を多少なりとも低下させる事は避けられない。
本発明のトロイダル型無段変速機は、上述の様な不都合を何れも解消し、小型化並びに動力の伝達ロスの低減を図れる構造を実現するものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明のトロイダル型無段変速機は、前進と後退とを切り換える為の前後進切り換えユニットと、入力部と出力部との間の変速比を連続的に変化させるトロイダル型無段変速ユニットと、このトロイダル型無段変速ユニットの出力部に設けて、このトロイダル型無段変速ユニットの出力を駆動輪に伝達する為の駆動軸とを備える。
このうちの前後進切り換えユニットは、駆動用エンジンの出力部と上記トロイダル型無段変速ユニットの入力部との間に、動力の伝達方向に関して直列に設けられている。
又、このトロイダル型無段変速ユニットは、入力軸と、それぞれが断面円弧状の凹面である内側面同士を対向させた状態でこの入力軸の両端部に、互いに同心に且つ互いに同期した回転自在に支持された第一、第二両入力側ディスクと、断面円弧状の凹面であるそれぞれの内側面を第一入力側ディスク又は第二入力側ディスクの内側面に対向させた状態で上記入力軸の中間部周囲に、これら第一、第二両入力側ディスクと同心に、且つこれら第一、第二両入力側ディスクとは独立した回転自在に支持された第一、第二両出力側ディスクと、このうちの第一入力側ディスクと第一出力側ディスクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸に対し捻れの位置に存在する、4本以上で偶数本の第一枢軸と、これら各第一枢軸を中心として揺動する複数の第一トラニオンと、これら各第一トラニオンの内側面から突出した第一変位軸と、これら各第一変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で上記第一入力側ディスクの内側面と第一出力側ディスクの内側面との間に挟持された、それぞれの周面を球状凸面とした複数個の第一パワーローラと、上記第二入力側ディスクと第二出力側ディスクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸に対し捻れの位置に存在する、4本以上で偶数本の第二枢軸と、これら各第二枢軸を中心として揺動する複数の第二トラニオンと、これら各第二トラニオンの内側面から突出した第二変位軸と、これら各第二変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で上記第二入力側ディスクの内側面と第二出力側ディスクの内側面との間に挟持された、それぞれの周面を球状凸面とした複数個の第二パワーローラと、上記第一、第二両入力側ディスク及び上記第一、第二両出力側ディスクと上記第一、第二各パワーローラとを挟んで、上記前後進切り換えユニットと反対側に設けられ、これら各ディスクの内側面とこれら各パワーローラの周面との当接圧を高めるべく、これら各ディスクを上記前後進切り換え用ユニットに向けて押圧する、油圧式のローディング装置とを備える。
又、上記駆動軸を上記第一、第二各出力側ディスクにより回転駆動自在とすると共に、上記前後進切り換えユニットを構成する遊星歯車機構のうち、この前後進切り換えユニットの出力を上記入力軸に伝達するキャリアと、上記第一入力側ディスクとを、上記入力軸の一端部に、互いに同期した回転を自在に結合支持している。
この為に、上記キャリアの基部を上記入力軸の一端部に、スプライン係合すると共にこの入力軸の一端側への軸方向移動を阻止した状態で外嵌支持し、上記第一入力側ディスクを上記キャリアの基部に、スプライン係合すると共に上記入力軸の一端側への軸方向移動を阻止した状態で外嵌支持している。
【0026】
【作用】
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機の運転時には、このトロイダル型無段変速機の前段側に設けた前後進切り換えユニットを構成する、遊星歯車機構のキャリアにより、入力軸と第一入力側ディスクとが、軸方向に変位する事なく回転駆動される。この際、上記キャリアからこれら入力軸及び第一入力側ディスクに伝えられる動力にロスが生じる事はない。又、これらキャリアと入力軸及び第一入力側ディスクとの接続部の為に、特に軸方向に亙る寸法が嵩む事がなく、トロイダル型無段変速機を組み込んだ自動変速装置全体としての小型・軽量化を図れる。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1〜4は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、図示の例は、本発明のトロイダル型無段変速機36を、乗用車用としては大型で大きなトルクを発生するエンジンを組み込んだ四輪駆動車用の自動変速装置の変速ユニットとして利用した状態を示している。この為、上記トロイダル型無段変速機36を構成する第一入力側ディスク37と第一出力側ディスク38との間に3個の第一パワーローラ39、39を、第二入力側ディスク40と第二出力側ディスク41との間に3個の第二パワーローラ42を、それぞれ設けて、合計6個のパワーローラ39、42により、動力の伝達を行なう様に構成している。
【0028】
動力の伝達方向に関して最も前段部には、発進クラッチであるトルクコンバータ43を設け、このトルクコンバータ43の出力部に、上記トロイダル型無段変速機36を構成する入力軸11の前半部11aを組み込んでいる。図示しない走行用エンジンの回転に伴ってこの前半部11aは、上記トルクコンバータ43により回転駆動される。そして、この前半部11aの後端部に上記入力軸11の後半部11bを、1対のラジアルニードル軸受44a、44bを介して、互いに同心に且つ相対回転自在に支持している。
【0029】
そして、上記前半部11aと後半部11bとの間に、前進と後退とを切り換える為の前後進切り換えユニット45を、動力の伝達方向に関して直列に設けている。遊星歯車機構である、この前後進切り換えユニット45を構成する為に、上記前半部11aの後端部外周面には、太陽歯車46を固定している。又、上記後半部11bの前端部には、キャリア47を結合固定している。即ち、このキャリア47の基部に設けた円筒部48を上記後半部11bにスプライン係合させると共に、この円筒部48の前端面(図1の左端面)を、上記後半部11bの前端部外周面に形成した鍔部49に突き当てている。又、上記円筒部48には、前記第一入力側ディスク37を結合固定している。即ち、この第一入力側ディスク37を上記円筒部48の後半部にスプライン係合させると共に、この第一入力側ディスク37の前側面(図1の左側面)を上記キャリア47の後側面(図1の右側面)に突き当てている。従って、これら第一入力側ディスク37及びキャリア47は上記入力軸11の後半部11bに対して、互いに同期した回転を自在に、且つ、この後半部11bに対する前方への変位不能に結合固定されている。
【0030】
又、上記キャリア47に設けた複数本の遊星軸50、50に回転自在に支持した遊星歯車組51、51を、上記太陽歯車46と噛合させている。又、上記キャリア47の外周縁部にリング歯車52を、回転自在に支持し、このリング歯車52と上記各遊星歯車組51、51とを噛合させている。尚、これら各遊星歯車組51、51はそれぞれ、互いに噛合した1対の遊星歯車から成り、一方の遊星歯車を上記太陽歯車46に、他方の遊星歯車を上記リング歯車52に、それぞれ噛合させている。更に、上記前半部11aと上記キャリア47との間には、湿式多板クラッチである前進用クラッチ53を、図示しないケーシング内に固定するフレーム54と上記リング歯車52との間には後退用クラッチ55を、それぞれ設けている。
【0031】
上述の様な前後進切り換えユニット45は、前進時には上記前進用クラッチ53を繋ぎ、上記後退用クラッチ55の接続を断つ。この状態では、上記前半部11aと後半部11bとが、上記前進用クラッチ53と上記各遊星軸50、50と上記キャリア47とを介して結合され、上記後半部11bが、前記第一入力側ディスク37と共に、上記前半部11aと同速で同方向に回転する。この際、上記後半部11b、キャリア47、第一入力側ディスク37は、何れも同期して回転するのみで、軸方向に変位する事はない。これに対して後退時には、上記後退用クラッチ55を繋ぎ、上記前進用クラッチ53の接続を断つ。この状態では、上記後半部11bが上記前半部11aよりも低速で反対方向に回転する。この場合も、上記後半部11b、キャリア47、第一入力側ディスク37は、何れも同期して回転するのみで、軸方向に変位する事はない。尚、遊星歯車機構を使用した前後進切り換えユニットの構造及び作用は、従来から周知であり、又、構造自体図示のものに限らず、遊星歯車機構の他にも種々の構造が存在する為、詳しい説明は省略する。
【0032】
動力の伝達方向に関して、上述の様な前後進切り換えユニット45の後側には、この前後進切り換えユニット45の出力部につながる入力部と、前輪用駆動軸69及び後輪用駆動軸74につながる出力部との間の変速比を連続的に変化させる、トロイダル型無段変速機36を設けている。このトロイダル型無段変速機36は、上記後半部11bの周囲に設けている。この為に、この後半部11bの前後両端部近傍には、前記第一、第二両入力側ディスク37、40を、それぞれが断面円弧状の凹面である内側面2a、2a同士を対向させた状態で、互いに同心に且つ互いに同期した回転自在に支持している。前側(図1の左側)に設けた第一入力側ディスク37の支持構造は上述した通りである。一方、後側(図1の右側)に設けた第二入力側ディスク40は、上記後半部11bの後端部に、ボールスプライン30を介して支持している。そして、油圧式のローディング装置56により、上記第二入力側ディスク40を上記第一入力側ディスク37に向け、押圧自在としている。
【0033】
図示の場合に、上記ローディング装置56は、小径で大きな押圧力を発生させるべく、1対の油圧シリンダシリンダ57a、57b及び油圧ピストン58a、58bを、軸方向に亙り互いに直列に、力の伝達方向に関して互いに並列に、それぞれ設けている。即ち、押圧力の発生時には、1対の油圧室59a、59b内に圧油を導入する。すると、一方(図1の右方)の油圧室59aへの油圧導入に伴って上記第二入力側ディスク40が、シリンダ筒60を介して上記第一入力側ディスク37に向け押圧される。同時に、他方(図1の左方)の油圧室59bへの油圧導入に伴って上記第二入力側ディスク40が、直接上記第一入力側ディスク37に向け押圧される。上記両油圧室59a、59b内への圧油導入に伴う力は、足し合わされた状態で上記第二入力側ディスク40に加わる。従って上記ローディング装置56は、小径で大きな押圧力を発生する。尚、上記他方の油圧室59b内には、皿板ばね等の予圧ばね61を設けて、上記両油圧室59a、59b内に油圧を導入していない状態でも、前記各ディスク37、38、40、41の内側面2a、4aと前記各パワーローラ39、42の周面9a、9aとの当接部の面圧を、最低限確保できる様にしている。
【0034】
又、前記後半部11bの中間部周囲には支持筒62を、この後半部11bと同心に設けている。この支持筒62は、後述する支持環63、63にそれぞれの外径側端部を支持固定したステー64、64の内径側端部により、その両端部を支持固定されている。上記後半部11bの中間部外周面と上記支持筒62の両端部内周面との間には、それぞれラジアルニードル軸受65、65を設けて、上記後半部11bを上記支持筒62の内側に、回転及び軸方向に亙る変位自在に支持している。
【0035】
これに対して、上記支持筒62の周囲には、前記第一、第二両出力側ディスク38、41を、それぞれラジアルニードル軸受66、66により、回転及び軸方向に亙る変位自在に支持している。又、上記第一、第二両出力側ディスク38、41の互いに対向する端面同士の間には、スラストニードル軸受67を設けて、これら両出力側ディスク38、41同士の間に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これら両出力側ディスク38、41同士の相対回転を自在としている。
【0036】
又、上記第一出力側ディスク38の外側面側には第一出力歯車68を固定し、この第一出力歯車68と前記前輪用駆動軸69とを、前輪用従動歯車71を介して結合し、上記第一出力側ディスク38によりこの前輪用駆動軸69を回転駆動自在としている。又、この前輪用駆動軸69の回転を、前輪用デファレンシャルギヤ72を介して、図示しない前輪に伝達自在としている。
【0037】
一方、上記第二出力側ディスク41の外側面側には第二出力歯車73を固定し、この第二出力歯車73と前記後輪用駆動軸74とを、後輪用従動歯車75を介して結合し、上記第二出力側ディスク41により上記後輪用駆動軸74を回転駆動自在としている。又、この後輪用駆動軸74の回転を、図示しない後輪用デファレンシャルギヤを介して、やはり図示しない後輪に伝達自在としている。上記前輪用駆動軸69の中心軸と上記後輪用駆動軸74の中心軸とは互いに不一致にしている。そして、これら両駆動軸69、74の配置を、スペース効率を考慮して、最適に選択できる様にしている。
【0038】
又、前記第一入力側ディスク37の内側面2aと上記第一出力側ディスク38の内側面4aとの間には前記3個の第一パワーローラ39、39を、前記第二入力側ディスク40の内側面2aと上記第二出力側ディスク41の内側面4aとの間には前記3個の第二パワーローラ42を、それぞれ挟持している。これら第一、第二各パワーローラ39、42は、それぞれ第一、第二各トラニオン76、77の内側面に回転自在に支持している。これら第一、第二各トラニオン76、77は、それぞれの両端部に互いに同心に設けた、上記各ディスク37、38、40、41の中心軸と交差する事はないが、これら各ディスク37、38、40、41の中心軸の方向に対して直角方向若しくは直角方向に近い方向となる捻れの位置に存在する第一、第二各枢軸78(第二枢軸は図示せず)を中心に揺動する。又、上記第一、第二各トラニオン76、77は、それぞれ第一、第二各揺動フレーム79、80の両端部に、ラジアルニードル軸受89、89により、揺動変位自在に支持している。
【0039】
そして、上記第一、第二各揺動フレーム79、80の中間部を前記支持環63、63に、上記各ディスク37、38、40、41の中心軸に対し平行な支持軸81、81を中心とする揺動変位自在に支持している。更に、上記第一、第二各揺動フレーム79、80を、これら各揺動フレーム79、80の両端部と上記各支持環63、63との間に設けた油圧シリンダ82a、82bにより、揺動変位自在としている。又、これら各油圧シリンダ82a、82bへの圧油の給排を制御する為の制御弁21aは、上記各支持環63、63に支持している。上記各油圧シリンダ82a、82bへの圧油の給排により上記各揺動フレーム79、80が揺動変位すると、これら各揺動フレーム79、80に支持したトラニオン76、77の外側面に設けたカム面83が、上記制御弁21aの付属のプランジャ84を介してこの制御弁21aのスプール24aを変位させ、上記制御弁21aの切り換えを行なう。
【0040】
このスプール24aと共にこの制御弁21aを構成するスリーブ23aは、変速時には所望の変速比を実現できる様に、制御モータ25aにより、所定位置に変位させておく。この様な制御弁21a及び制御モータ25aは、前記第一入力側ディスク37及び第一出力側ディスク38を含んで構成する第一キャビティ85側に1個、前記第二入力側ディスク40及び第二出力側ディスク41を含んで構成する第二キャビティ86側に1個、トロイダル型無段変速機36全体で2個設けている。そして、第一キャビティ85側の制御モータ25aによりこの第一キャビティ85側の制御弁21aを、第二キャビティ86側の制御モータ25aによりこの第二キャビティ86側の制御弁21aを、マイクロコンピュータを内蔵した図示しない制御器からの指令信号に基づき、互いに同期して(直進状態の場合)、或は互いに独立して(旋回状態の場合)制御する。
【0041】
変速時には、上記各揺動フレーム79、80毎に2対ずつ(各揺動フレーム毎に4個ずつ、トロイダル型無段変速機ユニット全体として合計24個)設けた油圧シリンダ82a、82bのうちの、上記各揺動フレーム79、80の長さ方向一端側に設けた一方の油圧シリンダ82a(82b)を伸長させると共に他方の油圧シリンダ82b(82a)を収縮させて、上記各揺動フレーム79、80を所定方向に所定量だけ揺動変位させる。即ち、上記各揺動フレーム79、80は、それぞれ間隔をあけて互いに平行に配置した1対ずつの支持環63、63同士の間に掛け渡した上記各支持軸81、81に、揺動変位自在に支持している。上記各油圧シリンダ82a、82bは、それぞれ上記各支持環63、63の一部で上記各揺動フレーム79、80の両端部に整合する位置に設けている。そして、上記各油圧シリンダ82a、82bに嵌装したピストン87a、87bと、上記各揺動フレーム79、80の両端部に固定したロッド88a、88bを係合させている。
【0042】
この様に構成する為、変速時には、上記各油圧シリンダ82a、82bへの圧油の給排に基づき、上記第一、第二各揺動フレーム79、80が、所定方向に所定量だけ揺動変位する。この結果、これら各揺動フレーム79、80に支持された上記第一、第二各トラニオン76、77が、ほぼ上記第一、第二枢軸78の軸方向に変位(実際には、上記各支持軸81、81を中心とする円弧運動)する。そして、前述の図7〜8に示した従来構造の場合と同様に、前記各パワーローラ39、42の周面9a、9aと上記各ディスク37、38、40、41の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って上記第一、第二各トラニオン76、77が、上記第一、第二各揺動フレーム79、80に枢支された第一、第二各枢軸78を中心として、互いに逆方向に揺動し、前述の図5〜6に示した様に、上記第一、第二各パワーローラ39、42の周面9a、9aと上記各内側面2a、4aとの当接位置が変化して、第一、第二各入力側ディスク37、40と第一、第二各出力側ディスク38、41との間の回転速度比が変化する。
【0043】
尚、図示の例では、上記第一、第二各トラニオン76、77に対して上記第一、第二各パワーローラ39、42を支持する為の変位軸8a、8aを、基半部と先半部とを特に偏心させない、直線状のものを使用している。代わりに、上記各変位軸8a、8aの先端部を、スラスト玉軸受14a、14aを構成する外輪16a、16aの中心から外れた位置に内嵌させている。又、上記第一、第二各パワーローラ39、42は、貫通孔を持たない丸鉢状に形成し、上記スラスト玉軸受14a、14aに接触角を持たせる(アンギュラコンタクトとする)事で、上記スラスト玉軸受14a、14aに加わるスラスト荷重の他、ラジアル荷重も支承自在としている。この様な構造によっても、上記第一、第二各パワーローラ39、42を所定位置に回転自在に、且つ上記各ディスク37、38、40、41の軸方向に亙る若干の変位自在に支持できる。尚、上記第一、第二各パワーローラ39、42を支持する部分の構造は、本発明の要旨ではない。この部分の構造は、図示の例に限らず、前述の図7〜10に示した従来構造と同様に構成しても良い。
【0044】
上述の様に構成する本発明の四輪駆動車用トロイダル型無段変速装置の運転時には、前記入力軸11の後半部11bと共に互いに同期して回転する第一、第二両入力側ディスク37、40のうち、第一入力側ディスク37から上記各第一パワーローラ39、39を介して前記第一出力側ディスク38に伝わった動力により、前記前輪用駆動軸69を回転駆動する。又、第二入力側ディスク40から上記各第二パワーローラ42を介して前記第二出力側ディスク41に伝わった動力により、後輪用駆動軸74を回転駆動する。
【0045】
上記第一、第二両入力側ディスク37、40と上記第一、第二両出力側ディスク38、41との間の伝達効率を確保すべく、これら各ディスク37、38、40、41の内側面2a、4aと上記第一、第二各パワーローラ39、42の周面9a、9aとの当接部の面圧は、前記油圧式のローディング装置56を構成する各油圧室59a、59bに導入する油圧を変える事により、容易に調整できる。フルタイム4WD車用の変速装置の場合、走行条件により、前輪に分配するトルクと後輪に分配するトルクとが異なる場合が生じるが、本発明の場合には、上記面圧の調整を上記油圧式のローディング装置56により行なう為、条件に応じて最適の面圧の付与を行なえる。
【0046】
自動車が直進状態で、前輪の回転速度と後輪の回転速度とを一致させるべく、上記前輪用駆動軸69の回転速度と上記後輪用駆動軸74の回転速度とを一致させる際には、前記各油圧シリンダ82a、82bへの圧油の給排に基づく、前記支持軸81、81を中心とする前記第一、第二各揺動フレーム79、80の揺動角度、並びにこれら各揺動フレーム79、80に支持した、前記第一、第二各枢軸78を中心とする第一、第二各トラニオン76、77の傾斜角度を一致させる。そして、上記第一入力側ディスク37と上記第一出力側ディスク38との間の変速比と、上記第二入力側ディスク40と上記第二出力側ディスク41との間の変速比とを一致させる。
【0047】
これに対して、自動車が旋回状態で、上記前輪の回転速度に比べて上記後輪の回転速度を遅くすべく、上記前輪用駆動軸69の回転速度に比べて上記後輪用駆動軸74の回転速度を遅くする際には、上記各第一トラニオン76、76の傾斜角度と、上記各第二トラニオン77の傾斜角度を異ならせる。具体的には、上記第一入力側ディスク37と上記第一出力側ディスク38との間の減速比に比べて、上記第二入力側ディスク40と上記第二出力側ディスク41との間の減速比を大きくする。この結果、センターデフを設けなくても、前輪及び後輪と路面との間に過大な滑りを発生する事なく、自動車の運行を安定して行なわせる事ができる。
【0048】
特に、本発明のトロイダル型無段変速機36の運転時には、このトロイダル型無段変速機36の前段側に設けた、動力伝達ユニットである前後進切り換えユニット45の出力部材として機能する、前記入力軸11の前半部11aにより、この入力軸11の後半部11bと第一入力側ディスク37とが、軸方向に変位する事なく回転駆動される。この為、上記前半部11aの動力が上記後半部11b及び第一入力側ディスク37に、損失なく伝達される。前記各ディスク37、38、40、41の内側面2a、4aと前記各パワーローラ39、42の周面9a、9aとの当接部の面圧は、前記油圧式のローディング装置56により適正に調整されるので、この当接部に過大な滑りが生じる事はなく、十分な伝達効率を確保できる。又、上記前半部11aと後半部11b及び第一入力側ディスク37との接続部の為に、特に軸方向に亙る寸法が嵩む事がなく、上記トロイダル型無段変速機36を組み込んだ自動変速装置全体としての小型・軽量化を図れる。
【0049】
尚、図示の例は、本発明のトロイダル型無段変速機を、大型で大きなトルクを発生するエンジンを組み込んだ四輪駆動車用の自動変速装置用の変速ユニットとして組み込んだ場合に就いて説明した。但し、本発明のトロイダル型無段変速機は、四輪駆動車用に限らず、一般的な二輪駆動車の為の自動変速装置用の変速ユニットとしても使用できる。この場合には、1対の出力側ディスクを互いに同期した回転を自在に結合し、これら両出力側ディスクから1本の出力軸に出力を取り出す。又、あまり大きなトルクを発生しない、小型の自動車の為の自動変速装置用の変速ユニットとして使用する場合には、前述した図5〜8に示した従来構造の様に、入力側ディスク2と出力側ディスク4とを1個ずつ設けた、所謂シングルキャビティ型のトロイダル型無段変速機として構成する事もできる。更には、入力側ディスク2と出力側ディスク4との間に2個のパワーローラを設けた構造にも、本発明は適用できる。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、小型でしかも優れた伝達効率を発揮するトロイダル型無段変速機を実現して、このトロイダル型無段変速機を組み込んだ自動車の動力性能並びに燃費性能の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す要部断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】同B−B断面図。
【図4】図3とほぼ同じ部分を、第一トラニオンの両端部に設けた第一枢軸の中心軸を含む平面で切断した状態で示す断面図。
【図5】従来から知られたトロイダル型無段変速機の基本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。
【図6】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図7】従来の具体的構造の1例を示す断面図。
【図8】図7のC−C断面図。
【図9】従来から知られた、伝達可能な動力を大きくする構造の第1例を、一部を切断した状態で示す要部正面図。
【図10】同第2例を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 入力軸
2 入力側ディスク
2a 内側面
3 出力軸
4 出力側ディスク
4a 内側面
5、5a ケーシング
6 枢軸
7 トラニオン
8、8a 変位軸
9 パワーローラ
9a 周面
10 ローディングカム装置
11 入力軸
11a 前半部
11b 後半部
12 出力歯車
13 支持板
14、14a スラスト玉軸受
15 スラストニードル軸受
16、16a 外輪
17 アクチュエータ
18 フレーム
19 支持片
20 油圧シリンダ
21、21a 制御弁
22 ポンプ
23、23a スリーブ
24、24a スプール
25、25a 制御モータ
26 駆動ピストン
27 油溜
28 カム
29 リンク
30 ボールスプライン
31 スリーブ
32 出力軸
33 駆動腕
34 係合突起
35 カム板
36 トロイダル型無段変速機
37 第一入力側ディスク
38 第一出力側ディスク
39 第一パワーローラ
40 第二入力側ディスク
41 第二出力側ディスク
42 第二パワーローラ
43 トルクコンバータ
44a、44b ラジアルニードル軸受
45 前後進切り換えユニット
46 太陽歯車
47 キャリア
48 円筒部
49 鍔部
50 遊星軸
51 遊星歯車組
52 リング歯車
53 前進用クラッチ
54 フレーム
55 後退用クラッチ
56 ローディング装置
57a、57b 油圧シリンダ
58a、58b 油圧ピストン
59a、59b 油圧室
60 シリンダ筒
61 予圧ばね
62 支持筒
63 支持環
64 ステー
65 ラジアルニードル軸受
66 ラジアルニードル軸受
67 スラストニードル軸受
68 第一出力歯車
69 前輪用駆動軸
71 前輪用従動歯車
72 前輪用デファレンシャルギヤ
73 第二出力歯車
74 後輪用駆動軸
75 後輪用従動歯車
76 第一トラニオン
77 第二トラニオン
78 第一枢軸
79 第一揺動フレーム
80 第二揺動フレーム
81 支持軸
82a、82b 油圧シリンダ
83 カム面
84 プランジャ
85 第一キャビティ
86 第二キャビティ
87a、87b ピストン
88a、88b ロット
89 ラジアルニードル軸受

Claims (1)

  1. 前進と後退とを切り換える為の前後進切り換えユニットと、入力部と出力部との間の変速比を連続的に変化させるトロイダル型無段変速ユニットと、このトロイダル型無段変速ユニットの出力部に設けて、このトロイダル型無段変速ユニットの出力を駆動輪に伝達する為の駆動軸とを備え、
    上記前後進切り換えユニットは、駆動用エンジンの出力部と上記トロイダル型無段変速ユニットの入力部との間に、動力の伝達方向に関して直列に設けられており、
    このトロイダル型無段変速ユニットは、入力軸と、それぞれが断面円弧状の凹面である内側面同士を対向させた状態でこの入力軸の両端部に、互いに同心に且つ互いに同期した回転自在に支持された第一、第二両入力側ディスクと、断面円弧状の凹面であるそれぞれの内側面を第一入力側ディスク又は第二入力側ディスクの内側面に対向させた状態で上記入力軸の中間部周囲に、これら第一、第二両入力側ディスクと同心に、且つこれら第一、第二両入力側ディスクとは独立した回転自在に支持された第一、第二両出力側ディスクと、このうちの第一入力側ディスクと第一出力側ディスクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸に対し捻れの位置に存在する、4本以上で偶数本の第一枢軸と、これら各第一枢軸を中心として揺動する複数の第一トラニオンと、これら各第一トラニオンの内側面から突出した第一変位軸と、これら各第一変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で上記第一入力側ディスクの内側面と第一出力側ディスクの内側面との間に挟持された、それぞれの周面を球状凸面とした複数個の第一パワーローラと、上記第二入力側ディスクと第二出力側ディスクとの間部分で、これら各ディスクの中心軸に対し捻れの位置に存在する、4本以上で偶数本の第二枢軸と、これら各第二枢軸を中心として揺動する複数の第二トラニオンと、これら各第二トラニオンの内側面から突出した第二変位軸と、これら各第二変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で上記第二入力側ディスクの内側面と第二出力側ディスクの内側面との間に挟持された、それぞれの周面を球状凸面とした複数個の第二パワーローラと、上記第一、第二両入力側ディスク及び上記第一、第二両出力側ディスクと上記第一、第二各パワーローラとを挟んで、上記前後進切り換えユニットと反対側に設けられ、これら各ディスクの内側面とこれら各パワーローラの周面との当接圧を高めるべく、これら各ディスクを上記前後進切り換え用ユニットに向けて押圧する、油圧式のローディング装置とを備えたものであり、
    上記駆動軸を上記第一、第二各出力側ディスクにより回転駆動自在とすると共に、
    上記前後進切り換えユニットを構成する遊星歯車機構のうち、この前後進切り換えユニットの出力を上記入力軸に伝達するキャリアと、上記第一入力側ディスクとを、上記入力軸の一端部に、互いに同期した回転を自在に結合支持する為に、上記キャリアの基部を上記入力軸の一端部に、スプライン係合すると共にこの入力軸の一端側への軸方向移動を阻止した状態で外嵌支持しており、上記第一入力側ディスクを上記キャリアの基部に、スプライン係合すると共に上記入力軸の一端側への軸方向移動を阻止した状態で外嵌支持している事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
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