JP4329262B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明に係るトロイダル型無段変速機は、自動車用の自動変速機を構成する変速ユニットとして利用する。特に本発明は、トラニオンの弾性変形に基づく変速比のばらつき(変動)を抑える事により、運転者に与える違和感を低減する事を目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の自動変速機として、図1〜2に略示する様なトロイダル型無段変速機が、一部で実施されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力軸1と同心に配置された出力軸3の端部に出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシング5(後述する図4参照)の内側には、上記入力軸1並びに出力軸3に対し捻れの位置にある枢軸6、6を中心として揺動するトラニオン7、7を設けている。
【0003】
これら各トラニオン7、7は、両端部外側面に上記枢軸6、6を、各トラニオン7、7毎に互いに同心に、各トラニオン7、7毎に1対ずつ設けている。これら各枢軸6、6の中心軸は、上記各ディスク2、4の中心軸と交差する事はないが、これら各ディスク2、4の中心軸の方向に対して直角方向若しくは直角に近い方向である、捩れの位置に存在する。又、上記各トラニオン7、7の中心部には変位軸8、8の基半部を支持し、上記枢軸6、6を中心として各トラニオン7、7を揺動させる事により、上記各変位軸8、8の傾斜角度の調節を自在としている。各トラニオン7、7に支持された変位軸8、8の先半部周囲には、それぞれパワーローラ9、9を回転自在に支持している。そして、これら各パワーローラ9、9を、上記入力側、出力側両ディスク2、4の内側面2a、4a同士の間に挟持している。
【0004】
上記入力側、出力側両ディスク2、4の互いに対向する内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸6を中心とする円弧若しくはこの様な円弧に近い曲線を回転させて得られる、断面円弧状の凹面をなしている。そして、球状凸面に形成された各パワーローラ9、9の周面9a、9aを、上記内側面2a、4aに当接させている。又、上記入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム装置等の押圧装置10を設け、この押圧装置10によって上記入力側ディスク2を、出力側ディスク4に向け弾性的に押圧しつつ、回転駆動自在としている。
【0005】
上述の様に構成されるトロイダル型無段変速機の使用時、入力軸1の回転に伴って上記押圧装置10が上記入力側ディスク2を、上記複数のパワーローラ9、9に押圧しつつ回転させる。そして、この入力側ディスク2の回転が、上記複数のパワーローラ9、9を介して出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。
【0006】
入力軸1と出力軸3との回転速度を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、枢軸6、6を中心として前記各トラニオン7、7を揺動させ、各パワーローラ9、9の周面9a、9aが図1に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、各変位軸8、8を傾斜させる。
【0007】
反対に、増速を行なう場合には、上記各トラニオン7、7を揺動させ、各パワーローラ9、9の周面9a、9aが図2に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、各変位軸8、8を傾斜させる。各変位軸8、8の傾斜角度を図1と図2との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得られる。
【0008】
更に、図3〜4は、実願昭63−69293号(実開平1−173552号)のマイクロフィルムに記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速機を示している。入力側ディスク2と出力側ディスク4とは円管状の入力軸11の周囲に、それぞれ回転自在に支持している。又、この入力軸11の端部と上記入力側ディスク2との間に、押圧装置10を設けている。一方、上記出力側ディスク4には、出力歯車12を結合し、これら出力側ディスク4と出力歯車12とが同期して回転する様にしている。
【0009】
1対のトラニオン7、7の両端部に互いに同心に設けた枢軸6、6は1対の支持板(ヨーク)13、13に、揺動並びに軸方向(図3の表裏方向、図4の上下方向)の変位自在に支持している。そして、上記各トラニオン7、7の中間部に、変位軸8、8の基半部を支持している。これら各変位軸8、8は、基半部と先半部とを互いに偏心させている。そして、このうちの基半部を上記各トラニオン7、7の中間部に回転自在に支持し、それぞれの先半部にパワーローラ9、9を回転自在に支持している。又、上記各トラニオン7、7の端部同士の間には同期ケーブル27を、襷掛けで掛け渡して、これら各トラニオン7、7同士の傾斜角度を、機械的に同期させる様にしている。
【0010】
尚、上記1対の変位軸8、8は、上記入力軸11に対して180度反対側位置に設けている。又、これら各変位軸8、8の基半部と先半部とが偏心している方向は、上記入力側、出力側両ディスク2、4の回転方向に関して同方向(図4で上下逆方向)としている。又、偏心方向は、上記入力軸11の配設方向に対してほぼ直交する方向としている。従って上記各パワーローラ9、9は、上記入力軸11の配設方向に関して若干の変位自在に支持される。
【0011】
又、上記各パワーローラ9、9の外側面と上記各トラニオン7、7の中間部内側面との間には、これら各パワーローラ9、9の外側面の側から順に、スラスト玉軸受14、14とスラストニードル軸受15、15とを設けている。このうちのスラスト玉軸受14、14は、上記各パワーローラ9、9に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ9、9の回転を許容する。又、上記各スラストニードル軸受15、15は、上記各パワーローラ9、9から上記各スラスト玉軸受14、14を構成する外輪16、16に加わるスラスト荷重を支承しつつ、上記各変位軸8、8の先半部及び上記外輪16、16が、これら各変位軸8、8の基半部を中心として揺動する事を許容する。更に、上記各トラニオン7、7は、油圧式のアクチュエータ(油圧シリンダ)17、17により、前記各枢軸6、6の軸方向に変位自在としている。
【0012】
上述の様に構成されるトロイダル型無段変速機の場合、入力軸11の回転は押圧装置10を介して入力側ディスク2に伝えられる。そして、この入力側ディスク2の回転が、1対のパワーローラ9、9を介して出力側ディスク4に伝えられ、更にこの出力側ディスク4の回転が、出力歯車12より取り出される。
【0013】
入力軸11と出力歯車12との間の回転速度比を変える場合には、上記各アクチュエータ17、17により上記1対のトラニオン7、7を、それぞれ逆方向に、例えば、図4の右側のパワーローラ9を同図の下側に、同図の左側のパワーローラ9を同図の上側に、それぞれ変位させる。この結果、これら各パワーローラ9、9の周面9a、9aと上記入力側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化(当接部にサイドスリップが発生)する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン7、7が、支持板13、13に枢支された枢軸6、6を中心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の図1〜2に示した様に、上記各パワーローラ9、9の周面9a、9aと上記各内側面2a、4aとの当接位置が変化し、上記入力軸11と出力歯車12との間の回転速度比が変化する。
【0014】
上記各アクチュエータ17、17への圧油の給排状態は、これら各アクチュエータ17、17の数に関係なく1個の制御弁により行ない、何れか1個のトラニオン7の動きをこの制御弁にフィードバックする様にしている。この部分の構造に就いては、例えば特開平6−257661号公報に記載されて、従来から知られているが、後述する、従来の具体的構造の第2例を示す、図7により簡単に説明する。制御弁18は、ステッピングモータ19により軸方向(図7の左右方向)に変位させられるスリーブ20と、このスリーブ20の内径側に軸方向の変位自在に嵌装されたスプール21とを有する。上記何れか1個のトラニオン7に付属のロッド22の端部にはプリセスカム23を固定しており、このプリセスカム23とリンク腕24とを介して、上記ロッド22の動きを上記スプール21に伝達する、フィードバック機構を構成している。
【0015】
変速状態を切り換える際には、上記ステッピングモータ19により上記スリーブ20を、所定量だけ変位させて、上記制御弁18の流路を開く。この結果、上記各アクチュエータ17、17に圧油が、所定方向に送り込まれて、これら各アクチュエータ17、17が上記各トラニオン7、7を所定方向に変位させる。即ち、上記圧油の送り込みに伴ってこれら各トラニオン7、7が、前記各枢軸6、6の軸方向に変位しつつ、これら各枢軸6、6を中心に揺動する。そして、上記何れか1個のトラニオン7の動き(軸方向及び揺動変位)が、上記ロッド22の端部に固定したプリセスカム23とリンク腕24とを介して上記スプール21に伝達され、このスプール21を軸方向に変位させる。この結果、上記トラニオン7が所定量変位した状態で、上記制御弁18の流路が閉じられ、上記各アクチュエータ17、17への圧油の給排が停止される。従って、上記各トラニオン7、7の軸方向及び揺動方向の変位量は、上記ステッピングモータ19によるスリーブ20の変位量に応じただけのものとなる。
【0016】
トロイダル型無段変速機による動力伝達時には、構成各部の弾性変形に基づいて、上記各パワーローラ9、9が入力軸11aの軸方向に変位する。そして、これら各パワーローラ9、9を支持した前記各変位軸8、8が、それぞれの基半部を中心として僅かに回動する。この回動の結果、上記各スラスト玉軸受14、14の外輪16、16の外側面と上記各トラニオン7、7の内側面とが相対変位する。これら外側面と内側面との間には、前記各スラストニードル軸受15、15が存在する為、この相対変位に要する力は小さい。
【0017】
更に、伝達可能なトルクを増大すべく、図5〜7に示す様に、入力軸11aの周囲に入力側ディスク2A、2Bと出力側ディスク4、4とを2個ずつ設け、これら2個ずつの入力側ディスク2A、2Bと出力側ディスク4、4とを動力の伝達方向に関して互いに並列に配置する、所謂ダブルキャビティ型の構造も、従来から知られている。この図5〜7に示した構造は、上記入力軸11aの中間部周囲に出力歯車12aを、この入力軸11aに対する回転を自在として支持し、この出力歯車12aの中心部に設けた円筒部の両端部に上記各出力側ディスク4、4を、スプライン係合させている。又、上記各入力側ディスク2A、2Bは、上記入力軸11aの両端部に、この入力軸11aと共に回転自在に支持している。この入力軸11aは、駆動軸25により、ローディングカム式の押圧装置10を介して回転駆動する。
【0018】
上述の様なダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の場合には、入力軸11aから出力歯車12aへの動力の伝達を、一方の入力側ディスク2Aと出力側ディスク4との間と、他方の入力側ディスク2Bと出力側ディスク4との間との、2系統に分けて行なうので、大きな動力の伝達を行なえる。尚、この様なダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機の場合も、変速時には油圧式のアクチュエータ17、17により、トラニオン7、7を枢軸6、6の軸方向に変位させる。変速の為に上記各アクチュエータ17、17への圧油の給排を制御する為の制御弁18は、前述した通り、トロイダル型無段変速機全体で1個だけ設けている。そして、この1個の制御弁18により、複数のアクチュエータ17、17への圧油の給排を制御している。
【0019】
上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機を実際の自動車用の無段変速機に組み込む場合、遊星歯車機構と組み合わせて無段変速装置を構成する事が、特開平1−169169号公報、同1−312266号公報、同10−196759号公報、同11−63146号公報等に記載されている様に、従来から提案されている。即ち、低速走行時にはエンジンの駆動力をトロイダル型無段変速機のみで伝達し、高速走行時には上記駆動力を遊星歯車機構で伝達する事により、高速走行時に上記トロイダル型無段変速機に加わるトルクの低減を図る様にしている。この様に構成する事により、上記トロイダル型無段変速機の構成各部材の耐久性を向上させる事ができる。
【0020】
図8は、上記各公報のうちの特開平10−196759号公報に記載された無段変速装置を示している。この無段変速装置は、駆動源であるエンジン26のクランクシャフト28の出力側端部(図8の右端部)と入力軸29の入力側端部(図8の左端部)との間に発進クラッチ30を設けている。又、上記入力軸29の回転に基づく動力を取り出す為の出力軸31を、この入力軸29と平行に配置している。そして、この入力軸29の周囲にトロイダル型無段変速機32を、上記出力軸31の周囲に遊星歯車機構33を、それぞれ設けている。
【0021】
上記トロイダル型無段変速機32の押圧装置10を構成するカム板34は、上記入力軸29の中間部で出力側端部寄り(図8の右寄り)部分に固定している。又、入力側ディスク2と出力側ディスク4とは、上記入力軸29の周囲に、ニードル軸受等、図示しない軸受により、この入力軸29に対し、互いに独立した回転を自在に支持している。そして、上記カム板34と入力側ディスク2とにより、上記押圧装置10を構成している。従って、上記入力側ディスク2は上記入力軸29の回転に伴い、上記出力側ディスク4に向け押圧されつつ回転する。又、上記入力側ディスク2の内側面2aと上記出力側ディスク4の内側面4aとの間に複数個のパワーローラ9、9を挟持して、前述の図3〜4に示した如きトロイダル型無段変速機32を構成している。尚、このトロイダル型無段変速機32は、図8及び図3〜4に示したシングルキャビティ型のものに限らず、前述した図5〜6に示す様なダブルキャビティ型のものでも良い。ダブルキャビティ型のトロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置は、前記特開平11−63146等に記載されている。
【0022】
又、上記遊星歯車機構33を構成する太陽歯車35は、前記出力軸31の入力側端部(図8の右端部)に固定している。従ってこの出力軸31は、上記太陽歯車35の回転に伴って回転する。この太陽歯車35の周囲にはリング歯車36を、上記太陽歯車35と同心に、且つ回転自在に支持している。そして、このリング歯車36の内周面と上記太陽歯車35の外周面との間に、複数個(通常は3〜4個)の遊星歯車組37、37を設けている。図示の例ではこれら各遊星歯車組37、37は、それぞれ1対ずつの遊星歯車38a、38bを組み合わせて成る。これら1対ずつの遊星歯車38a、38bは、互いに噛合すると共に、外径側に配置した遊星歯車38aを上記リング歯車36に噛合させ、内径側に配置した遊星歯車38bを上記太陽歯車35に噛合させている。この様に各遊星歯車組37、37をそれぞれ1対ずつの遊星歯車38a、38bにより構成するのは、上記リング歯車36と太陽歯車35との回転方向を一致させる為である。従って、他の構成部分との関係で、これらリング歯車36と太陽歯車35との回転方向を一致させる必要がなければ、単一の遊星歯車をこれらリング歯車36と太陽歯車35との両方に噛合させても良い。上述の様な遊星歯車組37、37は、キャリア39の片側面(図8の右側面)に回転自在に支持している。又、このキャリア39は、前記出力軸31の中間部に、回転自在に支持している。
【0023】
又、上記キャリア39と前記出力側ディスク4とを、第一の動力伝達機構40により、回転力の伝達を可能な状態に接続している。請求項1に記載した第一の動力伝達経路を構成する、上記第一の動力伝達機構40は、互いに噛合した第一、第二の歯車41、42により構成している。従って上記キャリア39は、上記出力側ディスク4の回転に伴って、この出力側ディスク4と反対方向に、上記第一、第二の歯車41、42の歯数に応じた速度で回転する。
【0024】
一方、前記入力軸29と上記リング歯車36とは、第二の動力伝達機構43により、回転力の伝達を可能な状態に接続自在としている。請求項1に記載した第二の動力伝達経路を構成する、上記第二の動力伝達機構43は、第一、第二のスプロケット44、45と、これら両スプロケット44、45同士の間に掛け渡したチェン46とにより構成している。即ち、第一のスプロケット44を上記入力軸29の出力側端部(図8の右端部)で前記カム板34から突出した部分に固定すると共に、第二のスプロケット45を伝達軸47の入力側端部(図8の右端部)に固定している。従ってこの伝達軸47は、上記入力軸29の回転に伴って、この入力軸29と同方向に、上記第一、第二のスプロケット44、45の歯数に応じた速度で回転する。
【0025】
又、無段変速装置は、請求項1に記載したモード切換手段を構成するクラッチ機構を備える。このクラッチ機構は、上記キャリア39と第二の動力伝達機構43の構成部材である上記伝達軸47との何れか一方のみを、上記リング歯車36に接続する。図8に示した構造の場合に、このクラッチ機構は、低速用クラッチ48と高速用クラッチ49とから成る。このうちの低速用クラッチ48は、上記キャリア39の外周縁部と上記リング歯車36の軸方向一端部(図8の左端部)との間に設けている。この様な低速用クラッチ48は、接続時には、前記遊星歯車機構33を構成する太陽歯車35とリング歯車36と遊星歯車組37、37との相対変位を阻止し、これら太陽歯車35とリング歯車36とを一体的に結合する。又、高速用クラッチ49は、上記伝達軸47と、上記リング歯車36に支持板50を介して固定した中心軸51との間に設けている。これら低速用クラッチ48と高速用クラッチ49とは、何れか一方のクラッチが接続された場合には、他方のクラッチの接続が断たれる。
【0026】
又、図8の例では、上記リング歯車36と、無段変速装置のハウジング(図示省略)等、固定の部分との間に、後退用クラッチ52を設けている。この後退用クラッチ52は、自動車を後退させるべく、前記出力軸31を逆方向に回転させる為に設けている。この後退用クラッチ52は、上記低速用クラッチ48と高速用クラッチ49との何れか一方が接続された状態では、接続が断たれる。又、この後退用クラッチ52が接続された状態では、上記低速用クラッチ48と高速用クラッチ49とは、何れも接続が断たれる。
【0027】
更に、図示の例では、上記出力軸31とデファレンシャルギヤ53とを、第三〜第五の歯車54〜56で構成する第三の動力伝達機構57により接続している。従って、上記出力軸31が回転すると、これら第三の動力伝達機構57及びデファレンシャルギヤ53を介して左右1対の駆動軸58、58が回転し、自動車の駆動輪を回転駆動させる。
【0028】
上述の様に構成する無段変速装置は、先ず、低速走行時には、上記低速用クラッチ48を接続すると共に、上記高速用クラッチ49及び後退用クラッチ52の接続を断つ。この状態で上記発進クラッチ30を接続し、前記入力軸29を回転させると、トロイダル型無段変速機32のみが、この入力軸29から上記出力軸31に動力を伝達する。この様な低速走行時に、入力側、出力側両ディスク2、4同士の間の変速比を変える際の作用自体は、前述の図3〜4に示したトロイダル型無段変速機単独の場合と同様である。勿論、この状態では、上記入力軸29と出力軸31との間の変速比、即ち、無段変速装置全体としての変速比は、トロイダル型無段変速機32の変速比に比例する。又、この状態では、このトロイダル型無段変速機32に入力されるトルクは、上記入力軸29に加えられるトルクに等しくなる。
【0029】
これに対して、高速走行時には、上記高速用クラッチ49を接続すると共に、上記低速用クラッチ48及び後退用クラッチ52の接続を断つ。この状態で上記発進クラッチ30を接続し、上記入力軸29を回転させると、この入力軸29から上記出力軸31には、前記第二の動力伝達機構43を構成する第一、第二のスプロケット44、45及びチェン46と前記遊星歯車機構33とが、動力を伝達する。
【0030】
即ち、上記高速走行時に上記入力軸29が回転すると、この回転は上記第二の動力伝達機構43並びに高速用クラッチ49を介して中心軸51に伝わり、この中心軸51を固定したリング歯車36を回転させる。そして、このリング歯車36の回転が複数の遊星歯車組37、37を介して太陽歯車35に伝わり、この太陽歯車35を固定した上記出力軸31を回転させる。上記リング歯車36が入力側となった場合に上記遊星歯車機構33は、上記各遊星歯車組37、37が停止している(太陽歯車35の周囲で公転しない)と仮定すれば、上記リング歯車36と太陽歯車35との歯数の比に応じた変速比で増速を行なう。但し、上記各遊星歯車組37、37は上記太陽歯車35の周囲を公転し、無段変速装置全体としての変速比は、これら各遊星歯車組37、37の公転速度に応じて変化する。そこで、上記トロイダル型無段変速機32の変速比を変えて、上記遊星歯車組37、37の公転速度を変えれば、上記無段変速装置全体としての変速比を調節できる。
【0031】
即ち、上記高速走行時に上記各遊星歯車組37、37が、上記リング歯車36と同方向に公転する。そして、これら各遊星歯車組37、37の公転速度が遅い程、上記太陽歯車35を固定した出力軸31の回転速度が速くなる。例えば、上記公転速度とリング歯車36の回転速度(何れも角速度)が同じになれば、上記リング歯車36と出力軸31の回転速度が同じになる。これに対して、上記公転速度がリング歯車36の回転速度よりも遅ければ、上記リング歯車36の回転速度よりも出力軸31の回転速度が速くなる。反対に、上記公転速度がリング歯車36の回転速度よりも速ければ、上記リング歯車36の回転速度よりも出力軸31の回転速度が遅くなる。
【0032】
従って、上記高速走行時には、前記トロイダル型無段変速機32の変速比を減速側に変化させる程、無段変速装置全体の変速比は増速側に変化する。この様な高速走行時の状態では、上記トロイダル型無段変速機32に、入力側ディスク2からではなく、出力側ディスク4からトルクが加わる(低速時に加わるトルクをプラスのトルクとした場合にマイナスのトルクが加わる)。即ち、前記高速用クラッチ49を接続した状態では、前記エンジン26から入力軸29に伝達されたトルクは、前記押圧装置10が前記入力側ディスク2を押圧する以前に、前記第二の動力伝達機構43を介して前記遊星歯車機構33のリング歯車36に伝達される。従って、入力軸29の側から上記押圧装置10を介して入力側ディスク2に伝達されるトルクは殆どなくなる。
【0033】
一方、上記第二の動力伝達機構43を介して上記遊星歯車機構33のリング歯車36に伝達されたトルクの一部は、前記各遊星歯車組37、37から、キャリア39及び第一の動力伝達機構40を介して出力側ディスク4に伝わる。この様に出力側ディスク4からトロイダル型無段変速機32に加わるトルクは、無段変速装置全体の変速比を増速側に変化させるべく、トロイダル型無段変速機32の変速比を減速側に変化させる程小さくなる。この結果、高速走行時に上記トロイダル型無段変速機32に入力されるトルクを小さくして、このトロイダル型無段変速機32の構成部品の耐久性向上を図れる。
【0034】
更に、自動車を後退させるべく、前記出力軸31を逆回転させる際には、前記低速用、高速用両クラッチ48、49の接続を断つと共に、前記後退用クラッチ52を接続する。この結果、上記リング歯車36が固定され、上記各遊星歯車組37、37が、このリング歯車36並びに前記太陽歯車35と噛合しつつ、この太陽歯車35の周囲を公転する。そして、この太陽歯車35並びにこの太陽歯車35を固定した出力軸31が、前述した低速走行時並びに上述した高速走行時とは逆方向に回転する。
【0035】
図9は、上述した図8に示す様な無段変速装置全体としての変速比(itotal)を連続して変化させる場合に、トロイダル型無段変速機32の変速比(icvt)と、このトロイダル型無段変速機32に入力される入力トルク(Tin)と、無段変速装置の出力軸31から取り出される出力トルク(Ts )とが変化する状態の1例を示している。これら各変速比(itotal)(icvt)並びに各トルク(Tin)(Ts )の関係は、トロイダル型無段変速機32の変速幅、遊星歯車機構33の構造並びに歯数比、第二の動力伝達機構43の減速比等に応じて変わる。図9に記載した各線を得る為の条件として、トロイダル型無段変速機32の変速幅を4倍(0.5〜2.0)とし、遊星歯車機構33はそれぞれが1対ずつの遊星歯車38a、38bから成る遊星歯車組37、37を備えたものとし、第二の動力伝達機構43の減速比は2とした。又、低速用クラッチ48と高速用クラッチ49との切り換えは、無段変速装置全体としての変速比(itotal)が1の場合に行なうとした。
【0036】
上述の様な条件で試算した結果を示す図9で、縦軸は、トロイダル型無段変速機32の変速比(icvt)並びに、トロイダル型無段変速機32の入力トルク(Tin)又は無段変速装置の出力トルク(Ts )と前記エンジン26から前記入力軸29(図8)に伝えられるトルク(Te )との比(Tin/Te )(Ts /Te )を、横軸は、無段変速装置全体としての変速比(itotal)を、それぞれ表している。尚、トロイダル型無段変速機32の変速比(icvt)を示す値がマイナスなのは、このトロイダル型無段変速機32に組み込んだ出力側ディスク4(図8)の回転方向が入力軸29の回転方向と逆になる為である。又、実線aは、上記トロイダル型無段変速機32の変速比(icvt)を、破線bは、上記出力トルク(Ts )と前記エンジン26から前記入力軸29に伝えられるトルク(Te )との比(Ts /Te )を、鎖線cは、上記入力トルク(Tin)と前記エンジン26から前記入力軸29に伝えられるトルク(Te )との比(Tin/Te )を、それぞれ表している。この様な図9の記載から明らかな通り、上述した図8に示す様な無段変速装置によれば、高速走行時にトロイダル型無段変速機32に加わるトルクを小さくできる。図9を求めた条件では、上記入力トルク(Tin)を、最大限、上記エンジン26から前記入力軸29に伝えられるトルク(Te )の14%程度にまで低減できる。
【0037】
更に、定速運転する電動モータと、送水ポンプ等の、運転速度に応じて仕事量を変える被駆動部材との間、或はエンジンや風車、水車等の運転速度が変動する駆動部材と、発電機等の定速運転が好ましい被駆動部材との間に、トロイダル型無段変速機と遊星歯車機構とを組み合わせた無段変速装置を組み込む事も、考えられている。この様な無段変速装置では、図8の構造から低速用クラッチ48と後退用クラッチ52とを省略し、伝達軸47と中心軸51とを直結させる(高速用クラッチ49も省略する)。この様な無段変速装置の場合には、上記図9の右端部分(実線a及び鎖線cが急変している部分よりも右側部分)を使用するので、運転の間中、トロイダル型無段変速機を通過するトルクが負の状態、即ち、出力側ディスクから入力側ディスクにトルクが伝達される状態となる。
【0038】
【発明が解決しようとする課題】
上述した様な無段変速装置等に組み込んだ状態で使用される、前述の様なトロイダル型無段変速機は、プリセスカム23による制御弁18の開閉制御に拘らず、トロイダル型無段変速機32の構成部品の組み付け隙間や弾性変形等の影響により、入力トルクの変動に伴って変速比が不必要に変動して、エンジンの回転数が急激に変動し、運転者に違和感を与える可能性がある事が、本発明者等の実験により分かった。即ち、従来は力の伝達方向に関して、上記プリセスカム23の設置位置を考慮しておらず、言い換えれば、このプリセスカム23を何れの部分に設置すれば良いかを検討していなかった。そして、従来の場合には、左右構わずに、何れかのトラニオン7の下部にプリセスカム23を設置していた。これに対して、本発明者の実験により、このプリセスカム23の設置位置が変速比の変動に影響を与える事が明らかになり、本発明をなすに至った。この点に就いて、以下に説明する。
【0039】
上記プリセスカム23は、前述の図7に示す様に、何れかのトラニオン7にその基端部(図7の上端部)を結合固定したロッド22の先端部(図7の下端部)に支持固定している。一方、トロイダル型無段変速機の運転時に上記トラニオン7は、その内側面側に支持したパワーローラ9から大きな力を受ける。この力としては、主として次の(1)(2)の2種類である。
(1) 上記パワーローラ9の周面9aと、入力側ディスク2、2A、2Bの内側面2a及び出力側ディスク4の内側面4aとの当接部(トラクション部)から、動力伝達に伴って加わる力。
(2) 押圧装置10(例えば図5〜6参照)による押し付け力に基づき、上記パワーローラ9を上記トラニオン7の内側面に押し付けるスラスト荷重。
これら(1)(2)の力は何れも、上記プリセスカム23の位置を正規位置からずらせる原因となる。
【0040】
先ず、上記(1)の力に伴って上記プリセスカム23の位置が正規位置からずれる理由に就いて、図10により説明する。この図10は、1対の入力側ディスクと出力側ディスクとの間に配置された1対のトラニオン7、7、及び、これら両トラニオン7、7にそれぞれ付属した変位軸8、8と、パワーローラ9、9と、ロッド22、22と、油圧式のアクチュエータを構成するピストン59、59と、プリセスカム23とを略示している。この図10で、この図10には記載していない入力側ディスクは、矢印αで示す様に、時計方向に回転する。従って、やはり図10には記載していない出力側ディスクは、反時計方向に回転する。
【0041】
この様な図10で、先ず(A)は、入力側ディスク2と出力側ディスク4(例えば図3参照)との間で動力を伝達していない場合を示している。この場合には、上記入力側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4a(例えば図3参照)から上記各パワーローラ9、9に加わる荷重はゼロである。従って、これら各パワーローラ9、9を支持した変位軸8、8及び上記各トラニオン7、7に加わる荷重もゼロであって、これら各変位軸8、8が傾斜したりこれら各トラニオン7、7が弾性変形したりする事はない。この為、何れか(図10の右方)のトラニオン7に付属のロッド22の端部に固定したプリセスカム23は、図10に鎖線イで示す正規位置に存在する。
【0042】
次に、図10の(B)は、入力側ディスク2と出力側ディスク4との間で、比較的軽い動力を伝達する場合を示している。この場合には、上記入力側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4aから上記各パワーローラ9、9に加わる荷重に基づき、上記各トラニオン7、7に、それぞれの両端部に設けた枢軸6、6(例えば図7参照)の軸方向(図10の上下方向)の荷重が加わる。そして、この荷重を支承すべく上記各ピストン59、59を組み込んだアクチュエータ17、17(例えば図7参照)に油圧を立ち上げる。同時に、上記両ディスク2、4から上記各パワーローラ9、9に加わる荷重に基づき、これら各パワーローラ9、9を支持した上記各変位軸8、8が、上記図10(B)に誇張して示す様に、上記入力側ディスク2から上記各パワーローラ9、9に加わる荷重の作用方向前方に傾斜する。この様な傾斜は、これら各変位軸8、8の両端部と上記各パワーローラ9、9及び上記各トラニオン7、7との間に設けたラジアルニードル軸受の内部隙間の存在や上記各変位軸8、8自身の弾性変形に基づく。この様な傾斜は、僅かではあるが、上記各パワーローラ9、9と上記各トラニオン7、7との間に設けたスラスト玉軸受14やスラストニードル軸受15(例えば図7参照)の内部隙間の存在に基づき、比較的軽い力で行なわれる。
【0043】
この様にしてこれら各変位軸8、8が傾斜すると、これら各変位軸8、8に支持した上記各パワーローラ9、9が、上記入力側、出力側両ディスク2、4に対し変位して、これら各パワーローラ9、9の周面9a、9aとこれら両ディスク2、4の内側面2a、4aとの当接部(トラクション部)の位置が、これら両ディスク2、4の中央位置からずれる。この様にトラクション部がこれら両ディスク2、4の中央位置からずれると、上記各パワーローラ9、9の周面9a、9aと上記両ディスク2、4の内側面2a、4aとのトラクション部でサイドスリップが発生する。そして、この様なサイドスリップに基づいて既知のフィードバック機構が働き、上記トラクション部を上記両ディスク2、4の中央位置に戻す。即ち、上記サイドスリップに基づいて上記各パワーローラ9、9と共に上記各トラニオン7、7が前記枢軸6、6を中心として揺動変位し、前記プリセスカム23がリンク腕24を介して制御弁18のスプール21(図7参照)を変位させる。そして、前記アクチュエータ17、17に圧油を給排して、上記各トラニオン7、7を上記枢軸6、6の軸方向に変位させ、上記トラクション部を上記両ディスク2、4の中央位置に戻す。この際、変速の為の指令信号は出ていないので、上記制御弁18のスリーブ20(図7参照)はそのままの位置に留まる(軸方向に変位しない)。この結果、上記各パワーローラ9、9は、変速の為の指令信号は出ていないにも拘らず、変速動作を行なう事になる。そして、上記プリセスカム23は、前記鎖線イで示した正規位置から軸方向にδ1 だけずれた、鎖線ロ位置に存在する事になる。
【0044】
更に、図10の(C)は、入力側ディスク2と出力側ディスク4との間で、大きな動力を伝達する場合を示している。この場合には、前記(1)の力だけでなく、前記(2)の力も、上記プリセスカム23の位置を正規位置からずらせる方向に作用する。
即ち、この図10の(C)に示した状態では、上記各変位軸8、8の傾斜が上記(B)の場合よりも大きくなると同時に、上記各トラニオン7、7の弾性変形が無視できない程度になる。この場合には、これら各トラニオン7、7の中間部が、上記各パワーローラ9、9から加わるスラスト荷重に基づいて、図10の(C)に誇張して示す様に、これら各パワーローラ9、9を設置した内側面側が凹面となる方向に弾性変形する。そして、この弾性変形に基づき、前記各枢軸6、6の軸方向に関する、上記各トラニオン7、7の全長が短くなる。具体的には、これら各トラニオン7、7の長さ方向両端面が、これら各トラニオン7、7の長さ方向中央部に近づく方向に変位する。
【0045】
そして、この変位の結果、上記プリセスカム23が、前述の図10(B)の場合よりも更にδ2 分だけ、前記鎖線イで示した正規位置からずれる。即ち、この状態で上記プリセスカム23の正規位置からのずれは、(δ1 +δ2 )となる。そして、上記各パワーローラ9、9の周面9a、9aと前記入力側、出力側両ディスク2、4の内側面2a、4aとの当接部(トラクション部)が、上記(δ1 +δ2 )分だけ、上記両ディスク2、4の中央位置からずれる。この結果、上記各パワーローラ9、9は、変速の為の指令信号は出ていないにも拘らず、上記(δ1 +δ2 )分だけ、変速動作を行なう事になる。尚、上記新たな変位δ2 は、上記トラニオン7の弾性変形に基づく分と、上記変位軸8の傾斜角度が更に大きくなる事に基づく分との合計である。
【0046】
この様に、図10の(B)(C)の場合には、変速の為の指令信号が出ていないにも拘らず変速動作が行なわれるが、この場合に於ける変速の程度は、上記軸方向のずれ{δ1 或は(δ1 +δ2 )}と上記各プリセスカム23のカムリードとに比例する。例えば、カムリードが20mm/360度である場合には、上記ずれが0.3mmの場合に、上記各パワーローラ9、9が5.4度傾転(枢軸6、6を中心に揺動変位)する。従って、上記プリセスカム23の変位を小さく抑える事が、上述の様な原因に基づく、意図しない変速動作を抑える面から重要である。
【0047】
又、意図しない変速動作は、上記プリセスカム23を設置したトラニオン7の弾性変形に基づくロッド22の振れによっても発生する。この点に就いて、図11により簡単に説明する。動力伝達時に上記トラニオン7は、その内側面に支持したパワーローラ9から受けるスラスト荷重に基づいて、その内側面側が凹面となる方向に、図11に太い鎖線でその中心部を誇張して示す様に弾性変形する。そして、この弾性変形に基づいて、上記トラニオン7の端部にその基端部(図11の上端部)を結合固定したロッド22が変位する。そして、上記プリセスカム23を装着した、このロッド22の先端部(図11の下端部)は、上記スラスト荷重が大きくなる程ラジアル方向に関する変位量が多くなる。この様な変位も、上記意図しない変速動作が行なわれる原因となる。
【0048】
何れにしても、意図しない変速動作が行なわれると、その瞬間にエンジンの回転数が急変し、運転者に違和感を与える。この様な意図しない変速動作を完全になくす事は難しいが、極力小さく抑える事が、安定した運転を行なって運転者に違和感を与えない面から重要である。
本発明は、この様な事情に鑑みて、意図しない変速動作の程度を抑えるべく発明したものである。
【0049】
【課題を解決するための手段】
本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様に、第一ディスク及び第二ディスクと、複数のトラニオンと、変位軸と、パワーローラと、油圧式のアクチュエータと、制御弁とを備える。
このうちの第一ディスク及び第二ディスクは、それぞれが断面円弧形の凹面である互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ回転自在に支持されている。
又、上記各トラニオンは、上記第一ディスク及び第二ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動する。
又、上記変位軸は、上記各トラニオンの中間部に、これら各トラニオンの内側面から突出する状態で支持されている。
又、上記パワーローラは、上記各トラニオンの内側面側に配置され且つ上記第一ディスク及び第二ディスクの間に挟持された状態で、上記各変位軸の周囲に回転自在に支持されたもので、その周面を球状凸面としている。
又、上記油圧式のアクチュエータは、上記各トラニオン毎に設けて、これら各トラニオンを上記各枢軸の軸方向に変位させる事により、これら各トラニオンをこれら各枢軸を中心に揺動変位させて上記第一ディスクと上記第二ディスクとの間の変速比を変化させるものである。
更に、上記制御弁は、上記各アクチュエータへの圧油の給排状態を切り換える為のものである。
そして、何れかのトラニオン又は当該トラニオンと共に変位する部材にプリセスカムを固定し、このプリセスカムの変位をリンク腕により上記制御弁に伝えるフィードバック機構を設ける事により、当該トラニオンの動きを上記制御弁に伝えてこの制御弁の給排状態を切り換え自在としている。
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、このトロイダル型無段変速機は無段変速装置中に組み込まれたものとしている。又、この無段変速装置は、駆動源につながってこの駆動源により回転駆動される入力軸と、この入力軸の回転に基づく動力を取り出す為の出力軸と、上記トロイダル型無段変速機と、遊星歯車機構と、上記入力軸に入力された動力を上記トロイダル型無段変速機を介して伝達する第一の動力伝達経路と、上記入力軸に入力された動力を上記トロイダル型無段変速機を介する事なく伝達する第二の動力伝達経路とを備える。そして、上記遊星歯車機構は、太陽歯車とこの太陽歯車の周囲に配置したリング歯車との間に設けられ、上記太陽歯車と同心に且つ回転自在に支持したキャリアに回転自在に支持された遊星歯車を、上記太陽歯車とリング歯車とに噛合させて成るものとしている。又、上記第一の動力伝達経路を通じて送られる動力と上記第二の動力伝達経路を通じて送られる動力とを、上記太陽歯車と上記リング歯車と上記キャリアとのうちの2個の部材に伝達自在とすると共に、これら太陽歯車とリング歯車とキャリアとのうちの残りの1個の部材に上記出力軸を結合している。更には、常に上記第一の動力伝達経路と上記第二の動力伝達経路との双方で動力の伝達を行なうものとし、且つ、上記第一ディスクと上記第二ディスクとの間で行われる大きな動力の伝達を、このうちの第一ディスクである出力側ディスクから第二ディスクである入力側ディスクに向けてのみ行われるものとしている。又、これと共に、上記プリセスカムの設置位置を、上記何れかのトラニオンの両端側のうち、上記出力側ディスクから上記入力側ディスクへの動力の伝達時に当該トラニオンに加わる、上記枢軸方向の力の作用方向に関して後側としている。言い換えれば、上記プリセスカムを、何れかのトラニオンの両端側のうち、上記入力軸と繋がる入力側ディスクの回転方向に関するベクトルに関して前端側に設けている。
【0050】
【作用】
上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機によれば、動力伝達時に於ける変速比の変動を抑え、運転者に与える違和感を低減若しくは解消できる。
即ち、本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、上述の様に、プリセスカムの設置位置を、このプリセスカムを設置するトラニオンに加わる枢軸方向の力の作用方向に関して後側としている。この為、大きな動力を伝達する際に、変位軸の傾斜に基づいて上記プリセスカムを正規位置からずらせる方向と、上記トラニオンの弾性変形に基づいてこのプリセスカムを正規位置からずらせる方向とが、互いに逆になる。この為、上記傾斜に基づくずれと、上記弾性変形に基づくずれとが互いに打ち消しあって、上記プリセスカムの正規位置からのずれが小さくなる。
この結果、大きな動力を伝達する際にも、上記プリセスカムが正規位置からのずれを小さく抑える事ができて、上述の様に変速比の変動を抑えられる。
【0051】
【発明の実施の形態】
図12〜13は、本発明に関する参考例の第1例を示している。尚、本参考例(並びに後述する本発明)のトロイダル型無段変速機の特徴は、動力伝達時に於ける変速比の変動を抑えるべく、プリセスカム23の設置位置を規制した点にある。その他の図面に表われる部分の構造及び、入力部と出力部との間で動力を伝達したり、或はこれら入力部と出力部との間の変速比を変える際の作用は、前述の図3〜4、図5〜7に示した、従来から知られているトロイダル型無段変速機、或は図8に示した無段変速装置に組み込んだトロイダル型無段変速機32と同様であるから、同等部分に関する説明は省略する。
【0052】
本参考例の構造を示す図12〜13は、従来構造を示した前述の図10と同様に、1対の入力側ディスクと出力側ディスクとの間に配置された1対のトラニオン7、7、及び、これら両トラニオン7、7にそれぞれ付属した変位軸8、8と、パワーローラ9、9と、ロッド22、22と、油圧式のアクチュエータを構成するピストン59、59と、プリセスカム23とを略示している。この様な図12〜13で、これら図12〜13には記載していない入力側ディスクは、矢印αで示す様に、時計方向に回転する。従って、やはり図12〜13には記載していない出力側ディスクは、反時計方向に回転する。特に、本参考例のトロイダル型無段変速機の場合には、上記図10に示した従来構造とは逆に、上記入力側ディスクから上記パワーローラ9を介して加えられる荷重のベクトルの方向に関して後側に、上記プリセスカム23を設けている。
【0053】
上述の様に構成する本参考例のトロイダル型無段変速機によれば、動力伝達時に於ける変速比の変動を抑え、運転者に与える違和感を低減できる。この点に就いて、図13に図14〜15を加えて説明する。
先ず、図13の(A)は、入力側ディスク2と出力側ディスク4(例えば図3参照)との間で動力を伝達していない場合を示している。この場合には、従来構造の場合に就いて説明した、前述の図10(A)の場合と同様に、各変位軸8、8が傾斜したりこれら各トラニオン7、7が弾性変形したりする事はない。この為、上記トラニオン7に付属のロッド22の端部に固定したプリセスカム23は、図13に鎖線イで示す正規位置に存在する。
【0054】
次に、図13の(B)は、入力側ディスク2と出力側ディスク4との間で、比較的軽い動力を伝達する場合を示している。この場合にも、やはり従来構造の場合に就いて説明した、前述の図10(B)の場合と同様に、各パワーローラ9、9を支持した上記各変位軸8、8がこれら各パワーローラ9、9に加わる荷重の作用方向前方に傾斜する。そして、この傾斜に基づくこれら各パワーローラ9、9のずれを補償すべく、上記各トラニオン7、7を枢軸6、6(例えば図7参照)の軸方向(図13の上下方向)に変位させる結果、上記プリセスカム23は、鎖線イで示した正規位置から軸方向にδ1 だけずれた、鎖線ロ位置に存在する事になる。ここまでの動きは、従来構造の場合と同様である。
【0055】
特に、本参考例の場合には、入力側ディスク2と出力側ディスク4との間で、大きな動力を伝達する場合に於ける、上記プリセスカム23の正規位置からのずれを小さくできる。この場合には、図13の(C)に示す様に、上記各変位軸8、8の傾斜が上記図13の(B)の場合よりも大きくなると同時に、上記各トラニオン7、7の弾性変形が無視できない程度になる。この場合には、これら各トラニオン7、7の中間部が、上記各パワーローラ9、9から加わるスラスト荷重に基づいて、図13の(C)に誇張して示す様に、これら各パワーローラ9、9を設置した内側面側が凹面となる方向に弾性変形する。そして、この弾性変形に基づき、前記各枢軸6、6の軸方向に関する、上記各トラニオン7、7の全長が短くなる。具体的には、これら各トラニオン7、7の長さ方向両端面が、これら各トラニオン7、7の長さ方向中央部に近づく方向に変位する。
【0056】
本参考例の場合には、上記各変位軸8、8の傾斜に基づく変位の方向と、上記プリセスカム23を設置したトラニオン7の弾性変形に基づく変位の方向とが逆になる。従って、上記図13の(C)の状態で上記プリセスカム23は、上記変位軸8の傾斜に基づく変位量から、上記トラニオン7の弾性変形に基づく変位量を引いた、δ3 分だけ、前記鎖線イで示した正規位置からずれる。この変位量δ3 と、前述の従来構造の場合の変位量(δ1 +δ2 )とを比較すれば、本参考例の場合の変位量δ3 が、従来構造の場合の変位量(δ1 +δ2 )よりも、上記トラニオン7の弾性変形に基づく変位量δ4 の2倍(2δ4 )分だけ小さくなる(δ3 =δ1 +δ2 −2δ4 )。即ち、従来の場合には、上記弾性変形に基づく変位量δ4 が他の原因での変位量に足されたのに対し、本参考例の場合には、この変位量δ4 が引かれる事になる。
【0057】
以上の説明から明らかな様に、本参考例のトロイダル型無段変速機によれば、動力伝達時に於ける変速比の変動を抑え、運転者に与える違和感を低減できる。
図14〜15は、この様な本参考例の効果を確認する為に行なった実験の結果を示している。これら図14〜15は、横軸に入力側ディスクに加えるトルクを、縦軸に入力側ディスクと出力側ディスクとの変速比を、それぞれ表している。実験は、上記トルクをゼロとすると共にこの変速比を1とした状態からこのトルクを次第に上昇させ、このトルクの大きさが変速比に及ぼす影響を測定した。
【0058】
又、このうちの図14は、図3〜4或は図5〜6に示す様な、トロイダル型無段変速機単独の場合の実験結果を、図15は、図8に示す様な、トロイダル型無段変速機と遊星歯車機構とを組み合わせて無段変速装置を構成した場合の実験結果を、それぞれ表している。更に、上記図14〜15で、実線は図12〜13に示した本参考例の場合の実験結果を、破線は図10に示した従来構造の場合の実験結果を、それぞれ表している。
この様な実験結果を表した図14〜15から明らかな通り、本参考例によれば、動力伝達時に於ける変速比の変動を抑えられる。特に、前記変位軸8の支持剛性並びに曲げ剛性、前記トラニオン7の剛性を適切に規制して、δ3 =δ1 +δ2 −2δ4 ≒0とすれば、大きなトルクの伝達時に於ける変速比のずれを、無視できる程度に低く抑える事も可能である。
尚、実際に上記変速比を測定すると、細かく変動するが、上記図14〜15は、細かな変動に就いてはこれを平滑化して、その中央値を示している。
【0059】
次に、図16〜17は、本発明に関する参考例の第2〜3例を示している。これら第2〜3例の場合にも、入力側ディスクからパワーローラ9を介して加えられる荷重のベクトルの方向に関して後側に、プリセスカム23を設けている。
但し、図16に示した第2例の場合には、同図で時計方向に回転する入力側ディスクに対し、同図で右側のトラニオン7の、ロッド22と反対側端部に、上記プリセスカム23を設けている。
又、図17に示した第3例の場合には、同図で反時計方向に回転する入力側ディスクに対し、同図で右側のトラニオン7に固定したロッド22の先端部、或は同図で左側のトラニオンの、ロッド22と反対側端部に、上記プリセスカム23を設けている。
この様な第2〜3例の作用は、上述した第1例の場合と同様である。
但し、トラニオン7の、ロッド22と反対側端部に上記プリセスカム23を設ける構造の場合には、前述の図11に示した様な、上記トラニオン7の弾性変形に基づくロッド22の振れに伴う変速比のぶれ(変動)を抑える事ができる。
【0060】
次に、図18〜19は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の場合は、前述した様な、定速運転する電動モータと、送水ポンプ等の、運転速度に応じて仕事量を変える被駆動部材との間に、トロイダル型無段変速機と遊星歯車機構とを組み合わせた無段変速装置を組み込む構造に本発明を適用する場合に就いて示している。この様な無段変速装置では、前述した通り、図8の構造から低速用クラッチ48と後退用クラッチ52とを省略し、伝達軸47と中心軸51とを直結させる。この様な無段変速装置の場合には、前述した図9の右端部分を使用するので、運転の間中、トロイダル型無段変速機を通過するトルクが負の状態、即ち、出力側ディスクから入力側ディスクにトルクが伝達される状態となる。
【0061】
この様に、トロイダル型無段変速機の入力側ディスクと出力側ディスクとの間でのトルクの伝達方向が逆になる事に伴って、本例の場合には、入力側ディスクの回転方向に関する、プリセスカム23の設置位置を、前述した第1例の場合と逆にしている。具体的には、図18で時計方向に回転する入力側ディスクに対し、同図で右側のトラニオン7に固定したロッド22の先端部に、上記プリセスカム23を設けている。
【0062】
この様な本例の場合には、上記出力側ディスクから上記入力側ディスクへの動力伝達(実際には出力側ディスクが動力の入力側となるが、入力軸と繋がるディスクを入力側ディスクとしている他の例の説明との整合性を取る為、入力側、出力側を敢えてそのままとする)に伴って、図19に示す様に、前述の図10、13とは逆方向の力が加わる。従って、この様な本例の場合も、前述の第1例の場合と同様に、大きなトルクを伝達する際に於ける変速比のぶれを小さく抑える事ができる。
図20は、この様な本発明の効果を確認する為に行なった実験の結果を示している。この図20は、横軸に出力側ディスクに加えるトルクを、縦軸に入力側ディスクと出力側ディスクとの変速比を、それぞれ表している。実験は、上記トルクをゼロとすると共にこの変速比を1とした状態からこのトルクを次第に上昇させ、このトルクの大きさが変速比に及ぼす影響を測定した。又、実線は図18〜19に示した本発明の場合の実験結果を、破線は本発明とは逆の側にプリセスカム23を設置した場合の実験結果を、それぞれ表している。
この様な実験結果を表した図20から明らかな通り、本発明によれば、動力伝達時に於ける変速比の変動を抑えられる。
【0063】
尚、前述の図8に示した無段変速機の様に、高速モードと低速モードとを切り替える構造の場合には、前述した参考例の第1〜3例の様に、プリセスカム23の設置位置を低速モードの状態に合わせると、高速モードでは好ましい位置とは逆になる。但し、高速モードでトロイダル型無段変速機を通過するトルクは、前述の図9からも明らかな通り、低速モードの場合よりも低い場合が殆どである。従って、高速モードと低速モードとを切り替える構造の場合には、前述した本参考例の第1〜3例の様に、プリセスカム23の設置位置を低速モードの状態に合わせる事が現実的である。
【0064】
次に、図21〜22は、本発明の実施の形態の第2〜3例を示している。これら第2〜3例の場合にも、出力側ディスクからパワーローラ9を介して加えられる荷重のベクトルの方向に関して後側(入力側ディスクの回転方向αに関して前側)に、プリセスカム23を設けている。
但し、図21に示した第2例の場合には、同図で時計方向に回転する入力側ディスクに対し、同図で左側のトラニオン7の、ロッド22と反対側端部に、上記プリセスカム23を設けている。
又、図22に示した第3例の場合には、同図で反時計方向に回転する入力側ディスクに対し、同図で左側のトラニオン7に固定したロッド22の先端部、或は同図で右側のトラニオンの、ロッド22と反対側端部に、上記プリセスカム23を設けている。
この様な第2〜3例の作用は、上述した第1例の場合と同様である。
但し、これら各例の場合も、トラニオン7の、ロッド22と反対側端部に上記プリセスカム23を設ける構造の場合には、前述の図11に示した様な、上記トラニオン7の弾性変形に基づくロッド22の振れに伴う変速比のぶれ(変動)を抑える事ができる。
【0065】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、特に面倒な制御を行なう事なく、しかも運転者に違和感を与えないトロイダル型無段変速機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 トロイダル型無段変速機の基本構造を、最大減速時の状態で示す略側面図。
【図2】 同じく最大増速時の状態で示す略側面図。
【図3】 トロイダル型無段変速機の具体的構造の第1例を示す要部断面図。
【図4】 図3のx−x断面図。
【図5】 トロイダル型無段変速機の具体的構造の第2例を示す要部断面図。
【図6】 図5のy−y断面図。
【図7】 同z−z断面図。
【図8】 トロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置の1例を示す略断面図。
【図9】 この無段変速装置全体としての変速比と、トロイダル型無段変速機のみの変速比と、各部のトルクの比との関係を示す線図。
【図10】 従来構造で変速比が大きく変動する理由を説明する為の模式図。
【図11】 トラニオンの弾性変形が変速比のぶれ(変動)に結び付く理由を説明する為の、トラニオン及びロッドの断面図。
【図12】 本発明に関する参考例の第1例を示す模式図。
【図13】 この第1例の構造で変速比が変動しにくくなる理由を説明する為の模式図。
【図14】 この第1例の構造及び従来構造をトロイダル型無段変速機単独で実施した場合の変速比の変動を示す線図。
【図15】 上記第1例の構造及び従来構造を図8に示した無段変速機に組み込んで実施した場合の変速比の変動を示す線図。
【図16】 本発明に関する参考例の第2例を示す模式図。
【図17】 同第3例を示す模式図。
【図18】 本発明の実施の形態の第1例を示す模式図。
【図19】 この第1例の構造で変速比が変動しにくくなる理由を説明する為の模式図。
【図20】 この第1例の構造及び従来構造を実施した場合の変速比の変動を示す線図。
【図21】 本発明の実施の形態の第2例を示す模式図。
【図22】 同第3例を示す模式図。
【符号の説明】
1 入力軸
2、2A、2B 入力側ディスク
2a 内側面
3 出力軸
4 出力側ディスク
4a 内側面
5 ケーシング
6 枢軸
7 トラニオン
8 変位軸
9 パワーローラ
9a 周面
10 押圧装置
11、11a 入力軸
12、12a 出力歯車
13 支持板
14 スラスト玉軸受
15 スラストニードル軸受
16 外輪
17 アクチュエータ
18 制御弁
19 ステッピングモータ
20 スリーブ
21 スプール
22 ロッド
23 プリセスカム
24 リンク腕
25 駆動軸
26 エンジン
27 同期ケーブル
28 クランクシャフト
29 入力軸
30 発進クラッチ
31 出力軸
32 トロイダル型無段変速機
33 遊星歯車機構
34 カム板
35 太陽歯車
36 リング歯車
37 遊星歯車組
38a、38b 遊星歯車
39 キャリア
40 第一の動力伝達機構
41 第一の歯車
42 第二の歯車
43 第二の動力伝達機構
44 第一のスプロケット
45 第二のスプロケット
46 チェン
47 伝達軸
48 低速用クラッチ
49 高速用クラッチ
50 支持板
51 中心軸
52 後退用クラッチ
53 デファレンシャルギヤ
54 第三の歯車
55 第四の歯車
56 第五の歯車
57 第三の動力伝達機構
58 駆動軸
59 ピストン

Claims (1)

  1. それぞれが断面円弧形の凹面である互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ回転自在に支持された第一ディスク及び第二ディスクと、これら第一ディスク及び第二ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動する複数のトラニオンと、これら各トラニオンの中間部に、これら各トラニオンの内側面から突出する状態で支持された変位軸と、これら各トラニオンの内側面側に配置され且つ上記第一ディスク及び第二ディスクの間に挟持された状態で、上記各変位軸の周囲に回転自在に支持された、その周面を球状凸面としたパワーローラと、上記各トラニオン毎に設けて、これら各トラニオンを上記各枢軸の軸方向に変位させる事により、これら各トラニオンをこれら各枢軸を中心に揺動変位させて上記第一ディスクと上記第二ディスクとの間の変速比を変化させる油圧式のアクチュエータと、これら各アクチュエータへの圧油の給排状態を切り換える為の制御弁とを備え、何れかのトラニオン又は当該トラニオンと共に変位する部材にプリセスカムを固定し、このプリセスカムの変位をリンク腕により上記制御弁に伝えるフィードバック機構を設ける事により、当該トラニオンの動きをこの制御弁に伝えてこの制御弁の給排状態を切り換え自在としたトロイダル型無段変速機に於いて、このトロイダル型無段変速機は無段変速装置中に組み込まれたものであり、この無段変速装置は、駆動源につながってこの駆動源により回転駆動される入力軸と、この入力軸の回転に基づく動力を取り出す為の出力軸と、上記トロイダル型無段変速機と、遊星歯車機構と、上記入力軸に入力された動力を上記トロイダル型無段変速機を介して伝達する第一の動力伝達経路と、上記入力軸に入力された動力を上記トロイダル型無段変速機を介する事なく伝達する第二の動力伝達経路とを備え、上記遊星歯車機構は、太陽歯車とこの太陽歯車の周囲に配置したリング歯車との間に設けられ、上記太陽歯車と同心に且つ回転自在に支持したキャリアに回転自在に支持された遊星歯車を、上記太陽歯車とリング歯車とに噛合させて成るものであり、上記第一の動力伝達経路を通じて送られる動力と上記第二の動力伝達経路を通じて送られる動力とを、上記太陽歯車と上記リング歯車と上記キャリアとのうちの2個の部材に伝達自在とすると共に、これら太陽歯車とリング歯車とキャリアとのうちの残りの1個の部材に上記出力軸を結合しており、常に上記第一の動力伝達経路と上記第二の動力伝達経路との双方で動力の伝達を行なうものとし、且つ、上記第一ディスクと上記第二ディスクとの間で行われる大きな動力の伝達を、このうちの第一ディスクである出力側ディスクから第二ディスクである入力側ディスクに向けてのみ行われるものとすると共に、上記プリセスカムの設置位置を、上記何れかのトラニオンの両端側のうち、上記出力側ディスクから上記入力側ディスクへの動力の伝達時に当該トラニオンに加わる、上記枢軸方向の力の作用方向に関して後側とした事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
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