JP4168628B2 - 熱電変換材料及びその使用方法 - Google Patents

熱電変換材料及びその使用方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電変換材料及びその使用方法に関し、さらに詳しくは、太陽熱発電器、海水温度差熱電発電器、化石燃料熱電発電器、工場排熱や自動車排熱の回生発電器等の各種の熱電発電器、光検出素子、レーザーダイオード、電界効果トランジスタ、光電子増倍管、分光光度計のセル、クロマトグラフィーのカラム等の温度を制御する精密温度制御装置、恒温装置、冷暖房装置、冷蔵庫、時計用電源等に用いられる熱電変換素子を構成する材料として好適な熱電変換材料及びその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換とは、セーベック効果やペルチェ効果を利用して、電気エネルギーを冷却や加熱に、また逆に熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換することをいう。熱電変換は、(1)エネルギー変換の際に余分な老廃物を排出しない、(2)排熱の有効利用が可能である、(3)材料が劣化するまで継続的に発電を行うことができる、(4)モータやタービンのような可動装置が不要であり、メンテナンスの必要がない、等の特徴を有していることから、エネルギーの高効率利用技術として注目されている。
【0003】
熱を電気に変換できる材料、すなわち、熱電変換材料の特性を評価する指標としては、一般に、性能指数Z(=Sσ/κ、但し、S:ゼーベック係数、σ:電気伝導率、κ:熱伝導率)、又は、性能指数Zと、その値を示す絶対温度Tの積として表される無次元性能指数ZTが用いられる。ゼーベック係数は、1Kの温度差/勾配によって生じる起電力の大きさを表す。熱電変換材料は、それぞれ固有のゼーベック係数を持っており、ゼーベック係数が正であるもの(p型)と、負であるもの(n型)に大別される。
【0004】
また、熱電変換材料は、通常、p型の熱電変換材料とn型の熱電変換材料とを接合した状態で使用される。このような接合対は、一般に、熱電変換素子と呼ばれている。熱電変換素子の性能指数は、p型熱電変換材料の性能指数Z、n型熱電変換材料の性能指数Z、並びに、p型及びn型熱電変換材料の形状に依存し、また、形状が最適化されている場合には、Z及び/又はZが大きくなるほど、熱電変換素子の性能指数が大きくなることが知られている。従って、性能指数の高い熱電変換素子を得るためには、性能指数Z、Zの高い熱電変換材料を用いることが重要である。
【0005】
このような熱電変換材料としては、例えば、Bi−Te系、Pb−Te系、Si−Ge系、酸化物セラミックス系等の種々の材料が知られている。これらの中で、Bi−Te系及びPb−Te系の化合物半導体は、それぞれ、室温近傍及び300〜500℃の中温域において、優れた熱電特性(ZT〜0.8)を示す。しかしながら、これらの化合物半導体は、高温域での使用は困難である。また、材料中には高価な稀少元素(例えば、Te、Sb、Seなど)や、毒性の強い環境負荷物質(例えば、Te、Sb、Se、Pbなど)を含むという問題がある。
【0006】
一方、Si−Ge系の化合物半導体は、1000℃付近の高温域において優れた熱電特性(ZT〜1.0)を示し、また、材料中に環境負荷物質を含まないという特徴がある。しかしながら、Si−Ge系の化合物半導体は、高温大気中において長時間使用するためには、材料表面を保護する必要があり、熱的耐久性が低いという問題がある。
【0007】
これに対し、酸化物セラミックス系の熱電変換材料は、材料中に稀少元素や環境負荷物質を必ずしも含まない。また、高温大気中において長時間使用しても熱電特性の劣化が少なく、熱的耐久性に優れるという特徴がある。そのため、酸化物セラミックス系の熱電変換材料は、化合物半導体に代わる材料として注目されており、熱電特性の高い新材料やその製造方法について、従来から種々の提案がなされている。
【0008】
例えば、NaCoは、Na層と、稜共有したCoO八面体から構成されるCoO層とが交互に積層したCo系層状酸化物の一種である。NaCoは、室温において、大きなゼーベック係数S(約100μV/K)と低い電気抵抗率ρ(約200μΩ・cm)、すなわち高い電気伝導率σを有し、熱電変換材料として優れたポテンシャルを持つことが報告されている(例えば、I.Terasaki et al.,Phys.Rev.,B56,R12685(1997)参照)。
【0009】
また、A.C.Massetらは、同じくCo系層状酸化物の一種であるCaCoの多結晶体及び単結晶を作製し、その結晶構造と熱電特性の評価を行っている(A.C.Masset et al.,Phys.Rev.,B62,p.166-175(2000)参照)。同文献には、CaCoは、3層岩塩型の結晶構造を有するCaCoO層と、CdI型の結晶構造を有するCoO層とが、所定の周期でc軸方向に積層した格子不整合層状酸化物である点が記載されている。
【0010】
また、同文献には、CaCoの比抵抗に異方性があり、a−b面内の比抵抗は、c軸方向の比抵抗より格段に小さくなる点が記載されている。さらに、CaCo単結晶のa−b面方向のゼーベック係数は、300K近傍において約125μV/Kに達し、ゼーベック係数の温度依存性も小さい点が記載されている。
【0011】
なお、Co系層状酸化物の「a−b面」とは、熱電特性が高い面、すなわち、CoO層と平行な面をいう。Co系層状酸化物は、結晶構造が明らかになっていないものが多く、また、単位格子の取り方によって結晶軸及び結晶面の定義が異なるが、本発明においては、a−b面を上述のように定義する。
【0012】
また、特開2001−223393号公報には、一般式:Ca3−xRECo(但し、REは希土類元素、0≦x≦0.5、8.5≦y≦10)で表され、300℃以上の温度でゼーベック係数100μV/K以上、電気伝導度10S/m以上である複合酸化物が開示されている。
【0013】
また、BiSrCoは、4層岩塩型の結晶構造を有するBiSr層と、CdI型の結晶構造を有するCoO層とが交互に積層したCo系層状酸化物の一種であり、優れた熱電特性を示す熱電変換材料として知られている(例えば、H.Leligny et al.,J.Solid State Chem.,142,p409-414(1999)、松原一郎他、セラミックス、36、p582-585(2001)等参照)。
【0014】
さらに、特開2001−19544号公報には、BiSr2−xCaCo、Bi2−yPbSrCo、BiSr2−zLaCo等の一般式(但し、0≦x≦2、0≦y≦0.5、0<z≦0.5)で表される組成を有し、層状の結晶構造を有し、かつ1.0×10S/m以上の電気伝導度を有する複合酸化物焼結体が開示されている。また、同公報には、Bi供給源、Sr供給源、Ca供給源、Co供給源等の原料を加圧成形し、この成形体を一軸加圧しながら酸素雰囲気中で加熱することによって原料の一部を部分溶融させた後、徐冷する複合酸化物の製造方法が開示されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
NaCo、CaCo、BiSrCo等のCo系層状酸化物は、相対的に大きなゼーベック係数Sを有するp型の熱電変換材料である。特に、NaCoは、製造プロセスを制御することによって、高温における無次元性能指数ZTが、実用化の目安である1に近い焼結体が得られている。
【0016】
しかしながら、NaCoは、焼成時にNaの一部が揮散するために、製造法によって熱電特性が変化するという問題がある。また、大気中の水分と反応しやすいために、熱電特性が経時劣化しやすいという問題がある。
【0017】
これに対し、CaCo及びBiSrCoは、焼成中の組成変動や、大気中の水分との反応による経時劣化の問題は起きにくい。しかしながら、これらのCo系層状酸化物の場合、ゼーベック係数S及び熱伝導率κは比較的良好であるのに対し、電気伝導率σが低いという問題がある。例えば、単結晶で比較すると、CaCoの電気伝導率σは、NaCoの約7分の1と報告されている。そのため、既存の金属間化合物材料に比して、熱電変換効率が低いという問題がある。
【0018】
また、層状酸化物の熱電特性には、結晶方位に応じた異方性がある。従って、熱電特性の高い結晶面(a−b面)が一方向に配向した材料を用いれば、熱電特性の異方性を最大限に利用することができ、性能指数の向上が期待できる。また、これを用いた熱電変換素子の性能指数の向上も期待できる。
【0019】
しかしながら、CaCO、Co等の成分元素を含む単純化合物の混合物を仮焼し、これを成形・焼結する通常のセラミックス製造プロセスでは、熱電特性の高い結晶面が一方向に配向したCo系層状酸化物の焼結体は得られない。
【0020】
一方、特開2001−19554号公報には、成形体を一軸加圧しながら原料の一部を部分溶融させた後、徐冷すると、冷却過程において再結晶が起こり、加圧面に平行な方向に沿ってa−b面が成長した結晶粒からなる焼結体が得られる点が記載されている。しかしながら、この方法では、再結晶によって所望の結晶が得られる物質系や組成のみに限られ、例えば、結晶化の際に分相や結晶構造の変化を生ずる系には適用できないという問題がある。
【0021】
さらに、熱電特性の高い結晶面を配向させるために、層状酸化物を単結晶化することも考えられる。しかしながら、単結晶は、製造コストが高いという問題がある。また、一般に、小さな単結晶は得られるが、熱電変換に用いるミリメートルオーダーサイズのバルク材料の作製は困難である。
【0022】
本発明が解決しようとする課題は、優れた熱電特性を有し、しかも焼成中の組成変動や大気中の水分との反応等に起因する熱電特性の劣化が生じにくい熱電変換材料を提供することにある。
【0023】
また、本発明が解決しようとする他の課題は、物質系によらず適用可能であり、かつ低コストな方法を用いて、熱電特性を示す層状酸化物のa−b面を配向させ、これによって層状酸化物の熱電特性を向上させることにある。
【0024】
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、優れた熱電特性を示す層状酸化物からなる熱電変換材料において、その電気伝導率をさらに向上させることが可能な熱電変換材料の使用方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る熱電変換材料は、4層構造の擬岩塩層からなる第1副格子と、稜を共有するMO八面体(但し、Mは、金属元素)から構成されるMO層からなる第2副格子とが交互に積層した構造を有する層状酸化物からなり、
前記第1副格子の組成は、一般式:
Bi ( Sr 1−y C2 )
(但し、0<y≦1。C2は、Ca、Ba、Mg、Zn、Sc、Y、Al、Ga、In、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種又は2種以上の元素。)
で表され、
前記第2副格子のb軸方向の平均周期b2に対する前記第1副格子のb軸方向の平均周期b1の比(b1/b2比)が、1.4以上1.81未満であることを要旨とするものである。
【0026】
この場合、熱電変換材料は、前記層状酸化物の多結晶体からなり、各結晶粒を構成する前記第1副格子及び前記第2副格子のa−b面が配向していることが望ましい。
【0027】
また、本発明に係る熱電変換材料の使用方法は、本発明に係る熱電変換材料を用いて、その長手方向が第1副格子のa−b面と平行になるような棒材を形成し、前記棒材の上下端に電極を接合して前記電極間を加圧した状態で使用することを要旨とするものである。
【0028】
層状酸化物のa−b面内の電気伝導率σは、MO層からなる第2副格子の電子状態のみならず、擬岩塩構造を有する第1副格子の電子状態にも依存する。すなわち、第1副格子内にある正イオン種Cのd電子軌道の内、a−b面内方向にある電子軌道の重なりが大きくなるほど、層状酸化物のa−b面内方向の電気伝導率σが向上する。一方、ゼーベック係数S及び熱伝導率κは、a−b面内方向のd電子軌道による影響は少ない。
【0029】
そのため、第1副格子内にある正イオン種Cをイオン半径の異なる他の適切な正イオン種に置換し、b1/b2比を適切な範囲に制御すれば、層状酸化物のa−b面内の電気伝導率σのみを向上させることができる。
【0030】
また、熱電変換材料がこのような層状酸化物の多結晶体からなる場合において、各結晶粒を構成する第1副格子及び第2副格子のa−b面を一方向に配向させると、配向方向のゼーベック係数S及び電気伝導率σが向上する。そのため、無配向の多結晶体に比して、熱電特性が向上する。
【0031】
さらに、本発明に係る熱電変換材料を、上述の通りに電極間方向に加圧した状態で使用すると、層状酸化物のa−b面内方向の電気伝導率σが向上し、無加圧の場合に比して熱電特性が向上する。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る熱電変換材料は、第1副格子と第2副格子が交互に積層した層状酸化物からなる。
【0033】
第2副格子は、稜を共有するMO八面体(但し、Mは、金属元素)から構成されるMO層からなる。MO八面体とは、その中心に1個の金属元素Mがあり、その頂点に合計6個の酸素原子があるものをいう。また、MO層とは、稜を共有する形でMO八面体が二次元的に連結したものをいう。
【0034】
また、第2副格子には、このようなMO層が1層のみ含まれるものであってもよく、あるいは、2層以上のMO層が積層したものであっても良い。高い熱電特性を得るためには、第2副格子は、1層のMO層からなるものが特に好適である。
【0035】
第2副格子に含まれる金属元素Mとしては、具体的には、遷移金属元素、IIb族元素、IIIb族元素、IVb族元素等が好適な一例としてあげられる。これらの中でも、遷移金属元素は、高い熱電特性が得られるので、MO八面体を構成する金属元素Mとして好適である。また、遷移金属元素の中でも、特に、Co、Ni、Mn及び/又はFeが好適である。なお、第2副格子を構成するMO八面体中には、1種類の金属元素Mが含まれていてもよく、あるいは2種以上の金属元素Mが含まれていても良い。
【0036】
第1副格子は、擬岩塩構造を有する層(擬岩塩層)からなる。擬岩塩構造とは、立方晶である岩塩構造から僅かに歪んだ構造をいう。第1副格子としては、具体的には、1種又は2種以上の正イオン種Cと、1種又は2種以上の負イオン種Aとが、それぞれ2次元的に交互に配列した単位層が積層したものからなり、かつ各正イオン種C(又は、各負イオン種A)が、6個の負イオン種A(又は、正イオン種C)を配位するように、単位層が3層以上積層した3次元構造を有するものが好ましい。
【0037】
第1副格子に含まれる正イオン種Cとしては、具体的には、Ca、Co、Bi、Ba、Sr、Mg、Zn、Sc、Y、Al、Ga、In、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等が好適な一例として挙げられる。また、第1副格子に含まれる負イオン種Aとしては、具体的には、酸素、イオウ、セレン、テルル、リン、窒素等が好適な一例として挙げられる。
【0038】
さらに、第1副格子と第2副格子とは、交互に積層していれば良く、その積層周期は、特に限定されるものではない。すなわち、本発明に係る熱電変換材料は、3層又は4層以上の第1副格子(擬岩塩層)と、1層又は2層以上の第2副格子(MO層)とが、短周期もしくは長周期で規則的に積層したものであっても良く、あるいは、これらが不規則的に積層したものであっても良い。
【0039】
図1に、本発明に係る熱電変換材料を構成する層状酸化物の結晶構造の模式図を示す。図1に例示する層状酸化物は、3層構造を有する擬岩塩層(第1副格子)と、1層のMO層(第2副格子)とが交互に積層したものからなる。また、擬岩塩層は、負イオン種Aである酸素と第1正イオン種Cとが2次元的に交互に配列した第1層と、負イオン種Aである酸素と第2正イオン種Cとが2次元的に交互に配列した第2層からなり、かつ各正イオン種C(又は酸素)が、6個の酸素(又は正イオン種C)を配位するように、第1層の上下に第2層が積層したものからなる。
【0040】
本発明において、層状酸化物の「a−b面」とは、MO層(第2副格子)と平行な面をいう。また、「c軸」とは、図1に示すように、擬岩塩層(第1副格子)の上側にあるMO層(第2副格子)内の金属元素Mと、これに対応する擬岩塩層(第1副格子)の下側にあるMO層(第2副格子)内の金属元素Mとを結ぶ線に対して平行な軸をいう。c軸は、図1に例示するように、a−b面に対して必ずしも垂直になるとは限らない。
【0041】
また、擬岩塩層(第1副格子)の場合、単位胞の3つの稜方向の内、a−b面内にある2つの稜方向の周期性は、図1に示すように、ほぼ同等である。これに対し、MO層(第2副格子)の場合には、a−b面内における方向に応じて、金属元素Mの周期性(原子間距離)が大きく異なる。
【0042】
本発明においては、図1に示すように、擬岩塩層(第1副格子)のa−b面内における2つの稜方向の周期性と、これと同一方向にあるMO層(第2副格子)の周期性とを比較した場合において、ミスフィットの大きい方向を「b軸」と定義し、ミスフィットの小さい方向を「a軸」と定義する。また、b軸方向の「平均周期」とは、b軸方向の周期性の平均値をいう。
【0043】
本発明に係る熱電変換材料は、第2副格子のb軸方向の平均周期b2に対する第1副格子のb軸方向の平均周期b1の比(b1/b2比)が、第1副格子の結晶構造に応じて、所定の範囲内にあることを特徴とする。
【0044】
具体的には、第1副格子が3層構造の擬岩塩層である場合、b1/b2比は、1.4以上1.61未満が好ましい。高い熱電特性を得るためには、b1/b2比は、1.45以上1.55以下が好ましい。
【0045】
また、第1副格子が4層構造の擬岩塩層からなる場合、b1/b2比は、1.4以上1.81未満が好ましい。高い熱電特性を得るためには、b1/b2比は、1.70以上1.80以下が好ましい。
【0046】
さらに、第1副格子がm層構造(mは、5以上の整数)の擬岩塩層である場合、b1/b2比は、1.4以上{1.0+0.2m}未満が好ましい。
【0047】
一般に、b1/b2比が変化しても、ゼーベック係数Sは大きく変化しないが、b1/b2比が小さくなるほど電気伝導率σが高くなるので、性能指数Zの高い熱電変換材料となる。但し、b1/b2比が過小になると、ミスフィットが小さくなり、熱伝導率κが大きくなるため好ましくない。
【0048】
このような条件を満たす熱電変換材料の第1の具体例としては、第1副格子が、3層構造を有し、その組成が次の化1の式で表される層状酸化物が好適な一例として挙げられる。
【0049】
【化1】
(Ca1−xC1)CoO
(但し、0<x≦1。C1は、Bi、Ba、Sr、Mg、Zn、Sc、Y、Al、Ga、In、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種又は2種以上の元素。)
【0050】
化1の式において、Caの置換元素C1の置換量を表すxの値は、b1/b2比が上述した範囲内となるように、置換元素C1の種類に応じて最適な値を選択するのが好ましい。
【0051】
この場合、第2副格子の組成は特に限定されるものではないが、CoO層又はCoO層に含まれるCoの一部が他の元素(例えば、Cu等)に置換されたものが特に好適である。また、擬岩塩層に対するMO層の組成比(MO層/擬岩塩層)は、1.4以上1.61未満が好ましい。さらに、第1副格子及び/又は第2副格子には、化学量論組成の酸素が含まれていることが望ましいが、化学量論組成に対して最大で±15at%の過剰酸素又は酸素欠損が含まれていても良い。
【0052】
また、上述のような条件を満たす熱電変換材料の第2の具体例としては、第1副格子が、4層構造を有し、その組成が次の化2の式で表される層状酸化物が好適な一例として挙げられる。
【0053】
【化2】
Bi(Sr1−yC2)
(但し、0<y≦1。C2は、Ca、Ba、Mg、Zn、Sc、Y、Al、Ga、In、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種又は2種以上の元素。)
【0054】
化2の式において、Srの置換元素C2の置換量を表すyの値は、b1/b2比が上述した範囲内となるように、置換元素C2の種類に応じて最適な値を選択するのが好ましい。
【0055】
この場合、第2副格子の組成は特に限定されるものではないが、CoO層又はCoO層に含まれるCoの一部が他の元素(例えば、Cu等)に置換されたものが特に好適である。また、擬岩塩層に対するMO層の組成比(MO層/擬岩塩層)は、1.4以上1.81未満が好ましい。さらに、第1副格子及び/又は第2副格子には、化学量論組成の酸素が含まれていることが望ましいが、化学量論組成に対して最大で±15at%の過剰酸素又は酸素欠損が含まれていても良い。
【0056】
また、本発明に係る熱電変換材料は、上述した層状酸化物からなる単結晶、あるいは無配向の多結晶体であっても良いが、熱電特性の向上と同時に低コスト化を図るためには、上述した層状酸化物の多結晶体からなり、かつ各結晶粒を構成する第1副格子及び第2副格子のa−b面が配向しているものが好ましい。
【0057】
ここで、「配向」とは、各結晶粒のa−b面が互いに平行に配列していること(以下、これを「面配向」という。)、及び各結晶粒のa−b面が焼結体を通る1つの軸に対して平行に配列していること(以下、これを「軸配向」という。)の双方を意味する。
【0058】
面配向した多結晶体の場合、各結晶粒のa−b面の面配向の程度(面配向度)は、次の数1の式で表されるロットゲーリング(Lotgering)法による平均配向度Q(HKL)で表すことができる。
【0059】
【数1】
Figure 0004168628
【0060】
なお、数1の式において、ΣI(hkl)は、面配向焼結体について測定されたすべての結晶面(hkl)のX線回折強度の総和であり、ΣI(hkl)は、面配向焼結体と同一組成を有する無配向焼結体について測定されたすべての結晶面(hkl)のX線回折強度の総和である。また、Σ'I(HKL)は、面配向焼結体について測定された結晶学的に等価な特定の結晶面(HKL)のX線回折強度の総和であり、Σ'I(HKL)は、面配向焼結体と同一組成を有する無配向焼結体について測定された結晶学的に等価な特定の結晶面(HKL)のX線回折強度の総和である。
【0061】
従って、多結晶体を構成する各結晶粒が無配向である場合には、平均配向度Q(HKL)は0%となり、すべての結晶粒の(HKL)面が一方向に面配向している場合には100%となる。
【0062】
本発明に係る熱電変換材料が面配向焼結体である場合において、高い性能指数を得るためには、a−b面の面配向度は高いほど良い。a−b面の面配向度は、具体的には、50%以上が好ましく、さらに好ましくは、80%以上である。
【0063】
軸配向の場合も同様であり、高い性能指数を得るためには、a−b面の軸配向の程度(軸配向度)は、高い程良い。但し、軸配向の場合、軸配向度は、上述した数1の式で定義することはできない。しかしながら、配向軸に垂直な面に対してX線回折を行った場合に得られる回折強度を数1の式に代入することによって、a−b面の軸配向度を間接的に表すことができる。a−b面が軸配向している焼結体の場合、数1の式から算出される軸配向度は、負の値となる。また、a−b面がほぼ完全に軸配向している焼結体の軸配向度は、a−b面がほぼ完全に面配向している焼結体について測定された軸配向度と同程度になる。
【0064】
次に、本発明に係る熱電変換材料の作用について説明する。擬岩塩層からなる第1副格子と、CoO層に代表されるMO層からなる第2副格子が所定の周期で交互に積層した層状酸化物において、従来は、擬岩塩層(第1副格子)は絶縁層であり、電気伝導の担い手としてMO層(第2副格子)のみが考えられていた。
【0065】
しかしながら、擬岩塩層とMO層を含んだ層状酸化物の電子状態や電気伝導機構は未だ解明されておらず、その真偽は明らかではなかった。また、それに伴い、層状酸化物の性能指数、とりわけ電気伝導率σを改善するための手段が明確ではなかった。
【0066】
本願発明者らは、擬岩塩層とMO層からなる層状酸化物の電子状態を詳細に検討した結果、層状酸化物の電気伝導特性に対する擬岩塩層内の正イオン種Cのd電子軌道の寄与に特徴があることを見いだした。すなわち、層状酸化物の電気伝導率σは、MO層だけではなく、擬岩塩層の電子状態によって大きく変化し、擬岩塩層内にある正イオン種Cのd電子軌道の内、a−b面内方向の軌道(すなわち、dxy軌道及びd −y 軌道)の重なりが大きくなるほど、高い電気伝導率σを示す。
【0067】
一方、層状酸化物のゼーベック係数Sに寄与しているのは、MO層内の金属元素Mのd電子軌道及び擬岩塩層内の正イオン種Cのd電子軌道の内、a−b面に対して垂直方向の軌道(すなわち、dyz軌道及びdzx軌道)であり、dxy軌道及びd −y 軌道の寄与は小さい。
【0068】
従って、あるb1/b2比を有する系において、擬岩塩層のb軸方向の平均周期b1を小さくする(すなわち、b1/b2比を小さくする)と、dxy軌道及び/又はd −y 軌道のバンド幅が広がる。そのため、ゼーベック係数S及び熱伝導率κを大きく変化させることなく、a−b面方向の電気伝導率σのみが向上し、その結果として、層状酸化物の性能指数Zが向上する。
【0069】
具体的には、化1の式又は化2の式に示すように、擬岩塩層内の正イオン種Cの一部をイオン半径の異なる他のイオン種C1又はC2に置換すればよい。これにより、b軸の平均周期b1が変化し、置換イオン種C1又はC2を含まない層状酸化物に比して、電気伝導率σが向上する。
【0070】
また、熱電変換材料が、このような層状酸化物の多結晶体からなる場合において、各結晶粒を構成する第1副格子及び第2副格子のa−b面を一方向に配向させると、配向方向のゼーベック係数S及び電気伝導率σが向上する。そのため、同一組成を有する無配向の多結晶体に比して、高い性能指数Zを示す。
【0071】
また、本発明に係る熱電変換材料は、揮発しやすい元素、あるいは大気中の水分と反応しやすい元素を必ずしも含まないので、焼成中の組成変動や大気中での使用に伴う熱電特性の劣化が少ない。さらに、本発明に係る熱電変換材料は、毒性が少なく、構成元素の存在量が高く、かつ高温でも安定に作動する。
【0072】
次に、本発明に係る熱電変換材料の使用方法について説明する。本発明に係る使用方法は、本発明に係る熱電変換材料を、第1副格子のa−b面内の一軸方向に加圧した状態で使用することを特徴とする。このような加圧条件下において本発明に係る熱電変換材料を使用すると、加圧力によって擬岩塩層内の正イオン種Cのd電子軌道の内、a−b面内にある軌道のバンド幅が広がる。そのため、無加圧状態に比して、a−b面内方向の電気伝導率σが向上する。
【0073】
本発明に係る層状酸化物のこのような電気伝導特性を最大限に利用するためには、a−b面内を電気伝導面とする方向となるように熱電変換素子を作製することが望ましい。すなわち、熱電変換素子に組み込まれる熱電変換材料は、a−b面が面配向又は軸配向しているものが望ましい。
【0074】
具体的には、上述した組成を有する層状酸化物の単結晶、又は面配向焼結体もしくは軸配向焼結体を作製し、その長手方向がa−b面と平行になるように棒材を切り出す。次いで、この棒材と、n型の熱電変換材料からなる棒材の上下端に電極を接合して熱電変換素子とし、電極間を加圧した状態で使用すればよい。電極間の加圧力は、熱電変換材料が破壊しない限りにおいて、大きい程良い。
【0075】
但し、一般的には、層状酸化物からなるバルクの単結晶を作製するのは、困難かつ高コストであるので、工学的な応用の点からは、a−b面が面配向又は軸配向した多結晶体を作製し、a−b面内に電気が流れるように棒材を切り出して使用するのが望ましい。また、加圧した状態で使用した場合の破壊しにくさの点からも、配向した多結晶体の方が単結晶よりも望ましい。
【0076】
次に、本発明に係る熱電変換材料の製造方法について説明する。本発明に係る熱電変換材料は、成分元素を含む単純化合物を化学量論比になるように混合し、この混合物を成形・仮焼した後に解砕し、次いで解砕粉を再成形・焼結する、いわゆる通常のセラミックスプロセスによっても製造することができる。
【0077】
しかしながら、この方法では、熱電特性の高い層状酸化物のa−b面がランダムに配向するために、高い熱電特性は得られない。優れた熱電特性を示す熱電変換材料を低コストで得るためには、a−b面が一方向に配向した配向焼結体を作製することが望ましい。
【0078】
a−b面が配向した配向焼結体を得る方法としては、具体的には、以下のような方法がある。第1の方法は、化学量論比となるように配合された単純化合物を含む成形体を作製し、この成形体を焼結温度近傍で一軸方向に加圧する方法(ホットフォージ法)である。焼結温度近傍で成形体を一軸方向に加圧すると、成形体に剪断応力が作用し、剪断応力と平行な面に層状酸化物のa−b面を成長させることができる。
【0079】
また、配向焼結体を得る第2の方法は、成分元素の全部又は一部を含む板状粉末を成形体中に配向させ、この板状粉末をテンプレート又は反応性テンプレートとして用いて、層状酸化物を成長させる方法(テンプレート法)である。
【0080】
さらに、配向焼結体を得る第3の方法は、成分元素の全部又は一部を含む板状粉末の内、強磁性体であるものを原料中に添加し、これを大きな磁場中で成形することによって成形体中に板状粉末を配向させ、これを焼結する方法(磁場中成形・焼結法)である。
【0081】
これらの中でも、テンプレート法は、単結晶を製造する場合に比して低コストであり、しかも物質系によらず適用可能であるので、層状酸化物のa−b面を配向させる方法として特に好適である。以下に、テンプレート法を用いた配向焼結体の製造方法について詳細に説明する。
【0082】
初めに、テンプレート法で使用する板状粉末について説明する。板状粉末が本発明に係る層状酸化物を成長させるためのテンプレート又は反応性テンプレートとして機能するためには、板状粉末は、以下の条件を満たしていることが望ましい。
【0083】
第1に、板状粉末には、成形時に一定の方向に配向させることが容易な形状を有しているものが用いられる。そのためには、板状粉末の平均アスペクト比(=板状粉末の直径/厚さの平均値)は、3以上であることが望ましい。平均アスペクト比が3未満であると、成形時に板状粉末を一方向に配向させるのが困難となる。板状粉末の平均アスペクト比は、さらに好ましくは5以上である。
【0084】
一般に、板状粉末の平均アスペクト比が大きくなるほど、板状粉末の配向が容易化される傾向がある。但し、平均アスペクト比が過大になると、後述する混合工程において板状粉末が破砕され、板状粉末が配向した成形体が得られない場合がある。従って、板状粉末の平均アスペクト比は、100以下が好ましく、さらに好ましくは20以下である。
【0085】
また、板状粉末の直径の平均値(平均粒径)は、0.05μm以上20μm以下が好ましい。板状粉末の平均粒径が0.05μm未満であると、成形時に作用する剪断応力によって板状粉末を一定の方向に配向させるのが困難になる。一方、板状粉末の平均粒径が20μmを超えると、焼結性が低下する。板状粉末の平均粒径は、さらに好ましくは、0.1μm以上5μm以下である。
【0086】
第2に、反応性テンプレートを用いる場合、板状粉末には、その発達面(最も広い面積を占める面)が層状酸化物のMO層と格子整合性を有しているものが用いられる。所定の形状を有する板状粉末であっても、その発達面が層状酸化物のMO層と格子整合性を有していない場合には、本発明に係る熱電変換材料を製造するための反応性テンプレートとして機能しない場合があるので好ましくない。
【0087】
格子整合性の良否は、板状粉末の発達面の格子寸法と層状酸化物のMO層の格子寸法の差を板状粉末の発達面の格子寸法で割った値(以下、この値を「格子整合率」という。)で表すことができる。格子整合率が小さくなるほど、その板状粉末は、良好な反応性テンプレートとして機能することを示す。高配向度の熱電変換材料を製造するためには、板状粉末の格子整合率は、20%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
【0088】
第3に、反応性テンプレートを用いる場合、板状粉末には、後述する層状酸化物生成原料と反応して、本発明に係る層状酸化物を生成するものが用いられる。従って、板状粉末そのものは、必ずしも層状酸化物である必要はない。また、板状粉末は、第1副格子又は第2副格子に含まれる正イオン元素の内のいずれか1種以上の元素を含む化合物あるいは固溶体の中から選ばれることになる。
【0089】
以上のような条件を満たす板状粉末であれば、いずれも本発明に係る熱電変換材料を製造するためのテンプレート又は反応性テンプレートとして機能する。これらの中でも、MO層を結晶構造の一部として含む板状粉末が反応性テンプレートとして特に好適である。
【0090】
反応性テンプレートとして用いる板状粉末としては、具体的には、MnOOH、コランダム構造のFe、CdI構造のCo(OH)やNi(OH)、スピネル構造のFe等からなる物質であって、酸素の最密充填面に平行な面が発達面となっているものが好適な一例としてあげられる。
【0091】
このような板状粉末は、板状粉末の構成元素を含む塩類を水に溶解し、この水溶液にアルカリ水溶液(例えば、NaOH、KOH、アンモニア水等)を滴下する沈殿法、板状粉末の構成元素を含む酸化物をフラックス(例えば、NaCl、KCl等)と共に加熱するフラックス法、板状粉末の構成元素を含む酸化物をオートクレーブ中で加熱する水熱法等、液層が関与した合成法を用いて合成することができる。また、この時、合成条件を適宜制御すれば、板状粉末の形状制御も比較的容易に行うことができる。
【0092】
次に、上述した板状粉末を反応性テンプレートとして用いた配向焼結体の製造方法について説明する。テンプレート法を用いた配向焼結体の製造方法は、混合工程と、成形工程と、焼結工程とを備えている。
【0093】
初めに、混合工程について説明する。混合工程は、上述した板状粉末と層状酸化物生成原料とを混合する工程である。この場合、板状粉末は、1種類の板状粉末を用いても良くあるいは、組成の異なる2種以上の板状粉末の混合物を用いても良い。
【0094】
また、「層状酸化物生成原料」とは、板状粉末と反応して本発明に係る層状酸化物となる化合物をいう。層状酸化物生成原料の組成及び配合比率は、合成しようとする層状酸化物の組成、及び、反応性テンプレートとして使用する板状粉末の組成に応じて定まる。また、層状酸化物生成原料の形態については、特に限定されるものではなく、水酸化物、酸化物粉末、複合酸化物粉末、炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩などの塩、アルコキシド等を用いることができる。
【0095】
例えば、層状酸化物が、化1の式で表される擬岩塩層からなる第1副格子と、CoO層からなる第2副格子が所定の周期で積層したもの(例えば、CaCoのCaの一部が置換元素C1により置換された層状酸化物)である場合において、板状粉末としてCo(OH)を用いるときには、層状酸化物として、Ca及び/又は置換元素C1を含む炭酸塩、単純酸化物、複合酸化物等を用いることができる。
【0096】
また、例えば、層状酸化物が、化2の式で表される擬岩塩層からなる第1副格子と、CoO層からなる第2副格子が所定の周期で積層したもの(例えば、BiSrCoのSrの一部が置換元素C2により置換された層状酸化物)である場合において、板状粉末としてCo(OH)を用いるときには、層状酸化物として、Bi、Sr及び/又は置換元素C2を含む炭酸塩、単純酸化物、複合酸化物等を用いることができる。
【0097】
層状酸化物生成原料が固体である場合又は固体状態のまま混合を行う場合、層状酸化物生成原料の平均粒径は、10μm以下が好ましい。平均粒径が10μmを超えると、反応が不均一となったり、焼結性が低下するので好ましくない。層状酸化物生成原料の平均粒径は、さらに好ましくは5μm以下である。層状酸化物生成原料の平均粒径は、成形性や取扱性が低下しない限りにおいて、小さいほど良い。
【0098】
なお、混合工程においては、所定の比率で配合された板状粉末及び層状酸化物生成原料に対して、さらに、これらの反応によって得られる層状酸化物と同一組成を有する化合物からなる非板状の微粉(以下、これを「層状酸化物微粉」という。)を添加しても良い。原料中に層状酸化物微粉を添加すると、焼結体密度が向上するという効果がある。
【0099】
この場合、層状酸化物微粉の配合比率が過大になると、必然的に原料全体に占める板状粉末の配合比率が小さくなり、層状酸化物のa−b面の配向度が低下するおそれがある。従って、層状酸化物微粉の配合比率は、要求されるa−b面の配向度が得られるように、最適な値を選択するのが好ましい。
【0100】
また、板状粉末及び層状酸化物生成原料並びに必要に応じて添加される層状酸化物微粉の混合は、乾式で行っても良く、あるいは、水、アルコール等の適当な分散媒を加えて湿式で行っても良い。さらに、この時、必要に応じてバインダ及び/又は可塑剤を加えても良い。
【0101】
次に、成形工程について説明する。成形工程は、混合工程で得られた混合物を板状粉末が配向するように成形する工程である。この場合、板状粉末は、成形体中において面配向させてもよく、あるいは軸配向させても良い。
【0102】
成形方法については、板状粉末を配向させることが可能な方法であれば良く、特に限定されるものではない。板状粉末を面配向させる成形方法としては、具体的には、ドクターブレード法、プレス成形法、圧延法、押出法(テープ状)等が好適な一例として挙げられる。また、板状粉末を軸配向させる方法としては、具体的には、押出成形法(非テープ状)が好適な一例として挙げられる。
【0103】
また、板状粉末が面配向した成形体(以下、これを「面配向成形体」という。)の厚さを増したり、配向度を上げるために、面配向成形体に対し、さらに、積層圧着、プレス、圧延などの処理(以下、これを「面配向処理」という。)を行っても良い。この場合、面配向成形体に対して、いずれか1種類の面配向処理を行っても良く、あるいは、2種以上の面配向処理を行っても良い。また、面配向成形体に対して、1種類の面配向処理を複数回繰り返して行っても良く、あるいは、2種以上の面配向処理をそれぞれ複数回繰り返し行っても良い。
【0104】
次に、焼結工程について説明する。焼結工程は、成形工程で得られた成形体を加熱し、板状粉末と層状酸化物生成原料とを反応させる工程である。板状粉末と層状酸化物生成原料とを含む成形体を所定の温度に加熱すると、これらの反応によって所定の組成を有する層状酸化物が生成すると同時に、生成した層状酸化物の焼結も進行する。
【0105】
加熱温度は、反応及び焼結が効率よく進行し、かつ異相が生成しないように、使用する板状粉末、層状酸化物生成原料、作製しようとする層状酸化物の組成等に応じて最適な温度を選択すればよい。例えば、CaCo系の層状酸化物の場合、加熱温度は、900℃以上930℃以下が好ましい。また、BiSrCo系の層状酸化物の場合、加熱温度は、850℃以上950℃以下が好ましい。また、加熱時間は、所定の焼結体密度が得られるように、加熱温度に応じて最適な値を選択すればよい。
【0106】
さらに、加熱方法としては、室温から所定温度に徐々に昇温する方法や、あらかじめ所定温度に加熱した炉内に配向成形体を導入し、一気に加熱する方法など、作製しようとする層状酸化物の組成、熱電変換材料の形状等に応じて、最適な方法を選択すればよい。また、面配向成形体の場合において、配向組織を崩さないように緻密化を促進するためには、加熱の際に配向面に垂直な方向に一軸加圧を加えても良い。
【0107】
また、焼結工程は、酸素が存在する雰囲気下(すなわち、大気中又は酸素中)で行うのが好ましい。酸素を含まない雰囲気下で成形体を加熱すると、得られる層状酸化物中の酸素量が減少し、熱電特性が低下する場合があるので好ましくない。特に、目的の層状酸化物の特性を引き出すために、それに適した酸素分圧下において成形体を加熱すると、高い熱電特性を有する熱電変換材料が得られる。
【0108】
なお、バインダを含む成形体の場合、焼結工程の前に、脱脂を主目的とする熱処理を行っても良い。この場合、脱脂の温度は、特に限定されるものではなく、少なくともバインダを熱分解させるに十分な温度であれば良い。また、脱脂は、酸素が存在する雰囲気下で行うのが好ましい。
【0109】
また、配向成形体の脱脂を行うと、配向成形体中の板状粉末の配向度が低下したり、あるいは、反応が進行して配向成形体が膨張する場合がある。このような場合には、脱脂を行った後、焼結を行う前に、配向成形体に対して、さらに静水圧(CIP)処理を行うのが好ましい。脱脂後の配向成形体に対して、さらに静水圧処理を行うと、脱脂に伴う配向度の低下、あるいは、配向成形体の密度低下に起因する焼結体密度の低下を抑制できるという利点がある。
【0110】
次に、テンプレート法を用いた本発明に係る熱電変換材料の製造方法の作用について説明する。板状粉末及び層状酸化物生成原料を混合し、これを板状粉末に対して剪断応力が作用するような成形方法を用いて成形すると、板状粉末が成形体中に配向する。このような配向成形体を所定の温度で加熱すると、板状粉末と層状酸化物生成原料とが反応し、層状酸化物が生成する。
【0111】
この時、板状粉末の発達面と層状酸化物のMO層との間には格子整合性があるので、板状粉末の発達面が、生成した層状酸化物のa−b面として承継される。その結果、焼結体中には、a−b面が一方向に配向した状態で層状酸化物の板状結晶が成長し、各結晶粒のa−b面が高い配向度で配向する。
【0112】
テンプレート法は、通常のセラミックスプロセスをそのまま用いることができるので、低コストである。また、a−b面の配向度が高いだけでなく、配向度及び組成が均一な熱電変換材料が得られる。
【0113】
さらに、テンプレート法により得られる熱電変換材料は、多結晶体であるので、単結晶より破壊靱性が大きくなる。また、粒界や空孔でフォノンが散乱されるので、単結晶より熱伝導率が低くなる。さらに、テンプレート法により得られる焼結体は、電気伝導度の高いa−b面が配向しているため、無配向焼結体より高い電気伝導度を示す。
【0114】
そのため、得られた配向焼結体を用いてa−b面が電気伝導面となるように熱電変換素子を作製すれば、耐久性及び熱電特性に優れた熱電変換素子を作製することができる。また、このような配向焼結体を、a−b面内方向に一軸加圧した状態で使用すれば、加圧方向の電気伝導率σが向上し、熱電変換素子の熱電特性がさらに向上する。
【0115】
【実施例】
(実施例1)
b1/b2比が1.61であるCaCoの電子状態を計算し、結晶軸の平均周期の変化と、バンド幅の関係を求めた。まず、a軸方向の平均周期、c軸方向の平均周期及びCoO層のb軸方向の平均周期b2を一定にしたまま、擬岩塩層(CaCoO層)のb軸方向の平均周期b1を、それぞれ、+2%、0%及び−2%と変化させた。その結果、主に擬岩塩層内にあるCoの3d電子に起因するフェルミ面付近のバンド幅が変化し、バンド幅の変化量は、それぞれ、−6%、0%及び+5%であった。
【0116】
次に、擬岩塩層のc軸方向の平均周期のみを変化させた以外は、上述と同様の手順に従い、c軸方向の平均周期の変化と、バンド幅の関係を求めた。その結果、c軸方向の平均周期を−2%と変化させても、擬岩塩層内にあるCoの3d電子に起因するフェルミ面付近のバンド幅は、ほとんど変化がなかった。
【0117】
バンド幅(W)、有効質量m及びフェルミ速度Vの間には、有効質量近似のもとで、
W=m /2
の関係があることが知られている。一方、電気伝導率σは、フェルミ速度に比例する(例えば、N.Hamada et al.,Phys.Rev.B 42,6238(1990)参照)ので、電気伝導率σとバンド幅(W)との間には、
σ∝(2W/m1/2
の関係が成り立つ。
【0118】
従って、上述の計算結果から、擬岩塩層の電気伝導率σを向上させるためには、擬岩塩層のb軸方向の平均周期b1(すなわち、b1/b2比)を小さくすることが有効であることがわかった。
【0119】
(実施例2)
層状酸化物の配向焼結体を作製する際に反応性テンプレートとして使用するCo(OH)板状粉末を、以下の手順に従って合成した。まず、濃度0.1mol/lのCoCl水溶液、及び、濃度0.4mol/lのNaOH水溶液を調製した。次いで、600mlのCoCl水溶液に対し、300mlのNaOH水溶液を100ml/hの速度で滴下した。これにより、溶液中には、青色の沈殿物(Co(OH))が生成した。
【0120】
NaOH水溶液の滴下が終了した後、Nバブリングしながら溶液を撹拌し、室温で24時間熟成させることによりピンク色の結晶(Co(OH))が得られた。この結晶を吸引濾過し、室温でNガスにより24時間乾燥させた。得られたCo(OH)粉末は、六角形を呈する板状粉末であった。また、板状粉末の平均粒径は0.5μmであり、平均アスペクト比は約5であった。
【0121】
(実施例3)
実施例2で得られたCo(OH)板状粉末を用いて、BiSr2−xCaCo(x=0、0.2、0.5)組成を有する層状酸化物からなる配向焼結体を作製した。図2に、配向焼結体の作製手順を示す。
【0122】
まず、図2のステップ1(以下、これを単に「S1」という。)において、Bi粉末(平均粒径0.3μm)、SrCO粉末(平均粒径0.3μm)、CaCO粉末(平均粒径0.2μm)、実施例2で合成したCo(OH)板状粉末、トルエン及び無水エタノールをそれぞれ容器に所定量計り取った。
【0123】
次いで、これらの原料をボールミルに入れ、24時間湿式混合した(S2)。混合終了後、スラリーに所定量のバインダー及び可塑剤を添加し(S3)、さらにボールミルで3時間湿式混合した(S4)。表1及び表2に、それぞれ、x=0及びx=0.5の場合の各原料の仕込量を示す。
【0124】
【表1】
Figure 0004168628
【0125】
【表2】
Figure 0004168628
【0126】
次に、スラリーをポットから取り出し、テープキャストにより厚さ約100μmのシート状に成形した(S5)。さらに、得られたシートを重ね合わせ、温度:80℃、圧力:9.8MPaの条件で圧着した(S6)。次に、得られた成形体を、大気中において、温度:600℃、加熱時間:2時間の条件下で脱脂した(S7)。さらに、脱脂後の成形体を、酸素雰囲気中において、温度:860〜920℃、加熱時間:24hrの条件下で焼結した(S8)。
【0127】
得られた焼結体の相対密度は、95%であった。また、得られた焼結体について、数1の式を用いてa−b面の平均配向度を求めた。その結果、いずれの焼結体も、平均配向度は、91%であった。
【0128】
次に、得られた各焼結体について、電子線回折法を用いて第1副格子のb軸方向の平均周期b1及び第2副格子のb軸方向の平均周期b2を測定し、b1/b2比を算出した。さらに、x=0であるBiSr2−xCaCo層状酸化物(BSCO系層状酸化物)のb1/b2比に対する、x=0.2又は0.5であるBiSr2−xCaCo層状酸化物(Ca置換BSCO系層状酸化物)のb1/b2比の変化量△(b1/b2)を算出した。その結果、x=0.2及び0.5の場合、変化量△(b1/b2)は、それぞれ、−0.6%及び−1.1%であった。
【0129】
次に、得られた配向焼結体からテープ面と平行な面を電気伝導面とする試料を切り出した。次いで、テープ面と平行方向の電気伝導率σ及びゼーベック係数Sを測定し、出力因子Sσを算出した。測定温度は、550〜1058Kとした。BSCO系層状酸化物、x=0.2であるCa置換BSCO系層状酸化物及びx=0.5であるCa置換BSCO系層状酸化物の電気伝導率σ、ゼーベック係数S及び出力因子Sσを、それぞれ、表3、表4及び表5に示す。
【0130】
【表3】
Figure 0004168628
【0131】
【表4】
Figure 0004168628
【0132】
【表5】
Figure 0004168628
【0133】
表3〜5より、Ca置換量xが増加するに伴い、電気伝導率σが向上していることがわかる。一方、ゼーベック係数Sは、Ca置換量xが増加しても、その変化は僅かであった。その結果、Ca置換量xの増加に伴い、層状酸化物のテープ面と平行方向の出力因子Sσが向上した。
【0134】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0135】
例えば、上記実施例3では、焼結法として常圧焼結法が用いられているが、焼結の際にテープ面に対して垂直方向に10MPa程度の圧力を印加しても良い。また、常圧焼結後に、さらにHIP処理あるいはホットプレス処理を行っても良い。特に、ホットプレス処理を行った場合には、緻密な熱電変換材料が得られることに加え、ホットプレス時の一軸加圧によってa−b面配向度をさらに向上させることができる。
【0136】
また、例えば、上記実施例3では、ドクターブレード法によるテープキャストによって板状粉末を面配向させているが、押出成形法を用いて、板状粉末を軸配向させても良い。板状粉末をこのように軸配向させた場合であっても、無配向焼結体より高い性能指数を有する熱電変換材料が得られる。また、押出成形法を用いると、ある程度の厚さを有する焼結体を低コストで作製できるという利点がある。
【0137】
また、上記実施例3では、板状粉末としてCo(OH)を用い、層状酸化物生成原料として、CaCO、Bi及びSrCOを用いた例について説明したが、層状酸化物生成原料としてさらに不定形のコバルト化合物粉末を用いても良い。この場合、目的とする組成を有する熱電変換材料が得られるように、板状粉末、コバルト化合物の不定形粉末、CaCO、Bi及びSrCOを所定の比率で配合すれば良い。
【0138】
さらに、本発明に係る層状酸化物は、高い性能指数を示すので、熱電発電器、精密温度制御装置、恒温装置、冷暖房装置、冷蔵庫、時計用電源等に用いられる熱電発電素子を構成する熱電変換材料として特に好適であるが、本発明に係る層状酸化物の用途はこれに限定されるものではなく、巨大磁気抵抗効果を利用した各種の電子素子(例えば、磁気ヘッド)にも応用することができる。
【0139】
【発明の効果】
本発明に係る熱電変換材料は、擬岩塩層からなる第1副格子と、MO層からなる第2副格子が交互に積層した構造を有する層状酸化物からなり、しかも、擬岩塩層の結晶構造に応じてb1/b2比が最適化されているので、ゼーベック係数Sを大きく変化させることなく、a−b面内方向の電気伝導率σのみを向上させることができるという効果がある。
【0140】
また、熱電変換材料が、このようなb1/b2比が制御された層状酸化物の多結晶体からなり、かつ各結晶粒のa−b面が一方向に配向している場合には、無配向焼結体に比して、熱電特性が向上するという効果がある。
【0141】
また、本発明に係る熱電変換材料の使用方法によれば、層状酸化物のa−b面内の電気伝導率が向上し、これによって層状酸化物の熱電特性が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る熱電変換材料の結晶構造の一例を示す模式図である。
【図2】 本発明に係る熱電変換材料の製造方法の一例を示す工程図である。

Claims (6)

  1. 4層構造の擬岩塩層からなる第1副格子と、稜を共有するMO八面体(但し、Mは、金属元素)から構成されるMO層からなる第2副格子とが交互に積層した構造を有する層状酸化物からなり、
    前記第1副格子の組成は、一般式:
    Bi(Sr1−yC2)
    (但し、0<y≦1。C2は、Ca、Ba、Mg、Zn、Sc、Y、Al、Ga、In、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる1種又は2種以上の元素。)
    で表され、
    前記第2副格子のb軸方向の平均周期b2に対する前記第1副格子のb軸方向の平均周期b1の比(b1/b2比)が、1.4以上1.81未満である熱電変換材料。
  2. 前記金属元素Mは、1種又は2種以上の遷移金属元素である請求項1に記載の熱電変換材料。
  3. 前記遷移金属元素は、Co、Ni、Mn及び/又はFeである請求項2に記載の熱電変換材料。
  4. 前記第1副格子は、1種又は2種以上の正イオン種Cと、1種又は2種以上の負イオン種Aとが、それぞれ2次元的に交互に配列した単位層が積層したものからなり、かつ
    前記各正イオン種C(又は前記各負イオン種A)が、6個の前記負イオン種A(又は前記正イオン種C)を配位するように、前記単位層が4層積層した3次元構造を有するものである請求項1から3までのいずれかに記載の熱電変換材料。
  5. 前記層状酸化物の多結晶体からなり、
    各結晶粒を構成する前記第1副格子及び前記第2副格子のa−b面が配向していることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の熱電変換材料。
  6. 請求項1から5までのいずれかに記載の熱電変換材料を用いて、その長手方向が第1副格子のa−b面と平行になるような棒材を形成し、前記棒材の上下端に電極を接合して前記電極間を加圧した状態で使用することを特徴とする熱電変換材料の使用方法。
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