JP4168388B2 - メッキ表面の後処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はメッキ表面を後処理液に接触させて同表面を後処理する方法に関して、メッキ表面のハンダ濡れ性を良好に確保するとともに、表面処理を迅速・簡便化できるものを提供する。
【0002】
【従来の技術】
金属材料にハンダ付けをする場合、ハンダ濡れ性を確保するため、一般に、予め金属材料にスズ又はスズ合金などのメッキ皮膜を形成するが、このメッキ面は酸化により経時劣化し易い。
一方、このようなメッキ表面の後処理とは異なるが、金属材料に付着した酸化膜や硬度成分を除去する広義の表面処理液の従来技術としては、特許文献1に、2−メルカプトベンゾチアゾール、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、(2−ベンゾチアジルチオ)酢酸などのチアゾール化合物と、アルキルベンゼンスルホン酸塩よりなるアニオン系界面活性剤とを含有する腐食抑制剤組成物、並びに、この腐食抑制剤組成物を無機酸や有機酸の水溶液に添加した金属の酸洗浄液組成物が開示されている。
また、特許文献2には、2−ベンゾチアジルチオ酢酸、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、4−(2−ベンゾチアジルチオ)酪酸、5−(2−ベンゾチアジルチオ)吉草酸などのベンゾチアゾール環を有するカルボン酸、或は、そのアルカリ金属、アルカリ土類金属、4級アンモニウムの各種塩を濃度200ppmで添加した防錆剤が開示されている(同文献の特許請求の範囲、第3頁の表参照)。
【0003】
一方、スズ、スズ−鉛合金などのメッキ皮膜を形成した金属材料にハンダ付けを行うに際して、このメッキ材の経時劣化を防止する目的の表面処理方法又は表面処理液の従来技術には、次のものがある。
(1)特許文献3
金属材料にスズ又はスズ−鉛合金メッキ皮膜を形成した後、ベンゾトリアゾール、1−メチルベンゾトリアゾール、トリルベンゾトリアゾール、1−(N,N−ジオクチルアミノメチル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物、メルカプトベンゾチアゾール又はそのアルカリ金属塩、或はトリアジン系化合物からなる群から選ばれた1種又は2種以上を含有する表面処理液をこの材料に塗布することが開示されている。
特許文献4〜7にも同様な表面処理液が開示されている。
【0004】
(2)特許文献8
金属材料にニッケル又はニッケル合金を下地メッキとして具備する金又は金合金メッキを形成した後、上記特許文献3と同様な化合物を含有する封孔処理液を塗布することが開示されている。
特許文献9〜10にも同様な封孔処理液が開示されている。
【0005】
(3)特許文献11
5−メチルベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールなどの防錆剤と、二塩基酸、そのアミン塩、ヒマシ油脂肪酸エステルなどのベース油と、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの溶剤とを含有する封孔処理剤で金属メッキ表面を処理することが開示されている。
【0006】
(4)特許文献12
セラミック積層電子部品の露出電極を、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾールなどのアゾール化合物、或は、アルキル基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基などをアゾール化合物中のベンゼン環に結合させたアゾール誘導体を含有する処理液に浸漬することが開示されている。
【0007】
(5)特許文献13
2−メルカプトベンゾチアゾール又はそのアルカリ金属塩、或は、ベンゼン環にアルキル基が結合した2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体を含有する水溶液に金を含む金属膜を備えた基体を接触させて、基体表面に腐食防止膜を形成することが開示されている。
【0008】
(6)特許文献14
ルベニン酸、アガテンジカルボン酸などのジテルペン酸又はその誘導体と、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素をメタノール、エタノールなどの溶剤に溶解した処理剤で、スズ又はスズ合金メッキ表面を処理するハンダ濡れ向上方法が開示されている。また、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール等の腐食抑制剤を添加できることが開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−316858号公報
【特許文献2】
特公平1−28108号公報
【特許文献3】
特開平7−173675号公報
【特許文献4】
特開平7−173676号公報
【特許文献5】
特開平7−173677号公報
【特許文献6】
特開平7−173678号公報
【特許文献7】
特開平7−173679号公報
【特許文献8】
特開平8−260192号公報
【特許文献9】
特開平8−260193号公報
【特許文献10】
特開平8−260194号公報
【特許文献11】
特開平2001−279491号公報
【特許文献12】
特開2002−100529号公報
【特許文献13】
特開2000−17483号公報
【特許文献14】
特開2001−105178号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1〜14に記載されている各種表面処理剤には次のような問題がある。
(1)特許文献1に記載されている2−メルカプトベンゾチアゾールを無機酸又は有機酸を含む酸性水溶液に添加すると、アニオン系界面活性剤の存在下でも溶解性はそれほど良くなく、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸や(2−ベンゾチアジルチオ)酢酸のカルボン酸誘導体にあっても、充分な水溶性は具備しておらず、有効成分は液中で不均一になり易いという実情がある。そのうえ、特許文献1の酸洗浄液は同文献の実施例に示すような高炭素鋼や軟鋼板には適用できても、本発明の主な対象とするスズ又はスズ合金などのメッキ表面にこの酸洗浄液を適用すると、メッキ面が腐食してしまう恐れがある。しかも、上記特許文献1の酸洗浄液による表面処理では、50〜70℃の加熱域、30分〜4時間の長時間を必要とする(同文献の実施例1〜4参照)。
【0011】
(2)上述のように、上記特許文献3〜12に記載の2−メルカプトベンゾチアゾールやベンゾトリアゾール系化合物はそれほど水溶性はなく、例えば、アルコールに溶解したり、特許文献10(段落22〜23参照)に示すように、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸と、モノアルキル又はジアルキルリン酸エステルなどの乳化剤を含む水に添加したり、或は、水に懸濁させる必要がある。
従って、これらの化合物を用いると表面処理が煩雑になるうえ、有機溶剤の使用は環境や労働衛生に悪影響を与え、引火の危険もある。しかも、水性エマルジョンの場合には、組成、調製方法次第では液中の有効成分が不均一になり易く、メッキ表面への吸着も不均一になって、ハンダ濡れ性を良好に確保できない場合もある。また、エマルジョンは経時安定性に乏しいという弊害もある。
しかも、この2−メルカプトベンゾチアゾールについては、性状自体が不安定であり、水や有機溶媒に添加すると経時的に難溶性塩が沈殿するため、ハンドリングにも問題が大きい。
【0012】
(3)上記特許文献2の防錆剤として開示されている2−ベンゾチアジルチオ酢酸、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸などのカルボン酸誘導体のアルカリ金属、アルカリ土類金属又は4級アンモニウムの各種ベンゾチアゾール塩は、カルボン酸誘導体に比べて良好な水溶性を示す。
同文献2では、鉄、銅又はアルミニウム系の金属表面を、上記ベンゾチアゾール塩を濃度200ppmで添加した液により防錆処理しているが、この処理法を本発明が対象とするメッキ表面の後処理にそのまま適用しても、メッキ面のハンダ濡れ性を充分なレベルには向上できないという実情がある。ちなみに、メッキ表面の後処理では、ハンダ付けの際のフラックスとの親和性などが重要であるが、ハンダ付けを前提としない防錆剤では、この親和性などを考慮する必要がない点でも、メッキ面の後処理剤とは異なる。
本発明は、メッキ表面の後処理において、ハンダ濡れ性を良好に確保しながら、表面処理を迅速・簡便化することを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、経時的に難溶性沈殿物を生じ易い2−メルカプトベンゾチアゾールとは異なり、水溶性に優れる2−ベンゾチアゾリルチオ酢酸、3−(2−ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸などのアルカリ金属、アミンなどの各種ベンゾチアゾール塩を鋭意研究した結果、上記特許文献2の200ppm程度の濃度レベルではなく、その含有量を所定以上に増してメッキ面の後処理に適用すると、メッキ面のハンダ濡れ性が顕著に改善すること、上記特許文献1の酸洗浄液では処理時間30分〜4時間を要しているが、上記処理液を特定濃度以上で用いると1秒〜15分の短時間で迅速・簡便に後処理できることを見い出した。
また、2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体に替えて、スルホン酸誘導体又はその塩を使用し、或は、ベンゾチアゾールと同じアゾール化合物に属するベンゾトリアゾールの縮合環にポリオキシアルキレン基又はヒドロキシアルキル基が結合した誘導体を使用しても、同様に、メッキ面のハンダ濡れ性が良好に改善し、後処理を迅速・簡便化できることを見い出し、本発明を完成した。
【0014】
即ち、本発明1は、スズ、スズ合金、銀、銅のいずれかのメッキ皮膜を形成した金属材料を後処理液に接触させてメッキ表面を後処理する方法において、
上記後処理液が、金属材料にメッキ皮膜を形成した後に、そのメッキ表面を後処理する液であって、
(A)下記の一般式(1)で表される2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体と、
【化2】
Figure 0004168388
(式(1)中、R1はC1〜C40アルキレン、OHとNRR(Rは水素又はC1〜C4アルキル基)の少なくとも一個が結合した置換C1〜C40アルキレンである;XはCOO-、SO3 -である;nはである;Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、1〜4級アミンである。但し、XがCOO-の場合、Mは水素を除く他のカチオン種である;R2はアルキル、アルコキシ、NRR、COOM、SO3M、OHである;mは〜3の整数である。)
(B)ベンゾトリアゾールのポリオキシアルキレン付加物、1個乃至複数個のヒドロキシアルキル基を有する置換ベンゾトリアゾールよりなる群から選ばれたベンゾトリアゾール誘導体
との少なくとも一種を有効成分として水に溶解し、且つ、当該有効成分の含有量が1〜1000mmol/Lであるものであり、
処理時間1秒〜15分の条件で後処理することを特徴とするメッキ表面の後処理方法である。
【0015】
本発明2は、上記本発明1において、2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体が、2−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕酢酸の塩、2−〔2−(4−メチルベンゾチアゾリル)チオ〕酢酸の塩、3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロピオン酸の塩、4−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕酪酸の塩、2−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕イソ酪酸の塩、11−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕ウンデカン酸の塩、〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕メタンスルホン酸、2−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕エタンスルホン酸、3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロパンスルホン酸又はその各塩であり、
ベンゾトリアゾール誘導体が、ポリオキシエチレン(ベンゾトリアゾール−1−イル)エーテル、1−(1−ベンゾトリアゾリル)−2,3−ジヒドロキシプロパンであることを特徴とするメッキ表面の後処理方法である。
【0016】
本発明3は、上記本発明1又は2において、後処理液にさらに、界面活性剤を含有することを特徴とするメッキ表面の後処理方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、所定の2−ベンゾチアゾール誘導体及びベンゾトリアゾール誘導体の少なくとも一種を所定の濃度以上で含有する後処理液を、スズ、スズ合金、銀、銅のいずれかのメッキ皮膜を形成した金属材料に接触させて、当該メッキ面を後処理する方法である。
【0020】
本発明の2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体は、上記一般式(1)で表される。
ベンゾチアゾール環の2位に結合するメルカプト基には置換基R1が結合し、置換基R1はC1〜C40アルキレン、置換C1〜C40アルキレンである。C1〜C40アルキレンの具体例は、メチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、C10アルキレンなどである。このアルキレン基は、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基が結合した置換アルキレン基であっても良い。
上記アルキレン基R1の一端にはアニオン種Xとカチオン種Mが結合し、水溶性を確保する見地から、Xはカルボキシル基又はスルホン酸基であり、その結合数nは1個である。上記カチオン種Mは、Xがスルホン酸基の場合には、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、1〜4級アミンであり、Xがカルボキシル基の場合、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、1〜4級アミンであって、水素は除かれる。
以上のように、アルキレン基R1の一端には、カルボキシル基又はスルホン酸基が1個結合し、スルホン酸基を有するベンゾチアゾール誘導体では、スルホン酸とスルホン酸塩の両誘導体を包含する一方、カルボキシル基を有するベンゾチアゾール誘導体では、カルボン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、1〜4級アミンの各種塩の誘導体のみが含まれ、2−ベンゾチアゾリルチオ酢酸、3−(2−ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸などのカルボン酸誘導体は本発明から排除される。
【0021】
また、一般式(1)のベンゾチアゾール環は無置換(m=0)でも良いし、アルキル、アルコキシ、NRR、COOM、SO3M、OHよりなる群から選ばれた置換基R2が1〜3個結合しても良い。この場合、上記NRRは前記アルキレン基R1の場合と同様に、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基を意味し、また、上記カチオン部分Mも上記アルキレン基R1と同様である。
上記ベンゾチアゾール誘導体としては、本発明2に示すように、カルボン酸の塩では、2−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕酢酸の塩、2−〔2−(4−メチルベンゾチアゾリル)チオ〕酢酸の塩、3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロピオン酸の塩、4−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕酪酸の塩、2−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕イソ酪酸の塩、11−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕ウンデカン酸の塩が好ましく、
スルホン酸又はその塩では、〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕メタンスルホン酸、2−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕エタンスルホン酸、3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロパンスルホン酸、4−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕ブタンスルホン酸、2−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕イソブタンスルホン酸、11−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕ウンデカンスルホン酸又はその塩が好ましい。
より好ましい具体例は、2−〔(2−ベンゾチアゾリル)チオ〕酢酸塩、3−〔(2−ベンゾチアゾリル)チオ〕プロピオン酸塩、4−〔(2−ベンゾチアゾリル)チオ〕酪酸塩、2−〔(2−ベンゾチアゾリル)チオ〕イソ酪酸塩、11−〔(2−ベンゾチアゾリル)チオ〕ウンデカン酸塩、3−〔(2−ベンゾチアゾリル)チオ〕プロパンスルホン酸又はその塩である。ベンゾチアゾールの塩部分としては、アルカリ金属塩、トリエタノールアミン塩などが好ましい。
【0022】
一方、本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、ベンゾトリアゾールのポリオキシアルキレン付加物、1個〜複数個のヒドロキシアルキル基を有する置換ベンゾトリアゾールの少なくともいずれかである。
上記ポリオキシアルキレン付加物は、ベンゾトリアゾール環にポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレンを2〜250個結合したものである。
上記置換ベンゾトリアゾールは、ベンゾトリアゾール環のうちのべンゼン環又はトリアゾール環にヒドロキシアルキル基が結合した化合物であり、ヒドロキシアルキル基は、例えば、水酸基が結合したC1〜C4アルキル基であり、具体的には、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルが好ましい。
【0023】
本発明では、2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体、或はベンゾトリアゾール誘導体は夫々を単用又は併用しても良いし、2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体とベンゾトリアゾール誘導体を複用しても良い。
本発明の後処理液において、2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体及び/又はベンゾトリアゾール誘導体の全含有量は1〜1000mmol/Lであり、好ましくは3〜500mmol/Lであり、より好ましくは3〜100mmol/Lである。
含有量が1リットル当たり1ミリモルより少ないと、メッキ面のハンダ濡れ性を確保できず、例えば、冒述の特許文献2に示す200ppm程度(具体的に、3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロピオン酸のトリエタノールアミン塩では、0.5mmol/L)の含有量では有効なメッキ面の後処理が行えない。逆に、1リットル当たり1000ミリモルより多くても後処理効果にあまり変化はなく、コストの無駄であり、また、ハンダ付けに悪影響を及ぼす恐れがある。
【0024】
上記後処理液は、2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体及び/又はベンゾトリアゾール誘導体を有効成分とし、水を溶媒とした水溶液の形態をとるが、本発明3に示すように、メッキ面への処理液の浸透力を向上する目的で、後処理液には界面活性剤を含有することができる。
上記界面活性剤としては、モノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステルを初め、通常のノニオン系、アニオン系、両性、或はカチオン系などの各種界面活性剤を使用できる。
上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、モノ〜トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、C1〜C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1〜C25アルキルナフトール、C1〜C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1〜C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2〜300モル付加縮合させたものなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。
【0025】
また、本発明の後処理液には、さらにpH調整剤などを含有できる。
本発明のアゾールカルボン酸誘導体が塩形態の場合、強酸性では難溶性のカルボン酸に解離されるので、pH調整剤で液をpH4以上の弱酸性ないしアルカリ域に調整することが好ましい。
上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、シュウ酸などの無機酸とその塩、メタンスルホン酸、イセチオン酸、フェノールスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、フタル酸などの有機酸とその塩、或は、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、4級アンモニウム塩を含む各種アミンなどの塩基が挙げられる。
【0026】
上記後処理液を用いたメッキ表面の後処理方法は、銅或は銅合金製などの金属材料(即ち、被メッキ物)にメッキ皮膜を形成した後に、後処理液をこのメッキ面に接触させることにより実施される。
上記被メッキ物は特に制限されないが、半導体集積回路、プリント基板、フィルムキャリア、コンデンサ、インダクタ、サーミスタ、抵抗、IC、コネクタなどの電子部品を代表例とする。金属材料に形成されるメッキ皮膜は、ハンダ付け性を良好に保持する見地から、スズ皮膜、スズ−銅合金、スズ−銀合金、スズ−ビスマス合金、スズ−鉛合金などのスズ合金皮膜、銀皮膜、銅皮膜から選ばれたいずれかである。メッキ方法は電気メッキ、無電解メッキを問わない。
【0027】
上記接触方法は、メッキ材を後処理液に浸漬することを基本とするが、メッキ材に後処理液を塗布しても良いし、噴霧しても良い。
処理条件のうち、後処理時間は1秒〜15分である。冒述の特許文献1では、50〜70℃の加熱条件にも拘わらず、30分〜4時間の長時間をかけて酸洗浄しているが、このような方法とは異なり、本発明では短時間の接触処理だけで足り、この迅速・簡便な後処理によりメッキ面のハンダ濡れ性を充分に確保できるのである。
尚、浸漬温度は必要に応じて任意に調整できるが、0〜40℃程度が好ましく、室温程度がより好ましい。浸漬時間は浸漬温度により適宜増減でき、また、メッキ材の形状や材質に応じて処理時間と温度を適宜選択できる。
【0028】
【発明の効果】
冒述したように、金属材料にハンダ付けをする場合、ハンダ濡れ性を確保するために、予め金属材料にスズ又はスズ合金などのメッキ皮膜を形成するが、このメッキ面は酸化により経時劣化し易い。
本発明では、このメッキ面を所定の2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体及び/又はベンゾトリアゾール誘導体を含む水溶液により後処理するため、スズ、スズ合金、銀、銅のいずれかのメッキ面のハンダ濡れ性を良好に改善できる。ちなみに、特許文献2では、金属材料を防錆する目的で2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体を200ppmの微量濃度で用いているが、本発明のメッキ表面の後処理方法では、上記アゾール誘導体を1〜1000mmol/Lの濃度で用いるため、ハンダ濡れ性の改善を確実に達成できる。
【0029】
また、本発明に使用する誘導体の優れた水溶性により、有効成分をメッキ面に均一に吸着でき、1秒〜15分の短時間で液をメッキ面に接触させるだけで、ハンダ濡れ性を充分に向上させることができるため、50〜70℃の加熱域で、且つ、30分〜4時間の長時間をかけて酸洗浄する特許文献1とは異なり、メッキ面の後処理を簡便・迅速化できる。さらに、本発明のアゾール誘導体は優れた水溶性を示すため、従来技術のような有機溶媒を必要とせず、引火の危険がなく、環境保全や労働衛生に資する。
【0030】
【実施例】
以下、スズメッキ表面を本発明の方法で後処理する実施例、並びに、当該後処理方法を施したメッキ表面のハンダ濡れ性試験例を説明する。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0031】
《スズメッキ表面を後処理する実施例》
下記の実施例1〜13のうち、実施例1〜8は本発明のベンゾチアゾール誘導体を単用した例であり、実施例8はベンゾチアゾールのスルホン酸塩誘導体の使用例、その他の実施例1〜7は同カルボン酸塩誘導体の使用例である。実施例9〜10は本発明のベンゾトリアゾール誘導体を単用した例、実施例11は実施例3のベンゾチアゾール誘導体と実施例10のベンゾトリアゾール誘導体の併用例、実施例12は実施例8のベンゾチアゾールのスルホン酸塩誘導体にノニオン系界面活性剤を共存させた例、実施例13は実施例1と実施例3のベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体の併用例である。
【0032】
一方、比較例1〜5のうち、比較例1はメッキ表面を後処理しないブランク例、比較例2は冒述の特許文献10に準拠して、2−メルカプトベンゾチアゾールのメタノール溶液を水で分散した例である。比較例3は特許文献3〜10などに開示されているベンゾトリアゾールを、溶解速度を増す見地からメタノールに溶かしてから水に溶解させた例である。比較例4は特許文献2に開示された2−(ベンゾチアゾリル)チオ酢酸カリウム塩を同文献の濃度200ppmで含有する水溶液で処理した例、比較例5は同文献2の3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロピオン酸のトリエタノールアミン塩を200ppm含有する水溶液で処理した例である。
【0033】
(1)実施例1
(a)スズメッキ処理
先ず、下記の組成でスズメッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 10g/L
メタンスルホン酸 100g/L
オクチルフェノールポリエトキシレート(EO12モル) 10g/L
次いで、3216型チップ抵抗器を被メッキ物として、上記スズメッキ浴を用いて電気メッキを行い、膜厚5μmでスズメッキ皮膜を形成した。
その後、スズメッキを施したチップ抵抗器を5%第三リン酸ナトリウムの水溶液に70℃、30秒の条件で浸漬した後、純水で水洗した。
(b)メッキ表面の後処理
2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体として(2−ベンゾチアゾリル)チオ酢酸のカリウム塩を用いて、当該化合物を水に溶解することにより後処理液を得た。後処理液中の当該カルボン酸塩誘導体の含有量は200g/L(モル添加量換算では760.5mmol/L)に調整した。また、水1L当たりの当該誘導体の溶解度は10g以上であった(以下の実施例及び比較例も同様の基準である)。
次いで、前記チップ抵抗器をこの後処理溶液に25℃、30秒の条件で浸漬した後、純水で水洗し、ドライヤーで乾燥した。
【0034】
(2)実施例2
上記実施例1を基本として、2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体を3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロピオン酸のトリエタノールアミン塩に代替し、後処理液中の含有量を50g/L(モル添加量換算:128.7mmol/L)に変更した以外は、上記実施例1と同様の条件で、メッキ処理と後処理を行った。同じく、当該誘導体の溶解度は10g以上であった。
【0035】
(3)実施例3
上記実施例1を基本として、2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体を3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロピオン酸のカリウム塩に代替し、後処理溶液中の添加量を20g/L(モル添加量換算:71.9mmol/L)に変更した以外は、上記実施例1と同様の条件で、メッキ処理と後処理を行った。同じく、当該誘導体の溶解度は10g以上であった。
【0036】
(4)実施例4
上記実施例1を基本として、2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体を2−(4−メチルベンゾチアゾリル)チオ酢酸のカリウム塩に代替し、後処理溶液中の添加量を5g/L(モル添加量換算:18.0mmol/L)に変更した以外は、上記実施例1と同様の条件で、メッキ処理と後処理を行った。同じく、当該誘導体の溶解度は10g以上であった。
【0037】
(5)実施例5
上記実施例1を基本として、2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体を11−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕ウンデカン酸のカリウム塩に代替し、後処理溶液中の添加量を0.5g/L(モル添加量換算:1.3mmol/L)に変更した以外は、上記実施例1と同様の条件で、メッキ処理と後処理を行った。同じく、当該誘導体の溶解度は1g以上であった。
【0038】
(6)実施例6
上記実施例1を基本として、2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体を4−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕酪酸のカリウム塩に代替し、後処理溶液中の添加量を1g/L(モル添加量換算:3.4mmol/L)に変更した以外は、上記実施例1と同様の条件で、メッキ処理と後処理を行った。同じく、当該誘導体の溶解度は10g以上であった。
【0039】
(7)実施例7
上記実施例1を基本として、2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体を2−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕イソ酪酸のカリウム塩に代替し、後処理溶液中の添加量を10g/L(モル添加量換算:34.4mmol/L)に変更した以外は、上記実施例1と同様の条件で、メッキ処理と後処理を行った。同じく、当該誘導体の溶解度は10g以上であった。
【0040】
(8)実施例8
上記実施例1を基本として、2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体から、同スルホン酸塩の誘導体である3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロパンスルホン酸のナトリウム塩に代替し、後処理溶液中の添加量を5g/L(モル添加量換算:19.1mmol/L)に変更した以外は、上記実施例1と同様の条件で、メッキ処理と後処理を行った。同じく、当該誘導体の溶解度は10g以上であった。
【0041】
(9)実施例9
上記実施例1を基本として、2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体から、ベンゾトリアゾール誘導体であるポリオキシエチレン(ベンゾトリアゾール−1−イル)エーテル(EO100モル)に代替し、後処理溶液中の添加量を7g/L(モル添加量換算:1.5mmol/L)に変更した以外は、上記実施例1と同様の条件で、メッキ処理と後処理を行った。当該誘導体の溶解度は20g以上であった。
【0042】
(10)実施例10
上記実施例1を基本として、2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体から、ベンゾトリアゾール誘導体である1−(1−ベンゾトリアゾリル)−2,3−ジヒドロキシプロパンに代替し、後処理溶液中の添加量を3g/L(モル含有量換算:15.5mmol/L)に変更した以外は、上記実施例1と同様の条件で、メッキ処理と後処理を行った。当該ベンゾトリアゾール誘導体の溶解度は20g以上であった。
【0043】
(11)実施例11
上記実施例3を基本として、3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロピオン酸のカリウム塩に加えて、上記実施例10のベンゾトリアゾール誘導体を併存させて、後処理溶液中の各含有量をベンゾチアゾールのプロピオン酸塩誘導体=2.4mmol/L、ベンゾトリアゾール誘導体=1.0mmol/Lとした以外は、上記実施例3と同様の条件で、メッキ処理と後処理を行った。
【0044】
(12)実施例12
上記実施例8を基本として、3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロパンスルホン酸のナトリウム塩に加えて、ノニオン系界面活性剤であるβ−ナフトールポリエトキシレート(EO10モル)を併存させて、後処理溶液中の各含有量をベンゾチアゾールのプロピオン酸塩誘導体=6.2mmol/L、界面活性剤=7.0mmol/Lとした以外は、上記実施例8と同様の条件で、メッキ処理と後処理を行った。
【0045】
(13)実施例13
上記実施例1を基本として、(2−ベンゾチアゾリル)チオ酢酸のカリウム塩に加えて、実施例3の3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロピオン酸のカリウム塩を併存させて、後処理溶液中の各含有量を酢酸塩誘導体=1.14mmol/L、プロピオン酸塩誘導体=1.08mmol/Lとした以外は、上記実施例1と同様の条件で、メッキ処理と後処理を行った。
【0046】
(14)比較例1
チップ抵抗器に上記実施例1のスズメッキ処理(a)だけを施し、後処理(b)は行わなかった。
【0047】
(15)比較例2
水に難溶である2−メルカプトベンゾチアゾールを10%メタノール溶液に溶解した後、水に分散して後処理液を得た。後処理液中の含有量は1g/L(モル添加量換算:6.0mmol/L)に調整した。
そして、上記実施例1を基本として、同実施例の溶液に替えて上記後処理液を使用した以外は、上記実施例1と同様の条件により、メッキ処理と後処理を行った。
【0048】
(16)比較例3
水に微溶であるベンゾトリアゾール1g/L(モル添加量換算:8.4mmol/L)を10%メタノール溶液に溶解した後に、水に分散して後処理液を得た。後処理液中の含有量は1g/L(モル添加量換算:8.4mmol/L)に調整した。
そして、上記実施例1を基本として、同実施例の溶液に替えて上記後処理液を使用した以外は、上記実施例1と同様の条件により、メッキ処理と後処理を行った。
【0049】
(17)比較例4
冒述の特許文献2に準拠して、2−(ベンゾチアゾリル)チオ酢酸のカリウム塩を水中に溶解して濃度200ppmの後処理液を調製した。
そして、上記実施例1を基本として、同実施例の溶液に替えて上記後処理液を使用した以外は、上記実施例1と同様の条件により、メッキ処理と後処理を行った。
【0050】
(18)比較例5
同特許文献2に準拠して、3−〔(2−ベンゾチアゾリル)チオ〕プロピオン酸のトリエタノールアミン塩を水中に溶解して濃度200ppmの後処理液を調製した。
そして、上記実施例1を基本として、同実施例の溶液に替えて上記後処理液を使用した以外は、上記実施例1と同様の条件により、メッキ処理と後処理を行った。
【0051】
そこで、上記実施例1〜13及び比較例2〜5の後処理方法、或は、比較例1のメッキ方法で得られたチップ抵抗器のメッキ面のハンダ濡れ性を調べた。
《スズメッキ面のハンダ濡れ性試験例》
下記のハンダ濡れ性試験では加速試験を加えて、後処理を行ったメッキ表面を苛酷な雰囲気中に置いてハンダ濡れ性を評価した。
即ち、上記実施例1〜13及び比較例1〜5の処理を行ったチップ抵抗器を下記の条件でハンダ濡れ性試験に供して、ゼロクロスタイム(秒)を測定した。
(A)加速試験
プレッシャークッカーに基づき、温度105℃、相対湿度100%、8時間とした。
(B)濡れ性試験の条件
EIAJ ET−7404(ソルダーペーストを用いた表面実装部品のハンダ付け性試験法(平衡法))に基づく。ハンダペーストはEIAJで規定されたSn63/Pb37の標準ペーストを使用した。試験温度は215℃とした。
【0052】
下表はその試験結果である。尚、下表のZCTはゼロクロスタイムである。
ZCT(秒) ZCT(秒)
実施例1 2.53 比較例1 4.32
実施例2 2.54 比較例2 2.52
実施例3 2.55 比較例3 3.43
実施例4 2.53 比較例4 3.98
実施例5 2.57 比較例5 4.45
実施例6 2.58
実施例7 2.56
実施例8 2.56
実施例9 2.60
実施例10 2.58
実施例11 2.49
実施例12 2.44
実施例 13 2.52
【0057】
《後処理したメッキ表面のハンダ濡れ性の評価》
スズメッキ表面を後処理した実施例1〜13では、後処理を行わなかった比較例1に対して、明らかにゼロクロスタイムが短縮され、後処理がハンダ濡れ性の向上に確実に寄与していることが確認できた。この場合、アゾール塩誘導体として、2−メルカプトベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体を単用した実施例1〜7、同カルボン酸塩誘導体を併用した実施例13、同スルホン酸塩誘導体を用いた実施例8、ベンゾトリアゾール誘導体を用いた実施例9〜10、或は、上記ベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体とベンゾトリアゾール誘導体を併用した実施例11は、いずれもハンダ濡れ性を改善する点で同水準の評価であった。また、上記ベンゾチアゾールのカルボン酸塩誘導体に界面活性剤を共存させた実施例12では、実施例1〜7に比べてハンダ濡れ性の評価が若干高まった。
【0058】
さらに、ベンゾトリアゾールのメタノール溶液を水に添加して後処理液とした比較例3と、本発明のベンゾトリアゾール誘導体を用いた実施例9〜10を対比すると、本発明の誘導体では高い溶解度によって後処理液中に有効成分を均一化でき、優れたハンダ濡れ性を示したのに対して、比較例3では水に微溶のベンゾトリアゾールをメタノールを介して水に溶解させたことにより、ハンダ濡れ性の評価は実施例9〜10より後退していた。
【0059】
一方、冒述の特許文献2に準拠して、(2−ベンゾチアゾリル)チオ酢酸のカリウム塩、3−〔(2−ベンゾチアゾリル)チオ〕プロピオン酸のトリエタノールアミン塩よりなるベンゾトリアゾールのカルボン酸塩誘導体を、防錆剤用としての濃度200ppmで含有する後処理水溶液を用いた比較例4〜5では、ハンダ濡れ性の評価は実施例1〜7に及ばず、大きく後退していた。これは、同文献2の対象である防錆剤としての適用濃度では、メッキ面のハンダ濡れ性を充分に改善することができないことを意味し、メッキ面を後処理してハンダ濡れ性を有効に改善するためには、所定のアゾール誘導体を後処理液に1mmol/L以上の濃度で含有させる点が重要であることが明らかになった。
尚、本発明のようなカルボン酸塩の誘導体ではなく、2−メルカプトベンゾチアゾールを直接使用した比較例2では、ハンダ濡れ性の評価は実施例と同程度であった。ちなみに、この2−メルカプトベンゾチアゾールとそのカルボン酸誘導体である(2−ベンゾチアゾリル)チオ酢酸とを含有量0.4mol/Lでメタノールに溶解し、このメタノール溶液を試料としてガラス容器に夫々収容して1カ月強、日光に暴露したところ、カルボン酸誘導体の方には変化はなかったが、2−メルカプトベンゾチアゾールの方には沈殿物の発生が確認できた。このため、各試料を液体クロマトグラフィーで分析したところ、カルボン酸誘導体では含有量の減少はなかったが、2−メルカプトベンゾチアゾールの含有量は31%程度減少していた。従って、2−メルカプトベンゾチアゾールを使用した比較例2は後処理液を調製した初期段階では、ある程度のハンダ濡れ性を保持できるが、長時間連続で後処理を行うと、この効果は減退してしまうものと思われ、ハンドリングに問題があることが判明した。
【0060】
以上のように、プリント基板、チップ部品などの電子部品を初めとする金属材料に各種メッキを行い、そのメッキ面をハンダ付けに供する場合、予め、本発明のアゾール塩誘導体の水溶液で当該メッキ面を後処理すると、スズなどの各種メッキ面のハンダ濡れ性を確実に向上することができ、上記電子部品などをハンダ付けする際の信頼性を良好に担保できる。

Claims (3)

  1. スズ、スズ合金、銀、銅のいずれかのメッキ皮膜を形成した金属材料を後処理液に接触させてメッキ表面を後処理する方法において、
    上記後処理液が、金属材料にメッキ皮膜を形成した後に、そのメッキ表面を後処理する液であって、
    (A)下記の一般式(1)で表される2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体と、
    Figure 0004168388
    (式(1)中、R1はC1〜C40アルキレン、OHとNRR(Rは水素又はC1〜C4アルキル基)の少なくとも一個が結合した置換C1〜C40アルキレンである;XはCOO-、SO3 -である;nはである;Mは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、1〜4級アミンである。但し、XがCOO-の場合、Mは水素を除く他のカチオン種である;R2はアルキル、アルコキシ、NRR、COOM、SO3M、OHである;mは〜3の整数である。)
    (B)ベンゾトリアゾールのポリオキシアルキレン付加物、1個乃至複数個のヒドロキシアルキル基を有する置換ベンゾトリアゾールよりなる群から選ばれたベンゾトリアゾール誘導体
    との少なくとも一種を有効成分として水に溶解し、且つ、当該有効成分の含有量が1〜1000mmol/Lであるものであり、
    処理時間1秒〜15分の条件で後処理する事を特徴とするメッキ表面の後処理方法。
  2. 2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体が、2−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕酢酸の塩、2−〔2−(4−メチルベンゾチアゾリル)チオ〕酢酸の塩、3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロピオン酸の塩、4−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕酪酸の塩、2−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕イソ酪酸の塩、11−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕ウンデカン酸の塩、〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕メタンスルホン酸、2−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕エタンスルホン酸、3−〔2−(ベンゾチアゾリル)チオ〕プロパンスルホン酸又はその各塩であり、
    ベンゾトリアゾール誘導体が、ポリオキシエチレン(ベンゾトリアゾール−1−イル)エーテル、1−(1−ベンゾトリアゾリル)−2,3−ジヒドロキシプロパンであることを特徴とする請求項1に記載のメッキ表面の後処理方法
  3. 後処理液にさらに、界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のメッキ表面の後処理方法
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