JP4167525B2 - スタータ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃エンジンに備えられるスタータ装置に係り、特に、リコイルロープが巻装されて該リコイルロープを引っ張ることにより回転せしめられるロープリール等を有する駆動部と、該駆動部の回転が伝達される従動部と、の間に、緩衝・蓄力手段としてのねじりコイルばねを含むばね機構を介装したスタータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、刈払機やチェーンソー等の携帯型作業機に搭載される小型空冷2サイクルガソリンエンジン等の内燃エンジン用のスタータ装置としては、手動式のリコイルスタータが採用される場合が多い。このリコイルスタータは、通常、リコイルロープが巻装されたロープリール等からなる駆動部と、遠心式ラチェット機構等からなる従動部と、を備え、前記リコイルロープ(リコイルハンドル)を引っ張って前記ロープリールを回転させ、このロープリールの回転を前記従動部を介して前記内燃エンジンのクランク軸に伝達して、前記内燃エンジンを始動させるようになっている。
【0003】
そして、前記のようなリコイルスタータについて、本発明の出願人は、先に、前記駆動部と前記従動部との間に、ゼンマイ等からなる緩衝・蓄力手段を介装したものを提案した(例えば、特許文献1参照)。
この提案に係るリコイルスタータにおいては、前記駆動部と前記従動部との間に緩衝・蓄力手段としての例えばゼンマイ機構を介装したことで、リコイルロープの引き操作(リコイリング操作)の前半過程(ピストンが上死点に達するまで)においては、前記ゼンマイ機構による緩衝効果が得られるとともに、前記リコイルロープの引き力が前記ゼンマイ機構に蓄えられ、その後半過程においては、前記蓄えられた引き力と後半過程で実際に引かれる引き力とが合力となって前記内燃エンジンを起動する力となる。このため、ロープの引き力変動を可及的に抑えることができ、ロープ引き操作を円滑に行うことができるとともに、力の弱い作業者でもエンジンを容易に始動させることができる。
【特許文献1】
特開2002−161836号公報(第1〜6頁、第1図〜第3図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の発明者等は、前記の如くの、緩衝・蓄力手段を備えたスタータ装置の小形、軽量化を図るべく、鋭意研究を重ねているが、緩衝・蓄力手段としてゼンマイを用いたのでは、小形、軽量化に限界がある。そこで、緩衝・蓄力手段として、ゼンマイに代えてねじりコイルばねを使用することが考えられている。つまり、ねじりコイルばねは、ゼンマイと同等の緩衝効果・蓄力が得られる上、その重量がゼンマイの1/10程度(約200gのゼンマイに対して約20gのねじりコイルばね)で済み、また設置スペースも小さくすることができる上、安価である。
【0005】
ところが、ねじりコイルばねを使用する場合には、その仕様(線径、巻数、直径等)如何によっては、次のような問題を生じることが明らかになった。すなわち、ねじりコイルばねを用いた場合でも、ゼンマイを用いた場合と同様に、リコイルロープの引き操作の前半過程(ピストンが上死点に達するまで)においては、前記ねじりコイルばねが巻き込まれて、該ねじりコイルばねを含むばね機構による緩衝効果が得られるとともに、前記リコイルロープの引き力(回転駆動力)が前記ばね機構に蓄えられるが、前記ばね機構の仕様如何によっては、前記スタータ装置で駆動されて前記ピストンが上死点に達する前に、前記ねじりコイルばねが完全に巻き込まれて、それ以上巻き込むことができない状態(巻き代が残されていない状態)になってしまう場合がある。このように、前記ピストンが上死点に達する前に、巻き代が残されていない状態となると、前記ねじりコイルばねが剛体に近似したものとなるため、充分な緩衝効果が得られなくなるとともに、それ以上回転駆動力を蓄えることができなくなり、始動操作性が低下する。
【0006】
また、ねじりコイルばねとして、全体が円筒形でそれを形成する線材の断面が円形のものを用いると、その内周側にある胴部(収納部、起動プーリ等)に巻き付いた際の接触面圧が大きくなり、その外周側にクラックが発生したり、前記胴部に食い込んで変形、応力集中等が生じやすくなるという問題もあった。
【0007】
本発明は、前記した如くの問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ロープリール等を有する駆動部と、該駆動部の回転が伝達される従動部と、の間に、緩衝・蓄力手段としてのねじりコイルばねを含むばね機構を介装して、小形、軽量化、低コスト化等を図ることができるとともに、始動操作性を向上でき、しかも、ねじりコイルばねにクラックや変形等を生じ難くされたスタータ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成すべく、本発明に係るスタータ装置は、基本的には、内燃エンジンの始動用駆動部と、該駆動部の回転が伝達される従動部と、を備え、前記駆動部と前記従動部との間の動力伝達系の途中に、緩衝・蓄力手段としてのねじりコイルばねを含むばね機構が介装され、該ばね機構が、前記駆動部の駆動の全過程において、該駆動部の駆動によって前記従動部と緩衝しつつ蓄力するとともに、該蓄力により前記従動部を駆動するようにされてなる。
【0009】
そして、前記ばね機構は、前記駆動部で駆動されて前記内燃エンジンのピストンが上死点に達するまでの過程において、前記駆動部と前記従動部との間に1回転(360°)から1回転半(540°)の位相差を生じさせることができるように、その仕様(巻数等)が設定されており、かつ、前記ピストンが上死点に達したとき、さらに巻き込める巻き代が残されているように、その仕様(巻数等)が設定されており、前記ねじりコイルばねは断面が矩形の線材で巻数が12巻き程度の円筒状に形成されると共に、巻き込まれていない状態から前記ピストンが上死点に達する状態までは前記駆動部側に配在された収納部と前記従動部側に配在された起動プーリとの間に所定の隙間を形成すべく介装され、一端部及び他端部が、それぞれ前記収納部及び前記起動プーリに係止されていることを特徴としている。
【0010】
前記ねじりコイルばねは、前記駆動部と前記従動部との間に所定以上の位相差が生じた際に前記ねじりコイルばねが巻き付くカラーが配在される。
【0012】
他の好ましい態様では、前記駆動部は、リコイルロープが巻装されて該リコイルロープを引っ張ることにより回転せしめられるロープリールと、前記リコイルロープを巻き取るべく前記ロープリールを逆転させるリコイル用付勢手段と、を備える。
【0013】
前記の如くの構成とされた本発明に係るスタータ装置の好ましい態様においては、緩衝・蓄力手段としてねじりコイルばねを含むばね機構が用いられているので、緩衝・蓄力手段としてゼンマイ機構が用いられた場合に比して、小形、軽量化、低コスト化が図られる。
【0014】
また、前記ねじりコイルばねを含むばね機構は、前記ゼンマイ機構と同様に、始動操作(ロープ引き操作)の前半過程(ピストンが上死点に達するまで)においては、前記ねじりコイルばねが巻き込まれて、該ねじりコイルばねを含むばね機構による緩衝効果が得られるとともに、前記駆動部の回転駆動力(ロープ引き力)が前記ばね機構に蓄えられ、その後半過程においては、前記蓄えられた回転駆動力と後半過程での前記駆動部による実際の回転駆動力(引き力)とが合力となって、エンジンコンプレッションに打ち勝ち、前記内燃エンジンを起動する力となる。
【0015】
この場合、前記ばね機構は、前記ピストンが上死点に達したとき、さらに巻き込める巻き代が残されているように、その仕様が設定される。ここで、この種のスタータ装置にあっては、通常の始動操作(ロープ引き操作)を行うと、前記内燃エンジンのピストンが上死点に達するまでの過程において、前記駆動部と前記従動部との間に1回転(360°)分くらいの位相差を生じさせることができる。言い換えれば、ロープ引きにより前記ねじりコイルばねを1回転分くらい巻き込むことができる。そこで、本発明のスタータ装置では、前記内燃エンジンのピストンが上死点に達するまでの過程において、1回転以上の位相差(最大巻込み量)を生じさせることができるように、より好ましくは、1回転半程度の位相差を生じさせることができるように、前記ねじりコイルばねを含むばね機構の仕様が設定される。
【0016】
これにより、前記ピストンが上死点に達したときには、前記ねじりコイルばねは、約1回転分位巻き込まれた状態となり、さらに巻き込める巻き代が残されることになり、巻き代が残されていない状態となる場合に比して、充分な緩衝効果が得られるとともに、回転駆動力を充分に蓄えることができる。
【0017】
従って、本発明のスタータ装置では、ロープの引き力変動等を可及的に抑えることができ、始動操作を円滑に行うことができるとともに、力の弱い作業者でもエンジンを容易に始動させることができる。
また、ねじりコイルばねとして、それを形成する線材の断面が矩形のものを用いることにより、最大応力を受け持つ幅が広くなり、断面円形のねじりコイルばねを用いた場合に比して、その内周側にある胴部(収納部、起動プーリ等)に巻き付いた際の接触面圧が小さくなるため、その外周側にクラックが発生し難くなるとともに、前記胴部に食い込み難くなり、変形、応力集中等を抑えることができる。
【0018】
また、前記ねじりコイルばねが円筒状とされて、その内周に、前記駆動部と前記従動部との間に所定以上の位相差が生じた際に前記ねじりコイルばねが巻き付くカラーが配在されることにより、比較的安価な断面円形のねじりコイルばねが用いられた場合でも、その内周側にある胴部(収納部、起動プーリ等)には食い込まなくなり(前記カラーに巻き付く)、変形、応力集中等を抑えられる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係るスタータ装置の第1実施形態を示す断面図である。
図示第1実施形態のスタータ装置10Aは、例えば、刈払機やチェーンソー等の携帯型作業機に搭載される、排気量が23〜50mL程度の小型空冷2サイクルガソリンエンジン1に使用されるもので、そのクランク軸2の一端部(右端部)2aに近接して対向配置されている。
【0020】
前記スタータ装置10Aは、カップ状のスタータケース5を有し、該スタータケース5内に、リコイルロープ21(リコイルハンドル)を引っ張ることにより、前記クランク軸2の回転軸線Oの回りで回転せしめられる駆動部6が配在されるとともに、該駆動部6からの回転駆動力が伝達される従動部7が配在されている。
【0021】
前記スタータケース5には、固定支軸12が内向きに突設され、この固定支軸12の基端側に、前記リコイルロープ21が巻装されたロープリール20が回動自在に外嵌され、前記固定支軸12の突出端側、つまり、前記ロープリール20と前記従動部7を構成する連動プーリ35との間に、緩衝・蓄力手段としてのばね機構15Aが外嵌されるとともに、抜け止め用ビス14が螺合せしめられている。
【0022】
ここでは、前記回転軸線O上に、前記固定支軸12の中心軸線、前記ロープリール20及び前記ばね機構15Aの回転軸線、及び、前記従動部7を構成する前記クランク軸2の前記一端部2aに一体的に固定された連動プーリ35の回転軸線が配在されている。
【0023】
前記ロープリール20の外周には、前記リコイルロープ21が巻装される溝部20aが形成されている。前記リコイルロープ21は、従来周知の構成のリコイルスタータにおけるものと同様に、詳細は図示しないが、一端が前記溝部20aの底部に係止され、前記スタータケース5から外部に引き出された他端には、ロープ引きハンドル(図示省略)が取り付けられている。
【0024】
また、前記ロープリール20と前記スタータケース5との間には、外端が前記ロープリール20に係止され、内端が前記スタータケース5に係止されたリコイル用付勢手段としてゼンマイ23が配設され、前記リコイルロープ21が引っ張られて前記ロープリール20が回転せしめられた後、前記リコイル用ゼンマイ23に蓄力された復元力により、前記ロープリール20を元位置に復帰させて、前記リコイルロープ21を自動的に巻き取るようにされている。
【0025】
前記ばね機構15Aは、前記ロープリール20の裏面側(前記クランク軸2側)に設けられた比較的広いドーナツ形の収納部16A、前記従動部7側に配在された、円筒状収容部17aを持つ起動プーリ17A、及び、前記収納部16Aと前記起動プーリ17の前記円筒状収容部17aとの間に跨がるように、それらの間に介装された緩衝・蓄力用のねじりコイルばね18A(後で詳述)を有する。
【0026】
前記ロープリール20の前記収納部16A部分を構成する内周胴部16dは、前記固定支軸12に回動自在に外嵌され、前記起動プーリ17Aの内周胴部17dは、前記固定支軸12に螺合せしめられた前記抜け止め用ビス14の段付き頭部14aに回動自在に外嵌されており、前記内周胴部16dと前記内周胴部17dとは、それらの端面が、わずかな窪みKを形成して対面せしめられている。
【0027】
従って、前記収納部16A(前記ロープリール20)と前記起動プーリ17Aとは、同軸(前記クランク軸2の回転軸線O)上で相対回転可能となっており、また、前記ねじりコイルばね18Aの一端部18a及び他端部18bが、それぞれ前記収納部16A(前記ロープリール20)の受け壁部20b及び前記起動プーリ17の係止用孔17bに係止されていて、前記収納部16Aが設けられた前記ロープリール20と前記起動プーリ17Aとの一方を、他方に対して相対回転させることにより、他方側に回転力が付与されるようになっている。
【0028】
一方、前記従動部7は、前記連動プーリ35と、遠心クラッチ式ラチェット機構30と、からなっている。該遠心クラッチ式ラチェット機構30は、例えば、前記起動プーリ17Aにおける前記内燃エンジン1側の部分に設けられた一対の伝達係合突部31と、前記クランク軸2の前記一端部2aに連結された前記連動プーリ35と、を有し、該連動プーリ35には、例えば、二つの始動爪36が揺動可能に支持されている。該始動爪36は、通常は、図示していない付勢ばねにより内方(前記回転軸線O側)に向けて付勢されて前記伝達係合突部31に係合しているが、前記内燃エンジン1が始動せしめられると、前記クランク軸2側から駆動される前記連動プーリ35の回転による遠心力により半径方向外方に揺動して、前記クランク軸2の所定回転数以上で前記伝達係合突起部31との係合が自動的に解除されるようになっている。
【0029】
そして、本第1実施形態のスタータ装置10Aでは、前記ばね機構15Aの前記ねじりコイルばね18Aは、始動操作時において、前記内燃エンジン1の前記クランク軸2に周知の方式で作動上連結せしめられたピストン50が上死点に達したとき、さらに巻き込める巻き代が残されているようにすべく、前記ピストン50が上死点に達する過程において、前記リコイルロープ21で回転駆動される前記駆動部6と前記ピストン50に作用する圧縮抵抗(エンジンコンプレッション)により回転を牽制されている前記従動部7との間に1回転半(540°)程度の位相差(最大巻込み量)を生じさせることができるように、その仕様が設定されている。具体的には、前記ねじりコイルばね18Aを形成するばね鋼線材の断面が矩形とされ、直径がDa、長さがLaで所定巻数の円筒形となっており、巻き込まれていない状態では、前記収納部16A(前記ロープリール20)の前記内周胴部16dと前記起動プーリ17Aの前記内周胴部17dとに、所定の隙間を開けた状態で外嵌される。
【0030】
次に、図2に示される第2実施形態のスタータ装置10Bと、図3に示される比較例のスタータ装置10Cと、を説明する。
第2実施形態のスタータ装置10B及び比較例のスタータ装置10Cと第1実施形態のスタータ装置10Aとは、それらのばね機構15A、15B、15Dの仕様が異なるだけで、他の構成は略同じである。
【0031】
第2実施形態のスタータ装置10Bにおけるばね機構15Bのねじりコイルばね18Bも、第1実施形態のねじりコイルばね18Aと同様に、始動操作時において、前記内燃エンジン1のピストン50が上死点に達したとき、さらに巻き込める巻き代が残されているようにすべく、前記ピストン50が上死点に達する過程において、前記駆動部6と前記従動部7との間に1回転半(540°)程度の位相差を生じさせることができるように、その仕様が設定されている。具体的には、前記ねじりコイルばね18Bを形成するばね鋼線材の断面が円形とされ、直径は第1実施形態のものと略同じDbであるが、長さは第1実施形態のものより長いLbとされた円筒形となっている。
【0032】
ここで、本第2実施形態のねじりコイルばね18Bは、それを形成する線材の断面が円形であるので、第1実施形態のねじりコイルばね18Aのように断面が矩形のものに比して、それが巻き込まれた際、収納部16B(ロープリール20)の内周胴部16dと起動プーリ17Bの内周胴部17dとの間に形成される窪みK(対面部分)に食い込む等して、変形、応力集中等が生じやすくなる。そのため、本第2実施形態のスタータ装置10では、前記内周胴部16d、17dと前記ねじりコイルばね18Bとの間に、該ねじりコイルばね18が巻き込まれた際(前記駆動部6と前記従動部7との間に所定以上の位相差が生じた際)に巻き付く、適度の耐磨耗性を有する金属チューブ等よりなるカラー40が配在されている。
【0033】
一方、図3に示す比較例のスタータ装置10Cにおけるばね機構15Cのねじりコイルばね18Cは、前記内燃エンジン1のピストン50が上死点に達する過程において、前記駆動部6と前記従動部7との間に300°程度の位相差を生じさせることができるように、その仕様が設定されている。具体的には、それを形成する線材の断面が円形(断面積は第1、第2実施形態のものと同じ)とされ、直径も第1、2実施形態のものと略同じのDcであるが、長さは第1実施形態のものより短いLcとされた円筒形となっている。
【0034】
前記の如くの構成とされた第1、第2実施形態のスタータ装置10A、10Bにおいては、緩衝・蓄力手段としてねじりコイルばね18A、18Bを含むばね機構が用いられているので、緩衝・蓄力手段としてゼンマイ機構が用いられた場合に比して、小形、軽量化、低コスト化が図られる。
【0035】
また、前記ねじりコイルばね18A、18Bを含むばね機構15A、15Bは、前記ゼンマイ機構と同様に、始動操作(ロープ引き操作)の前半過程(ピストンが上死点に達するまで)においては、前記ねじりコイルばね18A、18Bが巻き込まれて、該ねじりコイルばね18A、18Bを含むばね機構による緩衝効果が得られるとともに、前記駆動部6の回転駆動力(ロープ引き力)が前記ばね機構15A、15Bに蓄えられ、その後半過程においては、前記蓄えられた回転駆動力(引き力)と後半過程での前記駆動部7による実際の回転駆動力(引き力)とが合力となって、エンジンコンプレッションに打ち勝ち、前記内燃エンジン1を起動する力となる。
【0036】
この場合、第1、第2実施形態の前記ばね機構15A、15Bは、前記ピストン50が上死点に達したとき、さらに巻き込める巻き代が残されているように、その仕様が設定されている。したがって、前記スタータ装置10A、10Bにあっては、通常の始動操作(ロープ引き操作)を行うと、前記ピストン50が上死点に達するまでの過程において、前記駆動部6と前記従動部7との間に1回転(360°)分くらいの位相差を確実に生じさせることができる。言い換えれば、ロープ引きにより前記ねじりコイルばね18A、18Bを1回転分くらい巻き込むことができる。そこで、本実施形態のスタータ装置10A、10Bでは、前記ピストン50が上死点に達するまでの過程において、1回転半(540°)程度の位相差を生じさせることができるように、前記ねじりコイルばね18A、18Bを含むばね機構15A、15Aの仕様が設定されている。
【0037】
したがって、前記ピストン50が上死点に達したときには、前記ねじりコイルばね18A、18Bは、約1回転分位巻き込まれた状態となり、あと180°分位の巻き代が残っていることになる。このため、本実施形態のスタータ装置10A,10Bでは、充分な緩衝効果が得られるとともに、回転駆動力を充分に蓄えることができる。
【0038】
それに対し、図3に示す比較例のばね機構15Cでは、前記位相差を300°程度しか生じさせることができないので、前記ピストン50が上死点に達したときには、巻き代が残されていない、従来一般的なリコイルスタータ装置とまったく同一の状態となり、充分な緩衝効果が得られず、回転駆動力を充分に蓄えることができない。
【0039】
これに対し、第1、第2実施形態のスタータ装置10A、10Bでは、ロープの引き力変動等を可及的に抑えることができ、始動操作(ロープ引き操作)を円滑に行うことができるとともに、力の弱い作業者でもエンジンを容易に始動させることができる。
【0040】
また、第1実施形態のスタータ装置10Aでは、断面矩形のねじりコイルばね18Aが用いられるので、最大応力を受け持つ接触面幅が広くなり、断面円形のねじりコイルばね15Cを用いた場合に比して、前記内周胴部16d、17dに巻き付いた際の接触面圧が小さくなるため、その外周側にクラックが発生し難くなるとともに、前記胴部16d、17d(間の前記窪みK)に食い込み難くなり、変形、応力集中等を抑えることができる。
【0041】
また、第2実施形態のスタータ装置10Bでは、断面円形のねじりコイルばね18Bが用いられているが、その内周側に、前記駆動部6と前記従動部7との間に所定以上の位相差が生じた際に、前記ねじりコイルばね18Bが巻き付くカラー40が配在されているので、前記内周胴部16d、17d間に形成される前記窪みKに食い込まなくなり(前記カラー40に巻き付く)、変形、応力集中等が防止される。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱することなく、設計において種々の変更ができるものである。
例えば、前記実施形態のスタータ装置15A、15Bにおいては、緩衝・蓄力手段としてねじりコイルばね18A、18Bが用いられているが、緩衝・蓄力手段として、ゼンマイ等の他の弾性部材を用いてもよく、この場合も、ピストンが上死点に達したとき、さらに巻き込める巻き代が残されているように、ばね機構の仕様を設定しておけば、前記実施形態と同様に、始動操作性等を向上させることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明に係るスタータ装置は、ロープリール等を有する駆動部と、該駆動部の回転が伝達される従動部と、の間に、緩衝・蓄力手段としてのねじりコイルばねを含むばね機構が介装されるので、小形、軽量化、低コスト化等を図ることができる上、前記ばね機構は、ピストンが上死点に達したとき、さらに巻き込める巻き代が残されているように、その仕様が設定されているので、前記ピストンが上死点に達したとき、巻き代が残されていない状態となる場合に比して、充分な緩衝効果が得られるとともに、回転駆動力を充分に蓄えることができ、その結果、ロープの引き力変動等を可及的に抑えることができ、始動操作を円滑に行うことができるとともに、力の弱い作業者でもエンジンを容易に始動させることができる。
【0044】
また、ねじりコイルばねとして、それを形成する線材の断面が矩形のものを用いることにより、最大応力を受け持つ接触面幅が広くなり、断面円形のねじりコイルばねを用いた場合に比して、その内周側にある胴部(収納部、起動プーリ等)に巻き付いた際の接触面圧が小さくなるため、その外周側にクラックが発生し難くなるとともに、前記胴部に食い込み難くなり、変形、応力集中等を抑えることができる。
【0045】
また、前記ねじりコイルばねが円筒状とされて、その内周に、前記駆動部と前記従動部との間に所定以上の位相差が生じた際に、前記ねじりコイルばねが巻き付くカラーが配在されることにより、断面円形のねじりコイルばねが用いられても、その内周側にある胴部に食い込んだりすることがなくなり、変形、応力集中等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスタータ装置の第1実施形態を示す断面図。
【図2】本発明に係るスタータ装置の第2実施形態を示す断面図。
【図3】緩衝・蓄力手段としてねじりコイルばねが用いられたスタータ装置の一例(比較例)を示す断面図。
【符号の説明】
1 内燃エンジン
6 駆動部
7 従動部
10A、10B スタータ装置
15A、15B ばね機構
16A、16B 収納部
17A、17B 起動プーリ
18A、18B ねじりコイルばね
18a、18b 端部
20 ロープリール
21 リコイルロープ
23 リコイル用ゼンマイ(付勢手段)
40 カラー
50 ピストン
O 回転軸線

Claims (3)

  1. 内燃エンジン(1)の始動用駆動部(6)と、該駆動部(6)の回転が伝達される従動部(7)と、を備え、前記駆動部(6)と前記従動部(7)との間の動力伝達系の途中に、緩衝・蓄力手段としてのねじりコイルばね(18A)を含むばね機構(15A)が介装され、該ばね機構(15A)が、前記駆動部(6)の駆動の全過程において、該駆動部(6)の駆動によって前記従動部(7)と緩衝しつつ蓄力するとともに、該蓄力により前記従動部(7)を駆動するようにされてなるスタータ装置(10A)であって、
    前記ばね機構(15A)は、前記内燃エンジン(1)のピストン(50)が上死点に達するまでの過程において、前記駆動部(6)と前記従動部(7)との間に1回転から1回転半の位相差を生じさせることができるように、かつ、前記駆動部(6)で駆動されて前記ピストン(50)が上死点に達したとき、さらに巻き込める巻き代が残されているように、その仕様が設定されており、
    前記ねじりコイルばね(18)は断面が矩形の線材で巻数が12巻き程度の円筒状に形成されると共に、巻き込まれていない状態から前記ピストン(50)が上死点に達する状態までは前記駆動部(6)側に配在された収納部(16A)と前記従動部(7)側に配在された起動プーリ(17A)との間に所定の隙間を形成すべく介装され、一端部(18a)及び他端部(18b)が、それぞれ前記収納部(16A)及び前記起動プーリ(17)に係止されていることを特徴とするスタータ装置。
  2. 前記ねじりコイルばね(18は、前記駆動部(6)と前記従動部(7)との間に所定以上の位相差が生じた際に前記ねじりコイルばね(18)が巻き付くカラー(40)が配在されていることを特徴とする請求項1に記載のスタータ装置。
  3. 前記駆動部(6)は、リコイルロープ(21)が巻装されて該リコイルロープ(21)を引っ張ることにより回転せしめられるロープリール(20)と、前記リコイルロープ(21)を巻き取るべく前記ロープリール(20)を逆転させるリコイル用付勢手段(23)と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスタータ装置。
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