JP4164237B2 - アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池用セパレータの製造方法に関する。
背景技術
従来から、アルカリ電池の正極と負極とを分離して短絡を防止すると共に、電解液を保持して起電反応を円滑に行なうことができるように、正極と負極との間にセパレータが使用されている。
近年、電子機器の小型軽量化に伴って、アルカリ電池の占めるスペースも狭くなってきている。それにもかかわらず、アルカリ電池には従来と同程度以上の性能が必要であるため、アルカリ電池の高容量化が要求されている。この高容量化のためには、電極の活物質量を増やす必要があるため、必然的に前記セパレータの占める体積が少なくならざるを得ない。つまり、セパレータの厚さを薄くする必要があると共に、極板群を形成する際に、極板とセパレータとの間にできるだけ空間が形成されないように、極板とセパレータとを密着させる必要がある。しかしながら、このようにセパレータを薄くし、しかも極板とセパレータとを密着させるために強い張力を作用させると、極板のバリがセパレータを突き抜けてショートしたり、極板のエッジによってセパレータが引き裂かれやすくなり、歩留まりが悪くなるという問題があった。
また、セパレータを薄くするために、繊維径の小さい(例えば、繊維径5μm前後)極細繊維を使用することが提案されているが(例えば、特開平7−29561号公報又は特開平8−138645号公報など)、このような極細繊維を用いたセパレータは剛性がなく、極板群を形成する際に皺になりやすく、またセパレータの密度が高いため、電解液の注液性が悪く、製造上、取り扱いにくいものであった。
本発明者は、上記の従来技術の問題点を解決し、歩留まり良く、しかも作業性良く電池を製造することのできるアルカリ電池用セパレータについて鋭意研究したところ、繊維径8μm以上の比較的太い剛性のある親水化ポリオレフィン系繊維から主として構成され、その親水化ポリオレフィン系繊維の一部として、引張り強さが5g/d以上の親水化ポリオレフィン系高強度繊維を含んでいるセパレータを用いると、極板のバリがセパレータを突き抜けてショートしたり、極板のエッジによりセパレータが引き裂かれることがなく、しかも剛性があり、皺になることもなく、取り扱い性に優れているため、安定して歩留まり良く電池を製造することができることを見出した。また、繊維径8μm以上の比較的太い剛性のある親水化ポリオレフィン系繊維から主として構成されているセパレータは、電解液を保持できる充分な空間を保持することができるため、電解液の注液性にも優れていることを見出した。
従って、本発明の目的は、歩留まり良く、しかも作業性良く電池を製造することのできるアルカリ電池用セパレータ及びその製造方法を提供することにある。
発明の開示
本発明は、繊維径8μm以上の親水化ポリオレフィン系繊維から主に構成される繊維シートを含み、前記親水化ポリオレフィン系繊維の一部が、引張り強さが5g/d以上の高強度繊維であることを特徴とする、アルカリ電池用セパレータ(以下、単に「セパレータ」と称する)に関する。
また、本発明は、繊維径8μm以上で、且つ引張り強さが5g/d以上であるポリオレフィン系高強度繊維を含む、繊維径8μm以上のポリオレフィン系繊維から、繊維シートを形成し、得られた繊維シートを親水化処理することを含む、アルカリ電池用セパレータの製造方法に関する。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シートは、繊維径8μm以上の親水化処理が施されているポリオレフィン系繊維(すなわち、親水化ポリオレフィン系繊維)から主として構成されている。前記繊維シートは、親水化ポリオレフィン系繊維から主として構成されているため、耐アルカリ性に優れ、しかも、親水化処理されているため、電解液の保持性に優れている。なお、本明細書において「主として構成されている」とは、対象繊維(すなわち、繊維径8μm以上の親水化ポリオレフィン系繊維)が、繊維シート構成繊維の75mass%を越える(好ましくは80mass%以上、より好ましくは85mass%以上、更に好ましくは90mass%以上、更に好ましくは95mass%以上、特に好ましくは100mass%)である状態を意味する。
親水化処理を施す前の前記ポリオレフィン系繊維は、例えば、プロピレン、エチレン、ブテン、又はメチルペンテンなどのモノマーの重合体、これらモノマー2種類以上の共重合体、あるいは、これらモノマーとビニルアルコール、アクリル酸、又はメタクリル酸との共重合体(例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、又はエチレン−メタクリル酸共重合体など)などの樹脂成分を含んでいることができる。なお、ポリオレフィン系繊維は、前記樹脂成分1種類のみから構成された単一繊維であることもできるし、あるいは、前記樹脂成分2種類以上から構成された複合繊維であることもできる。後者の複合繊維としては、繊維断面形状が、例えば、芯鞘型、サイドバイサイド型、偏芯型、海島型、オレンジ型、又は多重バイメタル型である複合繊維を挙げることができる。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シートに主として含まれている前記親水化ポリオレフィン系繊維の各繊維の繊維径は、8μm以上である限り、特に限定されるものではないが、好ましくは9μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは10.5μm以上、更に好ましくは11μm以上、更に好ましくは12μm以上、更に好ましくは12.5μm以上、特に好ましくは13μm以上である。また、本明細書において、繊維断面形状が非円形である場合には、繊維断面積と同じ面積を有する円の直径をその繊維の繊維径とみなす。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シートは、このように比較的太い親水化ポリオレフィン系繊維、すなわち、剛性を有する親水化ポリオレフィン系繊維から主として構成されているので、剛性があり取り扱いやすいばかりでなく、圧縮弾性に優れているため、極板のバリがセパレータを突き抜けて極板同士がショートしたり、極板のエッジによりセパレータが引き裂かれにくくなり、歩留まり良く電池を製造することができる。また、本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シートは、繊維径8μm以上の比較的太い(すなわち、剛性のある)親水化ポリオレフィン系繊維から主として構成されており、電解液を保持可能な空間を充分に保持することができるため、電解液の注液性にも優れている(すなわち、注入した電解液をすみやかに全体に拡散することができる)。なお、繊維径の上限は特に限定するものではないが、30μm程度が適当である。繊維径が30μm以下であれば、電解液の保持性を損なわない。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シートの態様は、親水化ポリオレフィン系繊維から主として構成される繊維シートである限り、特に限定されるものではなく、例えば、織物、編物、若しくは不織布、又はこれらの複合体であることができる。これらの繊維シートの中でも、繊維を三次元的に配置することができ、電解液の保持性に優れている点で、不織布を含んでいることが好ましい。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シートは、親水化ポリオレフィン系繊維の一部として、引張り強さが5g/d以上(好ましくは7g/d以上、より好ましくは9g/d以上、更に好ましくは12g/d以上、なお、50g/d以下が適当である)の親水化ポリオレフィン系高強度繊維(以下、単に「高強度繊維」と称することがある)を含む。前記高強度繊維は、1種類のみ含むこともできるし、あるいは、2種類以上含むこともできる。このような高強度繊維を含むため、極板群を形成する際に、極板のバリがセパレータを突き抜けたり、極板のエッジによりセパレータが引き裂かれることなく、歩留まり良く極板群を形成することができる。また、高強度繊維を含む繊維シートは剛性があり、皺になることもないため、取り扱い性にも優れている。なお、本明細書において、繊維の「引張り強さ」とは、JIS L 1015(化学繊維ステープル試験法)によって測定される値を意味する。
この高強度繊維は、例えば、ポリプロピレン、又は超高分子量ポリエチレンなどの樹脂から構成されていることができる。なお、本明細書において[超高分子量ポリエチレン」における「超高分子量」とは、重量平均分子量が100万以上であることを意味し、超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量は、一般的には、100万〜500万である。これら高強度繊維は市販されているため容易に入手可能である。
前記高強度繊維は、このような樹脂成分単独(すなわち、1種類のみ)から構成されていることもできるし、あるいは、2種類以上の樹脂成分が混合又は複合された高強度繊維であることもできる。後者の複合された高強度繊維の断面形状としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、貼り合せ型、海島型、オレンジ型、又は多重バイメタル型であることができる。このように2種類以上の樹脂成分が複合された高強度繊維は、繊維表面を構成する樹脂成分によって融着することができ、5%モジュラス強度を向上させることができる点で好ましい。また、繊維表面全体を構成する樹脂成分によって融着することのできる高強度繊維、例えば、芯鞘型、偏芯型、又は海島型の高強度繊維であることが好ましく、特に芯鞘型であることがより好ましい。この好ましい芯鞘型の高強度繊維としては、芯成分及び鞘成分間の融点の差が大きく、高強度繊維の引張り強さを維持することができる点で、ポリプロピレン系樹脂又は超高分子量ポリエチレンを芯成分とし、前記芯成分樹脂よりも低融点のポリエチレン系樹脂を鞘成分とする芯鞘型高強度繊維が特に好ましい。このように、高強度繊維は、融着性高強度繊維であることもできるし、あるいは、非融着性高強度繊維であることもできる。
この高強度繊維の各繊維の繊維径は、8μm以上である限り特に限定されるものではないが、8〜30μm程度が適当であり、9〜22μm程度であることがより好ましく、10〜22μm程度であることが更に好ましく、10.5〜22μm程度であることが更に好ましく、11〜22μm程度であることが更に好ましく、12〜22μm程度であることが更に好ましく、12.5〜22μm程度であることが更に好ましく、13〜22μm程度であることが更に好ましく、13〜18μm程度であることが特に好ましい。高強度繊維の繊維径が8〜30μm程度であると、極板群製造時におけるショート防止性及び耐引き裂き性に優れ、また電解液の保持性や注液性が低下しない。
繊維シート(好ましくは不織布を含む繊維シート)に含まれる高強度繊維の繊維長は、1〜60mmであることが好ましく、3〜25mmであることがより好ましく、5〜20mmであることが更に好ましい。高強度繊維の繊維長が1〜60mmであると、前記繊維シートにおける最大孔径が50μm以下である(好ましくは、繊維シートにおける孔径30μm以下の孔が孔全体の95%以上を占める)繊維シートを製造しやすい。なお、繊維シートにおける最大孔径が50μm以下である(好ましくは、繊維シートにおける孔径30μm以下の孔が孔全体の95%以上を占める)と、セパレータが極板に強く圧迫されても、脱落した電池活物質粉がセパレータの内部空隙へ侵入しにくいため短絡を生じにくい。
また、この高強度繊維は、繊維シート中、10mass%以上含まれていることが好ましく、20mass%以上含まれていることがより好ましく、30mass%以上含まれていることが更に好ましい。高強度繊維が、繊維シート中、10mass%以上含まれていると、極板群製造時におけるショート防止性、耐引き裂き性、及び剛性の点で優れている。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シートは、このような高強度繊維以外にも、更に別の繊維として、繊維同士を融着することができ、引張り強さが5g/d未満であって、しかも、親水化処理が施されているポリオレフィン系融着繊維(すなわち、親水化ポリオレフィン系融着性低強度繊維;以下、単に「融着繊維」と称することがある)を含むことができる。前記融着繊維は、1種類のみ含むこともできるし、あるいは、2種類以上含むこともできる。前記繊維シートに融着繊維が含まれていると、繊維シートの引張強さや剛性を向上させることができるため、取り扱いやすく、極板群形成時に破断することなく、歩留り良く電池を製造することができる。この融着繊維は、高強度繊維の融点(高強度繊維が2種類以上の樹脂成分からなる場合には、最も高い融点を有する樹脂の融点)よりも低い融点(好ましくは10℃以上低い融点、より好ましくは15℃以上低い融点)をもつ融着成分が、少なくとも繊維表面を構成していることが好ましい。このような構成をとると、高強度繊維の引張り強さを低下させることがない。
この融着成分としては、高強度繊維がポリプロピレン又は超高分子量ポリエチレンからなる場合、例えば、ポリエチレン系樹脂[例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、又はポリエチレン系共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、又はエチレン−メタクリル酸共重合体など)など]を例示することができる。
融着繊維は、このような単一の樹脂成分から構成されていることもできるが、2種類以上の樹脂成分からなり、融着成分が繊維表面に露出していると、融着成分以外の樹脂成分によって繊維形状を維持することができる点で好ましい。この2種類以上の樹脂成分からなる場合、融着繊維の断面形状は、例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、多重バイメタル型、又はオレンジ型であることができる。このような融着繊維は、例えば、複合紡糸法若しくは混合紡糸法、又はこれらを併用することにより容易に紡糸することができるし、あるいは、市販されているので容易に入手することもできる。なお、2種類以上の樹脂成分からなる場合、融着成分以外の樹脂成分は、融着成分よりも融点が高い(好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上)樹脂成分である限り、特に限定されるものではない。
融着繊維の各繊維の繊維径は、8μm以上である限り特に限定されるものではないが、8〜30μm程度が適当であり、9〜22μm程度であることがより好ましく、10〜22μm程度であることが更に好ましく、10.5〜22μm程度であることが更に好ましく、11〜22μm程度であることが更に好ましく、12〜22μm程度であることが更に好ましく、12〜18μm程度であることが更に好ましく、12.5〜18μm程度であることが更に好ましく、13〜18μm程度であることが特に好ましい。融着繊維の繊維径が8〜30μm程度であると、電解液の保持性が低下しない。
また、セパレータを構成する繊維シートが、高強度繊維(融着性高強度繊維及び/又は非融着性高強度繊維を含む)と融着繊維とを含む場合には、高強度繊維の繊維径が融着繊維の繊維径と同程度以上(好ましくは1〜2倍、より好ましくは1〜1.6倍)であると、適度な空隙を形成することができるため、密閉型のアルカリ電池のセパレータとして好ましい。
繊維シート(好ましくは不織布を含む繊維シート)に含まれる融着繊維の繊維長は、前記繊維シートにおける最大孔径が50μm以下である(好ましくは、繊維シートにおける孔径30μm以下の孔が孔全体の95%以上を占める)繊維シートを製造しやすい点で、1〜60mmであることが好ましく、3〜25mmであることがより好ましく、5〜20mmであることが更に好ましい。
また、融着繊維は、繊維シート中、20mass%以上含まれていることが好ましく、30mass%以上含まれていることがより好ましい。融着繊維が、繊維シート中、20mass%以上含まれていると、セパレータの引張強さや剛性が向上する。なお、融着性を有する繊維(融着繊維及び/又は融着性高強度繊維を含む)は、繊維シート中、20mass%以上含まれていることが好ましく、30mass%以上含まれていることがより好ましい。
繊維シートを構成する繊維が非融着性高強度繊維と融着繊維とを含む場合、非融着性高強度繊維と融着繊維との質量比率は、10〜50:90〜50であることが好ましく、20〜40:80〜60であることがより好ましく、30〜40:70〜60であることが更に好ましい。
また、繊維シートが融着性高強度繊維を含む場合には、融着性高強度繊維が、繊維シートの10mass%以上含まれていることが好ましい。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シートは、これまで述べたような高強度繊維又は融着繊維以外にも、更に別の繊維を含むことができ、例えば、引張り強さが5g/d未満であって、しかも、親水化処理が施されているポリオレフィン系非融着性繊維(すなわち、親水化ポリオレフィン系非融着性低強度繊維;以下、単に「非融着性低強度繊維」と称することがある)を含んでいることもできる。前記非融着性低強度繊維は、1種類のみ含むこともできるし、あるいは、2種類以上含むこともできる。このような非融着性低強度繊維の各繊維の繊維径も、8μm以上である限り特に限定されるものではないが、繊維径が8〜30μm程度が適当であり、9〜22μm程度であることがより好ましく、10〜22μm程度であることが更に好ましく、10.5〜22μm程度であることが更に好ましく、11〜22μm程度であることが更に好ましく、12〜22μm程度であることが更に好ましく、12〜18μm程度であることが更に好ましく、12.5〜18μm程度であることが更に好ましく、13〜18μm程度であることが特に好ましい。繊維径が8〜30μm程度であると、電解液の保持性が低下しない。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シートにおいて、前記繊維シートを構成する親水化ポリオレフィン系繊維(すなわち、高強度繊維、融着繊維、及び/又は非融着性低強度繊維)の60mass%以上(好ましくは65mass%以上、より好ましくは70mass%以上)が、繊維表面が実質的にポリエチレン系樹脂からなるポリエチレン系繊維からなると、後述の親水化処理の程度が高く、電解液の保持性に優れているため、長寿命の電池を製造することができる点で好ましい。このポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、又はポリエチレン系共重合体(例えば、エチレン−アクリル酸共重合体又はエチレン−メタクリル酸共重合体など)などを挙げることができる。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シート(好ましくは不織布を含む繊維シート)の最大孔径が50μm以下であることが好ましく、45μm以下であることがより好ましく、40μm以下であることが更に好ましい。このように、最大孔径が50μm以下であると、セパレータが極板に強く圧迫されても、脱落した電池活物質粉がセパレータの内部空隙へ侵入しにくいため、短絡を生じにくい。なお、本明細書における「最大孔径」とは、ポロメータ(コールター社製)を用いてバブルポイント法により測定される値を意味する。
繊維シートの最大孔径を50μm以下とするには、例えば、高強度繊維を含めた繊維シートを構成する繊維の繊度、高強度繊維を含めた繊維シートを構成する繊維の繊維長、融着性高強度繊維及び/又は融着繊維が融着している場合にはその融着の程度、繊維シートを構成する繊維の断面形状、繊維シートの面密度、あるいは、繊維シートの厚さなど、様々な要因を調整することによって達成することができる。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シート(好ましくは不織布を含む繊維シート)の少なくとも一方向における5%モジュラス強度が60N/5cm幅以上であることが好ましく、70N/5cm幅以上であることがより好ましく、80N/5cm幅以上であることが更に好ましい。5%モジュラス強度が60N/5cm幅以上であると、セパレータを極板に強く圧迫しても、セパレータが変形せず、セパレータの孔径の変化も小さく、脱落した電池活物質粉がセパレータの内部空隙に侵入しにくいため、短絡を生じにくい。なお、本明細書における「5%モジュラス強度」とは、幅5cmに裁断した繊維シート(例えば、不織布)を引張り強さ試験機(オリエンテック製;テンシロンUTM−III−100)のチャックに固定(チャック間距離:10cm)し、引張り速度300mm/分でセパレータを5mm引き伸ばすために必要とする力を意味する。
繊維シートの5%モジュラス強度を60N/5cm幅以上とするには、例えば、高強度繊維を含めた繊維シートを構成する繊維の繊度、高強度繊維を含めた繊維シートを構成する繊維の繊維長、高強度繊維を含めた繊維シートを構成する繊維の配向、融着性高強度繊維及び/又は融着繊維が融着している場合にはその融着の程度、あるいは、繊維シートを構成する繊維同士の絡合の程度など、様々な要因を調整することによって達成することができる。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シート(好ましくは不織布を含む繊維シート)における孔径30μm以下の孔が、前記繊維シートにおける孔全体の95%以上を占めることが好ましく、100%である(すなわち、孔径30μm以下の孔のみからなる)ことが特に好ましい。繊維シートにおける孔径30μm以下の孔が孔全体の95%以上を占めると、セパレータを極板に強く圧迫しても、脱落した電池活物質粉がセパレータの内部空隙へより侵入しにくく、短絡が発生しにくい。なお、本明細書における[孔径30μm以下の孔の孔全体に占める割合」は、バブルポイント法により気体(窒素ガス)圧力を測定し、ウォシュバーン式(Washburn equation)により孔径を計算し、その気体の流量から孔径分布を導き出すことにより、前記割合を算出することができる。
繊維シートにおける孔径30μm以下の孔が、孔全体の95%以上を占めるようにするためには、例えば、高強度繊維を含めた繊維シートを構成する繊維の繊度、高強度繊維を含めた繊維シートを構成する繊維の繊維長、融着性高強度繊維及び/又は融着繊維が融着している場合にはその融着の程度、繊維シートを構成する繊維の断面形状、繊維シートの面密度、あるいは、繊維シートの厚さなど、様々な要因を調整することによって達成することができる。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シート(好ましくは不織布を含む繊維シート)の通気性が4cm/秒以上であることが好ましく、6cm/秒以上であることがより好ましく、8cm/秒以上であることが更に好ましい。また、通気性の上限も特に限定されるものではないが、前記繊維シートの通気性が50cm/秒以下であることが好ましい。このように、通気性が4cm/秒以上であると、電極で発生した気体を他極へ容易に移動させることができるため、密閉型アルカリ電池のセパレータとして好適に使用することができる。なお、本明細書における「通気性」とは、JIS L 1096(1999)[8.27.j A法(フラジール法)]に規定される方法により測定して得られる値を意味する。
繊維シートの通気性を4cm/秒以上とするには、例えば、高強度繊維を含めた繊維シートを構成する繊維の繊度、高強度繊維を含めた繊維シートを構成する繊維の繊維長、融着性高強度繊維及び/又は融着繊維が融着している場合にはその融着の程度、繊維シートを構成する繊維同士の絡合の程度、繊維シートの面密度、あるいは、繊維シートの厚さなど、様々な要因を調整することによって達成することができる。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シート(好ましくは不織布を含む繊維シート)の電気抵抗が5mΩ・100cm/枚以下であることが好ましく、3mΩ・100cm/枚以下であることがより好ましく、2mΩ・100cm/枚以下であることが更に好ましい。また、電気抵抗の下限も特に限定されるものではないが、前記繊維シートの電気抵抗が10−3mΩ・100cm/枚以上であることが好ましい。このように、電気抵抗が5mΩ・100cm/枚以下であると、アルカリ電池内の内部抵抗が下がり、電池容量及び充放電特性の点で優れている。
繊維シートの電気抵抗を5mΩ・100cm/枚以下とするには、例えば、電解液を保持できる領域が広くなるように空隙率を高くしたり、繊維シートを構成する繊維表面に親水性基(例えば、スルホン酸基、水酸基、カルボキシル基など)を存在させたり、あるいは、セパレータの厚さを薄くするなどして達成することができる。
なお、本明細書における「電気抵抗」とは、JIS C2313(鉛畜電池用隔離板)の7.2.4「電気抵抗」欄における(3)「試験装置」の項に記載の試験装置を用い、後述の実施例で具体的に示す手順に従って求めた値を意味する。
本発明のアルカリ電池用セパレータを構成する繊維シートは、これに限定されるものではないが、例えば、(1)ポリオレフィン系繊維を親水化処理して得られる親水化ポリオレフィン系繊維を用いて、繊維シートを形成することにより調製することもできるし、(2)親水化処理を施していないポリオレフィン系繊維を用いて繊維シートを形成する際の任意の中間段階(例えば、繊維ウエブの段階)で親水化処理を実施し、続いて、残りの繊維シート形成工程を行なうことにより調製することもできるし、あるいは、(3)親水化処理を施していないポリオレフィン系繊維を用いて繊維シートを形成した後、得られた繊維シートを親水化処理することにより調製することもできる。繊維シートを製造する段階で繊維の損傷が生じない点で、繊維シート形成後に親水化処理を実施する方法によりセパレータを形成することが好ましい。以下、繊維シートが不織布からなる態様であって、繊維シートを製造した後に親水化処理を実施する場合について説明するが、予めポリオレフィン系繊維に親水化処理を実施する場合、あるいは、繊維シートを形成する際の任意の中間段階で親水化処理を実施する場合も全く同様にして親水化することができる。
繊維シートとして好適である不織布は、例えば、繊維径8μm以上で、且つ引張り強さが5g/d以上であるポリオレフィン系高強度繊維を含む、繊維径8μm以上のポリオレフィン系繊維を用いて、乾式法(例えば、カード法、エアレイ法、スパンボンド法、又はメルトブロー法など)又は湿式法により繊維ウエブを形成した後、例えば、水流などの流体流により絡合する方法、繊維ウエブ中に融着繊維及び/又は融着性高強度繊維を混合しておき、この融着繊維及び/又は融着性高強度繊維を融着する方法、バインダーにより接着する方法、あるいは、これらを併用して製造することができる。
繊維ウエブの形成方法としては、最大孔径が50μm以下である(好ましくは、孔径30μm以下の孔が全体の95%以上を占める)不織布を製造する場合には、湿式法により形成することが好ましい。この湿式法としては、従来公知の方法、例えば、水平長網方式、水平短網方式、傾斜ワイヤー型長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、長網・円網コンビネーション方式、又は短網・円網コンビネーション方式を挙げることができる。なお、このように湿式法により繊維ウエブを形成すると、不織布の5%モジュラス強度が低くなる傾向があるため、セパレータの少なくとも一方向における5%モジュラス強度が60N/5cm幅以上となりやすいように、繊維を抄き上げるネットの移動速度とスラリー流量とを調節することにより、繊維の配向が一方向に近い状態となるようにすることが好ましい。
繊維を絡合させる方法としては、例えば、流体流(特に水流)を繊維ウエブに対して噴出する方法を用いることができる。この流体流を噴出する方法によれば、絡合の程度が高く、セパレータの5%モジュラス強度を高くすることができ、また、繊維ウエブ全体を均一に絡合させることができるため好ましい。
より具体的には、例えば、直径が0.05〜0.3mmで、ピッチが0.2〜3mmになるように一列又は二列以上にノズルを配置したノズルプレートから、圧力1MPa〜30MPaの流体流を繊維ウエブに対して噴出することができる。このような流体流は1回以上、繊維ウエブの片面又は両面に対して噴出することができる。なお、流体流で処理する際に、繊維ウエブを支持する支持体(例えば、ネット)の非開孔部が太いと、得られるセパレータも大きな孔を有するものとなり、短絡が生じやすくなるので、非開孔部の太さが0.25mm以下の支持体を使用することが好ましい。
先に挙げた公知の不織布の製造方法の中でも、不織布の引張強さや剛性が向上するように、繊維ウエブ中に融着繊維及び/又は融着性高強度繊維を混合しておき、この融着繊維及び/又は融着性高強度繊維を融着する方法が好ましい。この方法では、不織布の引張強さや剛性が向上する。なお、繊維ウエブは単層からなるものであることもできるし、あるいは、同種又は異種の繊維ウエブの複数層からなるものであることもできる。例えば、乾式法で形成した繊維ウエブと湿式法で形成した繊維ウエブとを含む積層繊維ウエブから、引張強さと均一性とを兼ね備えた不織布を製造することができる。
この融着処理は、無圧下で行なうこともできるし、加圧下で行なうこともできるし、あるいは、無圧下で融着成分を溶融させた後に加圧することもできる。この融着処理を無圧下で実施する場合には、融着繊維及び/又は融着性高強度繊維の融着成分の軟化温度から融点よりも20℃以上高い温度までの範囲内で実施することが好ましく、融着処理を加圧下で実施する場合には、融着繊維及び/又は融着性高強度繊維の融着成分の軟化温度から融点までの範囲内で実施することが好ましい。この融着処理は、例えば、熱カレンダー、熱風貫通式熱処理器、又はシリンダ接触型熱処理器などにより実施することができる。なお、加圧する場合の線圧力は、加熱と同時に加圧する場合であっても、加熱後に加圧する場合であっても、5〜30N/cm程度であることが好ましい。本明細書における「融点」とは、示差熱量計を用い、昇温速度10℃/分で室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度を意味する。また、本明細書における「軟化温度」とは、示差熱量計を用い、昇温速度10℃/分で室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の開始点を与える温度を意味する。
前記絡合処理又は融着処理は、単独で実施することもできるが、これらの処理を併用すると、セパレータの5%モジュラス強度をより大きくすることができる。また、これらの絡合処理及び/又は融着処理は、何度でも実施することができ、その順序も問わない。融着処理で形成された融着を、絡合処理により破壊することがない点で、絡合処理後に融着処理を実施することが好ましい。この場合、高度に絡合した状態で融着するため、5%モジュラス強度が更に向上する。
親水化処理としては、例えば、スルホン化処理、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、界面活性剤処理、放電処理、又は親水性樹脂付与処理などを挙げることができる。
スルホン化処理としては、特に限定するものではないが、例えば、発煙硫酸、硫酸、三酸化イオウ、クロロ硫酸、又は塩化スルフリルによる処理などを挙げることができる。これらの中でも、発煙硫酸によるスルホン化処理は、反応性が高く、比較的容易にスルホン化できるため好ましい。このスルホン化処理によれば、ポリオレフィン系繊維にスルホン酸基を導入することができる。
フッ素ガス処理についても、特に限定するものではないが、例えば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、又はヘリウムガスなど)で希釈したフッ素ガスと、酸素ガス、二酸化炭素ガス、及び二酸化硫黄ガスなどの中から選んだ少なくとも1種類の反応性ガスとの混合ガスによる処理を挙げることができる。このようなフッ素ガス処理によれば、ポリオレフィン系繊維にフッ素原子、酸素原子、若しくは硫黄原子、又はこれらの原子を含む官能基(例えば、スルホン酸基)を導入することができる。
ビニルモノマーのグラフト重合としては、ビニルモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、又はスチレンなどを使用することができる。これらの中でも、アクリル酸を用いることが、電解液との親和性に優れている点で好ましい。
これらビニルモノマーの重合方法としては、例えば、ビニルモノマーと重合開始剤とを含む溶液中に不織布を浸漬した後に加熱する方法、不織布にビニルモノマーを付着させた後に放射線を照射する方法、不織布に放射線を照射した後にビニルモノマーと接触させる方法、あるいは、増感剤を含むビニルモノマー溶液を不織布に付着させた後に紫外線を照射する方法などがある。なお、ビニルモノマー溶液と不織布とを接触させる前に、例えば、紫外線照射、コロナ放電、又はプラズマ放電などにより繊維表面を改質すると、ビニルモノマー溶液との親和性が高くなり、効率的にグラフト重合を実施することができる。また、放射線や紫外線を照射することによりビニルモノマーを重合させる場合には、最初に酸素の存在する条件下で放射線や紫外線を照射した後に、不織布の周囲を非通気性フィルムで囲繞した状態、あるいは、不織布の上面及び下面の全領域を非通気性フィルムで覆った状態(酸素の存在を排除しない状態)で放射線や紫外線を照射することが好ましい。このようにすると、耐酸化性を向上させることができる。
界面活性剤処理としては、例えば、アニオン系界面活性剤(例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸塩、又はスルホコハク酸エステル塩など)又はノニオン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルなど)の溶液中に不織布を浸漬したり、この溶液を不織布に塗布又は散布して付着させることができる。
放電処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、沿面放電処理、又は電子線処理などがある。これらの中でも、空気中の大気圧下で、それぞれが誘電体を担持する一対の電極間に、これら両方の誘電体と接触するように不織布を配置し、これら両電極間に交流電圧を印加して、不織布内部で放電を発生させるプラズマ処理を行なうと、不織布の外側だけではなく、不織布の内部を構成する繊維表面も改質することができるため、セパレータ内部における電解液の保持性にも優れ、過充電時における酸素吸収性に優れる内圧特性にも優れた電池を製造することができる。
親水性樹脂付与処理としては、親水性樹脂として、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、架橋可能なポリビニルアルコール、又はポリアクリル酸などを付着させることができる。これらの親水性樹脂を適当な溶媒に溶解又は分散させた後、この溶媒中に不織布を浸漬したり、この溶媒を不織布に塗布又は散布し、乾燥することにより付着させることができる。なお、親水性樹脂の付着量は、付着後のセパレータ全体の0.1〜5mass%であることが好ましい。この場合には、通気性を損なわない。
この架橋可能なポリビニルアルコールとしては、例えば、水酸基の一部を感光性基で置換したポリビニルアルコールを挙げることができ、より具体的には、感光性基がスチリルピリジニウム系のもの、スチリルキノリニウム系のもの、又はスチリルベンゾチアゾリウム系のものからなるポリビニルアルコールを挙げることができる。この架橋可能なポリビニルアルコールも、他の親水性樹脂と同様にして不織布に付着させた後、光を照射することによって架橋させることができる。このような水酸基の一部を感光性基で置換したポリビニルアルコールは、耐アルカリ性に優れ、しかもイオンとキレート形成可能な水酸基を多く含んでおり、放電時及び/又は充電時に、極板上に樹枝状の金属が析出する前のイオンとキレートを形成して、電極間の短絡を防止することができる。
本発明のアルカリ電池用セパレータの面密度は30〜100g/mであることが好ましく、40〜80g/mであることがより好ましい。面密度が30g/m未満であると、引張強さが不足する場合があり、100g/mを越えると、厚くなり過ぎて電池の高容量化が困難になるためである。
本発明のアルカリ電池用セパレータは、例えば、一次電池(例えば、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、又は空気電池など)又は二次電池(例えば、ニッケル−カドミウム電池、銀−亜鉛電池、銀−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、又はニッケル−水素電池など)のセパレータとして好適に使用することができ、特にニッケル−カドミウム電池又はニッケル−水素電池のセパレータとして好適に使用することができる。
実施例
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
ポリプロピレン高強度繊維[引張り強さ=9g/d、繊度=2デニール(繊維径=17.7μm)、繊維長=10mm、融点=160℃]30mass%と、芯成分がポリプロピレン(融点=157℃)からなり、鞘成分が低密度ポリエチレン(融点=115℃)からなる芯鞘型融着繊維[繊度=1.1デニール(繊維径=13.1μm),繊維長=10mm]70mass%とを混合分散させたスラリーを、湿式抄造法により繊維ウエブを形成した。
次いで、この繊維ウエブを無圧下、温度120℃で10秒間加熱した後、線圧力が9.8N/cmのカレンダーロール間を通すことにより、芯鞘型融着繊維の低密度ポリエチレン成分のみを融着して不織布を製造した。
その後、フッ素ガス(3vol%)、酸素ガス(5vol%)、二酸化硫黄ガス(5vol%)、及び窒素ガス(87vol%)からなる混合ガスで満たされた容器内に、前記の不織布を導入し、不織布を前記混合ガスと120秒間接触させて親水化処理を実施し、本発明のアルカリ電池用セパレータ(面密度=60g/m、厚さ=0.15mm)を製造した。
実施例2
実施例1と同様にして製造した不織布を、温度39℃の発煙硫酸溶液(15%SO溶液)中に10分間浸漬して親水化処理を実施し、本発明のアルカリ電池用セパレータ(面密度=60g/m,厚さ=0.15mm)を製造した。
実施例3
実施例1と同様にして製造した不織布を、下記に示すグラフト重合用配合液中に浸漬した後、不織布の両側に1個ずつ配したメタルハライド水銀灯から180mW/cmの照度で、365nm中心の紫外線を空気中で15秒間照射した。次いで、この不織布を、不織布の内部空間及び外側表面近傍の空間から空気を排除しないように、2枚の非通気性フィルムでサンドイッチ状に挟み、この不織布の両側に1個ずつ配したメタルハライド水銀灯から180mW/cmの照度で、365nm中心の紫外線を15秒間照射した。この非通気性フィルムでサンドイッチ状に挟んだ状態で紫外線を照射した場合、不織布の温度は110℃であり、前記グラフト重合用配合液が2枚の非通気性フィルムの四方から蒸発する状態にあった。次いで、この不織布を充分に水洗し、乾燥することにより、アクリル酸モノマーが不織布に対して7.7%重合した本発明のアルカリ電池用セパレータ(面密度=65g/m、厚さ=0.15mm)を製造した。
グラフト重合用配合液の組成
(1)アクリル酸モノマー 25 mass%
(2)ベンゾフェノン 0.3mass%
(3)硫酸鉄 0.4mass%
(4)ノニオン系界面活性剤 3 mass%
(5)水 61.3mass%
(6)ポリエチレングリコール(重合度:400) 10 mass%
実施例4
実施例1と同じポリプロピレン高強度繊維40mass%と、実施例1と同じ芯鞘型融着繊維60mass%とを使用したこと以外は、実施例1と全く同様に、繊維ウエブの形成、不織布の形成、及びフッ素ガス処理を実施して、本発明のアルカリ電池用セパレータ(面密度=60g/m,厚さ=0.15mm)を製造した。
実施例5
繊維長が45mmであること以外は実施例1と同じポリプロピレン高強度繊維30mass%と、繊維長が38mmであること以外は実施例1と同じ芯鞘型融着繊維70mass%とを使用し、カード機により開繊して繊維ウエブを形成した。次いで、実施例1と全く同様に、不織布の形成及びフッ素ガス処理を実施して、本発明のアルカリ電池用セパレータ(面密度=60g/m、厚さ=0.15mm)を製造した。
実施例6
実施例1と同じポリプロピレン高強度繊維5mass%と、実施例1と同じ芯鞘型融着繊維95mass%とを使用したこと以外は、実施例1と全く同様に、繊維ウエブの形成、不織布の形成、及びフッ素ガス処理を実施して、本発明のアルカリ電池用セパレータ(面密度=60g/m、厚さ=0.15mm)を製造した。
実施例7
実施例1と同じポリプロピレン高強度繊維60mass%と、実施例1と同じ芯鞘型融着繊維40mass%とを使用したこと以外は、実施例1と全く同様に、繊維ウエブの形成、不織布の形成、及びフッ素ガス処理を実施して、本発明のアルカリ電池用セパレータ(面密度=60g/m、厚さ=0.15mm)を製造した。
比較例1
実施例1と同じポリプロピレン高強度繊維35mass%と、実施例1と同じ芯鞘型融着繊維25mass%と、オレンジ型断面を有し、断面が略三角形のポリプロピレン極細繊維(繊維径=4.4μm,融点=160℃)8本と、断面が略三角形の低密度ポリエチレン極細繊維(繊維径=4.3μm,融点=115℃)8本とに分割可能な分割性繊維(繊度=2デニール、繊維長=10mm)40mass%とを使用して、湿式抄造法により繊維ウエブを形成した。
次いで、この繊維ウエブを目の開きが0.175mmの平織ネットに載置し、ノズルプレート(ノズル径=0.15mm、ピッチ=0.8mm,内圧=12MPa)から、繊維ウエブの両面に対して各2回水流を噴出して、繊維同士を絡合すると同時に分割性繊維を分割して極細繊維を発生させた。次いで、乾燥して絡合不織布を形成した。次いで、実施例1と同様に融着処理をして、芯鞘型融着繊維の低密度ポリエチレン成分及び低密度ポリエチレン極細繊維を融着して、融着不織布を製造した。次いで、実施例1と同様にしてフッ素ガス処理を実施して、比較用セパレータ(面密度=60g/m、厚さ=0.15mm)を製造した。
比較例2
実施例1と同じ芯鞘型融着繊維60mass%と、比較例1と同じ分割性繊維40mass%とを使用したこと以外は、比較例1と全く同様に、繊維ウエブの形成、融着不織布の形成、及びフッ素ガス処理を実施して、比較用セパレータ(面密度=60g/m,厚さ=0.15mm)を製造した。
物性評価
(1)たて方向における引張り強さ
幅50mmに裁断した各々のセパレータを、引張り強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM−III−100)のチャック間に固定し(チャック間の距離=100mm)、各々のセパレータのたて方向における引張り強さを測定した(引張り速度=300mm/分)。この結果は表1に示す通りであった。このように本発明のアルカリ電池用セパレータは引張り強さに優れているため、電池を製造する際の張力によっても破断しないものであった。
(2)貫通力
各々のセパレータを重ねて合計約2mmの厚さとし、その一番上のセパレータに対して、ハンディー圧縮試験機(カトーテック製;KES−G5)に取り付けたステンレス製ジグ(厚さ=0.5mm;先端の刃先角度=60°)を0.01cm/秒の速度で、垂直に突き刺し、一番上のセパレータを切断するのに要する力を測定した。この結果は表1に示す通りであった。このように本発明のアルカリ電池用セパレータは貫通しにくいものであるため、ショートすることなく、歩留まり良く電池を製造できるものであった。
(3)厚さ保持率
マイクロメーター(心棒の直径=6.35mm)により、各々のセパレータの500g荷重時における厚さ(通常の厚さ)を測定した。次いで、各々のセパレータの1100g荷重時における厚さをマイクロメーターにより測定した。そして、1100g荷重時における厚さを、500g荷重における厚さの百分率で表した。この結果は表1に示す通りであった。このように本発明のアルカリ電池用セパレータは圧力が加わっても厚さが変化しにくく、極板群を形成する際の圧力によっても潰れにくいため短絡しにくいこと、及び二次電池を充放電中における極板の膨張及び収縮の圧力(特に、充電時の膨張)によってもセパレータの形状を維持できるため、ドライアウト現象が生じにくく、しかも短絡しにくいため使用寿命の長い電池を製造できることが予測された。
(4)たて方向における剛軟度
各々のセパレータのたて方向における剛軟度を、JIS L 1096(曲げ反発性;A法)により測定した。この結果は表1に示す通りであった。このように、本発明のアルカリ電池用セパレータは剛性があるため、極板群形成時の取り扱い性の優れるものであった。
(5)たて方向における引き裂き強度
各々のセパレータのたて方向における引き裂き強度を、JIS L 1096(一般織物試験方法、トラペゾイド法)により測定した。この結果は表1に示す通りであった。このように、本発明のアルカリ電池用セパレータは引き裂き強度が高いため、極板のエッジによって引き裂かれにくく、歩留まり良く電池を製造できるものであった。
(6)電池製造時の不良率
純度99.5%以上のランタン(La)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びマンガン(Mn)、並びに希土類元素含有量98%以上のメッシュメタル(Mm)を、水素吸蔵合金として合金組成がLa0.2Mm0.8Ni3.8CoMn0.4になるように、それぞれ秤量し、アーク溶解炉を用いて均質な合金を作製した。この合金を温度1000℃で6時間、真空中で熱処理し、その後、粉砕し、400メッシュ以下の粉末にした。この粉末100gに対して、2重量%のポリビニルアルコール水溶液25gを加え、泥状のペーストとし、次に、このペーストを多孔度95〜96%の発泡状ニッケル多孔体(寸法=260×38mm,厚さ=0.9mm)内へ均一に充填し、乾燥した。その後、500kg/cmの圧力で加圧し、ニッケルリードをスポット溶接し、負極を作成した。一方、酸化ニッケル正極として、公知の方法で得られた発泡式ニッケル正極(寸法=214×38mm、厚さ=0.68〜0.7mm,理論電気量=3060〜3100mAh)を用意した。
次いで、各々のセパレータを、それぞれ43×560mmに切断し、前記正極と負極との間に介在させた状態で全体を巻回し、単2サイズの密閉型ニッケル水素二次電池を作成した。その後、正極と負極との間に240V印加し、電気抵抗が1kΩ以下のものを不良とする判定基準に従って、密閉型ニッケル水素二次電池の不良率を算出した。なお、この不良率は、各々のセパレータを使用して1万個の密閉型ニッケル水素二次電池を製造した際の値である。結果を表1に示す。この結果から、本発明のアルカリ電池用セパレータを使用すると、歩留り良くアルカリ電池を効率的に製造できることがわかった。
Figure 0004164237
[表中、Aは、引張り強さ(単位=N/5cm幅)を意味し、Bは、貫通力(単位=kgf)を意味し、Cは、厚さ保持率(単位=%)を意味し、Dは、剛軟度(単位=mg)を意味し、Eは、引き裂き強度(単位=kg/5cm幅)を意味し、Fは、電池製造時の不良率(単位=%)を意味する]
実施例8
ポリプロピレン高強度繊維[引張り強さ=12g/d,繊度=1.2デニール(繊維径=13.7μm),繊維長=5mm、融点=166℃,断面形状=円形]40mass%と、芯成分がポリプロピレン(融点=160℃)からなり、鞘成分が低密度ポリエチレン(融点=110℃)からなる芯鞘型融着繊維[繊度=0.7デニール(繊維径=10.3μm)、繊維長=5mm;鞘成分が繊維表面を占める割合=100%,断面形状=円形]60mass%とを混合分散させたスラリーを、傾斜ワイヤー型長網方式により抄造して繊維ウエブを形成し、温度135℃で乾燥すると同時に芯鞘型融着繊維の鞘成分を融着させて、融着不織布(面密度=62g/m,厚さ=0.25mm)を製造した。なお、繊維を抄造するネットの移動速度とスラリー流量とを調節することにより、繊維を一方向に配向させたため、融着不織布の長さ方向における引張り強さと幅方向における引張り強さとの比は2:1であった。なお、本明細書において、セパレータ又は繊維シート(例えば、不織布)の「引張り強さ」とは、幅5cmに裁断した試料(融着不織布)を、引張り強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM−III−100)のチャック間に固定(チャック間の距離=100mm)し、引張り速度300mm/分で試料が破断するのに要する力を意味する。
次いで、この融着不織布を温度95℃に設定されたロール間を通すことにより、更に芯鞘型融着繊維の鞘成分により圧着して、厚さ0.2mmの圧着不織布を製造した。次いで、この圧着不織布を温度60℃で濃度15%の発煙硫酸溶液中に2分間浸漬して、圧着不織布を構成する繊維にスルホン酸基を導入し、スルホン化不織布を製造した。次いで、このスルホン化不織布を常温でカレンダー処理して厚さを調整し、本発明のアルカリ電池用セパレータ(面密度=62g/m、厚さ=0.13mm)を製造した。
実施例9
ポリプロピレン高強度繊維[引張り強さ=12g/d、繊度=2デニール(繊維径=17.6μm),繊維長=10mm、融点=166℃、断面形状=円形]20mass%と、芯成分がポリプロピレン(融点=160℃)からなり、鞘成分が低密度ポリエチレン(融点=110℃)からなる芯鞘型融着繊維[繊度=1.1デニール(繊維径=13.1μm),繊維長=10mm;鞘成分が繊維表面を占める割合=100%,断面形状=円形]80mass%とを混合分散させたスラリーを、傾斜ワイヤー型長網方式により抄造して繊維ウエブを形成し、温度135℃で乾燥すると同時に芯鞘型融着繊維の鞘成分を融着させて、融着不織布(面密度=54g/m、厚さ=0.25mm)を製造した。なお、繊維を抄造するネットの移動速度とスラリー流量とを調節することにより、繊維を一方向に配向させたため、融着不織布の長さ方向における引張り強さと幅方向における引張り強さとの比は2:1であった。
次いで、この融着不織布を温度95℃に設定されたロール間を通すことにより、更に芯鞘型融着繊維の鞘成分により圧着して、厚さ0.2mmの圧着不織布とした。次いで、この圧着不織布を下記に示すグラフト重合用配合液中に浸漬した後(圧着不織布の面密度100に対して、80の配合液を含有)、圧着不織布の両側に1個ずつ配置したメタルハライド水銀灯から180mW/cmの照度で、365nm中心の紫外線を空気中で15秒間照射した。次いで、この紫外線を照射した圧着不織布を、不織布の内部空間及び外側表面近傍の空間から空気を排除しないように、2枚の非通気性フィルムでサンドイッチ状に挟み、この紫外線を照射した圧着不織布の両側に1個ずつ配置したメタルハライド水銀灯から180mW/cmの照度で、365nm中心の紫外線を15秒間照射して、グラフト重合不織布(グラフト率=10%)を製造した。この非通気性フィルムでサンドイッチ状に狭んだ状態で紫外線を照射した場合、不織布の温度は110℃であり、前記グラフト重合用配合液が2枚の非通気性フィルムの四方から蒸発する状態にあった。次いで、このグラフト重合不織布を常温でカレンダー処理して厚さを調整し、本発明のアルカリ電池用セパレータ(面密度=60g/m,厚さ=0.13mm)を製造した。
グラフト重合用配合液の組成
(1)アクリル酸モノマー 25 mass%
(2)ベンゾフェノン 0.3mass%
(3)硫酸鉄 0.4mass%
(4)ノニオン系界面活性剤 3 mass%
(5)水 71.3mass%
物性評価
(1)最大孔径
実施例8及び実施例9で調製した本発明の各セパレータについて、ポロメータ(コールター社製)を用いるバブルポイント法により、最大孔径を測定した。結果を表2に示す。
(2)5%モジュラス強度
実施例8及び実施例9で調製した本発明の各セパレータを、幅5cmに裁断した後、引張り強さ試験機(オリエンテック製;テンシロンUTM−III−100)のチャックに固定(チャック間距離:10cm)し、セパレータを5mm引き伸ばす(引張り速度=300mm/分)ために必要な力を測定した。結果を表2に示す。
(3)孔径30μm以下の孔が孔全体に占める割合
実施例8及び実施例9で調製した本発明の各セパレータについて、バブルポイント法により気体(窒素ガス)圧力を測定し、ウォシュバーン式(Washburn equation)により孔径を計算し、その気体の流量から孔径分布を導き出すことにより、孔径30μm以下の孔が孔全体に示す割合を算出した。結果を表2に示す。
(4)通気性
実施例8及び実施例9で調製した本発明の各セパレータについて、JIS L 1096(1999)[8.27.1 A法(フラジール法)]に規定される方法に従って、通気性を測定した。結果を表2に示す。
(5)電気抵抗
実施例8及び実施例9で調製した本発明の各セパレータについて、JIS C2313(鉛畜電池用隔離板)の7.2.4「電気抵抗」欄における(3)「試験装置」の項に記載の試験装置を用いて、以下の手順に従って電気抵抗を測定した。すなわち、この試験用電槽に比重1.3(20℃の時の値)の苛性カリ溶液を入れ、恒温水槽を用いて、その温度を25±0.5℃に保持しながら、電流電極間に直流1Aを流し、液の抵抗による電圧降下を電圧計によって測定し、その抵抗Rを求めた。次いで、分析対象であるセパレータを裁断して得られる試験片3枚を、試験片を差し入れる箇所に重ねて入れ、前と同様の方法で電圧降下を測定して、その抵抗Rを求め、式(1):
=(R−R)/(5×3) (1)
[式中、Rは、分析対象であるセパレータの電気抵抗(単位=mΩ・100cm/枚)であり、Rは、試験片を差し入れたときの抵抗(単位=mΩ)であり、Rは、試験片を差し入れないときの抵抗(単位=mΩ)である]
によって電気抵抗(電気抵抗R)を求めた。
なお、前記試験片としては、セパレータのほぼ中央部から採取した約70×70mmの片を使用し、この試験片を温度25±2℃の苛性カリ[比重1.3(20℃)]中に5時間浸漬した後に、前記試験に供した(但し、約70×70mmの片を採取できないような小さなセパレータの場合には、切断加工前の原反から採取しても構わないが、およそ400cmにつき1枚の割合で採取した)。また、試験装置の電流電極として、JIS H2105(ニッケル地金)に規定する1種以上のニッケル地金からなるニッケル板(縦=70mm、横=70mm、厚さ=1mm)を使用し、電圧電極として、JIS H 2113に規定する1種のカドミウム棒(径=約5mm、長さ=約50mm以上)を、常温で苛性カリ[比重1.3(20℃)]中に24時間以上浸漬したものを使用し、試験用電槽として耐アルカリ性容器を使用した(更に、試験片を差し入れた時に隙間が生じる場合には、試験片差し入れ箇所と一致する形状の耐アルカリ性固定用スペーサを用いて試験片を固定して測定した。その場合、試験片を差し入れない場合の抵抗値も同じ耐アルカリ性固定用スペーサを差し入れた状態で測定した)。
結果を表2に示す。
(6)厚さ保持率及び電池製造時の不良率
実施例8及び実施例9で調製した本発明の各セパレータについて、先に述べた方法に従って、厚さ保持率及び電池製造時の不良率をそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
Figure 0004164237
[式中、Cは、厚さ保持率(単位=%)を意味し、Fは、電池製造時の不良率(単位=%)を意味し、Gは、最大孔径(単位=μm)を意味し、Hは、5%モジュラス強度(単位=N/5cm幅)を意味し、Jは、孔径30μm以下の孔が孔全体に占める割合(単位=%)を意味し、Kは、通気性(単位=cm/秒)を意味し、Lは、電気抵抗(単位=mΩ・100cm/枚)を意味する]
産業上の利用可能性
本発明のアルカリ電池用セパレータは、極板のバリがセパレータを突き抜けてショートしたり、極板のエッジによりセパレータが引き裂かれることがなく、しかも皺になることもなく、取り扱い性に優れているため、安定して歩留まり良く電池を製造することができる。また、電解液の注液性にも優れている。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。

Claims (11)

  1. 繊維径8μm以上の親水化ポリオレフィン系繊維から主に構成される繊維シートを含み、前記親水化ポリオレフィン系繊維の一部が、引張り強さが5g/d以上の高強度繊維であることを特徴とする、アルカリ電池用セパレータ。
  2. 前記繊維シートが、繊維径8μm以上の親水化ポリオレフィン系繊維として、引張り強さが5g/d以上の高強度繊維と、融着繊維とを含む、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
  3. 非融着性高強度繊維と前記融着繊維との質量比率が、10〜50:90〜50である、請求項2に記載のアルカリ電池用セパレータ。
  4. 前記繊維シートの最大孔径が50μm以下である、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
  5. 前記繊維シートの少なくとも一方向における5%モジュラス強度が、60N/5cm幅以上である、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
  6. 前記繊維シートにおける孔径30μm以下の孔が、孔全体の95%以上を占める、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
  7. 前記繊維シートの通気性が4cm/秒以上である、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
  8. 前記繊維シートの電気抵抗が5mΩ・100cm/枚以下である、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
  9. 繊維表面が実質的にポリエチレン系樹脂からなるポリエチレン系繊維が、繊維シートを主に構成する親水化ポリオレフィン系繊維の60mass%以上を占めている、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
  10. 前記繊維シートが不織布である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のアルカリ電池用セパレータ。
  11. 繊維径8μm以上で、且つ引張り強さが5g/d以上であるポリオレフィン系高強度繊維を含む、繊維径8μm以上のポリオレフィン系繊維から、繊維シートを形成し、得られた繊維シートを親水化処理することを含む、アルカリ電池用セパレータの製造方法。
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