JP4161901B2 - 昇圧回路および負荷駆動回路 - Google Patents
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Description
この昇圧回路1の昇圧部2は、負荷駆動用トランジスタ3がオフ状態からオン状態に過渡的に移行する段階において、比較的高い周波数(例えば周波数f=833kHz)の昇圧駆動信号のオンオフが繰り返されることによりトランジスタ3のゲート電圧を昇圧する。このとき、例えば負荷が駆動していない状態から負荷が駆動する状態に移行する初動時には、特に昇圧回路1側に印加される電流が0から例えば数mA〜数十mA程度まで急激に上昇する。初動時には、負荷4に流れる電流I1(負荷電流)が少ないため、負荷電流I1に対して昇圧回路1に印加される電流I2の割合が定常駆動時に比較して大きくなる。したがって、負荷4に流れる電流よりも昇圧回路1に流れる電流によるノイズが外部に影響を及ぼしてしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、負荷初動時に昇圧回路から発生するノイズを低減することができる昇圧回路、およびこの昇圧回路を使用した負荷駆動回路を提供することにある。
請求項2記載の発明によれば、昇圧駆動回路は複数設けられ、当該昇圧駆動回路は、所定の定常駆動能力時に動作する昇圧駆動回路数よりも実動作駆動回路数が減少され昇圧能力が低下した状態で昇圧部を昇圧駆動するため、昇圧回路に流れる電流の負荷電流に対する割合を少なくすることができ、昇圧回路から発生するノイズを低減することができる。
例えば自動車等の車両には、様々な電子機器(電波を応用した機器、例えばラジオ機器)が搭載されている。前記した昇圧回路から例えばラジオ周波数帯にノイズを発生してしまうと、これらの電子機器の正常な機器動作に悪影響を引き起こしてしまうため、好ましくない。請求項8記載の発明によれば、請求項1ないし6の何れかに記載の昇圧回路を車両用負荷駆動回路に搭載しているため、車載電子機器に与えられるノイズの影響を極力低減することができる。
図1は、負荷駆動回路10の電気的構成を機能ブロック図により示している。この負荷駆動回路10は、負荷検出手段としての駆動制御回路11、補助用駆動制御回路12,2つ(複数)の昇圧駆動回路13a…13b,電圧供給回路14,昇圧部15,昇圧部用電源供給回路16,駆動用トランジスタ17,還流ダイオード18,保護用ダイオード19,クランプ回路20を備え、半導体集積回路装置内に構成されており、出力端子OUTおよびグランド端子GND間に接続された負荷4を駆動するようになっている。本発明をわかりやすく説明するため、本実施形態では、駆動用トランジスタ17として、ハイサイドトランジスタとして機能するNチャネル型のMOSトランジスタを使用することにより簡略化した回路を示すが、実際には駆動用トランジスタ17は複数設けられる場合もある。尚、負荷4は、車両内のバッテリ蓄電用の発電機等でありインダクタンス性を有する負荷である。
昇圧駆動回路13aは、FET等のトランジスタTr1a〜Tr4aを組み合わせて構成されており、補助用駆動制御回路12から駆動制御信号が与えられると、電圧供給回路14から供給された動作電圧を昇圧部15に対して昇圧駆動信号として与える。
他方、昇圧駆動回路13bは、FET等のトランジスタTr1b〜Tr4bを組み合わせて構成されており、駆動制御回路11から駆動制御信号が与えられると、電圧供給回路14から供給された電圧を昇圧部15に対して昇圧駆動信号として与えるようになっている。
<比較的大きな駆動能力(例えば最大駆動能力)での駆動状態について>
まず、比較的大きな駆動能力で負荷4を駆動している定常状態における動作を説明する。すなわち、例えば車内電源供給用の発電機がフル駆動している場合等のように負荷4が比較的大きい場合(例えば最大負荷のとき)には、次のように動作する。負荷駆動回路10の電源線23に電源+Bが供給された状態において、駆動制御回路11、補助用駆動制御回路12、電圧供給回路14、昇圧部用電源供給回路16、駆動用トランジスタ17に電源供給される。
(1)トランジスタTr1a,Tr1b,Tr4a,Tr4bがオフ、トランジスタTr2a,Tr2b,Tr3a,Tr3bがオン
昇圧部用電源供給回路16の供給電圧V3に基づく電流が、ダイオードD1、コンデンサC1、トランジスタTr2aおよびTr2bを介して流れ、コンデンサC1に充電される。
(2)トランジスタTr1a,Tr1b,Tr4a,Tr4bがオン、トランジスタTr2a,Tr2b,Tr3a,Tr3bがオフ
動作電圧V1に基づく電流が、トランジスタTr1aおよびTr1b、コンデンサC1、ダイオードD2、コンデンサC2、トランジスタTr4aおよびTr4bを介して流れ、コンデンサC1の充電電荷がダイオードD2を通じて次段のコンデンサC2に移され、これに伴い昇圧される。
(3)トランジスタTr1a,Tr1b,Tr4a,Tr4bがオフ、トランジスタTr2a,Tr2b,Tr3a,Tr3bがオン
動作電圧V1に基づく電流が、トランジスタTr3aおよびTr3b、コンデンサC2、ダイオードD3、コンデンサC3、トランジスタTr2aおよびTr2bを介して流れ、コンデンサC2の充電電荷がダイオードD3を通じて次段のコンデンサC3に移され、これに伴い昇圧される。
(4)トランジスタTr1a,Tr1b,Tr4a,Tr4bがオン、トランジスタTr2a,Tr2b,Tr3a,Tr3bがオフ
動作電圧V1に基づく電流が、トランジスタTr1aおよびTr1b、コンデンサC3、ダイオードD4、コンデンサC4、トランジスタTr4aおよびTr4bを介して流れ、コンデンサC3の充電電荷がダイオードD4を通じて次段のコンデンサC4に移され、これに伴い昇圧される。
また、昇圧回路22に流れる電流I2は、PWM駆動信号の立ち上がり時には(図3(a)の(1)〜(2))急峻に増加するが、出力端子Nbの電圧が昇圧部15の昇圧機能により上昇するに伴い、徐々に減少する(図3(a)の(3))。
その後、駆動制御回路11が、昇圧部用電源供給回路16および放電回路12に制御信号(PWM駆動信号)のデューティのオフ期間の電圧としてオフ信号を与えると共に、昇圧駆動回路13a〜13bには駆動制御信号をオフ信号を与え、トランジスタTr1a〜Tr4aおよびTr1b〜Tr4bをオフ状態とする。すなわち、PWM駆動信号がハイ「H」からロウ「L」に立ち下がり、昇圧部用電源供給回路16から昇圧用電源電圧V3の昇圧部15に対する供給が停止し、さらに放電回路12の作用により出力端子Nbの電圧および出力端子OUTの電圧が急峻に0Vに移行する(図3(a)の(5))。
さて、昇圧部15に与えられる昇圧駆動信号の振幅V1が大きいと、配線等から昇圧駆動信号に基づいて発生するラジオノイズが大きくなる。図4(a)には、このとき昇圧部15に与えられる昇圧駆動信号の波形の一例を示している。図4(a)に示すように、昇圧駆動信号の立ち上がりS1が急峻になるため高調波ノイズ(例えば100MHz〜1GHz程度)が発生する。しかし、比較的大きい負荷4を駆動している定常駆動時には負荷4の電磁ノイズが大きいため、高調波信号によるノイズが無視できる程度に打ち消される。
そこで、前述の比較的小さい負荷4を駆動する場合、すなわち(1)負荷4の初動時や、(2)所定の定常駆動能力(例えば最大駆動能力)から所定以上の小さい負荷を駆動する場合には特別に駆動状態を変化させる。
そこで、次に示すように昇圧駆動する。駆動制御回路11は、負荷4の大小を検出すると、この負荷4の大小に応じたディーティ比のPWM駆動信号を昇圧部用電源供給回路16に与えるが、例えば、このとき、駆動制御回路11は、昇圧部用電源供給回路16に対してデューティ比の比較的低い(例えば10%)PWM駆動信号を与える。尚、負荷4の初動時でもデューティ比を低くしてPWM駆動信号を与える。
さらに、駆動制御回路11は、補助用駆動制御回路12にオフ信号を与えることにより、補助用駆動制御回路12により一部の昇圧駆動回路13aを構成するトランジスタTr1a〜Tr4aを全てオフとし、一部の昇圧駆動回路13aによる昇圧部15の昇圧駆動機能を無効化する。尚、この無効化機能は必要に応じて設ければよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形もしくは拡張が可能である。
例えば、図6に示すように、電圧供給回路14から動作電圧V2を昇圧駆動回路13a〜13bに供給する場合に、昇圧駆動回路13a〜13bに供給する電流量を抑制させるように電流調整用抵抗器25を設けて構成しても良い。この場合も同様に、定常駆動能力時の負荷の大きさに対して負荷4が小さいことが検出された場合に、昇圧駆動回路13a〜13bの昇圧能力を低下させることができるため、略同様の効果を得ることができる。
また、負荷4の大小にかかわらず昇圧駆動回路13a〜13bの実動作個数が所定個数あったとしても、電圧供給回路14の供給電圧が複数の昇圧用動作電圧V1,V2を出力できるように構成され、この昇圧用動作電圧を低下させれば昇圧能力を定常駆動能力時から低下させることができれば、昇圧駆動回路13a〜13bの実動作個数として動作状態に関わらず所定個数を一定にしても良い。要は、負荷4が定常駆動能力時から小さいことが検出された場合に、昇圧能力を低下させることができれば、どのように構成しても良い。
複数の昇圧駆動回路13a〜13bを使用し、その実動作個数を減少させることにより昇圧能力を低下させる実施形態を示したが、実動作個数が同一であっても昇圧駆動回路13a〜13bを構成するトランジスタサイズの大きさを変化させるように構成し、昇圧能力を低下させるためにトランジスタサイズの小さなトランジスタを実動作させるように構成しても良い。すなわち、例えば、昇圧駆動回路13aを構成するトランジスタTr1a〜Tr4aに対して昇圧駆動回路13bを構成するトランジスタTr1b〜Tr4bのトランジスタサイズを小さくするように構成し、これらの昇圧駆動回路13a〜13bを切替動作させるようにしても良い。
車両用に適用した負荷駆動回路10の実施形態を示したが、その他の車両以外の用途に用いられる回路に適用しても良い。
Claims (11)
- 電圧を昇圧する昇圧部と、
負荷の大小を検出する負荷検出手段により所定の定常駆動能力時の負荷に対して所定以上小さい負荷で駆動することが検出されたことを条件として、昇圧能力を低下させた状態で前記昇圧部を駆動する昇圧駆動回路とを備え、
前記昇圧駆動回路は、当該昇圧駆動回路に対して供給される供給電圧が前記所定の定常駆動能力時よりも低下されることにより前記昇圧能力を低下した状態で昇圧部を昇圧駆動することを特徴とする昇圧回路。 - 電圧を昇圧する昇圧部と、
負荷の大小を検出する負荷検出手段により所定の定常駆動能力時の負荷に対して所定以上小さい負荷で駆動することが検出されたことを条件として、昇圧能力を低下させた状態で前記昇圧部を駆動する昇圧駆動回路とを備え、
前記昇圧駆動回路は複数設けられ、前記所定の定常駆動能力時に動作する昇圧駆動回路数よりも実動作駆動回路数が減少され前記昇圧能力が低下した状態で昇圧部を昇圧駆動することを特徴とする昇圧回路。 - 電圧を昇圧する昇圧部と、
負荷の大小を検出する負荷検出手段により所定の定常駆動能力時の負荷に対して所定以上小さい負荷で駆動することが検出されたことを条件として、昇圧能力を低下させた状態で前記昇圧部を駆動する昇圧駆動回路とを備え、
前記昇圧駆動回路は、複数のトランジスタを組み合わせて構成され、負荷の大小を検出する負荷検出手段により所定の定常駆動能力時の負荷に対して所定以上小さい負荷で駆動することが検出されたことを条件として、前記定常駆動能力時に動作する昇圧駆動回路の昇圧能力に対して、前記トランジスタのうちトランジスタサイズの小さいトランジスタが駆動することにより前記昇圧能力が低下した状態で昇圧部を昇圧駆動することを特徴とする昇圧回路。 - 電圧を昇圧する昇圧部と、
負荷の大小を検出する負荷検出手段により所定の定常駆動能力時の負荷に対して所定以上小さい負荷で駆動することが検出されたことを条件として、昇圧能力を低下させた状態で前記昇圧部を駆動する昇圧駆動回路とを備え、
負荷の大小を検出する負荷検出手段により検出された負荷が所定の定常駆動能力時の負荷に対して小さいことが検出された場合に、前記昇圧駆動回路に供給する電流量を抑制させる電流調整用抵抗器を備えたことを特徴とする昇圧回路。 - 負荷をPWM駆動する負荷駆動回路に用いられる昇圧回路であって、
前記昇圧駆動回路が昇圧能力を低下させて前記昇圧部を昇圧駆動する場合は、前記負荷駆動回路によるPWM駆動時のデューティ比が所定値以下の場合であることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の昇圧回路。 - 前記負荷検出手段は、前記負荷を駆動する駆動用トランジスタに並列に設けられたトランジスタに流れる電流を検出する電流検出手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の昇圧回路。
- 前記昇圧部の出力に接続されたクランプ回路を備えていることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の昇圧回路。
- 車両用負荷駆動回路に搭載したことを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の昇圧回路。
- 請求項1ないし8の何れかに記載の昇圧回路と、
この昇圧回路を制御する駆動制御回路とを備えたことを特徴とする負荷駆動回路。 - 請求項1ないし8の何れかに記載の昇圧回路と、
この昇圧回路に複数の異なる電源電圧のうちの何れかの電源電圧を当該昇圧回路の昇圧用動作電圧として供給可能な電圧供給回路とを備えたことを特徴とする負荷駆動回路。 - 車両用に適用したことを特徴とする請求項9または10記載の負荷駆動回路。
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