JP4159041B2 - 栓 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、瓶状容器に取り付けられる栓の構造に関するものであり、より詳しくは、瓶状容器内の空気が膨張した場合であっても抜けないようにした栓の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、瓶状容器の開口部に圧入される栓に関する技術が種々提案されてきている。この中でも、リサイクルできるようにした栓に関して、特許文献1に開示されるようなものが存在する。
【0003】
【特許文献1】
特開2001―206397号公報
【0004】
この特許文献1に開示されている栓は、瓶状容器の開口部内に圧入される中栓部と、瓶状容器の開口部を覆う鍔部とを設け、この中栓部と鍔部とをプラスチックなどの合成樹脂で一体成形し、その際、中栓部の下端を開口させてその中栓部の下端近傍の外周部に上下方向に沿うスリット状の導通路を設けるようにしたものである。そして、瓶状容器内の空気が膨張して栓が持ち上げられた場合であっても、その中栓部の導通路を瓶状容器の開口部上に露出させ、その導通路を介して瓶状容器内で膨張した空気を外部に放出させるようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このように瓶状容器の開口部内に圧入される中栓部は、瓶状容器の内壁との密着性を高めるべく、その外径寸法を瓶状容器の内径よりも大きくしている。このため、中栓部には圧入の際、外周方向から強い圧力が加わり、中栓部はこの圧力に耐えうる強度を有していなければならない。
【0006】
これに対し、上記特許文献1に記載されている栓は、その中栓部の下端を開口させるようにしており、しかも、その外周部には肉厚を薄くした導通路を設けるようにしている。このため、その中栓部の下端近傍は、外周方向からの圧力によって容易に変形してしまい、特に、中栓部の径を規定の寸法よりも大きくすれば導通路近傍に縦方向の皺を生じてしまう。そして、一旦この皺を生じれば、その癖がついてしまい、完全に打栓しても、瓶状容器内の空気が外部に漏れてしまうという問題を有していた。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に着目して、導通路を設けて膨張空気を外部に放出できるようにしたものにおいて、中栓部の外周方向からの圧力による変形を防止し、膨張空気による抜けを防止できるようにした栓を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は上記課題を解決すべく、瓶状容器の開口部に圧入される中栓部と、この中栓部の上方に設けられ、瓶状容器の開口部を覆う鍔部とを一体成形してなる栓において、前記中栓部を、瓶状容器の開口部に完全に打栓した状態で当該開口部の内側に密封させる当接部と、当該当接部の下方に設けられ、当該当接部よりも小径の外周部と底面部とを有するように形成し、当該小径に形成された外周部に、瓶状容器内の気体を外部へ逃がすための複数の導通路と、当該複数の導通路の間に設けられ、瓶状容器内の気体の膨張による押し上げを防止するための摩擦部とを設けるようにしたものである。
【0009】
このように構成すれば、中栓部の下端にその外周部全面を覆う底面部を設けているため、下端近傍における外周方向からの圧力に対しても容易に変形せず、外周部に皺などを生ずることがなくなる。また、外周方向からの押圧に耐えることができるので、瓶状容器の内壁との接触圧を高くすることができ、これによって、瓶状容器との密着度を高くすることができる。また、瓶状容器の開口部に栓を軽く圧入した状態で、中栓部下方の摩擦部によって栓の抜けが防止され、この状態で瓶状容器内の膨張気体を導通路を介して外部に放出させることができるようになる。
【0010】
また、別の実施態様として、鍔部の上面に開口部を設け、この開口部の内壁に内接するように冠蓋を取り付ける。
【0011】
このように構成すれば、中栓部上方の外周方向や鍔部の外周方向から強い圧力が加えられたような場合であっても、冠蓋を開口部の内壁に内接させて取り付けているため、その圧力に耐えることができ、中栓部や鍔部の外径形状に変形を生じさせることがなくなる。これにより、内部空気の漏れなどを防止することができるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図2は栓本体1の上面図(図2(a))、正面図(図2(b))、底面図(図2(c)を示したものであり、図3はその栓本体1の鍔部3に取り付けられる冠蓋4の上面図(図3(a))、正面図(図3(b))、底面図(図3(c))を示したものである。また、図1は、図2で示される栓本体1に図3の冠蓋4を取り付けた栓100の、上面図(図1(a))、正面図(図1(b))、底面図(図1(c)を示したものであり、また、図4は、図1におけるA−A断面図を示したものである。
【0013】
図において、2は中栓部、3は鍔部であり、この中栓部2および鍔部3によって栓本体1を構成する。また、4は冠蓋であり、この鍔部3の開口部に着脱可能に取り付けられる。そして、この実施の形態では、中栓部2と鍔部3とをプラスチックなどの合成樹脂によって一体成形し、その際、鍔部3の上面中央に冠蓋取付部30を設け、また、中栓部2の下端に底面部21を設ける。そして、その鍔部3の冠蓋取付部30に冠蓋4を取り付けて栓100を構成するようにしたものである。以下、本実施の形態における栓100の具体的構成について説明する。
【0014】
中栓部2は、外周部22の外径寸法を瓶状容器の内径よりも大きく設定し、外周部22の肉厚を薄くして内部に中空部20(図2、図4参照)を設ける。そして、中栓部3を瓶状容器の開口部に圧入する際、瓶状容器の内壁から加わる圧力によってその外周部22を収縮させるようにしたものである。中栓部3の下端に設けられる底面部21は、中栓部3の外周部22の下端全面を覆うもので、その外側を湾曲させるようにして外周部22とともに一体成形される。そして、この底面部21の略中央部分に設けられた平面部にリサイクル可能な製品であることを示すリサイクルマークを設ける。一方、この中栓部3の外周部22には、上下方向に沿う導通路24と、瓶状容器内壁との摩擦を増大させる摩擦部25とを設ける。この導通路24は、底面部21における湾曲部分から外周部22における中央近傍まで設けられるスリット状のもので、その導通路24のスリットの底面部24aを外周部22の表面よりも若干凹むように形成し、このスリットの底面部24aと瓶状容器の内壁との間に隙間を形成する。そして、この隙間を介して瓶状容器内で膨張した空気を外部に放出させるようにしている。また、摩擦部25は、外周部22上に設けられた複数の導通路24の間に設けられるもので、エンボス加工により粗面を形成し、これによって、瓶状容器の内壁との摩擦力を増大させて抜けを防止するようにしている。また、この中栓部3の上方には、中栓部3の下方よりも径の大きい当接部23が設けられる。この当接部23は、完全に打栓した状態において瓶状容器の開口部を完全密封できるようにしたもので、その表面を瓶状容器の内壁と密着しうる滑らかな表面にしている。
【0015】
鍔部3は、この中栓部3の上方に形成され、その外径寸法を瓶状容器の開口部における外径寸法と略等しくなるようにしている。その鍔部3の上面部の中央に冠蓋4を取り付けるための冠蓋取付部30を設けている。この冠蓋取付部30は、鍔部3の上面側に円形の上部開口部31を設けるとともに、そこから少し凹んだとところに下部開口部32を設けて構成される。この上部開口部32は、冠蓋上部鍔部41の外径寸法に対応して大きな径に形成され、また、その冠蓋4の上部鍔部41の厚み寸法とほぼ同じ、もしくは、若干浅めの凹部を形成する。また、下部開口部32は、下部冠蓋部42の外径寸法に対応した小さな径に形成されるものであり、中栓部3における中空部20の内径と同じ径の大きさに形成される。そして、この下部開口部32の内側壁面に、凸状の係止部33(図2、図4参照)を設け、この係止部33に冠蓋4を着脱可能に係止させうるようにしている。
【0016】
この冠蓋4は、栓本体1とは別体の部材で構成されるもので、好ましくは、栓本体1と一体で分別回収可能にすべく栓本体1と同じ合成樹脂によって構成される。この冠蓋4は、上部冠蓋鍔部41と下部冠蓋部42を有するように形成されるもので、上部冠蓋鍔部41は、鍔部3の上部開口部31の内側壁面31aに内接しうるように形成され、また、その外周部分の上部に面取部41aを設けて鍔部3の上面部と連続した面を形成できるようにしている。一方、下部冠蓋部42は、鍔部3の下部開口部32に対応した外径寸法を有するもので、鍔部3の係止部33に対応した対応係止部43を設ける。そして、この係止部33に対応係止部43を係止させて上部冠蓋部41の外周面を鍔部3の上部開口部31の内壁31aに内接させ、また、下部冠蓋部42の外周面を鍔部3の下部開口部12の内壁32aに内接させるようにして取り付ける。
【0017】
次に、このように構成された栓100を瓶状容器に取り付ける方法、および、瓶状容器に取り付けられた栓100の状態について図4を用いて説明する。
【0018】
まず、冠蓋4を栓本体1に取り付けた状態で、瓶状容器の開口部に栓を軽く圧入する。この状態では、中栓部2の下方に設けられた湾曲部分が瓶状容器の開口部に当接した状態となり、中栓部2の摩擦部25によって栓100の抜けが防止される。そして、この状態で、瓶状容器内の膨張気体を導通路24を介して外部に放出させる。そして、瓶状容器内の気体を外部に放出させた後、完全に打栓する。この際、瓶状容器の内壁からの圧力によって中栓部2が変形しようとするが、中栓部2に底面部21を設けてその全面を覆うようにしているため、中栓部2の下部に皺を生ずることがなくなり、また、その底面部21によって外周方向からの圧力に対抗して中栓部2の外周部22を瓶状容器の内壁を強力に押圧する。また、中栓部2の上方部分については、鍔部3の上部開口部31および下部開口部32の内壁31a、32aに内接する冠蓋4を設けているため、中栓部2の当接部23に圧力が加わってもその圧力に対抗することができ、また、鍔部3の外周方向から圧力が加わっても、容易に変形しないようにすることができるようになる。
【0019】
このように上記実施の形態によれば、中栓部2の下方にその中栓部2の外周部22の下端全面を覆う底面部21を設け、この中栓部2の底面部21近傍における外周部22に、瓶状容器内の気体を外部へ逃がすための導通路24と、瓶状容器内の気体の膨張による押し上げを防止するための摩擦部25とを設けたので、外周方向からの圧力による変形を防止することができる。
【0020】
また、この際、中栓部2と鍔部3を有する部分と冠蓋4の2ピース構造にしたので、冠蓋4に銘柄に合わせたロゴなどを容易に印刷することができるようになる。
【0021】
また、上記実施の形態では、冠蓋4として、栓本体1と同じ合成樹脂によって形成するようにしたが、栓100に高級感を持たせるようにする場合は、この冠蓋4を金属膜で覆うか、もしくは、冠蓋自体を金属で形成するようにしても良い。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、瓶状容器の開口部に圧入される中栓部と、この中栓部の上方に設けられ、瓶状容器の開口部を覆う鍔部とを一体成形してなる栓において、前記中栓部を、瓶状容器の開口部に完全に打栓した状態で当該開口部の内側に密封させる当接部と、当該当接部の下方に設けられ、当該当接部よりも小径の外周部と底面部とを有するように形成し、当該小径に形成された外周部に、瓶状容器内の気体を外部へ逃がすための複数の導通路と、当該複数の導通路の間に設けられ、瓶状容器内の気体の膨張による押し上げを防止するための摩擦部とを設けるようにしたので、下端近傍における外周方向からの圧力に対しても容易に変形せず、外周部に皺などを生ずることがなくなる。また、外周方向からの耐えることができるので、瓶状容器の内壁との接触圧を高くすることができ、これによって、瓶状容器との密着度を高くすることができる。また、瓶状容器の開口部に栓を軽く圧入した状態で、中栓部下方の摩擦部によって栓の抜けが防止され、この状態で瓶状容器内の膨張気体を導通路を介して外部に放出させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における栓の上面図(a)、正面図(b)、底面図(c)
【図2】本発明の一実施の形態における栓本体の上面図(a)、正面図(b)、底面図(c)
【図3】本発明の一実施の形態における栓本体の鍔部に取り付けられる冠蓋本体の上面図(a)、正面図(b)、底面図(c)
【図4】図3におけるA−A断面図および、栓を瓶状容器に取り付けた状態を示す図
【符号の説明】
2・・・中栓部
3・・・鍔部
4・・・冠蓋
21・・・底面部
22・・・外周部
24・・・導通路
25・・・摩擦部
31・・・鍔部の上部開口部
31a・・・上部開口部の内壁
32・・・鍔部の下部開口部
32a・・・下部開口部の内壁
100・・・栓
Claims (1)
- 瓶状容器の開口部に圧入される中栓部と、この中栓部の上方に設けられ、瓶状容器の開口部を覆う鍔部とを一体成形してなる栓において、
前記中栓部を、
瓶状容器の開口部に完全に打栓した状態で当該開口部の内側に密封させる当接部と、
当該当接部の下方に設けられ、当該当接部よりも小径の外周部および底面部を有するように形成し、
当該小径に形成された外周部に、
瓶状容器内の気体を外部へ逃がすための複数の導通路と、
当該複数の導通路の間に設けられ、瓶状容器内の気体の膨張による押し上げを防止するための摩擦部とを形成したことを特徴とする栓。
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