JP4154937B2 - 密閉型圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫、エアーコンディショナー、冷凍冷蔵装置等に用いられる密閉形圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭用冷凍冷蔵庫等の冷凍装置に使用される密閉型圧縮機については、消費電力の低減や静音化が強く望まれており、冷凍機油の低粘度化や、インバーター駆動による圧縮機の低回転化(例えば、家庭用冷蔵庫の場合、1200r/min程度)が進んできている。一方、使用冷媒としてはオゾン破壊係数がゼロであるR134aやR600aに代表される温暖化係数の低い自然冷媒である炭化水素系冷媒の対応が前提となってきている。また、古くから採用されていたシャフトを主軸受けと副軸受けの2ヵ所で保持する両持ち軸受という方法は、摺動ロスを減らし、また運転時の振動を減らす要素技術として有効である。
【0003】
両持ち軸受という方法を採用した従来の密閉型圧縮機としては、特開昭61−118571号公報に記載されているものがある。
【0004】
以下、図面を参照しながら、上述した従来の密閉型圧縮機について説明する。
【0005】
図13は従来の密閉型圧縮機の縦断面図、図14は従来の密閉形圧縮機の要部上面図である。図15及び図16は従来の密閉形圧縮機の要部断面図である。図13、図14において1は密閉容器で、2は密閉容器内空間である。密閉容器1内には、巻線部3aを保有する固定子3と回転子4からなる電動要素5と、電動要素5によって駆動される圧縮要素6を収容する。8は密閉容器1内に貯溜した潤滑油である。
【0006】
10はシャフトで、回転子4を圧入固定した主軸部11および主軸部11に対し偏心して形成された偏心部12に加え、主軸部と同軸に設けられた副軸部13を有する。主軸部11の内部には同芯ポンプ14が設けられ一端が潤滑油8中に開口し他端が縦孔部15と連通しており、縦孔部15はシャフト10の上端面へ連通開口している。16はシリンダブロックで、略円筒形の圧縮室17を有するとともに主軸部11を軸支する主軸受18を有し、上方に副軸部13を軸支する副軸受19が固定されており、副軸受19にはシャフト10外周部に設けた窪み部19aを設けている。20はピストンでシリンダブロック16の圧縮室17に往復摺動自在に挿入され、偏心部12との間を連結手段21によって連結されている。
【0007】
以上のように構成された密閉型圧縮機について以下その動作を説明する。
【0008】
電動要素5の回転子4はシャフト10を回転させ、偏心部12の回転運動が連結手段21を介してピストン20に伝えられることでピストン20は圧縮室17内を往復運動する。これにより、冷却システム(図示せず)からの冷媒ガスは圧縮室17内へ吸入・圧縮された後、再び冷却システムへと吐き出されるといったサイクルを繰返す。
【0009】
ここで、両持ち軸受けの摺動ロス減のメカニズムに関して説明する。
【0010】
圧縮機運転中にピストン20の圧縮荷重が連結手段21を介して偏心部12へと伝達される。ここで、両持ち軸受タイプはピストンからの圧縮荷重のかかる偏心部12(作用点)を中心にして上下両方で荷重を受けるため、軸受けには上下でほぼ均等な荷重が配分され、また、内周でこじりが生ずる片持ち軸受けタイプと異なり面当たりとなるため、シャフト10摺動部の荷重分布が均等となることで面圧が下がり、片持ちタイプよりも摺動長を短くすることができる。その結果、摺動ロスが減少し、圧縮機の効率向上が図れるといった長所を備える。
【0011】
次に従来の両持ち軸受タイプの給油メカニズムに関して説明する。
【0012】
図15において、シャフト10の回転により、同芯ポンプ14内の潤滑油8は遠心力により放物線状A1、A2の自由表面をなしながら上方へと汲み上げられ、支流A1の搬送力により縦孔部15に流入され、主軸11、偏心部12、副軸部13への各摺動部へと順に潤滑される。また、図16において、縦孔部15へ汲み上げられた潤滑油8の内、一方は副軸部13に設けた連通孔13a及び窪み部19aをガイドに密閉容器1へ放散(方向B)され、一方は縦孔部15上端から密閉容器1へと放散(方向C)を行なう。これによって各摺動部から受熱した潤滑油8が密閉容器1によって放熱・冷却できる仕組みとなっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では、副軸部13を持たない片持ち軸受タイプの密閉型圧縮機と比べて、副軸部13を備える分の軸方向長さが必然的に必要となり、それに伴い給油通路も長くなる。その結果、潤滑油を上方向へ搬送する時の流路抵抗の増加と高い揚程による潤滑油自体の重量増加による影響から、副軸部13の摺動部への給油量が不足し、摺動部での潤滑不良が生じやすかった。
【0014】
また、圧縮機の起動初期等、潤滑油8と同時に冷媒ガスが給油経路内に混入し易い場合において、上記従来の副軸部13を持つ給油経路の長い構成では、給油通路内でガス留まりが生じることで給油阻害が発生しやすかった。
【0015】
また、潤滑油8内で冷媒の溶け込み量が多い場合においては、冷媒から気化するガス量も多くなるため、更にガス留まりによる給油阻害を起こしやすくなる。
【0016】
また、上記従来の構成では、潤滑油が密閉容器へ放散される量が減ることで、放熱効果が減少し、またピストン20への給油を副軸部13から放出する潤滑油に依存しているために、ピストン20とシリンダ16間の潤滑油によるシール性が低下して体積効率が低下する他、ピストン20とシリンダ16の間での異常な摩耗が発生するといった信頼性低下の問題も発生しやすかった。
【0017】
特に、電源周波数以下の運転周波数で駆動される密閉型電動機においては、同心ポンプ14内の潤滑油8に働く遠心力が低下して更に給油阻害が発生し易くなる。
【0018】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、エネルギー効率が高く、且つ信頼性の高い密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、シャフトには、前記主軸部の下半部に、前記潤滑油に連通する絞り部を下端に有するとともに前記主軸部の下端から外周に向かい軸心が傾斜した円筒空洞で形成した傾斜ポンプ部を設け、前記主軸部の上半部外周に、下端が前記傾斜ポンプ部の上端近傍と連通し、上方に向かって前記シャフトの反回転方向に傾斜しながら螺旋状に刻設した粘性ポンプ部を設け、前記偏芯軸部から前記副軸部にかけて、一端が前記粘性ポンプ部上端近傍と連通し、他端が前記副軸部の上端面近傍に連通開口した縦孔部とを設けたことで、傾斜ポンプ部では粘性ポンプ部の下端まで揚程が得られ、更に粘性ポンプで発生した上向きの油圧が縦孔部の揚程をまかない、十分な量の潤滑油を安定して搬送することができるという作用を有する。
【0020】
さらに、縦孔部が下から上に向けてシャフトの回転方向と反対方向に傾斜したものであり、縦孔部においても上向き搬送力を発生させることができ、さらに十分な量の潤滑油の搬送が可能となるという作用を有する。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明に、更に、縦孔部が下から上に向けてシャフトの回転中心軸から遠ざかる方向へ傾斜したものであり、縦孔部においても上向き搬送力を発生させることができ、さらに十分な量の潤滑油の搬送が可能となるという作用を有する。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の発明に、更に、絞り部は傾斜ポンプ部内に円板状のキャップを挿入係止したことで、組立時の装着による絞り部が回転軸心に対して振れることを防止できるので安定した給油が確保できると共に、絞り部を設けた円筒部を長手方向に備えた構成と比べて安価な構成でシャフト主軸部の長さを短くできるという作用を有する。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の発明に、更に、傾斜通路内に平板状のデバイダーを挿入係止されたことを特徴とするものであり、傾斜ポンプ部内で潤滑油の回転方向のすべりが抑制されることで、特に低速回転域における傾斜ポンプ部内で遠心力が潤滑油に有効に働き、より強い上向き搬送力が発生するという作用を有する。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の発明に、更に、傾斜ポンプ部の円筒空洞部から縦孔部の上部開口に至る経路上に軸受部を介さずに密閉容器内空間とを連通する少なくとも1つ以上のガス抜き孔を設けたものであり、給油経路の長い給油機構において圧縮機起動時に混入した冷媒ガスや潤滑油内から気化するガス等を有効に密閉容器内空間へ逃がすことで、給油経路内での潤滑油に発生する上向き搬送力を途切れさせないという作用を有する。
【0025】
請求項6に記載の発明は、請求項1記載から請求項2のいずれか1項に記載の発明に、更に、シャフトの副軸部において、一端が縦孔部に開口し、他端が副軸受の上部または下部で密閉容器内空間とを連通し、前記シャフトの回転に対して遠心力方向に潤滑油放出横孔を穿設したものであり、潤滑油放出横孔内で潤滑油に遠心力が有効に発生するとともに整流されて放出されることで放出方向が一定となり、密閉容器への飛散が確実にされるといった作用を有する。
【0026】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の発明に、更に、一端が縦孔部に開口し、他端が副軸受内周に開口する副軸給油路を有したものであり、副軸部と副軸受との摺動部に確実に給油をすることで信頼性が向上するという作用を有する。
【0027】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の発明に、更に、一端が縦孔部に開口し、他端が副軸受内周と密閉容器内空間との双方に開口した連通共用孔を設けたものであり、加工工数を減らしたシャフトで副軸への給油とピストン及び密閉容器への放出を同じ孔で行うことが出来るといった作用を有する。
【0028】
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の発明に、更に、一端がシャフト縦孔部上端と連通し、他端がシャフトの回転に対して遠心力方向に湾曲しながら延出し、密閉容器内空間に開口する潤滑油放出部を備えたものであり、縦孔部の潤滑油を吸引し引き上げることで、粘性ポンプ部の潤滑油にも吸引し引き上げることとなり、潤滑油放出部の開口端が遠心力方向へ潤滑油を放出するため、給油量が増加するといった作用を有する。
【0029】
請求項10に記載の発明は、密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに電動要素と前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、前記圧縮要素は偏芯軸部と前記偏芯軸部を挟んで上下に同軸状に設けた副軸部および主軸部とを有したシャフトと、略円筒形の圧縮室と前記圧縮室の軸心と略直交するように形成され前記主軸部の上半部を軸支する主軸受とを備えたシリンダブロックと、前記シリンダブロックに固定されるか又は一体に形成され前記副軸部を軸支する副軸受と、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記ピスト
ンと前記偏芯軸部とを連結する連結手段とを備えており、前記シャフトには、前記主軸部の下半部に、前記潤滑油に連通する絞り部を下端に有するとともに前記主軸部の下端から外周に向かい軸心が傾斜した円筒空洞で形成した傾斜ポンプ部を設け、前記主軸部の上半部外周に、下端が前記傾斜ポンプ部の上端近傍と連通し、上方に向かって前記シャフトの反回転方向に傾斜しながら螺旋状に刻設した粘性ポンプ部を設け、前記偏芯軸部から前記副軸部にかけて、一端が前記粘性ポンプ部上端近傍と連通し、他端が前記副軸部の上端面近傍に連通開口した縦孔部とを設け、さらに前記縦孔部の上端を封止する封止部と、一端が前記縦孔部と連通し、他端が前記シャフトの回転に対して遠心力方向に直線的に延出し前記密閉容器内の空間に開口する潤滑油放出部を備えたものであり、傾斜ポンプ部では粘性ポンプ部の下端まで揚程が得られ、更に粘性ポンプで発生した上向きの油圧が縦孔部の揚程をまかない、十分な量の潤滑油を安定して搬送することができるとともに、縦孔部の潤滑油を吸引し引き上げることで潤滑油放出部の開口端が遠心力方向へ延長しながら潤滑油を放出するため、給油経路内の潤滑油を吸引し引き上げることとなり、給油量を増加するといった作用を有する。
【0030】
請求項11に記載の発明は、密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに電動要素と前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、前記圧縮要素は偏芯軸部と前記偏芯軸部を挟んで上下に同軸状に設けた副軸部および主軸部とを有したシャフトと、略円筒形の圧縮室と前記圧縮室の軸心と略直交するように形成され前記主軸部の上半部を軸支する主軸受とを備えたシリンダブロックと、前記シリンダブロックに固定されるか又は一体に形成さ れ前記副軸部を軸支する副軸受と、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記ピストンと前記偏芯軸部とを連結する連結手段とを備えており、前記シャフトには、前記主軸部の下半部に、前記潤滑油に連通する絞り部を下端に有するとともに前記主軸部の下端から外周に向かい軸心が傾斜した円筒空洞で形成した傾斜ポンプ部を設け、前記主軸部の上半部外周に、下端が前記傾斜ポンプ部の上端近傍と連通し、上方に向かって前記シャフトの反回転方向に傾斜しながら螺旋状に刻設した粘性ポンプ部を設け、前記偏芯軸部から前記副軸部にかけて、一端が前記粘性ポンプ部上端近傍と連通し、他端が前記副軸部の上端面近傍に連通開口した縦孔部とを設け、さらに前記副軸部外周において、一端が副軸給油路を介して前記縦孔部と連通し下方に向って前記シャフトの反回転方向に傾斜しながら螺旋状に刻設するとともに下端が前記密閉容器内の空間と連通した副軸リード溝を備えたものであり、傾斜ポンプ部では粘性ポンプ部の下端まで揚程が得られ、更に粘性ポンプで発生した上向きの油圧が縦孔部の揚程をまかない、十分な量の潤滑油を安定して搬送することができ、さらに、副軸摺動部への給油を確実に行うことができるとともに、シャフトの回転により潤滑油の粘性を利用して潤滑油が副軸リード溝から密閉容器内へ放出する際、ピストン及び密閉容器へ飛散することでピストンへの給油と密閉容器からの放熱を兼ねることができるといった作用を有する。
【0031】
請求項12に記載の発明は、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の発明に、更に、少なくとも電源周波数以下の運転周波数を含む複数の運転周波数でインバーター駆動されるものであり、低い運転周波数運転においてシャフトの回転数が低下した場合においても傾斜ポンプから粘性ポンプを経て縦孔部への給油経路を通して各摺動部の潤滑油を供給できるといった作用を有する。
【0032】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載された発明に、更に、電源周波数以下の運転周波数には少なくとも30Hz以下の運転周波数を含むものであり、30Hz以下の低い運転周波数運転においても摺動部への給油を確保することができるといった作用を有する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による密閉型圧縮機の実施例について、図面を参照しながら説明する。な
お、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による密閉型圧縮機の縦断面図、図2は、同実施の形態の密閉型圧縮機のシャフト断面図である。図3は同実施の形態の密閉型圧縮機のシャフト下端部拡大図、図4は同実施の形態の密閉型圧縮機のシャフトの回転数と副軸上端から吐出される給油量の関係を示すグラフである。
【0035】
図1ないし図3において、101は密閉容器で、巻線部103aを保有する固定子103と回転子104からなる電動要素105と、電動要素105によって駆動される圧縮要素106を収容する。108は密閉容器101内に貯溜した潤滑油である。電動要素5はインバーター(図示せず)によって30Hz以下の運転周波数および60Hz以上の運転周波数を含む複数の運転周波数で駆動される。
【0036】
110はシャフトで、主軸部111と、主軸部111と偏心して設けた偏心部112と、偏心部112を挟んで主軸部111と同軸状に設けた副軸部113とから形成される。主軸部111は上半部111aと下半部111bとからなり、下半部111bには回転子104を圧入固定してある。116はシリンダブロックで、略円筒形の圧縮室117を有するとともに主軸部111の上半部111aを軸支する主軸受118を有し、上方に副軸部113を軸支する副軸受119が固定されている。なお、圧縮室117は主軸受118と副軸受119に対して略直角となるように配置されている。
【0037】
120はピストンでシリンダブロック116の圧縮室117に往復摺動自在に挿入され、偏心部112との間を連結手段であるコンロッド121によって連結されている。
【0038】
シャフト主軸部111の下半部111b内には、下端から軸心PCに対して上方に向かい外側にθ1傾斜した円筒空洞で形成した傾斜ポンプ部130が設けられている。傾斜ポンプ部130の内部には平板状のデバイダー133が圧入固定されている。油中開口端にはシャフト110の回転軸心RCに導入孔134aを備えた平板状のキャップからなる絞り部134が圧入固定されている。
【0039】
絞り部134はばね性を有する材料からなり、ばね性を利用してシャフト110内に埋設し、容易に組み込むことができるとともに、他の部品と干渉してずれたりすることのない構成となっている。
【0040】
シャフト主軸部111の上半部111aには、外周に、下端が傾斜ポンプ部130の上端近傍と連通し、上方に向かってシャフト110の反回転方向に傾斜しながら螺旋状に刻設した粘性ポンプ部131が形成されている。
【0041】
さらにシャフト110の偏芯部112から副軸部113にかけて、一端が前記粘性ポンプ部130上端近傍と連通し、他端が副軸部113の上端面近傍に連通開口した縦孔部132を設けてある。
【0042】
縦孔部132には、偏心部112摺動部への連通孔112aと副軸受119内周に開口する副軸給油路113aをそれぞれ備えている。
【0043】
137aは傾斜ポンプ部130上端と密閉容器101内の空間102とを連通するガス抜き孔、137cは傾斜ポンプ部130中間と密閉容器101内の空間102とを連通するガス抜き孔、137bは縦孔部132と密閉容器1内の空間102とを連通するガス抜き孔である。
【0044】
尚、本圧縮機に使用される冷媒は、例えばオゾン破壊係数がゼロのR134aやR600aに代表される温暖化係数の低い自然冷媒である炭化水素系冷媒であり、それぞれ相溶性のある潤滑油と組み合わせてある。
【0045】
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下にその動作を説明する。
【0046】
電動要素105の回転子104はシャフト110を回転させ、偏心部112の回転運動が連結手段121を介してピストン120に伝えられることでピストン120は圧縮室117内を往復運動する。この時、シャフト110の回転により傾斜ポンプ部130内の潤滑油108もシャフト110と共に回転し、潤滑油108には遠心力が作用する。この際、デバイダー133は傾斜ポンプ部130内での潤滑油108の回転方向の滑りを防ぐため、潤滑油はシャフト110の回転速度と同じ速さで回転するため、遠心力が有効に発生、作用する。導入孔134aより流入する潤滑油108は傾斜ポンプ部130内で遠心力方向へ作用力を受け、傾斜ポンプ部130の中で上方向Aと下方向Bへ分流するが、下方向Bへと押圧された潤滑油108は、絞り部134によって移動できず、上方向Cへの潤滑油の搬送力が主体に発生する。また、傾斜ポンプ部130は上方に向かって遠心力方向へ角度θ1傾斜していることから、遠心力が作用する潤滑油108は揚力を得て傾斜ポンプ部130内を斜め方向に這い上がり、上方向への搬送がなされる。従って、従来例に示した同芯ポンプのように潤滑油108が遠心力方向に対して直角上向に搬送するだけの形式と比べて遥かに高い揚程が得られる。
【0047】
次に、傾斜ポンプ部130の上部に至った潤滑油108は、粘性ポンプ部131へと導入される。粘性ポンプ部131のリード溝はシャフト回転方向と逆向きに働く慣性力と同方向に傾斜していることから、潤滑油には新たに上方向への搬送力が働くことになる。これは、従来例で示した上方向の推進力を持たない主軸部11内の縦孔部15に較べて遥かに大きな上方向の推進力を得ることができる。粘性ポンプ部131上端に至った潤滑油108は縦孔部132へと導入される。縦孔部132内の潤滑油108は粘性ポンプ部131の上方向の推進力により押上げられ、シャフト110上端での開口から潤滑油108は放出される。その結果シャフト110の各摺動部で最も高い位置に有る副軸部113へ給油される。
【0048】
ところで両持ち軸受タイプの密閉形圧縮機は副軸部113を持つ分、シャフト110の下部ポンプ部からシャフト110上端までの給油経路が片持ちタイプと比べて構造的に延長される。そこで、圧縮機の起動時直後にけるシャフトの給油経路を通過する潤滑油108の挙動は、シャフトの回転による攪拌と密閉容器101内の減圧により潤滑油中に溶解した冷媒の発泡、気化により傾斜ポンプ部130内や粘性ポンプ131内にガスが押し留められ易くなり、いわゆるガス噛みによる給油阻害が生じる可能性が高くなる。
【0049】
しかしながら、この時、傾斜ポンプ部130内の発泡等による冷媒ガスにおいてはガス抜き孔137aと137cからガス抜きを促し、更に粘性ポンプ部131や縦孔部132で生じた冷媒ガスに関してはガス抜き孔137bによってそれぞれガス抜きを促すことから、ガス噛みを回避し給油経路が潤滑油で満たされるので、粘性ポンプでの潤滑油の揚力を得ることができ給油不良を防ぐことができる。
【0050】
本実施の形態によれば、図4に示すように、従来の同芯ポンプ14を組み合せたタイプではほとんど給油できない、20r/sといった低速域での運転においても確実に、しかも十分な給油量を得ることができることが判明した。また、潤滑油内への冷媒の溶け込み量が多い為、ガス留まりによる給油阻害を起こしやすいR600aやR290と鉱油の組み合せ、またR134aとエステル油の組み合わせにおいても確実に、しかも十分な給油
量を得ることができた。また、上記のような潤滑油内への冷媒の溶け込み量が多い潤滑油と冷媒の組み合わせに加えて潤滑性の低下する粘度8〜10[cts]といった低粘度の潤滑油を使用した運転においても確実に、しかも十分な給油量を得ることができた。したがって従来の同芯ポンプ14を組み合せたタイプでは困難な、潤滑油に溶け込みやすい冷媒で低粘度の潤滑油を用いたものや、より低速域における運転が可能となる低い周端数運転における給油もより安定するため、冷凍システムの飛躍的な消費電力低減を図ることができるのである。
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2による密閉型圧縮機のシャフト断面図である。図6は同実施の形態における密閉型圧縮機のシャフト上面図である。なお、本実施の形態における密閉型圧縮機の基本構成は図1と同じである。
【0051】
図5、6において、シャフト110は主軸部111、偏心部112を挟んだ副軸部113からなり、主軸部111は上半部111aと下半部111bを有し、下半部111b内にはデバイダー133、絞り部134を備えた傾斜ポンプ部130が設けられ、上半部には粘性ポンプ131が形成されている。縦孔部135は粘性ポンプ部130上端近傍と下部135aで連通し、上部135bでシャフト110上端より密閉容器101内へ通じている。また、縦孔部135には偏心部112の摺動部への連通孔112aと副軸部113の摺動部への副軸給油路113aをそれぞれ備えている。さらに、縦孔部135はシャフト上端に向って遠心力方向へθ2傾斜している。シャフト110は下端より傾斜ポンプ部130、粘性ポンプ131、縦孔部135により上端につながる給油経路が形成されている。
【0052】
以上のように構成された密閉型圧縮機について以下その動作を説明する。したがって、シャフト110の回転によって縦孔部135の潤滑油は遠心力による上方向推進力を得る事ができ、遠心力に対して直角に立ち上がった縦孔部132に較べ、さらに大きな上方向の推進力を得ることができる。その結果、密閉容器への潤滑油の放散量が増加し、放熱性が向上し、また、潤滑油に溶け込みやすい冷媒で低粘度の潤滑油を用いたものや、より低速域における運転が可能となる低い周端数運転における給油もより安定するため、密閉型圧縮機の信頼性が向上する。
(実施の形態3)
図7は本発明の実施の形態3による密閉型圧縮機のシャフト上面図である。なお、本実施の形態における密閉型圧縮機の基本構成は図1と同じであり、シャフトの基本構成は図2又は図5と同じである。
【0053】
図7において、縦孔部136は粘性ポンプ部130上端近傍と下部136aで連通し、上部136bでシャフト110上端より密閉容器101内へ通じている。さらに、縦孔部136はシャフト110回転方向と逆向きに働く慣性力と同方向に傾斜している。
【0054】
以上のような構成による密閉型圧縮機の動作について説明する。シャフト110の回転によって粘性ポンプ上端まで汲み上げられた潤滑油108は縦孔部136の傾斜により上方向への搬送力が働く。その結果、密閉容器への潤滑油の放散量が増加し、放熱性が向上し、また、潤滑油に溶け込みやすい冷媒で低粘度の潤滑油を用いたものや、より低速域における運転が可能となる低い周端数運転における給油もより安定するため、冷凍システムの飛躍的な消費電力低減を図ることができ、また密閉型圧縮機の信頼性が向上する。
縦孔部がシャフト上端に向って遠心力方向へ傾斜し、かつシャフト110の反回転方向に傾斜した組み合わせにおいては、相乗効果で更に潤滑油には上方向への搬送力が強く働くこととなる。
【0055】
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の形態4による密閉型圧縮機のシャフト要部断面図である。なお、本実施の形態における密閉型圧縮機の基本構成は図1と同じであり、シャフトの基本構成は図2又は図5と同じである。
【0056】
図8において、138は、縦孔部132と密閉容器101内とを連通する潤滑油放出横孔であり、副軸部113の上方に設けられている。
【0057】
以上のような構成による密閉型圧縮機の動作について説明する。まずシャフト110の回転によって縦孔部132まで搬送された潤滑油108は、副軸部113の摺動部へと副軸給油路113aを介して給油した後、そこで余った潤滑油が潤滑油放出横孔138から密閉容器101へと放出される。
【0058】
この時、従来例で示した構成では、副軸受19の壁面を伝って密閉容器1への潤滑油放散を行う事を特徴としているために、副軸部19を持つ給油経路の長い構成においては、縦孔部15からの給油量も減少することから、シャフト10上端から潤滑油を放散する勢いが減少し、副軸受19壁面の表面張力によって密閉容器まで放散できないといった状態が生じる可能性がある。
【0059】
しかしながら、このような給油経路の長い場合でも、潤滑油放出横孔138が放出される潤滑油を整流する効果を発揮し、一ヵ所から分散されないように遠心力方向へと放散(支流D)できるので、副軸受119部壁面への表面張力によって放出潤滑油が分散される事もなく、確実に潤滑油を密閉容器へと放散することができる。従って、潤滑油の冷却が促されて信頼性向上を図る事ができ、また、低周波数運転時のような遠心力が小さく潤滑油の振り出し力が低下している場合においても、潤滑油を密閉容器101へと放散できる。
【0060】
次に、図9は同実施の形態による密閉型圧縮機の他の例によるシャフトの要部断面図である。
【0061】
図9において、139は連通共用孔でシャフトの回転に対して遠心力方向に穿設しており、一端が縦孔部132と連通し、他端が副軸受119内周と密閉容器101内空間との双方に開口している。
【0062】
シャフト110の回転によって縦孔部まで搬送された潤滑油108は、連通共用孔139を通り、一部は副軸受119内周に給油され副軸受119と副軸部113との摺動部を潤滑し、一部が支流Eとして密閉容器101内雰囲気に開放されることで潤滑油冷却を行うと共に、ピストン120への潤滑によるピストン120、シリンダ116間との潤滑油シール性の向上による体積効率の向上が図れる。従って、一つの孔で副軸部の潤滑と潤滑油の潤滑油冷却及びピストン120摺動部への潤滑油跳ね掛けの共用化が図れるため、加工点数増によるコストアップも回避できるといった、低コストを達成しつつ高効率・高信頼性の圧縮機を提供する事ができる。
【0063】
(実施の形態5)
図10は本発明の実施の形態5による密閉型圧縮機のシャフトの要部断面図である。なお、本実施の形態における密閉型圧縮機の基本構成は図1と同じであり、シャフトの基本構成は図2又は図5と同じである。
【0064】
図10において、140は潤滑油放出部で湾曲させたチューブで形成され、一端が縦孔部132上端に圧入開口し、他端はシャフト110の回転による遠心力方向に密閉容器101内へ延出開口している。
【0065】
以上のような構成による密閉型圧縮機の動作について説明する。シャフト110の回転によって傾斜ポンプ部130から縦孔部まで搬送された潤滑油108は、潤滑油放出部140の遠心力方向へ延出した部分で遠心力が働き、潤滑油を吸引する作用が働く。
【0066】
この作用によって縦孔部132の潤滑油が潤滑油放出部140に吸引され、上方向へ引き上げられることで滞溜していた粘性ポンプ部132のガスも同時に引き出されるといった効果を持つ。従って、両持ち軸受タイプといった給油経路の長い物でもガス噛みを防止することができ、片持ちタイプと同等の安定した給油特性を確保できる。また、潤滑油に溶け込みやすい冷媒で低粘度の潤滑油を用いたものや、より低速域における運転が可能となる低い周端数運転における給油もより安定するため、冷凍システムの飛躍的な消費電力低減を図ることができ、また密閉型圧縮機の信頼性が向上する。
【0067】
(実施の形態6)
図11は実施の形態6による密閉型圧縮機のシャフトの断面図である。なお、本実施の形態における密閉型圧縮機の基本構成は図1と同じであり、シャフトの基本構成は図2又は図5と同じである。
【0068】
図11において、141は潤滑油放出部で潤滑油放出横孔に圧入し、シャフト110の回転による遠心力方向に密閉容器101内へ延出開口している。141aは縦孔部132上端の封止部でキャップ状の金属プレス部品で形成される。
【0069】
以上のような構成において、シャフト110の回転によって縦孔部まで搬送された潤滑油108は、潤滑油放出部141へと搬送される。搬送された潤滑油108には、潤滑油放出部141が遠心力方向へ延出しているため、遠心力が働き潤滑油を吸引する。
【0070】
この作用によって縦孔部132の潤滑油が潤滑油放出部141に吸引され、上方向へ引き上げられることで滞溜していた粘性ポンプ部132のガスも同時に引き出されるといった効果を持つ。従って、両持ち軸受タイプといった給油経路の長い物でもガス噛みを防止することができ、片持ちタイプと同等の安定した給油特性を確保できる。また、潤滑油に溶け込みやすい冷媒で低粘度の潤滑油を用いたものや、より低速域における運転が可能となる低い周端数運転における給油もより安定するため、冷凍システムの飛躍的な消費電力低減を図ることができ、また密閉型圧縮機の信頼性が向上する。
【0071】
本構成は、さらに潤滑油放出部が直管といった比較的加工の少ない安価な部品で構成できるため、コスト低減が図れる。
【0072】
(実施の形態7)
図12は実施の形態7による密閉型圧縮機のシャフト副軸部の詳細図である。なお、本実施の形態における密閉型圧縮機の基本構成は図1と同じであり、シャフトの基本構成は図2又は図5と同じである。
【0073】
図12において、142は副軸リード溝で副軸部113の外周に刻設され、副軸給油路113aと連通し、副軸部113下部に副軸部密閉容器101内空間へ開口する開口端142aを有する。リード溝142は副軸給油路113aを起点に下方に向かってシャフト110の反回転方向に傾斜し、螺旋形状を持つ。
【0074】
以上のような構成において、シャフト110の回転によって縦孔部132まで搬送された潤滑油108は、まず副軸部113の給油路113aへと搬送され、次にリード溝142へと送り込まれる。この時リード溝部142がシャフト110回転方向に対して上向き
の角度を持つことから、潤滑油108はリード溝142を伝って下方向へと押し出され、密閉容器101との連通端142aから支流Gに示した如く、密閉容器101内へ放出され、放熱とともにピストン120への給油を司る。したがってリード溝部142の回転に伴い副軸部113摺動部全周に亘って潤滑することができ、より副軸部113の摺動部の信頼性が向上するとともに低速回転運転時においても、良好な放熱が得られ、またピストン120摺動部の潤滑がより確実に行われることで信頼性の高い密閉型圧縮機を得ることができる。また、潤滑油に溶け込みやすい冷媒で低粘度の潤滑油を用いたものや、より低速域における運転が可能となる低い周端数運転における給油もより安定するため、冷凍システムの飛躍的な消費電力低減を図ることができ、また密閉型圧縮機の信頼性が向上する。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1に記載の発明は、シャフトには、前記主軸部の下半部に、前記潤滑油に連通する絞り部を下端に有するとともに前記主軸部の下端から外周に向かい軸心が傾斜した円筒空洞で形成した傾斜ポンプ部を設け、前記主軸部の上半部外周に、下端が前記傾斜ポンプ部の上端近傍と連通し、上方に向かって前記シャフトの反回転方向に傾斜しながら螺旋状に刻設した粘性ポンプ部を設け、前記偏芯軸部から前記副軸部にかけて、一端が前記粘性ポンプ部上端近傍と連通し、他端が前記副軸部の上端面近傍に連通開口した縦孔部とを設けたことで、傾斜ポンプ部では粘性ポンプ部の下端まで揚程が得られ、更に粘性ポンプで発生した上向きの油圧が縦孔部の揚程をまかない、十分な量の潤滑油を安定して搬送することができる。
【0076】
また請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明に、更に、縦孔部が下から上に向けてシャフトの回転中心軸から遠ざかる方向へ傾斜したものであり、縦孔部においても上向き搬送力を発生させることができ、さらに十分な量の潤滑油の搬送が可能となる。
【0077】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明に、更に、縦孔部が下から上に向けてシャフトの回転方向と反対方向に傾斜したものであり、縦孔部においても上向き搬送力を発生させることができ、さらに十分な量の潤滑油の搬送が可能となる。
【0078】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3記載のいずれか1項に記載の発明に、更に、絞り部は傾斜ポンプ部内に円板状のキャップを挿入係止したことで、組立時の装着による絞り部が回転軸心に対して振れることを防止できるので安定した給油が確保できると共に、絞り部を設けた円筒部を長手方向に加えなくた構成と比べて安価な構成でシャフト主軸部の長さを短くできる。
【0079】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項3記載のいずれか1項に記載の発明に、更に、傾斜通路内に平板状のデバイダーを挿入係止されたことを特徴とするものであり、傾斜ポンプ部内で潤滑油の回転方向のすべりが抑制されることで、特に低速回転域における傾斜ポンプ部内で遠心力が潤滑油に有効に働き、より強い上向き搬送力が発生する。
【0080】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項3記載のいずれか1項に記載の発明に、更に、傾斜ポンプ部の円筒空洞部から縦孔部の上部開口に至る経路上に軸受部を介さずに密閉容器内空間とを連通する少なくとも1つ以上のガス抜き孔
を設けたものであり、給油経路の長い給油機構において圧縮機起動時に混入した冷媒ガスや潤滑油内から気化するガス等を有効に密閉容器内空間へ逃がすことで、給油経路内での潤滑油に発生する上向き搬送力を途切れさせない。
【0081】
請求項7に記載の発明は、請求項1記載から請求項3のいずれか1項に記載の発明に、更に、シャフトの副軸部において、一端が縦孔部に開口し、他端が副軸受の上部または下
部で密閉容器内空間とを連通し、前記シャフトの回転に対して遠心力方向に潤滑油放出横孔を穿設したものであり、潤滑油放出横孔内で潤滑油に遠心力が有効に発生するとともに整流されて放出されることで放出方向が一定となり、密閉容器への飛散が確実にされる。
【0082】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項3記載のいずれか1項に記載の発明に、更に、一端が縦孔部に開口し、他端が副軸受内周に開口する副軸給油路を有したものであり、副軸部と副軸受との摺動部に確実に給油をすることで信頼性が向上する。
【0083】
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項3記載のいずれか1項に記載の発明に、更に、一端が縦孔部に開口し、他端が副軸受内周と密閉容器内空間との双方に開口した連通共用孔を設けたものであり、加工工数を減らしたシャフトで副軸への給油とピストン及び密閉容器への放出を同じ孔で行うことが出来る。
【0084】
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項3記載のいずれか1項に記載の発明に、更に、一端がシャフト縦孔部上端と連通し、他端がシャフトの回転に対して遠心力方向に湾曲しながら延出し、密閉容器内空間に開口する潤滑油放出部を備えたものであり、縦孔部の潤滑油を吸引し引き上げることで、粘性ポンプ部の潤滑油にも吸引し引き上げることとなり、潤滑油放出部の開口端が遠心力方向へ潤滑油を放出するため、給油量が増加する。
【0085】
請求項11に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明に、更に、シャフト縦孔部の上端を封止する封止部と、一端がシャフト縦孔部と連通し、他端がシャフトの回転に対して遠心力方向に直線的に延出し密閉容器内空間に開口する潤滑油放出部を備えたものであり、縦孔部の潤滑油を吸引し引き上げることで潤滑油放出部の開口端が遠心力方向へ延長しながら潤滑油を放出するため、給油経路内の潤滑油を吸引し引き上げることとなり、給油量を増加する。
【0086】
請求項12に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明に、更に、シャフト副軸部外周で、一端が副軸給油路と連通し他端が密閉容器内空間に開口した螺旋状の副軸リード溝を設けたものであり、副軸摺動部への給油を確実に行うことができるとともに、シャフトの回転により潤滑油の粘性を利用して潤滑油が副軸リード溝から密閉容器内へ放出する際、ピストン及び密閉容器へ飛散することでピストンへの給油と密閉容器からの放熱を兼ねることができる。
【0087】
請求項13に記載の発明は、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の発明に、更に、少なくとも電源周波数以下の運転周波数を含む複数の運転周波数でインバーター駆動されるものであり、低い運転周波数運転においてシャフトの回転数が低下した場合においても傾斜ポンプから粘性ポンプを経て縦孔部への給油経路を通して各摺動部の潤滑油を供給できる。
【0088】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載された発明に、更に、電源周波数以下の運転周波数には少なくとも30Hz以下の運転周波数を含むものであり、30Hz以下の低い運転周波数運転においても摺動部への給油を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による実施の形態1の密閉型圧縮機の縦断面図
【図2】 同実施の形態の密閉型圧縮機のシャフト側面図
【図3】 同実施の形態の密閉型圧縮機のシャフト下端部拡大図
【図4】 同実施の形態の密閉型圧縮機の給油特性を示す特性図
【図5】 本発明による実施の形態2の密閉型圧縮機のシャフト断面図
【図6】 同実施の形態の密閉型圧縮機のシャフト上面図
【図7】 本発明による実施の形態3の密閉型圧縮機のシャフト上面図
【図8】 本発明による実施の形態4の密閉型圧縮機のシャフト要部断面図
【図9】 同実施の形態による密閉型圧縮機のシャフト要部断面図
【図10】 本発明による実施の形態5の密閉型圧縮機のシャフト要部断面図
【図11】 本発明による実施の形態6の密閉型圧縮機のシャフト要部断面図
【図12】 本発明による実施の形態7の密閉型圧縮機のシャフト副軸部詳細図
【図13】 従来の密閉型圧縮機の縦断面図
【図14】 従来の密閉型圧縮機の上面図
【図15】 従来の密閉型圧縮機のシャフト下部断面図
【図16】 従来の密閉型圧縮機のシャフト副軸要部断面図
【符号の説明】
101 密閉容器
105 電動要素
106 圧縮要素
108 潤滑油
110 シャフト
111 主軸部
112 偏芯軸部
113 副軸部
113a 副軸給油路
116 シリンダブロック
117 圧縮機
118 主軸受
119 副軸受
120 ピストン
121 連結手段
130 傾斜ポンプ部
131 粘性ポンプ部
132 縦孔部
135 縦孔部
136 縦孔部
137a ガス抜き孔
137b ガス抜き孔
137c ガス抜き孔
138 潤滑油放出横孔
139 連通共用孔
140 潤滑油放出部
141 潤滑油放出部
141a 封止部
142 副軸リード溝

Claims (13)

  1. 密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに電動要素と前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、前記圧縮要素は偏芯軸部と前記偏芯軸部を挟んで上下に同軸状に設けた副軸部および主軸部とを有したシャフトと、略円筒形の圧縮室と前記圧縮室の軸心と略直交するように形成され前記主軸部の上半部を軸支する主軸受とを備えたシリンダブロックと、前記シリンダブロックに固定されるか又は一体に形成され前記副軸部を軸支する副軸受と、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記ピストンと前記偏芯軸部とを連結する連結手段とを備えており、前記シャフトには、前記主軸部の下半部に、前記潤滑油に連通する絞り部を下端に有するとともに前記主軸部の下端から外周に向かい軸心が傾斜した円筒空洞で形成した傾斜ポンプ部を設け、前記主軸部の上半部外周に、下端が前記傾斜ポンプ部の上端近傍と連通し、上方に向かって前記シャフトの反回転方向に傾斜しながら螺旋状に刻設した粘性ポンプ部を設け、前記偏芯軸部から前記副軸部にかけて、一端が前記粘性ポンプ部上端近傍と連通し、他端が前記副軸部の上端面近傍に連通開口した縦孔部とを設け、前記縦孔部は下から上に向けて前記シャフトの回転方向と反対方向に傾斜した密閉型圧縮機。
  2. 縦孔部は下から上に向けてシャフトの回転中心軸から遠ざかる方向へ傾斜した請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. 絞り部は円板状の部材からなる請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
  4. 傾斜通路内に平板状のデバイダーを挿入係止した請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
  5. 傾斜ポンプ部の円筒空洞部から縦孔部の上部開口に至る経路上に密閉容器内空間と連通する少なくとも1つ以上のガス抜き孔を設けた請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
  6. シャフトの副軸部において、一端が縦孔部に開口し、他端が副軸受の上部または下部で密閉容器内空間と連通し、前記シャフトの回転に対して遠心力方向に潤滑油放出横孔を穿設した請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
  7. 一端が縦孔部に開口し、他端が副軸受内周に開口する副軸給油路を設けた請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
  8. 一端が縦孔部に開口し、他端が副軸受内周と密閉容器内空間との双方に開口した連通共用孔を設けた請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
  9. 一端がシャフト縦孔部上端と連通し、他端がシャフトの回転に対して遠心力方向に延出し、密閉容器内空間に開口する潤滑油放出部を備えた請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
  10. 密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに電動要素と前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、前記圧縮要素は偏芯軸部と前記偏芯軸部を挟んで上下に同軸状に設けた副軸部および主軸部とを有したシャフトと、略円筒形の圧縮室と前記圧縮室の軸心と略直交するように形成され前記主軸部の上半部を軸支する主軸受とを備えたシリンダブロックと、前記シリンダブロックに固定されるか又は一体に形成され前記副軸部を軸支する副軸受と、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記ピストンと前記偏芯軸部とを連結する連結手段とを備えており、前記シャフトには、前記主軸部の下半部に、前記潤滑油に連通する絞り部を下端に有するとともに前記主軸部の下端から外周に向かい軸心が傾斜した円筒空洞で形成した傾斜ポンプ部を設け、前記主軸部の上半部外周に、下端が前記傾斜ポンプ部の上端近傍と連通し、上方に向かって前記シャフトの反回転方向に傾斜しながら螺旋状に刻設した粘性ポンプ部を設け、前記偏芯軸部から前記副軸部にかけて、一端が前記粘性ポンプ部上端近傍と連通し、他端が前記副軸部の上端面近傍に連通開口した縦孔部とを設け、さらに前記縦孔部の上端を封止する封止部と、一端が前記縦孔部と連通し、他端が前記シャフトの回転に対して遠心力方向に直線的に延出し前記密閉容器内の空間に開口する潤滑油放出部を備えた密閉型圧縮機。
  11. 密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに電動要素と前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、前記圧縮要素は偏芯軸部と前記偏芯軸部を挟んで上下に同軸状に設けた副軸部および主軸部とを有したシャフトと、略円筒形の圧縮室と前記圧縮室の軸心と略直交するように形成され前記主軸部の上半部を軸支する主軸受とを備えたシリンダブロックと、前記シリンダブロックに固定されるか又は一体に形成され前記副軸部を軸支する副軸受と、前記圧縮室内で往復運動するピストンと、前記ピストンと前記偏芯軸部とを連結する連結手段とを備えており、前記シャフトには、前記主軸部の下半部に、前記潤滑油に連通する絞り部を下端に有するとともに前記主軸部の下端から外周に向かい軸心が傾斜した円筒空洞で形成した傾斜ポンプ部を設け、前記主軸部の上半部外周に、下端が前記傾斜ポンプ部の上端近傍と連通し、上方に向かって前記シャフトの反回転方向に傾斜しながら螺旋状に刻設した粘性ポンプ部を設け、前記偏芯軸部から前記副軸部にかけて、一端が前記粘性ポンプ部上端近傍と連通し、他端が前記副軸部の上端面近傍に連通開口した縦孔部とを設け、さらに前記副軸部外周において、一端が副軸給油路を介して前記縦孔部と連通し下方に向って前記シャフトの反回転方向に傾斜しながら螺旋状に刻設するとともに下端が前記密閉容器内の空間と連通した副軸リード溝を備えた密閉型圧縮機。
  12. 少なくとも電源周波数以下の運転周波数を含む複数の運転周波数でインバーター駆動される請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
  13. 電源周波数以下の運転周波数には少なくとも30Hz以下の運転周波数を含む請求項12記載の密閉型圧縮機。
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