JP4147027B2 - 還元性雰囲気下の水系殺微生物方法 - Google Patents

還元性雰囲気下の水系殺微生物方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、還元性雰囲気下にある水系、特に製紙工程の古紙回収を含めたパルプの還元漂白工程およびパルプの還元漂白後の工程における殺微生物方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、製紙産業においては紙のリサイクルが進展し、古紙の利用が新聞紙から中質・上質紙へと拡大して、再生紙の白色度を上げることが要望されている。
【0003】
紙の白色度を上げるために、通常、パルプの漂白が行われている。パルプの漂白は、これまで塩素、次亜塩素酸ナトリウム(ハイポ)、二酸化塩素等の塩素系漂白処理が主流であったが、周辺環境への配慮から過酸化水素等の酸化剤を用いる漂白と、亜硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、二酸化チオ尿素、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤を用いる漂白を組み合わせた二段漂白方法へと転換するようになってきた。漂白工程における殺微生物処理は、これまで酸化型の殺微生物剤が主に用いられてきたが、これらは還元雰囲気下にあってはその殺微生物作用が大きく低下し、十分な殺微生物効果が得られず、スライムの発生がみられている。スライムが工程内の壁面や装置に付着すると、スライム付着面下の腐食が発生したり、付着したスライムの一部が剥離して紙製品に再付着して断紙を引き起こし操業の一時停止、成紙中の欠点(欠損部)や汚点の発生等の品質低下などの多大な損失をもたらすので、還元性雰囲気下にある水系におけるスライムの発生抑制、すなわち殺微生物処理の要望が高くなってきた。また、コーンでんぷん等のでんぷん粉砕工程で亜硫酸ナトリウムを添加したり、粉体化したでんぷんの白色度を調整のために亜硫酸ナトリウムを添加したりする。一般にでんぷんを使用した、スラリーの防腐目的で殺微生物剤を使用するが、このような還元物質を含むでんぷんを使用するとでんぷんスラリーが還元性雰囲気となり、やはり殺微生物作用が大きく低下し、でんぷんスラリーが腐敗しやすくなるという問題もある。
【0004】
還元性物質の存在下(還元性雰囲気下)における殺菌方法として各種殺菌剤が提案されている。例えば、有効成分として無水マレイン酸を添加してなる工業的殺菌方法(特開平10−72304号公報)、N,4−ジヒドロキシ−α−オキソベンゼンエタンイミドイルクロライドと無水マレイン酸もしくはその水溶性誘導体を組み合わせて添加する殺菌方法(特開平3−170404号公報)、2,2'−ジヒドロキシ−5,5'−ジクロロジフェニルメタンとイソチアゾリン−3−オン系化合物との包接化合物及びブロム化酢酸エステルを組み合わせて添加する殺菌方法(特開平7−258002号公報)、ジハロゲン化グリオキシム誘導体を添加する殺菌方法(特開平8−20505号公報)、メチレンビスチオシアネートと2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール及び5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オンを組み合わせて添加する殺菌方法(特開平10−36202号公報)、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドとブロム酢酸エステル化合物と2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパン又は2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールを組み合わせて添加する殺菌方法(特開平10−67608号公報)、α−クロロベンズアルドキシムとα−クロロベンズアルドキシム、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパン、1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパン及び2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールのうちのいずれかとメチレンビスチオシアネートを組み合わせて添加する殺菌方法(特開平10−109907号公報)、ベンゾイソチアゾリンとジデシルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドおよびジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネートを組み合わせて添加する殺菌方法(特開平11−71211号公報)等が提案されている。しかし、依然として満足する効果を得るには至っておらず、より有効な殺微生物方法が強く求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような事情のもとに本発明の目的は、還元性雰囲気下にある水系、特に製紙工程の古紙回収を含めたパルプの還元漂白工程、パルプの還元漂白後の工程およびでんぷんスラリー調整工程における殺微生物方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、特定の4級アンモニウム塩化合物が、還元性雰囲気下に優れた殺微生物効果を持つことを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、請求項1の発明は水系殺微生物方法であり、スルホキシル酸イオン、亜硫酸イオン及びチオ硫酸イオンのうちの1種又は2種以上が存在している還元性雰囲気下にある水系に、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩化合物を添加することを特徴としている。
【0007】
【化2】
Figure 0004147027
(式中、R1、R2、R3及びR4のうち1〜3個はメチル基及びエチル基から選ばれ、その他はヒドロキシ基および/あるいはベンゼン環を有していてもよい炭素数が8〜18のアルキル基、炭素数が8〜18のアルケニル基及び炭素数が8〜18のアリール基から選ばれる。Xはヒドロキシ基を含んでいてもよい炭素数が4〜18の1〜3価カルボン酸残基であり、2〜3価カルボン酸残基の場合は一部がナトリウム塩あるいはカリウム塩であってもよい。nは1あるいは2の整数である。)で表される4級アンモニウム塩化合物を添加することを特徴とする還元性雰囲気下の水系殺微生物方法。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の水系殺微生物方法であり、4級アンモニウム塩化合物が、前記一般式(1)においてR1、R2、R3及びR4のうち1〜3個はメチル基及びエチル基から選ばれ、その他は炭素数が10〜18のアルキル基であることを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1記載の水系殺微生物方法であり、4級アンモニウム塩化合物が、前記一般式(1)においてR1、R2、R3及びR4のうち2個はメチル基及びエチル基から選ばれ、その他の2個は炭素数が10〜18のアルキル基であることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1記載の水系殺微生物方法であり、4級アンモニウム塩化合物が、グルコン酸ジデシルジメチルアンモニウム、グルタル酸ビス(ジデシルジメチルアンモニウム)、アジピン酸ジデシルジメチルアンモニウムナトリウム、アジピン酸ビス(ジデシルジメチルアンモニウム)、グルコン酸ドジデシルジメチルアンモニウム、グルタル酸ビス(ジドデシルジメチルアンモニウム)、アジピン酸ジドデシルジメチルアンモニウムナトリウム及びアジピン酸ビス(ジドデシルジメチルアンモニウム)から選ばれる1種以上であることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における還元性雰囲気下の水系は、古紙回収を含めたパルプの還元漂白工程及び酸化還元漂白後の工程水や漂白処理されたパルプを含むパルプスラリー、還元剤を含むでんぷんを使用、調整されたスラリーなどの還元性物質が共存する工程水およびでんぷんを含むパルプスラリー、更にはその他工業分野においてみられる硫化水素が多く混入して還元性雰囲気となった水系も包含する。
【0012】
これらの工程では、ハイドロサルファイト塩類、チオ硫酸塩類、チオグリコール酸塩類、二酸化チオ尿素等が還元剤として使用され、水系ではスルホキシル酸イオン、亜硫酸イオン、チオ硫酸イオン等の形として存在し、これらの1種あるいは2種以上が5〜200mg/L存在する。
【0013】
本発明に係る4級アンモニウム塩化合物は、下記一般式(1)で表された4級アンモニウム塩化合物である。
【化3】
Figure 0004147027
【0014】
一般式(1)におけるR1、R2、R3及びR4のうち1〜3個はメチル基及びエチル基から選ばれ、その他はヒドロキシ基および/あるいはベンゼン環を有していてもよい炭素数が8〜18のアルキル基、炭素数が8〜18のアルケニル基及び炭素数が8〜18のアリール基から選ばれる。
【0015】
ヒドロキシ基および/あるいはベンゼン環を有していてもよい炭素数が8〜18のアルキル基は、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ステアリル基、ベヘニル基、ヤシアルキル基、2−エチルへキシル基、イソステアリル基、2−ヒドロキシエチル基、ベンジル基などであり、炭素数が8〜18のアルケニル基としてはオレイル基、リノレイル基などであり、炭素数が8〜18のアリール基としてはエチルフェニル基などである。
【0016】
一般式(1)におけるXはヒドロキシ基を含んでいてもよい炭素数が4〜18の1〜3価カルボン酸残基であり、1価のカルボン酸としては酪酸、吉草酸、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、サリチル酸、ケイ皮酸、グルコン酸、乳酸、2価のカルボン酸としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバチン酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アスパラギン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸等、3価のカルボン酸としてはクエン酸などがある。このうち、好ましくはラウリン酸、グルコン酸、グルタル酸及びアジピン酸から選ばれる。
【0017】
このとき、2〜3価カルボン酸の場合には、一部がナトリウム塩あるいはカリウム塩の形であってもよい。
【0018】
4級アンモニウム塩化合物の具体例としては、ラウリン酸ジオクチルジメチルアンモニウム、ラウリン酸ジデシルジメチルアンモニウム、ラウリン酸ジドデシルジメチルアンモニウム、グルコン酸ジオクチルジメチルアンモニウム、グルタル酸ジオクチルジメチルアンモニウムカリウム、グルタル酸ビス(ジオクチルジメチルアンモニウム)、グルタル酸ジデシルジメチルアンモニウムナトリウム、グルタル酸ジドデシルジメチルアンモニウムナトリウム、グルコン酸ドジデシルジメチルアンモニウムカリウム、グルコン酸ジデシルジメチルアンモニウム、グルタル酸ビス(ジドデシルジメチルアンモニウム)、グルタル酸ビス(ドジデシルジメチルアンモニウム)、アジピン酸ジオクチルジメチルアンモニウムナトリウム、グルタル酸ジドデシルジメチルアンモニウムカリウム、グルタル酸ビス(ジオクチルジメチルアンモニウム)、アジピン酸ジデシルジメチルアンモニウムナトリウム、グルタル酸ジデシルジメチルアンモニウムカリウム、グルタル酸ビス(ジデシルジメチルアンモニウム)、アジピン酸ジオクチルジメチルアンモニウムカリウム、アジピン酸ビス(ジオクチルジメチルアンモニウム)、アジピン酸ジデシルジメチルアンモニウムカリウム、アジピン酸ジドデシルジメチルアンモニウムナトリウム、アジピン酸ジドデシルジメチルアンモニウムカリウム、アジピン酸ビス(ジデシルジメチルアンモニウム)、アジピン酸ビス(ジドデシルジメチルアンモニウム)等があり、好ましくはグルタル酸ビス(ジドデシルジメチルアンモニウム、グルタル酸ビス(ジデシルジメチルアンモニウム)、グルコン酸ジデシルジメチルアンモニウム、アジピン酸ジデシルジメチルアンモニウムナトリウム、アジピン酸ビス(ジデシルジメチルアンモニウム)、グルコン酸ジドデシルジメチルアンモニウム、グルタル酸ビス(ジドデシルジメチルアンモニウム)、アジピン酸ジドデシルジメチルアンモニウムナトリウム及びアジピン酸ビス(ジドデシルジメチルアンモニウム)である。4級アンモニウム塩化合物は単独使用でもよいが、2種以上を混合して使用してもよい。
【0019】
本発明に係る4級アンモニウム塩化合物は、通常、水あるいは水と親水性有機溶剤の混合液に溶解、あるいは分散して適用される。親水性有機溶剤としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどがあり、これらは2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
4級アンモニウム塩化合物の添加量は、処理対象水系の状況を考慮して、適宜決定されるが、通常、対象とする水系に対し、0.1〜1,000mg/Lであり、好ましくは1〜100mg/Lである。
【0021】
水系への添加方法は、特に限定されるものではないが、例えば通常の薬品注入ポンプを用いて、連続的あるいは間欠的に添加される。
【0022】
本発明の殺微生物方法は、対象とする水系のpHの影響が小さく、pH4の酸性域からpH10以下のアルカリ性域まで適用することができる。
【0023】
本発明の効果を妨害しない範囲において、他の殺微生物剤、界面活性剤を併用したり、あるいは消泡剤、スケールコントロール剤等その他工程添加剤と共に使用したりすることがあるが、本発明はこれら薬品の添加については何ら制限するものではない。
【0024】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0025】
〔本発明に該当する殺微生物剤〕
殺微生物剤1:マロン酸ビス(ジテトラデシルジメチルアンモニウム)〔東京化成(株)製・試薬〕を0.5重量%エタノール溶液として用いた。
殺微生物剤2:コハク酸ビス(ジドデシルジメチルアンモニウム)〔東京化成(株)製・試薬〕を0.5重量%エタノール溶液として用いた。
殺微生物剤3:ラウリン酸ジドデシルジメチルアンモニウム〔東京化成(株)製・試薬〕を0.5重量%エタノール溶液として用いた。
殺微生物剤4:オクタン酸ジドデシルジメチルアンモニウム〔東京化成(株)製・試薬〕を0.5重量%エタノール溶液として用いた。
殺微生物剤5:アジピン酸ジデシルジメチルアンモニウムナトリウム〔東京化成(株)製・試薬〕を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤6:アジピン酸ジデシルジメチルアンモニウムカリウム〔東京化成(株)製・試薬〕を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤7:アジピン酸ビス(ジデシルジメチルアンモニウム)〔「オスモリンDA−50」(商品名)、三洋化成工業(株)製〕を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤8:50重量%グルコン酸水溶液〔関東化学(株)製・試薬〕157部(純分換算0.40モル)と水300部を80〜90℃に保ちながらジデシルジメチルアンモニウムメチルカーボネート〔関東化学(株)製・試薬〕のメタノール溶液230部(純分換算0.40モル)を2時間かけて徐々に加え、発生する二酸化炭素とメタノールを留去してグルコン酸ジデシルジメチルアンモニウムの水溶液を得た。イオン交換水にて活性分0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤9:グルタル酸ビス(ジデシルジメチルアンモニウム)〔関東化学(株)製〕を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤10:アジピン酸ビス(ジオクチルジメチルアンモニウム)〔関東化学(株)製・試薬〕を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤11:グルコン酸ジドデシルジメチルアンモニウム〔関東化学(株)製・試薬〕を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤12:グルコン酸ビス(ジドデシルジメチルアンモニウム)〔関東化学(株)製・試薬〕を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤13:アジピン酸ジドデシルジメチルアンモニウムナトリウム〔関東化学(株)製・試薬〕を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤14:アジピン酸ビス(ジドデシルジメチルアンモニウム)〔関東化学(株)製・試薬〕を0.5重量%水溶液として用いた。
【0026】
〔比較に挙げた殺微生物剤〕
殺微生物剤15:塩化ベンザルコニウム〔関東化学(株)製・試薬〕を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤16:1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(「プロクセルプレスペースト(D)」(商品名)、ゼネカ(株)製)を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤17:2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール〔「マイアサイドAS」(商品名)、長瀬化成(株)製〕を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤18:5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物〔「ゾーネンF」(商品名)、市川合成(株)製〕を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤19:オルトフタルアルデヒド〔「OPA」(商品名)、昭和加工(株)製〕を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤20:グルタルアルデヒド〔「アキュカー550」(商品名)、ユニオンカーバイド社製〕を0.5重量%水溶液として用いた。
殺微生物剤21:5−ジクロロ−2−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン〔「クラリックス4000」(商品名)、ローム&ハース社製〕を0.5重量%水溶液として用いた。
【0027】
〔殺微生物試験に用いた微生物〕
微生物1:グラム陰性菌のシュードモナス エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa:IFO−12689)
微生物2:胞子形成菌のバシルス スブチルス(Bacilus subtils:IAM−1633
微生物3:グラム陽性菌であるスタフィロコッカス アウレウス(Staphlococcus aureus:IAM−12082)
微生物4:腸内細菌のエッセレシア コリ(Escherechia coli:IAM−12119)
微生物5:グラム陰性菌で多糖類を産生し、スライム形成力が高いキサントモナス カンペストリス(Xanthmonas campestris:IFO−13551)
微生物6:カビのトリコデルマ ビリデ(Trichoderma virde:IFO−5720)
微生物7:酵母のサッカロミセス セルビシエ(Sacharomyces cerevisiae:IAM−4274)
【0028】
〔殺微生物試験1〕
細菌用平板培地(グルコース1.0g、ペプトン5.0g、イーストエキストラクト2.5g、寒天18gを蒸留水1Lに溶解させ、pHを6.8に調整したもの)を用い、平板培地にて、シュードモナス エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa:IFO−12689)(微生物1)が対数増殖期になるように25℃にて1〜2日間培養を行なった。滅菌水100mL中に対数増殖期にある菌株をl白金耳入れた後、還元性物質として亜硫酸ナトリウムをSO3 2-濃度として5mg/L、50mg/L、100mg/Lになるように添加し、さらにpH6に調整した。次に殺微生物剤を所定量添加し、30℃、30分間振盪した後、コロニーカウント法により菌数(個/mL)の測定を行なった。結果を表1に示した。
【0029】
【表1】
Figure 0004147027
【0030】
従来の殺微生物剤は、還元性物質が共存すると殺微生物効果は著しく低下し、SO3 2-濃度として50mg/L共存すると、殺微生物効果は全くなくなる。一方、本発明の殺微生物方法によれば、還元性物質が100mg/L共存しても高い殺微生物効果が得られる。
【0031】
〔殺微生物試験2〕
グラム陰性菌のシュードモナス エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa:IFO−12689)(微生物1)を殺微生物試験1において用いたのと同じ平板培地にて対数増殖期になるように25℃にて1〜2日間培養を行なった。300ml三角フラスコに滅菌水100mLを入れ、これに対数増殖期にある菌株をl白金耳入れた後、ナトリウムハイドロサルファイト(還元性物質)をSO3 2-濃度として50mg/Lとなるように添加し、pH8に調整した。同様に、他の300mL三角フラスコに滅菌水100mLを入れ、二酸化チオ尿素(還元性物質)をスルホキシル酸濃度として50mg/Lになるように添加し、pH8に調整した。次に殺微生物剤を25mg/L添加して、30℃にて30分間振盪した後、コロニーカウント法により菌数を測定(個/mL)した。結果を表2に示した。
【0032】
【表2】
Figure 0004147027
【0033】
従来の殺微生物剤は、還元性物質の存在により殺微生物効果が著しく低下するが、本発明の殺微生物方法によれば、ナトリウムハイドロサルファイト、二酸化チオ尿素が存在してもなお顕著な殺微生物効果があることが確認された。
【0034】
〔殺微生物試験3〕
微生物−1〜5を各々、殺微生物試験1において用いたのと同じ平板培地にて対数増殖期になるように25℃にて1〜2日間培養を行なった。200mL三角フラスコに滅菌水100mLに入れ、次に対数増殖期にある微生物1〜5各々の菌株をl白金耳取り、三角フラスコ内の滅菌水中に入れて細菌供試懸濁液とした。同様にカビであるトリコデルマ ビリデ(Trichoderma virde:IFO−5720)菌株をPDA平板培地(田辺製薬(株)製)に25℃、3日間培養した後、白金耳にて表面をかきとり、10mL試験管に入れて滅菌水2mLに加え、振盪して菌糸および胞子の懸濁液を作った。この懸濁液を0.5mLずつ取り、99.5mLの滅菌水に入れてカビ供試懸濁液とした。更に酵母であるサッカロミセス セルビシエ(Sacharomyces cerevisiae:IAM−4274)菌株をPDA平板培地にて25℃、3日間培養を行なった後、白金耳にて表面をかき取り、滅菌水2mLに入れ、振盪して菌の懸濁液を作った。この懸濁液を0.5mLずつ取り、99.5mLの滅菌水に入れたものを酵母供試懸濁液とした。この各微生物懸濁液に亜硫酸ナトリウムをSO3 2-濃度0mg/L、50mg/L添加し、pHをそれぞれ4.0、7.0、10.0に調整した。次に殺微生物製剤1,4,5,7,8,12,15,17,18,19,20を0.25mL添加して30℃にて30分間振盪した後、コロニーカウント法により菌数(個/mL)を測定した。各微生物に関する結果を表3〜表9に示した。
【0035】
【表3】
Figure 0004147027
【0036】
【表4】
Figure 0004147027
【0037】
【表5】
Figure 0004147027
【0038】
【表6】
Figure 0004147027
【0039】
【表7】
Figure 0004147027
【0040】
【表8】
Figure 0004147027
【0041】
【表9】
Figure 0004147027
【0042】
表3〜表9に示した結果から、本発明の殺微生物方法は、pH=4〜10の広い範囲で高い殺微生物効果を示していることが判る。
【0043】
【発明の効果】
上記説明したように、本発明によれば、還元性雰囲気下にある水系においても優れた殺微生物効果が発揮されることから、製紙工程の古紙回収を含めたパルプの還元漂白工程、パルプの還元漂白後の工程およびでんぷんスラリー調整工程における微生物障害による操業の停止等の弊害を防止し、工程の安定化、生産性の向上に大きく寄与することができる。

Claims (4)

  1. スルホキシル酸イオン、亜硫酸イオン及びチオ硫酸イオンのうちの1種又は2種以上が存在している還元性雰囲気下にある水系に、一般式(1)
    Figure 0004147027
    (式中、R1、R2、R3及びR4のうち1〜3個はメチル基及びエチル基から選ばれ、その他はヒドロキシ基および/あるいはベンゼン環を有していてもよい炭素数が8〜18のアルキル基、炭素数が8〜18のアルケニル基及び炭素数が8〜18のアリール基から選ばれる。Xはヒドロキシ基を含んでいてもよい炭素数が4〜18の1〜3価カルボン酸残基であり、2〜3価カルボン酸残基の場合は一部がナトリウム塩あるいはカリウム塩であってもよい。nは1あるいは2の整数である。)で表される4級アンモニウム塩化合物を添加することを特徴とする還元性雰囲気下の水系殺微生物方法。
  2. 4級アンモニウム塩化合物が、前記一般式(1)においてR1、R2、R3及びR4のうち1〜3個はメチル基及びエチル基から選ばれ、その他は炭素数が10〜18のアルキル基である請求項1記載の水系殺微生物方法。
  3. 4級アンモニウム塩化合物が、前記一般式(1)においてR1、R2、R3及びR4のうち2個はメチル基及びエチル基から選ばれ、その他の2個は炭素数が10〜18のアルキル基である請求項1記載の水系殺微生物方法。
  4. 4級アンモニウム塩化合物が、グルコン酸ジデシルジメチルアンモニウム、グルタル酸ビス(ジデシルジメチルアンモニウム)、アジピン酸ジデシルジメチルアンモニウムナトリウム、アジピン酸ビス(ジデシルジメチルアンモニウム)、グルコン酸ジドデシルジメチルアンモニウム、グルタル酸ビス(ジドデシルジメチルアンモニウム)、アジピン酸ジドデシルジメチルアンモニウムナトリウム及びアジピン酸ビス(ジドデシルジメチルアンモニウム)から選ばれる1種以上である請求項1記載の水系殺微生物方法。
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