JP2005161254A - 水系のスライム付着防止方法 - Google Patents

水系のスライム付着防止方法 Download PDF

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寛 長谷川
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Abstract

【課題】水系内において水に接する管壁や器壁などの部材面へのスライムの付着を、できるだけ少量の薬剤で効果的に防止する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】電気分解により次亜臭素酸またはその塩を発生し得る無機臭素化合物の電気分解物と、有機系殺菌剤から選択される1種以上とを併用することを特徴とする水系のスライム付着防止方法により、上記の課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、水系のスライム付着防止方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、各種工業用水系、特に製紙用(紙・パルプ製造工程)水系において、水に接する部材面へのスライム付着を、できるだけ少量の薬剤で効果的に防止する方法に関する。
冷却用水系や製紙用水系などの各種工業用水系では、細菌や真菌のような微生物が粘性物質を分泌しながら水系内の管壁や器壁に付着し、それらが増殖してスライムとなり、各種の障害が引き起こされることがある。特に、製紙用水系における抄紙工程水系は富養条件にあるために、管壁や器壁から剥離したスライムが抄紙原料に混入したり、配管を閉塞させるなど、製品の品質や生産効率を低下させる障害が発生し易い。
このようなスライムによる障害を防止するために、従来から様々なスライムの処理剤や付着防止方法が開発・実用化されている。例えば、臭素化合物の水溶液を電気分解して得られる臭素系殺菌剤を被処理液に添加するスライム防止方法(特開2003−103266号公報:特許文献1)、脂肪族臭素化合物の1種以上と水中で次亜塩素酸あるいは次亜臭素酸を発生する化合物の1種以上とを同時に作用させる、水系における鉄バクテリアの抑制方法(特開2001−219173号公報)、および有機臭素化合物の共存下で無機臭素化合物と塩素剤を同時に作用させて水系のスライムを防止する方法(特開平8−229569号公報:特許文献3)などが知られている。
しかしながら、電気分解により次亜臭素酸またはその塩を発生し得る無機臭素化合物と公知の有機系殺菌剤とを併用するスライム付着防止方法は知られていない。他方、近年では殺菌剤の環境への影響が問題視されてきており、殺菌剤によってはその使用自体が規制されているものもある。特に優れた殺菌効果を発揮する殺菌剤ほど環境面では好ましくない性質を有する傾向があることから、安全性が高く、かつ少量の添加で優れた殺菌効果を発揮する殺菌剤およびそれを用いたスライム付着防止方法が求められている。
特開2003−103266号公報 特開2001−219173号公報 特開平8−229569号公報
本発明は、水系内において水に接する管壁や器壁などの部材面へのスライムの付着を、できるだけ少量の薬剤で効果的に防止する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、電気分解により次亜臭素酸またはその塩を発生し得る無機臭素化合物の電気分解物と、有機系殺菌剤から選択される1種以上とを併用することにより、優れた殺菌効果によるスライム付着防止効果が得られることを見出し、この発明を完成させるに到った。
かくして、本発明によれば、電気分解により次亜臭素酸またはその塩を発生し得る無機臭素化合物の電気分解物と、有機系殺菌剤から選択される1種以上とを併用することを特徴とする水系のスライム付着防止方法が提供される。
本発明によれば、水系内において水に接する管壁や器壁などの部材面へのスライムの付着を、できるだけ少量の薬剤で効果的に防止する方法を提供することができる。
本発明の水系のスライム付着防止方法は、電気分解により次亜臭素酸またはその塩を発生し得る無機臭素化合物の電気分解物と、有機系殺菌剤から選択される1種以上とを併用することを特徴とする。
本発明において、電気分解により次亜臭素酸またはその塩を発生し得る無機臭素化合物としては、例えば、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウムおよび臭化水素が挙げられ、これらは1種を単独で使用または2種以上を併用することができる。
上記の無機臭素化合物は、電気分解により、殺菌有効成分として次亜臭素酸、次亜臭素酸イオン、次亜臭素酸塩などを発生する。これらの殺菌有効成分の中でも、次亜臭素酸は、殺菌効率が高く、このような次亜臭素酸を効率よく発生させる点で、無機臭素化合物としては、臭化ナトリウム、臭化カリウムが特に好ましい。
無機臭素化合物の電気分解には、公知の方法や装置を用いることができる。例えば、無機臭素化合物の水溶液を用いて電気分解する。その条件は、電流密度1〜20A/dm2程度、電極間隔1〜50mm程度である。この電気分解には、炭素や白金などの電極材料を用いることができる。
本発明に用いる有機系殺菌剤としては、例えば、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパン、1,4ービス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2ービス(ブロモアセトキシ)エタン、1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパンなどのブロム酢酸エステル;5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどのイソチアゾロン化合物;ビス(トリブロムメチル)スルホン;ジクロログリオキシム;メチレンビスチオシアネートならびに5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリルなどの公知の有機系殺菌剤が挙げられ、これらは1種を単独で使用または2種以上を併用することができる。
これらの有機系殺菌剤の中でも、持続的に優れたスライム付着防止効果を発揮する点で、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパンおよび4,5−ジクロロ−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。
本発明における無機臭素化合物の電気分解物の添加量は、水中の菌数、水質、温度、その他の水系の運転条件により異なるが、一般的には、水系内の無機臭素化合物の濃度が有効塩素濃度換算で0.1〜20mg/リットル、好ましくは0.1〜10mg/リットル、さらに好ましくは0.1〜2mg/リットルである。
無機臭素化合物の電気分解物の添加量が0.1mg/リットル未満の場合、十分な添加効果が得られないので好ましくない。また、無機臭素化合物の電気分解物の添加量が20mg/リットルを超える場合、添加効果は十分であるが、経済的に好ましくない。
本発明における有機系殺菌剤の添加量は、水中の菌数、水質、温度、その他の水系の運転条件により異なるが、一般的には、水系内の有機系殺菌剤の濃度が0.5〜300mg/リットル、好ましくは1〜150mg/リットル、さらに好ましくは1〜75mg/リットルである。
有機系殺菌剤の添加量が0.5mg/リットル未満の場合、十分な添加効果が得られないので好ましくない。また、有機系殺菌剤の添加量が300mg/リットルを超える場合、添加効果は十分であるが、経済的に好ましくない。
本発明の実施方法としては、無機臭素化合物の電気分解物と1種以上の有機系殺菌剤とを予め混合しておき、これを対象水系に添加する方法、無機臭素化合物の電気分解物と1種以上の有機系殺菌剤とを別々に調製し、これらを同時にもしくは時間差をつけて、同一場所にもしくは場所を変えて添加する方法が挙げられ、効果の点で後者が好ましい。
無機臭素化合物の電気分解物には、予め電気分解により調製しておいたものを用いてもよく、使用時に電気分解したものを用いてもよいが、効果の点で後者が好ましい。
具体的には、スライム付着を防止する対象水系に、無機臭素化合物を電気分解して次亜臭素酸またはその塩を発生させる装置を付設し、その装置から次亜臭素酸またはその塩を含む電気分解物を対象水系に添加すると同時に、1種以上の有機系殺菌剤を対象水系に添加する。また、対象水系には、スライムの付着状態や水系中の薬剤の有効成分濃度を測定するためのセンサーを設け、このようなセンサーからの情報を数値化し、得られた数値から薬剤の必要量を算出し、これに基づいて逐次、無機臭素化合物を電気分解し、得られた無機臭素化合物の電気分解物と1種以上の有機系殺菌剤を対象水系に添加するのが好ましい。
このようなシステムを付設することにより、より活性の高い無機臭素化合物の電気分解物を添加できるので、より優れたスライム付着防止効果が得られ、また薬剤の輸送コストや備蓄コストを低減できる。
また、上記のように、1種以上の有機系殺菌剤を別に設けたのタンクから対象水系に、直接(無機臭素化合物の電気分解物とは別に)添加してもよく、1種以上の有機系殺菌剤を予め無機臭素化合物の電気分解物と混合し、1液製剤として、これを対象水系に添加してもよい。
無機臭素化合物を電気分解することにより得られる次亜臭素酸(電解次亜臭素酸)は、次亜塩素酸を発生する化合物と臭化物イオンを発生する化合物、例えば次亜塩素酸ナトリウムと臭化ナトリウムを反応させることによっても得られる。しかしながら、このようにして得られる次亜塩素酸(調製次亜塩素酸)よりも、電解次亜臭素酸の方が有機系殺菌剤との併用において、有機系殺菌剤を長時間、水系に残留させ、より持続性の高い殺菌効果を発揮させ得るので好ましい。
電解次亜臭素酸は、以下の理由から調製次亜塩素酸よりも有機系殺菌剤を長時間、水系に残留させ得るものと考えられる。
調製次亜塩素酸は、アルカリ条件下で次式(1)によって生成される。
(1) ClO-+Br- → BrO-+Cl-
また、中性から酸性条件下では次式(2)の可逆反応も起こる。
(2) BrO-+H+ ⇔ HBrO
一方、電解次亜臭素酸の場合は、陽極でBr-が酸化されてBr2が生成される。
(3) 2Br- → Br2+2e-
また、陰極でNaOHが生成され、反応液中では式(4−1)および(4−2)によりBrO-が生成される。
(4−1) Br2+H2O ⇔ HBrO+H++Br-
(4−2) HBrO ⇔ H++BrO-
製紙用水系における抄紙工程水(白水)のpHは、4〜8の弱酸性から中性か弱アルカリが多い。したがって、電解次亜臭素酸を白水に添加すると式(2)や式(4−2)によってHBrOが生成される。このHBrOが微生物の代謝を司る酵素に作用し、酵素を不活性化させ、死に到らせた後、消費されるものと考えられている。
白水に添加された電解次亜臭素酸は、上記の殺菌作用以外に様々な反応、例えば、水系中に含有するアンモニアや硫化水素といった無機物の酸化反応によって消費される。
一方、白水に添加された有機系殺菌剤も、電解次亜臭素酸と同様にして、微生物の殺菌作用以外の上記の酸化反応などに消費される。
そこで、白水中にHBrOが残留していれば、有機系殺菌剤が少しでも多く残留することになり、有機系殺菌剤の殺菌作用が持続することになる。
調製次亜臭素酸の場合には、式(2)により生成したHBrOが無機物を酸化することによって、有機系殺菌剤の消費量が低減し、その分の有機系殺菌剤の残留割合が向上することになる。また、式(1)で示される反応は不可逆反応なので反応液中にはBr-はほとんど存在しない。
一方、電解次亜臭素酸の場合には、上記のHBrOの効果に加えて、式(4−1)により生成したBr-がアンモニアなどの無機物と反応して、例えばアンモニウム塩を生じることになる。このようにしてHBrOの消費量が低減し、ひいては有機系殺菌剤の消費量が低減し、その分の有機系殺菌剤の残留割合が向上することになる。
したがって、調製次亜臭素酸よりも電解次亜臭素酸の方が有機系殺菌剤を同時に添加した場合、結果的により多くの有機系殺菌剤が残留することになる。
また、電解次亜臭素酸の場合には、電気分解によりヒドロキシルラジカル(HO・)も生成されると考えられている。このヒドロキルラジカルは強い酸化力を有し、アンモニアなどの無機物を酸化する効果も加わり、同時に添加した有機系殺菌剤がより多く残留することになると考えられる。
本発明の水系のスライム付着防止方法は、冷却用水系、製紙用水系(抄紙工程水、紙用塗工液、ラテックス、糊剤など)および織物製造用水系などの各種工業用水系の処理に好適に用いられる。
また、亜硫酸イオンとして5mg/リットル以上の還元性物質が存在する工業用水系の処理にも好適に用いられる。
(実施例)
本発明を以下の試験例により具体的に説明するが、これらの試験例により本発明が限定されるものではない。
試験例で用いた有機系殺菌剤の化合物名と略号を以下に示す。
BNDAP :2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパン
DCOT :4,5−ジクロロ−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン
TFIPN :5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリル
MBTC :メチレンビスチオシアネート
DBNPA :2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド
BNPD :2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール
BBAB :1,4ービス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン
DCG :ジクロログリオキシム
Cl−MIT:5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン
調製次亜臭素酸
有効塩素10重量%の次亜塩素酸ナトリウム100gに臭化ナトリウム14.5gを添加して、次亜臭素酸を得た。
電解次亜臭素酸
臭化ナトリウム5.0gを95gの純水に入れて5重量%臭化ナトリウム水溶液とし、その水溶液を直流電圧5V、電流密度5A/dm2、白金電極間の距離50mmの条件で、20分間電気分解して、電解次亜臭素酸を調製した。
試験例1(スライム汚れ付着防止試験)
某製紙工場より採取した白水(pH:7.5、菌種:Pseudomonas sp.,Alcalogenes sp.,Bacillus sp.,Micrococcus sp.主体、初期菌数:3.2×107個/ml)をろ過したものを供試試料とした。この試料800mlを循環試験装置のピットに入れて循環させた。各ピットに水系内の無機臭素化合物の濃度が有効塩素濃度換算で所定の濃度となるように、調製次亜臭素酸または電解次亜臭素酸をそれぞれ添加した後、すみやかに有機系殺菌剤を有効成分として所定の濃度となるように原液で添加した。なお、循環試験装置には、ピット内にアクリル製の評価板(15cm×10cm)を備えた、特開2002−181805号公報に記載の装置と同様の装置を用いた。
薬剤添加30分後に供試試料を捨て、121℃、10分間の条件で加熱滅菌したろ過白水に入れ替えて、薬剤無添加の状態とした。滅菌したろ過白水に先の30分間循環した白水を1%種菌として加え、ツアベック液体培地を10%添加して1日間循環を行なった。ピット内のアクリル製の評価板を取り出して、歯垢液(BUTLER COMPANY社製、商品名:レッドコート)の0.5%水溶液により付着したスライム汚れを染色した。次いで、エタノール70%とアンモニア水1%の水溶液10mlを用いて、染まった評価板の色を溶解させ、その溶解液の550nmにおける吸光度を測定してスライム汚れを数値化した。ブランク(実験No.17)の吸光度を100%とした時の各スライム汚れ付着率(%)の測定結果を表1に示す。
Figure 2005161254
表1の結果から、電解次亜臭素酸と有機系殺菌剤を併用した処理(実験No.1〜4)では、スライム付着抑制効果が格段に優れていることがわかる。これに対して、調製次亜臭素酸と有機系殺菌剤を併用した処理(実験No.5〜8)、有機系殺菌剤単独による処理(実験No.9〜12)、電解次亜臭素酸単独または調製次亜臭素酸単独による処理(実験No.13〜16)では、スライム付着抑制効果が低く、多量のスライム汚れが認められる。
試験例2(持続性評価確認試験)
試験例1の実験No.2、6、10および実験No.4、8、12と同様の供試試料および循環試験装置を用いて、持続性の評価確認試験を行なった。
試料800mlを循環試験装置のピットに入れて循環させ、各ピットに水系内の無機臭素化合物の濃度が有効塩素濃度換算で所定の濃度となるように、調製次亜臭素酸および電解次亜臭素酸をそれぞれ添加した後、すみやかに有機系殺菌剤を有効成分として所定の濃度となるように原液で添加した。添加した直後から1、3、5時間後の有機系殺菌剤の残留率を測定した。測定結果を図1および図2に示す。
図1および図2の結果から、電解次亜臭素酸と有機系殺菌剤を併用した処理(実験No.2、4)では、5時間後の残留率が70%以上となり、持続性のあるスライム付着抑制効果が認められる。これに対し、調製次亜臭素酸と有機系殺菌剤を併用した処理(実験No.6、8)、有機系殺菌剤単独による処理(実験No.10、12)では、5時間後の残留率が70%未満であり、持続性のあるスライム付着抑制効果は認められない。
試験例3(カビスライム形成能評価確認試験)
某製紙工場のインレットで採取したカビスライムから単離したカビ(菌種:Cladosporium sp.)を液体PDA培地で培養した。同工場より採取した白水をろ過して、121℃、10分間の条件で加熱滅菌した後、この培養液を1%加えてミキサーでよく攪拌した。これを供試試料として試験を行なった。供試試料を500mlずつビーカーに入れてジャーテスターにセットした後、各ビーカーに無機臭素化合物の濃度が有効塩素濃度換算で所定の濃度となるように電解次亜臭素酸を添加した後、即座に有機系殺菌剤を有効成分として所定濃度になるように添加した。回転数を70rpmに設定して30分撹拌した後、供試試料を捨て、滅菌したろ過白水と入れ替えて、薬剤無添加の状態とした。これに先の30分間攪拌した供試試料を種菌として1%加え、液体PDA培地0.5%とクロラムフェニコール100mg/リットルを添加した。回転数を40rpmに設定して4日間培養を行なった。ビーカー内で形成したカビフロックを目視で観察し、下記の基準により6段階評価した。なお、実験No.34をブランクとした。得られた結果を表2に示す。
(6段階評価)
0:カビの発育が観察されない
1:僅かにカビの発育が観察される(フロック形成は観察されない)
2:小さなカビフロック(3mm以下)が数個に観察される
3:小さなカビフロック(3mm以下)が多数観察される
4:中程度以上(3mm以上)のカビフロックを含んだものが数個観察される
5:中程度以上(3mm以上)のカビフロックを含んだものが多数観察される
Figure 2005161254
表2の結果から、電解次亜臭素酸と有機系殺菌剤を併用した処理(実験No.18〜21)では、カビスライム形成を抑制する効果が格段に優れていることがわかる。これに対して、有機系殺菌剤単独による処理(実験No.22〜25)、調製次亜臭素酸と有機系殺菌剤を併用した処理(実験No.26〜29)、電解次亜臭素酸単独または調製次亜臭素酸単独による処理(実験No.30〜33)では、カビスライムの付着抑制効果が低く、多量のカビスライムによる汚れが認められる。
試験例4(還元性イオン存在下での殺菌効果確認試験)
試験例1の白水から平板培養により単離したシュードモナス属を、ブイヨン培地を用いて30℃で培養した。滅菌した生理食塩水にこの培養液を加えて、初期生菌数を107個/mlに調整した。そこに亜硫酸イオンとして10mg/リットルになるように亜硫酸ナトリウムを加えたものと加えないものに対して、各薬剤を各濃度となるように添加し、30℃で30分間振盪後に生菌数を求め、殺菌率が99.9%以上となる各薬剤の最小殺菌濃度(MBC)を求めた。なお、実験No.44、54は、有機系殺菌剤を添加せず、電解次亜臭素酸のみを有効塩素濃度として7.0mg/lになるように添加した。ブランク(全ての薬剤が無添加のもの)の生菌数は、亜硫酸イオンとして還元性物質が10mg/l存在する水系で2.8×107個/ml、還元性物質を加えていない水系で3.0×107個/mlであった。よって、「殺菌率が99.9%以上」とは、生菌数が前者で2.8×104個/ml以下、後者で3.0×104個/ml以下であることを意味する。測定結果を表3および表4に示す。
Figure 2005161254
Figure 2005161254
表3および表4の結果から、亜硫酸イオン存在下における電解次亜臭素酸と有機系殺菌剤を併用した処理(実験No.35〜40、45〜50)では、有機系殺菌剤の安定性が格段に優れ、高い殺菌性を示すことがわかる。
試験例5(静菌効果確認試験)
某製紙会社より採取した白水(pH7.2、菌種:Pseudomonas sp.,Alcalogenes sp., Bacillus sp.主体、初期菌数:2.3×106個/ml)を供試試料とした。供試試料を濾過した後、液体ブイヨン培地を加えて、予め滅菌したL字管に採取した。これに無機臭素化合物の濃度が有効塩素濃度換算で所定の濃度となるように電解次亜臭素酸を添加した後、即座に有機系殺菌剤を有効成分として所定濃度になるように添加した。24時間振盪培養し、菌の増殖に基づく濁りを吸光度として継続的に測定した。測定結果を表7に示す。菌の増殖がなければ濁りは生じない、すなわち薬剤の効果がありと判断できる。表5では吸光度の増加が認められる時間を増殖開始時間として示す。なお、実験No.93をブランクとした。測定結果を表5に示す。
Figure 2005161254
表5の結果から、電解次亜臭素酸と有機系殺菌剤を併用した処理(実験No.55〜78)では、各々の単独による処理(実験No.79〜92)と比較して静菌作用が格段に優れていることがわかる。
本発明の水系のスライム付着防止方法は、冷却用水系、製紙用水系(抄紙工程水、紙用塗工液、ラテックス、糊剤など)および織物製造用水系などの各種工業用水系の処理に好適に用いられる。
試験例2(実験No.2、6、10)における有機系殺菌剤の残留率の経時変化を示す図である。 試験例2(実験No.4、8、12)における有機系殺菌剤の残留率の経時変化を示す図である。

Claims (6)

  1. 電気分解により次亜臭素酸またはその塩を発生し得る無機臭素化合物の電気分解物と、有機系殺菌剤から選択される1種以上とを併用することを特徴とする水系のスライム付着防止方法。
  2. 無機臭素化合物が、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウムおよび臭化水素から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の水系のスライム付着防止方法。
  3. 使用時に無機臭素化合物を電気分解して用いる請求項1または2に記載の水系のスライム付着防止方法。
  4. 有機系殺菌剤が、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパン、1,4ービス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2ービス(ブロモアセトキシ)エタン、1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ビス(トリブロムメチル)スルホン、ジクロログリオキシム、メチレンビスチオシアネートおよび5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリルから選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1つに記載の水系のスライム付着防止方法。
  5. 水系内の無機臭素化合物の濃度が、有効塩素濃度換算で0.1〜20mg/リットルである請求項1〜4のいずれか1つに記載の水系のスライム付着防止方法。
  6. 水系が、亜硫酸イオンとして5mg/リットル以上の還元性物質が存在する工業用水系である請求項1〜5のいずれか1つに記載の水系のスライム付着防止方法。
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