JP4127014B2 - 電流検出装置および電流検出機能付きインバータ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータ装置の電流を検出する装置および電流検出機能を持ったインバータ装置に係わり、特に、3相交流モータを駆動するインバータ装置の電流を検出する装置および電流検出機能を持った3相インバータ装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
インバータ装置は、直流から交流を生成する装置であって、様々な用途に広く利用されている。そして、そのようなインバータ装置の一形態である3相インバータ装置は、直流から3相交流を生成する装置であって、例えば、3相交流モータを駆動する目的で使用されている。
【0003】
図9は、3相交流モータを駆動する3相インバータ装置の基本構成を示す図である。3相インバータ装置は、通常、互いに並列に接続されたU相用スイッチ回路(第1のスイッチ回路)10、V相用スイッチ回路(第2のスイッチ回路)20、W相用スイッチ回路(第3のスイッチ回路)30から構成されている。ここで、各スイッチ回路10、20、30は、それぞれ、互いに直列的に接続された1組のスイッチ(上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチ)を備える、また、各上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチには、それぞれ、並列的にダイオードが接続されている。そして、各スイッチ回路10、20、30には、電源40により所定の直流電圧が印可されている。また、スイッチ回路10、20、30の出力は、モータ(3相交流モータ)50に接続されている。
【0004】
上記構成のインバータ装置において、スイッチ回路10、20、30は、不図示の制御回路により制御される。このとき、各スイッチ回路10、20、30において、上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチは、同時にオン状態になることがないように、交互にオン/オフ制御される。そして、これらのスイッチ回路10、20、30を適切に制御することにより、モータ50に3相交流が供給される。
【0005】
ところで、インバータ装置のなかには、電流を検出する機能を備えているものがある。例えば、各相(U相、V相、W相)ごとにシャント抵抗を設け、各シャント抵抗に生じる電圧をモニタすることにより、各相ごとの電流を検出する技術は公知である。(例えば、特許文献1参照)
また、各相の下アーム用スイッチを介して流れる電流の合成電流、および各相の下アーム用スイッチに並列に設けられているダイオードを介して流れる電流の合成電流をそれぞれ求め、ダイオード結合によって、それら2つの合成電流のうちの大きい方を、インバータ装置の最大電流として出力する構成も公知である。(例えば、特許文献2参照)
【0006】
【特許文献1】
特開平9−229972号公報(図1、図7、段落0002〜0007)
【0007】
【特許文献2】
特開平6−284747号公報(図1、段落0024〜0025)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の技術は、交流モータを制御するために各相ごとの電流をモニタしているものであって、過電流を検出して保護動作を行うことは想定されていない。また、この技術によっては、高速な過電流検出/保護を行うことは難しい。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術は、ダイオード結合によって最大電流を検出する構成なので、ダイオードの順方向電圧のばらつきやその温度依存性により、精度が低下するおそれがある。また、この技術では、スイッチを介して流れる電流とダイオードを介して流れる電流とが比較されるが、これらの電流は互いに逆方向に流れるので、これらを比較するためには、絶対値回路を設けなければならない。
【0010】
本発明の課題は、インバータ装置の電流を簡単な構成で正確に検出できる電流検出装置、およびそのような電流検出装置(または、電流検出機能)を備えたインバータ装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の電流検出装置は、第1〜第3のスイッチ回路を備えるインバータ装置により生成される電流を検出する装置であって、上記第1〜第3のスイッチ回路にそれぞれ直列的に接続された第1〜第3の抵抗体と、上記第1〜第3の抵抗体に生じる電圧を加算して上記インバータ装置を介して流れる電流を表す値としてその加算結果を出力する加算手段と、を有する。
【0012】
この構成によれば、例えば、第1のスイッチ回路の出力電流が正方向最大電流であったときは、第2のスイッチ回路に接続される第2の抵抗を介して流れる電流と第3のスイッチ回路に接続される第3の抵抗を介して流れる電流との和が、上記第1のスイッチ回路の出力電流に一致する。また、この場合、第1のスイッチ回路に接続される第1の抵抗を介して電流は流れない。したがって、上記第1〜第3の抵抗体に生じる電圧を加算すれば、正方向最大電流が検出される。
【0013】
一方、第1のスイッチ回路の出力電流が負方向最大電流であったときは、その電流は、そのままその第1のスイッチ回路に接続される第1の抵抗を介して流れる。また、この場合、第2、第3のスイッチ回路に接続される第2、第3の抵抗を介して電流は流れない。したがって、上記第1〜第3の抵抗体に生じる電圧を加算すれば、負方向最大電流が検出される。
【0014】
なお、上記電流検出装置において、上記加算手段の出力が予め決められた閾値よりも大きかったときに、過電流が発生していることを表す信号を出力する過電流検出手段をさらに設けるようにしてもよい。この構成によれば、過電流が発生したときに、それが即座に検出されるので、負荷あるいはインバータ装置を構成する部品の保護が図れる。
【0015】
また、上記電流検出装置において、上記第1〜第3のスイッチ回路がそれぞれ互いに直列的に接続された上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチを含むように構成し、上記加算手段が、上記第1のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチがそれぞれオン状態およびオフ状態に制御されており且つ上記第2および第3のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチがそれぞれオフ状態およびオン状態に制御されているときに上記インバータ装置の最大電流を検出するようにしてもよい。第1〜第3のスイッチ回路が上記状態のときは、第1のスイッチ回路の上アーム用スイッチを介して流れる電流は、第2および第3のスイッチ回路の下アーム用スイッチを介して流れる電流の和に等しくなる。したがって、第2および第3の抵抗体に生じる電圧の和を算出することにより、当該インバータ装置の最大出力電流を検出できる。
【0016】
さらに、上記電流検出装置において、上記第1〜第3のスイッチ回路がそれぞれ互いに直列的に接続された上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチを含むように構成し、上記加算手段が、上記第1のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチがそれぞれオフ状態およびオン状態に制御されており且つ上記第2および第3のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチがそれぞれオン状態およびオフ状態に制御されているときに上記インバータ装置の最大電流を検出するようにしてもよい。第1〜第3のスイッチ回路が上記状態のときは、第1のスイッチ回路の下アーム用スイッチを介して流れる電流は、第2および第3のスイッチ回路の上アーム用スイッチを介して流れる電流の和に等しくなる。したがって、第1の抵抗体に生じる電圧に基づいて、当該インバータ装置の最大出力電流を検出できる。
【0017】
本発明の電流検出機能付きインバータ装置は、3相交流モータを駆動するインバータ装置であって、それぞれ上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチを含む第1〜第3のスイッチ回路と、前記第1〜第3のスイッチ回路にそれぞれ直列的に接続された第1〜第3の抵抗体と、前記第1〜第3の抵抗体に生じる電圧を加算し、前記インバータ装置を介して流れる電流を表す値としてその加算結果を出力する加算手段と、前記第1〜第3のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチを制御する制御回路、を備える。前記第1のスイッチ回路と前記3相交流モータとの間に流れる第1相電流、前記第2のスイッチ回路と前記3相交流モータとの間に流れる第2相電流、前記第3のスイッチ回路と前記3相交流モータとの間に流れる第3相電流の和は、ゼロである。そして、前記制御回路が、前記第1のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチをそれぞれオン状態およびオフ状態に制御し、かつ、前記第2および第3のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチをそれぞれオフ状態およびオン状態に制御しているときに、前記加算手段が、前記第1相電流の最大電流を検出する。
前記制御回路が、前記第1のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチをそれぞれオフ状態およびオン状態に制御し、かつ、前記第2および第3のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチをそれぞれオン状態およびオフ状態に制御しているときに、前記加算手段が、前記第1相電流の最大電流を検出するようにしてもよい。
【0018】
上記インバータ装置は、上述した本発明の電流検出装置が提供する機能を備えており、簡単な構成で正確に正方向最大電流および負方向最大電流の双方を検出できる。よって、最大電流を正確に検出できるインバータ装置の小型化を図ることができる
なお、上記インバータ装置において、上記加算手段の出力が予め決められた閾値よりも大きかったときに上記第1〜第3のスイッチ回路を停止する過電流検出手段をさらに有するようにしてもよい。この構成によれば、当該インバータ装置に接続されている負荷および第1〜第3のスイッチ回路を過電流から即座に保護することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態のインバータ装置の構成を示す図である。なお、図1および上述した図9の双方において共通に使用されている符号は、同じものを指し示している。すなわち、本実施形態のインバータ装置は、U相用スイッチ回路(第1のスイッチ回路)10、V相用スイッチ回路(第2のスイッチ回路)20、およびW相用スイッチ回路(第3のスイッチ回路)30を備える。また、これらのスイッチ回路10、20、30には、直流電源である電源40が接続されている。さらに、このインバータ装置には負荷としてモータ(3相交流モータ)50が接続されているものとする。
【0020】
U相用スイッチ回路10は、互いに直列的に接続された上アーム用スイッチ11および下アーム用スイッチ12を備える。同様に、V相用スイッチ回路20は上アーム用スイッチ21および下アーム用スイッチ22を備え、W相用スイッチ回路30は上アーム用スイッチ31および下アーム用スイッチ32を備える。ここで、各スイッチ11、12、21、22、31、32は、それぞれ、例えば、MOSFETなどのトランジスタであり、不図示の制御回路によってそのオン/オフ状態が制御される。また、各スイッチ11、12、21、22、31、32には、それぞれ、ダイオードが並列に設けられている。
【0021】
抵抗61は、U相の電流を検出するためのシャント抵抗であって、U相用スイッチ回路10に直列的に接続されている。同様に、抵抗62および抵抗63は、それぞれ、V相用スイッチ回路20およびW相用スイッチ回路30に直列的に接続されている。すなわち、抵抗61、62、63は、それぞれ、スイッチ回路10、20、30の下アーム用スイッチと電源40の負極(例えば、接地)との間に設けられている。ここで、抵抗61〜63の抵抗値は、基本的に、互いに同じである。なお、電源40の正極は、各スイッチ回路10、20、30の上アーム用スイッチに接続されている。
【0022】
加算回路(加算手段)70は、各抵抗61〜63に生じる電圧(各抵抗の両端電圧)を加算し、その結果を出力する。ここで、抵抗61、62、63に生じる電圧は、U相、V相、W相の電流を表している。従って、加算回路70の出力電圧により、このインバータ装置の最大電流を検出することができる。なお、加算回路70の構成、および加算回路70の出力電圧によりインバータ装置の最大電流を検出することができる理由については、後で詳しく説明することにする。
【0023】
コンパレータ(過電流検出手段)80は、加算回路70の出力電圧と予め決められた閾値電圧とを比較し、加算回路70の出力電圧の方が大きかったときに、その出力を「H」から「L」に切り替える。ここで、上記閾値電圧は、モニタすべき過電流値に対応する電圧である。一方、加算回路70の出力電圧は、インバータ装置により生成される電流を表す。したがって、コンパレータ80は、過電流が発生したときに、そのことを表す信号を出力することができる。なお、コンパレータ80により過電流が検出されたときは、たとえば、各スイッチ11、12、21、22、31、32を強制的にオフ状態に制御することにより、モータ50或いはインバータ装置を構成する各部品(特に、各スイッチ自体)を保護するように制御系が動作する。
【0024】
図2は、上記構成のインバータ装置を駆動する制御信号について説明する図である。なお、以下に示す制御信号の生成方法は、一実施例であって、本発明はこれに限定されるものではない。
図2において、三角波は、所定の周波数を持った周期波であり、制御信号を生成するための基準信号である。一方、各相ごとの信号波は、互いに同じ周波数のサイン波であるが、その位相は互いに120度ずつシフトしている。そして、各スイッチ11、12、21、22、31、32を制御するための制御信号は、上記三角波と各相ごとの信号波とを比較することによって生成される。たとえば、上アーム用スイッチ11を制御するための制御信号は、三角波よりもU相用信号波の方が高いときに「H」となり、三角波よりもU相用信号波の方が低いときに「L」となる信号である。また、下アーム用スイッチ12を制御するための制御信号は、上アーム用スイッチ11を制御するための制御信号の反転信号である。そして、他のスイッチ21、22、31、32を制御するための制御信号も、同様の方法で生成される。
【0025】
そして、上記制御信号を用いて各スイッチ11、12、21、22、31、32を制御することにより、図2に示すような3相交流が生成される。なお、以下の説明では、図1に示すように、インバータ装置からモータ50へ向かう方向を「正方向」と呼び、モータ50からインバータ装置へ向かう方向を「負方向」と呼ぶことにする。また、インバータ装置からモータ50への各相ごとの出力電流をそれぞれ「Iu 」「Iv 」「Iw 」と定義すると、下記の関係が成り立つ。
Iu +Iv +Iw =0
次に、上記インバータ装置により生成される電流の最大値を検出する方法について説明する。
【0026】
まず、図3〜図4を参照しながら、正方向電流の最大値を検出する方法について説明する。なお、ここでは、U相の出力電流である電流Iu が最大になるケースを想定する。
3相交流においては、基本的に、図2に示すように、各相の出力電流が順番に最大電流となる。そして、電流Iu が正方向最大電流となる期間は、電流Iv および電流Iw は、負方向に流れている。ここで、各スイッチ11、12、21、22、31、32のスイッチング周波数は、図2に示した三角波のそれと同じであり、3相交流の周波数と比較して十分に速いので、これらのスイッチがターンオン/ターンオフすることによる微小電流変化は無視することができる。
【0027】
図3における時刻T1以前は、図4(a)に示すように、上アーム用スイッチ11、21、31がそれぞれオン状態に制御されており、下アーム用スイッチ12、22、32がそれぞれオフ状態に制御されている。この場合、各抵抗61〜63には電流は流れていない。このため、加算回路70から出力される各抵抗61〜63に生じる電圧の加算値は、「0(ゼロ)」になる。
【0028】
続いて、時刻T1〜T2においては、図4(b)に示すように、上アーム用スイッチ31がオフ状態に制御されると共に、下アーム用スイッチ32がオン状態に制御される。このとき、電流Iw は、下アーム用スイッチ32および抵抗63を介して流れる。すなわち、抵抗63には、電流Iw を表す電圧が生じることになる。したがって、各抵抗61〜63に生じる電圧の加算値は、「電流Iw 」を表す電圧値になる。
【0029】
さらに、時刻T2〜T3(期間A)においては、図4(c)に示すように、上アーム用スイッチ21、31がオフ状態に制御されると共に、下アーム用スイッチ22、32がオン状態に制御される。このとき、電流Iv は、下アーム用スイッチ22および抵抗62を介して流れ、電流Iw は、下アーム用スイッチ32および抵抗63を介して流れる。すなわち、抵抗62には電流Iv を表す電圧が生じ、抵抗63には電流Iw を表す電圧が生じることになる。したがって、各抵抗61〜63に生じる電圧の加算値は、「電流Iv +電流Iw 」を表す電圧値になる。
【0030】
このとき、インバータ装置の各相の出力電流(Iu 、Iv 、Iw )の総和は、0(ゼロ)になる。すなわち「電流Iv +電流Iw 」は、「−(電流Iu )」に一致することになる。ところが、図4(c)に示すように、電流Iu が正方向に流れるのに対し、電流Iv および電流Iw は、それぞれ負方向に流れる。したがって、時刻T2〜T3において、加算回路70の出力は、電流Iu を表すことになる。
【0031】
なお、時刻T4以降の動作は、基本的に、時刻T3以前の動作と同じである。即ち、時刻T4〜T5(期間B)において、加算回路70の出力は、電流Iu を表すことになる。
このように、図3〜図4に示す例では、加算回路70の出力は、期間Aおよび期間Bにおいて、U相の出力電流である電流Iu を表す。したがって、期間Aまたは期間Bにおいて加算回路70の出力をモニタすれば、電流Iu を検出することができる。ただし、過電流が発生しているか否かを調べるためには、期間Aまたは期間Bを意識することなく、単に、加算回路70の出力電圧が所定の閾値を越えるか否かをモニタするだけでよい。そして、本実施形態では、図1に示すように、コンパレータ80を用いて加算回路70の出力電圧と所定の閾値電圧とが比較され、その比較結果に応じて過電流が検出される構成を採用している。
【0032】
次に、図5〜図6を参照しながら、負方向電流の最大値を検出する方法について説明する。なお、ここでは、U相の出力電流である電流Iu が最大になるケースを想定する。
図5における時刻T1以前は、図6(a)に示すように、上アーム用スイッチ11、21、31がそれぞれオン状態に制御されており、下アーム用スイッチ12、22、32がそれぞれオフ状態に制御されている。この場合、各抵抗61〜63には電流は流れていない。このため、加算回路70から出力される各抵抗61〜63に生じる電圧の加算値は、「0(ゼロ)」になる。
【0033】
続いて、時刻T1〜T2(期間C)においては、図6(b)に示すように、上アーム用スイッチ11がオフ状態に制御されると共に、下アーム用スイッチ12がオン状態に制御される。これにより、電流Iu は、下アーム用スイッチ12および抵抗61を介して流れる。即ち、抵抗61には、電流Iu を表す電圧が生じることになる。従って、各抵抗61〜63に生じる電圧の加算値は、「Iu 」を表す電圧値になる。
【0034】
さらに、時刻T2〜T3においては、図6(c)に示すように、上アーム用スイッチ11、21がオフ状態に制御されると共に、下アーム用スイッチ12、22がオン状態に制御される。このとき、電流Iu は、下アーム用スイッチ12および抵抗61を介して流れ、電流Iv は、抵抗62および下アーム用スイッチ22を介して流れる。すなわち、抵抗61には電流Iu を表す電圧が生じ、抵抗62には電流Iv を表す電圧が生じることになる。しかし、抵抗61を介して流れる電流および抵抗62を介して流れる電流は、互いに反対方向に流れる。このため、時刻T2〜T3における各抵抗61〜63に生じる電圧の加算値は、時刻T1〜T2における加算値よりも小さくなる。
【0035】
なお、時刻T4以降の動作は、基本的に、時刻T3以前の動作と同じである。即ち、時刻T4〜T5(期間D)において、加算回路70の出力は、電流Iu を表すことになる。
このように、図5〜図6に示す例では、加算回路70の出力は、期間Cおよび期間Dにおいて、U相の出力電流である電流Iu を表す。したがって、期間Aまたは期間Bにおいて加算回路70の出力をモニタすれば、電流Iu を検出することができる。
【0036】
なお、図3〜図6に示した例では、U相の出力電流が最大電流になった場合について説明したが、V相あるいはW相の出力電流が最大電流になった場合の動作も基本的に同じである。
以上説明したように、実施形態のインバータ装置においては、加算回路70の出力をモニタすることにより、正方向の最大電流および負方向の最大電流の双方を検出することができる。また、上述のようにして最大電流を検出する機能は、抵抗および加算回路により実現されるので、その回路構成が簡単である。
【0037】
図7は、加算回路70の実施例である。なお、図7に示す回路構成は、1つの例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
加算回路70は、U相回路部71U、V相回路部71V、W相回路部71Wを備える。ここで、U相回路部71U、V相回路部71V、W相回路部71Wの構成は、基本的に互いに同じである。よって、ここでは、U相回路部71Uについてその構成を説明する。
【0038】
アンプ72は、差動アンプであり、抵抗61の両端に生じる電圧を増幅する。ここで、このアンプ72の反転入力端子は、入力抵抗R1を介して抵抗61の接地側端子に接続され、その非反転入力端子は、入力抵抗R2を介して抵抗61のスイッチ側端子に接続される。また、アンプ72の非反転入力端子は、抵抗R5を介して所定の電圧源に接続されている。さらに、アンプ72の出力端子と反転入力端子との間には、帰還抵抗として抵抗R3が設けられている。そして、このアンプ72により増幅された信号は、抵抗R4を介して出力される。
【0039】
U相回路部71U、V相回路部71V、W相回路部71Wの出力は、互いに電圧加算され、コンパレータ80に導かれる。これにより、抵抗61〜63に生じた電圧の加算値がコンパレータ80に与えられることになる。
このように、実施形態の電流検出装置(抵抗61〜63、加算回路70、コンパレータ80)は、公知文献2において使用されているような絶対値回路を設けることなく、正方向最大電流および負方向最大電流の双方を検出できるので、その構成が簡単であり、低コストで実現できる。
【0040】
また、実施形態の電流検出回路は、公知文献2において使用されているようなダイオード回路を使用することなく最大電流を検出するので、ダイオードの順方向電圧のばらつき等の影響が生じることはなく、検出精度が向上する。
なお、上述の実施例では、抵抗61、62、63が、電源40の負極とスイッチ回路10、20、30との間に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、図8に示すように、抵抗61、62、63は抵抗64として、電源40の負極とスイッチ回路10、20、30との間に設けられてもよい。これにより、抵抗64に流れる電流は抵抗61、62、63を流れる電流を加算したものとなり、抵抗64に生じる電圧は加算回路70の出力と同等になるので、加算回路70を省略することができる。
【0041】
また、上述の実施例では、3相交流モータを駆動するケースについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、出力電流の和が0(ゼロ)になるという条件の下で、交流モータ以外の負荷に電流を供給することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、簡単な構成で、インバータ装置の正方向最大出力電流および負方向最大出力電流の双方を正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のインバータ装置の構成を示す図である。
【図2】インバータ装置を駆動する制御信号について説明する図である。
【図3】正方向の最大電流が検出される期間のタイミング図である。
【図4】正方向に最大電流が流れているときのインバータ装置の状態を説明する図である。
【図5】負方向の最大電流が検出される期間のタイミング図である。
【図6】負方向に最大電流が流れているときのインバータ装置の状態を説明する図である。
【図7】加算回路の実施例である。
【図8】他の実施形態のインバータ装置の構成を示す図である。
【図9】3相交流モータを駆動する3相インバータ装置の基本構成を示す図である。
【符号の説明】
10 U相用スイッチ回路(第1のスイッチ回路)
20 V相用スイッチ回路(第2のスイッチ回路)
30 W相用スイッチ回路(第3のスイッチ回路)
11、21、31 上アーム用スイッチ
12、22、32 下アーム用スイッチ
40 電源
50 モータ(3相交流モータ)
61〜63 抵抗
70 加算回路(加算手段)
72 アンプ
80 コンパレータ(過電流検出手段)
Claims (3)
- 3相交流モータを駆動するインバータ装置であって、
それぞれ上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチを含む第1〜第3のスイッチ回路と、
前記第1〜第3のスイッチ回路にそれぞれ直列的に接続された第1〜第3の抵抗体と、
前記第1〜第3の抵抗体に生じる電圧を加算し、前記インバータ装置を介して流れる電流を表す値としてその加算結果を出力する加算手段と、
前記第1〜第3のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチを制御する制御回路、を備え、
前記第1のスイッチ回路と前記3相交流モータとの間に流れる第1相電流、前記第2のスイッチ回路と前記3相交流モータとの間に流れる第2相電流、前記第3のスイッチ回路と前記3相交流モータとの間に流れる第3相電流の和がゼロであり、
前記制御回路が、前記第1のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチをそれぞれオン状態およびオフ状態に制御し、かつ、前記第2および第3のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチをそれぞれオフ状態およびオン状態に制御しているときに、前記加算手段が、前記第1相電流の最大電流を検出する
ことを特徴とする電流検出機能付きインバータ装置。 - 3相交流モータを駆動するインバータ装置であって、
それぞれ上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチを含む第1〜第3のスイッチ回路と、
前記第1〜第3のスイッチ回路にそれぞれ直列的に接続された第1〜第3の抵抗体と、
前記第1〜第3の抵抗体に生じる電圧を加算し、前記インバータ装置を介して流れる電流を表す値としてその加算結果を出力する加算手段と、
前記第1〜第3のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチを制御する制御回路、を備え、
前記第1のスイッチ回路と前記3相交流モータとの間に流れる第1相電流、前記第2のスイッチ回路と前記3相交流モータとの間に流れる第2相電流、前記第3のスイッチ回路と前記3相交流モータとの間に流れる第3相電流の和がゼロであり、
前記制御回路が、前記第1のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチをそれぞれオフ状態およびオン状態に制御し、かつ、前記第2および第3のスイッチ回路の上アーム用スイッチおよび下アーム用スイッチをそれぞれオン状態およびオフ状態に制御しているときに、前記加算手段が、前記第1相電流の最大電流を検出する
ことを特徴とする電流検出機能付きインバータ装置。 - 請求項1または2に記載のインバータ装置であって、
上記加算手段の出力が予め決められた閾値よりも大きかったときに、上記第1〜第3のスイッチ回路を停止する過電流検出手段をさらに有する
ことを特徴とする電流検出機能付きインバータ装置。
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