JP2011205838A - モータ駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】単一の電流検出手段を用いた場合でも、すべての相の上段および下段のスイッチング素子のON故障を検出でき、かつ、故障を迅速に検出することが可能なモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動手段101にPWM信号を出力する制御手段102は、上段回生時異常判定手段103と、下段回生時異常判定手段104と、通常時異常判定手段105と、デューティ制限手段106とを有する。上段回生時異常判定手段103および下段回生時異常判定手段104は回生時の異常電流を検出し、通常時異常判定手段105は回生時以外の通常時の異常電流を検出する。これらの異常判定手段103〜105のいずれかが異常電流を検出した場合、デューティ制限手段106は、各相のPWM信号のデューティを所定範囲内に制限する。
【選択図】図1

Description

本発明は、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御方式を用いたモータ駆動装置に関し、特に、単一の電流検出手段を用いて各相の電流値を検出するモータ駆動装置に関する。
車両の電動パワーステアリング装置においては、ハンドルの操舵トルクに応じた操舵補助力をステアリング機構に与えるために、3相ブラシレスモータなどの電動式モータが設けられる。このモータを駆動する装置として、PWM制御方式によるモータ駆動装置が知られている(例えば特許文献1)。
PWM制御方式のモータ駆動装置では、上アームと下アームにそれぞれスイッチング素子を有する上下一対のアームが3組設けられる。また、トルクセンサで検出された操舵トルクに応じてモータに流すべき電流の目標値を算出し、この目標値とモータに実際に流れる電流の値との偏差に基づいて、所定のデューティを持つPWM信号を生成する。そして、このPWM信号による各スイッチング素子のON・OFF動作に基づいて、モータを駆動する。
特許文献1のモータ駆動装置においては、モータに流れる電流を検出するための電流検出抵抗(シャント抵抗)が、各相の下アームにそれぞれ設けられている。すなわち、電流検出抵抗は3個設けられており、各抵抗の両端電圧を測定することにより、モータに実際に流れる電流が検出される。また、特許文献2には、過電流検出機能を備えたモータ駆動装置が記載されており、本装置においても下アームのそれぞれに電流検出抵抗が設けられている。これに対して、単一の電流検出抵抗を用いたモータ駆動装置が知られている(例えば特許文献3)。
図20は、単一の電流検出抵抗を用いたPWM制御方式のモータ駆動装置の一例を示している。電源回路1は、整流回路や平滑回路等から構成され、出力端にコンデンサCが接続されている。スイッチング回路2は、上下一対のアームがU相、V相、W相に対応して3組設けられた3相ブリッジから構成されている。U相の上アームA1はスイッチング素子Q1を有し、U相の下アームA2はスイッチング素子Q2を有している。V相の上アームA3はスイッチング素子Q3を有し、V相の下アームA4はスイッチング素子Q4を有している。W相の上アームA5はスイッチング素子Q5を有し、W相の下アームA6はスイッチング素子Q6を有している。これらのスイッチング素子Q1〜Q6は、例えばFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)からなる。
モータMは、例えば車両の電動パワーステアリング装置に用いられる3相ブラシレスモータである。モータMに流れる電流を検出するための電流検出抵抗Rは、電源回路1とスイッチング回路2との間に接続されている。差動アンプ等から構成される増幅回路5は、電流検出抵抗Rの両端の電圧を増幅し、CPU4へ出力する。CPU4は、増幅回路5から与えられる電圧に基づいて算出した検出電流値と、トルクセンサ(図示省略)から与えられる操舵トルクに基づいて算出した目標電流値とに基づいて、各相のPWM信号のデューティに応じたデューティ設定値を算出する。そして、このデューティ設定値と鋸歯状のキャリア信号とに基づいて生成した各相のPWM信号を、ドライバIC3へ供給する。ドライバIC3は、スイッチング素子Q1〜Q6を個別にON・OFFさせるための各相のPWM信号を、各スイッチング素子Q1〜Q6のゲートへ出力する。このPWM信号に基づくスイッチング素子Q1〜Q6のON・OFFにより、スイッチング回路2からモータMへ3相電圧が供給され、モータMが回転する。
上記のような単一の電流検出抵抗Rを用いたモータ駆動装置の場合、通常時にモータMに流れる電流の検出は、図21の回路状態でU相電流を検出し、図22の回路状態でW相電流を検出することにより行われる。なお、ここでは、U相をデューティが最も大きい最大相、V相をデューティが中間の中間相、W相をデューティが最も小さい最小相とする。
U相電流の検出は、図21に示すように、上アームのスイッチング素子(以下、「上段スイッチング素子」という)Q1、Q3、Q5がそれぞれON、OFF、OFFで、下アームのスイッチング素子(以下、「下段スイッチング素子」という)Q2、Q4、Q6がそれぞれOFF、ON、ONの期間において行われる。このとき、モータMには矢印で示す経路で電流が流れ、電流検出抵抗RにU相電流が流れる。このU相電流によって電流検出抵抗Rの両端に生じる電圧が、増幅回路5(図20)を介してCPU4に入力され、CPU4においてAD変換されることで、U相電流値が検出される。
W相電流の検出は、図22に示すように、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5がそれぞれON、ON、OFFで、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6がそれぞれOFF、OFF、ONの期間において行われる。このとき、モータMには矢印で示す経路で電流が流れ、電流検出抵抗RにW相電流が流れる。このW相電流によって電流検出抵抗Rの両端に生じる電圧が、増幅回路5(図20)を介してCPU4に入力され、CPU4においてAD変換されることで、W相電流値が検出される。
また、V相電流値については、U相電流値とW相電流値とから、計算により求められる。すなわち、U相電流値をIu、V相電流値をIv、W相電流値をIwとしたとき、これらの間には、次の関係が成立する。
Iu+Iv+Iw=0
したがって、V相電流値Ivは、
Iv=−(Iu+Iv)
として算出することができる。
上述したモータ駆動装置において、スイッチング素子Q1〜Q6が、素子自体の異常によりON状態のままとなり、OFF状態に戻らなくなることがある。また、素子自体は正常であっても、素子にPWM信号を与えるドライバIC3やCPU4が異常でON信号を出力し続けることにより、スイッチング素子Q1〜Q6がON状態のままとなり、OFF状態に戻らなくなることがある。このようにスイッチング素子Q1〜Q6がON状態のままとなる故障を、以下では「ON故障」と呼ぶことにする。
図23は、各相ごとの上段スイッチング素子および下段スイッチング素子のON故障検出可否を示した表である。「上段短絡」は上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5のON故障を意味し、「下段短絡」は下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6のON故障を意味している。また、「通常電流検出(1)」は、図21のタイミングにおける電流検出を意味し、「通常電流検出(2)」は、図22のタイミングにおける電流検出を意味している。
図23において、通常電流検出(1)の場合のON故障検出可否の詳細は、以下の通りである。
最大相(U相)については、図21のように上段スイッチング素子Q1はON状態にあり、通常動作と上段短絡との区別ができないため、上段短絡を検出できない。一方、下段スイッチング素子Q2は通常動作時にOFF状態にあるため、素子Q2にON故障が発生すると、素子Q1、Q2を介して電流検出抵抗Rに過電流が流れるので、下段短絡を検出できる。
中間相(V相)については、図21のように通常動作時に上段スイッチング素子Q3はOFF状態にあるため、素子Q3にON故障が発生すると素子Q3、Q4を介して電流検出抵抗Rに過電流が流れるので、上段短絡を検出できる。一方、下段スイッチング素子Q4はON状態にあり、通常動作と下段短絡との区別ができないため、下段短絡を検出できない。
最小相(W相)については、図21のように通常動作時に上段スイッチング素子Q5はOFF状態にあるため、素子Q5にON故障が発生すると、素子Q5、Q6を介して電流検出抵抗Rに過電流が流れるので、上段短絡を検出できる。一方、下段スイッチング素子Q6はON状態にあり、通常動作と下段短絡との区別ができないため、下段短絡を検出できない。
次に、通常電流検出(2)の場合のON故障検出可否の詳細は、以下の通りである。
最大相(U相)については、図22のように上段スイッチング素子Q1はON状態にあり、通常動作と上段短絡との区別ができないため、上段短絡を検出できない。一方、下段スイッチング素子Q2は通常動作時にOFF状態にあるため、素子Q2にON故障が発生すると、素子Q1、Q2を介して電流検出抵抗Rに過電流が流れるので、下段短絡を検出できる。
中間相(V相)については、図22のように通常動作時に上段スイッチング素子Q3はON状態にあり、通常動作と上段短絡との区別ができないため、上段短絡を検出できない。一方、下段スイッチング素子Q4はOFF状態にあるため、素子Q4にON故障が発生すると、素子Q3、Q4を介して電流検出抵抗Rに過電流が流れるので、下段短絡を検出できる。
最小相(W相)については、図22のように通常動作時に上段スイッチング素子Q5はOFF状態にあるため、素子Q5にON故障が発生すると、素子Q5、Q6を介して電流検出抵抗Rに過電流が流れるので、上段短絡を検出できる。一方、下段スイッチング素子Q6はON状態にあり、通常動作と下段短絡との区別ができないため、下段短絡を検出できない。
特開2007−244133号公報 特許第3484968号公報 特開2009−131098号公報
以上のように、単一の電流検出抵抗Rを用いて、通常電流検出(1)、(2)の2つのタイミングでモータ電流を検出する場合、図23の太枠で示すように、最大相(U相)の上段スイッチング素子Q1のON故障(上段短絡)と、最小相(W相)の下段スイッチング素子Q6のON故障(下段短絡)を検出できないという問題がある。
そこで、本発明の目的は、単一の電流検出手段を用いた場合でも、すべての相について、上段スイッチング素子および下段スイッチング素子のON故障を検出することが可能なモータ駆動装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、PWM信号のデューティが100%や0%(またはそれらの付近)となることに起因して回生時に電流検出が不能となるのを回避し、故障を迅速に検出することが可能なモータ駆動装置を提供することにある。
本発明に係るモータ駆動装置は、図1に示すように、上アームと下アームにそれぞれスイッチング素子Q1〜Q6を有する上下一対のアームが少なくとも3組設けられ、PWM信号による各スイッチング素子のON・OFF動作に基づいてモータMを駆動する駆動手段101と、この駆動手段101に流れる電流を検出するための単一の電流検出抵抗Rと、この電流検出抵抗Rに流れる電流に基づいて、モータMの各相に流れる電流の電流値を検出し、各相の目標電流値と各相の検出電流値とに基づいて各スイッチング素子Q1〜Q6にPWM信号を出力する制御手段102とを備える。制御手段102は、さらに、上段回生時異常判定手段103と、下段回生時異常判定手段104と、通常時異常判定手段105と、デューティ制限手段106とを有する。
上段回生時異常判定手段103は、すべての相の上アームのスイッチング素子Q1、Q3、Q5がON状態で、かつ、すべての相の下アームのスイッチング素子Q2、Q4、Q6がOFF状態である上段回生状態において、電流検出抵抗Rに流れる電流を検出し、当該検出結果に基づいて異常を判定する。例えば、電流検出抵抗Rに流れる電流の電流値が所定値以上である場合に、下アームのスイッチング素子Q2、Q4、Q6の少なくとも1つがON故障であると判定する。
下段回生時異常判定手段104は、すべての相の上アームのスイッチング素子Q1、Q3、Q5がOFF状態で、かつ、すべての相の下アームのスイッチング素子Q2、Q4、Q6がON状態である下段回生状態において、電流検出抵抗Rに流れる電流を検出し、当該検出結果に基づいて異常を判定する。例えば、電流検出抵抗Rに流れる電流の電流値が所定値以上である場合に、上アームのスイッチング素子Q1、Q3、Q5の少なくとも1つがON故障であると判定する。
通常時異常判定手段105は、上段回生状態および下段回生状態を除く通常状態において、電流検出抵抗Rに流れる電流を検出し、当該検出結果に基づいて異常を判定する。
デューティ制限手段106は、上段回生時異常判定手段103、下段回生時異常判定手段104、通常時異常判定手段105の少なくとも1つが異常電流を検出した場合に、各相のPWM信号のデューティの最大値が一定値α(α<100%)以下で、かつ、最小値が一定値β(β>0%)以上となるようにデューティを制限する。
本発明では、各相の上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5がすべてONの上段回生状態において、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6の少なくとも1つがON故障すると、本来流れるはずのない電流が電流検出抵抗Rに流れる。また、各相の下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6がすべてONの下段回生状態において、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5の少なくとも1つがON故障した場合も、本来流れるはずのない電流が電流検出抵抗Rに流れる。したがって、従来の通常電流検出(図21、図22)に、上段回生時および下段回生時の電流検出を追加することにより、すべての相についてON故障の検出が可能となる。
また、本発明では、異常判定手段103〜105の少なくとも1つが異常を判定すると、デューティ制限手段106が各相のPWM信号のデューティを所定範囲内に制限するので、各相のデューティが100%や0%(またはそれらの近傍)となることがない。このため、電流検出に必要な時間を確保して回生時の異常電流を検出することができ、故障の迅速な検出が可能となる。
本発明では、デューティ制限手段106によりデューティを制限している間に、上段回生時異常判定手段103、下段回生時異常判定手段104または通常時異常判定手段105が異常を判定した場合に、制御手段102により、故障が発生したと判断するようにしてもよい。
好ましくは、制御手段102は、デューティ制限手段106によりデューティを制限した後、上段回生時異常判定手段103、下段回生時異常判定手段104または通常時異常判定手段105により複数周期にわたって所定回数連続して異常が判定された場合に、故障が発生したと判断する。これは、故障判定の精度を向上させる上で有効である。
本発明の好ましい実施形態においては、デューティ制限手段106は、デューティの制限を行った後、各異常判定手段103〜105により異常電流が検出されない状態が一定時間継続した場合に、デューティの制限を解除して各相のPWM信号のデューティを元の状態に戻す。
このようにすると、モータMがいつまでも低パワーで駆動され続けることがなく、モータ駆動力を速やかに回復させることができる。
本発明において、下段回生時異常判定手段104は、下段回生状態において、電流検出抵抗Rに当該抵抗からモータMへ向かう方向の所定値以上の電流が流れたことが検出された場合に、モータMの地絡故障と判定するようにしてもよい。
これによると、下段回生時の電流検出を利用して、モータMの地絡故障を検出することができる。
また、本発明において、下段回生時異常判定手段104は、下段回生状態において、電流検出抵抗RにモータMから当該抵抗へ向かう方向の所定値以上の電流が流れたことが検出された場合に、モータMの電源短絡故障と判定するようにしてもよい。
これによると、下段回生時の電流検出を利用して、モータMの電源短絡故障を検出することができる。
本発明によれば、単一の電流検出手段を用いた場合でも、すべての相について、上段スイッチング素子および下段スイッチング素子のON故障を検出することが可能なモータ駆動装置を提供することができる。また、デューティの制限により回生時にも異常電流を確実に検出できるため、故障を迅速に検出することが可能となる。
本発明に係るモータ駆動装置の基本構成を示した図である。 本発明における電流検出のタイミングを説明する図である。 本発明における各相ごとのON故障検出可否を示した表である。 通常電流検出(1)における電流経路を示した図である。 通常電流検出(2)における電流経路を示した図である。 上段回生状態(正常時)における電流経路を示した図である。 上段回生状態(故障時)における電流経路を示した図である。 下段回生状態(正常時)における電流経路を示した図である。 下段回生状態(故障時)における電流経路を示した図である。 PWM信号のデューティが100%付近である場合の電流検出を説明する図である。 PWM信号のデューティが0%付近である場合の電流検出を説明する図である。 デューティを制限しない場合の各相のデューティを表した図である。 デューティを制限した場合の各相のデューティを表した図である。 正常時のPWM信号を表したタイミングチャートである。 異常時のPWM信号を表したタイミングチャートである。 正常時の他のPWM信号を表したタイミングチャートである。 異常時の他のPWM信号を表したタイミングチャートである。 下段回生時における地絡故障の検出を説明する図である。 下段回生時における電源短絡故障(天絡故障)の検出を説明する図である。 単一の電流検出抵抗を用いたPWM制御方式のモータ駆動装置の一例を示した図である。 U相電流の検出を説明する図である。 W相電流の検出を説明する図である。 従来における各相ごとのON故障検出可否を示した表である。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。モータ駆動装置の回路構成は、図20に示したものと同じである。したがって、以下では、図20を本発明の実施形態として引用する。なお、図20の各部については、すでに説明したので、ここでは詳細説明を省略する。
図1と図20の対応関係は、次の通りである。図1の駆動手段101は、図20のスイッチング回路2に対応している。図1の制御手段102は、図20のドライバIC3、CPU4、増幅回路5を含む回路の一部に対応している。図1の上段回生時異常判定手段103、下段回生時異常判定手段104、通常時異常判定手段105、デューティ制限手段106の各機能は、図20のCPU4に備わっている。
次に、本発明におけるモータ電流の検出と、スイッチング素子のON故障の検出について説明する。
図2は、電流検出抵抗Rに流れる電流を検出するタイミングを説明する図である。電流検出は、4つのタイミングT1〜T4において行われる。なお、ここでいう「タイミング」とは、電流検出が可能な時間幅(例えば2μsec)を持つ「期間」を意味している。
T1は、図21で説明した通常時における通常電流検出(1)のタイミングである。このタイミングT1では、上段スイッチング素子Q1がON、Q3がOFF、Q5がOFFの状態で、電流検出抵抗Rに最大相(ここではU相)の電流が流れる。このときの各相の電流経路は、図4の破線で示す通りである。なお、図4のLu、Lv、Lwは、それぞれ、モータMに備わるU相、V相、W相の巻線であり、BATは電源である(以下の図においても同様)。電流検出抵抗Rに流れる電流により当該抵抗Rの両端に生じる電圧が、増幅回路5(図20)を介してCPU4に入力され、CPU4においてAD変換されることで、U相電流値が検出される。また、通常時異常判定手段105は、タイミングT1において電流検出抵抗Rに流れる電流の値が所定値以上であるときに、異常と判定する。このときの異常は、図23で説明したとおり、最大相の下段スイッチング素子Q2のON故障、中間相の上段スイッチング素子Q3のON故障、または最小相の上段スイッチング素子Q5のON故障である。
T2は、図22で説明した通常時における通常電流検出(2)のタイミングである。このタイミングT2では、上段スイッチング素子Q1がON、Q3がON、Q5がOFFの状態で、電流検出抵抗Rに最小相(ここではW相)の電流が流れる。このときの各相の電流経路は、図5の破線で示す通りである。電流検出抵抗Rに流れる電流により当該抵抗Rの両端に生じる電圧が、増幅回路5(図20)を介してCPU4に入力され、CPU4においてAD変換されることで、W相電流値が検出される。また、通常時異常判定手段105は、タイミングT2において電流検出抵抗Rに流れる電流の値が所定値以上であるときに、異常と判定する。このときの異常は、図23で説明したとおり、最大相の下段スイッチング素子Q2のON故障、中間相の下段スイッチング素子Q4のON故障、または最小相の上段スイッチング素子Q5のON故障である。
T3は、本発明で新たに追加される上段回生時電流検出のタイミングである。このタイミングT3では、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5がすべてON状態(このとき、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6はすべてOFF状態)である上段回生状態で、電流検出抵抗Rに流れる電流が検出される。正常時の上段回生状態における電流経路は、図6のようになる。すなわち、モータMの巻線Lu、Lv、Lwに蓄積された電気エネルギーに基づく回生電流が、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5を介して破線で示す経路を回流し、電流検出抵抗Rには電流が流れない。
一方、下段スイッチング素子、例えば最小相(W相)の下段スイッチング素子Q6にON故障が発生した場合は、図7のように、スイッチング素子Q5、Q6が共にONとなる。そして、電源BATからスイッチング素子Q5、Q6を介して、本来流れるはずのない電流が、破線で示す経路で電流検出抵抗Rに流れる。スイッチング素子Q2、Q4がON故障した場合も同様である。したがって、この電流を検出することによって、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6のON故障を検出することができる。この場合、上段回生時異常判定手段103(図1)は、上段回生時に電流検出抵抗Rに流れる電流の電流値が所定値以上であるときに、異常(下段スイッチング素子のON故障)と判定する。
T4は、本発明で新たに追加される下段回生時電流検出のタイミングである。このタイミングT4では、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5がすべてOFF状態(このとき、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6はすべてON状態)である下段回生状態で、電流検出抵抗Rに流れる電流が検出される。正常時の下段回生状態における電流経路は、図8のようになる。すなわち、モータMの巻線Lu、Lv、Lwに蓄積された電気エネルギーに基づく回生電流が、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6を介して破線で示す経路を回流し、電流検出抵抗Rには電流が流れない。
一方、上段スイッチング素子、例えば最大相(U相)の上段スイッチング素子Q1にON故障が発生した場合は、図9のように、スイッチング素子Q1、Q2が共にONとなる。そして、電源BATからスイッチング素子Q1、Q2を介して、本来流れるはずのない電流が、破線で示す経路で電流検出抵抗Rに流れる。スイッチング素子Q3、Q5がON故障した場合も同様である。したがって、この電流を検出することによって、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5のON故障を検出することができる。この場合、下段回生時異常判定手段104(図1)は、下段回生時に電流検出抵抗Rに流れる電流の電流値が所定値以上であるときに、異常(上段スイッチング素子のON故障)と判定する。
図3は、各相ごとの上段スイッチング素子および下段スイッチング素子のON故障検出可否を示した表である。図23と同様、「上段短絡」は上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5のON故障を意味し、「下段短絡」は下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6のON故障を意味している。
通常電流検出(1)の場合のON故障検出可否と、通常電流検出(2)の場合のON故障検出可否については、図23と同じであるので、説明は省略する。
上段回生時電流検出の場合のON故障検出可否は、以下の通りである。上段回生時は、図6のように、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5はすべてON状態にあり、通常動作と上段短絡との区別ができないため、すべての相について上段短絡を検出できない。一方、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6はすべてOFF状態にあり、前記のとおり、いずれかの下段スイッチング素子にON故障が発生すると、電流検出抵抗Rに過電流が流れるので(図7)、下段短絡を検出できる。
下段回生時電流検出の場合のON故障検出可否は、以下の通りである。下段回生時は、図8のように、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6はすべてON状態にあり、通常動作と下段短絡との区別ができないため、すべての相について下段短絡を検出できない。一方、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5はすべてOFF状態にあり、前記のとおり、いずれかの上段スイッチング素子にON故障が発生すると、電流検出抵抗Rに過電流が流れるので(図9)、上段短絡を検出できる。
このように、本実施形態によれば、通常時における通常電流検出(1)と通常電流検出(2)に加えて、上段回生時と下段回生時に電流検出を行っている。そのため、図3の太枠で示すように、最大相の上段スイッチング素子Q1のON故障(図9)と、最小相の下段スイッチング素子Q6のON故障(図7)についても検出が可能となる。この結果、すべての相に対して、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5のON故障、および下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6のON故障を検出することができる。
ところで、電流検出抵抗Rに流れる電流を検出するためには、ある程度の検出時間が必要である。しかしながら、モータMが高速で回転している場合(高速操舵時)は、PWM信号のデューティが100%付近や0%付近となって、回生時の電流検出ができなくなることがある。例えば、図10に示すように、最大相の上段PWM信号のデューティが100%付近である場合は、当該PWM信号のOFF期間がタイミングT4の時間幅より短くなって、下段回生時の電流検出が不可能となる。この結果、最大相の上段スイッチング素子Q1のON故障が検出できなくなる。また、図11に示すように、最小相の上段PWM信号のデューティが0%付近である場合は、当該PWM信号のON期間がタイミングT3の時間幅より短くなって、上段回生時の電流検出が不可能となる。この結果、最小相の下段スイッチング素子Q6のON故障が検出できなくなる。
そこで、本実施形態においては、異常電流が検出された場合に、各相のPWM信号のデューティを一定範囲内に制限することによって、上記の不具合が生じないようにしている。
本実施形態の場合、異常電流の検出は、PWM信号の1周期において、図2のように通常時(T1,T2)と、上段回生時(T3)と、下段回生時(T4)の4つのタイミングで行われる。そして、いずれのタイミングにおいても異常電流が検出されないときは、デューティ制限は行われない。図12は、デューティを制限しない場合の各相のデューティを表した図であり、各相のデューティの最大値は100%(近傍を含む)、最小値は0%(近傍を含む)となっている。
一方、T1〜T4のいずれかのタイミングで異常電流が検出されると、デューティ制限が行われる。図13は、デューティを制限した場合の各相のデューティを表した図である。各相のデューティは、最大値が一定値α(α<100%)以下で、最小値が一定値β(β>0%)以上となるように制限される。ここでは、一例として、α=90%、β=10%となっている。
このようにデューティを制限するのは、次のような理由による。タイミングT1〜T4のいずれかで異常電流が検出された場合は、短絡等の故障が発生した可能性が高いが、ノイズや誤動作が原因で偶発的に異常電流が検出される場合もある。そこで、故障判定の精度を上げるために、複数周期にわたって所定回数連続して異常電流が検出された場合に故障が発生したと判定する。しかし、故障発生時にT1〜T4のどのタイミングで異常電流が検出されるかは、故障の状況やモータの回転状態に応じて変わってくる。このため、ある周期において異常電流が検出されても、次の周期において異常電流の検出されるタイミングが、図10のT4や図11のT3であった場合は、前述したように、最大相のOFF期間や最小相のON期間が短いために、異常電流を検出することができない。その結果、故障と判定するまでに時間的な遅れが生じ、異常電流を検出できない状態が長く続くと、素子の破壊を招くことになる。そこで、T1〜T4のいずれかで異常電流が検出された場合に、各相のデューティに制限をかけ、最大相のデューティを減少させるとともに、最小相のデューティを増加させる。これによって、最大相のOFF期間や最小相のON期間が長くなるので、以降も異常電流を継続的に検出することができ、故障の迅速な検出が可能となる。
以下、本発明におけるデューティ制限について、図14〜図17を参照しながらさらに具体的に説明する。
まず、第1の例について説明する。図14は、U相(最大相)の上段スイッチング素子Q1のデューティが100%付近、V相(中間相)の上段スイッチング素子Q3のデューティが50%、W相(最小相)の上段スイッチング素子Q5のデューティが10%である場合の、正常時のPWM信号を表している。この状態では異常電流は検出されておらず、各相のPWM信号のデューティは制限されずに一定値を維持する。
図15は、異常電流が検出された場合のPWM信号を表している。ここでは、タイミングTa(上段回生時)において、電流検出抵抗Rに流れる電流の値が所定値以上であることが、上段回生時異常判定手段103で検出されたとする。なお、タイミングTaは図2のタイミングT3に対応している。また、タイミングTb1では、電流検出のために必要な時間に対して、U相(最大相)のOFF期間が短いので、電流検出ができていない。タイミングTaで異常電流が検出されると、デューティ制限手段106は、タイミングt4以降の各相のPWM信号のデューティが所定範囲内となるようにデューティ制限を行う。すなわち、U相(最大相)のデューティを減少させて例えば80%とするとともに、W相(最小相)のデューティを増加させて例えば20%とする。V相(中間相)のデューティ50%はそのままである。
このようにデューティを制限することによって、異常電流検出後の次の周期(t4−t5区間)からは、U相の上段スイッチング素子Q1のOFF期間が長くなるので、タイミングTb2において、下段回生時の異常電流を確実に検出することができる。また、W相の上段スイッチング素子Q5のON期間が長くなるので、上段回生時の異常電流も確実に検出することができる。なお、図15の場合は、W相のデューティが10%であっても電流検出ができているので(t3−t4区間参照)、W相のデューティは必ずしも増加させなくてよい。
また、デューティ制限手段106は、デューティの制限を行った後(t4以降)に、異常電流が検出されない状態が一定時間継続した場合(例えば、異常電流の検出されない周期またはタイミングが所定数連続した場合)は、デューティの制限を解除して、各相のPWM信号のデューティを元の状態、すなわち図14の状態に戻す。
次に、第2の例について説明する。図16は、U相(最大相)の上段スイッチング素子Q1のデューティが60%、V相(中間相)の上段スイッチング素子Q3のデューティが30%、W相(最小相)の上段スイッチング素子Q5のデューティが0%付近である場合の、正常時のPWM信号を表している。この状態では異常電流は検出されておらず、各相のPWM信号のデューティは制限されずに一定値を維持する。
図17は、異常電流が検出された場合のPWM信号を表している。ここでは、タイミングTc(下段回生時)において、電流検出抵抗Rに流れる電流の値が所定値以上であることが、下段回生時異常判定手段104で検出されたとする。なお、タイミングTcは図2のタイミングT4に対応している。また、タイミングTd1では、電流検出のために必要な時間に対して、W相(最小相)のON期間が短いので、電流検出ができていない。タイミングTcで異常電流が検出されると、デューティ制限手段106は、タイミングt4以降の各相のPWM信号のデューティが所定範囲内となるようにデューティ制限を行う。すなわち、W相(最小相)のデューティを増加させて例えば15%とするとともに、V相(中間相)のデューティを増加させて例えば35%とする。U相(最大相)のデューティ60%はそのままである。
このようにデューティを制限することによって、異常電流検出後の次の周期(t4−t5区間)からは、W相の上段スイッチング素子Q5のON期間が長くなるので、タイミングTd2において、上段回生時の異常電流を確実に検出することができる。また、V相の上段スイッチング素子Q3のON期間も長くなるので、上段回生時の異常電流をより確実に検出することができる。
また、デューティ制限手段106は、デューティの制限を行った後(t4以降)に、異常電流が検出されない状態が一定時間継続した場合(例えば、異常電流の検出されない周期またはタイミングが所定数連続した場合)は、デューティの制限を解除して、各相のPWM信号のデューティを元の状態、すなわち図16の状態に戻す。
なお、図15と図17においては、上段回生時と下段回生時のタイミングTa,Tcで異常電流が検出された場合のデューティ制限について述べたが、回生時以外の通常時におけるタイミング(図2のT1,T2に相当)で異常電流が検出された場合も、上記と同様のデューティ制限が行われる。
また、デューティを制限している間に、異常判定手段103〜105のいずれかが異常を判定した場合、制御手段102は故障が発生したと判断する。この場合、デューティを制限した後、1周期内のあるタイミング(例えば、図15のタイミングTb2、図17のタイミングTd2)において異常電流が検出された時点で、故障が発生したと判断してもよいが、前述のように、故障判定の精度を上げるためには、デューティを制限した後、複数周期にわたって所定回数連続して異常電流が検出された場合に故障が発生したと判断するのが好ましい。
以上のように、本実施形態では、通常時および回生時を含む複数のタイミングのいずれかで異常電流が検出された場合に、各相のPWM信号のデューティが所定範囲内(図13のα〜βの範囲内)となるようにデューティ制限を行うので、各相のデューティが100%や0%(またはそれらの付近)となることがない。このため、電流検出に必要な時間を確保して回生時の異常電流を確実に検出することができ、故障の迅速な検出が可能となる。
また、異常電流が検出された場合に、デューティを極端に下げるのではなく、図13に示したような範囲内でデューティを制限するので、モータを最速で駆動しなければならない状態下で、モータ駆動力が不必要に低下するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、デューティの制限を行った後に、異常電流が検出されなくなった状態が一定時間継続すると、デューティ制限を解除してデューティを元に戻すようにしている。このため、モータがいつまでも低パワーで駆動され続けることがなく、モータ駆動力を速やかに回復させることができる。
さらに、本実施形態では、通常時に加えて回生時にも異常電流を検出するが、回生時に電流検出抵抗Rに流れる電流は正常状態ではゼロであるから、異常電流を検出するための閾値を容易にかつ精度良く設定することができる。
なお、先述のように、電流検出抵抗Rに流れる電流を検出するためには、ある程度の検出時間が必要であるから、図13に示したデューティ制限のためのα、βの値は、この検出時間を考慮して設定される。PWM信号の最小相のON期間および最大相のOFF期間がそれぞれ検出時間以上となるようにα、βの値を設定しておけば、電流検出が可能となる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図18は、下段回生時における地絡故障の検出を説明する図である。図のように、例えば、モータMの最小相(W相)の端子に地絡故障が発生した場合、下段回生時には、実線矢印と破線矢印で示すような電流が流れる。このうち、実線矢印で示す電流は、スイッチング素子Q5、Q6の接続点aと地絡点bとの間に存在する寄生インダクタンスLoに蓄積された電気エネルギーが、電流検出抵抗R−スイッチング素子Q6−グランドの閉回路を介して放出されたものであり、モータMを介さずに直接地絡点bへ至る負電流である。この負電流を検出することによって、地絡故障を検出することができる。この場合、下段回生時異常判定手段104(図1)は、下段回生状態において、電流検出抵抗Rに当該抵抗からモータMへ向かう方向の所定値以上の電流が流れたことが検出された場合に異常(モータの地絡故障)と判定する。なお、他の相において地絡故障が発生した場合も、上記と同様にして地絡故障を検出することができる。
図19は、下段回生時における電源短絡故障(以下、「天絡故障」という)の検出を説明する図である。図のように、例えば、モータMの最小相(W相)の端子に天絡故障が発生した場合、下段回生時には、実線矢印と破線矢印で示すような電流が流れる。このうち、実線矢印で示す電流は、天絡点c(電源BAT)からスイッチング素子Q6を介して電流検出抵抗Rへ至る正電流である。この正電流を検出することによって、天絡故障を検出することができる。この場合、下段回生時異常判定手段104(図1)は、下段回生状態において、電流検出抵抗RにモータMから当該抵抗へ向かう方向の所定値以上の電流が流れたことが検出された場合に異常(モータの天絡故障)と判定する。なお、他の相において天絡故障が発生した場合も、上記と同様にして天絡故障を検出することができる。
このようにして、本実施形態によれば、下段回生時に電流検出抵抗Rに流れる電流を検出することによって、モータMの地絡故障および天絡故障の検出が可能となる。そして、これらの故障検出にあたっても、前述したデューティの制限を行うことにより、故障を迅速に検出することができる。
本発明では、以上述べた以外にも種々の実施形態を採用することができる。例えば、図14〜図17では、PWM駆動の1周期内に1つのPWM信号しか含まれていないが、1周期内に複数のPWM信号が含まれていてもよい。また、PWM信号を生成する際のキャリア信号(基準波)は、のこぎり波と三角波のいずれであってもよい。
また、本発明では、最大相・中間相・最小相の各相のデューティが所定範囲内に入るのであれば、デューティ制限のパターンは前述のものに限定されない。例えば、最大相のみのデューティを減少させてもよいし、最大相と中間相の両方のデューティを減少させてもよい。また、最大相と中間相のデューティを減少させるとともに、最小相のデューティを増加させてもよい。さらに、最小相のみのデューティを増加させてもよい。また、デューティの値も前記のものに限定されず、他の値を採用してもよい。
また、上記実施形態では、U相が最大相、V相が中間相、W相が最小相である場合を例に挙げたが、これは一例であって、例えば、U相が最小相、V相が中間相、W相が最大相である場合や、U相が中間相、V相が最小相、W相が最大相である場合など、各相と最大相・中間相・最小相との組み合わせがどのような場合であっても、本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、上段スイッチング素子がONの時に下段スイッチング素子がOFFであるとしたが、上段スイッチング素子のON/OFFのタイミングと、下段スイッチング素子のON/OFFのタイミングとの間に、デッドタイムを設けてもよい。つまり、上段スイッチング素子がOFFからONになるタイミングよりも所定時間前に、下段スイッチング素子がONからOFFになるようにしてもよい。これは、上段スイッチング素子と下段スイッチング素子とが同時にONとなって回路が短絡するのを防ぐためである。
また、上記実施形態では、スイッチング素子としてFETを使用したが、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラモードトランジスタ)のような他のスイッチング素子を使用してもよい。
また、上記実施形態では、モータとして3相モータを例に挙げたが、本発明は、4相以上の多相モータを駆動する場合にも適用することができる。
さらに、上記実施形態では、モータとしてブラシレスモータを例に挙げたが、本発明は、誘導モータや同期モータなどを駆動する装置にも適用することができる。
1 電源回路
2 スイッチング回路
3 ドライバIC
4 CPU
5 増幅回路
101 駆動手段
102 制御手段
103 上段回生時異常判定手段
104 下段回生時異常判定手段
105 通常時異常判定手段
106 デューティ制限手段
M モータ
A1〜A6 アーム
Q1〜Q6 スイッチング素子
R 電流検出抵抗

Claims (8)

  1. 上アームと下アームにそれぞれスイッチング素子を有する上下一対のアームが少なくとも3組設けられ、PWM(Pulse Width Modulation)信号による各スイッチング素子のON・OFF動作に基づいてモータを駆動する駆動手段と、
    前記駆動手段に流れる電流を検出するための単一の電流検出抵抗と、
    前記電流検出抵抗に流れる電流に基づいて、前記モータの各相に流れる電流の電流値を検出し、各相の目標電流値と各相の検出電流値とに基づいて前記各スイッチング素子に前記PWM信号を出力する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、さらに、
    すべての相の上アームの前記スイッチング素子がON状態で、かつ、すべての相の下アームの前記スイッチング素子がOFF状態である上段回生状態において、前記電流検出抵抗に流れる電流を検出し、当該検出結果に基づいて異常を判定する上段回生時異常判定手段と、
    すべての相の上アームの前記スイッチング素子がOFF状態で、かつ、すべての相の下アームの前記スイッチング素子がON状態である下段回生状態において、前記電流検出抵抗に流れる電流を検出し、当該検出結果に基づいて異常を判定する下段回生時異常判定手段と、
    前記上段回生状態および前記下段回生状態を除く通常状態において、前記電流検出抵抗に流れる電流を検出し、当該検出結果に基づいて異常を判定する通常時異常判定手段と、
    前記上段回生時異常判定手段、前記下段回生時異常判定手段、前記通常時異常判定手段の少なくとも1つが異常電流を検出した場合に、各相のPWM信号のデューティの最大値が一定値α(α<100%)以下で、かつ、最小値が一定値β(β>0%)以上となるようにデューティを制限するデューティ制限手段と、
    を有することを特徴とするモータ駆動装置。
  2. 請求項1に記載のモータ駆動装置において、
    前記制御手段は、前記デューティ制限手段によりデューティを制限している間に、前記上段回生時異常判定手段、前記下段回生時異常判定手段または前記通常時異常判定手段が異常を判定した場合に、故障が発生したと判断することを特徴とするモータ駆動装置。
  3. 請求項1に記載のモータ駆動装置において、
    前記制御手段は、前記デューティ制限手段によりデューティを制限した後、前記上段回生時異常判定手段、前記下段回生時異常判定手段または前記通常時異常判定手段により複数周期にわたって所定回数連続して異常が判定された場合に、故障が発生したと判断することを特徴とするモータ駆動装置。
  4. 請求項1に記載のモータ駆動装置において、
    前記デューティ制限手段は、デューティの制限を行った後、前記各異常判定手段により異常電流が検出されない状態が一定時間継続した場合は、デューティの制限を解除して各相のPWM信号のデューティを元の状態に戻すことを特徴とするモータ駆動装置。
  5. 請求項1に記載のモータ駆動装置において、
    前記上段回生時異常判定手段は、前記上段回生状態において、前記電流検出抵抗に流れる電流の電流値が所定値以上である場合に、下アームの少なくとも1つのスイッチング素子がON状態のままとなるON故障と判定することを特徴とするモータ駆動装置。
  6. 請求項1に記載のモータ駆動装置において、
    前記下段回生時異常判定手段は、前記下段回生状態において、前記電流検出抵抗に流れる電流の電流値が所定値以上である場合に、上アームの少なくとも1つのスイッチング素子がON状態のままとなるON故障と判定することを特徴とするモータ駆動装置。
  7. 請求項1に記載のモータ駆動装置において、
    前記下段回生時異常判定手段は、前記下段回生状態において、前記電流検出抵抗に当該抵抗から前記モータへ向かう方向の所定値以上の電流が流れたことが検出された場合に、モータの地絡故障と判定することを特徴とするモータ駆動装置。
  8. 請求項1に記載のモータ駆動装置において、
    前記下段回生時異常判定手段は、前記下段回生状態において、前記電流検出抵抗に前記モータから当該抵抗へ向かう方向の所定値以上の電流が流れたことが検出された場合に、モータの電源短絡故障と判定することを特徴とするモータ駆動装置。
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